【会田誠展入り口を撮影。まるで隣のレストランが主役みたいだね】
SNAKEPIPE WROTE:
大ファンの作家、鳥飼否宇先生から「会田誠展」に関する情報を頂いたのは先週のことだった。
鳥飼先生は既に鑑賞されたというではないの!
鳥飼先生って奄美大島にお住いなのよね?
それなのに東京や横浜はおろか、海外にまで 軽いフットワークでいらっしゃるんだもの驚いてしまう。
教えて頂いた時には、鳥飼先生に「残念ながら行かれそうにありません」などと答えていたけれど!
鹿児島県よりは会場である青山に近い住まいのROCKHURRAH RECORDS。
なんとか会期の最終日に時間を調整して出かけることにしたのである。
一桁の気温の翌日は桜が咲く頃の陽気になったりする2月の後半。
日頃の行いが良いせいか、「会田誠展」最終日は晴れて気温が高い日だった。(笑)
会場は方向音痴のSNAKEPIPEでも迷わないで行かれる程、表参道交差点から近い良い立地!
会場である青山のクリスタルビルというのは、普段は何をやっているところなんだろう?
しかも入場無料なんだよね!
これは一体どんな企画なんだろう。
調べてみると「公益財団法人 大林財団」が2017年にスタートさせた「都市のヴィジョン-Obayashi Foundation Research Program」という、アーティストに理想の都市のあり方を提案・提言してもらう助成制度だという。
そしてめでたく第1回目のアーティストに決定したのが「まこっちゃん」こと会田誠だということなんだね。
テーマが都市だったから、ジオラマが多く展示されていたわけだ。
大林財団、やるなあ!(笑)
SNAKEPIPEが知らないだけかもしれないけど、日本の企業ってあまりアートに力入れないように思って。
こういう企業が増えると日本も変わってくるんじゃないかな?
ましてや「美術界の過激派」(SNAKEPIPE命名)である会田誠を選択するというのは「何やらかすか分からない」と、ヒヤヒヤする企業が多いはず。
そんな危険(かもしれない)を顧みず、展覧会を実施した大林財団に拍手を贈りたいね!(笑)
会期最終日の土曜日。
さすがに会場内は人がいっぱい!
撮影はOKだというので、撮れる限りバシバシ撮影してきたよ。
とは言っても、今回は「都市のヴィジョン」だからね。
展示されていた作品の半分は、画像のような会田誠の文章(思想?)だったので、本当は作品を鑑賞するためには、文章全てを読む必要があるんだろうね。
でもね、なにせ人が多い。
みんな同じように感じて読んでるからね。(笑)
動かないのよ、前面から。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHも、人の隙間から目に入る文章は読み、会田誠が何を言いたいのか、ある程度は理解したつもり。
右の画像ではスラムについて語っていたんだよね。
レゴブロックみたいに家を作るのは面白いけど、ライフラインや衛生面はどうなるのかな、とSNAKEPIPEは考えてしまったけど?
左の画像は遷都計画についての立て看板ね。
東京から北海道に遷都してはどうか、という提案をしている。
会田誠が本気で言ってるのか、単なる思いつきなのかは不明だけど、「会田誠展」を鑑賞する前日に聞いて驚いた話がある。
SNAKEPIPEの勤め先でのこと。
2018年3月から会社を移転します、という通知が取引先の会社から入ったのである。
今までは東京にあった会社を北海道に移転する、というのだ!
その話を聞いた時には「会社の社員、全員が北海道に移住するんだろうか?」と疑問に感じたけど、引っ越しするんだろうね?
実際にそんな話を聞いた後で、会田誠の北海道遷都計画を観たので、
「本当にそういう会社もあるからねえ」
と冷めているSNAKEPIPE。
本来であれば突飛なアイデアだと思うはずだけど。
会社が北海道やアラスカに移転と言われたら、あなたならどうする?(笑)
ダンボールで城を作り、都庁の前に置いた作品「新宿城」は面白かった。
実際にダンボール城を置いて、下から見上げるように撮影したんだろうね。
撮影しているところを目撃したら、かなり怪しい人に見えるだろうな。(笑)
山口晃の「都庁本案圖」も、都庁を城にしてはどうか?という提案を描いていたね。
この山口晃というアーティストについて、ほとんど知らないよ。
調べてみようか。
1969年東京生まれ
1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1996年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了
1997年、会田誠に誘われ「こたつ派」展に参加
おっ!ここで会田誠とつながるわけね!(笑)
検索してみると、浮世絵や大和絵に和洋折衷でレトロや現代のハイブリッドなモチーフを取り込んだ興味深い作品を発表しているようで。
このアーティストの作品も鑑賞してみたいね。
新国立競技場の設計に関してモメにモメたのは2015年?
最初に決定していたイギリス人建築家ザハ・ハディッド氏の作品に対して、森・元首相が「生牡蠣がドロっとたれたみたい」と発言していたっけ。
こんなことを言う人が日本を背負っていたとはね。
その森・元首相だったら、右の画像「東京オリンピック2020メインスタジアムのイラスト」について何と発言するだろうか?
まさかと思うけど、放送禁止用語言っちゃったり?(笑)
そんな想像をしながら鑑賞していたSNAKEPIPEだよ!
とても美しかったのは「セカンド・フロアリズム イメージ映像」だったね。
全部で何台あったのか不明だけど、様々なスライドが大きな日の丸の旗に映し出されていた地下2F中央。
スライドに何が写っていたのか全部は確認できなかったけれど、 民家や植物を見ることができた。
瞬間でそれぞれのスライドが変わってしまうため、動体視力に優れた人以外は「なんとなく」しか観られないんじゃないかな。
色合いや雰囲気だけでも、その場所を堪能できたように思う。
既存の物や作品をおちょくるような、パロディ作品を展開するのが得意な会田誠らしさが満喫できたのが右の画像。
描かれているのは「エヴァンゲリオン」に登場するキャラクター達だよね。
「発展途上国から始めよう」と題された、前述した「セカンド・フロアリズム」 のテーマに沿った作品なんだよね。
会田誠が全体を通して伝えようとしているのは、まるで村上龍の「愛と幻想のファシズム」で、主人公・鈴原冬二が「狩猟時代に戻ろう」と言ってるのと同質なのかな?
もっとシンプルに生活しようよ、ということなのかなという気がするけど、どうだろう。
「シン・ゴジラ」をパロディにした「シン・日本橋」や沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」を替え歌にして会田誠本人が熱唱していた「アーティスティック・ダンディ」の動画など、「いかにも」会田誠らしい作品で笑ってしまう。
ちなみに「ボギー、あんたの時代は良かった」の部分は「ボイス」になっていたね。
ヨーゼフ・ボイスは名前は当然のこと、代表作はいくつか知ってはいるけれど、、、。
スーツだけ観ても分からない。(笑)
このブログで何度か書いているけれど、解説を読んだり解釈について説明を受けないと理解できないアートには、あまり興味がないんだよね。
もしかしたら会田誠は、その辺りを茶化して歌詞にしていたのかもしれないね?
だから「アーチストがピカピカのサギでいられた」なのかも。 (笑)
トップにした画像は、本当は会場入口全体を撮りたかったけれど、入場制限がかかり入り口から通路にかけて行列ができていたため、ズラして撮影したもの。
そのため隣のレストランを撮影しているようになってしまったよ。(笑)
いくら入場無料とはいえ、会田誠の人気がよく分かるよね。
入場制限かかる前に、入れて良かったよ。
様々な展覧会に行くけれど、今回の会田誠展ほど観客の年齢層が低かったのは初めてかも。
30歳以下に見える若者ばかりだったんだよね。
マナーも良かったように感じたけど。(笑)
会田誠が、いかに若者からリスペクトされているのかを目の当たりにしたよ。
世界情勢や政治的な問題に関して、詳しくないSNAKEPIPE。
会場に来ていた若者達はどうなのだろう。
それらの問題をモチーフにした作品を発表することがある会田誠の口から出るのは、シンプルな言葉で理解しやすいように思う。
わかりやすいメッセージを伝えるからこそ、若者の支持を集めているのかもしれないね。
入場無料ですがボリュームありますよ、と鳥飼先生から教えて頂いた通り、地下1Fと2Fでの展示は見応え充分だった。
最終日に鑑賞できて良かったなあ!(笑)
鳥飼先生、情報頂きありがとうございました!