【ブログでONE EYE PROJECTを進行中のアン・サンス】
SNAKEPIPE WROTE:
先週の「ROCKHURRAH紋章学 韓国パッケージ・デザイン編」に引き続き、韓国をテーマに選んでみたよ。
この企画を最初に提案してくれたのはROCKHURRAHなんだよね。
記事の最後に「今度は韓国のタイポグラフィについても調べてみようかな」と予告文も書いていたしね!(笑)
ハングルのタイポグラフィについて調べていると、真っ先に名前が出てくるのがAhn Sang-soo(안상수/安 尚秀)、読み方はアン・サンスで良いのかな。
まるで記号のようなハングルを、デザインとして仕上げている作品に惚れ惚れしてしまった。
今回はアン・サンスを紹介していこう!
まずは経歴のチェックね。
1952 忠清北道忠州市生まれ 1981 ソウルの弘益大学でBFAとMFAを取得
この年より1985年まで『Madang』誌と『Meot』誌のアートディレクターを務める1985 Ahn Graphics designデザイン事務所を設立 1986 この年よりアンダーグラウンドアートカルチャー誌『bogoseo/bogoseo』の編集者兼アートディレクターを務める 1996 ソウルの漢陽大学で博士号 1997 この年より2001年まで Icograda の副会長を務め、2000 年には Icograda Millennuim 「Oullim」 Congress の議長を、2001年から現在までは TypoJanchi の議長を務める 1998 Zgraf8でグランプリ受賞 2001 ロンドンのキングストン大学でデザインの名誉博士号を取得
母校の弘益大学でタイポグラフィの教授に就任2007 ドイツ、ライプツィヒのグーテンベルク賞を受賞
弘益大学校美術大学視覚デザイン科の教授、坡州タイポグラフィ学校校長、北京にある中央美術学院 (CAFA) の教授、ロンドンの Royal College of Arts で客員教授を務め、2013年には、韓国のPaju Bookcityに新しい実験的デザインスクール PaTI (Paju Typograhy Institute) を設立、など書ききれないほどの経歴の持ち主!
3つの大学に通っていることも驚きだけど、80年代にアングラカルチャー雑誌の編集長だった点に注目してしまう。
韓国の80年代ってどんなだっただろうね?
実はすでにアン・サンスのタイポグラフィは目にしているかもしれないんだよね。
2018年平昌冬季オリンピック、2018年平昌冬季パラリンピックの開幕式と閉幕式でアン・サンスのフォント「安常水体」が使用されていたんだって。
そして画像はビビゴのキムチ!
どうやらこのフォントもアン・サンスの作品みたいだよ。
ハングルに馴染みがないので、フォントの違いを認識するのは難しいかも?
ここで少しだけハングルについて調べてみよう。
基本的には10の母音と19の子音、11の複合母音の組み合わせで構成できる文字だという。
まるで記号のように見えるのは、パーツの組み合わせだからなんだね。
ちなみに画像は「韓国(hanguk)」と書いてあって、左の文字がh、a、nを、右がg、u、kを表しているんだって。
平仮名よりは数が少ないパーツ数なので、頑張れば覚えられるかも?(笑)
こうしたハングルを研究し、タイポグラフィにしたアン・サンスの作品を観ていこう。
画像は、アン・サンス考案のタイポグラフィで、「Mano(マノ)」と「Myrrh(ミルラ)」という書体らしい。
緑色のほうには、恐らく何か書いてあるんだろうけど、 読めん!ので、デザインとして見るしかないね。(笑)
まるで迷路ゲームのようでとても面白い!
平仮名やカタカナをびっちり並べたとしても、この雰囲気にはならないだろうね。
紫色のほうは、恐らく「k」を表す「ㄱ」のタイポグラフィじゃないかな。
いろんなパターンがあるので、文字になった状態がみてみたいよね!
紫色のフォント「ミルラ」を使用した例がこちら。
黒バックに紫という視覚的な効果もあるけれど、ハングルというよりデザインに見えてしまうよ。
ゲームの「テトリス」に登場するブロックピースが重なったようじゃない?
インパクトがある作品だよね!
こちらは「マノ」を使用したアン・サンスの住居の門だという。
まるで模様だけど、ハングルとは驚き。
アン・サンス、2000年の作品だって。
これはもう現代アートだよね!(笑)
日本語同様、縦書きと横書きの両方で使用できるハングルを、グラフィックの観点から捉えてタイプデザインに挑んでいるという。
こんな門がある家、素敵だよね!
写真をバックにタイポグラフィが踊っている作品。
遠目から見ると、化学の配列のようじゃない?
これもハングルで、何か意味があるのか不明だけど、この遊び心が楽しい。(笑)
他にもハングルで顔文字を作っている作品もあったよ。
韓国で最も革新的なデザイナーと言われているというアン・サンス。
現在70歳だけれど、現役で活動しているみたい。
ハングルミーツ構成主義、といった雰囲気の作品。
色合いが美しく、縦と横に大きく書かれたハングルが力強い。
アン・サンスは中国の漢字からの開放という意味も含んで、ハングルの美しさを発見したという。
日本語が、もし漢字しか使っていなかったら、中国の属国のような意識を持つのかな。
平仮名とカタカナというオリジナル文字があって良かった。(笑)
文字と歴史について詳しくないけれど、何故ハングルができたのかを知ることで、アン・サンスの心境を理解できるのかもしれないね。
アン・サンスがAnatome galleryで展覧会を開いたときのビデオだという。
30秒ほどの映像だけど、ハングルとメッセージが印象的!
デザインは重要だよね、ほんと。
「One Eye Project」を自身のブログで展開しているアン・サンス。
これは日常生活で出会った人達を、片目を隠した状態で撮影したポートレート写真なんだよね。
1988年にスタートし、すでに1万枚を超えているんだとか。
片目を覆ってカメラの前に立ってもらうというパフォーマンスは「ハプニング」で、ブログにアップしていく行為がジェスチャーパフォーマンスとのこと。
30年以上も積み重ねている撮影ってすごいよね!
東京でも撮影してたみたいなので、いつの日かモデルになれたら嬉しいね。(笑)
韓国タイポグラフィの父と言われるアン・サンスについて調べてみたよ!
ドラマや映画、食べ物など、最近になって知り始めた韓国だけど、こんなにすごいタイポグラフィ・デザイナーのことまで知ることができて嬉しくなるね。
ハングルにも興味が湧いたので、少し勉強してみようかな。(笑)