SNAKEPIPE MUSEUM #57 Kim Joon

20201108  08
【2015年の作品、crash-white day】

SNAKEPIPE WROTE:

「ちょっとこれ見て」
ROCKHURRAHから示されたのは、極彩色の画像だった。
手足がバラバラになって配置されている。
猟奇趣味的な美しさに圧倒される。
これは一体誰の作品なんだろう?

調べてみると「Kim Joon」というアーティストの作品だと分かった。
漢字でどう書くのか分からなかったけれど、読み方は「キム・ジュン」で良いみたいだね。
ここからはキム・ジュンと書いていこう。
サイトに載っている経歴を紹介しようか。
1966年韓国ソウル生まれ。
弘益美術大学絵画学科美術学修士取得。
韓国の大学事情に詳しくないので検索してみると、この大学は韓国を代表する美大のようだね。
日本でいったら藝大みたいな感じかな?
大学卒業後、兵役に就く。
韓国は徴兵制があるため、21ヶ月以上軍隊に入隊することが義務とのこと。
日本の自衛隊とは性質が違うよね。

1994年、初の個展を開催。
この時点で28歳、ということは順当に大学に入り26歳で軍隊に入隊したんだね。
軍隊への入隊は好きな時期に設定できるのかな。
SNAKEPIPEの勝手な想像だけど、軍隊に入るなら強靭な肉体創造のために、なるべく若いうちのほうが良いように思うんだけどね?
20代後半だと訓練がキツくなりそうだし。(笑)
キム・ジュンは初個展以降、年に2,3回のペースでコンスタントに展覧会を開催しているみたい。
現在もソウル在住で、国立公州大学校にて教授職に就いているという。

韓国出身のアーティストについてブログで特集するのは、今回で2回目。
2012年に森美術館で鑑賞した「イ・ブル展~私からあなたへ、私たちだけに~」の感想にも、韓国人アーティストについて詳しくない、と書いているね。(笑)
韓国映画やドラマは観ているけれど、アートに関しては未だに未知の世界かも。
Kポップと呼ばれる音楽の世界でも人気がある韓国なので、きっとアートも盛んなんだろうね。

では初期の作品から紹介していこうか。
1995年の作品「tattoo-guys」。
タトゥーをほどこした男性の腕を切り取って並べたように見える。
これは「ミクストメディア」と「針」を使用した作品とされているよ。
この「ミクストメディア」という表記は、非常に曖昧なので、実際のところ何を材料にしているのか分からないんだよね。
もしかしたら本当に人の皮膚かもしれないわけだ。(笑)
それやっちゃったらシリアル・キラーだけど!
ヘルス・エンジェルスのようなバイク乗りが好みそうなタトゥーだよね。
ドアーズのジム・モリソンもあるよ!

キム・ジュンはタトゥーの意味を社会現象として考察しているという。
タトゥーや刺青は、最近ではファッション的な意味合いが多いけれど、古代から身分や所属などを示す個体識別の手段として用いられてきたもの。
犯罪者を表すための刺青や兵士が血液型を彫る場合もあったという。
禁止と執着の二元論とミッシェル・フーコーが「力と喜びのゲーム」と表現する「強制、威圧、強迫、制約」などを例に、キム・ジュンの刺青を語っている専門家の文章がサイトに載っていたよ。
言ってる意味よく解るよね?(笑)
SNAKEPIPEは、刺青と聞くと単純に「反社会性」という単語が浮かぶ。
日本では未だに刺青禁止の温泉施設が多いしね。
載せた画像は「hell」で1997年の作品ね。
この肉片(に見えるもの)がぎっしりと詰め込まれた作品は、猟奇としか言いようがないよ。
体のどの部位なのか想像するだけで怖いよね。

「kiss-mac」は2007年の作品。 
どういった経緯で、キム・ジュンがデジタル・アートに転向したのか不明なんだけど、ミクストメディアを使用した立体作品から8年後にはパソコンを使った制作を始めている。
顔面全体に刺青が描かれているので、キム・ジュンの考察は続いているんだね。
この2人の顔が、2019年に「つないでみる/ユーモアてん。」で鑑賞した「機械人間オルタ」に似て蝶!
そのため「機械人間が育む愛」のように見えてしまったSNAKEPIPEだよ。

鮮やかな色合いに目が覚めるよね!
「bird land-chrysler」 は2009年の作品だよ。
一体何人の女性が描かれているんだろうね?
左のバスト以外は全身刺青の裸体と赤い腕を見ていると、まるで江戸川乱歩の「盲獣」に出てくる触感芸術の部屋みたいじゃない?
ミクストメディアで肉片を詰め込んだ作品とは、まるで別物になっているよね。

2009年に発表した3Dアニメーションを載せてみたよ。
サイトには2017年の作品があって、本当はそっちのほうが「うねうね」した動きが不気味で良かったんだけどね。
国立公州大学校で教えているのがアニメーションだというので、これを専門にしているのかも?

「drunken-romanee conti」は2011年の作品で、この頃から磁器と人体をモチーフにしたデジタル・アートに取り組んでいるんだよね。
テーマは「記憶、欲望、若さ」だって。
3ds Maxという3次元コンピュータグラフィックス作成用のソフトを使用しているらしい。
ツヤツヤした質感と色合いの美しさで、人体がバラバラになっている残酷さを忘れてしまいそうだね。

「island-alligator」では、ついに刺青ではなくて、全身をワニ革で包んだ女性が登場してるね。
これも何人分の体なのか分からなくなる、人体パーツの組み合わせ。
SNAKEPIPEは、キム・ジュンの立体作品があったら観てみたいよ!
前に書いた人体磁器シリーズも、ワニ革の女体アイランドもね!

キム・ジュンのサイトでは、何故だか2017年までの作品しか載っていなくて、その後の消息もつかめなかった。
展覧会も2016年までの情報しかなかったし、現在はどんな活動をしているのか気になるところだね。
韓国人アーティスト情報も、調べていきたいと思う。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です