Gerhard Richter Painting展 鑑賞

【ゲルハルト・リヒターの真っ黒な作品に写り込んだSNAKEPIPE】

SNAKEPIPE WROTE:

先週の「村上隆 五百羅漢図展 鑑賞に続き、今週も展覧会に関するブログをお届けしようと思う。
ブログは2週に渡ってるけれど、実際には2日連続で六本木に馳せ参じることになったSNAKEPIPEなんだよね。

今回鑑賞したのはワコウ・ワークス・オブ・アートで開催されているゲルハルト・リヒターの新作展!
ゲルハルト・リヒターといえば…。
2014年8月の「「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」鑑賞」の時にも「衝撃的だったアーティスト」として記事にしていたね。
サザビーズのオークションで生存する画家の中で最高額を記録した「現代絵画の最高峰」とされるリヒター。
その新作が日本で初公開だよ、とROCKHURRAHが教えてくれた。
これは是非とも行かなければ!(笑)

ワコウ・ワークス・オブ・アートは方向音痴のSNAKEPIPEでも迷わず行かれる場所にあった。
麻布警察署の裏手、といった所。
表に立っている警察官に道を聞かなくて良かった。(笑)
ワコウ・ワークスがあるピラミデビルは、バブル時代を感じさせるような懐かしい雰囲気。
こういうビルは大好き。(笑)
アート系のギャラリーが多く入っているのも良いね!

いよいよゲルハルト・リヒター展へ。
数人のお客さんが入っている。
美術館ではなく画廊のため、作品に近寄ってはいけない白線がない!
監視員もいない!(笑)
当然触ることはしないけれど、かなり近寄ってじっくり作品を観ることができるのは素晴らしいよね!


入場は無料、そして撮影もオッケーみたい。
みたい、というのは断ったわけではなくて、他の人達が撮っていたから。
当然のようにSNAKEPIPEもROCKHURRAHも撮影しちゃったよ!
リヒターの作品を実際に観たのはヤゲオ財団の時だけだったので、今回の作品はサイズが小さめだなと思った。


正面から、横からとじっくり鑑賞する。
何重にも塗り重ねられ、ものすごく絵具が厚い部分もある。
塗って、こそぎ落として、また重ねてって感じなのかな?
不調和の中の調和とでもいうのだろうか。
カラフルな洪水のハーモニー。(←陳腐な物言い)
抽象画家で「好き!」とはっきり言えるのはマーク・ロスコに続いて2人目かな!(笑)


「アラジン」という、ガラスにラッカーを使用したシリーズも日本未公開作品が展示されていたよ。
ガラスだから表面がつるつるに光っていて、その光沢がまた良いんだよね!
ただし写真に撮りたい時には反射するから難しいんだけど。
こちらも色がくっきりしていて素敵なの。
3点くらい並べて部屋に飾りたいなあ。(笑)


こちらも「アラジン」シリーズね。
緑色の辺りが反射しちゃってるけど許してね。(笑)
この色合いがまたっ!
今年83歳になるゲルハルト・リヒターだけど、今回展示されていたのって最近の作品なんだよね。
年齢や創作意欲の衰えを全く感じさせない、ほとばしるパッションを感じたね!
あはは!パッションだって!(笑)


最後は「オーバー・ペインテッド・フォト」というスナップ写真の上に油彩やエナメルで描いている作品ね。
上の画像で少しは分かるかな?
この「オーバー・ペインテッド・フォト」は、なんでもないスナップ写真を劇的にアートな作品に仕立ててしまうところがすごいの!
今年の作品も展示されていたよ!
「リヒター、やるなあ」
とROCKHURRAHと語り合っていたSNAKEPIPE。(笑)

こんなに素晴らしい展覧会を、しかも無料で企画してくれたワコウ・ワークス・オブ・アートに感謝だね!
今度は作品購入の相談に伺いますから!(うそ)

村上隆 五百羅漢図展 鑑賞

【こうやって制作してたんだ、と帰宅後知ったメイキング映像】

SNAKEPIPE WROTE:

何が良いのか分からない、ということで友人Mと意見が一致したのが、現代アートの村上隆についての見解。
どうしてサザビーズのオークションで、左の作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が16億もの高値で取引されたのか?
実物を見ていないのに感想を持つのはいかがなものか、とも言えるけど、メディアや雑誌で一目惚れする作品もあるわけだからね。
その逆もまた然り、という気がするよ。
結局、今まで一度も村上隆の作品を見て、ビビッと来たことがなかったんだよね。(笑)
アニメとかフィギュアなどの秋葉原系オタクアート、という認識だけだったからね。
うーん、やっぱりこのフィギュアの意味は分からないなあ…。

森美術館で村上隆の五百羅漢図展が開催されることも知っていたけれど、あまり興味を示していなかったSNAKEPIPE。
村上隆が五百羅漢を描いたとしても、やっぱりアニメっぽいんだろうな、と予想できたからね。(笑)

六本木に用事があり、友人Mと待ち合わせることになった。
「村上隆、どうする?」
意外なことに友人Mから、展覧会に行くかどうかの質問が来た。
観に行く、ということを一切考えていなかったので、これは青天の霹靂!
どうして日本よりも海外で評価されてるのか、その謎を解く鍵が今回の展覧会には隠されているかもしれない。
どこが良いのか分からないから実物を観て、それから好き嫌いを今一度考えてみようか、ということになった。
通常ならば好きで観たいから行くのに、今回は本当に何が良いのか分からないままで良いのかを確認するために展覧会に行くとは!(笑)

久しぶりの森美術館。
前回はもしかしてアンディ・ウォーホル?
確認してみると、やっぱり2014年春以来だったよ。
いつの間にか改装されていて、ちょっと戸惑う。
ミュージアムショップがなくなってる!
総合案内所が奥まったところにある!
友人Mも久しぶりに来たようで、改装後を知らなかったと言う。


今回の村上隆展のタイトルは五百羅漢図。
ちなみに五百羅漢とは、「仏教で供養尊敬を受けるに値する 500人の人々」のことらしい。
その500人は仏典編集会議の参加者だったとのこと。
釈迦の教えを残すために、弟子たちが各自の伝聞にもとづく資料を持ち寄り、聖典の編纂をした時の500人が五百羅漢ということなんだね。
そのため仏教的なモチーフが描かれている。
達磨、龍、鬼、象などが巨大なキャンバスから飛び出しそうな勢いで様々なポーズを決めているのだ。

村上隆というとすぐに思い出されるのが右のようなキャラクターだよね。
このキャラクターがあるだけで、どうしても子供向けにデザインされたお菓子のパッケージのようなイメージしか感じられなくなってしまう。
村上隆の自画像、もしくは写真もあまり観たくない作品なんだよね。(笑)
それら「好みではない」のが約半分くらいの展示数だったかな?
ということは、残りの半分は楽しく鑑賞したことになるんだね。
SNAKEPIPEは大型の作品の中の「ここ!」というような、パーツが気になることが多かったよ。


今回の展覧会で1番気に入ったのが上の作品。
千葉県民だからか、どうしても落花生のような形が好きで。
というのは嘘だけどね。(笑)
作品の右側の色使いの美しさが素晴らしかった。

左は作品をトリミングした画像なんだけど、テキスタイルのようなデザインとして見ると、例えばスカーフとかクッションカバーだったらとっても素敵だろうね?
極彩色なので、ワンピースにするには派手かも、なんて想像するのは楽しかったな。(笑)
どの作品もテカテカな光沢があって、描いているというよりはステッカーを貼ったように見えた。
最近の展覧会は撮影オッケーな場合が多くて、今回の村上隆展も全ての作品の撮影がオッケー。
スマートフォンならば動画までオッケーとは太っ腹だよね。(笑)
おかげでこうしてブログにアップしているんだけど。


サイケデリックな雰囲気の宇宙だよね!
おお!ティモシー・リアリー!オルダス・ハクスレー!(笑)
こんなグルグルのお皿あったら欲しいな。


髑髏モチーフも多く登場していたね。
ポップな髑髏、現代アートらしいということなのかな?

全て苦手だろうという予想がハズレ!
あのキャラクターだけがダメだとわかっただけでも満足だね。
世界のムラカミ、とまでは思わなかったけど。(笑)

好き好きアーツ!#35 Alex de la Iglesia part1

【「スガラムルディの魔女」のポスター。スペイン版ね!】

SNAKEPIPE WROTE:

数年前より続いているスペイン熱は未だにおさまらず、面白そうな映画をチェックしては鑑賞している。
そうは言っても、スペイン映画ってほとんど劇場公開されることはないし、DVDでだけ販売されたりレンタル用として流通することが多いんだよね。
日本映画以外は、全くDVDにすらならない作品もいっぱいあるし!
スペイン映画ではないけれど、例えばアメリカでは大人気のウィル・フェレルの作品ですら、日本では劇場公開されないんだもんね。
日本の映画業界は興行収入のことしか考えていないんだなあ。
せめてスペイン語を完璧に理解することができたら原語のまま鑑賞できるのに。
今からでも頑張ってみる?(笑)

今回の「好き好きアーツ!」はスペインの映画監督、アレックス・デ・ラ・イグレシアの作品についてまとめていきたいと思う。
スペイン人俳優アントニオ・デ・ラ・トーレと間違えたり、 歌手のフリオ・イグレシアスと混ざってデ・ラ・イグレシアスと言ってしまったりするのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
イグレシア監督の名前が一躍有名になったのは、かつて「映画の殿 第6号」の中で少しだけ触れたことのある「気狂いピエロの決闘」という作品がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)と金オゼッラ賞(脚本賞)を受賞して注目されたからなんだよね。
もちろんその前にも作品を制作していて、大好きなサンティアゴ・セグーラが主役の「どつかれてアンダルシア」はスペインで大ヒットしたらしい。
残念ながら未見で、どうしても観たい映画のランキング上位の作品なんだよね。
TSUTAYAの発掘良品で扱ってくれないかなー?

前置きが非常に長くなってしまった。
今回はイグレシア監督の第1弾として割と最近の作品2本を特集しよう。
まずは2011年の「刺さった男(原題:La chispa de la vida)」から。

簡単にあらすじを書いてみようか。

失業してどん底状態にある元エリート男性・ロベルトは遺跡発掘現場に迷い込み、高所から転落。
命は助かったけれど、後頭部に鉄筋が刺さった状態で身動きがとれなくなってしまう。
ロベルトをめぐってメディアや関係者らが狂騒を繰り広げる。
ロベルトの運命やいかに?!

と、まあこんな感じでタイトル通りに「刺さってしまった」ロベルトなんだよね。
ロベルトを演じたのはホセ・モタという俳優なんだけど、今まで他の作品で見たことないみたい。
2年間も失業状態にあるというのに、生活できているところが不思議だったんだよね。
奥さんと家族を大事にしている様子が良く伝わってきたよね。
その奥さんとの思い出の土地を歩こうと思っただけなのに、事故に遭ってしまうとは!

ロベルトの妻ルイサを演じたのがサルマ・ハエック
一番最初にサルマ・ハエックを見たのはロバート・ロドリゲス監督の「デスペラード」だったね。
なんて美しい人!とすっかりファンになったSNAKEPIPE。
今回のルイサ役も好演していたね!

「刺さった男」にはスペイン映画ではお馴染みの俳優がたくさん出演していたところも見逃せないね。
ブランカ・ポルティージョ(写真左)はアルモドバル監督の「ボルベール」で「母が村で唯一のヒッピーだったのよ」と自慢していた役が印象的だったっけ。
イグレシア監督と名前を間違えてしまうアントニオ・デ・ラ・トーレも出演していたよ。
「ほら!デ・ラ・トーレ!」とSNAKEPIPEが指摘しても、「違うでしょ?」と信じなかったROCKHURRAH。
カメレオン俳優だから化けるのが上手いのは解るけど、ROCKHURRAHは特に疎いのかもしれないね。(笑)

元同僚として出演していたのが我らがサンティアゴ・セグーラ!
タイトルバックに名前を発見した時から「いつ登場するんだろう」と期待してしまう俳優だよね。
出てくるだけで笑ってしまう。
大ファンの俳優を様々な作品で観られるのは嬉しいね!

刺さってしまったロベルトとルイサには子供が2人いるようなんだけど、その子供達がおかしい!
1人は男の子でなんとバッチリ化粧に長いレザーコート、アクセサリーをジャラジャラ着けたビジュアル系バンドにいるような出で立ちなんだよね。
こんな服装で父親を心配しているんだもんね。

そしてもう一人は女の子なんだけど。
息子とは正反対の、真面目を絵に描いたようなダサ子ちゃんなんだよね。(笑)
分厚いメガネに英国調のコート。
この子供たちの登場を遅らせたのは、きっとイグレシア監督のギャグの一つだったのかな、と推測するよ。

1人の男が事故に遭っただけなのに、マスコミは猛烈な取材合戦をして、選挙のことしか頭にない市長や人命より遺跡の保護を優先したい館長の態度、就職を断った会社が評判を落とさないように身を守ることだけを考えたりするエゴ剥き出しの狂騒が見どころなんだよね。
人は身勝手で自分のことが一番大事、といういや〜なところが良く描けているね。
ここらへんがイグレシア監督のブラックなところなんだよね!
テレビ局のアナウンサー役だったのが、イグレシア監督と昨年結婚した監督の作品の常連カロリーナ・バング。
「気狂いピエロの決闘」ではサーカスのヒロイン役で出ていたよね。
そして次に紹介する「スガラムルディの魔女」でも登場するよ!

スガラムルディの魔女(原題:Las brujas de Zugarramurdi)」は2013年の作品である。
スペインの映画賞であるゴヤ賞で8部門を受賞、70万人以上の観客を動員した、という宣伝文句だけでもすごい作品だということが分かるよね!

簡単にあらすじを書いてみようね!

失業し、妻ともうまくいかなくなったホセ率いる強盗団は白昼堂々宝飾店を襲撃、ホセは息子らと共に偶然通りかかったタクシーに飛び乗り逃げる。
パトカーの追跡をかわすうちに道に迷ってしまった一行は、魔女伝説が伝わるスガラムルディ村にたどり着く。
人食い魔女たちの洗礼を受ける中、強盗団を追ってきた者たちも加わり魔女軍団と人間の壮絶バトルが始まるのだった。

あらすじにあったように、スピーディな強盗シーンが非常に面白い。
それぞれがまるで大道芸人みたいな変装をしてるんだよね。
キリスト、兵士、透明人間、スポンジ・ボブ、ミニーマウスになって、顔がすぐには判別できないようにして強盗をする。
あえて目立つ格好をして犯罪を犯すとはね!(笑)
そしてもうひとつ珍しいのが、子連れだったというところ。
子供まで強盗団の一員として活躍しちゃうなんて、倫理規定に厳しい国ではあり得ないんじゃないかな?
そもそもキリストに変装して強盗って時点でアウトかもしれないね?
そのキリストになっていたのが「雑魚」や「アイム・ソー・エキサイテッド!」に出演していたウーゴ・シルバ。
「雑魚」の時はアル・パチーノに似てると思ったけど、 役どころのせいだったのかな?
緑色の兵士は「空の上3メートル」でニヤけた顔をしていたマリオ・カサス。
「UNIT7」や今回はそこまでニヤけていなかったね。(笑)

一方の魔女軍団もスペインを代表する女優カルメン・真裏、じゃなくて(笑)マウラを筆頭に怖い女性たちがいっぱい!
上の写真の時はスーツ着て人間っぽくしてるから、それほどじゃないけど魔女になるとこんな状態! (写真左)
カルメン・マウラ、今年で70歳だって。
若い頃とそこまで顔に変化がないよね?
まだまだ頑張って演技を続けて欲しいものだ。
3人の魔女の一番左が、イグレシア監督と結婚したカロリーナ・バングね。
今回はバイクに乗り、ほとんどモヒカンというヘアスタイルだったよ!(写真右)
途中、半裸でセクシーポーズをキメてるシーンが見どころかも。(笑)

タイトルバックに名前を発見していたので、いつになったら登場するんだろうと心待ちにしていたのがサンティアゴ・セグーラとカルロス・アレセス!
ついに出て来た、と思ったら!
まさか2人揃って女装とは。(笑)
ROCKHURRAHがダイジェスト版として編集してくれたよ!
カルロス・アレセスは、本当にこんなおばちゃんいるわ、って感じでぴったりだよね。
同じくぽっちゃり体型のハビエル・カマラが「バッド・エデュケーション」で笑いを取るタイプの女装姿を披露していたけど、カルロスは本物の女性に見えるよ。
サンティアゴ・セグーラの女装も、意外と似合っていたね。
こういう女性もいそうだもん。
この写真を見る度に笑ってしまうので、辛いことがあった時にはこのページを見よう!(笑)

イグレシア監督の特徴として「タイトルバックがカッコ良い」点が挙げられる。
これから始まるという時に、より気分を盛り上げてくれるんだよね!
SNAKEPIPEの今までの経験でいうと、タイトルバックが良い映画は大抵面白い。(笑)

「スガラムルディの魔女」はホラー・コメディと分類されるのかな。
ホラーとコメディが一緒というと、以前観た「人狼村 史上最悪の田舎」も同じタイプだったかも?
イグレシア監督の作品はブラックな部分が多くて面白いね。
他の鑑賞済作品も次回以降にまとめていきたいと思っている。
やっぱりスペイン映画は良いね!(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #35 Adriana Varejão

【Varejão Acadêmico。web翻訳で「アカデミックな大きなスタッフ」って意味不明!】

SNAKEPIPE WROTE:

最近の「 SNAKEPIPE MUSEUM」はいわゆる欧米のアートじゃなくて、アジアやアフリカなどの、今まであまり知らなかった地域のアーティストについて特集することが増えてきてるんだよね。
意外性に驚いたり、鮮やかな色彩に目を奪われるのが楽しいからかな?
今回も、南米大陸ブラジルのアーティストについて書いてみたいと思っている。
名前の読み方が分からなくて調べていたら、どうやら2007年に原美術館で展覧会が開催されていた模様。
今ごろになってそんな情報を知るなんてね!(笑)
そのおかげで(?)アーティストの名前が分かったよ。
アドリアナ・ヴァレジョンと読むらしい。
アドリアナはオッケーだとしても最後のジョンは読めないなあ。

アドリアナ・ヴァレジョンは1964年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。
どこの学校に通って、どんな教育を受けてきたか、といった細かい情報は本人のHPにも、Wikipediaでも確認できなかったんだよね。
突然2008年にフランスの芸術文化勲章(シュバリエ)を受けるところになってるから謎なんだけど。(笑)
個展は1988年から開催されているようなので、活動歴も長いよね。
そしてなんといってもご本人が写真上にあるように、美女だからね!
これは作品と共に話題になること間違いないよね。(笑)
そんな美しいアドリアナ、まさかこんな作品を作っているとは!

アドリアナ・ヴァレジョンの作品の特徴がタイルなんだって。
確かに旅番組でポルトガルのアズレージョの美しさを特集しているのを見たことあるなあ。
アズレージョは、ポルトガルやスペインで生産される典型的な上薬をかけて焼かれたタイルで、ポルトガル史の歴史的・文化的要素を記録しているともいわれているそうだ。
アドリアナは「支配されていた記憶」としてタイルを使用しているという。
確かにブラジルはポルトガルの植民地だったからね。
もちろんそういう歴史的な背景を知ってから鑑賞すると意味が解るけれど、知らずに鑑賞しても目を引く作品だと思う。
タイトルは「Varal」、翻訳したら「物干し竿」だって。
まんまだったね。(笑)


もう一つの特徴が血、もしくは肉塊。
上の作品「Extirpação do Mal」は翻訳すると「悪の根絶」になるみたい。
確かに赤い血糊のようなドロドロに隠れて悪魔らしき姿がチラホラ見えるよね。
右のジャンプしてるのも悪魔なのか、足の爪の長さが普通じゃない。
どういう状況なのか分からないけど、不気味で記憶に残る作品には間違いないね。


直接的な表現がなくても、充分なインパクトがあるのが肉塊バージョンだね。
タイルをめくったら裏側は肉(内臓?)だった、という作品なのかな。
意味を考えることもできるけれど、あえて何も考えず、作品だけを注視してみようか。
これを目の前にしたら、かなり気味が悪いと思うんだよね。
実際に観てみたいな!(笑)
こんな作品をあの美女が!と思い出すとギャップに驚くよね。


現在アドリアナの作品はかなりの高額で取引されているようで。
1997年の作品「Paisagem II 」(風景 II )はクリスティーズのオークションで$542,500、日本円で約6680万円!
100cm☓140cmの作品だというので、そこまで大きくないよね。
木に油絵の具とポリウレタンを使用、と書いてあるので、錆びているように見える部分は立体なのかも?
この楕円形のシリーズも、何気ない日常風景に亀裂が入っている、抑圧されていた過去の痛みを表現しているみたいだね。
痛みを表現する、というと日本画家の松井冬子を思い出すけれど、アドリアナの作品も変化していくのかな?

また日本での展覧会開催をして欲しいものだ。