クリスチャン・マークレー とユージーン・スタジオ 鑑賞

20220102 top
【看板を撮影し忘れたので、フライヤーを載せてみたよ】

SNAKEPIPE WROTE:

あけましておめでとうございます。
皆様、お正月休みをのんびり過ごされていますか?

ROCKHURRAH RECORDSは、久しぶりに成田山新勝寺へ初詣したよ!
SNAKEPIPEは、成田山に行くと気持ちが引き締まるんだよね。
一昨年に違う神社を参詣した時には、湧いてこなかった感情だよ。
おみくじはROCKHURRAHが吉、SNAKEPIPEは初めて大吉を引いて嬉しかった。(笑)

さて、今年最初のブログは、昨年末に鑑賞した展覧会について書いていこう。
正月でも、いつも通りの展開だね。(笑)
鑑賞したのは東京都現代美術館で開催されている「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」と「ユージーン・スタジオ 新しい海」の2つ!
クリスマス過ぎの晴れて寒い日に、ROCKHURRAHと一緒に木場に向かったのである。

朝一番の時間に予約をしていたせいか、人が少ない。
混雑している展覧会ではゆっくり鑑賞できないので、とても良い環境だよ。(笑)
最初に「クリスチャン・マークレー」の展示から鑑賞する。
東京都現代美術館には珍しく、今回は一部を除いて撮影オッケー!
バシバシ撮影させてもらおうね。(笑)
まずはクリスチャン・マークレーについて、少し調べてみようか。

1955 スイス人の父親とアメリカ人の母親の間に、アメリカ・カリフォルニア州で生まれる
ジュネーブで暮らす
1975–1977 ジュネーブのエコール・シュペリエール・ダール・ヴィスエルに通う
1977–1980 ボストンのマサチューセッツ芸術大学で美術学士のBFA取得
1978 ニューヨークの相互関連メディアプログラムのスタジオ、クーパー・ユニオンで学ぶ
1979 ターンテーブルでスキップするLPレコードの通常のリズムを打楽器として使用する、最初のパフォーマンス作品を発表
1980- 即興の演奏のほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品で、美術の分野でも活躍する
2011 「ザ・クロック」(2010)で第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011)金獅子賞を受賞
現在も世界各国の主要な美術館での個展を開催するほか、音楽の分野でも重要な活動を続けている

スイスで育ったあと、アメリカで生活しているんだね。
現在はニューヨークとロンドンを活動拠点としているみたい。
いわゆるラップ音楽で使われているターンテーブルとは違って、打楽器としての役割をさせた初めての人物ということになるらしいよ。
理由は、なんとドラマーを探すことができなかったからというから面白いよね。(笑)
ソニック・ユースやジョン・ゾーン、大友良英など多くのミュージシャンと演奏や録音を行っているという。 
音を使った現代アート、どんな作品があるんだろうね?

会場に入ってすぐに展示されていたのは、床に直置きされたモニター12台。
「リサイクル工場のためのプロジェクト(2005年)」は、なんと東京で制作されたという。
工場内で作業中に響く音をリズムとして捉えてるんだよね。
やってることは70年代から80年代のインダストリアル系に近いのかな。
この手の音が大好物のROCKHURRAHは、この時点で興奮していたよ。(笑)
短いけれど動画を載せてみよう。

1984年の「ファスト・ミュージック」は、マークレーがレコードを食べる様子が映像化された作品。
ファスト・フードをもじったタイトルなんだろうけど、夢中になって食べまくってたよ。(笑)
80年代にこんなパフォーマンス・アートをやっていたんだね。
マークレーは学生時代、ヨゼフ・ボイスナム・ジュン・パイクがメンバーとされている1960年代から70年代の芸術運動「フルクサス」に興味を持っていたらしい。
その影響からなのか、そこまで難解なアートではないところも好ましいね。(笑)

SNAKEPIPEは「ビデオ・カルテット(2002年)」が最も印象に残ったよ。
あるテーマに沿った映画(映像)シーンをコラージュしていく作品なんだよね。
4つの大型スクリーンには、それぞれ別の映像が流れている。
例えば、画像は「NO」と叫ぶシーンだけを集めたところ。
左から2番めに、Sex Pistolsのジョニー・ロットンがいるよ。
「NO」の時にはやっぱり写っていて欲しい人物だよね!(笑)
およそ14分の映像作品だけれど、もっと長く感じる。
4つのスクリーンがあるので、4倍にあたる1時間ほどの映像を観た気分なんだろうね。
ありとあらゆる映像の網羅は、圧巻だったよ!
これだけの映像を集めるために、一体何本の映画を確認したんだろうね?(笑)

1979年から1986年に作られた「リサイクルされたレコード」は、複数枚のレコードをつなぎ合わせた、パッチワーク状態の作品なんだよね。
どうやらマークレーは、中古レコード屋で1ドル以下のレコードを購入し、作品にしていたらしい。
カラフルな見た目が楽しいし、実際にプレイヤーで音を再生したという。
どんな音か聴いてみたかったなあ!

1989年から90年にかけて制作された「アブストラクト・ミュージック」は、レコード・ジャケットの上にアクリル絵具で絵を描いた作品。
アブストラクトというだけあって、全て抽象画なんだよね。
使用しているレコード・ジャケットも、リサイクルしているようで、印刷されている文字の上に色を塗り、音楽のジャンルに匿名性をもたせることが目的だったとか。
ROCKHURRAHが書いているカテゴリー「ニッチ用美術館」でも、採用して欲しいジャケットだったよ。
ミュージシャンが分からない、というのは難しいのかな。(笑) 

複数枚のレコード・ジャケットをコラージュした「ボディ・ミックス」は1991年から92年の作品。
9作品が展示されていたけれど、全てが上半身男性で、下半身は女性というパターンだった。
観た瞬間に「ぷっ」と吹き出してしまう、面白い作品だったよ!(笑)
ガラスに反射して、自分や背景が写り込んでしまったため、比較的まともに撮影できたものを載せてみた。
黒い作品の場合は全滅だったね。
なんとか良い撮影方法はないものかね?

フランシス・ベーコン、もしくはデヴィッド・リンチを思わせる「コーラスII」は1988年の作品。
雑誌に載っていた写真を再撮影しているんだとか。
テーマは「聞こえない音楽」だって。
実際には聞こえなくても、記憶と照らし合わせて想像することができる、という意味らしい。
口の形だけで言葉や音を想像するのは、国籍も含めて個人差ありそうだね。

2018年から19年に制作された「叫び」は、日本のマンガからイメージを切り取り、コラージュして拡大した後、ベニヤ板に彫った木版画だって。
確かにマンガには「うおぉぉぉ」とか「とりゃーーーー」みたいな、叫ぶシーン多いよね。
実は説明を読まないで作品だけ観ていたので、木目はデザインされたものだと思っていたよ。
上の「コーラスII」同様、「叫び」も「聞こえない音楽」シリーズになるんだろうね。
マンガとコラージュと木版というミクスチャーが面白かった。

映像作品の「サラウンド・サウンズ」は2014年から15年の作品。
アメリカン・コミックによく出てくる効果音を表すオノマトペを抜き出し、アニメーションにしてるんだよね。
百聞は一見に如かず。
映像を載せてみよう!(笑)

「フェイス」は、コロナのため引きこもりを迫られたマークレーが制作した2020年の作品だという。
人間の顔がオノマトペによって隠されているというのが、怒りや不安の可視化を表していると説明文に書いてあるよ。
そう聞けば「なるほど」と思うけど、SNAKEPIPEは説明なくてもコラージュ作品として楽しんだよ!
不安というよりはポップな印象が強かったけどね?

続いて「ユージーン・スタジオ 新しい海」を鑑賞する。
ユージーン・スタジオという名前を聞いたのも初めてなので、調べてみよう。
1989年生まれの寒川裕人によるアーティスト・スタジオで、国際的に評価が高まっているらしい。
詳しい説明があまりなくて、寒川裕人以外にスタジオに所属しているのかなども不明!
作品も今回初めて鑑賞するので、知識ゼロのまま会場に入ってみる。
こちらもほとんど撮影可能だったので、たくさん撮影してきたよ。
今回はSNAKEPIPEの琴線に触れた、2つの作品だけ紹介しようと思う。 

会場入ってすぐに「ホワイト・ペインティング」シリーズという、真っ白いカンヴァスが展示されているのが目に入る。
説明聞かないと解らないタイプの作品なんだよね。(笑)
どうやら世界各国の人々が口づけたカンヴァスだという。
こういう観念的な作品も現代アートだけど、SNAKEPIPEは観た瞬間に「好き!」と思う直感的アートに惹かれる。
今回のユージーン・スタジオで好きだったのは「善悪の荒野」という2017年の作品。
燃えてしまった室内を構築していて、廃墟好きにはたまらないんだよね。
この作品、本当に燃やして作ったのかなあ?(笑)

もう一つは映像を載せようかな。

「ゴールドレイン」は金箔と銀箔の粒子が降ってくる、というシンプルな作品なんだよね。
2020年9月に鑑賞した「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」に展示されていた「Beauty」に似ていたよ。
とても美しい時間が経過していたね。

今回は2つの展覧会をハシゴしてみたよ。
クリスチャン・マークレーは、音楽(音)をテーマにしたコラージュ作品で、とても楽しかった!
現代アートにおける映像作品で、こんなに面白かったのは2011年に鑑賞した「ゼロ年代のベルリン展」でのミン・ウォン以来かも。(笑)
レコード好きのROCKHURRAHも大満足の展覧会だったよ!
ユージーン・スタジオは、ある程度勉強して、予備知識を持ってから鑑賞したほうが楽しかったのかもしれないね。

2022年もたくさん展覧会を鑑賞したいと思っているよ。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
 

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