チュルリョーニス展 鑑賞

20260502 12.
【西洋美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週のブログ「北斎 冨嶽三十六景 鑑賞」で予告していたように、今回はもう一つの展覧会である「チュルリョーニス展 内なる星図」の感想をまとめていこう。
チュルリョーニスって初めて聞く名前だよ。
まずは経歴をまとめてみようか。

1875 リトアニア(当時ロシア帝国領)のヴァレナ近郊に生まれる
1889 ポーランドのプラテリ家音楽学校に入学
1894 ワルシャワ音楽院に入学
1901 ライプツィヒ音楽院に留学
1904 ワルシャワの美術学校に入学
1905〜 音楽と絵画を融合させた独自の作品(「ソナタ」シリーズなど)を制作し始める
1909 作家のソフィヤ・キマンタイテと結婚
1911 精神療養施設で死去

35歳という若さで亡くなっている、早逝のアーティストだったとは。
最初は作曲家として有名だったんだね。
音楽と絵画を融合させたアーティストって、現代でも珍しいんじゃないかな?
チュルリョーニスの音楽がYouTubeにあったので載せてみよう。

絵画作品も紹介している動画で、チュルリョーニスの世界がよく分かるね!
ここで予習が完了したので、展覧会についての感想を書いていこう。
会場での撮影はオッケーだったので、いつも通りたくさん撮らせてもらったよ。
気になる作品を紹介していこう!

「森の囁き」は、ワルシャワの美術学校に入学した1904年に描かれた作品だという。
ほとんど黒に近い木立と、ブレたような人の手が描かれている。
遠くに見えるのは海なのかな。
朝焼けか夕焼けの淡いオレンジ色の空が不穏な感じだよね。
チュルリョーニスの作品はほとんどがテンペラを使用していたようだけど、この絵は油絵だった。
この作品の色味が一番濃くて、暗かったよ。
SNAKEPIPEは、リンチの絵を連想した。
ちょっと雰囲気似てるんだよね!

1907年に制作された「冬」は、8点の連作なんだよね。
こちらは紙にテンペラで描かれている。
テンペラって馴染みがないので調べてみると、油絵具が普及する前には主にヨーロッパで使用されていた絵具だという。
顔料に卵を混ぜた卵テンペラが代表的なテンペラ技法だという。
卵テンペラは経年劣化しにくい特徴があるんだって。
「冬」シリーズは、樹木をモチーフに、厳しさと共に荘厳な印象を与えてくれる作品だった。
順に鑑賞すると物語が分かり、穏やかな気分になったよ!

1907年以降、チュルリョーニスはソナタ形式を導入した絵画制作を始めたんだとか。
ソナタといえば「冬のソナタ」を連想する人も多いだろうけど(笑)、そもそもソナタってなんだろう?
16世紀末から発展したピアノやヴァイオリンで奏でる、3〜4つの楽章で構成される楽曲のジャンルを指すという。
小説でいうところの起承転結のようなものか?
1908年の作品「舵のソナタ」は、オレンジと水色を使用した淡い色調の4連作で、とても美しかった。
タイトルにある舵がモチーフになっているようだけど、何が描かれているのかはハッキリ分からなかった。
モヤがかかったような水辺の風景に惹きつけられたよ!

「リトアニアの墓地」は1909年の作品だよ。
とても神秘的な印象の作品で、目が釘付けになってしまう。
十字架制作はリトアニアを代表する伝統文化のひとつなんだとか。
キリスト像や聖人像を収めた祠が載っている形状もあるという。
この作品に描かれているのも、リトアニア独自の十字架なのかな。
色のバランスが美しいね!
空には北斗七星がきらめいているよ。
静寂と不穏がチュルリョーニスのテーマなのかもしれない。

1908年の「頭文字のヴィネット」は、かわいらしい作品だった。
観た瞬間に「かわいい!」と口走るSNAKEPIPE。
紙にインクで描かれたアルファベットは、アール・ヌーヴォー調で素敵なんだよね!
「A」「B」「D」のように並んでいる。
26文字分作成されていたのか不明だけど、自分の名前をこの作品で並べられたら嬉しいだろうなあ!
若々しい生命力と純粋さのを象徴とされるチューリップの花が繰り返し描かれているのが特徴的だね。
とても気に入った作品だよ!

1909年の「夢のおとぎ話」は、シュルレアリスムの作品のようだね。
螺旋の城壁は本当に城へと続いているのかな?
フランツ・カフカの「城」を思い出してしまったよ。(笑)
この年、チュルリョーニスは新婚で妻と旅行して素晴らしい夏を送ったらしい。
悦びに満ちた作品と解説に書いてあったけれど、本当かな。
SNAKEPIPEはシュールで不条理なイメージを持ったよ。
だから好きなんだけどね。(笑)

展覧会のポスターに使用された「祭壇」は、1909年の作品だよ。
上に書いた「夢のおとぎ話」と同様で、対象を俯瞰して描いているんだね。
この作品も不思議な要素がいっぱいだよ。
祭壇には登れるのか、頂上から出ている煙は何なのかなど、たくさんの「?」が出てくるよ。
祭壇に描かれたオレンジ色の部分には、塔や橋、騎士、天使などが描かれているという。
モチーフが何かが分からなくても、象徴的なものだという予想はできるよね。
この絵を描いた翌年の2010年、過労や精神的負担から体調を崩して療養生活に入るチュルリョーニス。
絵画制作をしたのはわずか6年で、その間に300点以上の作品を手掛けたという。

約80点ほどの展示作品を鑑賞できて良かった!
ミュージアム・ショップに立ち寄ると、今回の展覧会用のグッズに目を見張る。
どこにいっても見かける展覧会トートバッグなどもあったけれど、珍しいのは豆皿!
3種類が販売されていて、ROCKHURRAHが2種類を買ってくれたよ。
「リトアニアの墓地」と「祭壇」の豆皿、素敵だよね!
他に「頭文字のヴィネット」がプリントされたクリア・ファイルも買ってもらい大満足だよ。
ありがとう、ROCKHURRAH!
チュルリョーニスの豆皿に明太子のせて、食べようね。(笑)

北斎 冨嶽三十六景 鑑賞

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【北斎 冨嶽三十六景展ポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

上野の国立西洋美術館での展覧会は、どちらかというとROCKHURRAH RECORDSの好みとは違う印象を持っている。
現在開催されている「チュルリョーニス展」が気になるというROCKHURRAHに誘われて、久しぶりに上野を訪れることにした。
北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」が同時開催されているので、観てみることにする。
今回は2つの展覧会のうち、北斎のほうを書いてみよう。
非常に有名な「冨嶽三十六景」だけど、すべてを鑑賞したことなかったんだよね!
今更ながらだけど、当ブログの基本理念である「温故知新」らしくて良いんじゃない?(笑)

葛飾北斎の「冨嶽三十六景」といえば、永谷園のお茶漬けのおまけのイメージがあるのはSNAKEPIPEだけではあるまい。(笑)
メンコくらいのサイズの北斎をコレクションしていた人も多いよね!
ROCKHURRAHの母も集めていたと聞く。
そんな北斎の浮世絵を西洋美術館で鑑賞することになるとは意外だよ。

恐らく北斎の作品の中で最も有名なのは、「神奈川沖浪裏」だよね。
今回の展示でもトップに飾られていた。
会場の四方の壁に、等間隔で並んでいる浮世絵をじっくり鑑賞するお客さんたち。
牛歩の列に混ざるしか鑑賞できなかったのは、ストレスだなあ。
最初に観たはずの「神奈川沖浪裏」が12枚目に再登場!
摺りが違うんだとか。
こうして2枚並べてみると、確かに色味や波しぶきの細かさなどに違いがあるよね。
会場では離れて展示されていたので判別できなかったけれど、摺る時期によって木版が劣化していくことがよく分かるよ。

北斎の「赤富士」は知っているけれど、「青富士」は初めて観たよ!
日本国内のほかに世界でも数点は存在しているという「青富士」。
正式なタイトルは「凱風快晴」だって。
「赤富士」の下絵なのかと思っていたけれど、並べてみると富士山の形が違うかも?
藍色のぼかしがとても美しくて、シンプルな「青富士」も気に入ったよ!

こちらも藍色が印象的な「上州牛堀」。
ほとんどの作品が東京〜神奈川の風景だけれど、この作品だけは茨城県を描いているんだよね。
霞ヶ浦の東になるらしい。
茨城のほうからも富士山が見えたんだね。
「高瀬舟」という江戸時代の輸送船と、その船を生活の場にしている船乗りをモチーフにした作品だという。
釜を持ち、米の研ぎ汁を川に流している様子は、日常を切り取った一コマだね。
水の音に驚いて飛び立つ鷺(?)も、動きがあって面白い。

こちらも船が描かれているね。
「江戸日本橋」は荷物いっぱい抱えた商人たち(?)が所狭しと乗っていて、船が沈まないのか心配になるほどだよ。
以前NHKの「浮世絵EDO-LIFE」という番組で、江戸時代の人々がどんな生活をしていたのかを知って驚いたっけ。
賑やかで、風情があって、遊びに関する文化も多かったんだよね。
商人たちの忙しさからも江戸の活気が伝わってくるよ。

「隅田川関谷の里」は、疾走する馬の躍動感が素晴らしい。
かつては隅田川からも富士山が見えていたんだね。
「冨嶽三十六景」シリーズの中で、富士山の色が赤系なのは先の「赤富士」とこの作品だけみたい。
黒い馬に乗っている人物が赤い着物を着ているところに注目する。
一人で乗っているとしたら男性だと思われる。
調べてみると、どうやら江戸時代に男性が赤色の着物を着るのはトレンドだったんだとか。
歌舞伎役者の影響だったというから、皆さんオシャレだったんだね!
富士山の赤と対になっていて素敵だよ。

最後に展示されていた作品がこれ。
遠くから眺めていたはずの富士山に登っているシーンだよ!
登山しているところまで浮世絵になっているとは驚き。
江戸時代の人は足袋に草履で山登りしてたんだよね。
滑らない靴やスニーカーもなく、よく登ったものだと感心しちゃう。
写真がないはずなので、この様子を見ている北斎も富士山にいたんだろうね!

冨嶽三十六景」なので36枚組だと思っていたら、全46枚なんだね。
全作品を鑑賞できて良かったよ!
富士山と庶民の暮らしぶりを捉えたアート作品は、さすがに素晴らしかった。
例えば高いビルの窓や車窓から富士山が見えると、嬉しい気持ちになるんだよね。
形の美しさはもちろんだし、霊峰富士と呼ばれるだけあってご利益を感じるからかもしれない。
かつて鑑賞した藤原新也の「新日本景富士」は、日常的に見える富士山を撮影した展覧会だった。
現代の「冨嶽三十六景」を狙っていたんだね!
1998年から28年後に気付くとは。(笑)

RINA BANERJEE  You made me leave home…鑑賞

20260419 top.
【展覧会の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「そろそろ限界かも」
ROCKHURRAHが話すのは、所持しているiPhoneのこと。
SNAKEPIPEもROCKHURRAHと同じ時期に購入したので、TouchIDがついたiPhone SEを大事に使っているんだよね。
最近では1日の終わりにはバッテリー残量が残り少なくなることがしばしば。
大して使っていないのにも関わらず、である。
そろそろ買い替えて新しくしようと計画し、2人揃って購入を決定する。

前回はアップルストアから通販で購入したようだけど(記憶が定かでない)、今回は実店舗で受け取ることにする。
現在エスパス ルイ・ヴィトンで開催されている展覧会にも行きたかったので、アップル表参道にいくことにしたのである。
一粒で2度おいしい、みたいなもんか。(笑)

汗ばむくらい気温が上がり、日傘をさしたり水分補給が必要なほどの暑い日、表参道に出かける。
最初にエスパス ルイ・ヴィトンを鑑賞してから、アップルストアに向かう予定である。
エスパス ルイ・ヴィトンについては、今までも「ギルバート&ジョージ Class War, Militant,Gateway」他、何度も書いているようにドアマンに要注意なんだよね!
今回も3、4人ドアマンが待ち構えていたので「ギャラリーです」と振り切ろうとするSNAKEPIPE。
「ご案内します、あ!ギャラリーは12時からです」
ショップの開店は11時だけれど、ギャラリーは時間違ったのね。
のちほど伺います、とルイ・ヴィトンを後にするROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
1度で済むはずのドアマン対応が2回になってしまってガッカリ。
予定変更し、アップルストアに向かうことにする。
事前受け取り予約をしてから出かけているので、アップルストアはすんなり完了!
12時を過ぎているので、再びルイ・ヴィトンに向かう。

「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
にこやかな笑顔に迎えられ、エレベーターまで案内される。
ショップのお客さんとしての訪問ではないので、毎回申し訳ない気持ちになるんだよね。(笑)

今回の展覧会はRINA BANERJEE (リナ・バネルジー)の「You made me leave my happy home to become someone else anew, in diasporas without origin to be related again this is living and in this waits the joy of one earthly place, hope of eternal intimacy. Intimate in Nature」という長いタイトルの展覧会だよ。
草間彌生のタイトルより長いね!(笑)
ChatGPTに訳してもらうと以下のようになったよ。

あなたは私を幸福だった故郷から離れさせ、
新たに別の誰かになるようにした。
起源を持たないディアスポラの中で、
再び何かと結びつくために——

これこそが生きるということであり、
その中にこそ、ひとつの大地に属する喜びと、
永遠の親密さへの希望が待っている。

自然の中での親密さ。

このタイトルを理解するためには、リナ・バネルジーの経歴を調べたほうが良さそうね。

1963 インド・コルカタ(旧カルカッタ)に生まれる
幼少期 イギリス(ロンドン、マンチェスター)で育つ
幼少期 アメリカ(ニューヨーク・クイーンズ)へ移住
1993 ケース・ウェスタン・リザーブ大学でポリマー工学の学士号取得後、研究化学者として勤務
1995 イェール大学美術大学院にてMFA取得(絵画・版画)
1990〜 科学分野を離れ、アーティストとして本格的に活動開始
2000 ホイットニー・ビエンナーレに参加
ニューヨークを拠点に活動
2007–2010 パリ、ベルリン、ロンドンなどで個展開催
2018 初の大規模回顧展「Make Me a Summary of the World」開催
2022 イェール大学にて「ポストコロニアル・クリティック」に任命される

今はカルカッタって呼ばないことに衝撃を受けたよ。
2001年からベンガル語の呼称コルコタになっているんだとか。
「和名で甲谷佗、加爾各搭、軽骨田という表記(Wikipediaより)」とは、漢字表記が得意なROCKHURRAHに教えてあげないとね。(笑)
リナ・バネルジーの経歴で驚くのは「ポリマー工学の学士号取得」の部分だよ。
難しい分野なので詳細は割愛するけれど、いわゆる「理系女子」ってことだよね!
理数系の頭脳を持ち、アートの道に進むなんてカッコ良い!(笑)

エスパス ルイ・ヴィトンは撮影可能なことは知っているけれど、念のために係の方に確認。
いつも通り大丈夫で良かった!
リナ・バネルジーの作品を紹介していこう。
タイトルの意味も絡めて考えてみよう!

会場に入ってすぐ目に入った作品がこちら。
「Native, migrant naturally(ネイティヴ、移民としての自然性)」は2018年の作品。
ヴィンテージのシルク製ウェディング・サリーはスカート部分の素材なのかな。
全体的に華やかな印象だけど、目が貝殻なんだよね。
そして画像には映っていないけれど、手にはロープみたいなのが巻き付き、足が金属で異常に大きいのが特徴だよ。
どうやらこれは家具の脚先に取り付ける装飾的な金属パーツを使用しているみたい。
美しく着飾っているけれど、手足はがんじがらめ、見る自由まで奪われている花嫁ってことかな?
故郷であるインドの象徴であるサリーと西洋の家具をミックスさせているところが、リナ・バネルジーの生い立ちを感じさせるよね。

会場中央にあったインスタレーション。
2021年の作品「Black Noodles」を鑑賞していると、係の方から「作品に触れないで」と注意を受けてしまった。
撮影に夢中になっていると、誤ってどこかに当たってしまいそうになるから気をつけないとね!
エスパス ルイ・ヴィトンの解説によると、これは「人毛の国際取引とその政治的背景を扱った」作品なんだとか。
巨大だけど繊細なオブジェは、様々な素材で構成されていた。
恐らくそれぞれに意味があるんだろうね。
呪術的なイメージもあり、SNAKEPIPEは少し怖い感じがしたよ。

上と似た印象だけど、2008年の作品がこちら。

不自然な嵐の中で、
豊饒でありながら脆く、欲望に満ちた世界は、
過剰な受粉によって汚染され、
無秩序な商取引を貪るように求めながら、
また、いくつかの混血的な所有物に測り知れない規模を与え、
奔放な遺産を排出し、
彼女の現代的な愛を撒き散らし、
どこか一つの場所を超えて深く息をし、
背を反らせて新たな帝国や宗教を投げ出し、
季節外れの希望に浸りながら、
本来は温めることのできないものを変えようとした。

上に書いたのがタイトルなんだけど、詩みたいだよね!
たくさんの花みたいな装飾と薄衣で形作られている球体とのバランスが美しいと感じたSNAKEPIPE。
使用されている素材の貝殻や羽には「移動」の意味があって、文化が移動して混ざり合う状態(ディアスポラ)のメタファーになっているんだとか。
鑑賞している時には気付いてなかったよ。(笑)

2015年/2023年に制作された作品は、目力が強くて奇抜な印象だったよ。
こちらもタイトル長いんだよね。

周縁にして中心の外にある《無言の証人》において、
彼女は仮設的な集落の最後の折れ曲がった縁を形づくる。
そこは陰に沈んだ暗い場所であり、
やがて虹色に光る棘を育てる。
それは“新参者”として知られるようになり、
その未熟な果実の硬さと青さによって、
あらゆる〈家〉を貫いていく。

ChatGPTに訳してもらったんだけど、意味はさっぱり分からないよ。
かなり不気味でインパクトがある作品だったよ。
これは「彼女」なのかな?
SNAKEPIPEはてっきり「彼」だと思っていたけど、違うのかな。(笑)

絵画作品の展示もあったよ。
アクリル絵具を使用していて、発色がキレイだった。
絵画は全体的にインド色が強いように感じたよ。
ヒンズー教の神々やモチーフからインスピレーションが来ているようだね。
SNAKEPIPEは立体作品よりも絵画のほうが好みだった。
残念だったのは、作品が天井に近い上のほうに展示されていたので、1点ずつじっくり鑑賞できなかったこと。
何が描かれているのか間近で観たかったな!

リナ・バネルジーは「アイデンティティ」「ディアスポラ」「ポストコロニアル」という3つの主題を持ったアーティストだという。
インドで生まれイギリスに渡り、アメリカに移り住む経験から来ていることが分かるよ。
自分探しや西洋文化に対する疑問などを表現に取り入れているんだね。
30年以上前からこうしたテーマを探求してきたアートを知ることができて良かった。
エスパス ルイ・ヴィトンは、これからも注目だね!

ポーランドの巨匠 ヤン・レニツァ 鑑賞

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【いつも通り、gggの入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHに誘われて訪れたのは、ギンザ・グラフィック・ギャラリー
現在開催されているのは「ポーランドの巨匠 ヤン・レニツァ」展で、「斬新な表現で国際的に高い評価を受け、ポーランド派と謳われたポーランドのポスター芸術(展覧会サイトより)」だという。
これはとても楽しみ!(笑)

巨匠と書かれているけれど、恥ずかしながらSNAKEPIPEは初めて耳にしたアーティストだよ。
経歴を調べてみよう。

1928 ポーランド・ポズナンに生まれる
1945〜 風刺漫画・イラストを新聞や雑誌に発表し始める
1947–1952 ワルシャワ工科大学 建築学部で学ぶ
1950 映画・演劇ポスターの制作を開始
週刊風刺誌「Szpilki」のグラフィック編集者となる
1954–1956 ワルシャワ美術アカデミーでポスターの巨匠ヘンリク・トマシェフスキ の助手を務める
1957 映画作家ヴァレリアン・ボロフチクと共同でアニメーション映画制作を開始
1961 ヴェルサイユ国際映画ポスター展でトゥールーズ=ロートレック賞を受賞
1963 パリに移住
1966 第1回ワルシャワ国際ポスタービエンナーレで金メダル受賞
1979–1985 ドイツの University of Kasselアニメーション学科の初代教授・学科長
1986–1994 ベルリンの ベルリン芸術大学(旧Hochschule der Künste)でポスター・グラフィックの教授
1987 ベルリンに移住
1999 カトヴィツェのポーランド・ポスタービエンナーレでグランプリ
2001 死去

17歳の頃から新聞などに作品を投稿していたんだね。
1950年代から「ポーランド派ポスター」の主要人物として認知されていたみたい。
「ポーランド派」とは、イタリアで1940年代から1950年代にかけて盛んだった「ネオレアリズモ」の影響を受けたグループを指すらしい。
それは反ファシズムや社会主義リアリズムへ反抗したムーブメントだったという。
映画監督ではアンジェイ・ワイダが有名なんだって。
同時期の日本では、大阪の具体美術協会がアヴァンギャルドな活動をしている。
戦後、世界中で様々な芸術表現が試されていたんだね!

ギンザ・グラフィック・ギャラリーは、無料とは思えない展示作品数の多さを誇る太っ腹なギャラリー!
撮影もOKしてくれるんだよね。
今回は、作品が全て額装されていたので反射してしまうのが残念だったよ。
少し画像が見づらいけど、許してね。(笑)
気になった作品を紹介していこう!

赤いバックに所狭しと作品が展示されている。
どれから観ようか迷ってしまうほどだよ。(笑)
ちょっと引いて8枚の作品を撮影したのがこれ。
ドビュッシー、ファウスト、モーツァルトなどの文字を読むことができるね。
どうやらこれはオペラの告知ポスターみたい。
ポーランドで公演されたものなのかな?
ヤン・レニツァの作品は、くっきりした大胆な色使いで目を引くね!

会場の一番目立つ場所に展示されていた作品がこちら。
左は1976年「第6回ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」、右は「ヴォツェク」(1964年)オペラのポスターだという。
流線型の中に目や口がある、ちょっと不気味だけどポップな作品は強烈だよね!
赤い作品は展覧会フライヤーに採用されているよ。
濃い赤からピンクまでのグラデーションと太くて黒いくっきりした線がドギツイ。(笑)
SNAKEPIPEが勝手に持っているポーランドのイメージが大きく覆ってきたよ!

ギャラリーの地下に移動する。
こちらにもたくさんの作品が展示されているよ。
ヤン・レニツァは、映画のポスターも手掛けていたんだね。
これはルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター(1958年)」のポスターだよ。
下から順に増えていく数字や矢印は、エレベーターを表しているんだね。
有名な映画だけど、SNAKEPIPEは未見かも。
黒い人影のバックが、彌生さながらの水玉になっていて、新聞に載った写真みたいなドットを表現しているのかな。
色合いと構図がカッコいい作品だね!

「死刑台のエレベーター」でヒロインを演じたのはジャンヌ・モローだったね。
同じくジャンヌ・モローを主演にした映画を撮っていたのは、ルイス・ブニュエル監督。
「小間使の日記」を観た時に、こんなに美しい小間使がいるものかと思ったっけ。(笑)
載せた作品は、ブニュエルの「熱狂はエル・パオに達す」(1959年)のポスター。
蝶なのかサソリなのか分からないような生き物が描かれている。
バックのボーダーが強いね。
ここまでズバッと一つのオブジェクトだけを描くアーティストは珍しい気がするよ。

こちらはなんとも抽象的なモチーフだよね。
大島渚監督1976年の作品「愛のコリーダ」は、世界的に注目を浴びた作品。
ハード・コア・ポルノとしてはもちろん、阿部定事件をモチーフにしている点も衝撃的だったはず。
現在とは違って、かつて日本女性は従順というイメージがあったはずだから。
貞淑で楚々とした印象があったはずの日本女性が、まさかあんな行動を取るなんて、世界中の人が驚いただろうね。
そんな映画の世界観を「うねうね」した曲線が絡み合った構図で仕上げたヤン・レニツァはさすが!
直接的に猥褻な絵柄を描かなくとも、淫猥な情欲の世界が分かるもんね。
大島渚監督は、このポスターを観たのかな?

年表に記載されている「1957年からアニメーション映画を制作」に関しての展示もあったよ。
1958年の「ハウス」と1962年の「ラビリント」が上映されていた。
ファッションや使われている素材が興味深く、ストーリーも面白い!
載せた画像は「ラビリント」で使用したアートワークの一部で、複写に手彩色だって。
昔のアニメは1秒間に何枚ものセル画を用意していたので、こうした手作業が必須だったはず。
現在では3Dになったため、使用されなくなった手法とのこと。
「ラビリント」がYouTubeにあったので、載せておこう。
14分のアニメーション、是非ともご覧あれ!

他には、絵本や風刺画もあったよ。
ヤン・レニツァの活動が総合的に理解できる展示数の多さに感謝だね。
販売されていたポスターをROCKHURRAHが買ってくれて、ホクホクしながら帰路につく。
ポーランド派のヤン・レニツァの作品をROCKHURRAH RECORDS事務所に飾るのが楽しみだよ!