ビザール・TWIN PEAKS選手権!27回戦

【ツイン・ピークス The Returnのトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

「ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間」 にも出演していて、「ツイン・ピークス The Return」にも出ているハリー・ディーン・スタントンが9月15日に亡くなってしまった。
一番有名なのは「パリ・テキサス」だけど、「ワイルド・アット・ハート」などのリンチ作品で目にすることも多かった俳優なんだよね。
リンチも俳優として出演している映画「Lucky」が最後の映画になるみたい。
とても残念なニュースだったよ。

「ツイン・ピークス The Return」を毎週金曜に鑑賞するのが恒例になっているROCKHURRAH RECORDS。
9月22日は第9章を鑑賞することになっているはずなのに、放映が中止されているっ!
なんと「まだ間に合う!第1章〜第8章一挙放送」という、WOWOWのツイン・ピークス特番に当てられてしまったのである。
しかもその放映は全て吹き替え版だという。
ROCKHURRAH RECORDSは字幕版で観ているので、次の放映は1週遅れの9月29日。
毎週の楽しみが奪われる、この苦しみったら!
先日の記事にも「吹き替え版と字幕版」について書いているので、繰り返さないけれど…。
お金払って視聴してるんだから、視聴者の好みで選択できる方式を採用して欲しいと思う。
吹き替え版派が圧倒的多数という現実にも驚いているけどね。

今週は鑑賞できないので、せめてツイン・ピークス関連の情報を知ることで自分を慰めよう!(笑)
日本でのツイン・ピークス・フィーバーはどうなのか分からないけど、本国アメリカでは盛り上がっているに違いない。
ということで今回は「アメリカのAmazonで買えるツイン・ピークス関連グッズ」を紹介しよう。
全然ビザールじゃないんだけど。(笑)

これはよくできているフィギュアだよね!
クーパー、ローラ、ボブ、丸太おばさんの4体1セット。
もちろんこれは25年前のシリーズをモデルにして制作されているんだけど、ローラが「wrapped in plastic」状態なのが秀逸!
いいなあ、これ、欲しいなあ。(笑)
3 3/4 inches tallと書かれているので、約9.5cm。
かなり小さめだから持ち運びにも便利だね!(持ち歩いてどうする?)
気になるお値段は$21.72、現在のレートで約2,400円とのこと。
Amazon Prime会員なら配送料無料だって。
会員じゃない人は25ドル以上のお買上げで無料になるらしいよ。
50件のレビューで星5つ!
ファンにはたまらないもんね。

「ツイン・ピークス The Return」にも出てきた「グレート・ノーザン・ホテル」のキータグ!
気を利かせた女性が○○して、無事に○○したところまでは分かってるんだけど。
その後の展開はまだ出てきてないんだよね。
鑑賞していない人が多いと思うので、「The Return」の話は伏せ字にしてみたよ。
この文章だけでは、さっぱり意味不明だよね。(笑)

「グレート・ノーザン・ホテル」のキータグをキーホルダーにしたら、毎日自分の家に入る時にツイン・ピークス気分を味わえること間違いないよ!
お値段は$8.99に配送料$3.75なので約1,400円。
お買い得だよね。
カスタマーレビュー33件で星4.8だって。
これも良いなあ。
欲しいなあ。(笑)

ツイン・ピークスといえばコーヒーだもんね。
これはダブルRダイナーのカップではないけれど、スターバックスのロゴをアレンジして作ったダジャレ商品みたい。
でもね、ちゃんと下に「DAMN FINE COFFEE」って書かれているんだよね。
スターバックスからのクレームはなかったのかな?(笑)
お値段は$29.95、約3,350円で送料無料とのこと。
カスタマーレビューには、このカップとドーナツの写真を載せている人がいて、熱狂的なファンだということが分かるね。(笑)
カスタマーレビューは2件だけど、星5つ。
プレゼントされたら嬉しい逸品だね!

これもダジャレ系商品ということになるのかな。
クーパー捜査官が「Diane」と話しかけていた、あのテープ・レコーダーをモチーフにしたiPhoneケースね!
今回のシリーズ「The Return」では、Dianeの正体も分かっちゃったしね!
あ、これ以上は言わないでおこう。(笑)
ケースの素材はプラスチックだから、レコーダー部分は単なるプリントなんだけど、ツイン・ピークスのファンにとっては嬉しい逸品。(笑)
iPhone5とiPhone6には対応しているみたいだけど、今はもう8が出てるから、ちょっと前の商品なんだろうね?
お値段は$6.22、約700円!
しかも送料無料だって。(笑)
ちょっと欲しくなってしまうね。

SNAKEPIPEが狂喜したのはこれ!
ツイン・ピークスを題材にしたタロットカードなんだよね。
1枚1枚がよくできてるんだよ。
ツイン・ピークスの登場人物の特徴を捉えて描いているから、観ているだけで嬉しくなってしまった!
そうなの、こういう商品を探していたんだよね。(笑)
どうやら数量限定で販売されていた(いる?)らしいんだけど。
$24.95に送料が$4.74なので、約3,400円!
こんなに素晴らしいタロットカードなら、並べて飾っておきたいくらいだよ。
これは一体誰の作品なんだろうね?
調べてみるとBENJAMIN MACKEYというアリゾナで活躍しているフリーのイラストレーターが描いた作品だったよ!
HPでは大きなサイズでタロットカードが観られるんだよね。
3枚だけ選んで載せてみよう。
左は巨人とレッドルームでダンスを踊った小人。
真ん中はフクロウを背にしたボブ。
右は丸太おばさんね。
よくできてるよねえ。
ツイン・ピークスをこよなく愛していることが分かる、素晴らしいタロットカードだよ!
これ、本当に欲しいなあ!

「The Return」が始まって、ツイン・ピークス関連グッズの販売が盛んになっているみたいね。
なんと予約販売受付中の商品として「Twin Peaks The Bookhouse Boys Hardcover Ruled Journal」を見つけたよ!
ジャーナルって一体なんだろうね?
ブックハウスボーイと書かれているので、ハリーとエド、ホーク達が所属していた自警団に関する何か、なのかな。
内容についての説明を読んでもいまいち理解できないんだけどね。(笑)
商品説明の写真もあるんだけど、これもよく分からない。
どれだけ予約した人がいるんだろう?
2017年10月31日発売とされているので、11月になったらレビュー読んでみたいよね。
購入した人の意見を聞いてみたい。
お値段は$17.06でprime会員なら送料無料とのこと。
日本円で約1,900円なのね。
ファンだと、意味不明って思っても欲しくなっちゃうんだよね。

「The Return」では、毎回「ロードハウス」でのライブ映像が流れるんだよね。
25年前のシリーズでは、ジュリー・クルーズがライブやってたっけ。
今回は各章ごとにステージに立つバンドが変わって、「耳の監督」であるリンチの好みがよく分かる趣向になっているのもポイント。
リンチの息子ライリーが所属している「Trouble」も出演していたね。
今回見つけたのは、その「ロードハウス」で演奏していたバンドを集めたサントラなんだよね!
アメリカでは全18章の放映が2017年9月3日に完了していて、サントラが2017年9月8日発売だったみたいね。
全20曲の中には、お馴染みのツイン・ピークス・テーマ曲もあるし、やっぱりジュリー・クルーズも入っている。
そして驚くのはジェームスがマデリーンとドナと一緒に歌った「Just You」も挿入されていること!
意外と声高いんだよね、ジェームス。(笑)
今回のシリーズでは、ジェームスの出演は今のところ少ないけど、これからまた歌うのかな?
サントラのお値段はCDで$13.89(約1,550円)、MP3で$14.49(約1,600円)、レコードで$25.29(約2,800円)とのこと。
レコードもあるのは良いね!
これは日本でも手に入ると思うので、買わねば!(笑)

こんな雑誌まで登場していたとは!
BLUE ROSE MAGAZINE」 の創刊は2017年2月24日だというので、やっぱり「The Return」の開始に合わせて企画されたんだね。
ちなみに第1号の内容は
・Mark Frostの新しい本「Twin Peaksの秘密の歴史」
・英国のツインピークス・フェスティバルのレポート
・脚本家のロバート・エンゲルスのインタビュー
・「Fire Walk With Me」のサントラ・リマスタリングの情報
・Catherine Coulson(The Log Lady)特集
だという。
ツイン・ピークス・ファンには嬉しい情報満載だよね!(笑)
4ヶ月ごとに出版されるらしく、現在は第3号まで出ているね。
お値段はkindle版で$4.03、約450円だね。
日本版はないと思うので、英語で頑張るか!

日本での放映は中盤にさしかかってきたところだけど、第8章は実験映像みたいな意味不明の内容だったからね。
いかにもリンチでSNAKEPIPEは大喜びしたけど、ストーリーとしては進んでいないので、これから先がどうなるのか楽しみでならないね。
今日はWOWOWが1週「字幕版」を放映しなかったために、ツイン・ピークス関連グッズ特集にしてみたけど、検索で新たな情報が手に入って良かった!
災い転じて福となす、とはこのことか。(笑)

映画の殿 第26号 松尾スズキ part2

【役者、映画監督、脚本家、小説家。いろんな顔を持つ男】

SNAKEPIPE WROTE:

前回「映画の殿」で特集した松尾スズキの第2弾を書いてみよう。
特定の個人を気に入ると、関連している作品をROCKHURRAHが調べてくれて、鑑賞が可能な作品を探し出すのがROCKHURRAH RECORDS流。
ウィル・フェレルやジャック・ブラックなども、そんな感じで作品を鑑賞したっけ。(笑)
そういえば最近、ウィル・フェレル関連の新作情報を調べてなかったよ。
元々日本での知名度が低く、劇場公開されずDVDだけで販売・レンタルされることが多かったウィル・フェレルだけど、DVDすら出ない作品が続いてるんだよね。
ついにはネット配信のみになっているため、TSUTAYAの新作情報には載っていない。
もしくはネット配信すらされなくなる日も来るのだろうか…。

今回の特集とは関係のないことを書いてしまったね。(笑)
松尾スズキは劇団「大人計画」を設立し、役者、映画監督、脚本など一人何役もこなし、更には小説も書いているマルチな才能を持っている人物なんだよね!
NHKのドラマ「ちかえもん」からすっかりファンになり、関連する作品を鑑賞しているところである。
今回はドラマを中心に紹介していこうかな!

TAROの塔」(2011年)は岡本太郎生誕100周年を記念して制作されたNHKのドラマである。
これは2011年に書いた「生誕100年 岡本太郎展」と同時期のことだったんだね!
その時には全く気付いていなかった情報だったけど、DVDで鑑賞することができて良かったよ。
少年期から晩年に至るまでの岡本太郎の人生を全4回のドラマにしていて、松尾スズキは岡本太郎の中年から晩年期を演じている。
漫画家だった岡本一平を父に、歌人で作家だった岡本かの子が母という家庭に生まれた太郎は、かなり特殊な環境で育っていったことがよく分かる。
奔放な母親は、現代でも珍しいタイプの女性だと思うし。
更に岡本太郎は、多感な青年期をパリで過ごしているんだよね。
シュルレアリスムの時代のパリだもんね!
型破りな日本人になるのは当然、という感じ。
岡本太郎という人格が形成されていく様子がよく表されていたと思う。
松尾スズキは半分モノマネのような演技で、本当に岡本太郎みたいだったよ。
あまりに熱演し過ぎて、笑ってしまうほど。
養女だった平野敏子を常盤貴子が演じていたんだけど、あの太郎ぶりを目の当たりにして、よく吹き出さなかったと感心してしまう。(笑)
松尾スズキを主役に決定したNHK、すごい決断だよ!
あ、またNHK好きを披露してしまったね。

松尾スズキ関連を探索していたら、昔のドラマが鑑賞できることが分かった。
演歌なアイツは夜ごと不条理(パンク)な夢を見る」(1992年)は日本テレビの深夜枠で放映されていた全5回のドラマである。
ツイン・ピークス並に昔のドラマなのに、2006年にDVD化されたみたいだね。
松尾スズキは脚本を担当、出演もしている。
このドラマの主演はなんと、竹中直人!
ダーク五郎という手品師なんだよね。(笑)
そして松尾スズキは性的不能を専門にしている精神科医の役。
阿部サダヲのデビュー作にもなっているドラマで、「カルトなドラマ」とされているんだよね。
それもそのはず。
今だったら放映できないだろうと思われる、タブー(性とか薬とか)がいっぱいの内容だからね。(笑)
イカ天バンドだった「マサ子さん」のメンバーが出演していたりして、かなりクセのある俳優が多かったのも魅力の一つ。
途中で挿入されるイラストの出来が素晴らしかったんだよね。
劇中イラストは青木すみれ(天谷すみれ)という方のようで。
今もどこかで描いているのかな。
もっと鑑賞してみたいんだよね。

こちらも医者の役だった「イン・ザ・プール」(2005年)。
奥田英朗原作の小説を映画化したもので、やっぱりこれも精神科医だったね。(笑)
原作は5話の連作短編集だったようだけど、映画ではその中の3話を描いていた。
何かしらの精神的な疾患を抱える人物が、松尾スズキ演じる精神科を訪れる、という物語なんだよね。
オダギリジョーは継続性勃起症で、市川実和子は強迫神経症になっている。
市川実和子の「家の鍵、かけたっけ?」「ガスの元栓しめたっけ?」と、自分の行動に自信がなくなる症例は、誰にでも経験あるんじゃないかな?
もちろん程度が軽いので、一年に一度あるかないかの「不安」だけど、それが毎日になったら相当苦しいだろうね。
田辺誠一はプールで泳がずにはいられない病気になっている。
これも一種の強迫神経症なんだろうね。
「何かをし忘れると気持ち悪くて眠れない」くらいは誰にでもあることだからね。
全て程度の問題だろうけど、他人事と思えないリアルさが面白かった。
松尾スズキはかなり変な医者役で、とても似合っていたね。

医者ではないけれど、やっぱり白衣を着ていたのは「悪人」(2011年)でのこと。
人当たりが良くて、老人達には軽口が大ウケ!
皆から「先生」と呼ばれて親しまれている存在。
ところがそれは仮の姿なんだよね。
実は詐欺まがいの商売のため、騙しのテクニックとして「良い人」を演じている、という役だった松尾スズキ。
この役もぴったりだったね!
騙された役の樹木希林も見事な演技だったよ。
SNAKEPIPEが樹木希林の映画出演を観るのは「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)以来かなあ。
えっ、古過ぎ?(笑)

現在「ツイン・ピークス The Return」を鑑賞するためにWOWOWに加入しているので、WOWOWが制作したドラマも鑑賞できるんだよね。
松尾スズキが出演していることを知ったROCKHURRAHが録画予約しておいてくれたのが「北斗 ある殺人者の回心」である。
石田衣良原作の小説をドラマ化した作品で、我らが松尾スズキは国選弁護人という役どころ。
あれ?いつの間にか「我らが」になってるよ。(笑)
やっぱり「先生」と呼ばれる役なんだけど、今回はかなーりシリアスなので、全く「おかしな」要素はないんだよね。
どうしても松尾スズキじゃないとダメな役ではなかったように思う。
松尾スズキは良い人より悪い人、もしくは「おかしな人」が良いのかもしれないね?

まずは観てみよう、と第一話を観てあまりの凄まじさに驚いてしまう。
「僕は生まれてこないほうがよかった」
というセリフに説得力を感じてしまう悲惨な家庭環境だったからね。
もうこれから北斗の父親役だった村上淳と母親役の中村優子は、違う役で観たとしても「あの虐待の両親!」と思ってしまうだろうね。(笑)
それだけ演技が上手だった、ということなのかもしれないけど、悪い役をやるのって役者さんも勇気が要るだろうなあ。
宮本信子が演じた義母の器の大きさには驚かされた。
あんなに優しい人が近くにいたら、別人になれるかもしれないね。

いとうせいこうのエッセイ「ボタニカル・ライフ 植物生活」を原作にした「植物男子ベランダー」が全シリーズDVD化されていないのが残念でならない。
youtubeなどで何話かだけ観ることができるんだけど、とても面白そうなんだよね。
2013年から2014年にかけてNHKのBSプレミアムで制作されていたようなんだけど。
あー、またNHKだ。
どうやらROCKHURRAH RECORDSはNHK好きみたいだね。(笑)
主演は田口トモロヲ!
自宅のベランダで植物を愛でる温厚な男なんだよね。
松尾スズキは田口トモロヲの先輩で、盆栽好きという役。
いとうせいこうと田口トモロヲの好みなのか、テーマ曲がセックス・ピストルズの「Anachy in the U.K.」が採用されているところもポイント!
パイロット版からシーズン3まである大人気企画だったようなので、今からでもDVDにして欲しいな!

今まで観てきた松尾スズキに関連する作品についてまとめてみたよ!
これからも注目していきたい興味ある人物だね。
今度は「大人計画」の演劇も鑑賞してみよう。
WOWOWに加入しているうちがチャンスだね。(笑)

サンシャワー:東南アジアの現代美術展鑑賞

20170910 top
【いつも通り国立新美術館の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mと久しぶりに約束した。
7月、8月の2ヶ月間は外出するのをやめているからである。
夏の間というのは毎年そうなんだけど、 ファミリー向けや子供向けの企画が多いため、鑑賞したいと思う展覧会が少ないことが一つ。
最も大きな理由は、子供連れの家族がいる環境で不快な思いをすることが多いからである。
初めから分かっているので、避けられるシチュエーションは回避するのがベターだもんね!
ということで夏休みが完全に終了した9月になったら行こうね、と約束していたのが東南アジアの現代アートを特集した展覧会だったのである。

ASEAN設立50周年記念として企画された「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」は六本木にある森美術館国立新美術館との2館で同時に開催されるという。
アジア10ヵ国から86組のアーティストが選出され、作品が展示されるらしい。
よくブログに書いていることだけれど、例えば女子ゴルフの世界でも圧倒的に強く存在感を示しているのは韓国の選手なんだよね。
台湾やタイの選手も多い。
現代アートの世界でもアジア系の活躍がめざましいことは予想がつく。
アジアには独特の文化があるので、一体どんな現代アートに出会えるかと思うとワクワクしちゃうね!

友人Mと約束をしたのは、朝のうちだけ雨が降り、日中は秋を感じるような涼しい日だった。
出歩くには丁度良かったね、と言い合いながら、国立新美術館を目指して歩く。
せっかくなので2館共鑑賞することにしたのである。

国立新美術館に到着してチケットを購入しようとした時、友人Mが「あっ」と叫ぶ。
何かと思うと、友人Mは森美術館の年間パスポートを持っているので、森美術館にはフリーパスで入れる。
この場合、国立新美術館でのチケット割引はどうなるのか、ということに気付いたというのである。
早速国立新美術館のチケット売り場にいた女性に確認してみる。
「あっ、えっと、それは、、、」
絵に描いたような「しどろもどろ」状態で、呆れるほど!
見かねた様子の隣にいた別の受付女性が「森美術館のシステムについては当館では分かりかねます」ときっぱり。
仕方ないので、友人Mが森美術館に電話して確認する。
結局森美術館に先に行き、森美術館のチケットを提示すると国立新美術館のチケットが200円割引になることが判明。
最初に国立新美術館に行ってしまったのが間違いだったね。
同時開催をうたって、2館共通鑑賞用のチケット販売まで行っているんだから、これくらいの質問に対する回答くらい用意しておくのが当たり前じゃないのかな。
それにしても「国立系」であんなチケット売り場の対応で良いのかね?
接客業にまるで向いていないタイプだったからね。

友人Mとプリプリ怒りながら森美術館に向かう。
SNAKEPIPEは通常の2館共通鑑賞用のチケットを購入。
友人Mが年間パスポートを出し、国立新美術館も行きたいと言った瞬間に、チケット売り場の女性は
「森美術館のチケットをお持ち頂いて、国立新美術館でチケットを購入して頂ければ800円になります」
と即答するではないの!
完全に森美術館の勝ちだね。
スタッフの対応も良かったし。

「サンシャワー展」のトレイラーを見つけたので載せておこうか。
会場の雰囲気がわかりやすいもんね!

会場に着いてまず目に飛び込んできたのが、天井から吊るされたゾウ(エレファント)である。
現代アートの特色の一つに「びっくりする(させる)」があるので、これは大成功!
これは、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「ブンミおじさんの森」でも知られるタイの映像作家アピチャッポン・ウィーラセタクンと、タイ人アーティストのチャイ・シリによる、8メートルの巨大ゾウの立体と映像作品をあわせたインスタレーションとのこと。
映像作品のほうは、あまり意識していなかったけど、ゾウには驚かされたよ。
撮影オッケーだったので、何枚も撮ってしまったね。(笑)

今回の「サンシャワー展」はほとんどの作品の撮影がオッケーだったんだよね。
一部だけは動画も含めて不可だったけど、基本的にオッケーなのはとても良いね!
お客さん達、仲間と一緒に写ったりして楽しんでたよ。
インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスというアジア10ヵ国からの作品の展示、ということでお客さんもアジア系の方がとても多かった。
ま、そんなことを言ってるSNAKEPIPEもアジア人なんだけど!(笑)

それでは気になった作品を紹介していこうかな。
SNAKEPIPEが撮影したことを証明するため(?)あえて作品だけをトリミングせずに載せることにしたよ!
リュウ・クンユウ(Liew Kung Yu)は1960年マレーシア生まれのアーティスト。
213×575cmという大型の4枚で1セットになっている作品である。
遠目で観ると色鮮やかな色彩が目に飛び込んでくる。
「わあ!きれい!」
思わず声が出てしまった。
フォトモンタージュなんだけど、今まで観たことがある作品とはスケールが違うんだよね。
近付いてじっくり鑑賞すると、作品の秘密を知ることができる。
なんと同じ写真を何枚も重ねて立体感を出してるんだよね!
ちょっと横からも撮影してみたんだけど、言ってること分かってもらえるかな?
鳥の写真が4枚(?)重ねられている。
どの部分も同じように立体になっているというのは、正面から観た場合であっても、奥行きを感じさせる作品になるんだね。
ナショナリズムやアイデンティティにまつわる問題を様々な表現方法によって掘り起こすアーティストという説明を見つけたけど、意味や解釈抜きでも、最初の象と同じように新鮮な驚きがあったよ。
この作品はなかなか衝撃的で、「欲しい!」と思ってしまった。(笑)

マウン・デイ(Maung Day)は1979年ミャンマー生まれ。
デイ、と聞くと反射的にジェイソンと思ってしまうのはSNAKEPIPEだけか?
ミャンマーのファミリーネームにもあるんだね。(笑)
マウン・デイの作品は、まるでいたずら書きのように見えるんだけど、ちょっと毒を感じさせるんだよね。
かわいらしさに混ざった毒気、が甘さと辛さと酸っぱさが混ざりあったアジア料理みたいじゃない?
ちょっと例えがおかしいかな?(笑)
マウン・デイの絵画が、例えばエコ・バッグになってたら欲しかったな。
そういう物販がなかったんだよね、残念ながら。

ポー・ポー(Po Po)も同じくミャンマーのアーティストで、1967年生まれというからマウン・デイより12歳以上年上になるんだね。
撮影オッケーでブログに載せるのも可能なんだけど、作家名と作品名やライセンスについての決まり文句を書く必要がある、と森美術館のHPに注意書きされてるんだよね。
その決まりに則って出来る限り調べて書いてるんだけど、このポー・ポーの作品名が「水」なのか「風」なのか、それとも「空」なのか、はっきりしないんだよね。
確か展示されてた順番で「風」じゃないかと思ってるだけど、間違ってたらごめんなさい!
ポー・ポーは、仏教思想体系のひとつであるアビダルマにおける宇宙の四代要素に幾何学模様を組み合わせ抽象的な概念を視覚化させているんだって!
そうね、よくわかるわ!(うそ)
SNAKEPIPEは色の美しさと、ミニマルアートらしいシンプルさが気に入ったんだけど、それで良いよね?(笑)

モンティエン・ブンマー(Montien Boonma)は微笑みの国、タイのアーティスト。
どうやら2000年に亡くなっているみたいだね。
この作品、外から観ると「なんじゃこりゃ?」なんだけどね。
下からくぐって、すっぽり頭を「なんじゃこりゃ」の中に入れてみると!
穏やかな仏像の顔が現れる仕掛けなんだよね。(写真右)
タイトルの「溶ける虚空/心の型」が外見と心を意味しているのかもしれないね。
この作品はどうやって制作されたのか不思議。
顔から作って、外側を固めたのかなあ。
この作品は福岡アジア美術館が所蔵しているそうなので、福岡でまた体験できるかもしれないね!

さて、ここまでが森美術館での展示作品の紹介だったよ。
お昼にドカンと美味しいトンカツ食べて、再び国立新美術館に向かうSNAKEPIPEと友人M。
展覧会の「はしご」はあまりやらないけれど、たまにはいいか。(笑)

全体的な印象としては、国立新美術館の展示のほうが戦争に代表される苦しみや悲しみを根幹にした作品が多かったように思う。
アウン・ミンは1946年ミャンマー生まれ。
戦争を体験している世代なんだよね。
タイトルは「五大陸に流れ落ちた赤い涙」だけど、これは涙ではなく血も連想してしまうよね。

FX ハルソノはインドネシアのアーティスト。
アウン・ミンと同世代の1949年生まれだという。
こちらも赤い作品だったんだけど、2m近い高さがある大きさだった。
遠くから見ると赤いライトが綺麗だったけれど、近寄ってみるとそれは墓標のようで。
人の名前が書いてあり、墓地(?)の写真が並んでいる。
完全に死をテーマにした作品なんだよね。

 ヘリ・ドノ(Heri Dono)はインドネシアの伝統的な影絵芝居「ワヤン・クリ」で使用される人形をモチーフにしたアート作品を制作していたね。
部分だけしか撮影していないので分かり辛いけど、逆さまにされた人形の上には煮えたぎった(ように見える)鉄鍋があるんだよね。
多分拷問の一種なんだと思うんだけど?
壁に小さく貼ってある紙に、作品が動く時間が書かれているのを発見した。
どうやらこの作品は動くんだね!
30分おきに動かしているようなんだけど、待つには長かったので、残念ながらどんな動きをするのか確認できなかった。
きっと拷問に苦しむ人達、という感じなんじゃないかな。

国立新美術館の展示は書いているように、少し重苦しくて「グッとくる」作品にはなかなか出会えなかった。
そんな中、SNAKEPIPEが狂喜したのはミン・ウォンの作品を鑑賞することができたこと!
ミン・ウォン(Ming Wong)は1971年シンガポール生まれだけれど、ベルリンで活動しているアーティストである。
作品は既に映像化された作品をリメイクすること。
ただし、登場人物全てを一人で演じるという「映像版森村泰昌」なのである。
顔立ちが「ワハハ本舗」の梅ちゃんに似ているところも注目しているSNAKEPIPE。
今回の作品を動画で撮影したので載せておこう。

2011年の記事「ゼロ年代のベルリン展鑑賞」に以下の文章があるね。

「実生活を営むヨーロッパにおいても、映画の中でも『よそ者』を演じるウォンが示すのは、アイデンティティとは演じることで存在し補強されるが、その存在を維持するためには演じ続けなくてはならない」

解説や解釈ではこんなにカッコ良いこと言われてるけどね。
SNAKEPIPEにとっては「変身願望が強い人」という認識なんだよね。(笑)
そして今回もやってくれてたよ!
なんと今回はアラン・レネ監督の「去年マリエンバートで」(原題:L’Année dernière à Marienbad 1961年)を一人全部役で。(笑)
やっぱり笑ってしまったよ。
いいわ、ミン・ウォン!やっぱりファンだわ!(笑)

重苦しかった 空気がミン・ウォンのおかげで吹き飛んだけど、今回の2館同時開催は失敗だったんじゃないかな。
森美術館の展示にミン・ウォンが入っていれば、単館で良かったような?
国立新美術館は寄せ集めの感じがしたし、スペースを埋めるためなのかアジア雑貨を販売する店舗まで併設されていたし。
元々アジア雑貨は好きで、店舗を見つければ入って商品の品定めをすることが多いので、こんなやり方では子供だましのように思ってしまう。
チケット売り場からケチがついていたから余計だけどね。(笑)

アジアの1980年代から現代までのアート作品を集めた展覧会だけれど、アーティストの年齢を確認すると最も若くて1980年代生まれがほんの数人いることを確認した。
ほとんど40歳以上のアーティストだったようで、結構年齢層高めだったんだね!
大御所を集めたということなのか、若手が少ないのか?
どちらにしてもアジアのアーティストの作品がここまで大規模に展示される機会は少ないと思うので、鑑賞できて良かったと思う。
国立新美術館にはもう少し頑張って欲しいね。(笑)

映画の殿 第25号 松尾スズキ part1


【松尾スズキのアップ画像。現在54歳。】

SNAKEPIPE WROTE:

久しぶりに「映画の殿」を書いてみよう。
週末毎の映画鑑賞の習慣は続いているけれど、「ツイン・ピークス The Return」が始まってからは、優先順位は「ツイン・ピークス」が1番になっている。
2番が「PGAゴルフ」鑑賞か。(笑)
映画を観る時間を利用して、録画しておいたゴルフ中継をまとめて休日に鑑賞しているからね。
そのため週に2本は観ていた映画は週に1本になることもあるんだよね。
これが「映画の殿」 をなかなか書けなかった理由かもしれないね?

実はもう一つ理由があることに気付く。
ほとんど邦画を観ないROCKHURRAH RECORDSだけれど、最近は邦画の鑑賞もしているのである。
ルールを決めているわけではないけれど、邦画に関しては「CULT映画ア・ラ・カルト!」 でカルト映画について特集したことがあるくらい。
それ以外の邦画について書いたことないんだよね。
どうしても書きたい、特集したいと思った映画ではなかったのも理由だろう。

「面白いから絶対観て!」
長年来の友人Mからの強い勧めがあったのは去年のことだった。
友人Mは情報収集能力に優れ、SNAKEPIPEの好みを熟知している心強い味方なのである。
そして友人Mのすごいところは、自身の「好き」や「面白い」という枠を作らないこと。
つまりは新旧や老若男女を問わず、映画でも音楽でも小説でも、なんでも知ろうとする姿勢を持っているのである。
SNAKEPIPEなどは「いまどきの若者みたい」と体験する前に敬遠することがあるので、友人Mの柔軟性には感心している。
その友人Mからの強い勧めにより、ROCKHURRAHを巻き込んで鑑賞することにした。
それがNHKのドラマ「ちかえもん」だったのである。
NHKの時代劇?人形浄瑠璃?近松門左衛門の話?
最初は恐る恐る、まずは1話観てみようか、ということになった。
こうしてROCKHURRAH RECORDSと松尾スズキが出会ったのである。(笑)

時は元禄16年(1703年)。
現代にも通じる格差広がる世の中で、戯作者・近松門左衛門(松尾スズキ)は、 定番の「歴史モノ」しか書けず、妻に逃げられ、母にあきれられ、スランプに陥り、堂島新地の「天満屋」に入り浸り、 年増遊女のお袖(優香)相手にちびちび酒を飲んでいた。
そんな近松の前に、ある日謎の渡世人・万吉(青木崇高)が現れる。
近松と万吉の二人は、お初(早見あかり)や徳兵衛(小池徹平)など、人形浄瑠璃「曾根崎心中」に登場する ひと癖もふた癖もある人々と出会い、さまざまな騒動に巻き込まれていく…。
果たして近松は傑作を書きあげることができるのか?
(Amazon販売ページより引用)

「ちかえもん」のあらすじを書いてみたけど、ちょっと長いね。(笑)
全8回のドラマなので、これくらいになるのは仕方ないかな?

松尾スズキ演じる主人公、近松門左衛門は人形浄瑠璃作家で、現在はスランプ状態の中年男。
そこへ青木崇高演じる「不幸糖売り」の万吉が現れるのである。
全く接点がないはずの2人が出会ったことから物語が始まる。
青木崇高という俳優は全然知らなかったけれど、万吉役がぴったりだった。
粗野だけれど純粋でまっすぐな性格、どんな時にも物怖じしないで突き進む。
近松門左衛門はそんな万吉に振り回される形で話が展開していくのである。

主役の松尾スズキの演技が最高だった。
顔芸とでもいうのか、表情で魅せる演技力。
替え歌まで披露していたしね。(笑)
「曽根崎心中」はタイトルだけは知っていても、内容についてはほとんど知らなかったので、「ちかえもん」のような軽快な語り口で教えてもらうと馴染みやすいかもしれない。
途中でアニメーションが入ったり、劇中劇が始まったりするところも斬新!
時代劇でこんなに笑ったのは初めてかもしれないな。
配役も見事で、優香や高岡早紀がとてもキレイだったのも印象的。
最終回が近づくと、寂しさを感じるようになっていた。

友人Mのお勧め通り「ちかえもん」は非常に面白かったのである。
「ちかえもん」はSNAKEPIPEが持っていた「NHKの時代劇」という観念を完全に打ち崩すドラマだった。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも、すっかり松尾スズキのファンになってしまった。
友人Mに至っては、あまりにも「ちかえもん」を好きになり過ぎてDVD-BOXまで購入するほど!
一体何回観たんだろうね?(笑)

松尾スズキについては90年代からTV情報誌「TV Bros」の連載で名前だけは知っていた。
今調べてみると、連載していたタイトルは「お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!」だったね。(笑)
名前は知っていても、実際に松尾スズキ(当時は松尾すずき)が何をやってる人なのか、よく知らなかった。
少し調べてみようか。
1962年福岡県北九州市生まれ。
なんとROCKHURRAHと同郷じゃないの!
リリー・フランキーもそうなんだよね。
村上龍原作の「55歳からのハローワーク」が2014年にNHKでドラマ化された時に、二人共出てたっけ。
3年も前に観ているけれど、リリー・フランキーの回だけは明確に覚えているよ。
偏屈な感じの役だったせいもあり、その時点では松尾スズキに注目していなかったけどね。

松尾スズキの略歴に戻ろう。
1980年代後半に劇団「大人計画」を設立する。
「大人計画」からは脚本家としても有名な宮藤官九郎を筆頭に、阿部サダヲなど今をときめく俳優が多数選出されているね。
「大人計画」の社歌があったので載せてみよう。

「南平台じゃアイドル」のところで笑ってしまった。(笑)
松尾スズキについて知りたいと思ったら、まずは「大人計画」の舞台なんだろうね。
現在加入しているWOWOWでは「大人計画」の舞台も放映されているので、今度観てみようかな!

松尾スズキは劇団での活動以外にも俳優、小説家や映画監督としても活躍している。
出演している作品リストを見ると、意外と観たことがある映画にも出てるんだよね。
松尾スズキの場合は、印象的な脇役というイメージが強いんだけど、あまりにも観たのが昔過ぎて覚えてないよ。(笑)「ちかえもん」からすっかりファンになってしまった松尾スズキにまつわる映画やドラマを探し、鑑賞することにした。
その作品をいくつか紹介してみよう。

監督と脚本、出演もしている映画「恋の門」は2004年の作品である。
羽生生純の漫画が原作である。

「恋の門」の主人公、蒼木門を演じるのは松田龍平。
石を使って漫画を描く、という現代アートのような作品に真面目に取り組んでいる不思議な男である。
コスプレマニアで、同人誌で漫画を描いている証恋乃を酒井若菜が演じていて、この二人の名前を合わせると「恋乃・門」なんだよね。(笑)
かつては売れっ子漫画家で、今は漫画バーのマスター、毬藻田を松尾スズキが演じている。
初監督作品なのに俳優としての出番も多かったんだよね。
監督としての役割と俳優を最初から同時進行させるなんて、器用な人なんだねえ。
漫画がテーマなだけあって、映画には原作者である羽生生純本人やしりあがり寿、内田春菊をはじめとする漫画家が出演しているところも見どころ。
今は亡き忌野清志郎も出演していたね。
漫画が原作だと、どうしてもドタバタした感じになってしまうね。
ヴェネツィア国際映画祭に出品されたということだけど、どんな評価を受けたのかな?

続いての監督作品は2007年の「クワイエットルームにようこそ」である。
これは松尾スズキが自身の小説を映画化したもので、脚本も手がけている。
原作、監督、脚本の一人三役だね。
途中で踊るシーンがあったけど、その振り付けも担当だって。(笑)

フリーライターである主人公、佐倉明日香を演じたのは内田有紀。
薬とアルコールを同時に摂取したせいで、救急車で運ばれる。
着いた先は精神病棟、通称クワイエットルームであった。
ここは精神に何かしらの異常がある女性が収容されている病院で、映画の舞台なんだよね。

内田有紀の夫で放送作家の焼畑鉄雄を宮藤官九郎が演じている。
さすがに劇団「大人計画」つながり!
恐らく私服と思われるパンク色の強い身なりをしている。
宮藤官九郎が演技をしているのを見るのは、京極夏彦原作の「魍魎の匣」以来かな?
久保竣公よりは今回の焼畑鉄雄のほうが等身大だったろうね。
宮藤官九郎も監督作品あるよね。
少年メリケンサック」(2009年)や「TOO YOUNG TOO DIE!若くして死ぬ」(2016年)も観たっけ。
意外と邦画観てるなあ。(笑)

拒食症を患っている役どころの蒼井優は、このためにダイエットしたのかな?
本当に患者のように見えてしまったほど、リアルだったよ。
ゴス・ロリ・ファッションをしているので、余計に病気っぽかった。

「クワイエットルームにようこそ」では「おかしな人」がいっぱい登場するけど、やっぱり大竹しのぶの存在感はすごいね。
貴志祐介の小説が原作の「黒い家」(1999年)については、「好き好きアーツ!#14 貴志祐介 part1」で記事にしているSNAKEPIPE。
その時にも「見事な演技」と称した大竹しのぶだけれど、「近くにいたら怖い人」の系譜はここらへんから始まっているのかな。
先日鑑賞した「後妻業の女」(2016年)での主役も「はまり役」だったしね!
「クワイエットルームにようこそ」の中でも、タバコやテレフォンカードを「親切で」貸したりあげたりしているように見せかけて、後から取り立てる悪どい商法で稼ぐ女の役だった。
大竹しのぶの演技が自然過ぎて、「大竹しのぶ、怖い」と思ってしまうね。(笑)

続いて監督と脚本を手掛けた作品は、いがらしみきおの漫画を原作にした「ジヌよさらば〜かむろば村へ〜」(2015年)である。

2004年の「恋の門」に続いて、また松田龍平が主役なんだよね。

お金アレルギーになってしまった銀行マン高見武晴(松田龍平)は会社を辞め、お金を使わない生活をすべく東北の寒村に移住。
そこには謎めいた過去を持つ世話焼きな村長(阿部サダヲ)や、自ら神と称し周囲から人望のある老人(西田敏行)など、強烈な個性を持つ村人たちがいた。
一筋縄ではいかない彼らと向き合い自給自足の生活を目指すうちに、高見の生活は予期せぬ展開を見せるのである。
(Yahoo映画より引用)

「ジヌよさらば」では松尾スズキは俳優としても出演している。
監督、脚本、俳優とまたもや一人三役とはすごいよね!
映画では足の悪いヤクザという役どころ。
松尾スズキは声に迫力があるので、渋い役も合うんだよね。
NHKのTVアニメ「龍の歯医者」では声優もやっていたけれど、悪役が似合う野太い声で、すぐに松尾スズキだと分かったよ。
このブログの中で、一体今まで何回NHKと書いたかな?
NHK大好きって感じだよね。(笑)

原作の漫画と映画では、設定や展開は同じなんだろうか。
あらすじにあった「強烈な個性を持つ村人」の存在が面白いんだよね。
なんといっても「大人計画」所属の阿部サダヲ!
越してきた松田龍平の世話をするとはいっても、荷物を投げ飛ばして室内に入れるような乱暴者。
かなり暴力的な人物だけど、村長なんだよね。
この設定と阿部サダヲの演技がマッチしていたよ。

西田敏行も良い味出していたし、片桐はいりがハーレーを乗りこなしているのには驚いた!
ジャンプスーツが似合うほどの細身なのもびっくり。
顔だけ見てるとスレンダーな印象がなかったから余計だよね。

「ジヌよさらば」は漫画が原作だけど、処女作の「恋の門」のドタバタ感はなくて、非常に面白い作品だった。
「ジヌ」とは東北弁で「銭(ゼニ)」のことで、なまって「ジヌ」になったみたい。
幸せに生きていくことと、お金との関係について考えさせられる映画ということになるのかな。
あまり深く考えないでコメディ映画として鑑賞しても良いと思う。

今回は松尾スズキファンになったきっかけの「ちかえもん」から松尾スズキ監督作品3本についてまとめてみたよ!
実はまだ松尾スズキ関連作品は鑑賞しているので、part2を計画しよう!
次回はどんな松尾スズキに出会えるかな?(笑)