好き好きアーツ!#62世界アート(仮)探訪 6

20250216 top
【憧れのテート・モダン。いつか訪れてみたい】

SNAKEPIPE WROTE:

体調を崩し、先週はROCKHURRAHにピンチヒッターをお願いしてしまった。
ところがなんのその!
苦しみながらも、とても面白い記事を書いてくれてるじゃないの!(笑)
たまにはROCKHURRAHにも登場してもらわないとね。
そしてSNAKEPIPEは、少しずつ快方に向かってるはず。
このまま健康に戻りたいものよ。

今回は、行ってみたい美術館や博物館などを紹介している「世界アート(仮)探訪 」から派生したアイディアで、美術館や博物館のミュージアム・ショップについて特集してみよう。
SNAKEPIPEが展覧会を訪れた際には、必ず立ち寄るのがミュージアム・ショップ。
図録を買うこともあれば、気に入ったグッズを購入することもある。
2023年9月の「テート美術館展」で手に入れたウィリアム・ブレイクの「善の天使と悪の天使」を題材にした顔ポーチ!
今まで見たことがない衝撃的な商品で、SNAKEPIPEが一目惚れし、ROCKHURRAHがプレゼントしてくれた。
この衝撃は2004年に森美術館で開催されていた草間彌生の「クサマトリックス」で目にした「自殺した私の神経」以来だったよ!(笑)
本場のテートではどんなグッズを扱っているのか気になってしまった。
早速調べてみよう!

テートのオンライン・ショップに入ってみると、商品数の多さに驚く。
じっくり観ていると、独自の視点で商品開発をしていることが分かる。
左の画像はマイク・ケリーのTシャツ。
2018年4月にワタリウム美術館で鑑賞した「マイク・ケリー展」は、未だに強いインパクトが残っている。
あの時、ワタリウム美術館で作品に触れることができて本当に良かったよ!(笑)
そんなマイク・ケリーのTシャツを発見したので嬉しくなってしまった。
前面はカラープリント、背面はモノクロプリントになっているらしい。
お値段は£45、日本円で約8,600円。
SNAKEPIPEはSサイズで良いかな。(笑)

デヴィッド・ホックニーのTシャツもあるね。
イギリスを代表するアーティストだもんね。
1967年の作品「A Bigger Splash」が基になっているみたいね。
2023年に東京都現代美術館で開催された「デヴィッド・ホックニー展」に行かなかったので、どんなグッズが販売されていたのか不明だけど、テートのデザインはないはずだよ。(笑)
お値段は£40、約7,600円。
あれ?マイク・ケリーよりお値打ちなんだね?

Tシャツをもう一点。
草間彌生2011年の作品、「無限の鏡の間 – 生命の輝きに満ちて」を題材にした、子供用Tシャツだよ。
こんなに渋い色合いなのに、子供用とは。
2歳から11歳向けだって。
11歳用で胸囲88cm、長さが61cmなら着られるかも!
と思ったらサイズ切れで、セール価格になってるよ。
こんなTシャツ着てる子供なんて、ちょっと生意気じゃない?(笑)
5歳用までなら半額の£12.50、2,400円ほどで手に入るよ!

続いてはファッション小物を見てみよう。
載せたのはロイ・リキテンスタイン1963年の作品「Whaam! 」をモチーフにしたネックウォーマー。
首でも頭でもパラグラバーのような使い方も可能とのこと。
SNAKEPIPEだったら、スカーフみたいに頭に巻いてみたいな!
同じ柄でショッピングバッグやポーチなどの取り扱いもあるみたい。
お値段£15、約2,900円。
オシャレなアイテムだよね!

こちらはソックスね。
もしかしたら日本のどこかにも売ってるかもしれないね?
画像を見てすぐに分かると思うけど、メキシコの女流画家フリーダ・カーロがモチーフなんだよね。
左側が大人用で、右が子供用なんだって。
大人用は許せるにしても、子供用はかなり横に広がってないか?(笑)
眉がつながってるから、かろうじてフリーダ・カーロと分かるレベル。
大人用が£8.50、約1,600円で子供用が£6.50、約1,200円。
このソックスを子供は喜んで履くだろうか?

ルイーズ・ブルジョワ、2005年の作品「Spirals」がデザインされたポーチ3点セット、良いなあ。
リサイクルポリエステル製のため軽量で丈夫な素材が使用されているとのこと。
3つあるから、1つROCKHURRAHにあげようかな。(笑)
こういうグッズがなかなか日本の展覧会場にないのが残念だよね。
世界のテートにはかなわない、か。
ポーチは£16、約3,000円だって。
会場で見つけたら絶対買う!

もう1点、SNAKEPIPEの心を捉えたグッズがこちら。
テートのロゴが入ったオリジナル・バッグなんだよね。
ポリエステル素材に高反射ガラスビーズコーティングが施されているため、ライトが当たるとシルバーに光るという。
SNAKEPIPEのように、普段黒っぽい服ばかり着ている人には必需品かも!
更に防水機能も備わっているというから、至れり尽くせり。
ジッパーのグリーンもオシャレだし、内側には3つのポケットもあるんだって。
横幅30cm、奥行きと高さは15cmという手頃な大きさも魅力。
お値段は£30、約5,700円。
良いな、これ本当に欲しい!(笑)

少し持つのに勇気がいるかもしれないけど、このショッピングバッグも気になるんだよね。
これはヨーコ・オノが1968年に発表した「Toilet Thoughts Film No.3」というコンセプチュアル・アートのディテールをプリントしたもの、とのこと。
そうした説明聞かないと、ただの「尻」「臀部」だよね。(笑)
ミニ・ポーチに畳んで収納できるショッピングバッグで、20kgまでの重量に耐えられるという。
お値段£16、約3,000円なので、見つけたらやっぱり買おう!

今回は「世界アート(仮)探訪」として、ミュージアム・ショップを特集してみたよ!
本場テートには、SNAKEPIPEの親友「善の天使(悪の天使?)」は販売されていなかったね。(笑)
他の美術館のショップも気になるので、検索してみよう。
次回をお楽しみに!

好き好きアーツ!#61 世界アート(仮)探訪 5

20240519 11
【「VAGINA MUSEUM」という世界初女性器の博物館があるとは、ロンドンすごい!】

SNAKEPIPE WROTE:

NHKやAmazonプライムビデオで放映されていた、イギリスのソーイング・コンテスト番組「ソーイング・ビー」を観て、審査員であるエズメ・ヤングの大ファンになったSNAKEPIPE。
エズメは、仲間と共に1972年に「Swanky Modes」という店を設立し、ファッション・デザイナーとして活躍しているんだよね。
レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ザ・ビーチ(原題:The Beach 2000年)」や「ブリジット・ジョーンズの日記 (原題:Bridget Jones’s Diary 2001年)」などの衣装を手掛けていたという。
1949年生まれ、現在75歳のエズメは、いつも大きなアクセサリーを身に着けて、とてもおしゃれ!
素敵な年上の女性って憧れるんだよね。(笑)

エズメの代表作とされるのが「Amorphous(単細胞生物)」と名付けれた、ライクラ素材で体に密着するドレス。
デザインされたのが、1977年!
77年というとピンク・レディーの「カルメン’77」を思い浮かべる人も多いと思うけど、ROCKHURRAH RECORDSでは、記念すべきパンク元年として認識するよ。
それにしても、このドレス、サイド部分が開いてて下着も着けられないほどの露出ぶりじゃない?
一体誰が着るんだろう?
いました、ここに!(笑)
全く同じタイプのドレスではないようだけど、「デフ・スクール」のヴォーカルであるベット・ブライトが「ENGLISH BOYS/WORKING GIRLS」のジャケット写真で着用しているのが「Swanky Modes」デザインなんだよね。
ボディコンの更に上をいく、ピチピチ!
これを着こなすなんてすごいね。(笑)
この赤いドレス「Bette Bright’s dress」は、リバプール国立美術館に所蔵されているんだって。
上に載せた黒いドレス「Amorphous」は、ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館」に所蔵されているという。

「ヴィクトリア&アルバート博物館」は、現代美術や各国の古美術、工芸、デザインなど膨大なコレクションを誇るイギリスの国立博物館だという。
なんだかお城みたいに見えるけど、博物館なんだね。(笑)
博物館の名前の由来がヴィクトリア女王と夫であるアルバート公から来ていると聞けば、お城っぽいのも納得かも。
コレクションの幅が広いので、じっくり観ていては時間が足りなくなりそう。
日程に余裕があれば、「ヴィクトリア&アルバート博物館」は特別展示以外は無料だというので、何度でも行かれるね!
エズメのドレスはもちろんだけど、絶対に外せないのがヴィヴィアン・ウエストウッドやマルコム・マクラレンのコレクション!
1976年の作品「Ensemble」は、セックス・ピストルズだよね。(笑)
「ヴィクトリア&アルバート博物館」のサイトでコレクションを観ていると、1970年代後半から80年代にかけての熱気が伝わって興奮してくる。
ピストルズのコレクションもたくさんあるみたいだよ。
いくつになっても、やっぱりパンク魂が蘇るなあ。(笑)

せっかくロンドンにいるなら、他にも博物館行ってみようか。
Handel Hendrix House は、音楽家であるゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685年-1759年)とジミヘンことジミ・ヘンドリックスが住んでいた家を一般公開している博物館だという。
フリードリヒ・ヘンデルはオペラなどを作曲していた音楽家とのこと。
もしかしたら耳にしたことがある作品があったりして?

ジミ・ヘンドリックスは1968年から1969年という短い間だけ住んでいたようだね。
徒歩圏内に有名なクラブが多数あるらしく、活動しやすかったみたい。
どんな雰囲気で生活していたのか、部屋に入れるのは興味深い。
27歳という若さでこの世を去ったジミヘンにとって唯一の公式居住地になるんだとか。
SNAKEPIPEは特別ジミヘンのファンというわけではないけれど、近くまで行ったなら足を伸ばしてみたいね。

ファッションと音楽について鑑賞したので、次は少し学術的な博物館に行ってみようか。
SNAKEPIPEが高校時代に熱中していたのは読書!
図書館に行くと落ち着く文学少女だったんだよね。(笑)
ある時、ふと手に取った一冊の本がSNAKEPIPEの運命を大きく変えることになったのである。
それはジークムント・フロイトの「精神分析論」だった。
衝撃を受け、熱中して読んだものよ。
「リビドーはどこへ行く?」(「何故かバーニング 」by ヒカシュー)と口ずさんだっけ。(笑)
オーストリア人のフロイトが晩年を過ごしたロンドンの邸宅が、「Freud Museum」として一般公開されているというのは、見過ごせないね。
フロイトの私物や、診察する時に患者を横たわらせたカウチも展示されているという。
もし手紙や原稿が展示されていても、ドイツ語か英語で書かれているはずなので、読めないけれど、部屋の様子や調度品を鑑賞したり、空気を感じてみたいね。
ここで急にアレハンドロ・ホドロフスキーの「サイコ・マジック(原題:Psychomagie, un art pour guérir 2019年)」を観ていなかったことを思い出した!
「サイコ・マジック」はホドロフスキーが考案した心理療法なんだよね。
5年間も忘れていたとは、我ながら情けない!

最後は「Museum of Brands」という、パッケージ・デザインと広告の博物館に行ってみようか。
200年分のコレクションが鑑賞できる「タイムトンネル」があるというから期待しちゃうよ!
歴史のあるブランドのパッケージの変遷を観たり、イギリスのスーパーマーケットで最も多く購入された商品の展示などがあるという。
これは年度別で集計しているというから気になるよね!
ちなみに2024年3月に発表された2023年度に売れた商品の1位は、創業200年の「Cadbury」のミルク・チョコレートだって。
リサイクルや再充填などの環境問題について学ぶこともできるという。
入場料は10£、日本円で約2,000円くらい。
訪れてみたい博物館だね!

ロンドンに行ったら、大英博物館やテート・モダンなどは絶対に行くリストのトップに入るはず!
長期滞在するなら、と妄想してチョイスしてみたよ。(笑)
こうして想像するだけでワクワクするのが「世界アート(仮)探訪」の良さだね!
他にも面白そうな博物館があったので、また続きを書いてみよう。
次回もお楽しみに!

好き好きアーツ!#60 ミラー・アート編

【ミラーと聞いて思い浮かんだ曲】

SNAKEPIPE WROTE:

昨年の10月下旬にROCKHURRAH RECORDS事務所移転の話は何度かしたよね。
荷造りしている時、戸棚の奥から出てきたのは、段ボールで厳重にくるまれた物体。
前事務所にいる間、一度もお目見えしないまま、しまい込まれていたことになる。
中身は何なのか、しばし考え込み、鏡だったことに気付く。
かつて南方系のインテリアを好んでいたSNAKEPIPEが、一目惚れした逸品だったよ。
段ボールを外してみると記憶通りの鏡が出現!
経年劣化で木彫りのフラミンゴが美しかったインドネシア製の鏡は、色が褪せてしまい、少し寂しそうに見える。
着色し直して、もう一度飾ってみようかな!

鏡について考えていたら、鏡を使ったアートに興味が湧いてきたよ。
今まで鑑賞した展覧会でも、ミラー・アート(?)に出会っていることを思い出した。
過去に紹介した作品も含めて書いていこう!

鏡を使ったアート作品と検索すると、必ず上位でヒットするのが草間彌生なんだよね。
SNAKEPIPEも今までいくつかの草間彌生のミラー・アートを鑑賞したことがあるけれど、その中で一番印象に残ったのは、2004年に森美術館で鑑賞した「クサマトリックス」での「水上の蛍」だよ。
無限に広がる空間に、儚い光が点在している。
それはまるで死者の霊のように見えて、涙ぐみそうになったSNAKEPIPE。
「クサマトリックス」は素晴らしい展覧会だったので、アンコール展示して欲しいよ!

2022年5月にワコウ・ワークス・オブ・アートで鑑賞したアニッシュ・カプーアも忘れられない。
ステンレスを磨き上げ、鏡のようにピカピカにした作品群は、見つめていると目眩がするほどの存在感があったよ。
感想にも書いていたように、お金があったらカプーアの作品が欲しい!(笑)

2018年3月に森美術館で鑑賞した「レアンドロ・エルリッヒ展」にも鏡の作品があったよね。
「試着室」は、どこまでが本物の場所で、どれが鏡に写った光景なのか分からなくなり、不安を感じる体験型の作品だった。
まるで迷路を進んでいるようで、方向音痴のSNAKEPIPEにとっては恐怖そのもの!
アート作品を観ているのに、まるでホラーのアトラクション現場にいるよう。
2022年7月の「KAMU kanazawa」にもエルリッヒのミラー・アートがあったっけ。
「インフィニティステアケース」は、永遠に螺旋階段が続いているように見えるトリック・アートだったよ。
階段が横向きだったので、不思議な感覚に陥ったけれど、恐怖はなかったので良かったよ。(笑)

レアンドロ・エルリッヒの展覧会についてのブログにも出てきたのが、2017年1月に鑑賞した柳幸典の「ワンダリング・ポジション展」のミラー・アート。
暗い会場が迷路のようになっていて、鏡の効果で異空間に迷い込んだ気分になったんだよね。
更に鏡に自分の姿が写っていないことに気付いた時、SNAKEPIPEは絶叫しそうになったものよ。
ROCKHURRAHから「鏡の角度」について指摘されなかったら、二度と現実世界に戻れなかったでしょう。(大げさ)
恐怖の度合いでいうと、エルリッヒの「試着室」よりも格段に柳幸典が上だったね!
本当に怖かったもん。

他にも鏡を使ったアート作品はないのか検索してみる。
チリ出身の彫刻家であるIván Navarro(イヴァン・ナヴァロ)は光と鏡、電気を使用した作品を制作しているという。
画像は2016年の「Loop」という作品ね。
チリでのピノチェト独裁政権下で、人々が電気を止められ、自宅に孤立させられたらしい。
ナヴァロは、そうした恐怖や人間の行動の制御を表現しているんだとか。
監視、拷問、拘束、支配といった暗いテーマが扱われているけれど、きっと作品を目の前にしたら美しいんだろうね。
現在はニューヨークを拠点に活動しているというナヴァロの作品、一度観てみたいよ!

Chul Hyun Ahn(アン・チョルヒョン)は韓国出身で、現在はボルチモア(!)を拠点に活動しているアーティスト。
ボルチモアと聞くとジョン・ウォーターズを連想して興奮するSNAKEPIPEなんだよね。(笑)
アンは鏡と光の組み合わせを通じて、無意識の理論を探求しているんだとか。
「光の能力で自然の美を照らし、変容させる」というコンセプトを基に作品制作していると書いてあるよ。
「無限のイリュージョン」を感じることができるというアンの作品、どんな意識の変化をもたらしてくれるのか経験してみたいね!

オレゴン州ポートランドで作品を制作しているPeter Gronquist(ピーター・グロンクィスト)。
2017年のミラー・アート作品「Chrome Jets」を載せてみたよ!
縦と横の幅が152cmあるというので、かなり大型の作品だよね。
モチーフは飛行機や花で、ずっと下のほうまで続いているように見えるよ。
ちなみに花を使った作品は、$40,000、日本円で約600万円で購入可能だって。
かなりインパクトがあるだろうね!
グロンクィストは、ビデオや絵画から彫刻、特定の場所に特化したインスタレーションなど多岐に渡り制作する「一貫した独自のスタイルを持たない」アーティストだという。
「流動性と柔軟性を第一原則とする」らしいよ。
多彩なアーティストなので、いつか作品を目にする機会もあるかもしれないね。

今回は鏡をテーマに作品紹介してみたよ!
なんだかキュレーターになったみたいで面白かった。
また企画を考えてみよう。(笑)

好き好きアーツ!#59 HTコレクションより part3

20230917 04

【伯母が何枚も撮っていた夕日の写真】

SNAKEPIPE WROTE:

今週で最終回となる伯母の写真特集。
まるで写真家が撮影したようなショット集で締めくくってみよう。
きっと伯母本人は、たまたまシャッターを切っただけで、プロっぽく仕上げたつもりじゃないはず。
個人的な思い出の一枚だったんだろうけどね?

工場地帯を移した写真。
まるでアンドレイ・タルコフスキーの映画みたいじゃない?
恐らくバスか電車の中から撮影したように見えるよ。
インダストリアル好きのSNAKEPIPEには、グッときた一枚。

カラーのフィルムにはよくあった赤く焼けた写真。
デジタルになってからは見かけなくなったのは当たり前。
これはカメラに何かしらの光が入ったせいで、フィルムが感光したのが原因だって。
伯母は電柱をモチーフにしていることが多いんだよね。
惹かれるものがあったんだろうね。
写真的には失敗なんだろうけど、フィルムで撮影した写真ならではの味わいがある一枚だよ。

1970年代に始まる「ニュー・カラー」と呼ばれる潮流がある。
例えば2010年8月に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore」などの写真家が有名なんだよね。
色使いが独特で、初めて観ても「懐かしい」と感じてしまう写真。
影のバランスも抜群だよ。

色褪せたカラー写真を作ろうと思ってもなかなかできないよ。
伯母の写真特集は一切加工することなく、スキャンしただけの写真を載せているので、この色合いでアルバムに貼られていたんだよね。
70年代に、アメリカのディズニーランドに行ったようで、その時に撮影されたみたい。
なんとも言えないノスタルジックな一枚だよね。

ここからは、まるで写真家の藤原新也の写真集に収められているかのような写真を載せていこう。
霧の中にぼんやりと浮かぶ街並みは、まるで映画の一コマのよう。
建物の窓を開けて撮影されたみたいだね。

神々しく光を放つ雪山。
空の藍色との対比が美しい。
満州育ちの伯母やROCKHURRAHの母は、寒さに強かったみたい。
これくらいの雪なんてへっちゃらだったのかも?

自宅で咲いた花なのか。
ピンボケ具合が素晴らしいんだよね!(笑)
上の2枚と合わせると、藤原新也の写真に見えてしまうのはSNAKEPIPEだけ?
花が好きだった伯母は、何枚も写真に記録を残していた。
その中で奇跡の一枚がこれ。
伯母本人からすると、失敗作なのかもしれないけどね?

最後はこちら。
この写真も「メメント・モリ」に含まれていても違和感がない一枚だよ。
ピンボケの雲と水面に映る光が、この世とは思えない。
じっと観ていたら、写真の上下が逆さまだと気付く。
不自然な印象を持ったのは、そのせいかもしれないね?
伯母が撮りたかったのは、雲と光なので幻想的な一枚として、このまま載せておきたいよ。

映画「ブレードランナー」の中で、レプリカントと呼ばれる人造人間達が、「自分は人間だ」と証明するために写真を所持しているエピソードがある。
子供自体の写真があるから、自分は人間に間違いないと主張するんだよね。
写真の持つ重要さにショックを受けたSNAKEPIPE。

3週に渡って特集してきた伯母の写真コレクションにも、「ブレードランナー」に似た存在証明としての意義を写真に感じたんだよね。
伯母は、どんな想いで、これらの写真を撮ったのか。
写真を観ながら冥福を祈りたいと思う。