【DIC川村記念美術館行きのバス停を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
ROCKHURRAH RECORDS結成記念日がある10月には、毎年何かしらのイベントを考えている。
今年はROCKHURRAHから「川村記念美術館のマン・レイ展に行こう」と提案があった。
川村記念美術館、随分と久しぶり!
しかもマン・レイは大好きなアーティスト!(笑)
二つ返事で佐倉に行くことに決めたのである。
曇りや雨の日が続く10月の連休中にROCKHURRAHと佐倉に向かう。
今まではJRの佐倉駅だったけれど、今回は初めて京成佐倉で降りる。
美術館行きのバス乗り場は写真屋の前にポツンと立っていて、JR佐倉にある屋根付きのバス停とは違う趣きだよ。
京成のほうがマイナーなんだろうね。(笑)
実際このバス停で待っていたのはROCKHURRAHとSNAKEPIPEの2人、バスが来たら1人女性が乗り込んできただけだったから。
バスを待っている間、スズメバチか、と見紛うほどの大きさの昆虫が近くを飛び回り、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEを恐怖に陥れる。
ハンバーガー屋辺りを何度も徘徊していたので、餌になるような物があったのかもしれないね。
昆虫から逃げながらバスを待つこと約20分、ようやくバスがやってくる。
京成佐倉をスタートし、次に向かうのはJR佐倉駅。
2つの駅はバスで10分もあるほど離れているとは知らなかった。
そこから更に20分程ガタガタした道を走り、ようやく川村記念美術館に到着!
2014年11月の「五木田智央 THE GREAT CIRCUS」以来の来館なので、約8年ぶりだったとは。
ロスコ・ルームが恋しくなるはずだよ。(笑)
今回の川村記念美術館は「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」という企画展を開催している。
2010年8月に鑑賞した「マン・レイ展~知られざる創作の秘密」では、マン・レイの全貌を紹介していたっけ。
川村記念美術館ではマン・レイのオブジェに焦点を当てているところが珍しいよ。
「マン・レイって誰?」についても、2010年の記事で書いているので、今回は割愛!
詳しく知りたい方は過去記事を御覧くださいまし。
バスを降りてから美術館入り口まで庭園を歩く。
季節が良い時には、庭園の散策も楽しそうだよね!
入館すると1階のコレクションから展示がスタートする。
常設展から始まって、企画展に向かう順番なんだよね。
係の方に確認すると、展示品は全て撮影禁止だって。
以前は撮影していたこともあるので、アーティストによって対応が違うのかもしれないね。
川村記念美術館のコレクションは何度観てもワクワクする素晴らしさ!
ジョセフ・コーネルの新たな作品が加わっていて、「コーネル・ルーム」を鑑賞できて嬉しい。
念願の「ロスコ・ルーム」は、いつ訪れても全身が震えるほどの歓喜に包まれる場所だよ。
神社に似た静寂と荘厳さの入り混じったような、特別な空気なんだよね。
SNAKEPIPEにとって、まさに聖地と言えるのかもしれない。
世界に3つしかない「ロスコ・ルーム」だけど、他の2つにはどんな作品が収蔵されているんだろう?
調べてみるとロンドンのテートはピンク・赤・グレーが中心の作品で、ワシントンのフィリップス・コレクションではオレンジが主体となった上下2分割の作品が多いようで。
SNAKEPIPEの好みは川村記念美術館のロスコ・ルーム!
色彩も展示方法も、鑑賞できるベンチの配置も全てperfect!
日本に「ロスコ・ルーム」を作ってくれて、本当にありがとう!(涙)
興奮冷めやらぬまま2階へ。
大きな窓のある気持ちの良い展示室に、一枚だけ大型の作品が展示されている。
今まで観たことがない作品だよ。
どうやらこれは、前回の企画展「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」の時に展示されていたジュールズ・オリツキーの作品「高み」とのこと。
マーヴィッシュ夫妻の所蔵らしいので、まだ返還されていなかったために鑑賞できたとはラッキー!(笑)
靄のような、なんとも言えない淡い色彩と、下方にあるラスタ・カラーのようなはっきりした色調とのコントラストが面白い。
とても気に入った作品だよ!
いよいよマン・レイの企画展へ。
撮影は禁止で、更に作品リストもない展覧会は珍しいかも。
川村記念美術館のサイトや、おぼろげな記憶をたよりに感想を書いていこう。(笑)
そのためブログに載せた画像は、SNAKEPIPEの撮影ではないんだよね。
今回の企画を思いついたのは、画像の「ニューヨーク」という作品を川村記念美術館が所蔵したことに拠るのかな、と推測する。
万力に鉄を挟み込み、林立するビルを表しているように見えるよね。
マン・レイのオブジェは、割と簡単な材料で制作されていることが多いので、親近感がわくよ。
写真でしか観たことがなかった「贈り物」。
アイロンに鋲が貼り付けられている、これも単純な仕掛けなのに、存在感は抜群!
鉄の塊のようなアイロンの形状も素敵だけど、パンク魂を感じる逸品だよね。
皮肉とカッコ良さやユーモアもある作品は、1921年の制作だというから、まさにシュルレアリスム真っ盛りの時期だよね。
およそ100年前に、この作品を発表したマン・レイは他のシュルレアリスト達から喝采を浴びたことは間違いないね。
「破壊されざるオブジェ」も有名な作品だけど、5作品並んで展示されていたことに驚く。
複数あるとは知らなかった。(笑)
メトロノームはそれぞれ違っていて、更に貼り付けられている目の写真も違っていたよ。
光の反射によって目が閉じたり開いたりする仕掛けのタイプもある。
調べて知ったけど、これはレンチキュラーシールというらしいね?
子供の頃はキラキラシールで見たような気がするよ。
今回のポスターに使用されていたのは八王子にある東京富士美術館収蔵作品だという。
日本にも「破壊されざるオブジェ」があるとは知らなかった。
これも嬉しい発見だね!
「ブルー・ブレッド」は、その名の通り青く塗られたフランスパンが秤に乗っている作品なんだよね。
またもや2つの組み合わせで制作のオブジェだけど、インパクトは強烈。
青いパンはまずそうで、とても食べられないよね。
でも秤にはバランス良く乗っている。
何かの比喩だったり洒落や皮肉が効いた作品なんだろうね。
あまり意味は考えなくても良いのかもしれないけど?(笑)
ウッド・ベースのヘッド部分に馬の毛を付けた「エマク・バキア」。
ほとんどのオブジェは、いわゆるレディ・メイド、既製品にプラスアルファした作品だったよ。
シュルレアリスムというよりはダダイズムになるのかも。
写真などをコラージュした2次元の作品が有名だけど、マン・レイの場合は3次元の立体だった、ということだからね。
「エマク・バキア」というタイトルはマン・レイが制作した実験映像にも使われていたよ。
バスク語で「一人にしておいて」、意訳すると「ほっといて」ということらしい。
意図は不明だけど、「エマク・バキア」という響きは良いね。
マン・レイの映像作品も会場で観ることができたよ。
YouTubeにあったので載せておこう。
「The Return To Reason(1923年)」は日本語訳にすると「理性への回帰」だって。
光と影の実験映像、とてもカッコ良い!
この映像を観て思い出したのが、2016年9月に鑑賞した「トーマス・ルフ展」。
トーマス・ルフは写真を使用した現代アーティストなんだよね。
マン・レイからヒントを得たフォトグラム・シリーズもある。
画像は、以前のブログにも載せたSNAKEPIPE撮影のもの。
マン・レイの影響を受けながらも、更に発展させているのが分かるよね。
この作品も、とても好きだよ!(笑)
オブジェ以外にも写真や絵画なども展示されていた。
2010年の国立新美術館では、有名な写真がほとんど展示されていなかったので、少し不満が残ったんだよね。
川村記念美術館では「涙」や「アングルのヴァイオリン」などの展示もあり、マン・レイの全体像を知ることができた。
本や雑誌で知っていても、やっぱり展示品として観たいからね。
川村記念美術館のセレクション、とても良かったよ!
ミュージアム・ショップでROCKHURRAHがフランク・ステラのTシャツをプレゼントしてくれる。
他では見たことがないオシャレなタイプで嬉しいよ。
ありがとう、ROCKHURRAH!(笑)
ROCKHURRAHもサイズ違いで購入したので、ペアルック。
一緒に着ることはないと思うけど、記念になったね。
バスを待つ間、少しだけ庭園を歩いてみる。
画像を観ても分かる通り、この日はとても寒かったんだよね。
素敵なお散歩というよりは、我慢大会のようになってしまった。(笑)
また季節の良い時に、ロスコ・ルームに行きたいな。
次回はお弁当持参で、庭園でくつろぎたいね!