ホドロフスキー監督来日!先行上映と講演会

【ホドロフスキー監督を撮影できるなんて大感激!でもピンぼけ!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

こんなことが本当にSNAKEPIPEに起こるとは、想像していなかった!
SNAKEPIPEの人生において、非常に重要な、ベストオブ2014に輝くであろうこと間違いのない信じられない経験をすることになるとは!
なんとも仰々しい文章から始まる今回のブログだけど、SNAKEPIPEの一生の記念になる出来事なので、大袈裟な書き方をしてしまうのも許して欲しいな!(笑)

長年来の友人Mから連絡があったのは一週間程前のことだ。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHも鑑賞した「驚くべきリアル」展に行ってきたという。
そしてそこで見つけたのが左のチラシだったそうだ。
なんと!
ホドロフスキー監督最新作「リアリティのダンス」の先行上映に加え、ホドロフスキー監督も来日して講演をするというではないか!
ええーっ、と慌てて予約できるサイトを確認すると、予約販売終了‥。 既に4月1日より販売されていたらしいので、当たり前だよね。
新作の鑑賞プラス監督にも会える機会なんて、そうそうはないもんね。

何度もこのブログでもホドロフスキーについては取り上げているし、リアリティのダンスが楽しみ!なんて書いていながら、そんな重要な情報を知らずにいたとは。
なんたる不覚!
もう販売終了してるみたいだね、と友人Mに返信する。
そうなんだ、残念だったねと慰められ、ガッカリしたままその日はふて寝した。

翌日またもや友人Mから連絡が入る。
なんと当日券販売があることを見つけてくれたのである!
先行上映会当日の午前10時より、若干の枚数だけの販売を行うという。
そしてその日友人Mは休日なので、チケット入手に協力してくれるという嬉しい申し出までしてくれるではないか!
もちろんお願いし、当日チケットが入手できることを祈る。

いよいよ当日。
前日までに友人Mとは打ち合わせを済ませ、万が一チケットを手にすることができた場合には、仕事を早退することなど打ち合わせておいた。
仕事中でも10時半には一度友人Mからの連絡を確認すること、など細かいところまで決める。

仕事が手に付かない程、ドキドキしながらその時間を待つ。
やめようと思いながらも、つい時計ばかりを気にしてしまう。
10時になった!
友人Mは大丈夫だろうか。
心臓の鼓動が更に速くなる。
時間の経過が遅く感じる。
ついに約束の10時半!
慌ててiPhoneのメッセージを確認すると、 取れたよー! と嬉しい文字が踊っているではないか!
やったー!
念願のホドロフスキーとのご対面と、新作の鑑賞ができる!
早速早退を申し出て、少し早めに友人Mと待ち合わせたのである。

夜遅くなることを見越して、かなり早めの夕食の後、会場である新橋のヤクルトホールに向かう。
チケットに記載されている整理番号順での入場になることは、事前に知っていた。
ヤクルトホール入り口には251~300などと書いてある立て看板がいくつか配置されてはいるものの、きちんと列を作って並んでいるわけではない。 200番までの人は入り口から中に入り、階段付近で待たされているらしいけれど、それ以降の番号の人は外で待たされている。
当日券だったSNAKEPIPEと友人Mは460番台で、立て看板すら用意されていないほど後ろの番号だった。
あいにくこの日は雨。
傘をさし、外でかなり長い時間待たされる。
案内が充分でないため、ヤクルトホール入り口付近の一般道は、待たされている客であふれ、通行人が大迷惑している。
ヤクルトホール、初めて行ったけど、いつもあんな感じなのかな?
近所の人達、イベントある度にイヤだろうな。

予定されていた開場時間18時ぴったりに、200番までの人達が入場していった。
上映時間は18時半からなので、これだけの整然としてない全員が時間内に着席できるのか心配になってしまう。
やっとSNAKEPIPEと友人Mの番号が呼ばれ、会場に足を踏み入れることができた。
良かった!(笑)

会場は1階と2階で区切られていて、2階は雛段のように傾斜がついた形式だった。
そのためかなり後ろの席でもスクリーンやステージを鑑賞することができる。
整理番号がかなり後ろだったSNAKEPIPEと友人Mは、2階の後ろから数えたほうが早いような、ステージからかなり遠い位置に着席した。
今回は満席のため、椅子に荷物を置かないで下さい、というアナウンスが流れている。
ヤクルトホールの座席数は550程度あるようなので、それが全て埋まるとはホドロフスキーの人気がよく解るね!

ここで恒例の観客チェック!
腕にタトゥーを入れた男性やダニー・トレホの写真にMacheteと書かれたTシャツを着た人が目に留まったくらいで、全体的にはかなり地味目。
年齢層はどちらかというも高めだったのかな。
若い人がいたとしても、あまり若そうにみえなかったってことだろうね。 友人Mが言うには、ホドロフスキーに関することなら一晩中でも喋り続けそうな、オタク系に見えるとのことだけど、実際はどうだろうね?

ほとんど遅れることなく、最初に映画の上映が始まる。
「リアリティのダンス」は既に原作を読んでいて、あまりの面白さに時間を忘れるほど引き込まれたものだ。
そのためホドロフスキーの子供時代のエピソードがどんな風に映像化されるのか非常に興味があったんだよね。
そもそも今までホドロフスキーの映画で、原作を読んでから鑑賞した経験ないもんね!

映画はホドロフスキーの生まれ故郷、チリにある片田舎トコピージャを舞台に、少年時代のホドロフスキーと両親との関係を描いている。
今までの作品と同様に、ホドロフスキーの実の息子達が俳優として出演している。
実際にはホドロフスキーの息子なのに、映画の中ではホドロフスキーの父親役、本人から見ると「おじいちゃん」を演じるとは、息子も不思議な感覚だっただろうね。
どうやらこの上映会では、一般劇場公開されるバージョンと違い、過激なシーンが含まれていたらしい!
多分「あのシーンかな」と予想しているけど、7月に一般公開版を鑑賞してから、その違いについて書いてみたいと思う。
ドキドキしながら鑑賞を始め、どんなシーンも見逃さないように、スクリーンを凝視したままの130分間!
原作と違うところもいくつかあったけど、ホドロフスキーらしい仕上がりに大満足だった。
欲を言えば、少年時代以降の詩や演劇に関する話や、パリでアンドレ・ブルトンに会った話、サイコマジックの話、夢の話など、興味深いエピソードが他にもたくさんあるので、「リアリティのダンス2」を監督してもらいたい!(笑)

上がホドロフスキー監督来日のメッセージ。
この情報、2013年の12月だって。
気付いてなかったとは迂闊だよね。

映画上映終了後、いよいよホドロフスキー監督のお出まし!
全身を白一色でまとめたファッション。
撮影オーケーとのことなので、SNAKEPIPEも遠くから撮影してみたのが一番上の画像。
こんなことなら一眼レフを持っていくんだった!
いや、ご対面できただけでもありがたいよね。(笑)

司会の女性から映画についてのコメントを求められると
・映画について語る気はない
・鑑賞した個人で考えてもらえば良い
・早くタロットやろうよ
と言うホドロフスキー監督。
これには大笑いしてしまった。(笑)
いえいえ「講演会」と謳ってますのでお願いします、と引き下がらない司会。
渋々語り始めたホドロフスキー監督だったけれど、話しているうちにノリノリになってしまい、だんだん身振り手振りが大きくなってくる。
話も大きく広がっていって、ついには宇宙にまでいってしまった! (笑)
ここにホドロフスキー監督の情熱やエネルギーの源、若さの秘訣などがあると思った。
85歳にして、シャンとしてるし、声に力もあるしユーモアも混ぜて余裕があるんだもんね!

そして次に「人間タロット」を使ったタロットで答える質問コーナーが始まる。
「人間タロット」とは、看板ほどの大きさがある22枚の大アルカナを1人1枚持ち、会場にいる人に見やすいように掲げる人達のことである。
これも一番上の画像で確認できるかな?
質問がある人!との問いかけに大勢の人が手をあげる。
ではあなた、とホドロフスキー監督から名指しされたラッキーな方が数名いたんだけど、これらの観客の質問がなんともお粗末!
「君はもう席に着きなさい」
「タロット以前の問題だね」
ホドロフスキー監督もすっかり呆れてしまったのではないだろうか。
最後に質問をしたスペイン語を話す外国人の青年の質問だけが、ホドロフスキー監督の琴線に触れたようだね。
長年の首の痛みに悩まされている青年に対し、母親や姉との関係について質問をし、首の痛みの原因は母親が遠方にいるためだという結論を引き出した。
これはまさにサイコマジックの系統樹の話だもんね!
母親の代役を会場から探して、子守唄を歌ってもらい、青年を癒そうとしたり。
最もホドロフスキー監督が得意としている分野だから、司会が途中でお時間が、なんて声をかけてもタロットで占い続けてたもんね。(笑)
タロットの時間はこの青年だけでも良かったんじゃないかと思える程、濃密な時間だったし、サイコマジックを実際に見ることができて本当に嬉しかった!

1991年東高現代美術館で敬愛するデヴィッド・リンチ監督とのご対面に続き、2014年にアレハンドロ・ホドロフスキー監督とご対面できるなんて思っていなかった。
翌日友人Mも「昨日のことが夢みたい」と言っていたけれど、SNAKEPIPEもあまりにも嬉し過ぎて、どこかの神経が麻痺してしまったような感覚である。
脳の回路が1本必ずホドロフスキー監督につながったまま、という感じかな。(笑)
友人Mに感謝だね!

6月には「DUNE」、7月には「リアリティのダンス」が公開される。
鑑賞した後にまたブログに書きたいと思う。

時に忘れられた人々【17】ギター・ポップ編1

【クラスの中でも目立たないような子が今回の主人公】

ROCKHURRAH WROTE:

今年になって新しい企画を始めた関係なのか、過去のシリーズ記事が全然更新されてないという現状になっている。単に飽きっぽいだけなのか、本当に考える力が衰えてしまったのか?自分では後者だと思ってるんだけど、自覚症状まであるとは恐ろしい。

これじゃいかんと思って急遽書く事にしたのが元祖ROCKHURRAHのシリーズ記事「時に忘れられた人々」の新ヴァージョンだ。
うひょー、最後に書いたのが2012の12月だってよ。サボり過ぎ。

この企画は文字通り、時代に埋もれてしまったかに見える人々に焦点を当てた記事。温故知新と勘違いされやすいが本人には全然そんな気なくて、今でも覚えてる昔を昔のまま書いてゆこうという、ただそれだけ。
何度かこのシリーズ読めばわかるだろうが、過去にあった音楽(主に70年代パンクから80年代ニュー・ウェイブ) についていいかげんにコメントするだけという安易なものだ。

さて、その手の記事に出来そうな音楽ジャンルもそろそろ見当たらなくなったから、あまり面白いものじゃないけど今日はギター・ポップについてでも語ってみようか。

そんな音楽ジャンルが正式にあるのかどうかさえ疑わしいが、80年代ニュー・ウェイブの中でギターを主体としたシンプルなポップの事をそういう風に言い表すのだとROCKHURRAHならずとも想像出来るだろう。
そういう音楽はパンクやニュー・ウェイブ登場以前からもずっとあったんだろうが、人々がギター・ポップやネオアコなどと言い出した時代は1980年代初頭の頃。たぶんオレンジ・ジュースやジョセフK、アズテック・カメラなどのスコティッシュ系バンドがデビューしたあたりが起源とされている。何か「そんな」とか「そういう」という表現がやたら多いな。
パンクの時代のバズコックスやサブウェイ・セクトとかもギター・ポップの元祖的な音は出していたな。
実際のジャンルなんてどうだっていいんだが、いつもは脅迫的ノイズを出してるようなバンドがたまたまやったポップな名曲とかも広義のギター・ポップと言えなくはない。しかし今回はなるべく発表した曲の多くがギター・ポップに属すると思われるようなバンドばかりをピックアップしてみたよ。

Espresso / The Monochrome Set

70年代パンク・バンドが続々と2ndアルバムを出してた頃の78年には既に存在していたというモノクローム・セット、この手のギター・ポップの直接の元祖的存在はやはり彼らで決まりだろう。ここのヴォーカルはなぜだかインド系混血のBidという男。確かにエキゾティックな顔立ちだしインド人風にターバンをしている写真も見かけた事あったな。

彼らの1stアルバム「Strange Boutique」は渋い銀色に包まれたジャケットで海に向かってダイブしているモノクロ写真が印象的だった。ROCKHURRAHもどんな音楽か全然知らずにジャケット買いをしたんだが、それまで聴いてきたパンクや初期のニュー・ウェイブとは明らかに違ったキレの良いギター・サウンドが心地良い名盤。
いかにもニュー・ウェイブ初期のアートっぽいジャケットと音楽とのギャップが随分あり、「こんな音楽もニュー・ウェイブの一種なんだ?」と驚いた事を思い出す。どこかラテン風の音楽にあまり抑揚のないBidの声が妙にマッチしていて明るいのか暗いのかよくわからない。
確かにストレンジな音世界だな。

映像もあったんだけどひたすらに動かず表情もほとんど変えない淡々としたライブ、これでいいのか?と思えるほどサービス精神のないステージに唖然としたよ。今回選んだ曲は映像動いてないけど動いてるのと比べても大差ないからこっちにした。1st収録の名曲ですな。後のギター・ポップに影響を与えたかどうかは不明だけど、その先駆けとなった事は確か。

Never Understand / The Jesus And Mary Chain

80年代半ばのニュー・ウェイブ好き人間に大人気だったバンドがこのジーザス&メリーチェインだ。
全体的に黒っぽいスリムな服装(時々チェック・シャツ)にふわふわの前髪、この時代の少女マンガから出てきたような理想の少年っぽいルックスは特に女の子に大人気だったな。中心の2人はジムとウィリアムのリード兄弟だが、後にプライマル・スクリームで大成するボビー君もここの出身。

そういうチャラチャラした見た目とは裏腹に彼らは音楽界にちょっとした発明をもたらした。
ギターをアンプに近づけた時に発するフィードバック奏法というのがある。70年代のロックではジミ・ヘンドリックスなどによって広く知られていたが、これはあくまでステージ上でノッた時のノイズによるトランスというような意味合いで、このフィードバックが延々と続いた後ではもはやギターを壊すか燃やすというのが黄金パターン。
そうでもしない事にはそのカオスを収束出来ないという状態かも知れない。ロックの世界では効果音の域を出なかったものだ。

しかしこのバンドはそのフィードバックを多用してノイズではなくポップな音楽にこれを応用した。この曲「Never Understand」もギターは延々とフィードバック状態なのに曲は甘くてポップという珍しい世界。
発明というほどの大した事じゃないと考える人も多かろうが、これを聴いて「やられた、この手があったか」と思ったギタリストも数多くいたはず。
客席に背を向けて短時間で終わってしまうというライブ・パフォーマンスもつっけんどんだし、怒った観客の暴動の様子を録音して、レコードにしてしまうというのもちょっと現代アートとかでありそうな行為。

ギター・ポップという言葉から感じる「爽やかで等身大のポップ」というイメージとはちょっと違うが、これ以外の曲はとにかく甘いシンプルな曲が多く、やはりひとつの代表的な存在だとは思う。
その辺を強調し過ぎてどれも似たり寄ったりのワンパターン化して飽きられたが、手法としてはなかなか興味深いバンドだったな。

Crawl Babies / The Pastels

ネオアコ、ギター・ポップの初期はロンドンではなくてスコットランドのポストカード・レコード(レーベル)がシーンを盛り上げたのは誰もが言うところ。御三家は先にも書いたオレンジ・ジュース、ジョセフK、アズテック・カメラなんだが、彼らのヒットによってパンクやニュー・ウェイブの暗くて退廃的なイメージからもっと日の当たる健康志向の音楽にも人々が目を向けるようになったわけだ。

そんなスコットランドのエジンバラやグラスゴーでは80年代半ばからギター・ポップの中心となるようなバンドたちが続々と登場した。
80年代初期のネオ・サイケが流行った頃にマンチェスターやリヴァプールが音楽の産地となった時と似ているね。
どんなバンドたちがグラスゴーから登場したかを書いてると長くなるから省略するが、このパステルズなどはその代表的なもの。とは書いたものの1982年にデビューして以来、通常の音楽ビジネスでは考えられないくらいのスローペースで活動した零細バンド、とても代表的な行動などはしてないはず。1stアルバムを出すまでに何と5年もかかってるよ。それでも見放されない、いいなあ。

実際のところは全然知らないが、レコード屋勤務の若者が多少しっかりしたガールフレンドなどに支えられて何とか音楽を作ってる、というような印象をどうしても持ってしまう。それでもこのバンドのリーダー、スティーブン・パステルはある意味でのカリスマと言える存在らしい。

演奏もヴォーカルもよぼよぼで脱力感満載の代物。パステルズが始めたのかは知らないがこういう音楽を好む者達が着用してたのがアノラックというプルオーバー型のマウンテンパーカーみたいな代物。それでこういう傾向の音楽をアノラック系と言うようになったらしい。
こんなによぼよぼで下手でも音楽を作ってリリース出来るという事実が下手の横好き達に衝撃を与えたのか、その後パステルズに影響を受けたバンドが続々と登場して、そのおかげで「代表的」になってしまったわけだ。

とにかく脱力したゆるい音楽によって癒やされたいという人にとってはピッタリの音楽かも知れないね。しかし下手なだけでセンスもなければ良い音楽は作れないという事もわからなかった勘違いアノラック・バンドも多かったに違いない。こういう系列が一同に集まった音楽イベントとかあったら苦痛だろうな。

Every Conversation / The June Brides

あまり知られてないが、こちらもまた脱力系ギター・ポップの重鎮、ジューン・ブライズだ。1983年から86年くらいのごく短い期間に活動してリリースした音源も少ないし、ベスト盤とかも出てなくはないがどこの店でも置いてるという代物ではなさそう。要するに今回紹介した中では最もマイナーなバンドということね。

80年代初期のジョセフKについてはこちらの記事でも書いてるが、ジューン・ブライズほど彼らの影響を受けたバンドは他にいないだろう。
しかもその本家のファンが「ジョセフKにはもっとこうあって欲しい」と願った理想型のような音楽をジューン・ブライズは展開していた。個人的にはこっちの方が完成度は高いよ、と思えるほど。

メンバーもバンドっぽいところがあまり感じられない地味な見た目、ライブも内輪のノリといった学生バンド風の等身大なもの。要するに軽音サークルっぽい感じなんだろうな。
ポーグスのメンバーがいた事で知られる70年代パンク・バンド、ラジエーターズの「Enemies」とかもカヴァーでやってるけど、トランペットの素人っぽい響きが心地良いこの「Every Conversation」が一番名曲だと思う。途中の「ナナナ ナナナ ナ~ナ」という意味不明のコーラスも良いねえ。

このバンド、勘違いじゃなければ確か所属していたレーベルが2度も倒産して次の所属先を見つけられないまま解散したように記憶してる。やってる音楽もそんなにヒットを狙える類いでもないし、かなり不運のバンドだと言えるな。ROCKHURRAHも過去に所属していた店が3度も倒産しているが、それでも身を持ち崩さずに生きているから良かった良かった。

というわけで今回もたった4つしか書けなかったけど、まだ続きはありそうだね?次はいつになるかわからない脱力系のROCKHURRAHだが、またいつか会いましょう。

SNAKEPIPE MUSEUM #26 Carla Trujillo

【Carla Trujilloとは関係ないけどROCKHURRAH編集によるオートマタ動画だよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

人形と聞いてまず連想するのは、例えば江戸川乱歩の小説「人でなしの恋」である。
何かの代替品ではなく、完全に愛の対象として存在していた人形だ。
人形を恋愛対象にする小説を大正15年に発表していたなんて、さすが乱歩だよね!(笑)
この作品に近いのは湊かなえの「贖罪」にあったフランス人形かもしれないけど、乱歩ほどの純粋な変態性(?)は感じなかったなあ。
他にも押井守監督作品「イノセンス」で語られていた人間との区別がつかなくなった人形や、2013年3月に「野坂オートマタ美術館」で鑑賞した西洋からくり人形、そしてもちろんハンス・ベルメールの球体関節人形や四谷シモンの人形など、決して子供のままごと用ではない大人向けの人形も即座に脳裏に浮かぶ。
意外と人形を題材としたアートに関心を持っていることに気付くね。

今回のSNAKEPIPE MUSEUMは、コレクションしてみたい人形について書いてみようかな。
調べてみると、世界にはかなり多くの人形作家がいるんだね。
素朴な雰囲気のものから精巧なものまで、様々なタイプの人形が作られていることが判る。
そんな中、SNAKEPIPEの好みを探すのは難しかったな。
ファンタジー寄りだったり、アニメっぽいのは違うし。
秋葉原で見たようなラブドール系も違うし。
見た瞬間に「あ!」と思ったのが、アメリカの作家Carla Trujilloの作品だった。
この作家はいくつかHPを持っているようだけれど、自身についての詳しい説明はされていない。
オハイオ州シンシナティ在住の既婚女性で、ミクストメディア・アーティストというくらいしか判っていないんだよね。
作家のプロフィールはわからなくても、作品が気になったので紹介してみよう!


上の画像「Game Boy」が、最初に目に入った作品である。
顔はカワイイというよりは不気味で、どこかあらぬ方向を向いた怪しい目つき。
腕と手はバネでできていて、体も四角い箱でできている。
完全オリジナルのハンドメイドとのことなので、自作したパーツやアイテムを組み合わせて一体ずつ作っているようだ。
昔は大事に可愛がられていたのに、いつの間にか倉庫に置き去りにされた人形をリメイクしたようにも見えるね。
放置されていた時間の長さが、顔の汚れだったり、ちょっと拗ねたような雰囲気を醸しだしているのかもしれないな、と勝手に想像してしまう。
「僕はもう見捨てられた子なんだ」みたいな、ね。
実はCarla Trujilloの作品は販売されていて、この「Game Boy」は$180、日本円で約18,200円。
「GameBoy」は体長約26cmだって。
立たせることができるのかどうかも不明なんだけど、是非ともコレクションしてみたい作品だね!

次も不気味な顔立ちの作品である。
「Original Mixed Media Art Doll Coco」と書いてあったので、この子の名前はcocoちゃんみたいだよ。(笑)
cocoちゃんはとてもお洒落で、素敵なスカート穿いてネックレスして、飾りのついたトンガリ帽子までかぶっている。
それなのに何故か気分はブルーみたいだね?
うつろな目つきをして、頬も少しこけているみたい。
ずっと病院にいた患者が、外出を許可されたからお洒落してみたけど、実際には外に出るのが怖くてためらってるような感じかな?
えっ、SNAKEPIPEの考え過ぎ?(笑)
cocoちゃんのお値段は$240、日本円で約24,300円。
cocoちゃんの体長は43cmでちょっと大きめだね!
上の「GameBoy」と一緒に「あらぬ方向目つきコレクション」として、並べてみたいよね。

最後はこちら。
「MIxed Media Original – Lydia」と買いてあるので、Lydiaちゃんだね!
Lydiaちゃんもかなり個性的な顔立ち、びっくり眼で何かに驚いたまま、ずっと目を閉じないのかな。
Lydiaちゃんもとてもお洒落だけど、やっぱりどこかイっちゃってて、空想の中での食事会に出かけようとしているみたい。
手足が長いので長身に見えるけど、実際は34cmとのこと。
Lydiaちゃんは$160、日本円で16,200円。
3つ合わせて購入したら58,700円、SNAKEPIPEにも買えるかも!(笑)

人間の形を模した人型の人形は、何かしらの目的や意味を持って作られるものや愛玩用、観賞用と実に様々なタイプがある。
今回紹介したCarla Trujilloは、観賞用の人形作家ということで良いのかな。
顔があり、手足に相当するパーツが組み合わされると人形として認知してしまうことも改めて認識させてもらったなあ。
インダストリアルなパーツもどんどん使って、独自のスタイルで不気味な人形を作り続けて欲しいね!
Carla Trujilloは病んだ印象を持つ人形を多く作っている点が魅力的なんだよね。
天真爛漫で愛くるしい人形より惹かれてしまうのは、SNAKEPIPEの好みなんだろうね。
SNAKEPIPE MUSEUMでは人形作家についても調べていくつもり。
次はどんな作家に出会えるのか、今から楽しみだ。

ふたりのイエスタデイ chapter04 / 花見2014

【2014年の桜。SNAKEPIPE撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

毎年の恒例行事の1つがお花見である。
パンクだ、ロックだ、ミリタリーだ、と言いながらもこういう習慣を持つROCKHURRAH RECORDS、意外と風情を大切にしてるんだよね。(笑)
そして毎年どこにお花見に行こうか、弁当は何にしようか、などとルックスには似つかわしくない人並みの悩みを持っている。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEを知る人は、きっと驚くだろうね!

昨年のお花見は本当に寒かった、という印象しか残っていない。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、完全防備の冬支度で臨んだことを思い出す。
確か2人共、N3Bを着用し革パンを穿いていたっけ。
とてもゆっくりと桜を愛でる余裕はなくて、弁当を食べた後そそくさと逃げるように帰宅してしまった。
本当はその後に予定を立てていたけれど、あまりの寒さにギブアップしたんだよね。(笑)
とても辛い花見だったなあ。

その記憶が残っていたため、今年は近場の晴れたできるだけ気温の高い日が希望だったけれど、休みの関係で昨日になってしまった。
春は天気が不安定でやっぱりまだ寒いんだよね。
あんまり大げさにみえないようにしながらも実はたくさん着込んだので、寒さ対策は万全!
手軽に食べられる弁当を用意して、いざ出発だ。(笑)

SNAKEPIPEは、まるで山ガールのようなアウトドア系のファッション。
えっ?もうガールって年齢じゃない?(笑)
じゃあ最近は流行りものに「女」と付けるようなので、「山女」でどう?
ちなみに読み方は「やまおんな」じゃなくて「やまじょ」だよ! (笑)
そしてROCKHURRAHは、というと…。
今からライブ行くの?というほど、キメキメのファッション!(笑)
カッコ良いのは嬉しいけど、もしかしたらその服装で靴脱いで、青いビニールシートに座るんだよねー。
ビニールシートには似合わないだろう?(笑)
SNAKEPIPEは個人の意思を尊重するので、ビニールシートのビの字も言わなかった。
ところがROCKHURRAHからは
「その格好にしたんだ?もっとお洒落すれば良いのに」
と言われたSNAKEPIPE。
ガーン!ビニールシートには「山女」が妥当だよー!
そんなライブ系と山女が桜の咲く公園へと向かったのである。

今年は先週の月曜、火曜あたりの気温や天気が最も花見に適していたようだったね。
SNAKEPIPEは火曜日、勤務先近くの公園で昼休み中に桜を鑑賞。
この日は上着が要らないほどのポカポカ陽気、花見客も大勢いた。
その後週末にかけて強風が吹いたり、雨が降ったりと悪天候が続いたため、やっぱり行かれるのは昨日くらいのものか。
多少風があって寒くても、この日を逃したらもうチャンスはないという最後の日だね。
同じように思う人が多かったのか、目指した公園にも場所取りのシートが並んでいた。
少し早い時間に着いたためか、花見客はそこまで多くなかったのは良かったね。

公園内を散歩しながら今年の桜を撮影。
見上げて撮ることが多いので、どの年の桜も似た写真になってしまう。
少しでも違いを感じようとして、加工してみたのが上の画像。
今回この写真を使ったブログにしたのは、「一枚のレコード、または一枚の写真とかを選び、それについての思い出を語ってゆく」趣旨の「ふたりのイエスタデイ」にピッタリだから。
しかも写真撮ったの昨日だし!(笑)

空の青と桜のピンクの鮮やかなコントラストを区切るように桜の枝がにゅっと伸びている構図で、畠山直哉の「渋谷川」を彷彿とさせる出来栄えだね!(笑)
そして「ふたりのイエスタデイ」らしく、少し過去っぽくするため縁をぼかしてみた。
時間をおいて観たらきっと感慨深くなること間違いなし。
季節の風物詩シリーズも続けていくつもりだよ!