映画の殿 第08号 ウィル・フェレル01

【「俺たちフィギュアスケーター」より氷上の男子ペア!】

SNAKEPIPE WROTE:

前回の「映画の殿 第7号」で、トホホな映画として「俺たちサボテンアミーゴ」について書いたことは記憶に新しいね。
その主演男優であるウィル・フェレルにとても興味が湧いたため、彼が出演している映画を調べることにした。
ウィル・フェレルが主演の映画には、「俺たち〜」という邦題が付けられていてまるでシリーズのように展開されていることが分かったんだよね!
当然ながら前回の「俺たちサボテンアミーゴ」もそのシリーズの中の1本ということになるんだろうね?
とは言っても、監督や配給会社が全て同じというわけではなく、共通しているのはウィル・フェレルが主役であるという点だけ!
恐らくウィル・フェレル関連を全て「俺たち〜」というタイトルで統一させてしまっているのは、日本だけなんじゃないかな?

せっかくなので他の「俺たち〜」シリーズも鑑賞してみようということになり、トホホな感覚をとことんまで追求することにしたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
B級、マイナー、アングラなんて言葉に反応する人なら、きっと同じように面白いと思うんじゃないかな?(笑)
「俺たち〜」シリーズの紹介は年代順ではなくて、SNAKEPIPEとROCKHURRAHが鑑賞した順番になっているので4649!

一番初めにご紹介するのは「俺たちフィギュアスケーター」(原題:Blades of Glory)である。
アメリカでの興行収入がディズニーを上回るほど大人気、日本でもみうらじゅん賞を受賞している2007年の作品である。
みうらじゅん賞受賞ということで、ある程度の傾向が解るよね?(笑)

簡単にあらすじを書いてみると、

フィギュアスケート界から追放された2人のスケーターが史上初の男子ペアを結成し、再び栄光を取り戻すスポ根コメディ

ということになる。
ウィル・フェレルは野性味あふれるセクシーさが売り物のチャズを、もう一人の主役である色白で金髪の美青年ジミーをジョン・ヘダーが演じている。
見かけも性格も対照的な2人が、特訓を続けていくうちにお互いを認め合い、友情へと発展していくというスポ根ではお馴染みのテーマが根幹にある映画なのに、どうしてここまでヒットしたのか?
それは鑑賞して解った。

 下ネタ満載の下品さがプラスされてるんだよね。(笑)
北朝鮮をネタにした、かなりどぎつい映像があったり。
国民性の違いなのかもしれないけど、恐らく日本での好き嫌いは完全に分かれてしまうタイプのギャグなのかもしれない。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHは涙を流して大笑いしてしまった。(笑)
どこまで本当にスケートができるのか不明だけど、ウィル・フェレルもジョン・ヘダーも本物のスケート選手に見えるんだよね。
きっとかなり練習したんだろうなあ。
そしてすっかりウィル・フェレルに魅了されてしまったのである。
これは他の「俺たち〜」シリーズも鑑賞しなければ!

 「俺たちニュースキャスター」(原題:Anchorman: The Legend of Ron Burgundy)は2004年の作品で「俺たち〜」シリーズの第1作目になるんだね。
「俺たちフィギュアスケーター」の衝撃から抜け切れていないまま鑑賞してしまったので、少しおとなしい印象を受けてしまったかも?
こちらも簡単にあらすじを書いてみようか。(allcinemaより引用)

1970年代のサンフランシスコ。
地元テレビ局の人気ニュース・キャスター、ロン・バーガンディは、おバカな仲間たちと街を闊歩し、何でもやりたい放題の 日々を満喫していた。
そんな中、キャスター志望の野心溢れる女性ヴェロニカが入社してくる。
間もなく惹かれ合うロンとヴェロニカ。
しかし、ヴェロニカがメ インキャスターに抜擢されたことをきっかけに、2人の間には亀裂が生じ始める。
それはやがて、ライバル他局のキャスターたちをも巻き込む激しいバトルとな り、収拾がつかなくなっていく。

最初に見た時にはウィル・フェレルだと判らなかったほど、ニュースキャスター、ロン・バーガンディに成り切っている。
口ひげもあって、いかにもアメリカの番組で司会をしている雰囲気。
どうしてそこまで人気キャスターなのか謎だけど、ウィル・フェレルが主演の映画の場合は「俺ってセクシー」と自画自賛する役どころが決まりのようなので、これで良いのかな。(笑)

この映画の中で特筆すべき点は、口を滑らせてしまったせいで、落ちぶれた生活を送っているロン・バーガンディがバーで酔っ払っているシーン。
なんとここのバーテン、我らがダニー・トレホじゃないの!(笑)
ちゃんとセリフのある役で、やっぱりかなりの存在感だね!
全然情報を知らずに鑑賞していたので嬉しかった!

そしてなんとこの「俺たちニュースキャスター」は続編が既に昨年アメリカでは公開されていて、2014年5月28日「俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク」という邦題でDVDリリースされるんだよね!
これも絶対観ないとね!(笑)

 「俺たちダンクシューター」(原題:Semi-Pro)は2008年の作品である。
えっ、まさか今度はバスケット選手?!
ウィル・フェレル、頑張るなあ。(笑)

1970年代、アメリカではNBAとABAの2大プロ・バスケットボール・リーグがあった。
過去にヒット曲を出したシンガーのジャッキー・ムーンは、 ABAのチーム「トロピックス」のオーナーであり、なおかつ監督兼選手だ。
試合前に歌を披露してショーアップするも、チームの試合成績と観客動員は悲惨な 状況。
ある日、ジャッキーはリーグの会合で、NBAに吸収合併される上位4チームを除き、ABAは解散と告げられてしまう。

あらすじにあった過去のヒット曲が「Love Me Sexy」というタイトルで、ウィル・フェレル本人が本当に歌ってるんだよね。

なかなかどうして!(笑)
歌手でもイケるんじゃないかと思うほどの歌声にびっくり!
お父さんの遺伝子受け継いでるんだねー!
そしてまたもや時代は1970年代という点にも注目。
きっとウィル・フェレルが好きなんだろうね?
そして定番の「俺ってセクシー」も健在。(笑)

 もう一点、SNAKEPIPEが注目したのは、「Hey Ya!」が大ヒットしたアメリカのヒップホップデュオ、OutKastAndré 3000がバスケットボールの選手として登場していたこと!
鑑賞後に調べるまでは全然気付かず、本当にバスケット選手が起用されていると思っていた。
ミュージシャンでありながら俳優もできて、バスケットも上手とは!
その姿はウィル・フェレルにも通じるよね。(笑)
そんな2人が同じチームに所属しているせいなのか、バスケットの試合前恒例のショータイムは、かなり気合が入っていたね。
このショーだけでもウケそうだけど、観客の本当の目当てはバスケットだもんね。(笑)

結局「俺たちダンクシューター」もスポ根物で、難題に立ち向かい克服していく、涙と友情の物語という点では他の「俺たち〜」シリーズと全く同じ展開だよ!
でもなんでだろう?
ウィル・フェレル、クセになる!(笑)

そして最後に2008年の「俺たちステップブラザーズ」(原題: Step Brothers)のご紹介。
SNAKEPIPEはてっきり今度は兄弟2人でステップを踏む、つまりダンス映画なのかと勝手に想像していたら、義兄弟の意味だったのね!(笑)

それぞれの片親同士が結婚したことから義理の兄弟となった、39歳のブレナンと40歳のデール。
親元で暮らして定職に就かず、経済的にも精神的にも自立できないまま育ってしまったダメ人間である。
大人げない言動で衝突を繰り返し、騒動を繰り広げていくさまを描いたドタバタ・コメディ。

ひゃー!
日本にも最近多いタイプと聞くけれど、アメリカにも親元を離れず自分の趣味のことだけに没頭している中年っているんだね!
わがまま言いたい放題、精神的には子供のままの中年ってどお?
そんな子供に育てた親が悪いのかもしれないけど、自立しようという気が全くなく親に頼りきっている人生って楽しいのかね?(笑)

 ウィル・フェレル演じるブレナンとジョン・C・ライリー演じるデールは、見ていて嫌になるほど甘えん坊の中年を見事に演じていたね。(笑)
中でも最も印象的だったのが、2人共が夢遊病のために部屋をメチャクチャにするシーン。
40歳をとうに過ぎている大人の男性2人が、子供のフリをして演じてるところが本気っぽくて怖かったなあ!(笑)

そんな子供じみたことばかりやっている2人が、将来に向かって歩み出すための手段として選んだのがブレナンの歌、なんだよね。
ああ、やっぱりウィル・フェレル相当喉に自信があるよね!
もしかしたらこれはポール・ポッツ のエピソードを少し取り入れてるんじゃないかな?
歌っていたのも「アヴェ・マリア」だったしね。
ウィル・フェレル、この歌も堂々と歌唱していて、素晴らしい!
そしてダメ中年男達も歌の成功がきっかけで、 人生が明るくなっていくハッピーエンドなんだよね。

「俺たち〜」シリーズはウィル・フェレルが脚本を手がけていることもあり、似た雰囲気の映画に仕上がっていることが多いみたい。
分かっていても、観たくなってしまう恐るべしウィル・フェレル効果!
何も知らないまま鑑賞してしまった「俺たちサボテンアミーゴ」をもう一度観たほうが良いかもしれないね。
ウィル・フェレルの魅力を知る前と後では、感想が違ってくるかもしれないし?
そして3日後に迫った「俺たちニュースキャスター」の続編も楽しみだ!
SNAKEPIPEは「俺たちフィギュアスケーター」の続編を希望したいんだけどね。(笑)

時に忘れられた人々【17】ギター・ポップ編2

【SNAKEPIPE作、ギター・ポップのポップアート。使ったギターは大好きなダンエレ】

ROCKHURRAH WROTE:

最近、週末に色んな予定が立て込んでいる事もあって、ブログを書くのも本当にギリギリの状態。今週もまた土曜日にいやな予定で半日が潰れてしまった。あーあ、やりたい事はちゃんと出来てなおかつ、ゆったりしたいよ。

さて「続きはありそうだね」などと前回の最後に書いたから今回もギター・ポップ編のパート2を書いてみよう。
ちなみにROCKHURRAHの言うギター・ポップと世間一般で言われているこのジャンルがちょっと違うかも知れないが、そもそも定義もないアバウトな音楽の世界、誰が書いても偏るのは当たり前だと思ってね。

Steaming Train / Talulah Gosh

ギター・ポップやネオアコは他のロックと比べると女性の比率が高い音楽だと思うが、そういうキュートなガール・ポップの中でも知名度が高いのが1980年代後半に活躍したタルラー・ゴシュだろう。たったの2、3年くらいしか活動してないにも関わらずインディーズ界での人気も高く、彼女たちから影響を受けたバンドも数多く出現している。
知名度が高いとは書いたものの、これはあくまでギター・ポップなどに興味を持った人の間でのみの知名度。一般的なロックの世界ではほとんど知られてないに違いない。

中心となるのは短髪でボーイッシュな美少女のアメリア・フレッチャー(マリーゴールド)とフランス映画に出てきそうなキューティ美少女のエリザベス・プライス(ペブルス)。この二人の女性ヴォーカルを中心にオタクっぽいメガネ男たちが脇を固めたのがタルラー・ゴシュだ。

見たわけじゃないのではっきりした事は全然わからんが、この2人は前回の記事で登場したパステルズのバッジをお互いつけてたので知り合ったというような結成のなれそめらしい。
うん、よくあるよな。ROCKHURRAHはそんなにライブハウス通いをしてたような人間じゃないけど、富士急ハイランドで大昔に買ったドクロのピンバッジを同じ日につけてたから初対面の人と「あー!同じバッジ」などと盛り上がった経験もある。友達にはならなかったけどね。

パステルズ・バッジはギター・ポップの世界にとって象徴的アイテムらしく、タルラー・ゴシュもフリッパーズ・ギターもこのバッジに関する歌を歌っている。
そのパステルズのステファン・パステルによる53rd&3rdというレーベル(カート・コバーンが大好きだったバンド、ヴァセリンズもこのレーベル)がリリースした事もあって、タルラー・ゴシュはまたたく間にインディー・ポップの注目バンドとなったらしい。

女の子のファッションやスタイルが1980年代後半と今では随分違っているのは当たり前だが、この時代のギター・ポップやアノラックをやってたバンド女子(略してバンジョでいいのか?え、略さなくていい?)の好むスタイルが集約されたバンドがタルラー・ゴシュだった。アメリアやエリザベスのファッションや髪型はこの時代の「Cutie」などに載っててもおかしくないガーリーな(う、書いてて恥ずかしい)ものだった。
ちょっとパンキッシュで勢い余ったポップな名曲や本当にワン・アイデアのみで作ったようなシンプルな曲、演奏はどちらかと言うと下手だと思えるバンドなんだが、どれもこれも魅力的で素晴らしい。メロディ・センスはアノラック界でもトップレベルだと個人的には思うよ。

エリザベスは途中で抜けてしまって、タルラー・ゴシュも短い期間しか活動してないが、その後ヘヴンリー、マリーン・リサーチ、テンダー・トラップとアメリアは違うバンドを続けてゆく。どのバンドも共通してるメンバーは大体一緒だが、もう一人女性ヴォーカルを加えたという男女混成が好きみたいだ。残念ながら個人的にタルラー・ゴシュよりも好みのバンドではなかったからROCKHURRAHは継続してファンではなかったが。

しかし今回のギター・ポップ編を書こうと思って調べていてはじめて知ったのだが、その元タルラー・ゴシュのエリザベス・プライスが近年はアーティストとして活躍していて2012年度、英国の権威あるターナー賞に輝いたとの事。これはすごい。今気づいたみたいに書いてるがファンの間ではすでに去年くらいに盛り上がってた話題なんだろうね。さすが音楽情報に疎いレコード屋、ROCKHURRAHだな。
アメリアの方も負けてなくてオックスフォード大学の経済学博士号まで持っているらしい。経済にも疎いからよくはわからんが公正取引委員会の局長とかやってるそうで、これまたすごい。
日本ではレコードもCDも同時代には出てなかったように感じるし情報も少なかったし、タルラー・ゴシュやってる時はそんな大物になるとは夢にも思ってなかったけど二人の才女を擁するまさにレジェンドなバンドだったんだね。

Our love is heavenly /  Heavenly

ここまで書いたからついでにヘヴンリー。上に書いたようにタルラー・ゴシュ解散後にアメリアがほとんど同じようなメンバー構成でやっていたのがこのバンドだ。心機一転というには程遠いけど、タルラー・ゴシュのようにちょっとパンク風な部分は少なくなって、純粋にギター・ポップの路線を継承してその方面の人には絶大な人気があった。そういう意味でのバンド名変更だったのかね?
音楽的に成長して練れた、という部分よりパンクやアノラックの初期衝動のままDIY精神でやってた方がROCKHURRAHの好みだったので、このヘヴンリーはそんなに熱心には聴かなかったけど、親しみやすく優しいポップスが好きなタイプだったらこれこそ最高という人も多いことだろう。
残念ながらタルラー・ゴシュ時代から一緒にやってた弟、マシュー・フレッチャーの自殺によりヘヴンリーの活動はここまでとなる。
その後、マリーン・リサーチ、テンダー・トラップとコンスタントに活動を続けて基本的な音楽性も前髪パッツンのスタイルもあまり変わってない。同じように短髪美女だったシニード・オコナー(短髪というより坊主頭)のすごいおばちゃんへの変貌と比べても(年齢もほとんど一緒)アメリアの方がずっといい歳の取り方をしているように感じる。ん?顔で判断するなって?

Teenage / The Brilliant Corners

セロニアス・モンクの曲名からつけたバンド名だが特にジャズっぽいわけではない。英国ブリストル出身で1983年から10年間活躍したバンドだ。
どうやら随分音楽が盛んな土地らしく、ブリストル出身の有名バンドも数多い。カオスUKにカオティック・ディスコード、ディスオーダー・・・むむ、ハードコア系ばかり挙げてしまった。80年代的に言うならポップ・グループという偉大なバンドから派生したピッグバッグ、リップ・リグ+パニック、マキシマム・ジョイ、マーク・スチュアート&マフィアなども全部ブリストル出身。同じバンドにいたわけだからそりゃ当然同じ出身地だな(笑)。3行に渡って書くまでもなかった。
他にもものすごくたくさんの著名ミュージシャンの故郷だが、書いてるだけで日が暮れてしまうから先に進む事にする。

さて、ギター・ポップの中でも特にヘタれたアノラック系を前回から延々と書いていたが、このブリリアント・コーナーズはそういう素朴な路線とは違っていて、「パッパラ系」とでも言うような音楽で燦然と輝く活躍をしたバンドだ。メンバーの中にパッパラパーがいたわけではなく、曲の合間に「パッパラ ラ パッパッパラ」みたいな合いの手が入るというオシャレな楽曲を残したから勝手に誰かがそう言ってるだけ。
彼らの代表曲「Delilah Sands」がそのパターンで、ネオアコやギター・ポップの世界では永遠の定番曲だと言える。

これがその名曲なんだがイントロからそのもの。パッパラ系と書いた意味が一目瞭然でわかるな。メンバーの見た目も青春ギター・ポップのような素行良さそうな感じはしないし、ヴォーカルはモロに80年代の青春映画に出てくるワルっぽい感じ。本当のワルから見たら青臭い事間違いなしの半端な雰囲気がたまらないね。見た目と曲のギャップがすごいな。ちょっと強そうな黒人の兄ちゃんも従えて、歩き方までチンピラっぽい。

順番が逆になったが上の方の曲「Teenage」はその「Delilah Sands」の一年後、1988年の作。こちらもまた大好きな曲で今でも聴いている。PVはこちらの方がいかにもカラフルでポップな印象。 同じバンドのプロモとは思えないね。

パッパラ系の代表選手みたいな書き方をしてしまったがデビューした頃はなぜかサイコビリー系のコンピレーションに入ってたりしたし、スミスみたいな曲調の時もあったし、最後の方はちょうどその頃流行っていたマンチェスター勢とも呼応したようなダンサブルな音楽もしていたな。先に書いたヘヴンリーのアメリアが参加した曲などもある。

ブリリアント・コーナーズの解散後、ヴォーカルとベーシストは短い期間エクスペリメンタル・ポップ・バンドというのをやっていたが、これは90年代頃に流行ってた渋谷系の親戚みたいな音楽だった。ここもベーシストが途中で他界してしまい、ヘヴンリーと似たような運命で活動を停止したらしい。

今回はたった3つのバンドのみだったが、意外と長く書いてしまったのでここらで一旦終わる事にしよう。
ROCKHURRAHがギター・ポップばかりをメインで聴いてた時期はなく、自分の音楽履歴の中でも例えばパンクや初期ニュー・ウェイブ、ポジパンなどを熱心に聴いてたのに比べれば随分扱いも軽い。80年代にはもっとエキサイティングな事がたくさんあったしね。
一言コメントみたいな感じで本当はもっと多くのバンドを紹介してゆくつもりだったけど、なぜか意図してた構成と違うものになってしまったよ。

最後に、ROCKHURRAH RECORDSはゴールデンウィークを利用してサーバーの移転という面倒な事をしてしまって、意外と色々な問題が起きて解決出来てないままという状態。ブログだけは何とか続けているけど、オンライン・ショップやオフィシャル・サイト(大げさ)の方はまだまだ実用に耐えうるまで復活してないんだよね。これから少し時間をかけて、工事中の閉店をしないまま改造してゆくので「何じゃこのサイト?」などと思わないでね。

大人社会科見学—インターメディアテク—

【IMT内は撮影禁止だったため、HRより写真を流用させて頂きました!】

SNAKEPIPE WROTE:

飛び石連休だった今年のゴールデンウィークは消費税増税の影響もあり、キーワードは安・近・短だとニュースで知った。
飛び石の間を休めば、かなりの大型連休になるけれど、カレンダー通りの休みでは旅行を考えたとしてもキーワードとして掲げられたようなささやかなものになるだろう。
我らROCKHURRAH RECORDSもその例に漏れず、出かけたのは簡単に行かれる場所だけ!
初めから旅行などは考えていなかった。
そもそも大勢の人が休む盆暮れ正月やゴールデンウィークに旅行料金がアップするのは何年経っても変わらないし、どこに行っても人混みや行列にうんざりするのは分かり切ったことだよね。
そんな時にあえて旅行のプランは立てないのがROCKHURRAH RECORDS。
もし行くならオフシーズンで、ゆっくりのんびりが良いなあ。

2回目の連休が始まった5月3日、ROCKHURRAH RECORDSが出かけたのが東京駅。
長年来の友人Mと約束をしていたのである。
以前より友人Mが計画していたのは、東京駅近くのJPタワーにある博物館の鑑賞である。
この博物館については、ROCKHURRAHも気になっていたようで、全く何の情報も知らないのはSNAKEPIPEだけ!(笑)
2人が興味あるという博物館行きが決定したのである。

東京駅に着いてから気が付いた。
もしかして都内でもトップを争う混雑した場所に来てしまったのではないだろうか。
新幹線の発着以外にも、皇居が近いせいか憲法記念日のこの日は特に人が増えていたように思う。
あれほど人混みを敬遠していたROCKHURRAH RECORDS、日付を間違ったかも!
テロ対策なのか、駅周辺には機動隊が待機していて、物々しい雰囲気。
あー、この日は迷彩服を着てなくて良かったなあ!(笑)

JPタワー入り口で友人Mと合流。
やはりあまりの人の多さに辟易している。
駅構内と周辺があまりに混雑していたので、目当ての博物館も激混みだったらどうしようと思っていたけれど、それは危惧に終わった。
JPタワーでの人混みは、その中にある商業施設であるKITTE目的の人が多かったみたい。
毎度お馴染み怪しい3人組が向かうのは、JPタワー2階と3階にある博物館、通称IMTだからね!

そもそもIMTとはなんだろう。
調べてみると、正式名称はJPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテクと言い、東京大学と日本郵便の連携による施設であるとのこと。
そして驚くべきことに、この施設は無料!
前述した安・近・短の条件をバッチリ満たしてるよね!(笑)
無料というと、それ相応のチープな施設を思い浮かべてしまうけれど、IMTはどうだろうね?

IMTは2フロアで展開している施設なので、まずは下のフロアから観ることにする。
入り口付近でまず目に飛び込んできたのは、巨大なワニの骨格!
こんなに大きなワニは見たことがないと思ったら、30-50万年前頃、日本に生息していた世界最大級のマチカネワニらしい。
最初からいきなりこれか!と驚きながら入場してみる。

東京大学が所蔵していた学術標本を展示しているので、いわゆる博物館の展示とは違っていた。
「○○の骨」というような一文だけがプレートに書かれ、標本の詳しい説明は省かれている。
本来は展示物じゃない標本だから、それで良いのだろう。

空間は元郵便局の室内、そして戦前から東京大学で使われていた什器を使用し展示されている。
ああ、什器類の素晴らしさったら!
この雰囲気はまさにROCKHURRAHは何度目かの再読、SNAKEPIPEは初めて読んでいる「黒死館殺人事件」の館そのもの!
レトロなゴシック調、その場にいるだけでゾクゾクするほど刺激的で嬉しくなってしまうね!(笑)

前述したようにこの博物館は一般的な鑑賞を目的としていないので、展示に一貫性がないのが特徴かな。
様々な動物や魚の骨格標本とアフリカのお面が飾ってあったり、鉱石や漢方系の植物があったり、という支離滅裂な感じ。
それはまるで酔狂な趣味を持った金持ちの、マイコレクションを見せてもらっているよう!
骨格標本やオブジェ類が並べられた棚は、特にプライベートコレクションのようだったね。
いいなあ、あの棚ごと欲しいなあ!(笑)
棚の上、天井近くにももう一段本棚があり、その中には年代物の蔵書がギッシリ並んでいる。
茶色や深緑の背表紙に金色の文字でタイトルが書かれていて、なんとも趣があるね!
全くの想像だけど、澁澤龍彦邸にありそうな感じね。(笑)

気になる展示物はたくさんあったけれど、この期間中特別展示されていた「東大醫學――蘭方医学からドイツ近代医学へ」は見応えがあった。
ドイツ製の人体模型や、まるで構成主義のような医療器具のポスターにはヨダレたらたら!(笑)
白と黒だけのシンプルさと構図の素晴らしさ、タイポグラフィのバランスなどが絶妙だったんだよね。
あのポスター欲しかったなあ!


既存施設の解体からIMTの完成に至るまでを紹介している特別展示「インターメディアテク建設」にはワクワクしてしまった。
こちらも本来はアートとしての写真ではなくて、記録としての写真だったはずだと思うけど、SNAKEPIPEが大好きなジャンルの写真群だったんだよね!
解体と建設というテーマには強く惹かれてしまう。
魚眼レンズで撮影された写真も面白かったけれど、ノーマルなタイプがより素晴らしかった。
解体された後のドアやネジ類も展示されていて、インダストリアル感満載なところも座布団10枚!(笑)

無料というのが信じられない程、充実のラインナップに大満足だった。
特別展示というのは年に何回か行われているようなので、また機会があったら足を運んでみたいと思う。
日本にこんな施設ができたことに驚くとともに、もっとこんなに素晴らしい施設があったら良いのにとも感じる。
鑑賞者のマナーや意識の高低を問われるのは当然だと思うけどね!

ビザール・ハット選手権!14回戦

【帽子なし男達のセーフティダンスはシェー!のポーズ】

SNAKEPIPE WROTE:

そろそろ陽射しが強くなってきて、日焼け対策が必要だよね!
それにしてもどうして日焼け防止の帽子(プッ!)って、あんなにダサいのが多いのかなあ。
季節に関係なく、一年を通して帽子を愛用しているROCKHURRAH RECORDSでは持っていないタイプだね。
機能性とファッション性を併せ持つというのが一番だけど、もしどっちを優先させるかと問われたら確実にファッションを選択するだろうな。
日焼け防止などを謳っている帽子は機能を重視してるから、相容れないのは仕方のないことだね!

今回のビザール・グッズはそんなファッション性を重視した帽子を特集してみたい。
頭を陽射しから守るといったような基本的な機能は全く無視していると思われる、人目を引くこと間違いなしのハットを集めてみたよ!

一番初めに紹介するのは、あのOAKLEYの帽子とゴーグルね!
そう、あのオークリー。
がっちりBUYましょう!vol.10」でROCKHURRAHがオークリーのブーツのことを書き、その魅力や実力について説明してくれてるね。
そのオークリーが実際に販売しているビザールな逸品がこちら!
その名はなんと「メドゥーサ」。
「メドゥーサ」といえば、ギリシア神話に登場する、頭が蛇で見た者を石に変えてしまうという恐ろしい怪物のことだよね。
確かに頭からピュンピュン出てるところが蛇っぽいかも!(笑)
ヘッドギア部分とゴーグルの部分に分かれていて、帽子が$500、ゴーグルが$250とのこと。
両方合わせると日本円で約76,000円になるんだね。
町中で両方を装着している人がいたら、かなり目立つこと間違いなし!
ただし、服装も考えないとダメだよね。
モデルの女性みたいにビキニでブーツ、とかフル装備にしないと似合わないだろうね。
バイクに乗る時にも良さそうな雰囲気。
こういう商品をちゃんと販売しているオークリー、恐るべし!

続いても目立つ帽子にしてみようかな。
The Victoria and Albert Museumで2009年に開催されたイギリスの帽子デザイナー、スティーブン・ジョーンズのコレクションの紹介ね!
かぶってしまったらほとんど顔が見えない帽子なんて、今まで見たことがないように思う。
かなり大胆な発想だよね!
どうやってかぶるのか良く分からないのもポイントかな。(笑)
右の写真がデザイナーであるジョーンズご本人なんだけど、ドレス着たマネキンを帽子にしちゃって、これもかなり変わってるよね。
やるならとことんやっちゃう潔さは、見ているだけでも気持ち良いよ。
さすがパンクの国、イギリス、ロンドン!
これからも突っ走って欲しいね!(笑)

ではパンク仕様つながりでモホークタイプはいかが?
この帽子は販売されているものではなくて、「仕事があるから髪型を変えられない」と少し不満気味だった旦那さんのために奥さんが作った帽子なんだよね。
あー、解るなあ。
仕事の問題がなければ、SNAKEPIPEもモヒカンやりたいもんね。(笑)
そんな旦那さんの気分を上げるために頑張る奥さん!
なんて夫婦愛なんでしょ!(笑)
SNAKEPIPEもこの帽子欲しいな。
自分で編んでみるか。(笑)

さて、最後は前回のビザール・ハット選手権にも登場してくれた、あのマネキンに再会だよ!
Costumes of Nashuaの専属マネキンの彼女は、いつでもやる気なさそうな顔をしてるよね。(笑)
それもそのはず、前回はカニ帽子、今回は本当にピザ・ハットだもんね。
「なんで私がお笑い担当なのよ」
と仕事を引き受けたことを後悔しているような表情が秀逸!(笑)
このピザ・ハットは$9.99、日本円で約1,000円。
こういう帽子っていつ使うのか謎だけど、ちゃんと販売されてるから感心しちゃうよね。
きっと彼女はもっとお洒落で高額品のモデルをやりたいんだろうなあ。
再び彼女に会える日を楽しみにしていよう。(笑)