空也上人と六波羅蜜寺 鑑賞

20220508 top
【五月晴れのもと、撮影した国立博物館本館】

SNAKEPIPE WROTE:

2022年4月に青山のスパイラルで「OKETA COLLECTION」を鑑賞した時のこと。
「良かったら使って!」
と手渡されたのが東京国立博物館で開催されている「空也上人と六波羅蜜寺」のチケットだった。
友人Mも知人から受け取ったらしく、日付が迫っているため鑑賞する機会がないとのこと。
ありがたく頂戴し、ROCKHURRAHと出かけることにしたのである。

かつて京都在住だったこともあるROCKHURRAHは、すでに六波羅蜜寺を訪問済。
そのため空也上人像も鑑賞しているという。
「六波羅蜜寺って小さい寺だったはずだけど」
遠い記憶を辿り、首をひねりながらROCKHURRAHが言う。
何故この時、 不可思議な表情を浮かべ、意味深な言葉を発したのか。
謎は近いうちに解き明かされるであろう。(大げさ)

せっかくなのでゴールデンウィーク中に出かけることに決め、天気が良い日を選んで上野へ。
かつてはミリタリー・グッズを求めて上野に馳せ参じていたROCKHURRAH RECORDSだったけれど、最近は少々趣向に変化が生じているかも。
前回上野に立ち寄ったのは2021年7月の「イサム・ノグチ 発見の道」なので、およそ1年ぶりのSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHに至っては、2019年2月の「日本を変えた千の技術博」以来、約3年ぶりかも? (笑)

今回は招待券を手にしているため、通常行っているweb予約サイトでのチケット購入と時間指定をすることができず。
ひとまず会場に向かうことにしたのである。
国立博物館の前まで来ると、大行列が目に入る。
どうやら当日券を求める人の列のようで。
チケットがあり、入場の予約が必要な場合はどうしたら良いのかをインフォメーションで問い合わせる。
行列近くにいる係員に聞くように指示されたので、聞いてみると明確な答えがない!
大行列のほうにいる係員に再び聞いてみると、最後尾に並んで予約を取るように言われる。
国立博物館なのに、誘導するべき係員が正確な情報伝えられないのってどうなの?
チケット持っていても、結局は当日券組と同じ扱いになるのね。
30分ほど並んだところで10時半に入場できる予約券を入手。
若冲展ほどの混雑じゃなくて良かったよ。(笑)

10時半まで近くのベンチに座って時間を潰す。
5月晴れでも、風が強くて冷たい感じ。
少し体が冷えてきた頃、予約時間が迫ってきたので会場に向かう。
すると今度は会場前で大行列が!
何度も並ばされて、入場前からぐったりしちゃうね。

そしてようやく入場。
撮影は禁止だって。
会場入ってすぐに冒頭で書いたROCKHURRAHの「首をかしげる」意味が分かってしまった。
展示数が圧倒的に少ないのである。
ROCKHURRAHは、六波羅蜜寺は小さい寺なので展覧会を開催するほどの展示物があるんだろうか?と疑問に思ったらしい。
確かに、その予感は的中してるね。

そして展覧会の目玉である空也上人の像には人だかりが。
載せた画像よりも実際は薄暗く、人の頭の隙間から部分的に見えるにすぎない。
少しだけ待って近寄ってみても、一番肝心な口部分もよく分からない。
ROCKHURRAHから聞いていたけれど、空也上人の像は小さめだから尚更。
別の角度から見ると、影絵状態で口から出ている小さい物体が確認できた。
双眼鏡のような物で鑑賞している人がいたけれど、その方法が適してるかもね。

空也上人とは、平安時代中期の僧侶で、首から下げた鉦を叩きながら「南無阿弥陀仏」を唱えたと言われている。
その6文字を視覚化した「木造空也上人立像」が、今回展示されているんだよね。
東大寺金剛力士像などで有名な運慶の四男、康勝(こうしょう)の作。
言葉を立体で表すなんて、よく考えたよね!
想像を形にすることができる腕前もさすが。
こんなに不思議な木彫り彫刻が日本に存在していることに驚くよ。
他に類を観ない発想力に拍手だね!(笑)

他には中央に鎮座する薬師如来坐像、周りには四天王立像が並んでいる。
六波羅蜜寺ではどのように展示されているのか不明だけど、薄暗い空間の遠くに仏像などを見ることが多いように思う。
今回は間近で像を見ることができたので、足元まで詳細に観察することができたよ!
あれだけ並んで待ったのに、鑑賞時間はほんの10分程度。(笑)
ミュージアム・ショップでは「これでもか」というくらい空也をモチーフにしたグッズが並んでいたけれど、無理矢理な雰囲気が濃厚で笑ってしまったSNAKEPIPE。
目玉が空也しかないから仕方ないのかな。

これしか展示がなくて1,600円って高いよね?
ぶつくさ文句を言うSNAKEPIPEに、他の展示が観られることをROCKHURRAHが教えてくれる。
国立博物館には本館以外に平成館、東洋館など合計8つの館があるんだって。
今回のチケットでは「平常展」が観られるらしいけど、どこまでオッケーなのか分からないので本館の「日本美術の流れ」会場に行ってみる。
ここでは大好きな縄文土器などの展示から始まって、江戸時代までの美術・工芸品が鑑賞できるんだよね。
画像は縄文時代後期の「人形装飾付壺形土器」。
土器の色合いも素晴らしいし、人形(ひとがた)が人間っぽくないところに惹かれるよ。
やっぱり宇宙から誰か来てたに違いない、と想像させてくれる逸品だね!(笑)

仏教美術も興味がある分野なんだよね!
大きさのある曼荼羅図が複数展示されていて、熱心に鑑賞する。
十六羅漢の掛け軸などが並ぶ中、SNAKEPIPEがグッときたのは、画像の「阿字曼荼羅図」。
梵字が中央に描かれた斬新な構図で、日本画というよりはポスターっぽいんだよね。
グラフィックデザインというのか。
「密教では梵字の阿字を一切の言説・音声の根本として、更には一切仏法の根源として説きます。その阿字を本尊として向き合い、自分自身が物事の根源と一体化することをイメージする修行である阿字観に使われました。」(国立文化財機構所蔵品統合検索システムより)
全く読めなかったけれど、どうやら「阿吽」でいう「阿」の文字らしいね。
「阿字観」とは密教における瞑想法だとか。
その説明の中で「『蓮華』を描き、次に『月輪』を描き、その中に『阿字』を書いて軸装して目の前に掲げて、瞑想する」と書かれている。
SNAKEPIPEには珍しく見えたけれど、阿字観を実践していた当時の人々にとってはポピュラーな掛け軸だったのかもね?

江戸時代までやってきたよ!
ここで目を引いたのは「色絵桜樹図透鉢」という焼き物。
仁阿弥道八の作品だという。
器の内と外に桜が描かれ、ところどころに透かしが入ってるんだよね!
満開の桜が堪能できる作りになっていて、見事だよ。
素晴らしい出来にため息が出るほど。
こんな陶器を所持していたのは、誰なんだろうね?

江戸時代の着物にも目が釘付けだったよ。
和歌の文字を刺繍している「小袖 紫白染分縮緬地笠扇桜文字模様」。
あまり着物に詳しくないので、小袖というのがどういう時に着用するのか分からないんだよね。
艶やかで豪華な品だということは一目瞭然だよ!
江戸時代というのが、想像しているより遥かに進んだ文化だったことは、NHKの「浮世絵EDO-LIFE」などを通じて知ったけれど、女性が身に着けていた実物を見ると更に理解が深まるね。
男性が印籠を帯に引っ掛けるために使用した根付にも、驚くほどの高い技術力を見ることができたよ!

並び疲れてしまったこともあり、今回は「日本美術の流れ」だけを鑑賞して終了とした。
東洋館や法隆寺宝物館など、他にも面白そうな展示がたくさんあるので、また別の機会に訪れてみたいよ!