ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ 鑑賞

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【東京駅八重洲口出口24番にあった看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ずっと以前からROCKHURRAHに誘われていたのは、「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」展だった。
もしかしたら昨年から約束していたのかもしれない。
SNAKEPIPEの入院により展覧会鑑賞が叶わず、会期終了間際での鑑賞になってしまった。
前回、会場のアーチゾン美術館を訪れたのは2022年11月の「Art in Box マルセル・デュシャンの《トランクの箱》とその後」だったので、およそ3年半ぶりになるんだね。
その間にROCKHURRAH RECORDS事務所移転があり、東京都民から神奈川県民に変わったことも、足が遠のいた理由かもしれない。
久しぶりに「これは!」という企画展なので、とても楽しみにしていたよ!
アーティストであるアルプ夫妻について、少し勉強しておこうか。

ゾフィー・トイバー=アルプ
絵画、彫刻、テキスタイルデザイン、舞踊、建築、インテリアデザインなど、多岐にわたる分野で活動し、芸術と工芸、抽象と具象の境界を越える作品を生み出す。

1889 スイスのダヴォスに生まれる
1906〜1910 テキスタイル・デザインを学ぶ
1915 舞踊学校でダンスを学ぶ
この年、夫となるジャン・アルプに出会い、ダダイズムに参加
1916〜1929 チューリッヒの応用芸術学校で刺繍やデザインの講師を務める
1926 ジャン・アルプとともにフランス国籍を取得
1930〜 ロシア構成主義のレビュー「Plastique(Plastic)」をパリで設立
1943 ストーブの故障による一酸化炭素中毒により事故死

ジャン・アルプ
フランスとドイツの両文化に根ざした彫刻家、画家、詩人であり、20世紀初頭の前衛芸術運動、特にダダイズムとシュルレアリスムの中心的存在。

1886 ドイツのシュトラスブルク(現在のフランスのストラスブール)に生まれる
1904 パリで詩を初めて出版
1905〜1907 ドイツ・ワイマールの美術学校で学ぶ
1908 パリのアカデミー・ジュリアンに入学
1916 ダダ運動の創設メンバーとして活動を開始
1922 ゾフィー・トイバーと結婚
1925 シュルレアリスム運動に参加
1926〜1930 「アブストラクシオン=クレアシオン」グループの創設メンバーとして活動
1930~ 石膏や大理石を用いた彫刻制作を始める
1959 再婚し、スイス・ロカルノに新たな住居兼アトリエを構える
1966 死去

ご夫妻なので2人分書いてみたよ!
トリスタン・ツァラらと共にチューリッヒダダイスム宣言を発表したり、友人にはカンディンスキーやマルセル・デュシャンがいたり、豪華な顔ぶれが勢揃い!
憧れの1920年代をリアルタイムで経験した、アーティストご夫妻だもんね。
ゾフィー・トイバー=アルプは、スイスの50フラン紙幣(1995年〜2016年)に肖像が使用されるなど、高く評価されているんだとか。
年表の中に、ダダイズムやシュルレアリスム、ロシア構成主義といったワクワクする単語が並んでいて嬉しくなるよ。
2人の作品鑑賞、とても楽しみだね。(笑)

5月なのに夏日が続き、このまま一気に夏になってしまうのか心配したけれど、展覧会鑑賞予約をした日は、少しひんやりしていて歩きやすかった。
今までアーチゾン美術館へは銀座線の京橋から歩いていたけれど、東京駅からも歩いてすぐなんだよね。
地下道を通って行ったので、すんなり到着したよ!
アーチゾン美術館横に、先頭に旗を掲げた団体客が並んでいて、まさか同じ展覧会を鑑賞しにきたのでは?と危惧してしまう。
そして残念ながらその予想は的中してしまったんだよね。

会期終了間際にも関わらず、団体客のせいばかりではなく、実際にお客さんが多かった。
撮影はすべてOKだったのは良かった!
展覧会は4つの章に分かれて展示されていたよ。
気になった作品を紹介していこう。

第1章  形成期と戦時下のチューリヒでの活動

チューリッヒじゃなくてチューリヒなんだね?
「ハロー!チューリッヒ!」って宣伝も見てるのにね。(笑)
最近様々な表記が、以前見聞きしていた時とは違っていて、戸惑うことがあるよ。
画像はゾフィー・トイバー=アルプ、1917年〜1918年頃制作された手帳カバーで「抽象的なモティーフによる構成」。
麻布の土台にビーズ刺繍が施されているんだよね。
抽象的なモチーフの面白さと色合いの美しさが見事!
レプリカがあったら欲しいと思ったよ。

一方、夫であるジャン・アルプ、1915年の作品がこちら。
「トルソ=へそ」は木製の彫刻作品なんだよね。
ジャンには「へそ」と名付けた作品が多いことに気付く。
母親とのつながりというところから、起源や自然、生命の普遍性などがテーマになっていると説明されていたよ。
この作品を作った年、ジャンとゾフィーが出会っているんだよね。
2人共アブストラクトを志向しているので、意気投合するのは納得!
むしろ結婚まで7年かかっていることが不思議な気がするよ。

ゾフィーは、1918年に人形劇「鹿王」の人形制作を行っていたみたい。
展示されていたのは、2010年代に復刻されたレプリカだったよ。
ゾフィーの手にかかると、人形が抽象的なパーツの組み合わせになっていて面白い。(笑)
3体(!)の人形は「デラーモ王 」「守衛」「鹿」で、真鍮シートやベルが使用されているという。
当時も同じ素材でできていたのかな?
別の章でアルプ夫妻のアトリエ兼住居が紹介されていて、たくさんの人形が飾られていたんだよね。
きっと「鹿王」に登場した人形たちだったんじゃないかな。
これもミニチュアでフィギュアがあったら欲しかったなあ。(笑)

第2章 越境する造形 空間の仕事とオブジェ言語

1919年から1929年までの軌跡を紹介するチャプターで、最初に気になったのはゾフィーの作品。
1920年〜1924年頃制作された「パッチワークのズボン」がオシャレで目を引いたよ!
素材はビスコースと綿だって。
ビスコースというのは、レーヨン素材の一種で最も古い自然素材の合成繊維とのこと。
ゾフィーは元々テキスタイルの勉強をしていたので、布を扱うことに慣れていたんだね。
色彩のバランスが素敵で、斬新なパンツだよ!

1924年に制作されたジャンの「花の頭部をもつトルソ」は木に彩色している作品。
色がハッキリしていて好みだよ!
緑×ピスタチオグリーン×ブルーの3色、真似たくなるコンビネーションだね。
他に彩色した厚紙を使った作品「トルソとへそ」も並んで展示されていたよ。
また「へそ」だね。(笑)
もうこの時には二人は結婚しているね。
お互い刺激し合って、制作していたんだろうなあ!

アルプ夫妻は、18世紀に建造された歴史的な複合娯楽施設である「オーベット」の改築に伴う室内デザインを依頼され、大きな収入を得たという。
「オーベット」の室内デザインも展示されていて素晴らしかったよ。
得たお金でアルプ夫妻は住所権アトリエを建設したというから羨ましいね。(笑)
その建物の模型が展示されていた。
窓枠が赤でかわいいよね!
それぞれのアトリエと生活空間があり、2人にとって快適な住まいだったという説明があった。
日常生活と芸術が結びついて、お互いを高め合い創作活動できただろうね!

第3章 前衛の波の間で 各々の探求とコラボレーション

ゾフィー、1931年の作品「長方形と円による構成」。
単純な形を白、赤、青、グレーのみを使用して配置したシンプルさが素晴らしい!
バランスの良い構成で作品を作る日本画に近い雰囲気だよ。
マルだけに注目すると、まるで点字のよう。
未来人がこの作品を発見したら、エジプトのヒエログリフのような古代文字と勘違いするかもね?(笑)
ROCKHURRAHは「この時代にはないはずのコンピュータ回路のようだ」と感想を話す。
確かに、アナログなのにデジタルっぽいもんね!

1938年にジャンが制作したブロンズ製の「つぼみ」。
抽象的な彫刻は、タイトルと作品に関連を見いだせない場合も多いけれど、ジャンの場合はむずかしくなかったよ。
口を開けたヘビみたいにも見えてくるなあ。(笑)
有機的な形態を彫刻にする取り組みは、この頃から始まったみたいだね。
「具象彫刻」というんだって。
「つぼみ」は植物から、ジャン自身の詩作や民話から着想を得た彫刻作品も展示されていたよ。
つるんとした表面を撫でてみたい衝動に駆られたよ!

第4章トイバー=アルプ没後のアルプの創作と「コラボレーション」

年表にあったように、1943年ゾフィーは不幸な事故により急逝してしまうんだよね。
ジャンは強いショックを受け、4年間修道院にこもり、詩作することで妻を弔っていたんだとか。
人生のパートナーであり、同じ志向のアーティストだったゾフィーの不在は、ジャンに想像を絶する苦しみを与えたに違いない。
画像は1939年にゾフィーとジャンがドローイングのコラボレーションをした作品(左)と、1950年頃ドローイングを基に描かれた油彩画「共同絵画」(右)。
涙が出そうになるエピソードだよ。
ジャンはゾフィーの作品を立体にする試みを行っていくんだよね。

ブロンズ作品と絵画作品が上下に展示されている。
下の作品は1942年にゾフィーが制作した「幾何学的な構築」で、その作品を基にジャンがブロンズで彫刻作品にしているんだよね。
「晩年のコンストラクション」は1960年頃まで続いていたみたい。
ゾフィーの力強く伸びやかな作品のカッコ良さが立体化されていて、素敵だった。
SNAKEPIPE MUSEUMに所蔵したくなったよ!(笑)

1922年に結婚してから約20年間、寄り添ってきたゾフィーとジャン。
画像は1928年に「オーベット」前で撮影されたゾフィー(真ん中)とジャン(右)。
幸せそうな2人を見ると、事故が起きなかったら、と「IF」を想像してしまうね。
ジャンの心にぽっかりと空いてしまった空洞は、ゾフィーに思いを馳せながら行う制作で、少しずつ埋まっていったのか。
完全になくなることはなかっただろうと予想する。
夫婦で作品制作を行っていたというと、椅子で有名なイームズ夫妻を思い出すね。
2019年3月に「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」で、イームズ夫妻のアトリエ兼スタジオを鑑賞したっけ。
生活とデザイン、想像力(創造力)は連動しているよね。
「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ 展」鑑賞できて本当に良かった!
ROCKHURRAH RECORDSも2組のカップルを見習って、お互い切磋琢磨していきたいと思う。
まずは部屋の掃除から始めるかな。(笑)

映画の殿 第72号 正直政治家 チュ・サンスク

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【ラ・ミランと脇を固める名優たち】

SNAKEPIPE WROTE:

毎日何かしらのドラマを観て、週に1本は映画鑑賞しているROCKHURRAH RECORDS。
先日鑑賞した韓国映画を特集したいと思う。

「正直政治家 チュ・サンスク(原題:정직한 후보 2019年)」の主役は、「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」や「ジョンニョン: スター誕生」で印象的だったラ・ミラン。
韓国版の京塚昌子といった雰囲気で(古い!)、良い味出してる女優なんだよね。
韓国の40代、50代の俳優は個性派揃いで、演技も歌もこなすマルチな人が多いように感じるよ。
「正直政治家 チュ・サンスク」では、ラ・ミランがコメディを演じていた。
あらすじはこちら。

息を吐くように嘘をつき続け、多くの国民の支持を集めてきた国会議員のチュ・サンスク。
4期目の当選を目指すべく選挙活動中だったが、ある日、祖母の勝手な神頼みによって嘘をつくことができなくなってしまう。
街頭演説や討論会でも本音ばかりが口から出てしまい、サンスクは混乱するばかり。
本当のことしか話せなくなり、政治家生命の危機に陥ってしまう。
「嘘」という強力な武器を無くしてしまった彼女が挑む選挙活動とは?
(Filmarksより)

日本語字幕付きトレイラーが探せなかったので、英語字幕付きを載せてみよう。

ラ・ミラン演じるチュ・サンスクは、パープル色をイメージカラーに設定しているんだね。
日本で紫色は、高貴な色として認識されているけど、韓国も同じなのかな?
女性政治家らしい雰囲気を出しているチュ・サンスクだけれど、実態は舌先三寸、己の利益のためなら嘘をつくことは日常茶飯事なんだよね。
画像右は、秘書のヒチョルを演じるキム・ムヨル。
キム・ムヨルは映画「記憶の夜」やドラマ「未成年裁判」「暴君」などで知っている俳優だよ。
ラ・ミランとのかけあいは、まるで夫婦漫才みたいに息がぴったり。(笑)
ラ・ミランもキム・ムヨルもコメディに向いてるね!

チュ・サンスクの夫を演じているのは、ユン・ギョンホ。
色々なドラマで目にするバイプレーヤーだね。
ドラマ「クリーニング・アップ」や「梨泰院クラス」にも出演していたし、「ヴィンチェンツォ」での「プッチギ、パッチギ」と言いながら踊るシーンは忘れられないよ。(笑)
悪人役でも根は善人みたいな役どころが似合うね。
サンスクの夫役も似合っていたよ。
実年齢ではラ・ミランが5歳年上みたいだね。(笑)

嘘ばかりつくサンスクを心配し、「正直になりますように」と祈るおばあさん。
祈りが届き、サンスクは嘘がつけなくなるんだよね。
このおばあさんも、かなりの曲者で口が達者だから、サンスクのような孫がいても不思議ではない。
嘘は良くないかもしれないけど、政治家だったら「良い嘘」が必要な時もあるかもしれないよね。(笑)
おばあさんの神通力は強くて、サンスクに2回目の呪いがかかってしまうんだよね!

この映画でラ・ミランが第41回青龍映画賞主演女優賞を獲得していたんだね!
体当たり演技で、最高だったもんね。(笑)

2022年に「帰ってきた正直政治家 チュ・サンスク(原題:정직한 후보2)」が公開されてるんだよね!
ROCKHURRAH RECORDSでは、どちらの映画も2025年に鑑賞しているので、続編があることを知って小躍りしたよ。
ラ・ミランがパワーアップして登場しているよ!

ソウル市長選挙で落選し、無職になってしまったチュ・サンスクは偶然、海で溺れた青年を救出したことで再び注目され、故郷・江原道の知事として華麗に復帰!
正直に執務にあたるものの支持率が急降下し、結局また嘘をつくように。
するとサンスクと秘書のヒチョルに、祖母の「真実の呪い」がかかり、2 人とも嘘がつけなくなってしまう!
そんななか、大統領も出席する全国知事協議会に出席したサンスクは、失言を繰り返す。
さらに、進めていた住商複合施設の建設に問題が発生。
果たしてサンスクはこのピンチをどう切り抜けるのか…!?
(Filmarksより)

前回からの続き、という設定になっていて、嬉しい。
なんと今度はサンスクだけではなく、秘書のヒチョルまで呪いにかかってしまうとは!
前作ではヒチョルが、なんとか取り繕っていたのにね?(笑)

こちらも日本語字幕トレイラーが探せなかったので、英語字幕で勘弁してね!

「帰ってきた正直政治家」では、少し話が大きくなってた。
前作同様、秘書と旦那は同じキャストだったけれど、新たに加わったのがサンスク夫の妹。
ハワイかぶれしていて、サンスク宅をハワイアン仕様にしてしまうほど。
演じているのは、映画「サニー」やドラマ「サイコだけど大丈夫」などに出演しているパク・ジンジュ。
特徴的なのですぐに判別できる女優なんだよね。
サンスクの味方になり、頼もしい存在になっていくところが良かったよ!

秘書のヒチョルよりも気が利いて、サンスクの信頼を勝ち取る補佐官チョ・テジュをソ・ヒョヌが演じている。
ドラマ「悪の華」や映画「ロ・ギワン」で観ていた俳優だね。
「帰ってきた〜」では、あまりに仕事が出来過ぎていて、胡散臭さがプンプン!
そんな役がピッタリだったよ。(笑)

スケールが大きくなったのは、北朝鮮が絡んできたこと。
北朝鮮代表として来たリム・ソニ役を演じたのは、キム・ジェファ。
ドラマ「クリーニングアップ」に出演していたね。
「極秘にお願いしたいことがある」
とサンスクに耳打ちした内容に大笑いしてしまった。
ネタバレしちゃうから言わないでおこう。(笑)
キム・ジェファも名バイプレーヤーの一人だね。

「正直政治家 チュ・サンスク」も「帰ってきた正直政治家 チュ・サンスク」も、基本的には同じ路線。
場をわきまえず、言ってはいけないことを堂々と話すところが痛快で、笑ってしまう。
正直者はバカを見る、という「ことわざ」とは逆の展開になっていくところも良かった。
ラ・ミランが出演している他の作品も観たいと思う。
また気になる俳優が増えて嬉しいよ!(笑)

ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市 鑑賞

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【アヴァンギャルド・ポスター展のフライヤー】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年11月の「松谷武判展」以来、約半年ぶりに、当ブログのカテゴリー「行ぐぜ!exhibition」を更新しよう。
「行ってみよう」とROCKHURRAHから誘われたのは、渋谷ヒカリエで開催されている「第二弾 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」だった。
以前も書いたことがあるけれど、ROCKHURRAH RECORDSは「アヴァンギャルド」という言葉に弱いんだよね。(笑)
アヴァンギャルドなポスター展、とても楽しみ!

乗り継ぎとしては利用しているけれど、渋谷で下車して歩くのは久しぶりだよ。
駅周辺を工事している関係で、近道なのか遠回りなのか分からない感じで歩き回り、ヒカリエに到着。
以前ヒカリエのギャラリーでデヴィッド・リンチ展を観たっけ。
調べてみると2014年7月の「鬼才デヴィッド・リンチの新作版画/写真展」だったよ。
今から11年前か。(笑)

ヒカリエの8階のBunkamura Gallery 8/を目指す。
8階にはいくつものギャラリーがあるので、人の出入りが多いよね。
少し歩くとポスター展会場が見えてきた。
ポスターは展示販売されているためなのか、撮影禁止を注意書きされている。
ブログで載せている画像は、展覧会場で撮影したものではないのでよろしくね!
会場にはおよそ30点ほどの作品が展示されていたよ。
気になる作品を紹介していこう。

1960年代〜70年代のアヴァンギャルドなポスターというと、劇団の公演を告知する作品が多い。
当時の2大アングラ劇団といえば、寺山修司の天井桟敷と唐十郎の状況劇場!
SNAKEPIPEは当時の人ではないので、後付けで調べてるタイプだよ。
天井桟敷も状況劇場も、リアルタイムで観たかったなあ、と思う。
もし公演の様子がDVD化されたとしても、空気感や匂いなど、同時代の感覚までは再現不可能だもんね。
載せたのは、天井桟敷公演の「毛皮のマリー」で、ポスターデザインは横尾先生だよ!
横尾先生は天井桟敷のポスターを多く手掛けていて、ミュージアムショップなどで目にする機会も多いよね。

宇野亞喜良の作品も多く展示されていたよ。
鮮やかな色使いで、とても美しい!
販売されていた金額は、作品によってまちまちだったね。
地下で営業している、色っぽいマダムがいる店に飾ったら似合いそう。
この感覚がすでに昭和な感じか?(笑)
載せたのは、1968年に公演された天井桟敷「新宿版 千一夜物語」のポスターね。
こんなポスターが街に貼られていた60年代に憧れるよ!

グラフィックデザイナーである粟津潔が手掛けたのは、1969年に天井桟敷公演の「犬神」。
白のバックに赤一色だけを使用した斬新さが見事!
シンメトリー構図で、上部や手のひらに印鑑が押されているのが不気味だよね。
印鑑を作品に取り込んでいるのを初めて観たかもしれない。
犬神と聞くと「犬神家の一族」や「犬神博士」を連想してしまうね。
どちらにしても怖いイメージがあるので、このポスターは恐怖を煽るのにふさわしい。
粟津潔デザインによる他の作品もカッコ良かったよ!

画家の金子國義が劇団状況劇場に関わっていたんだね。
1970年の「ジョン・シルバー 愛の乞食編」のポスターに金子國義の作品が使用されている。
すぐに金子國義と分かる特徴的な絵画だよね。
便器に座る全裸の女性。
身につけているのは靴下と靴だけとは。(笑)
60年代や70年代はヌードに関して寛容だったことが分かる。
それにしても、ポスターで横位置は珍しいね!

麿赤兒が1972年に設立した大駱駝艦の「48.DANCE-桃杏マシン」公演ポスター。
艦隊を持ち上げる手と手前の足は確認できたので、人体を描いているのか?
真ん中に様々なポーズを決める5人のシルエットがあるね。
両サイドの2人は、とても人間とは思えない特徴を持っていることが分かる。
さすが70年代、自由だわ。(笑)
ここでSNAKEPIPEは、かつて「白虎社の体験をしてきた」という知人がいたことを思い出した。
ほぼ1日、うさぎ跳びのような動きをさせられていたらしい。
一体何年前の話をしてるんだろうか。(笑)
舞踏集団白虎社は1994年に解散したようだけど、大駱駝艦は今も公演を続けていることを知ったよ。
一度は「BUTOH」を鑑賞してみたいね!

天井桟敷が1974年に公演した「盲人書簡 上海編」のポスターを手掛けたのは、漫画家の花輪和一!
「丸尾末広のポスター?」
と間違えそうになってしまったROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
どちらにしてもエログロ系ってことだね。(笑)
「盲人書簡」らしく、ポスターの人物は全員眼帯やサングラスを着けている。
猫の目の光で書物を読む、とポスターの中に書かれているように猫の目だけは描かれているね。
このポスター、とても気に入ったよ!

1978年、状況劇場が公演した「河童」のポスターに、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげるの作画が使用されている。
花輪和一に続いて漫画家が連続してしまった。(笑)
妖怪といえば水木しげるの登場になるんだね!
河童にしがみつかれている女性が、どちらかというと「うっとり」した顔をしていることに注目したい。
妖怪を怖がっていないので、愛情を持って接しているように見えるよ。
一体どんな演劇だったのか。
河童役の役者は、着ぐるみを着たのだろうか?
色々と気になってしまうよ。(笑)

最後は合田佐和子の作品にしよう。
状況劇場1976年の「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」のポスターね。
「おちょこの傘」も、中央に立つ女性の目がイっちゃってるのも謎だよ。(笑)
この作品は、2023年3月の「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」で鑑賞しているけれど、たくさんのポスターの中で観ても印象に残る作風だなと感じる。
ポスター下部に西武美術館「ドガ展」の告知があるね。
他のポスターにも同様の告知が載っていて、「エゴン・シーレ展」や「ムンク版画展」など1970年代の展覧会情報を知ることができる。
年に数回は海外大物アーティストの作品を渋谷で鑑賞できたとは羨ましい。(笑)

アヴァンギャルド・ポスター展はROCKHURRAH RECORDSの好みで、行って良かったよ!
1960年代〜70年代の雰囲気が皮膚を通して染み込み、ゾクゾクした。
「アングラ」や「アヴァンギャルド」にハズレなし、だね。(笑)

ビザール・ガジェット選手権!58回戦

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【2019年11月の「未来と芸術展」で鑑賞したLOVOTとaibo】

SNAKEPIPE WROTE:

ゴールデン・ウィーク真っ只中、みなさんお元気ですか?
ROCKHURRAH RECORDSでは毎年変わらず引きこもってるよ。
のんびり過ごす休日は最高だね!(笑)
今週は「ビザール・ガジェット選手権」をお送りしよう。
あったら良いな、と思えるグッズが勢揃いだよ!

アメリカのバスルーム・キッチン等水回り製品で有名なKohler(コーラー)が手掛けているスマート・トイレがこちら!
真四角で光を放つトイレ、見慣れないよね?
Numi 2.0 スマートトイレは、環境光のカラーライティング、内蔵スピーカーシステム、手を使わずに開閉できる温熱便座など、あらゆる機能を細かく調整できるパーソナライズ設定を搭載しているという。
停電時にはボタン操作で最大100回の非常用洗浄が可能だったり、Power-Save(省エネ)モードは使用状況を学習し、温熱便座の設定を自動調整してくれるというからvery便利な便器!(ぷぷぷ)
公式サイトでのお値段$9,796.01、約130万円だって。
お値段の「.01」がとても気になるね。(笑)

続いては、トイレに関連して洗面所で使用する歯ブラシにしてみようか。
この形は一体なに?
フランスのY-Brushが販売しているマウスピース型歯ブラシなんだよね。
10秒で歯磨きが完了する(全体では20秒)、というから時間を節約したい人にはオススメかも。
2時間の充電で3ヶ月使用可能というのも、面倒がなくて良いね!
日本のAmazonでも購入可能で、お値段税込み16,027円。
試しに購入したいと思うけど、懐具合と相談だね!(笑)

次も口元関連で紹介してみよう。
Hushmeは、Bluetoothヘッドフォンなんだよね。
通常は首にかけるタイプのヘッドフォンとして使用し、マスクモードに切り替え、口元を覆うことで音声マスクになるという。
プライバシー保護や情報漏洩を防ぐことができるんだね。
電話の声が大きい同僚にもオススメ、と書いてあるよ。(笑)
お値段$229、日本円で約33,000円。
どれくらい音が漏れないのか、確認してみたいよね!

韓国を代表するエレクトロニクス・メーカーであるサムスンが開発したBot Chef(ボット・シェフ)があったら、毎日の調理が、もっと楽しくなりそうじゃない?
ボット・シェフはAI搭載の料理補助ロボットで、切る、混ぜる、注ぐ、掃除するなど幅広い作業を行ってくれるという。
音声コマンドで指示を出すことができ、新しいスキルはプログラムをダウンロードすることで学んでくれるというから、強い味方になってくれそう。
現時点では紹介がされているだけで、実用化には至っていないみたい。
将来的に導入できたら嬉しいね!(笑)

最後はこちら!
画像のワンちゃんは、Tombot製の犬型ロボット「ジェニー」なんだよね。
ストレス、孤独、不安、うつなどの軽減をコンセプトとして開発されたんだとか。
ジェニーと聞くと、ジューシーフルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」を思い出してしまう。(笑)
散歩しているワンちゃんを見かけるだけでハッピーになってしまうSNAKEPIPEは、まるで生きているようなジェニーちゃんにうっとりしてしまった!
こんな子が家にいたら嬉しいだろうな。
正確な金額ではないかもしれないけれど、お値段はおよそ$1.500、日本円で約22万円という情報だよ。
日本では手に入るのかどうか不明だけど、癒やしのロボット欲しくなってしまうね。

動いているジェニーちゃんは、こちら。

おっとりしていて、とてもかわいいね!
ずっとそばにいてくれる友達になれそう。
かなりグッときたSNAKEPIPEだよ。

2019年11月に森美術館で鑑賞した「未来と芸術展」にも、癒し系ロボットがいたことを思い出した。
LOVOTは、音声に反応し、かなりのスピードで近寄ってきてキュートだった。
「なついている」感じがして、親近感が湧いたよ!
トップ画像に載せてみたので、ご覧くだされ。

今回は「ビザール・ガジェット」を紹介してみたよ。
実際にはそこまでビザールじゃなかったかな?(笑)
またビザールな逸品を探してみよう。
次回をお楽しみに!