【マイク・ケリーとのコラボ「POETICS PROJECT」の会場風景】
SNAKEPIPE WROTE:
先週、現代アート好きの友人Hと行った「田名網敬一 記憶の冒険」展の感想を書いたSNAKEPIPE。
国立新美術館で3時間もの間、異界の迷宮をさまよった後、もう一つの展覧会に立ち寄ったんだよね。
それはSCAI PIRAMIDEで開催されているトニー・アウスラー「Transmission」!
かなり遅めのランチをいただき、国立新美術館方面からピラミデビルに向かう。
「なんとなくこっちかも」と思いながら歩くSNAKEPIPEとは異なり、友人Hは素晴らしい方向感覚の持ち主であることが判明。
的確な道案内に従い、すんなりピラミデビルに到着したのである。
頼りになる友人Hに感謝!(笑)
ピラミデビルは2015年11月にワコウ・ワークス・オブ・アートでの「Gerhard Richter Painting展」や2022年5月にはSCAI PIRAMIDEで「アニッシュ・カプーア展」を鑑賞した場所。
販売目的のギャラリーなので、入場無料。
撮影についてもオッケーなことが多いのが嬉しいね!
SCAI PIRAMIDEで展示されているトニー・アウスラー(Tony Oursler)について調べておこう。
1957 ニューヨーク生まれ 1979 カリフォルニア芸術大学で美術学士号取得 1981 ニューヨークに戻り、エレクトロニック・アーツ・インターミックスに参加 1999 ニューヨーク市庁舎の近くにスタジオを構える
父親が世界最大級の発行部数を誇る雑誌であるリーダーズ・ダイジェストの元編集長で、裕福な家庭に育ったというから羨ましいね。
カリフォルニア芸術大学でマイク・ケリーと同級生だったと知り、驚く。
マイク・ケリーといえば2018年にワタリウム美術館で鑑賞した「マイク・ケリー展 デイ・イズ・ダーン」は、初めて経験した作品群で、衝撃を受けたからね!
マイク・ケリーと共に学んだ美大での教師がローリー・アンダーソンだったというのもびっくり。
パフォーマンスや音楽、マルチメディアの先駆者であるローリー・アンダーソンの授業ってどんな内容なんだろうね?(笑)
マイク・ケリーの個展についてまとめたブログに「マイク・ケリーがソニック・ユースのアルバム・ジャケットを手掛けた」ことを書いている。
トニー・アウスラーも交流があったようで、1970年代後半にキム・ゴードンと出会い、1985年に短編映画「Making the Nature Scene」を制作したという。
このタイトルで検索するとソニック・ユースの曲がヒットしたよ。
1983年に発表したアルバム「コンフュージョン・イズ・セックス(Confusion Is Sex)」に収録されている曲のようなので、映画のもとになっているのかもしれないね?
キム・ゴードンが監督した短編映画は、ニューヨーク・ダウンタウンにあった伝説的なナイトクラブ「ダンステリア」を舞台に撮影されているという。
友人Hはキム・ゴードンのファンだったよね!(笑)
映像を載せてみようか。
途中で入るナレーションと最後に踊っていたのはキム・ゴードン本人かな?
トニー・アウスラーはエディターとしてクレジットされているね。
この映像を観て、2024年6月に友人Hと一緒に鑑賞した「Mark Leckey Fiorucci Made Me Hardcore」を連想したよ。
マーク・レッキーの作品もクラブ(ディスコ)を舞台にしていたからね!
マイク・ケリーやキム・ゴードンと一緒に活動していたトニー・アウスラーはどんな作品を制作しているんだろうね?
SCAI PIRAMIDEに到着する。
「OPEN」という文字がなかったら閉館しているように見える。
恐る恐るドアを開けると、少し薄暗い照明の中、スタッフの姿が見える。
「どうぞご覧ください」
撮影について確認すると大丈夫とのこと。
最初に目に入ったのは「Bigger Than Life(2024年)」だった。
目と口の部分が動いている。
途中で何やら音も発していたようだった。
この作品が自宅の壁にかかっていたらイヤだろうなあ。
ずっと監視されている気分になりそうだもん。
どうやらそれがトニー・アウスラーの目論見みたいだね。
「Wicca」も2024年の作品とのこと。
火山の上をホウキにまたがり飛んでいるのは魔女?
顔の部分に映像プロジェクションが投影され、表情の変化や違った縮尺の顔が出現する。
長い時間鑑賞していたら違った感想があったかもしれないけど、SNAKEPIPEが観ていた時には美しい女性の顔が映し出されていた。
説明にあるような「疑似科学やオカルトへの新たな関心」を寄せるまでは感じなかったかも。(笑)
SNAKEPIPEがゾクゾクしたのは「Blue Mood(1992年)」だった。
トランクの中に座らされている布製の人形。
頭部は白い卵型。
ここに映像が投影されている作品で、非常に不気味なんだよね!
布製の身体部分が「ぞんざい」な造りになっていて、全体として3頭身くらいのサイズなのに、映っている顔は成人なので、そのギャップが気持ち悪さの原因かも。
京極夏彦の「魍魎の匣」みたいな実験だったり何やら犯罪めいた雰囲気で、とても気に入ったよ。
トランクごと欲しくなってしまったSNAKEPIPEだよ。(笑)
「Noumana」も2024年の作品なので、これも新作なんだね。
小さな人形や宝石みたいに光るチープな素材が組み合わさってキュート!(笑)
いくつかの場所に映像が投影されているんだけど、小さすぎて何の映像なのかよく分からなかった。
何か動いているだけで面白いよね。
全体のバランスや「おままごと」っぽい小型サイズが、とてもかわいい。
こんなブローチがあったら欲しいな!(笑)
白いカーテンで仕切られた別室に入ってみると、そこでは映像作品が展示されていた。
スクリーンの手前に大小3つの球体がぶら下がっている。
「My Saturnian Lover(s)」は2016-2017年に制作された作品とのこと。
1940年代後半を舞台にしたストーリーが展開されていたようだけど、意味はよく分からなかった。
映像の途中から鑑賞して、最後まで観なかったからね。
ぶら下がっている球体にスクリーンとは別の映像が投影されたり、鮮やかな色彩に目を奪われたりして楽しい時間だったよ。
最初は友人HとSNAKEPIPEしか鑑賞していなかったのに、いつの間にか数人の鑑賞者が増えていた。
席を他の人に譲り、会場をあとにする。
テクノロジーやメディアがいかに人々の心理に影響を及ぼしているかを探求しているというトニー・アウスラー。
メディア・アートの先駆者として名高いアーティストの作品を鑑賞できたのは収穫だね。
一緒に行ってくれた友人Hも楽しんでくれて良かった!
六本木に行った時には、なるべく立ち寄りたいギャラリーだよ。
道に迷わないように気をつけようね。(SNAKEPIPEだけか)