Holidays In The 散歩 ファーレ立川

20231126 14
【立川市公認なりそこねキャラクター「ウドラ」と公認キャラクター「くるりん」を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

社会人になってから、共通の趣味を持つ友達を作るのって難しいよね。
個人的な話をすることも少なくなっているし。
SNAKEPIPEが以前から知っていた女性からナンパされ(笑)、一緒に飲みに行ったのが今年の3月。
女2人の飲み会は大いに盛り上がり、「現代アート好き」という共通の嗜好が発覚!
それ以来、展覧会情報を交換するなど親交が深まっている。
彼女の名前は友人Hとさせてもらおう!(笑)

ROCKHURRAH RECORDSの移転に伴う作業が一段落し、少し時間に余裕が生まれてきた。
そんな時、友人Hから「立川に遊びに来ませんか?」と誘いを受ける。
立川は友人Hのホームタウンなんだよね。
そして「パブリック・アートがたくさんある」というのである!
かつて「鳩ノ巣渓谷」や「高尾山」だったり、「横田基地」など西東京方面に行ったことはあるけれど、立川で下車したことはないSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHはかつて、友人を訪ねて遊びに行ったことがあるそうだけど、今から何十年前の話なんだろうか?(笑)

「立川 アート」と検索すると「ファーレ立川アート」がヒットする。

イタリア語の「FARE(創る・創造する、生み出す)」に立川の頭文字“T”をつけた「ファーレ(FARET)立川」にある、
世界36か国92人の作家による109点のパブリックアートです。(公式サイトより)

えっ!パブリック・アートが109点!
友人Hと日取りを決め、ROCKHURRAHと共に立川に向かったのである。

パブリック・アートは屋外展示のため、雨天での鑑賞だと厳しいはず。
日頃の行いが良かったのか、この日は「季節外れの暖かさ」になるという予報だった。
立川までの電車内には強めの空調が入っていて、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは体が冷えてしまったよ。
もう少し着込んでも良かったかもしれないね。
そして立川に到着!

「ファーレ立川」は北口にあるという。
改札を抜けて北口方面に歩き始めてびっくり。
ルミネがある!
伊勢丹がある!
高島屋SCまである!
モノレールも走っている!(笑)
道が広いので、人の多さが気にならない。
立川って都会だわ〜!
かつて府中や町田に行った時にも、SNAKEPIPEの勝手な想像を遥かに超えた都会ぶりに驚いたけれど、立川は更に素晴らしいね。

立川すごいね、などと話ながらROCKHURRAHと歩いていると、目に入ってきたのがこれ。
「ファーレ立川は、1994年10月13日に、立川駅北口の米軍基地跡地に誕生したホテル、デパート、映画館、図書館、オフィスビルなど、11棟の建物からなる5.9haの街です。(公式サイトより)」
ということは、5.9ヘクタールの敷地内にアート作品が点在してるんだね!
ゆっくり歩いて作品巡りをしてみよう。

これは宮島達男の作品では?
光っていないと数字の「8」がたくさん並んでいるようにしか見えないよね。
「Luna」というこの作品は、夜になるとピンクとグリーン色の数字が点滅し、カウントダウンを繰り返すという。
夜にならないと鑑賞できない作品もあるんだね。
いつかリベンジしようと強く心に誓うSNAKEPIPEだよ。(笑)

2020年1月に「収集狂時代 第14巻 高額アート編#03」で97億円もの高値がついた記事で紹介したロバート・ラウシェンバーグの作品も展示されていたよ!
「自転車もどき VI」と題された作品で、こちらも夜になるとネオン管が光るんだとか。
日中は完成した状態が観られないとは、とても残念!
この作品もリベンジしないと。(笑)

毎朝テレビで箱根彫刻の森美術館のCFを観ていて、その中でも紹介されているニキ・ド・サンファル。
彫刻の森では「ナナ」という巨大な女性像が展示されているんだね。
いつか箱根にも行ってみたいなあ。
立川ファーレにもニキの作品があったよ。
「会話」とタイトルが付けられた2人が座れるベンチなんだよね。
蛇の装飾がカラフルでキュート!
ここに座っておしゃべりしたら楽しそうだよね。
こうした作品が路上に置かれてるのってすごいよ、立川!(笑)

「これはっ!」
思わず声を出してしまったSNAKEPIPE。
植松奎二の「浮くかたち-赤/垂」は、まるでロシア構成主義のグラフィックを立体にしたみたいじゃない?
例としてエル・リシツキーの作品を載せてみたけど、雰囲気近いよね?
植松奎二は日本とドイツを拠点に活動しているんだとか。
バウハウスの影響も受けているだろうと推測する。
ロシア構成主義もバウハウスもROCKHURRAH RECORDSの大好物。(笑)
今回初めて知ったアーティストなので、もう少し詳しく知りたいと思ったよ!

そろそろ友人Hとの待ち合わせ時刻が近づいてきた。
地元民である友人Hが、お勧めのタイ料理屋さんに連れていってくれるというのである。
北口から駅に戻り、友人Hと合流する。
お顔立ちが華やかな友人H、目立つ色の服や小物が良く似合っていたよ!
ROCKHURRAHと友人Hは初対面だけれど、何の違和感もなくすぐに慣れていて良かった。(笑)
タイ料理屋は、雰囲気も良くてとても美味しかったよ!
次は違うメニューも食べてみたいな。

ランチの後、近くのレコード屋を散策する。
立川には映画館や本屋が複数あって、レコード屋まであるとは!
文化レベルの高さが羨ましいね。

アニッシュ・カプーアの作品も展示されていたよ。
「山」という、そのままズバリのタイトルが付いているけれど、素材は鉄なんだよね。
等高線を基に立体にしたような幾何学的な造形にしている。
クローズアップにして部分だけを観ているとJoy Divisionの1stアルバム「Unknown Pleasures」を思い出してしまった。(笑)
カプーアの作品は、雨風にさらされることで作品が変化していくんだろうね。

カプーアに続き、ここからは鉄を素材にした作品を紹介していこう。
ブルガリアのゲオルギー・チャプカノフは、立川の鉄屑屋さんから昔使われた農機具の残骸を収集し、それを使って作品制作をしたという。
最初に観た羊(画像上)にグッとくる。
頭部にネジみたいなパーツが貼られているところが気に入ったよ。
下の犬もロボット犬みたいで、とても可愛い!
庭に飾りたくなるほどだったよ。(笑)
チャプカノフの作品は、もう一点「馬」があるようなので、次回は是非見逃さないようにしたいね!

不思議な形に惹かれて近寄ってみる。
鉄にペンキを塗っているのかな?
かなり乱暴に筆を使っているのでPUNKっぽくてカッコ良い。(笑)
ROCKHURRAH RECORDSの事務所にも取り入れてDIYやりたいね、などと話す。
これは彦坂尚嘉の「母と子を殺した父親のようなもの」「父親に殺された子を受精させた父親のようなもの」という不穏なタイトルが付いた作品。
経歴を調べると「現代アーティスト、詩人、ノイズ音楽家」とあり、1971年に開催された個展のタイトルが「REVOLUTION」だって。
やっぱりPUNKな人なんだね。
気になるアーティストが増えて嬉しいよ!(笑)

スペインのジャウマ・プレンサも鉄を素材に使った作品だったよ。
観た瞬間に「男根崇拝系」と思ってしまった。
友人Hも同意してくれたので良かったよ。(笑)
書き込まれている文章の意味は分からなかったけれど、らせん状にアルファベットがつながっていてオシャレ!
上部に付いているペンチみたいな装飾も好き。
虎ノ門ヒルズにも大型作品が展示されているようなので、観てみよう。

ポーランドのタデウス・ミスロウスキーはロシア構成主義やシュプレマティスムの影響から幾何学的な作品を制作しているという。
鉄でできた作品を目にした友人Hが「ジャーマン・テクノのイメージ」と感想を言う。
一般人には出ないセリフだよね。(笑)
ミスロウスキーの作品は4点あったけれど、2点だけ画像を載せてみたよ。
骨太でシンプルなカッコ良い作品だった。

かなり歩いたので休憩しましょう、とお茶を飲む場所を探すことに。
立川ステージガーデンという3,000人を収容できるコンサート会場方角に歩いていく。
階段を上ると大きな広場に人が大勢集まっている。
覗いてみると、立川立飛杯という将棋のイベントが開催されていたんだよね。
小学生相手にレジェンドの棋士達が勝負をしてくれる「ぐるぐる将棋」の真っ最中だった。
そして画像は羽生善治!
友人Hから「立川に羽生さん来るんですよ」と情報は聞いていたけれど、まさか本物に出会えるとは驚いてしまった。
皆様がスマホを構えていたので、SNAKEPIPEも撮影させてもらっちゃった。
友人Hは「頭が良くなる!ご利益がある」と羽生さんの空気を自分に向けて呼び込んでいるし。(笑)
嬉しいハプニングだったね!

立川を歩いた「Holidays In The 散歩」、とても楽しかった!
都会的でアートな空間が広がる、素敵な場所に誘ってくれた友人Hに感謝だよ。
夜にならないと完成形にならない作品が他にもあるようなので、また行ってみたいね。(笑)

映画の殿 第60号 韓国ドラマ編 part15


【文中には登場しなかったけれど、個性的な面々がいたよね!】

SNAKEPIPE WROTE:

約4ヶ月ぶりに更新する「映画の殿 韓国ドラマ編」だよ!
事務所移転があったけれど、ドラマを観る時間は確保していたんだよね。
今回は4本を紹介していこう。

セレブリティ(原題:셀러브리티)」は2023年にNetflixで配信がスタートしたドラマ。
セレブとは全く縁がないROCKHURRAH RECORDSだけれど、観てみることにしたよ。(笑)
あらすじとトレーラーを載せてみよう。

かつては裕福な父の恩恵を受けていたソ・アリは父の死後、クリーニング店を営む母と共に貧しく暮らしている。
現在は化粧品会社で勤務しているが、元同級生のオ・ミネにインフルエンサー仲間のパーティーへ招待される。
やがて、アリは名声のためにインフルエンサー界に足を踏み入れるが、フォロワーの競争力が激しい狂気の世界だった。(Wikipediaより)

主役のソ・アリ演じるパク・ギュヨンは、今まで「サイコだけど大丈夫」や「スイート・ホーム」などで知っていた女優だったけれど、スタイルの良さに驚いた!
そして前回の最後に書いた「悪の華」で院長夫人だった女優が、ソ・アリの母親でクリーニング店を営んでいたよ。
たまたま観たドラマで役柄があまりにも違う場合があって困惑することがあるよね。(笑)

SNSでの話題やインフルエンサーなどにも興味を持たないSNAKEPIPEには、ピンと来ない部分も多かった。
誰かに憧れて、同じ商品を身に着けたいと思うことがないからね。(笑)
大衆のお手本となる人物が、いわゆる広告塔として収入を得るというのは、CFに出演してるのと同じ。
その手段がSNSに変化し、匿名で応援したり誹謗中傷しているところが問題点なんだろうね。
大昔だけど、「NEWS23」のキャスターだった故・筑紫哲也氏が
「インターネットなんて嘘ばっかりだから信用しない」
のような発言をしていた記憶があるよ。
情報の真偽を確かめるのは難しいけれど、うのみにするのは危険だもんね。
そんなことを改めて考えさせてくれたドラマだったよ!

「ブラッドハウンド(原題:사냥개들 2023年)」は、出演者が飲酒運転事故を起こしたために配信が遅れてしまったという「いわくつき」のドラマなんだって?
ドラマ鑑賞中には検索することがないので、初めて知ったよ。
ドラマとか映画では、出演者や制作側の誰か一人にでも問題があると全体に影響出て大変だろうね。
「ブラッドハウンド」では、女優が途中降板してしまい、ストーリーを変えて撮影終了したらしい。
ドラマを鑑賞している時に、「あれ?あの娘はどこ行っちゃったの?」
とROCKHURRAHと話していた疑問が解けたわ。(笑)

借金返済のために貸金業の世界に足を踏み入れたゴヌ、ウジンらが、かつて闇金業者のレジェンドと呼ばれたチェ社長と共に巨大勢力に立ち向かっていく…。
(WOWKOREAより)

ボクサーの2人組が、どんなに凶悪な相手にも拳だけで倒していくところは無謀だけれど、スポーツマン精神に則っていて素晴らしかったね。
2人ともスタントなしでアクションしていたのかな。
悪人役でよく見かけるパク・ソンウン、ここでも残忍な金の亡者で登場!
「空から降る一億の星」での良いお兄さん役があったことなんて忘れちゃうね。(笑)
うまい話なんてあるはずないのに、みんな闇金に騙されちゃうのが、見ていて歯がゆかったよ。
「ブラッドハウンド」は映画「ミッドナイト・ランナー」の監督であるキム・ジュファンの作品だったんだね。
シーズン2の噂もあるようなので、チェックしておこう。

お勧めの韓国ドラマ、と検索すると「キム秘書はいったい、なぜ?(原題:김비서가 왜 그럴까 2018年)」というパク・セロイが主役のドラマが上位に入っている。
ついパク・セロイと言ってしまうけれど、パク・ソジュンのことね。(笑)
どんなドラマなんだろうね?

大企業の副会長であるイ・ヨンジュンは眉目秀麗・頭脳明晰の完璧人間で、筋金入りのナルシスト。
そんな彼を秘書のキム・ミソは9年もの間支えてきた。
しかし、ある日突然ミソが仕事を辞めると宣言。
新たな人生を歩みたいというミソをヨンジュンはあの手この手で引き留めるが……。
(Wikipediaより)

ナルシストの男主人公といえば、「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜」で、チャおばさんことチャ・スンウォンが演じたトッコ・ジンに原型があるようじゃない?
パク・ソジュンもスタイル抜群なので、スーツ姿が決まっていたよ。
キム秘書役のパク・ミニョンがとても美しくて、こんな女性に秘書を務めてもらいたいと役職がある男性が願っただろうね。(笑)
SNAKEPIPEが気になったのはパク・ミニョンの同僚で副会長付属室課長役のファン・ボラ。
「バガボンド」や「サンガプ屋台」にも出演していたようだけど、「キム秘書は〜」での存在感は抜群でファンになったよ。
ファンのファンって?(笑)

「マスクガール(原題:마스크걸 2023年)」は全7話で、ウェブトゥーンが原作のドラマ。
この画像を見ただけでも怪しげで「面白そう」と感じるよね!
あらすじを書いてみよう。

自分の外見にコンプレックスをもつ会社員が、マスクで顔を隠してインターネットのライブ配信を開始。
だが、次々と降りかかる不幸な出来事により、その人生は思わぬ方向に転がり始める。
(Netflixより)

昼間は普通のOLとして勤務し、夜はマスクをつけてインターネット配信し、人気者になる主人公、キム・モミ。
ナイスボディとダンスには自信があるんだよね。
マスクとウィッグで別人に変身し、二重生活を送るところが面白かった。
一番最初に書いた「セレブレティ」同様、どこの誰か分からない匿名の人物からの称賛でも、キム・モミには励みになったんだろうね。
話は回を重ねるごとに主人公が変わっていく。
マスクガールと関わりになった周りの人々のその後を描いているんだよね。
1話目がショッキングだったので、徐々に失速していく感じがしたのはSNAKEPIPEだけ?
大好きな女優、ヨム・ヘランが出演していて嬉しかったよ!

今回紹介した4本のうち「キム秘書はいったい、なぜ?」以外は、韓国(に限らず?)の闇部分に焦点を当てた社会派のドラマだったね。
ウェブトゥーンが原作のドラマが多いので、漫画も読んでみたくなったよ。
次回の韓国ドラマ特集もお楽しみに!

テート美術館展 鑑賞

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【いつも通り国立新美術館の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2023年8月に鑑賞した「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」の別会場で開催されていたのが「テート美術館展」で、「この夏に行われるビッグ・イベントを一日で消化してしまうのも惜しい」という理由により、会期が長い「テート美術館展」を先延ばしにしたんだよね!

9月になったら少しは涼しくなるだろうという予想は裏切られてしまった。
新居でのペンキや漆喰を塗り終えてから、六本木に向かう。
こんな体力が残っているうちは、まだまだ大丈夫だね。(笑)
気温が下がらず、暑さが残っている。
7月から開催している「テート美術館展」の客足は落ち着いているかと思いきや、チケット売り場には列ができていたよ。
「蔡國強展」に来た先月のほうが空いてたのかもしれない。

「テート美術館展」は、「テート・ブリテン」「テート・モダン」「テート・リバプール」「テート・セント・アイヴス」という4つのイギリス国立美術館が所蔵している7万7千点以上の作品から、「光」をテーマにした120点を観ることができるという。
撮影は一部作品を除いてオッケーとのこと。
気になる作品を撮らせてもらおう!(笑)

展覧会は7つのチャプターで構成されていた。
「Chapter1 精神的で崇高な光」で気になったのは、ウィリアム・ブレイクの作品だよ。
2011年12月に上野の国立西洋美術館で版画展を鑑賞したっけ。
今から12年も前のこととはびっくり!(笑)
今回展示されていたのは「アダムを裁く神」で、1795年の作品だって。
炎をバックにした神の姿が印象的だね。

ターナー賞でおなじみのジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの作品も4点展示されていたよ。
ほとんど抽象画のようにみえてしまう「湖に沈む夕日」は、1840年頃の作品だという。
淡い色使いと、クローズアップにした構図が特徴的。
心象絵画みたい、という感想を持ったSNAKEPIPE。
イギリス在住のアーティストに贈られるターナー賞で名前が有名だけど、ターナー自身の作品は、ほとんど知らなかったので、今回鑑賞できて良かった。

「テート美術館展」は、予想以上にお客さんが多く、展示作品の前を列になって順番に鑑賞していく人がほとんどだった。
いわゆる印象派のような落ち着いた作品は飛ばして、興味がある現代アートに近い方向まで「流し見」することにしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
牛歩が苦手なんだよね!
「Chapter5 色と光」で足を止めたのがペー・ホワイトのインスタレーション「ぶら下がったかけら」。
2004年の作品だという。
色とりどりの「かけら」がキレイで、影の形も面白かったよ。

モホリ=ナギやカンディンスキーをはじめとするバウハウスに関連する作品すべてが撮影不可!
ハナヤ勘兵衛、ルイジ・ヴェロネージ 、ケペシュ・ジェルジらのフォトグラムや実験写真が素晴らしかったのに残念だよ。
マーク・ロスコも駄目だった中で、オッケーになっていたのが画像を載せたリヒター。
タイトルは相変わらず「アブストラクト・ペインティング」だね。(笑)
色合いと雰囲気が2022年7月に「ゲルハルト・リヒター展」で鑑賞した「ビルケナウ」に似ていたよ。
暗い色調に惹かれるんだよね。

左はスティーヴン・ウィラッツの「ヴィジュアル・フィールド・オートマティック No.1」で1964年の作品。
長方形の四隅に配置された赤、青、緑、黄色がランダムに発光する仕組み。
少し待って3色が光るところを撮影したよ。(笑)
コンピューター・アートの先駆け的な作品になるのかな?
右はデイヴィッド・バチェラーの「ブリック・レーンのスペクトル 2」で、2007年の作品だという。
高さが7m以上あるので、全体を鑑賞するためには、かなり後ろに下がる必要があるよ。
意味が分からなくても、印象に残る作品だね!

観ているとトリップしそうになったのがピーター・セッジリーの「カラーサイクル III 」。
動画撮影は禁止だったので、Youtubeの映像を載せようか。

頭の中がぐるぐるしてきちゃうよね。
1970年の作品なので、時代的にもサイケデリック・アート全盛だったのかも?

鑑賞するのを楽しみにしていたジェームズ・タレルの「レイマー、ブルー」は撮影禁止!
こちらもYoutubeの動画にしてみよう。

陳腐な言い方だけど、SFの世界に迷い込んだような、もしくはあの世に行ったような感覚に陥ってしまう。
隣にROCKHURRAHがいなかったら、自分の存在すら疑いたくなるほど。
なんとも言えない崇高で精神的な空気感が漂う。
こんな作品を1969年に発表しているタレル、恐るべし!
もっとタレルの作品観たいな。

2020年9月に「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」を鑑賞したことを思い出した。
会場が大混雑して、チケットを購入するための行列に並んだっけ。
オラファー・エリアソンは、非常に人気があるアーティストで、今回の展示も大盛況だったよ。
恐らく鑑賞した人の全員が「キレイ」と感じて、撮影したくなる作品なんだよね。
毒気がある作品を好むSNAKEPIPEには、少し物足りないかもしれない。

会場を出て、ミュージアム・ショップに向かう。
図録とグッズをチェックするために、必ず展覧会後には立ち寄ることにしてるんだよね。
ショップに入った瞬間、SNAKEPIPEの目を釘付けにしたのが、謎のポーチ。
なんだこれは!と衝撃を受けてしまった。
説明を読むと、どうやらウィリアム・ブレイクの「善の天使と悪の天使」をモチーフにしているという。
今まで色んなグッズを目にしてきたけれど、こんなにヘンテコなのは初めてだよ!(笑)
これは絶対に欲しいと手にしていたら、ROCKHURRAHがプレゼントしてくれると言う。
ありがとう、ROCKHURRAH!本当に嬉しいよ!(笑)
レジを待つ行列に並び、他の人が何を買うのか見ていたけれど、このポーチを買う人は一人もいなかったよ。

念願だった「テート美術館展」に行かれて良かった!
イギリスの本家テートは、一体どんな雰囲気なんだろうね。
テート・モダンは入場無料だって。
一度行ってみたいよ!

好き好きアーツ!#59 HTコレクションより part3

20230917 04

【伯母が何枚も撮っていた夕日の写真】

SNAKEPIPE WROTE:

今週で最終回となる伯母の写真特集。
まるで写真家が撮影したようなショット集で締めくくってみよう。
きっと伯母本人は、たまたまシャッターを切っただけで、プロっぽく仕上げたつもりじゃないはず。
個人的な思い出の一枚だったんだろうけどね?

工場地帯を移した写真。
まるでアンドレイ・タルコフスキーの映画みたいじゃない?
恐らくバスか電車の中から撮影したように見えるよ。
インダストリアル好きのSNAKEPIPEには、グッときた一枚。

カラーのフィルムにはよくあった赤く焼けた写真。
デジタルになってからは見かけなくなったのは当たり前。
これはカメラに何かしらの光が入ったせいで、フィルムが感光したのが原因だって。
伯母は電柱をモチーフにしていることが多いんだよね。
惹かれるものがあったんだろうね。
写真的には失敗なんだろうけど、フィルムで撮影した写真ならではの味わいがある一枚だよ。

1970年代に始まる「ニュー・カラー」と呼ばれる潮流がある。
例えば2010年8月に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore」などの写真家が有名なんだよね。
色使いが独特で、初めて観ても「懐かしい」と感じてしまう写真。
影のバランスも抜群だよ。

色褪せたカラー写真を作ろうと思ってもなかなかできないよ。
伯母の写真特集は一切加工することなく、スキャンしただけの写真を載せているので、この色合いでアルバムに貼られていたんだよね。
70年代に、アメリカのディズニーランドに行ったようで、その時に撮影されたみたい。
なんとも言えないノスタルジックな一枚だよね。

ここからは、まるで写真家の藤原新也の写真集に収められているかのような写真を載せていこう。
霧の中にぼんやりと浮かぶ街並みは、まるで映画の一コマのよう。
建物の窓を開けて撮影されたみたいだね。

神々しく光を放つ雪山。
空の藍色との対比が美しい。
満州育ちの伯母やROCKHURRAHの母は、寒さに強かったみたい。
これくらいの雪なんてへっちゃらだったのかも?

自宅で咲いた花なのか。
ピンボケ具合が素晴らしいんだよね!(笑)
上の2枚と合わせると、藤原新也の写真に見えてしまうのはSNAKEPIPEだけ?
花が好きだった伯母は、何枚も写真に記録を残していた。
その中で奇跡の一枚がこれ。
伯母本人からすると、失敗作なのかもしれないけどね?

最後はこちら。
この写真も「メメント・モリ」に含まれていても違和感がない一枚だよ。
ピンボケの雲と水面に映る光が、この世とは思えない。
じっと観ていたら、写真の上下が逆さまだと気付く。
不自然な印象を持ったのは、そのせいかもしれないね?
伯母が撮りたかったのは、雲と光なので幻想的な一枚として、このまま載せておきたいよ。

映画「ブレードランナー」の中で、レプリカントと呼ばれる人造人間達が、「自分は人間だ」と証明するために写真を所持しているエピソードがある。
子供自体の写真があるから、自分は人間に間違いないと主張するんだよね。
写真の持つ重要さにショックを受けたSNAKEPIPE。

3週に渡って特集してきた伯母の写真コレクションにも、「ブレードランナー」に似た存在証明としての意義を写真に感じたんだよね。
伯母は、どんな想いで、これらの写真を撮ったのか。
写真を観ながら冥福を祈りたいと思う。