【2組のカップルの行方や如何に?!】
SNAKEPIPE WROTE:
毎週末に映画を鑑賞する習慣はずっと続いていて、特別な用事がない限りは1週間に3本の映画を観ていることになる。
1ヶ月で約12本!
1年なら144本ということになるんだねえ。
計算してみるとその本数の多さに驚いてしまう。
それらの膨大な映画の中から、新作やカルト系を除いた琴線に触れる1本をご紹介しよう!という企画の「映画の殿」。
第3号は「悪魔の追跡」について特集してみようか。
「悪魔の追跡」(原題:Race with the Devil)は1975年のアメリカ映画である。
「イージー・ライダー」でキャプテン・アメリカを演じていたピーター・フォンダと「ワイルド・バンチ」や「デリンジャー」で圧倒的な存在感を見せたウォーレン・オーツが出演しているオカルト映画と聞いたら気になっちゃうよね!(笑)
YouTubeに当時の予告があったので載せておこう。
字幕なしだし、「きゃー!」みたいな絶叫だけが印象に残る映像。
さて、一体どんなお話なんだろう?
※鑑賞していない方はネタバレしてますので、ご注意下さい。
鑑賞後、一緒に観ていたROCKHURRAHと共に黙りこんでしまう。
なんとも言えないイヤーな後味の悪さ!
えっ、これで終わっちゃうの?という驚きの結末だったのである。
ロジャー(ピーター・フォンダ)とフランク(ウォーレン・オーツ)がそれぞれの妻を伴って出かけた旅行先で、悪魔崇拝者達による人身御供の儀式を目撃してしまったことから、その関係者から度重なる嫌がらせを受け続ける映画である。
あらっ、簡単に書き過ぎ?(笑)
ホラー映画などで「悪魔の○○」という邦題が付けられていることって多いけど、この映画に限っては本当にタイトルそのまんまなんだよね!
これは逆に珍しいかも?
この映画はストーリーがどうのというよりも、その嫌がらせがメインなんだよね!
儀式を目撃した後に関係者が逃げる4人を追いかけ、車の窓ガラスを割る。
割れた窓ガラスに「沈黙せよ」と書かれた警告を示すメモを残す。
ペットを殺害する。
ガラガラヘビを車内に潜ませる。
積んでいたバイクにキズを付ける。
長距離電話を全て使用不可にする。
車ごと体当たりしてきて暴走させる、などなど儀式の夜以来、心の休まる時がないほど加速する嫌がらせ。
親切そうに見える人も、結局はみんなグル!
保安官も、出会う人全てが信用できない状況だ。
その他の嫌がらせとしては、冷たい人々の視線がある。
一言も喋らず、ただ見つめるだけの人達。
それは嘲笑だったり、少し非難を含きつつ哀れみを感じているような視線である。
この視線攻撃、かなりゾッとするよー!
旅行に出た4人のうち、一番視線や雰囲気の異常さに敏感なのはロジャーの妻のケリーで、最初に視線を感じた時には「もう旅行をやめて帰ろう」と提案をしている。
ところがフランクにとっては、長年の夢であった長期旅行である。
俺は絶対に帰らない、スキーに行くんだと言って譲らない。
フランクの妻のアリスも折れて、同行することに同意してしまう。
なんでこの時に帰らなかったの?って思う人は多いと思う。
SNAKEPIPEもそう思った。
この時点なら、まだ窓ガラスを割られ、不審なメモが残っているだけだったのにね!
ただ、こんなに執拗に嫌がらせをしてくる儀式関係者が4人を無事に帰したかどうかは判らないけどね。(笑)
映画の舞台はテキサス州で、出発地点はサンアントニオ。
調べてみるとテキサス州というのはアメリカで2番目に面積の広い州とのこと。
ちなみに1番はアラスカ州だって。納得。(笑)
テキサス州を縦断した先に位置するコロラドを目指す旅というから、かなり移動距離が長いよね。
最初のキャンプ地である儀式のあった場所がどこだったのか不明だけど、きっと4人はラストまでテキサス州から出てないはず。
そしてそんなに広いテキサス州に、どれだけの数の悪魔崇拝者がいるのか謎なんだけど、4人が行く先々に悪魔崇拝の仲間がいることになってるの。
あの儀式の時に集っていたのは、多くても15人くらいだったんだけどねえ?
この粘着質タイプの追跡者というと思い出すのが「ノーカントリー」かな。
自分にとって都合が悪い相手をずっと追い詰めて殺害する。
「悪魔の追跡」の儀式関係者達も「み~た~な~!」としつこいところが似てるんだよね。(笑)
カーアクションのシーンでは、追いかけてくる運転手が見えなくて、誰が運転してるのか分からない。
これはスティーヴン・スピルバーグの「激突!」からの引用なのかしら?
追いかけられる恐怖というのは、SNAKEPIPEもよく夢の中で経験するんだけど、心臓バクバクなって本当に怖いと思う。
もしかしたらSNAKEPIPEが一番嫌なことなのかも?(笑)
そして他所の土地で邪険にされるのは「イージー・ライダー」も同じだったよね。
最終的には車の周りを儀式関係者に取り囲まれてしまう。
そこで映画は終わっちゃうんだよね。
逃げられなかったということはハッキリしてるけど、その後どうなったのかは鑑賞者にお任せ、という終わり方。
どーもすっきりしないよね。(笑)
4人を取り囲みたいなら、もっと早い段階でいくらでもチャンスがあったのにね?
その意味からも、この映画は嫌がらせによる恐怖体験を主題にしてると考えられるよ。
結局のところ4人はどうしたら良かったんだろう?
初めに警告文が来た時点でサンアントニオまで引き返せば良かったのか?
保安官に報告しなければ自宅の住所などを知られることもなかったのでは?
そもそも儀式を目撃しなかったら目的地まで楽しい旅が続いたんだろうか、など様々な疑問が湧いてくる。
それにしてもピーター・フォンダとウォーレン・オーツだったら、本当はもっとカッコ良く立ち回れたんじゃなかろうか?(笑)
これから夏休みで車で遠出しようとか、自転車で遠くまで野宿しながら出かけるなんて人も多いと思う。
そんな時、もしかしたらその土地での禁忌に触れる可能性もあるよね。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも人の気配のない場所を好む傾向があるので、この映画を教訓にしよう!
どうぞ皆様もお気を付け下さいませ!(笑)