【2012〜2013年に制作された《Cellules(セルール)》】
SNAKEPIPE WROTE:
今回の「SNAKEPIPE MUSEUM」はMona Hatoumを特集しよう。
ネット検索で気になる作品を目にしたんだよね!
今まで知らなかったアーティストのはずなので、最初にモナ・ハトゥムの経歴から調べてみようかな!
1952 レバノンのベイルートに生まれる 1970?〜 レバノンにあるレバノン・アメリカン大学(LAU) で2年間グラフィックデザインを専攻した後、広告代理店で働く 1975 ロンドン滞在中にレバノン内戦が勃発し、事実上の亡命状態となる 1975〜1981 ロンドンのバイアム・ショー美術学校とスレード美術学校で学ぶ 1982~ セントラル・セント・マーチンズ大学で非常勤講師として勤務 1984 作品がポンピドゥー・センターのキュレーターの目に留まり、ポンピドゥーの支援を受ける 1989〜1992 カーディフ高等教育機関に勤務しながら作品制作に取り組む 1995 映像作品《コールプス・エトランジェ》でターナー賞にノミネートされる
第46回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加
初の個展《Rites of Passage: Art for the End of the Century》をテート・ギャラリーで開催1996 エルサレムのアナディエル・ギャラリーから招待され、初めてイスラエル・パレスチナ地域を訪問 2012 ジェリー・コリンズと結婚 2016 テート・モダンで35年間の活動を振り返る大規模な回顧展が開催される
モナ・ハトゥムが23歳の頃、レバノン内戦のためにロンドンに亡命したんだね。
講師として生計を立てながら作品制作していたと聞くと、親近感が湧くよ。(笑)
ポンピドゥー・センターのキュレーターに見出され支援を受けるなんて、シンデレラ・ストーリーだよね!
モナ・ハトゥムは、政治的な背景を持ったアーティストなので、メッセージ性の強い作品が多いだろうな、という勝手な予想をするSNAKEPIPE。
作品を1点1点掘り下げていったら、観念的な解釈があるに違いないけれど、SNAKEPIPE独自の感想をまとめたいと思う。
だって現代アートだもの。(笑)
最初に惹きつけられたのは、この作品。
インダストリアルな建造物、光と影にグッとくるSNAKEPIPE。
こんな写真を撮りたくて、工業地帯を歩き回ったものよ。(遠い目)
モナ・ハトゥムが1992年に制作した「Light Sentence(軽い刑罰)」で、素材はワイヤーメッシュ製ロッカー、ゆっくりと動く電動電球だって。
光が動く仕掛けなんだね?
どんなふうに影が変化するのか観てみたいなあ!
198 × 185 × 490 cmというから、大型のインスタレーションだね。
ポンピドゥー・センター所蔵とのこと。
これはもうパリに行くしかないか。(笑)
他の作品も気になってくるよ。
この作品も非常にシンプル!
長いヒモが等間隔に直立してますがな。
画像では判り辛いけど、ヒモではなくて有刺鉄線だって!
3m四方の立方体になるように、有刺鉄線が吊るされている2009年の作品で、タイトルは「Impenetrable(侵入不可能)」。
実際に作品を眼の前にしたら、痛そうなトゲトゲが迫力満点なんだろうな。
画像では美しく見えてしまうから不思議。
ニュース映像やネット上での画像と、現実は違うよといった、モナ・ハトゥムのメッセージかも。
深読みし過ぎか?(笑)
鑑賞したい時には、ニューヨークのグッゲンハイム美術館に行ってみよう!
鉄製の屏風?
これは巨大化させたチーズおろし器だって。
2002年の「Grater Divide(おろし金の分割)」も、恐らく近寄ると凶器になる作品なんだろうね。
SNAKEPIPEが想像しやすいとしたら、「大根おろし」が1.8mになったような感じ?(笑)
通常なら美味しい食事のために使用される器具を、不気味に思わせるとは。
聖母マリアをかたどった拷問器具「鉄の処女」を連想したSNAKEPIPEだよ!
規則的にモノが並んでいるシンメトリーに惹かれるSNAKEPIPE。
これはキッチリした真面目な性格のせいかもしれないね。(笑)
2019年の「Remains to be Seen(まだ見られていない)」も、前に紹介した「侵入不可能」のように、吊るされている作品だよ。
5mほどの高さから等間隔にコンクリートの塊が並ぶ。
この中に入って写真を撮っている人の画像もあって、羨ましい。
このインスタレーションも欲しいよ!
SNAKEPIPE MUSEUMに所蔵したいね。
モノクロームから一転、赤い作品を紹介しよう。
2008年の「Undercurrent (red)(底流(赤))」は、赤い電気コードが血管のようで生命力を感じる。
2019年7月に国立新美術館で開催された「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」で鑑賞した「黄昏(2015年)」は、展示室が暗かったせいもあり死を強く感じさせる作品だったことを思い出す。
2つの作品を対比させたら、完全に生と死になりそうじゃない?
モナ・ハトゥムの「底流(赤)」にある赤い布(カーペット?)はなんだろう。
この作品は2021年に広島市現代美術館で開催された「モナ・ハトゥム展」で展示されたみたい。
広島まで行って鑑賞するべきだったね!
最後はこちら。
地球の大陸を繊細な赤いネオンで描き出した、2006年の作品「Hot Spot(ホット・スポット)」。
燃えるような真っ赤な地球というだけで圧倒されてしまうよね。
「ホット・スポット」という言葉には様々な意味があるようだけど、モナ・ハトゥムが意図しているのは「政治的、軍事的、内政的に不安定な地域で、通常は危険とみなされる紛争地域」のことなのかな。
全世界が危険だよ、という警告なのかもしれない。
アーティスト本人が作品解説をしている動画があったので、載せてみよう。

2016年にフィンランドで開催された展覧会用のビデオらしいので、モナ・ハトゥムは英語で話し、字幕はフィンランド語なので、詳細は不明だよ。(笑)
作品の大きさやネオンの動きなどが分かるだけでも嬉しい。
モナ・ハトゥムは2017年に第10回ヒロシマ賞、2019年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞し、日本にも馴染みがあるアーティストのようだね。
SNAKEPIPEはモナ・ハトゥムを知らなかったので、今回特集してみたよ!
国際的に有名なアーティストなので、所蔵作品は世界に散らばっている。
いつの日か、日本で大回顧展が開催されることを望むよ。
一同に会した代表作を観てみたいね!(笑)