【gggの壁一面に高倉健がっ!】
SNAKEPIPE WROTE:
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)で開催しているのは、「横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes」。
これは版画やポスターなどにするための原画や、版下など作品に仕上げるまでのプロセスを見せてくれる企画展だという。
2021年7月には東京都現代美術館で「GENKYO展」、2021年10月には21_21 DESIGN SIGHTで「The Artists展」など、横尾忠則の展覧会を鑑賞してきたけれど、舞台裏を覗かせてくれるとは楽しみ!
ROCKHURRAHと一緒に銀座に出かけたのである。
gggに到着すると必ず建物の外観を撮影するSNAKEPIPEだけれど、壁一面に高倉健が描かれていて驚く。
過去に数回、gggで横尾忠則展を開催していたようだけど、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは鑑賞していなかったみたいだね。
もしかしたら今までにも、壁一面に横尾作品が描かれていたのかもしれないな。
会場に入り、念のため撮影について問い合わせ、許可を確認する。
受付前に置かれていた作品集などに目をやっていたSNAKEPIPEは、ROCKHURRAHの驚きの声を聞く。
「ちょっと!これ、見て!」
指差す場所には訪問者が名前を記す芳名帳があり、開かれたページの最初の行に
「みうらじゅん」
と書いてあるじゃないの!
あの「みうらじゅん」も同日の、もしかしたら10分前かもしれない時刻にgggを訪れていたことが判明したから狂喜しちゃうよね。(笑)
「これは大変!」
慌ててスマホを取り出し、芳名帳を撮影しようとした瞬間、
「撮影はご遠慮ください」
と受付から注意を受ける。
まあ、確かに個人情報だからね。
スミマセン、とスマホをしまうSNAKEPIPE。
その後も他のお客さんが同様の行為を受付から注意されているのを目撃したよ。(笑)
「みうらじゅん」の人気ぶりがよく分かる。
そしてニアミスで「みうらじゅん」に遭遇できたかもしれないと思うと、とても残念だよ。
芳名帳のある受付から背後に広がる展示スペースを見ると、壁やケースには、所狭しと作品が展示されている。
企画展のサイトによれば「1960年から80年代に制作された作品資料、18000点の中から250点を厳選した」らしい。
無料の展覧会で、ここまでのボリュームとは信じられないくらいの太っ腹!
先に書いた「The Artists展」も無料だったことを思い出す。
大企業がスポンサーになって実現する文化振興、本当にありがたいよね。
今回の企画展には作品リストがなかったようだよ。
作品の展示ではないからね。(笑)
60年代の雰囲気が色濃く見える雑誌の表紙が並んでいる。
2021年1月にgggで開催された「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」でも、ポスター作成にあたり色指定やフォントの調整など、本人が指示をメモしている展示があったっけ。
印刷物の作成には、多くの段階があることがわかるね。
江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」の文字が見える。
装丁を担当したのかもしれないね。
こんな本があったら欲しいよ!
右側は1997年に「サンストリート亀戸」のオープンを告知したポスター。
このポスター、実はSNAKEPIPE所持していて、以前は部屋に飾ってたんだよね。
下絵を発見したROCKHURRAHが慌ててSNAKEPIPEを呼びに来てくれた。
ラフなスケッチの段階で、ほぼ完成図に近い状態だと分かり感激する。
ポスター作成の第一ステップだろうね。
とても嬉しかったよ!
「サンストリート亀戸」は今はもうなくて、「カメイドクロック」という商業施設になっているらしいから、歴史を感じてしまうね。(笑)
画像左は「電報シリーズ」といったら良いのか、コラージュ作品に見えるんだよね。
水兵と恋人(?)は、女性が「ぞんざい」な描き方をされていて可愛らしい。(笑)
赤と青は愛し合う男女を描いたクローズアップだね。
この2枚がとても気に入ったSNAKEPIPEだよ!
画像右はアーチ状に「TADANORI YOKOO」と書かれていて、60年代に制作された「Climax at the Age of 29」と同じように見えるよ。
中央で首を吊っているポスター、見たことないかな?
こちらも制作のプロセスがよく分かって興味深い。
グリコのポーズの、顔部分を横尾忠則本人に差し替えたバージョンが完成形みたいだね。(笑)
建物の壁にも描かれていた「新網走番外地」の高倉健。
3枚並んでいて、右と真ん中をミックスさせて一番左の作品になっているのかな?
版画に近い方法だよね。
浅丘ルリ子は横尾忠則のアイドルだった話は以前読んだことがあるよ。
ヌードを想像して作成されたシルクスクリーンの原画なのかな。
線画の時点でこの完成度の高さは素晴らしいよね。
横尾忠則が刀を持ってポーズを決めているのは「一柳慧作曲 オペラ横尾忠則を歌う」のレコード・ジャケットで使用された作品だね。
1969年発売のレコードということは、大島渚監督の「新宿泥棒日記」と同じ年。
グラフィック・デザイナーとしてだけではなく、俳優や歌手などでも活躍していたんだね。
会場は1Fと地下に分かれている。
第2会場へは階段を使うんだけど、そこから企画展のタイトル通り「ブラック・ホール」へと入っていくんだよね。
紫と緑のライトが暗闇をほんのりと照らす。
階段が見づらかったのか、前を歩いていた初老の男性が足を踏み外すシーンを目撃してしまった!
気をつけないと怪我しちゃうね。(笑)
ROCKHURRAHと無事に(?)地下に到着したよ。
地下は真っ暗で、作品にだけ照明があたっているので、とても見やすい!
撮影した画像も、くっきりだよね。
ピカソや俵屋宗達、モネやマティスのパロディのような作品が並んでいた。
子供の頃から模写が得意だったという横尾忠則、さすがに上手!(笑)
暗闇に鮮やかな色彩が浮かんで、とても美しかったよ。
横尾忠則が精神世界に通じていることは、以前から知っていた。
死をテーマにした作品も多いし、天使やUFOについて対談している本を読んだこともあったっけ。
載せた画像左は仏像の手で右は幽体離脱を描いているみたい。
横尾忠則にとって、眠って夢を見ることも現実の一部であるというので、毎晩幽体離脱しているといえるのかもしれない。
江戸川乱歩の「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」という言葉とは違って、横尾忠則にとっては「うつし世も 夜の夢もまこと」ということなんだろうね。
これらの作品を観た時に、荒木経惟の「センチメンタルな旅」を連想したSNAKEPIPE。
アラーキー同様、横尾忠則も愛妻家で有名だからね!
奥様との思い出を描いているのかな、と勝手に想像したよ。
載せた画像は初めて観た作品だね。
250点もの作品を充分に満喫させてもらったよ!
60年代からの作品資料をずっと保管していることもすごいと思う。
普段は見られない制作過程を鑑賞できて、とても興味深かったね!