80年代世界一周 伊太利編

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【ファッション大国だけあって見た目にこだわるバンドが多い】

ROCKHURRAH WROTE:

1970年代のパンクやその後のニュー・ウェイブを系統立てて研究してるわけでもないんだが、ちょっと聴いて気になる曲があれば興味を持って少しは調べる。
音楽好きの人間は大体そうやって幅を広げてゆくんだろうけどROCKHURRAHの場合は80年代でピッタリ時が止まったまま。90年代も21世紀になってもずっと80年代ばかり回遊してるという特異体質(?)なのかも知れない。
それだけずっと70〜80年代ばかりを追い求めてきたなら少しはマニアックな見識が増えても良さそうなものなのに、そこまでにはなってないところが実に弱いなあと自分でも思ってるよ。生半可な知識で色んな部分を食いかじった結果「これだけは誰にも負けない」という専門的な人材にならなかったからね。

昔の音楽雑誌を思い出してみると例えば「フランスのニュー・ウェイブ事情」みたいな特集はたぶんどこかでやってたと思う。それが続けて世界各国にまで特集の幅が広がったかどうか、肝心なところは覚えてないけど、そういう雰囲気を目指して企画したのが「80年代世界一周」というシリーズだ。
ROCKHURRAHは専門家でも何でもないのでその国の80年代がどんなだったかもわかってないんだけど、その程度の半端な意気込みだけで進めてゆこう。

さて、思いついた当初から長続きしそうにない企画だと自覚しているけど、第2回はイタリアにしてみよう。
大好きな国はスペインだと事あるごとに書いてたけど、我が家のスペイン・ブームが来る前はイタリアも憧れの国だったのだ。

SNAKEPIPEがイタリア物の革製品を扱ってる店で働いていた事もあって、前々からデザインや色使いの斬新さ、素材の良さなどをROCKHURRAHも聞かされていた。だから観光地めぐりのイタリアじゃなくて、日本ではあまり知られてない職人の工房とか(服飾制作用の)パーツ探したりとか、そういう目的で行ってみたい国だと思っていたんだよ。

ROCKHURRAHが個人的に興味あるのは20世紀はじめにイタリアで起こったFuturismo(未来派)という芸術運動だ。ファシズムと結びついて破壊的な行為、戦争を礼賛するような過激な思想なのはいただけないが、純粋に美術として見た時に好みのデザインが多いというだけ。

音楽の世界ではイタリアと言えばオペラ発祥の地だしクラシック音楽やカンツォーネなど、古くから音楽がすごく栄えた地だという印象がある。
そういう要素に近い(?)というわけではないだろうが、70年代にはイタリアン・プログレッシブ・ロックなどというくくりがあってそれなりに著名なバンドが色々出てたんだけど、ROCKHURRAHにとってあまり興味ある分野ではなかったからその辺もノーコメントだな。ホラー映画好きだったからその手のテーマ曲を多く手がけたゴブリンくらいか。

その後、イタリア独自の発達をしたパンクやニュー・ウェイブというのもあまり話を聞かないので、ドイツでノイエ・ドイッチェ・ヴェレ(ドイツのニュー・ウェイブ)が起こって色んなバンドが次々出てきたほどには盛り上がらなかったんだろうなと想像するよ。何かは起こってたんだろうけどシーン全体を牽引する仕掛け人みたいなのがいないとなかなか大きなムーブメントにはならないからね。

第1回のスペインと同様、ロックンロールとかグラム・ロックとかパンクやニュー・ウェイブに直接結びつきそうな音楽の下地があまりないと思える国だから期待もせずに探してみたが、さてどうだろうか?
なお、今回もイタリア語の名前は読めんので、カタカナ表記はあまりしないつもり。 

まずはこれから、Kandeggina Gangという全員女性のパンク・バンドだ。
Kandegginaって何?と思って調べてみたらこのバンドしか出て来なかったからきっと造語なんだろう。
Candegginaというのはイタリアで洗濯用の漂白剤だそうで、日本で言えばワイドハイターEXとかそういうもの。たぶんそれのスペルを変えてバンド名としたのに違いない。勝手に「コインランドリーで意気投合した女4人で結成、メンバー全員洗濯好き」などというストーリーを想像してしまうよ。

ヨーロッパを見回してみるとフランスのスティンキー・トイズやベルギーのプラスティック・ベルトランなどはイギリスのパンク・ロックと大体同じ頃にすでに活動していて時差がほとんどないと思うんだが、こういうのに相当するイタリアのバンドが思い当たらない。
いたのは間違いないんで単にROCKHURRAHが疎いだけかも知れないけど、だからイタリアに目立ったシーンがなかったように感じてしまう。イタリアと言えばまずジョルジオ・モロダーとか連想してしまうもんね。

そういうわけで同時代のバンドを思い出せなかったけど数年遅れて出てきたのがこのバンド。
1979年にミラノで結成、1980年に唯一のシングルをリリースしたKandeggina Gangはイタリアで本格的なガールズ・パンク・バンドの先駆けとなるわけかな?
ちゃんと映像が残ってるだけでも先駆けガールズ・バンドの中では恵まれてる方なんだろうけど、やってる事はスリッツやモデッツ、レインコーツにクリネックスなどと言った女流パンク・バンドの先駆けたちに追随するような音楽性。上記のバンド達よりはまだかわいげがあるけど、そこまで実験的な内容でもない。
ふう、わずか数行に「先駆け」という言葉を多用してしまったのが情けないが、このバンドはイタリア語という以外には特に目立った個性は感じられないな。第1回スペイン編で書いたアラスカが初期の段階でかなり完成された独自のパンクだったのに比べるとちょっと魅力に乏しいかな。

本人たちもそれに気づいたのかKandeggina Gangはこの1曲だけで解散。ヴォーカルのジョヴァンナ・コレッティ嬢はJo Squilloと名乗り別のバンドを始めた。正式な発音に近く表記するならジョー・スクイッロなんだろうが日本人が発音しにくいのでスキーロでいいのかな?まあとにかくJo Squillo Eletrixという次のバンドはイタリア語がパンクに見事に調和していて、元気でお茶目そうなJo Squilloの個性がやっと発揮されたバンドだと思ったよ。

1981年に出たヒット・シングルがこの「Skizzo Skizzo」だ。
Skizzoって何?と思って例のごとく調べてみたらどうやらイタリアで売ってる清涼飲料水・・・ではなくて台所用洗剤の商品名らしい。パッケージがやたら紛らわしくて子供が本当に誤飲とかしてしまいそう。
しかしそれにしても漂白剤の次は洗剤、よほどそういう系列が好きなのかねえ。

ビデオはウルレーションと呼ばれるアフリカなどの甲高い雄叫び(SNAKEPIPEに今教えてもらった)で始まり、バカっぽいけど自分の名前入りのトレーナー着て踊る姿はハリキリ若奥さんには見えてもパンクとは思えない。けど曲調はしっかりパンクや初期ニュー・ウェイブの真っ只中にあるようなもので、覚えやすい連呼型。

この曲「Violentami(レイプ?)」もパンチのある歌声と明るいキャラクターでノリノリになれるね。タイトルからすると笑って歌える内容ってはずはないんだけどなぜに明るい?
曲調はまるでラモーンズのモノマネだし、コンセプトはまるで違うけどレジロスあたりに通じる元気の出るバンドで気に入ったよ。

ジョー・スキーロはその後もソロ・シンガーとしてイタリアでは人気あったようでお色気セレブみたいな画像がたくさん出てくるが、日本ではたぶんあまり知られてない存在だと思う。歳を取ってもパンク精神を忘れずにお茶目なおばちゃんでいて欲しいね。

ジョー・スキーロのKandeggina Gangよりも前の1970年代後半から活動してたのがGaznevadaだ。
ガズネヴァダって何だ?と思って調べたが情報まるでなし。
ネット上には「80年代初期に活躍したイタリアン・テクノポップ・バンドGaznevada・・・」などと判で押したような言葉が並んでるだけで、このバンドと本気で向かい合った日本人はいないように感じる。
無論ROCKHURRAHもそれ以上に語れる材料を持ってないからおあいこ以下だけどね。

どうやら初期の方ではパンクから始まってニュー・ウェイブに至り、という点では他の多くのバンドと同じなんだけど、それからイタロ・ディスコの方面でヒットしてしまったので方向転換したように感じる。

「A.Perkins」はジグ・ジグ・スパトニックとドイツのヴィルツシャフツヴンダーを足したかのような落ち着きのない演奏と効果音に彩られた不気味な名曲。なぜアンソニー・パーキンスなのかは不明だがイタリア、なかなかやるな。
え?ヴィルツシャフツヴンダー(Wirtschaftswunder)知らない?ドイツ編を書くかも知れないので詳しくは語らないがノイエ・ドイッチェ・ヴェレと呼ばれたムーブメントの中でも飛び切りのヘンな迫力に満ち溢れたすごいバンド。このバンド名を例えに使うのはROCKHURRAHの中ではかなり上等の賛辞なのだ(←偉そう)。

上の曲とこの曲が同じバンドの同一アルバムに入った曲(「Psicopatico Party」1983年) だと言うのが信じられないくらいだよ。音楽性の幅が広すぎるのも問題だよな。

で、このビデオの「 I.C. Love Affair」はどうやらヒットした曲らしく、彼らの代表作。
聴けばまあ確かに売れ線のオーラ漂う、少なくとも1983年の音楽事情を思い出せば、どこに出しても恥ずかしくないオシャレな名曲なんだろうな。個人的には上の「モロにニュー・ウェイブ真っ最中」路線で突っ走って欲しかったけどね。

上に書いたガズネヴァダとメンバーがかぶってるそうだがご覧の通り、顔面TV仕様なのでどれが誰だかさっぱりわからん。読めん!というバンド名が続いたがThe Stupid Set、これなら英語なので読めるね。

顔がテレビと言うと真っ先に思い出すのがビル・ネルソンがやっていたビーバップ・デラックスだ。
1978年に出た最後のアルバム「Drastic Plastic(プラスティック幻想)」の裏ジャケ一面にTV顔のメンバーが写っててコンセプトとしては全く同じ。
1980年に出たのがThe Stupid Setのシングル「Hello I Love You」なんだが、ビーバップ・デラックスを知っててやってりゃ完全な盗作、知らなくてもこれくらいのコンセプトなら誰でも思いつくというシロモノではあるが。

このバンドも先に書いたガズネヴァダもイタリアの古都ボローニャの出身だとの事。
旅番組とかでもたびたび出てくる人気観光地だが街全体が煉瓦色という印象だ。
そんな古い街並みにもパンクやニュー・ウェイブの波が押し寄せたらしくて、ボローニャという都市がイタリアのパンクやニュー・ウェイブにとっては重要な地域だったらしい。見てきたわけじゃないから割といいかげんに書いてるけど。

ビデオの曲は(たぶん)ロック好きなら誰でもわかる通り、ドアーズのカヴァー。エレクトロニクスと言うよりはエレキって感じのチープな演奏にちょっとキーボードが入ってるだけで気分は初期テクノポップだよね。これぞ80年代前半ニュー・ウェイブの真骨頂。プラスティックスとかにも通じるね。
英米や日本でも同時代に紹介されてれば話題になったと思うけど、この当時イタリアに注目してたレコード業界の人はプログレ系ばかりだもんね。イタリアに限らず世界にはそういう例がたくさんあって、ちゃんと時代を見る目があればいくらでも音楽は活性化出来たのに、見る目のない年老いた業界人と見る目はあっても資金不足の若造ばかりだったな。

こちらは職人の街フィレンツェのバンド、Diaframmaだ。
ディアフランマと読むのかな?
日本語に訳すと「横隔膜」、何だそりゃ?というバンド名だが何か理由があるのだろう。
どうやらイタリアの初期ニュー・ウェイブとしては人気、知名度もあったみたいでそういうTV番組の特集とかでも必ず最初の方で映像が流れたりする。代表的な存在だったのかね?
旅番組とかでもたびたび出てくるフィレンツェだが街全体がやっぱり煉瓦色という印象だ。こんな街からこういうバンドが出てきたのは意外という気がする。

「Illusione Ottica(錯視)」は1982年に出た彼らのデビュー・シングル(のB面)だが、ジョイ・ディヴィジョン風の暗く沈んだ曲調にイアン・カーティスをかなり意識したステージ・アクションで明らかに真似っ子路線。
オリジナル(イアン・カーティス)にはない動きを模索してるような振り付けがわざとらしいよ。
イタリア語の響きがこういう音楽に合ってるのか合ってないのか?
イタリア、そしてフィレンツェと言えばゴシックよりもルネッサンスだとどこかで読んだが、建築に限らず音楽の世界でもイタリアのイメージではこういう陰気なのはあまり発達しなかったと勝手に思ってたよ。

Diaframmaはバンドとして紆余曲折があったらしくて、最初の頃はギターのみだったFederico Fiumaniが結成10年目くらいでついにヴォーカルとなってからは初期とは違う路線でたぶんもっと人気バンドとなっていった模様。

1989年の「Gennaio(1月)」はいきなり走ってきてドアップというエモーショナルさが炸裂したギターポップ風の音楽で、同じバンドとは思えないほどになってる。歌詞もとても字余り・・・。
このFederico氏、80年代型イタリアのファッション・モデルっぽい見た目に自信を持っている模様で、ギターを弾く時にざんばらりと落ちる前髪などにも、計算されたいい男ぶりが垣間見える。
80年代リヴァプールのザ・ルームというバンドも「俺っていい男オーラ」が漂うヴォーカリストだったが、それを思い出してしまうよ。

Federicoには悪いが初期と後期、どっちがいいかと言われたらイアン・カーティスの影響受けすぎて(ヴォーカルは違う人)思わず笑ってしまう初期の方がやっぱり好みだよ。

 イタリアが70年代のプログレッシブ・ロックだけでなく、80年代のニュー・ウェイブでもなかなか個性的なバンドを輩出していた国だと、今この時代に再認識しても遅すぎか?

最後はこのバンドにしてみよう。CCCP Fedeli alla lineaだ。ドイツのベルリンで結成したイタリア人のバンド、そしてバンド名がソビエト社会主義共和国連邦とはこれいかに?
CCCPの後についてるFedeli alla lineaがわからなかったからGoogle翻訳してみると「ラインに忠実なCCCP」などとさらにわけのわからない事を言ってきたよ。

いかにもハードコアという見た目のGiovanni Lindo Ferrettiを中心とするバンドなんだが、メンバーの中に意味不明のパフォーマンスをするだけの男女2人がいて、ヴォーカルのGiovanniを加えた3人が変な踊りや儀式のようなよくわからん事を披露するという鬱陶しい形式のライブらしい。
衣装なども毎回趣向を凝らして女性メンバーはファッション・モデルっぽい感じ。歌を歌うわけでもなくてランウェイを歩くみたいにウロウロしてたり、かなり不審な存在。
個性的という点では際立っているけど、何かメッセージ性がありそうな割にはやりたい事があまり伝わってこないのがちょっと残念なバンドだ。 色物バンドってほど受けを狙ってるわけでもないし、言葉の壁を越えるような何かがあれば良かったんだけど。

さて、まだまだ探せば色々出てくるはずのイタリアーノ・バンド達。いつもの事だが時間がおしてしまったので残念だが今回はここまでにしよう。

それではチ・ヴェディアーモ(イタリア語で「じゃあまたね」)!

ビザール・マッチ選手権!33回戦

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【ROCKHURRAH作。宇宙を漂うROCKHURRAH RECORDSマークのマッチ坊(意味不明)】

SNAKEPIPE WROTE:

先週お届けした「ビザール・マッチ選手権32回戦」 では「とほほ」なマッチ・デザインを特集した。
なんでこのデザインなのかと思う不思議な物から、見た瞬間に笑ってしまう物もあったね!
今週はコレクションしたくなるようなカッコ良いデザインを紹介していこう。 
そうなると本当はビザール・グッズじゃないんだけど、良しとするか。(笑)

20世紀初頭、日本が世界のマッチ三大生産国だった話は先週したよね?
恐らく明治・大正時代ってことになるのかな。
その時代の輸出用だっただろうと思われるデザインを載せてみよう。
うひゃー!ピストルだよ!
セックス・ピストルズもびっくりだね。(笑)
どうしてマッチにピストルなのか謎だけど、なんてカッコ良いんだろう!
その当時はグラフィック・デザイナーという呼び名じゃなかっただろうけど、考えた人はすごいよね。
明治・大正時代には、誰がデザインしていたのか興味あるよ!

ピストルのデザインとフォーマットが同じだね。
「THE LIP BRAND」という名前を付けたセンスに驚くよ。
和訳すると「唇商標」って感じなのかな?
この唇だけをアップで捉えたデザインはまるで横尾忠則!
いや、横尾忠則のほうが後になるんだよね。
左は横尾忠則デザインの画像。
唇だけをアップにして、たばこをくわえているところまで似て蝶!
SNAKEPIPEの勝手な想像だけど、家にこのマッチ箱があって、子供の頃から目にしていたとする。
その印象が強かったとしたら、デザインを考える時にふと脳裏をよぎることもあるかもしれないよね。
寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」の刊行は1967年だというから、今から50年以上前のこと。
60年代後半と考えるとサイケデリックの時代だよね。
それでもかなりインパクトがあるデザインだと思うけど、どうだろう?
SNAKEPIPEだったら思わず手に取ること間違いないよ。(笑)

2016年に東京藝術大学美術館で「驚きの明治工藝 鑑賞」に行ったことを思い出す。
明治時代の工芸品の精巧さ、美しさに目を見張ったんだよね。
輸出用の工芸品は「ザ・にっぽん」といった和風テイストを前面に打ち出していたんだよね。
右のマッチ・デザインもその流れに近いんじゃないかな。
桜をバックにアルファベットが配置されると、こんなに和洋折衷な雰囲気になるんだね!
真ん中の「S」は桜の「S」なのか?(笑)

これも「ザ・にっぽん」だね。
あえてヴィンテージを復刻したデザインがあるけど、このマッチ・デザインもそのままスカジャンの刺繍にして使えそうだよね。
鶴、亀、梅、松と「めでたさ」てんこ盛りだし。(笑)
「KOBE JAPAN DZUIGEN &Co」と書かれているので、日本製には間違いないと思うけど、人の名前とおぼしき「DZUIGEN」がよく分からないよね?
在日〇〇人、みたいな外国人がやっていた会社だったのかな。
色の美しさ、シンメトリーの安定した構図も素晴らしい。
この雰囲気も横尾忠則のポスターに近いんだよね。

世界三大マッチ生産国の一つであるスウェーデンのデザイン。
大胆な構図と色の鮮やかさ!
SNAKEPIPEが気に入ったのは、バックの色なんだよね。
ペイル・ターコイズ(#afeeee)になるのかな。
カラーコードまで書かないで良いか?(笑)
洋服や靴、バッグなどほとんど黒しか所持していないSNAKEPIPEだけど、何故かこの色に反応してしまうよ。
こんなマッチがあったら使わなくても、持ってるだけで嬉しくなる逸品だね!

中央に目が描かれたシンプルなデザイン。
どこの国で生産されていたのかは分からないけど、インパクトあるよ。
秘密結社・フリーメイソンの会員用かも、と思ってしまう。
プロビデンスの目みたいだからね!
もしくはマックス・エルンストの版画をモチーフにしたかのような。
レトロなデザインには秀逸な物が多いよね!

次はチェコスロバキアのデザインね。
とは言っても、現在はもうチェコ共和国とスロバキア共和国という2つの国になっているんだよね。
1918年から1992年まで存在した国だというので、その時代に生産されたマッチということになるよ。
ソ連型の社会主義国家だったようなので、やっぱりロシア構成主義の影響も受けていたのかな。
中央に星マークがあるところが社会主義らしいデザインだよね。
シンプルな構成と色使いが素晴らしい!
やっぱりロシア構成主義、良いなあ。

最後はこれ!
これもチェコスロバキアの物なんだけど、とっても素敵なんだよね。
特に注目したいのは色使い。
オリーブ、黒、ダークグリーンの3色で、いびつな曲線を描き、その上にもう少しで落ちそうな赤色の玉が乗っている。
「CLOVEKU」は「男」、「SLUSI VKUS」は「おしゃべり」と自動翻訳で出てきたよ。 
ということは「おしゃべりな男」?(笑)
人物を抽象的に描いたデザインだったのかもしれないね。
マッチ箱にこんなアートが展開されていたなんて、ヨーロッパはさすがだなあ!

2週に渡ってレトロなマッチ箱のデザインを特集してみたよ!
明治・大正時代の日本のデザインを発見して嬉しくなった。
「とほほ」も含めて、秀逸な物が多かったからね!
検索していて、とても楽しかった。
ビザールなデザイン、これからも探していこう! 

ビザール・マッチ選手権!32回戦

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【他にも「とほほ」なデザインがいっぱい!】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ビザール・グッズ選手権」にしてみよう。
特集するのは「マッチ」!
有名な「マッチ売りの少女」や「ハイティーン・ブギ」のマッチである。(ん?)

SNAKEPIPEはマッチを擦った後の燐の匂いが好きだったなあ。
昭和の時代は喫茶店で貰ったマッチを「いかにカッコ良く使うか」に心を砕いたこともあったっけ。
あの10本くらいが横並びになっている平たい紙マッチである。
ブックマッチというのかな?
最近は昔ながらの喫茶店自体少なくなっているので、紙マッチを常備している店も少ないだろうね。
SNAKEPIPEもマッチを使うことがほとんどないよ。

今回注目したのはマッチのバッケージ・デザイン。
「とほほ」な物から目ん玉が飛び出すほどオシャレな逸品が揃っているんだよね! 
年代物のヴィンテージに面白いデザインが揃っていることは言うまでもない。
検索していて驚いたのは「MADE IN JAPAN」の商品が多いこと。
どうやら日本は1880年代からマッチの輸出を始め、20世紀初頭には世界三大マッチ生産国だったという。
海外のサイトで検索しても「レトロ・デザイン」として日本製マッチがたくさん出てくるもんね。
これですっかり謎が解けたわい。(笑)
ちなみにその三大生産国は他にアメリカとスウェーデンだって。

それでは早速ビザールな逸品を紹介していこう!
レトロ・デザインだと思っていたら現代のものだった、というのも混ざっているかもしれない。
もしそうでも逸品デザインには違いないので、良しとしよう。
選んでいたら枚数が増えてしまったので、マッチ編を2回に分けようかな。
一回目は「とほほ」シリーズをまとめてみよう!

最初からインパクトが強い逸品が登場だよ!
「BURING BOY」という商品名のようなんだけど。
こんなに燃えると強調しているんだけど、人がここまで燃えちゃいかんでしょう。
しかも少年のようだし。
このデザインをマッチに使用するのはいかがなものか?
 火遊びすると火傷をするよ、というような「戒め」なのかもしれないな。
それにしてもマクレガーさん、このパッケージを採用するのは勇気がいるだろうね。 
この絵を遊びの一種と考えて真似る子供はいなかったのかな?

続いても危ない系。
ほとんど同じ構図と題材なんだけど、左がカルカッタで作られたインド製。
右が日本製なんだよね。
ヒンドゥー教の女神カーリーをモデルにしているマッチなんだけど、本当に相当残酷な場面だよね。
女神カーリーが描かれるときには、いつでもこの状態のようだけど。
このマッチがさりげなくテーブルに置かれていたら「まじまじ」と見てしまいそう。(笑)
日本国内には出回らない輸出用だったのかもしれないね。

ヨーロッパも負けてないよ! 
ビザール・ポストカード選手権!28回戦」にも書いた、クリスマスシーズンに登場するクランプスという悪魔。
悪い子に罰を与える役割を担っているというから、背負われてる子供はきっと悪い子なんだろうね。
そしてきっと「悪い子に注意」と書かれていることから、子供が遊ばないように注意喚起が目的なのかもしれないね?
怖くて不気味な絵柄にしておけば、間違って手にすることはなかろう、というアイデアなのかな。
これで火遊びが減ったら良いね!

インド製のジョーカー・ブランドの逸品。
この絵では道化師というよりは、猿の着ぐるみを着て葉巻を更かしている中年の双子にしか見えないんだよね。(笑)
「客、笑わねえな」
「やってられねえぜ」
なんて会話しながら一服しているように見えるよ。
かなり「とほほ」で良いよね!

こちらは日本製のサーカス関係ね。
ジャグラー・マッチと書かれているし、逆立ちしてるから曲芸やってるんだろうね。
それにしてもこの三角帽とパンツ一丁の服装!
そして何かを口に加えているんだよね。
手が短過ぎて縮尺がおかしいところも注目だよ。(笑) 
これもかなり「とほほ」なデザイン!

次もどこかおかしいんだよね。
一番最初に書いたヒンドゥー教の女神カーリーなのかもしれないね。
カーリーというのは血と殺戮を好む戦いの女神だというので、残酷な姿で描かれるんだろうね。
ギリシャ神話などもそうだけど、神様なのに残酷というのが多いことに驚くよ。
カーリーと思われる人物の腕の長さが短いんだよね。
踏みつけられているライオンの前足が1本ないことにも気付いてしまった。(笑)
そして右下の小さい人物は、何を狙って剣を振りかざしているのか?
なんとも不思議なデザインだよね。

ここにもライオンが登場しているよ。
かなり年代物の雰囲気だよね。
「ライオン・マッチ」が右から書かれているし、「日本燐寸製造株式会社」の漢字も旧字体。
サーカスの曲芸なのか、細い棒の上を歩いているライオンちゃん。
顔は「いかつい」ようだけど、あまり怖くないね。(笑)
こういう脱力系は好きだよ。
NYの「BAD ART MUSEUM」に紹介したくなるね!
高い評価を受けるように思うけど?(笑)

描き始めた時は、まさかこんな出来になるとは思ってなかっただろうね。
キューピーの特徴には「カブの様にとがったひと房のヘアースタイル」や「ぽってりとしたおなか」などの他に「丸く大きく左右どちらかを見つめている目」があるらしいけれど、このキューピーはそれに当てはまらないね。 
「ちらり」と横目を使っているところに「いかがわしさ」がある。
キューピッドの役割を果たそうとして矢を放ったけれど、全然別の人に当たってしまった!
失敗したけど「見て見ぬふりしよ」と企んでいるかのような。
手の動きも、こちらを制しているように見えてきてしまう。
三井物産会社、このデザインで本当に良かったんだろうか?

スウェーデン製のこちら。
一体何がモデルなんだろうか。
左は半裸の男性で右はスカートを穿いた女性か牛?
ジャンケンして勝ったら道を通してあげる、とでも言っているように見える。
それにしても両者、目があらぬ方向を向いていてラリっているのかも?
もしかしたら何か有名な寓話がテーマになっているのかもしれないけど、両者ともに火の取扱いには不向きな感じね。(笑)

上から読んでも下から読んでも山本山のような状態を絵で表しているのかな?
昭和に生まれた人にしか「山本山」って言っても分からないかな。(笑)
TRICHURというのは南インド・ ケララ州にある地名とのこと。
こんな不思議な絵にはインド人もびっくりだよ!(笑)
またもや昭和のネタを披露してしまったね。
「MAGIC HEAD」と書かれているので、きっとマッチの燃焼時間が長いとか、火がつきやすいなどの特徴が売りだったんだろうね。
もう少し違う表現方法があったんじゃないかと思うけれど、一度見たら忘れないデザインは秀逸だね!

最後はこれで締めようか。
恐らくこれもインド製だと思うんだけど。 
あなたは一体誰?(笑)
SRINIVASA MATCH WORKSで調べてみたけれど、これといった情報が見つからない!
この人物が会社に関係する誰か、例えば社長なのか知りたかったんだけどね。
ドンと中央に鎮座し、正面を見据えるインパクトの強さったら。(笑)
もしかしたらインドでは有名な人なのかもしれないけど、何も知らないSNAKEPIPEには強烈だよ。
誰か知ってる人がいたら教えてください! 

今週はマッチのデザイン「とほほ」編をかいてみたよ。 
暑い夏を乗り切るには脱力系が一番だからね!(意味不明)
次回の「ビザール・グッズ選手権」ではカッコ良いマッチ・デザインにしてみよう。
どんなギャップが待ち受けているか?
お楽しみに!(笑)

映画の殿 第32号 市川崑「横溝正史シリーズ」01

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【何度でも観たくなる名作】

SNAKEPIPE WROTE:

NHK BSプレミアム シネマで、市川崑監督の作品が放映された。
横溝正史原作の「犬神家の一族」と「悪魔の手毬唄」 、そして「獄門島」である。
ROCKHURRAH RECORDSは2人揃って横溝正史の大ファン!
当然のように映画も鑑賞済だけれど、この機会に改めて鑑賞し直すことにしたのである。
今週は「犬神家の一族」について感想をまとめてみよう。

「犬神家の一族」は1950年から1951年にかけて雑誌「キング」に掲載されていた横溝正史の作品である。
1954年に渡辺邦男監督、金田一耕助役を片岡千恵蔵が演じて映画化されているらしい。(未鑑賞)
それから約20年後の1976年、市川崑が監督した角川映画版「犬神家の一族」は大評判になったよね。
1976年というと、ロンドンでパンクが生まれた年。
ピンク・レディーの「カルメン’77」より前のことだね!(笑)

角川書店で扱っている書籍を映画化し、テレビで宣伝し、主演女優を有名にし、映画の主題歌を歌わせる。
様々なメディアを駆使した角川商法は大成功を収め、当時は誰もが知っている映画のタイトルだったり、流行語になるようなフレーズを生み出していたっけ。
当時の角川春樹はマルコム・マクラーレンか、秋元康のような仕掛け人だったんだね。

その記憶が残っているせいか、角川映画は娯楽作品として認識していたSNAKEPIPE。
前回観たのが数年前だっただろうか、その時も市川崑監督を意識しなかったように思う。
今回改めて鑑賞した際、気になったのが市川崑監督の映像だったんだよね!
当時は恐らく斬新な手法だったんじゃないかな。

その美的センスを活かした映像美と独特の鋭いカット繋ぎはコン・タッチと呼ばれ、今なお熱狂的ファンを持つに至る(Wikipediaより)

コン・タッチ、なんて言葉ができるほどだったとは知らなかったよ。
そんなことも知らないのか、なんて言わないでね。
今になってやっと市川崑監督に興味を持った若輩者ですから!(笑)

まずはあらすじから書いてみようか。
非常に簡単なあらすじだし、金田一耕助の金の字もないけど、まあいいか。 

旧家の名士犬神佐兵衛の遺言状が公開されるが、莫大な遺産の相続者は佐兵衛の恩師の孫娘である野々宮珠世と結婚した者と記されていた。
佐兵衛の孫にあたる3人の男はそれぞれ珠世を我が物にしようと企むのだが、やがてそれは連続殺人事件へと発展していく……。

トレイラーだけでもおどろおどろしさが伝わってくるよね!
ストーリーや登場人物についての感想を書きたいのは山々だけど、今更という気もする。
「映画の殿」では、映画のディティールについて持った感想をまとめていくことにしよう!

映画が始まって最初に驚くのはオープニングのクレジット。
出演者や監督の名前を、こんな配置で表しているとは驚きだよ!
言葉を使った「ワード・アート」で有名なジェニー・フォルツァーを思い出す。
このタイポグラフィはアート作品だよね!(笑)
一世を風靡したアニメ「エヴァンゲリオン」や三谷幸喜作品でも、市川崑の影響を受けたタイポグラフィを使用していたという。
日本語(漢字)の新しい捉え方だと思う。

珠世(左)が懐中時計を佐武(右)に渡している回想シーン。
カラー作品なのに、急にここだけモノクロームになるんだよね。
このコントラストの強さはまるで森山大道!(笑)
回想の場合には薄くてぼんやりしたイメージを想像してしまうSNAKEPIPEだけど、正反対の色調だもんね。
強烈な印象だったよ。

話の途中で、まるでサブリミナルのように短い間隔で挟み込まれる映像も特徴的。
石坂浩二演じる金田一耕助の思考を表現したような、目の動きや耳だけの映像なんだよね。
会話に関係がある内容の短い映像が挟まれるシーンもたくさんあったなあ。
今観ても、速いカット割りだと思うので、当時はきっとショッキングだったんじゃないかな?
急にストップモーションになるシーンもあったんだよね。
動きは止まっているのに、会話は続いていて、ちょっと不思議な気分になってしまう。
「へえぇっ!」と何度も声を上げて驚いたSNAKEPIPE。(笑)
「コン・タッチ」すごいなあ!

「犬神家の一族」は俳優陣の存在感も重要なんだよね。
犬神家の長女・松子を演じたのが高峰三枝子。
凛として上品で、近寄りがたい雰囲気は、さすがに大物女優!
昭和の女優さんって、本当にキレイなんだよね。
今回高峰三枝子を観ていたら、喜多川歌麿の美人画を思い出してしまった。
もしかしたら高峰三枝子のような女性が歌麿のモデルだったのかも?
今まで一度も「美人画」から女性美を感じたことがなかったSNAKEPIPEだけれど、高峰三枝子だったら話は別!
そう考えると、急に美人画が素敵に見えてきてしまった。(笑)
1918年生まれの高峰三枝子は、この時58歳くらいかな?
還暦手前には見えない美しさ。
今はこんな雰囲気の女優さん、なかなかいないだろうなあ。

犬神家の3姉妹、右から松子、竹子、梅子。
松子は前述したように高峰三枝子。
竹子を三條美紀、梅子を草笛光子が演じている。 
娘である自分たちよりも若い女工に子供を産ませ、犬神家の家宝を譲ってしまった父親への反発が3姉妹の心を醜くさせたんだろうね。
白塗りメイクで女工を襲いに行くのである。
襲われた青沼菊代は死ぬ間際まで3姉妹を恨んでいたというから、相当な仕打ちをされたんだろうね。
ああ、人の恨みって怖い!
三條美紀も草笛光子も、他の市川崑作品に出演している。
慣れたスタッフや俳優陣で撮影してたんだろうね。

「市川組」とでもいうべき、毎回登場する役者陣についても書いていこう。
毎回違う役だけれど、必ずセットで出演しているのが、三木のり平と沼田カズ子。
三木のり平は俳優やコメディアンとして有名だけど、沼田カズ子は一体何者なの?
ネットで調べてみると、どうやら映画のスタッフをやっていた方のようで。
それであのたどたどしい演技だったのね! 
演技は素人でも強烈なインパクトがあるよ。
市川崑監督の横溝作品には毎回登場する、この2人組。
いつ出るか、と出番を心待ちにしてしまうんだよね。
禍々しい惨事が起こる映画なのに、笑いのシーンもあるのが秀逸だよ。
三木のり平の味がある演技はすごいね。

この人も忘れちゃいけないね。
毎回事件解決のために努力しているけれど、空回りする警察官。
「犬神家の一族」では警察署長という役どころの加藤武!
一応筋が通っているような自分なりの解釈をして
「よおし、わかった!犯人は◯◯だ!」
と手を打ち、右手を前方に出して叫ぶのがお決まりのポーズ。
粉薬を口に含んだ直後に喋り、粉を口から飛ばすのもお約束。(笑)
毎回金田一耕助に会っているはずなのに、映画の中では初対面になっているのも面白いんだよね。

大滝秀治も常連さん。
この映画では神主さんを演じていて、非常に重要な情報を金田一耕助にもたらすんだよね。
大滝秀治はいつも「おじいさん」役をやっているように思っていたけど、この時点で51歳だったようで驚き!
もっと上に見えてしまったのはSNAKEPIPEだけかな?(笑)
画像下が「犬神家の一族」2006年版での大滝秀治。
30年が経過しているので、もちろん年はとってるけど、そんなに大きくは違わない気がするね。

芋の煮っころがしを食べながら、犬神家の家系図を書く金田一耕助。
このシーンも市川監督のカット割りが印象的で、記憶に残るんだよね。
家系図を書いているところに右の映像がパッと挟み込まれる。
ほんの1、2秒で状況説明してしまうのは、とてもCMっぽいなあと感じる。
調べてみると市川崑はCMも数多く手がけていることが分かり、納得だね!

一番最初に石坂浩二版の金田一耕助を観ているので、それ以降の金田一耕助にはピンと来ないことが多くなってしまった。
「007シリーズ」も最初に観たのがショーン・コネリー版だったのと同じ理由かも。(笑)

アメリカのテレビドラマ「ハンニバル」のように死体を飾る猟奇殺人事件を題材にした映画が、大ヒットしたというのは驚くべき事実だよね。
「犬神家の一族」以降では映画のテーマやカット割りのスピードが変わっただろうね。
市川崑監督に俄然興味が湧いてきたよ!(笑)
そこで早速「犬神家の一族」2006年版を鑑賞することにしたROCKHURRAH RECORDS。

金田一耕助を石坂浩二が演じ、脚本も同じだという2006年版。
1976年から30年が経過しているため、ヒロイン珠世を演じた島田陽子は松嶋菜々子になり、佐清はあおい輝彦から尾上菊之助になった。
1976年版を踏襲するようなキャスティングだね。
佐武や佐智も違和感なかったし。

ガラリと変わってしまったな、と感じるのは松子役の富司純子。
富司純子のイメージは「緋牡丹のお竜」だからね。(古い?)
1976年版と連続して鑑賞してしまうと、高峰三枝子の気高さとは別物と感じてしまうんだよね。
では誰が松子に相応しいか、と聞かれても困るんだけど。(笑)
松坂慶子の竹子と萬田久子の梅子は雰囲気出ていたように思う。

石坂浩二は30年経過して、同じ役を演じることに抵抗はなかったのかな。 
ほとんど同じセリフを、同じ衣装を身に着けて、同じ構図で映画化する。
リメイクの際に市川崑が「石坂浩二で」と譲らなかったという記事を読んだので、監督からのオファーだったみたいだけど。
驚いたのは石坂浩二の声がほとんど変わっていなかったこと。
そして下駄で走る姿にも年齢を感じさせなかったのはすごい!

髪型には多少違いがあって、たまに武田鉄矢に見えてしまったんだよね。(笑) 
それでもやっぱり金田一耕助は石坂浩二版が良いなあ、と思う。

昭和22年を舞台にしているため、同じ昭和に撮影された1976年版のほうが雰囲気が出ていたのは仕方ないことなのかもしれない。
映像のトーンが暗めだったのも、ストーリーに合っていたし。 
那須ホテルの女中はるも坂口良子が上手だったし、三木のり平の役を林家木久蔵が演じたけど、あの味は出せなかった。
当然ながら沼田カズ子の存在感には、さすがの中村玉緒も惨敗。
それでも2006年版「犬神家の一族」が市川崑監督の遺作、と聞くと少し点数が上がってくるね。(笑)

1976年版では横溝正史が那須ホテルの主人役で出演していたんだよね。
隣にいるのは、本当の奥様らしい。
2006年版では三谷幸喜が成り代わっていた。
カメオ出演も、作家本人だから面白かったんだろうね。
横溝正史が2006年版を観たら、どんな感想を持っただろうか?

今回は1976年版と2006年版の「犬神家の一族」を書いてみたよ!
ROCKHURRAH RECORDSでは「市川崑祭り」 を開催中なんだよね。
また「映画の殿」で特集したいと思う。
次回をお楽しみに!