SNAKEPIPE MUSEUM #39 Max Beckmann

【1938年の作品「Bird’s Hell」。鳥は何の象徴だろう?】

SNAKEPIPE WROTE:

「変わった画家がいる」
と教えてくれたのはROCKHURRAHだった。
黒い線が特徴的な、非常に不気味な絵。
いかにもSNAKEPIPEが好きな雰囲気!(笑)
さすがにROCKHURRAH、SNAKEPIPEの好みを熟知してるよね。
この画家は一体誰なんだろう?

調べてみると、マックス・ベックマン(Max Beckmann)というドイツ人だった。
前回のSNAKEPIPE MUSEUMもドイツのアーティストだったなあ。
どうしてもヨーロッパに目が向いてしまうんだよね。

マックス・ベックマンは1884年ライプツィヒ生まれ。
1925年にStädelschule Academy of Fine Art(読めない)のマスタークラスを教えていたという。
そこまでの経歴についての詳細は不明なんだけど、かなり優秀だったんだろうね。
上の画像は1901年の自画像。
計算すると17歳くらいなのかな?
まるでフランシス・ベーコンを思わせる口の開け方!
フランシス・ベーコンの絵については「フランシス・ベーコン展鑑賞」に詳しく書いているので参照してみてね。
ベーコンが参考にしていた映画「戦艦ポチョムキン」は1925年だから、それよりももっとベックマンのほうが早かったね。(笑)

自己愛が強かったのか、1番身近なモデル(?)だったためか、ベックマンはセルフポートレートを多く描いていることで有名な画家だという。
オレンジ色の壁をバックにしている右の絵は「Self-portrait with champagne glass (1919)」である。
35歳くらいになってるのかな。
葉巻を挟んでいる手首の返り方が不自然なほど「ぐんにゃり」曲がっていて、デッサンのミスなのかと思ってしまうほど。(笑)
試してみると同じポーズが取れたけど、もしかしたらベックマンもSNAKEPIPEと同じように「猿腕」だったのかも!
もう一点非常に気になるのがベックマンの後方にいる人物。
メガネをかけて笑ってるんだけど、どうしても藤子不二雄の漫画に出てくるような男性にみえてしまう。
実際に当時のドイツにはこんな人がいたんだろうか?

少し笑いが出てしまったけれど、同時期に描かれたベックマンの代表作の一つが左の「Night(1918)」という作品。
クリックして拡大してみると、この絵、かなり怖いんだよね。
左には絞殺された男性、手を縛られ尻を見せている女性は拷問を受けている最中だろうか。
純朴そうに見える田舎者が結託して残酷な行為を平然と行い、秘密を守り合うことによって更に村人同士の絆を深めているような印象を受ける。
結局は誰もが持っている残虐性について描きたかったのかなと想像する。
僻地の閉鎖的なムードは、例えば横溝正史の作品などからも理解できるよね。
ベックマンは「ヨーロッパの憂鬱」を題材にしていたようなんだよね。

順風満帆だったはずのベックマンだけれど、ナチス・ドイツによって「退廃芸術」と烙印を押されてしまい、1937年にはオランダに移住する。
第二次世界大戦後はアメリカに渡り、生涯を過ごすことになったというからドイツに戻ることはなかったようだね。
「Triptych of the Temptation of St. Anthony (1936-1937)」はドイツを離れた頃の作品ということになるね。
「聖アントニウスの誘惑」は、フランシス・ベーコンでお馴染みの三幅対で表現されているね。

諸々の誘惑を象徴するかのような怪物に囲まれ、苦闘する聖アントニオスの姿は美術の題材として好まれた

聖アントニオスについて調べると、こんな記述があったよ。
1番右に、まるで「20世紀少年」の「ともだち」のような異形がいるのは、怪物だったんだね。(笑)
この絵も拡大すると、かなり怖いのでチェックしてみてね!

SNAKEPIPEのお気に入りはこれ!
「Journey on the fish (1934)」は、まさにシュルレアリスム真っ只中の時代に描かれているんだよね。
ナチス・ドイツによって迫害される前だった、ということも含めてベックマンがのびのびと自由に描いているように思う。
ベックマンは表現主義や新即物主義として位置付けられているらしいけど、この作品はシュールな感じだよね。

顔なのか面なのか分からないし、うつぶせの人物の頭部がどこにあるのか、じっくり観察してもよく分からない。(笑)
ベックマンの作品には魚が多く登場するんだけど、きっと意味あったんだろうね。
魚に乗って旅行なんて楽しそう!
いや、生臭くなるかも?(笑)

歴史的な事実や思想を絡めてマックス・ベックマンを語るべきなのかもしれないけれど、SNAKEPIPEは作品そのものについての感想にとどめておこうと思う。
1番最初に持った「黒い線が特徴的な不気味な絵」という感想は、観れば観るほど強くなっていった。
人間の持つ残虐性を寓話性を持たせた、少しコミカルなタッチで表現するのは、後のピカソに通じるように思う。
右はピカソの「The Rape of the Sabine Women(1962)」。
とても良く似た雰囲気だよね!

ベックマンの回顧展は日本で開催されていないようなので、全貌を鑑賞してみたいな!

怖い浮世絵展鑑賞

【太田記念美術館前のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

情報収集能力に優れている長年来の友人Mや、ROCKHURRAHから勧められたり誘われて展覧会に行く事が多いSNAKEPIPE。
今回もROCKHURRAHから「面白そうだから行こう」とお誘いを受ける。
それは2012年「没後120年記念 月岡芳年展」で訪れたことのある太田記念美術館で開催されている「怖い浮世絵展」であった。
これは楽しみ!(笑)

梅雨が開けて、すっかり陽射しが真夏の原宿。
それでも表参道には「けやき」の木が生い茂っているため、大きな木陰を作っているので涼しく感じる。
自宅近辺より原宿のほうが涼しいとはね!(笑)
歩いて数分で太田記念美術館に到着。
アクセス抜群の場所にあるんだよね!

調べてみると太田記念美術館は1980年にオープンしたという。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも1980年代には原宿を毎週闊歩していたので、太田記念美術館の前は何度も通っていたんだろうね。
特別浮世絵に興味がなかったからだろうけど、太田記念美術館のコレクションを今まで観ていなかったとは!
その時代から鑑賞していたら、人生形成に何かしらの影響を及ぼしたんじゃなかろうか。(笑)
もしかしたらある程度の年齢になったからこそ、理解できることもあるかもしれないけどね!
さて、今回はどんな「怖い浮世絵」が展示されているんだろう?

前述したように場所は原宿だというのに、太田記念美術館の中は、それほど混雑していなかった。
オープンしたばかりという時間帯のせいだったのかもしれない。
できればゆっくり自分の好きなように鑑賞したいと思っているSNAKEPIPEとROCKHURRAHなので、とても良い環境だよね。
前回も似た状況だったので、太田記念美術館はいつでもこんな感じなのかな。
江戸東京博物館で開催されている「大妖怪展」だったら、大混雑でゆっくり鑑賞することは不可能だっただろうね。(笑)

展示はチャプターで分かれていて、

1 幽霊
2 化け物
3 血みどろ絵

とされていた。
上の画像は「 化け物」にあった歌川国芳の作品、「源頼光公館土蜘作妖怪図」(1842年〜1843年)である。
水木しげるがお手本にしたんじゃないかと思われるほど、妖怪達の賑やかで多種多様な表情が見事である。
ユーモラスな雰囲気もあるところが、怖い表現だけにとどまっていないんだよね。
江戸時代には妖怪は娯楽の対象で、キャラクター化され人気があったというのがよく分かるね!

上の画像は歌川国芳の弟子だった歌川芳員の「新田義興の霊怒て讐を報ふ図」(1852年)である。
妖怪画として興味があったというよりは、直線の使い方が気になったんだよね。
漫画の一コマのような感じもするし、横尾忠則の作品のような雰囲気もある。
もちろん横尾忠則が影響を受けて描いているんだろうけどね。(笑)
月岡芳年の作品にも、後の時代に影響を与えているような劇画チックな作品があったので載せておこう。
右は「羅城門渡邉綱鬼腕斬之図」(1888年)という上下2枚で構成されている作品である。
これも直線を効果的に使用しているんだよね。
右の作品では、右上に書かれているタイトル部分にまで直線が引かれているところに注目してしまう。
なかなかここまで大胆に描いている作品はお目にかかれないのでは?
かなりの迫力で、これもまた漫画の中の一コマのように見えたよ!
今から130年程前に、こんなにも斬新な手法が確立されていたことに驚いてしまうね!(笑)

歌川芳員の「大物浦難風之図」は1860年の作品だという。
「だまし絵」で有名な人物といえば例えばエッシャーがいるけれど、エッシャーが活躍していたのは1930年以降のようだね。
古いところでは1500年代のアルチンボルドになるのかな?
浮世絵の世界にも「だまし絵」は存在していて、歌川国芳の「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」は有名な作品だよね。
上の歌川芳員の作品にも「亡霊に見える」部分があるんだよね!
クリックすると大きな画像になるので、確認してみてね。(笑)

「幽霊」の章で印象的だった作品はこちら。
歌川国芳の「四代目市川小団次の於岩ぼうこん」(1848年)である。
「東海道四谷怪談」で演じられたシーンを切り取った作品だという。
美しい娘の「お岩」と亡霊の「お岩」がシンクロしている様子を表現しているとのこと。
この「薄ぼんやり」とした亡霊を木版にするってすごいよね!
浮世絵には、透けた布の表現などもあって、技術の高さに驚いてしまう。
若い娘だと思っていたら亡霊だった、というのは上田秋成の「雨月物語」にも似た話があったような?
江戸時代の人はホラーが好きだったんだね。(笑)

「怖い浮世絵」と聞いて最初に思い浮かんだのは、妖怪とか幽霊ではなくて「無残絵」だったSNAKEPIPE。
きっと前回同じ太田記念美術館で鑑賞した月岡芳年を思い出したからだろうか。
最終章である「血みどろ絵」は期待通り(?)無残絵が数多く並んでいた。
芝居の中のワンシーンを切り取った物もあれば、実際に起きた事件を題材にした作品もあった。
右の画像は月岡芳年が「郵便報知新聞」のダイジェスト版に載せた錦絵(1875年)である。
これは離縁した妻に復縁を迫ったが思い通りにならなかったため犯行に及んだという、実際の事件を題材にした作品とのこと。
再現フィルムならぬ、再現錦絵といったところか。(笑)
はっ、前回の記事の中では「報道浮世絵」と書いていたSNAKEPIPE。
似た表現になってしまうのは仕方ないね。(笑)

「血みどろ絵」を得意とする月岡芳年は、赤絵具に膠(にかわ)を混ぜてドロドロしたドス黒い赤で血を表現していたというから、並々ならぬ執着心が伺える。
「月岡芳年といえば無残絵」とイコールで結ばれるほど、芳年と血は密接だからね。
さすがに迫力のある「血みどろ絵」、大いに堪能させてもらったね!

「怖い浮世絵展」を鑑賞して、改めて思うのは江戸時代と現代の感覚にほとんど差がない、ということ。
「幽霊」も「妖怪」も「血みどろ絵」にしても、みんなが見たい物だったから人気があったことの証だよね。
現代でも「残酷」で「グロテスク」な事件に関心が集まるのは、同じ原理だと思う。
科学が進歩しても、人間そのものはそれほど変わっていないんだね。
逆にいえば、江戸時代の人は思った以上に進んでいたんだな、と思う。

世界中の人が驚いたというけれど、日本人でありながらSNAKEPIPEもROCKHURRAHも驚嘆してしまう浮世絵。
絵師に注目が集まることが多いけれど、木版にして刷る技術も素晴らしいよね。
日本が誇れる独自の文化、これからも注目していきたいと思う。

ROCKHURRAH RECORDS残暑見舞い2016


【今年はモノトーン90%で表現してみた

ROCKHURRAH WROTE:

今回、ブログを書く予定だったSNAKEPIPEが急に具合が悪くなってしまい、急遽代理でROCKHURRAHが書いている。
ウチのブログは毎回割と文章量が多いので全然ネタを用意してないとこれだけでパニックだが、今回は一応何かあったのでそれにしてみる。文章をあまり書かなくて済む「ザ・残暑見舞い」編だ。

お盆休みも夏休みも全然縁がないROCKHURRAH家だが、真夏の華々しい思い出とは無縁の地味な生活が当たり前になってきてるのが少し悲しい。元気と行動力が比例するとは思わないが、炎天下の蒸し暑さが恐ろしくて動けないんじゃ「もう若くない」と言われても仕方ないもんなあ。そう言えばこってり料理もだんだん苦手になってきてるし朝も早起きだし。

見た目からスポーツとは全く無縁だと思われがちなROCKHURRAHだが、かつては走るのも速かったし、泳ぎもまあまあだった。
昔、ビデオ屋でバイトしてる頃には万引き少年を何百メートルも追いかけて捕まえた事もある。
苦手なのが球技などチームでやる種目だった。これはまあ性格で単独行動を好むタイプ、というわけだ。

今年の夏は開催地のさまざまな噂で案外盛り上がってないオリンピックなんだが、普段はオリンピックの話題なんて全然興味ないROCKHURRAHとSNAKEPIPEが、少しだけ楽しみにしている事がある。それは112年ぶりに復帰した種目、ゴルフ競技だ。
実はにわかファンに過ぎないが、最近二人が最も注目しているのがゴルフなのだ。

昔は日曜の昼間とかに延々とやっててどこが面白いのかわからないスポーツだったが、確かに大昔はカメラの切り替えとかもあまりなくて歩いてるシーンばかりが印象に残ってたよ。選手も腹の出たおっさんばかりだったな。
ところが最近のは割とスピーディでドラマティック、そしてファン・サービスを忘れない選手が多くなっているから観てて本当に面白い。先日の全英オープンでのフィル・ミケルソンVSヘンリック・ステンソンは歴史に残る名勝負で、鳥肌が立つほど熱狂した我が家の二人だった。負けたミケルソンもあっぱれ。
かつてのジャック・ニクラウス(古い)やタイガー・ウッズほどの絶対的なスターが存在しない現在は、ランキング上位の選手が週替りのように入れ替わり立ち代り、しのぎを削ってる戦国時代でこれもまた面白い。
特定の誰かをひいきにしてるわけじゃなくて、あくまでウチの二人を沸かせるようなプレイをする選手を応援しているからね。

ウチの場合は肝心のゴルフとは関係ないようなところで注目している場合もあるので、根っからのゴルフ好きとは話が噛み合わないかも知れないね。

ベン・クレイン、バッバ・ワトソン、ハンター・メイハン、リッキー・ファウラーという人気ゴルファーで結成したゴルフ・ボーイズのこの曲。古くてゴルフ・ファンからは「何を今さら」と言われそうだが、古いものをメインで扱ってるROCKHURRAH RECORDSだから遅れてるのは全然構わんよ(偉そう)。一流でもこんな茶目っ気を持った個性的な面々、いい味出してるね。
バッバ・ワトソンとリッキー・ファウラーはオリンピックのアメリカ代表で個人的にものすごく応援しているのだ。
しかし極端な自国びいきのTV局はおそらく、優勝なんかはどうでも良くて、日本人がどこまで健闘したかだけを放映するんだろうな。ゴルフ番組でも予選落ちした日本人選手のプレーを振り返るばかりで優勝争いを映さなかったりするもんな。

さて、今回の残暑見舞いは今までに無くぞんざいなものだが、作りこむヒマもなかったしこれで勘弁して。
最初はCinemagraphという、写真だけど一部分だけ動いてるぞというのを作る気だったんだが、そんなに都合の良い素材もアイデアも持ちあわせてなかったので方向性が違ってきた結果、かなり短絡的なのにしたよ。床上浸水を表現したわけではない。
「映像の継ぎ目がヘタ」とか「ありきたり」とか感想は色々だろうが、WEBで公開するだけのポストカードだから、今回は動きのあるものにしたかったのだ。

まだまだ暑い日が一ヶ月以上も続くと思うとゲッソリだが、日陰を歩きながら何とか乗り切ろう。
ではまた、ポ ポバチェンニャ(ウクライナ語でさようなら)。

好き好きアーツ!#42 鳥飼否宇 part16 –ブッポウソウは忘れない–

【ポプラ社の乱歩シリーズ風にROCKHURRAHが作成】

SNAKEPIPE WROTE:

大ファンである鳥飼否宇先生の新作が刊行された。
鳥飼先生の名義としては2015年3月の「生け贄」以来ということになるんだね。
そして本格ミステリ大賞受賞後初の作品、お待ちしておりました!(笑)

タイトルは「ブッポウソウは忘れない(とり研の空とぶ事件簿)」。
出版社であるポプラ社に情報が載っていたので転用させて頂こう。

目撃者はインコ?

大学の鳥の研究室を舞台に巻き起こる不思議な事件の数々。 そこに隠された「とリック」の秘密とは!?

第16回「本格ミステリ大賞」受賞作家が挑む 草食系ミステリ!

鳥の研究室・宝満研に所属する大学4年の野鳥翼。
平凡な大学生の彼の周りでは、ちょっと不思議な事件が巻き起こる。
鳥たちもまきこんで、へっぽこな推理を繰り広げる翼。
そんな中、彼の片思い中の先輩・室見春香が突然姿を消して――。

ありゃ?
主人公の名前、間違ってない?
野鳥じゃなくて宗像だよね。
ポプラ社に連絡しないと。(笑)
と思ったら、帯にも同じ文言が書いてあるよ?
あれー?

購入後すぐに読み始めるSNAKEPIPE。
今までの鳥飼先生の作風とは一味違うね。
主人公が大学生だからかな?

では感想をまとめていこう!
「ブッポウソウは忘れない」は連作短編なので、それぞれの短編について書いていこうと思う。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

第一話 慈悲心鳥の悲哀
大学の理学部生物学科に所属する宗像翼は動物生態学を研究している。
日本における鳥類学の第一人者である宝満教授が指導しているので、宝満研と呼ばれているらしい。
画像左のサンコウチョウという鳥を観察しているところから物語が始まる。
宝満研にいる学生達は、それぞれ研究テーマを持っていて、観察を続けデータをまとめているようだ。

同じ学年で宝満研にいるのが曽根みやこという美貌のお嬢様。
曽根の研究対象はオオルリという鳥。
せっかく観察しようとしたのに、ジュウイチという鳥に邪魔されてしまったと憤慨する。

ジュウイチには托卵という習性があるという。
托卵とは卵の世話を他の個体に托すること、つまり卵を他の巣に産み、温めてもらい子育てまでお願いしちゃうことを指すらしい。
自分の子(ヒナ)じゃないことに気付かない親鳥(仮親)にも驚くけれど、他人(他鳥)任せで育児(育鳥)放棄するのが当たり前になっている種類がいることにもびっくりしちゃうよね。
そのジュウイチの別名がタイトルの慈悲心鳥だという。(画像右)
鳴き声からその名前が付いたというけれど、 托卵の習性と慈悲という単語が結びつかないなあ。
ジュウイチのヒナの知恵もまた、慈悲とは正反対だしね?
第一話はジュウイチのヒナにまつわるミステリーだった。
話の食い違い、先入観、思い込みといった、誰にでも色んなシチュエーションで起こり得る話だと思う。
よく読まないと「こんがらかりそう」になるので注意が必要!(笑)

第二話 三光鳥の恋愛

第一話から登場していた古賀先輩のことを書いていなかったね。
古賀富吉は宝満研の修士課程2年で、甘い物とミステリーが好きな先輩だという。
丸々した体型と性格の先輩だというから、相談事をするのはもってこいの人物だよね。
古賀先輩はほとんど全ての話に絡んでくる。
さすがにミステリー好きだからね。(笑)
古賀先輩、なかなか良い味出してるんだよね!
登場するとホッとするタイプの好人物だね!

上に載せたサンコウチョウの尾の長さの違いについて観察と考察を続けている宗像翼。
この尾の長さとモテ度合いには関連性があるのかどうか?
先日たまたまライオンの立髪が男らしさのアピールなのかどうかを考察するテレビを観た。
ライオンの生息する地域とライオンの種類によって違う、というのが結論だった。
動物界にはそれぞれのルールがあるだろうからね。

サンコウチョウの恋の季節に対応したかのように、ある人物が書いたと思われるラブレターを発見してしまう宗像翼。
一体誰が誰に宛ててラブレターを書いたのか、というミステリー。
第二話が、もしかしたら1番今までの鳥飼先生っぽい雰囲気なのかもしれないね?

第三話 耳木菟の救済

本来であれば宝満研の先輩である修士課程2年の門司が世話をしているはずのオオコノハズク(画像左)。
ところが面倒を見ているのは宗像翼。
門司が入院しているからだという。
第三話はどうして門司が入院することになったのかというミステリーだ。

ミステリーもさることながら、この門司という人物がほとんど喋らないという設定が面白い。
ものすごく頭が良いとされる門司だけれど、大抵の会話を「あ行」で済ませるという。
「ああ」とか「うう」という程度なんだよね。
こういう人って実際にいそうだから、門司さんが返答する度に何度も笑いそうになってしまった。(笑)
そして中に登場する装置にも興味が湧いた。
ちょっと試してみたいよね!

ROCKHURRAHが気付いた誤字だと思われる箇所をメモ書き。
208ページ、14行目。(あえて伏せ字にして記述)

まさか古賀さんと◯◯さんが付き合っていたとは。

これ違うよね?(笑)

第四話 鸚哥の告発

宝満研の助教である九千部響が意識をなくして、机に突っ伏しているところを古賀先輩と宗像翼が発見する。
意識を失ったのは、誰かに首を絞められたせいだという。
その場にいた唯一の目撃者は、研究対象だったインコ!
文中に出てきたヨウムという種類は、アフリカ原産のインコなんだよね。(画像右)
このインコは頭の回転がよく、状況に応じた言葉を喋るという。
そのインコが発した言葉から、犯人を割り出そうとするミステリーである。

宗像翼と同学年の曽根みやこも美貌の女性、宗像翼憧れの室見春香もマドンナ、九千部響はメガネを外すと驚く程美しい目を持った女性、九千部響と同学の元ミス・キャンバス、芦屋日登美は今でも男子学生の憧れの的といった具合に、作中に登場する女性は皆揃って美女ばかり!
キレイな人が多いと、頑張れそうだよね!
きっと古賀先輩はあまり気にせず、何か食べながら読書してそうだけど。(笑)

この話も鳥飼先生らしい展開で、読みながら笑ってしまったSNAKEPIPE。
電車の中では、危ない人に間違われそうだから気を付けないと。(笑)

第五話 仏法僧の帰還

左の画像が本のタイトルになっている「ブッボウソウ」なんだよね。
なんて可愛らしいんでしょう!(笑)
そして賢そうな顔立ち。
カメラに向かってポーズを決めているように見えるほどじゃない?
この写真を見て、一目惚れしてしまったSNAKEPIPEだよ。(笑)
このブッポウソウが一年経って同じ巣に戻ってきたことから、「ある謎」が解決するのが最終話だった。
読み進めていく間、なんだかモヤモヤしていた霧がサッと晴れてスッキリすることができた!
良かった!(笑)

SNAKEPIPEには分からなかったけれど、鳥飼先生と同郷のROCKHURRAHは、読み始めてすぐに気付いたことがあるという。
人名が福岡県の地名になっているというのだ。

* 宗像市
* 小倉南区曽根
* 宝満山
* 室見川
* 那珂川
* 古賀市
* 遠賀郡岡垣町
* 田川郡添田町
* 北九州市門司区
* 福智山
* 糸島市
* 大野城市
* 九千部山
* 朝倉市
* 嘉穂郡
* 春日市
* 糟屋郡須恵町
* 北九州市若松区
* 飯塚市
* 大川市
* 遠賀郡芦屋町
* 周防灘
* 北九州市小倉北区富野

さすがによく知ってるね!(笑)
なるほど、見比べてみると納得できるね。
どこにどの地名があるのかを確認するのも楽しそう!
大野城市が大野譲先輩の名前になっているところが、鳥飼先生らしいよね、とROCKHURRAHが笑っている。
ニック・メイソンの久米一村みたいだもんね。(笑)
大野城市には小学校時代まで住んでいたというROCKHURRAH。
他にも縁のある地名があったようで、懐かしそうに思い出話を語ってくれたよ!

鳥飼先生の「ブッポウソウは忘れない」に関連するような映画をROCKHURRAHが用意してくれた。

映画の殿 第19号」でも特集した我らがジャック・ブラック主演の「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」(原題: The Big Year 2011年)である。

1年間に北米大陸で見つけた野鳥の種類の数を競う、アメリカ探鳥協会主催の記録会は「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれる。
それは私たちが想像する「バード・ウォッチング」とは大きく異り、出場者はみな仕事や家庭生活に支障をきたすほどの時間と大金を注ぎ込み、1年間に40万キロ以上を移動して鳥探しにあけくれる。
大人になりきれない「ビッグ・ボーイズ」たちが、北米の雄大で美しい自然の中を、幸せを追い求めて奔走する様を爽やかに描いた「バード」フル・コメディ

「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれる大会は実在していて、そのルポルタージュを元に映画化されているという。
鳥好きの人にとってはたまらない世界だろうね!

そろそろ40歳も目前という年齢にも関わらず、両親と同居。
どうやらバツイチらしいけれど、未だに夢を見ている、ジャック・ブラック演じるブラッド・ハリス。
その夢とはズバリ、「ザ・ビッグイヤー」で記録を更新すること。
探鳥の間は仕事ができないので、借金をしながら移動し、寝泊まりできる施設を渡り歩くことになる。
母親の援助で可能になった「ザ・ビッグイヤー」の参加。
正直なところ、親が甘いなと思ってしまう。
最近はどこの国でもこんな感じなのかな?

観ている途中で、SNAKEPIPEのスマートフォンが鳴った。
電話に出ようとスマートフォンを手にするけれど、着信していない!
なんとそれは、劇中のジャック・ブラックの着信だったんだよね。
偶然にも着信音が同じだったとは。(笑)

鳥好きだから「バード」と付く曲にしたかったんだろうね。(笑)

「ザ・ビッグイヤー」の記録保持者であるケニー・ボスティックを演じたのがオーウェン・ウィルソン
記録のためなら手段を選ばない悪辣ぶりは、嫌う人も多いはず。
それでもやっぱりこの人も、鳥が好きという気持ちが強いんだよね。
奥さんよりもずっと好きだというからすごいよね。(笑)
探鳥界ではトップの座に君臨しているので、様々な雑誌の表紙になっているところが、まるで「ズーランダー」のモデルの時みたいで面白かった。
「ズーランダー2」、そろそろ出るから楽しみだ!(笑)

もう一人、ずっと「ザ・ビッグイヤー」を夢見ていたのが実業家のステュ・プライスラー。
演じたのがスティーブ・マーティン
「サタデー・ナイト・ライヴ」に出演したり、脚本を手掛けていた俳優・コメディアンだから、ベン・スティラーやウィル・フェレルの大先輩になるんだね。
この3人が同じ年に「ザ・ビッグイヤー」の記録更新を狙って奮闘する物語なのである。

「ザ・ビッグイヤー」に参戦していることは内緒にして、自分が何種類の鳥を見ているか言わない。
探鳥の世界といっても、かなり激しいバトルが繰り広げられるんだね。
そして気象条件にも詳しくないと、いつどこでどんな鳥に出会えるかを予測できない。
偶然出会うだけでは記録を更新するほどの種類を確認することができないことが分かる。
時間とお金だけではなく、様々な知識、体力、気力など本当に探鳥って大変なのね!(笑)

上の画像で3人が並んで見ているのはハクトウワシ。
ハクトウワシのペアが手をつないで急降下していくシーンには驚いた!
とてもロマンチックな行動だよね。

鳥を求めて実際に撮影を行ったと思われるので、スタッフはかなり苦労したんじゃないかな?
製作費に対して興行収入が少な過ぎる数字みたい。
それでも「ザ・ビッグイヤー」と同じように、お金では買えない素晴らしい経験ができたのではないかと想像する。
鳥を探す旅、なんて実際にはなかなかできないからね。
きっと鳥が好きで、いろんな種類に詳しい人だったら、もっと楽しめるんだろうね?
映画を観ているうちにSNAKEPIPEも冒険している気分になっていたよ!

SNAKEPIPEもROCKHURRAHもバードウォッチングをしたことがないので、この映画を観て宗像翼やトビさんの姿を想像しやすくなったかもしれない。
そしてもちろん鳥飼先生も、同じように鳥を探して観察、研究されていることでしょう。
「ブッポウソウは忘れない」はもしかしたら、鳥飼先生が実際に大学時代に経験されたTrue Storyが元になっているのかもしれない。
そんな想像をしながら読むと面白いよね。
一体鳥飼先生は登場人物の中の誰なのか?
宝満教授?古賀先輩?門司先輩?主役の宗像翼?(笑)
「観察者シリーズ」とは違ったネイチャー・ミステリー、楽しかった!