SNAKEPIPE MUSEUM #74 Stuart Pearson Wright

20250105 05
【Halfboy and Halfsisterは2018年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

2025年最初のブログだね!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
元旦にROCKHURRAHが書いた記事にもあったように、SNAKEPIPEは病み上がりなんだよね。
言葉通りの寝正月になってしまい、計画していたことができなかったのが残念。
ほとんどが大掃除に関することなので、これから気長が進めていこう。
年末だけが掃除のチャンスじゃないしね?(笑)

まだ正月だけど、ROCKHURRAH RECORDSでは普段同様の記事を書いていくよ。
今回は「SNAKEPIPE MUSEUM」として、Stuart Pearson Wrightを紹介したい。
読み方はスチュアート・ピアソン・ライトで良いのかな。
作品の前に経歴を調べてみよう。

1975 イングランド中東部のノーサンプトンに生まれる
1999 ロンドン大学 スレード美術学校 美術学士 (優等学位)
2003 ロイヤル・ドローイング・スクール「ドローイング・イヤー」
2014 妻と2人の子供と共にイングランド東部サフォークの田舎にある城に移住

情報が少ないので、わかっているのはこれくらい。
本人のサイトには「2004年王立芸術協会の依頼で制作したエディンバラ公爵の肖像画」についても記載されていて、上半身裸の王子に青いハエが描かれていたため、受取を拒否されたという。
個展の開催や数々の賞を受賞していて華々しい経歴だけど、上に書いたようなパンク要素を併せ持ったアーティストだと分かるね。
どんな作品なのか、早速観ていこう!

ピアソン・ライトの作品で一番最初に目に留まったのがこの作品。
「Middlesbrough」は1998年に制作された油絵なんだよね。
「Middlesbrough(ミドルズブラ)」 は、イングランド北東部に位置する都市の名前だという。
2人の子供を抱き、ベンチに座る母親。
目には光がなく、絶望や悲嘆といった単語がよく似合うよ。
子供に目をやると、なんとも不気味な顔立ちにゾッとする。
おじいさんみたいな顔をした膝に乗っている子供も、泣き出しそうな左の女の子も、通行人から頭を撫でられたりお世辞を言われることがないほどの醜悪さ。
これを描いたピアソン・ライトは23歳?
まだロンドン大学在学中だったんだね。

「The Ventriloquist(腹話術師)」は2001年の作品。
自分とそっくりの人形と対峙するのってどんな気分だろうね?
腹話術師というのは、紀元前にまで遡る歴史があるんだとか。
日本で有名なのは「いっこく堂」かな。
全く唇を動かさず、人形のセリフを吹き替える芸に驚いたことがあるよ。
ピアソン・ライトの腹話術師はどうだろう。
まず見た目のインパクトが強いので、座っているだけで面白い。
どんな掛け合いが行われるのか、観てみたいよね。(笑)

「Gallus gallus with Still Life and Presidents」は、ピアソン・ライトが2001年にBPポートレート賞で1位を受賞した作品だという。
「Gallus gallus」とはニワトリを表すラテン語で、弱さや臆病さ、あるいは田舎的で素朴なシンボルだという。
テーブルの真ん中に死んだニワトリがいるのが分かるね。
「Still Life(静物画)」と「Presidents(大統領たち)」を組み合わせることで、風刺やブラックジョーク的な意味合いがあるみたいだよ。
そうした意味を知った上で大統領たちの顔を確認すると、どこかしょぼくれて見えてくる。
ピアソン・ライトは、ちょっとヒネった表現が得意みたいだね。

「The Tragedy of Maurice and Tabitha」(モーリスとタビサの悲劇)は、2000年の作品。
背景には、まるでユトリロのような白い建造物が描かれ、薄曇りの空も美しい。
手前にいる人物に目をやると、なんだか様子がおかしいよね。
バラバラに切断されたタビサ(?)の頭部を愛おしそうに抱きかかえるモーリス。
マネキン人形みたいに、体のパーツを組み立てられるようなので、人間ではないのかも。
モーリスの様子をじっと見つめている、左の男性も意味不明。
ピアソン・ライトには「なんか変」と思わせる作品が多くて、とても好みだよ!

ピアソン・ライトは自画像をよく手掛けていて、左は「I’ll never stop lovin’ you」という2010年の作品なんだよね。
西部開拓時代をテーマにしているようで、カウボーイ姿になっている。
隣の女性は「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラみたいだし。(笑)
他にも中世の騎士に扮した自画像や動画もあったよ。
先日のキリコ展で、キリコも様々なコスプレで自画像を描いていたっけ。
自画像を描く人っていうのは、やっぱり自己愛が強い人なのかなあ?
それにしてもピアソン・ライトの画筆の素晴らしさ、伝わるよね。

「Wanderer」は2014年の作品。
意味を調べてみると「放浪者、さすらい人」といった旅人みたいな訳になったよ。
SNAKEPIPEには、ホラー映画のワンシーンに見えてしまったんだけどね。(笑)
湖で作業を行って帰るところ、月明かりにふと目をやった犯人と想像したよ。
手には何も持っていないから、すべて湖に投げ捨て、証拠隠滅を図ったに違いない。
静寂に包まれた絵画なのに、不穏な空気を感じることができて素晴らしいよ。
何気ない一枚なのに、物語が浮かぶのは楽しいからね!
スペインのアーティストであるエンリケ・マルティを彷彿させるよ。
これからもピアソン・ライトに注目していこう!

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