好き好きアーツ!#43 鳥飼否宇 part17−逆説的−

【作中に登場するエンジェル友清の作品をROCKHURRAHが再現!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のブログは、本格ミステリ大賞受賞作家である鳥飼否宇先生の著作を読み返して感想をまとめていくトリカイズム宣言
以前読んでいても、再読して新しい発見をするSNAKEPIPE。
何度読んでも楽しいんだよね!(笑)

鳥飼先生の作品には、「観察者シリーズ」の他にもいくつかのシリーズがある。
綾鹿市(あやかし)という架空の地域で起こる事件シリーズ、その名もズバリ「綾鹿市シリーズ」も、鳥飼先生の代表作の一つだ。
今までトリカイズム宣言の中で、「綾鹿市シリーズ」の中から「太陽と戦慄」「痙攣的」「爆発的」「このどしゃぶりに日向小町は」について拙い感想を書かせて頂いている。
そして鳥飼先生ご自身から、コメントまで頂戴するファン冥利に尽きる体験をさせて頂いた。
鳥飼先生、いつもありがとうございます!
今回はその「綾鹿市シリーズ」から「逆説的」について書いてみよう。

「逆説的 十三人の申し分なき重罪人」は2005年に刊行された時には「逆説探偵 13人の申し分なき重罪人」だったらしい。
改題されて「逆説的」になったのね!
SNAKEPIPEの手元にあるのは「逆説的」だから改題後ということなんだね。
文庫版のあとがきで知ったけれど、「逆説的」は「小説推理」という月刊誌に毎月掲載されていた短編だったという。
それをまとめた13編それぞれに別の事件が起こる、連作短編集なのである。
今まで読んできた鳥飼先生の短編より短めな印象なのは、そのせいだったのね。(笑)

いつもは短編毎の感想を書く手法(というほどのものではないけど)だったけれど、「逆説的」に関しては1編が短いのでネタバレしないように書いていくのは難しいかもしれないな。
今回は主に「逆説的」の登場人物についてまとめてみよう。
鳥飼先生らしい、魅力的な人物が多かったからね!

「逆説的」は綾鹿署に勤務する、五龍神田(ごりゅうかんだ)の語りで進行する。
五龍神田の階級は巡査部長、年齢は43歳。
本人曰く「冴えない風貌の中年」という設定で、本人が語り部なので、あまり詳しい描写はない。
五龍神田の目で見た他の人物評には詳細な記述があるんだけどね。
鳥飼先生の著作「妄想女刑事」の主人公である宮藤希美のような妄想癖があるけれど、宮藤希美とは正反対の結果をもたらすのが特徴か。(笑)
それにしても五龍神田って名前、ものすごくインパクトあるよね?
鳥飼先生の創作なのかと思ったら、本当に存在する姓みたいだね。
うそっ?って思うような仰天名字って意外と多いことに驚くよ。

五龍神田巡査部長のことを「リュウの旦那」と呼んでいるのが、「たっちゃん」である。
「たっちゃん」こと田中辰也は、「逆説的」第1話冒頭から登場するホームレスだ。
西野中央公園を根城にして、およそ10年「公園の主」として君臨しているベテランのホームレスなのである。
「たっちゃん」はまるでギリシャの哲学者のような容姿で、五龍神田に様々な有益な情報をもたらしてくれる貴重な協力者なんだよね!
ギリシャの哲学者みたい、ということでエピクロス画像をチョイスしてみたよ!
この風貌ならスーツも似合いそうだもんね。(笑)
SNAKEPIPEが「逆説的」の中で一番興味を持ったのが「たっちゃん」かな。
「『太陽と戦慄』にも登場してるよ」
なんとROCKHURRAHから情報が!
SNAKEPIPEの貴重な情報源はROCKHURRAHだね。(笑)
鳥飼先生の著作「太陽と戦慄」も「 綾鹿市シリーズ」だから西野中央公園が登場して「たっちゃん」も出てきたわけね。
鳥飼ワールドには揺るぎない「綾鹿市」があって、地名や生活する人が確実に存在していることがよく分かる。
「 綾鹿市」のマップ欲しいなあ。(笑)

西野中央公園に出入りするようになった新入りホームレスが登場する。
「たっちゃん」の弟子みたいに行動を共にする、十(つなし)徳次郎、通称「じっとく」である。
それを聞いた五龍神田は、拾得(じっとく)を思い出す。
拾得とは中国、唐代の僧で普賢菩薩 の化身とされ、禅画にも描かれる人物だという。
右がその描かれた禅画で、左側のほうきを持っているのが拾得、右側が寒山(かんざん)という僧。
西野中央公園にいる「じっとく」は猫背で、もじゃもじゃの蓬髪をした薄汚れた男。
いわゆるホームレスらしい男だけれど、僧の拾得と同じように愚者のフリをしているだけなのだろうか?
「じっとく」の発する不思議な言葉が五龍神田にヒントを与えるところが面白いね!(笑)

五龍神田の同僚、綾鹿署に勤務する面々も他の鳥飼先生の著作に登場している。
五龍神田が主役として登場する「逆説的」は「綾鹿市シリーズ」のスピンオフ作品という認識で良いのかな?
五龍神田の上司である谷村警部補と南巡査部長のコンビはほとんどの「綾鹿市シリーズ」に登場している常連だからね。
谷村警部補はキューピー人形のような童顔なのに、ダミ声で下品、という特徴がある。
こんなギャップがある人、本当にいそうだよね!
あえて例えれば「Ted」みたいな感じかな?(笑)
そして南巡査部長は谷村警部補の腰巾着で、特徴は赤ら顔だという。
この2人組と五龍神田が競うように事件を解決していくのである。

もう一人、探偵として登場する星野万太郎についても書いておこうか。
星野万太郎も他の「綾鹿市シリーズ」でお馴染みの人物なんだよね。
黒縁メガネをかけた、特徴のない男とされる。
この特徴の無さが探偵にはもってこい、ということなんだけど…?(笑)
星野万太郎という名前は、元中日監督の星野仙一から来ているのでは?と推測。
仙を千として万に置き換え、一を太郎にして。(笑)
鳥飼先生の作品中に出てくる名前には、ヒネリがあることが多いので、勝手に深読みしちゃうよね!

「逆説的」にある13編はそれぞれ、非常に興味深い事件を扱っている短編なんだけど、その中でも特に印象に残った作品について書いてみよう。
SNAKEPIPEは鳥飼先生の作品中に現代アートが登場するのが大好き!
今回は「堕天使はペテン師」に現代アートが出てきたよ。
エンジェル友清というアーティスト名からして、「ちょっといかがわしい」雰囲気がよく表れているし、その作品も「いかにもありそう」で嬉しくなってしまった。(笑)
あやか市美術館(美術館もある!)の学芸員による「贋作/パロディ/オマージュ」に関する説明は、「痙攣的」の「闇の舞踏会」にもあった「盗用と流用」にも通じていて現代アートの核心に迫る話だよね!
そして結論は好き嫌いで良いのでは?で落ち着いていた。
これにはSNAKEPIPEも大賛成!
何回読んでも分からない難解な文章を理解せんでも、よかと!(笑)
己の直感で楽しめたらそれで良いもんね。
エンジェル友清の師匠である杉田悪鬼(すごい名前)が住んでいる双頂山は「本格的」「太陽と戦慄」にも出てきたよ、と再びROCKHURRAHからの指摘があったよ。(笑)
そしてROCKHURRAHがエンジェル友清の作品を動画にしてくれた。
TOP画像に載せてあるんだけど、こんな感じじゃないかな?
非常によく再現できているように思うよ!

敬虔過ぎた狂信者」は、事件現場がまるで作品のようで、脳内に映像が再現できるようだった。
事件の現場はカトリック綾鹿教会、被害者がその教会の神父だという。
つい最近読んだ小栗虫太郎の「後光殺人事件」を思い出してしまったSNAKEPIPE。
宗教絡みだからね!
この短編の中で面白かったのは、教会に住む遊佐という軽度の知的障害がある男が「うう」としか喋らないのに、「じっとく」が通訳として完璧に遊佐の言葉を翻訳するところ。
しかも「じっとく」はそれまでは、ワンフレーズ程しか喋らなかったのに、通訳になった途端ペラペラ喋り出すんだよね。(笑)
谷村警部補が看破した謎も秀逸!
鳥飼先生らしいトリックだよね。

探偵の星野万太郎が初登場した「目立ちたがりなスリ師」は変わった動機を扱っていたね。
虫が好かないテロリスト」は、これまでにないスケールの大きな作品で、まるで「相棒」や「踊る大捜査線」のような刑事ドラマみたいだった。
短編だけど、この映像化された作品を観たかったな!(笑)

前述したように月刊誌に連載されていたというだけあって、短編は5月から順番に月日の経過が共に描かれていた。
綾鹿市ではこんなに事件が起こるんだね。(笑)
毎回の構成として、「じっとく」がヒントをボソリと呟き、それを五龍神田が早とちりしてしまうところが「逆説的」というタイトルに絡んでいる部分なんだよね!
読んでいるこちらまで踊らされてしまわないように注意!(笑)

毎月締め切りが決まった中で、書き続けていくことの難しさが「あとがき」に記されていたけれど、鳥飼先生の作品には苦し紛れで完成させた感じは全くなかったね。
どの短編もとても楽しく読ませて頂いた。
「綾鹿市シリーズ」で、まだまとめていないのは「本格的」と「官能的」だね。
また再読してみよう!

秋は何色ハ◯ドコア色?

【タイトルに反して全然秋っぽくないぞ】

ROCKHURRAH WROTE:

ROCKHURRAHとは思えないタイトルで書いた本人が一番ビックリしているが、もう6年も前に色にまつわるブログ記事を書いていて(これ)、そのヴァリエーションのひとつとして今回また書いてみようと先程考えたのだ。

タイトルはイマドキ誰も知らないと思えるが、70年代に「マーガレット」という少女漫画雑誌で描いていた富塚真弓のコミックス「冬は何色ココア色」より拝借した。
いや、別にファンというわけじゃなくて、言い訳するならROCKHURRAHは過去に二回も古本屋稼業の時代があって、少女漫画に限らず漫画や小説のタイトルを驚くほど覚えているに過ぎない。
毎日のように背表紙を眺めたり棚入れとかやってたらそりゃ覚えるわな。
ちなみにこの人は他にも「風は何色ポエム色」とか「恋は何色イチョウ色」とか、ああいかにも70〜80年代少女漫画という恥ずかしいタイトルが目立つ漫画家だったな。
個人的に80年代の「マーガレット」ではくらもちふさこの大ファンだった。男兄弟しかいなかったのになぜか読んでたんだよね。

さて、前の記事の時はレコード・ジャケットの配色でコーディネートとバンドを同時に語るという高尚な切り口で、今読み返しても斬新だったが(自画自賛)、今回は単に色の名前がついたバンドにテキトーなコメントつけるだけという手抜き手法でやってみよう。そこまで毎回こだわった手法は出来ないのじゃ。
しつこいようだが今回もROCKHURRAH RECORDSのお約束として「70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブ限定」のセレクトしかしないからね。

まずは三原色の筆頭である赤。
ROCKHURRAHは誕生石がルビーということもあって赤が大好き人間。このブログのバックでも赤が効果的に使われているしね。部屋の服を見回しても黒の次に多い色が赤だよ。

この赤をつけたバンド名はいっぱいあるけど、うーん、今回は人があまり書かないようなのを敢えて選びたかったのでこれにしてみよう。中堅マイナーというところ。
Red Lorry Yellow Lorryだ。ん?赤だけじゃなくて黄色まで入っててバンド名だけ聞くとメデタさ満開な感じがするけど、実は全然明るくない系統のバンドだよ。

カタカナで書くと情けないがレッド・ローリー・イエロー・ローリーは1980年代初頭に英国リーズで結成されたバンド。
リーズと言えば「ゴスの帝王」と呼ばれるシスターズ・オブ・マーシーとか、リズムマシーンによる攻撃的なポジティブ・パンクを推進したマーチ・ヴァイオレッツとかがいて、このレッド・ローリー・イエロー・ローリーを加えて「リーズ三兄弟」などとROCKHURRAHが勝手に命名していたもんだ。
このレッド・ローリー・イエロー・ローリーはポジティブ・パンクやゴシック系のような化粧っ気、毒気はまるでないが、ソリッドな音とジョイ・ディヴィジョンもどきの低音ヴォーカルが魅力のバンドだった。音はなかなかいいんだけど(あくまで個人的感想です)見た目がちょっと・・・なために人気知名度はイマイチなのが残念。

つばが広い帽子に長髪、レイバンのサングラス、魔界から来たかのようなルックスで驚異の人気を誇ったアンドリュー・エルドリッチ(シスターズ・オブ・マーシー)。
ものすごいヒゲとグシャグシャの髪型、遭難した宣教師みたいな風貌(近年はものすごく太ってしまったが)で唯一無二の個性を放っていたサイモンD(マーチ・ヴァイオレッツ)。

この二人と比べるとレッド・ローリー・イエロー・ローリーのクリス・リードはかわいそうなほどカリスマ性に乏しいルックス。どこか、アジアの山奥にある寒村の老人みたいな風貌でかなり損をしている。映像では寄り目に見えるしね。

次は青色。ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも鮮やかなブルーなどは絶対にコーディネートの端くれにも選ばないけど、濃紺くらいなら持ってるかな。家具にしろ身の回りのものにしろ、ウチの中を見回してもブルーの品物は歯ブラシくらいしか見当たらない。
そんな話はどうでもいいが、ちょっと変わり種でこんなバンド選んでみたよ。

Tijuana In Blue、うーん読めんけどティファナ・イン・ブルーでいいのかな?
Tijuanaはメキシコの都市名らしいがしかし、このバンド名にも関わらずスペインのバンドらしい。紛らわしいな。
熊本が誇るガールズ・ガレージ・パンクのポルトガルジャパン、あるいは巣鴨が誇るパンク・バンド、イギリス人みたいなもんか?

Tijuana In Blueについては日本語で書かれた記事が皆無だったので実は全然わからずに書いてるんだが、スペインのパンプローナ出身のバンドで80年代半ばから90年代にかけて活動していたらしい。2002年くらいに短い間、再結成したがヴォーカルが死亡したために活動をやめたらしい。
何かやたら「らしい」ばかりの推測文章で申し訳ないが、ウチにはLacieのハードディスクが3台もある、ますます関係ないか。

田舎のバンドということでなめてたが、案外好みの音楽性でパンク、スカ、ラテン、そしてカウパンク〜ラスティックな部分までうまくミックスされた馬鹿騒ぎ系バンドのようだ。
この映像が何年くらいのものかはわからないが、曲は調べによると1985年のもの。近い音楽性で言えばドイツのウォルトンズとかスイスのヒルビリー・ヘッドハンターズとかをちょっと思い浮かべるもの。時代を考えると先見の明があったのじゃないか?と評価出来るよ。この手のカウパンクだけじゃなくて馬鹿騒ぎミクスチャーだと考えれば、フランスのマノ・ネグラとかワンパスの先輩と言えなくもない。ティファナ・イン・ブルーの方はずっとB級テイストだけど。
映像はヴォーカリストの片割れが猫を抱えているのがかわいいね。立ち上がった時はどこに行ったんだろう。音楽よりも猫の行方の方が気になるニャン。

おっと、いきなりピンクに飛んでしまって「他の色が見つからなくて苦しいんじゃない?」と推測されても仕方ない。
最近はさすがにあまり着ないがSNAKEPIPEが昔は好んでこの色をアクセントにして着てたな。

ピンクと言えばROCKHURRAHはいつもだったら即座にリヴァプールのピンク・ミリタリーを思い出すんだけど、確か割と最近にもジェーン・ケーシーについて書いてしまったから今回は封印したよ。
で、苦し紛れに思い出したのがこのレジェンダリー・ピンク・ドッツだった。

何が伝説的なのかよくわからんが、1980年にデビューして、たぶん現代もまだやってるバンドらしく、一体どんだけレコード出しゃ気が済むの?というほど多作なところがレジェンダリーなシロモノ。
Wikipediaを真に受けてそれが真実ならば、10種類にも渡る音楽ジャンルにまたがって活動してるようで、さらに中心人物のエドワード・カスペルのソロやコラボまで合わせると膨大な量の音楽を作りまくってるという印象。
大ファンで全部持ってるよ、というディープなファン(勝手にカスペルスキーと命名)はそりゃ探せばいるだろうけど、大半の人にとっては数枚聴けばいいくらいの音楽だと個人的には感じた。
かつてレコード屋巡りを生きがいとしていたROCKHURRAHだが、中古盤屋であまりの遭遇率の高さに驚いたものだった。

正直言ってどの曲をピックアップすればいいのか全然見当もつかなかったが、たぶん初期作品のこのあたりを選んでみた。
10分で作れるような垂れ流しの音楽とは思わないし、音楽的素養の深さは明らかだけど、そこまで才能有り余ってるのだろうか?
今まで作った曲のメロディとか歌詞とか全部ちゃんと覚えてるのかね?

今回は割と多岐のジャンルにまたがって語っていてROCKHURRAHの音楽的素養の深さも明らかだけど・・・え?誰もそんなこと言ってない?

さて、ディープ・パープルやジミヘンやプリンスの代表曲を挙げるまでもなく、紫はロックの歴史において重要な色だが、実生活でこれを「我がメインの色」にしてる人はいるんだろうか?かなり主張が強そうな色で並みの人間にはうまく着こなせそうにないね。
ずっと前に何を血迷ったかユニクロで薄紫のフリースを買って冬の部屋着にしていたことがある。ウチではSNAKEPIPEが黒を選んだら敢えて別の色を選ぶという傾向にある(見分けがすぐにつくように)ので、たぶんそういう時に買ったんだろうな。しかしよりによってこの色を選ばなくても、と思えるチョイス。どうせ家の中だけだから、などと思ってたが洗濯物を干す時にベランダに出るのが恥ずかしいというシロモノ。書いてて情けないが紫体験はそれくらいか。
「いや、もっと紫のたくさん持ってるよ」というSNAKEPIPEの声が聞こえたが空耳だろう。

パンク以降の生活スタイルにまで影響を与えた音楽と言えばOi!(スキンズ)、2トーンに代表されるネオ・スカ、ネオ・ロカビリー、そしてネオ・モッズなどが代表的なもの。
しかし全部昔に元ネタがあって単なるリバイバル、世紀の大発明といった斬新な音楽(およびライフスタイル)は新たには生み出されてないのが情けないけどね。

パープル・ハーツは映像観てもらえばわかる通り、ジャム以降に現れたネオ・モッズの人気バンドだった。60年代にポピュラーだったパープルハートなるLSDからとったバンド名だとの事だ。

ネオ・モッズのジャンルはシークレット・アフェア、ランブレッタズ、コーズ、メイキン・タイムとかそれ系のバンドも続々出てきたけど、スカやロカビリーほどには定着しなかった気がする。
ジャムが偉大すぎてそれを凌駕するほどの大物が出なかったというのが最大の原因だろうけど。
そしてやっぱりモッズの重要アイテムであるベスパは誰でも気軽に手に入れられるものではなかったからかな?普通に考えてもごちゃごちゃバックミラー取り付けた自慢のベスパを、アパートの駐輪場や駅前に置いておくだけですぐに盗まれそうだしね。

映像の方はなかなか元気の良い音楽を聴かせてくれて、確かにネオ・モッズの中では有望株だとは思えるけど、他のバンドとあまり区別がつかないという点でやはり決定打不足。紫要素も特になし。

最近はそこまでじゃないけどミリタリー好きのROCKHURRAHにとって緑は避けて通れない色のひとつだった。いわゆるビリジアンとかパステル・グリーンとか、その手の色は着ることはないけど、ミリタリーの服でオリーブドラブは必須だし迷彩でも緑は重要なポイントだしね。
ここまで書いてきてやっと気付いたが、無理やり色と自分の嗜好を書く前フリ、必要ないよね?

「グリーンだからよーし、グリーンデイ」などと安易に書けたらすごく簡単なのに、敢えて多くの人が知らないようなバンドを見つけてしまうひねくれ者だな。
しかも80年代ニュー・ウェイブ限定、などと書いた割にはこのパーマネント・グリーン・ライトは90年代のバンドだった。まあ、80年代に活動してたスリー・オクロックというバンドのマイケル・クエシオによるものなのでテイストは80年代、という事で許してやって。

スリー・オクロックは80年代初頭に米国ロスアンゼルスでちょいと流行った、ペイズリー・アンダーグラウンドというような音楽でデビューしたバンドだ。ペイズリー、という言葉でわかる通り、やや60年代のサイケデリックを感じさせる音ね。
イギリスで発生したネオ・サイケはいわゆる60年代サイケをあまり感じないバンドが初期には多かったが、アメリカはやはりサイケの本場。服装もレコード・ジャケットもモロに60年代サイケっぽいバンドの方がより本格派っぽいわけで、このスリー・オクロックもレコードだけ見れば60年代再発モノだと勘違いするような雰囲気がプンプンしていた。
音の方もド・サイケなのかと思ったら、そこまでではなくて割と耳障りの良いポップなものだった。
このクエシオ、かなりナヨッとしたひょろひょろの女受けするルックスで声も甘くて繊細。女の子のような声とよく評されるが、むしろイギリスに渡って活動した方が大成出来たかも。アメリカにはこの下↓のヴィデオに出てるような凶暴な奴らがウヨウヨいて、インネンつけられる可能性があるからね。

で、そのクエシオが後に作ったのがパーマネント・グリーン・ライトなのだ。
80年代のバンドとしては映像が結構残ってるスリー・オクロックに比べて、悲しいほどに動いてる映像がほとんどない。つまりは全然人気出なかったんだろうな。
スリー・オクロックのようにサイケデリックな要素はあまりなく、これぞ米国産ギター・ポップという正統派な音楽。ヴォーカルも相変わらず甘えた声で澄み切ってるね。レコード・ジャケットは何かプログレみたいな感じなのにこの音は予想外、しかもグリーン要素まるでなし。

何か重要な色をすっ飛ばしてる気がするが、もう疲れてきたので今日はここまで。最後はシメの色で最もロックっぽい色、黒にしよう。

黒がついたバンド名はたぶん数多く存在してるとは思うが、今日はたまたま思いついたこれにしてみる。
米国カリフォルニアのハードコア・パンク代表格、ブラック・フラッグだ。

個人的にはビッグ・ブラックでもいいかな、と思ったけど・・・。
敬愛する作家、鳥飼否宇先生がかつて「爆発的」という傑作ミステリーで色にまつわるバンド(または曲名)が散りばめられた作品を発表されてるので、敢えてそこに書かれてないようなのを実は今回のブログでチョイスしていたのだ。おお、最後に明かされる真実。
このことについてはSNAKEPIPEが詳しく感想を書いてるので、こちらの記事を参照あれ。

ブラック・フラッグは1976年にデビューしたパンク・バンドで86年の解散まで、アメリカン・ハードコアの大人気バンドだった。
ハードコアといってもエクスプロイテッドとかGBHとかのイギリス物とは違ってて、ハードロックやヘヴィ・メタル、後のグランジにも続いてゆくオルタナティブな部分も含めたのがアメリカンなところ。厳密に言えばこのオルタナティブの解釈もイギリスとアメリカでは違ったものなんだけど、今日は関係ない話なのでまた今度。
ヴォーカルもメンバーもどんどん替わってゆくようなバンドだったが、一番有名なのは後のロリンズ・バンドを率いる筋肉男、ヘンリー・ロリンズが加入した81年以降のもの。
このロリンズ、もうとにかく惚れ惚れするような筋肉と入れ墨(だんだん増えてゆく)、いかにも強そうな見た目と動きでカリフォルニア・ハードコア(そんな言葉あるのか?)の頂点に上り詰めてゆく。
映像の時はまだそこまでの体格ではないが、この後も肉体改造を続けてマッチョを極めた男だ。
後のロリンズ・バンドの時は鍛え抜かれた肉体と入れ墨を見せるために基本的にパンツ一丁の裸体だったもんなあ。
服は着てたけどデヴィッド・リンチ監督の映画「ロスト・ハイウェイ」にも出演してたな。
たしかにあの顔と肉体、獰猛そうな役にはピッタリだもんね。

最近はシリーズ記事のパートいくつ、みたいなのしか書いてなかったから、単発の記事は実に久しぶり。
とは言ったものの、ROCKHURRAHがいつも書いてる他のシリーズと、ほとんど内容的に変わらないという結果に終わってしまったけど。
ではまた、マアッサラーマ(アラビア語でさようなら)。

映画の殿 第23号 ジャック・ブラック02

20161030 top2【ぽっちゃりしたジャック・ブラックの魅力全開!】
SNAKEPIPE WROTE:

毎週末に映画鑑賞しているROCKHURRAH RECORDS。
様々なジャンルに挑戦しているけれど、最近増えているのがコメデイ映画かな。
これはかつて「映画の殿」で4回も特集を組んだ我らがウィル・フェレルの影響によるもの。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEもヨーロッパに憧れを抱いているにも関わらず、反応してしまったのがアメリカン・ジョークだったとは!(笑)
どんな国のジョークだったにせよ、結局は下品な下ネタ系が好き、ということなんだろうね。
こんなに堂々と「下品な下ネタが好き」と公言してしまって良いのだろうか。
ま、いいか。(笑)

今回特集するのは「映画の殿 第19号」でも紹介したことがあるジャック・ブラックが出演している映画について。
ジャック・ブラックとは1969年生まれのアメリカ人俳優。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校在学中、ティム・ロビンスの劇団に所属したことがきっかけで俳優の道に進むことになったらしい。
俳優業と並行してカイル・ガステネイシャスDというバンドでも活動している。

はっきり言ってジャック・ブラックのファン、と人前で言うのはちょっと恥ずかしい。
ぽっちゃりした暑苦しい体型に加えて、アクの強さがある人物。
映画を観る前に先入観で「この人キライ!」と見た目で判断されてしまうようなタイプだからね。(笑)
ところが「いかもの食い」には一度食べたらやみつきになるタイプ。
大袈裟な表現だけど、ここらへんもウィル・フェレルと似た感じなんだよね。(笑)
「映画の殿 第19号」では3本の映画を紹介したけれど、その後鑑賞したジャック・ブラック関連の映画をまとめてみよう。
まずは「ハイ・フィデリティ」(原題:High Fidelity 2000年)から。

簡単にあらすじね!

中古レコード店を経営するロブは、同棲していた恋人のローラが突然出ていったことをきっかけに、これまでの失恋トップ5の女性たちを訪ね歩き、自分の何がいけなかったのかを問いただしていく。
そんな中で、彼はさまざまな人々との出会いや会話の中からポジティヴな自分を発見していく。

主人公ロブを演じているのはジョン・キューザック
恐らくこの人が出演している映画は今までほとんど観ていないみたい。
ジョンのお姉さんがジョーンで「スクール・オブ・ロック」の時には校長先生役で出演していたことを知ってびっくり。
名前が紛らわしい姉弟だね。(笑)
実は「ハイ・フィデリティ」にもお姉さん出てるんだよね。
ジャック・ブラックとの共演が多いってことなのかな?

主人公が中古レコード屋を経営という設定に、ROCKHURRAHが羨ましい環境だ、という。
確かにね!
好きな音楽を聴きながら、音楽のことだけを考えていられるのは良いよね!
映画の中でのロブの店はかなり繁盛しているようだったから、余計に羨ましいよね。(笑)
ふと見えるシーンにパンクやニューウェーブ系の80年代モノがあったり、会話にもマニアックな音楽ネタを聞くことができる点にも注目だね!

それにしても今まで恋愛関係にあった女性に会いに行って、自分の悪いところを聞いて回るなんてあり得ない話。(笑)
相手の女性もよく会ってくれたよね。
かつての恋愛についてロブがカメラ目線で話すシーンが面白かった。

中古レコード屋の店員として個性を発揮したのがジャック・ブラック。
この映画で注目されたというのが納得!
音楽オタクという役どころを非常に上手く演技してるんだよね。
いや、ほとんど演技に見えないくらいの自然体だった。(笑)
前述したように、ジャック・ブラック本人もバンドを組んでいるので、この役は当たり役だったんだろうね。
強く印象に残る役だったよ!

もう一人店員がいるんだけど、内気な役は本当の意味でオタクっぽい。
トッド・ルイーゾという役者みたいなんだけど、Wikipediaには情報はなし!
この人も「本当にいそう」なタイプだったね。

ジャック・ブラックの親方(?)であるティム・ロビンスやリサ・ボネット、更にカメオ出演としてブルース・スプリングスティーンまで登場していたね。
ロック好きの人には特に楽しめる映画じゃないかな?

続いては「愛しのローズマリー」(原題:Shallow Hal 2001年)。
※ネタバレしていますので未鑑賞の方はご注意下さい。

父親の遺言を守り、少年時代から外見の美しい女性だけを追いかけ続けてきたハル。
しかし、もともとチビで小太りの彼、そんな恋が成就するわけもなく、気づいてみればすっかり中年の冴えないおっさん。
そんな彼と偶然出会った自己啓発セミナーの講師が、ハルに内面の美しい女性が美人に見える催眠術をかけてしまう。
そして、ハルが最初に出会った心の美しい女性はなんと体重300ポンド(136kg)巨漢女性!
でも催眠術にかけられたハルの目に映るのはスレンダーな絶世の美女。
さっそく猛烈なアタックを始めるハルだったが……。

言うまでもなく、あらすじにある「ちびで小太りの冴えないおっさん」がジャック・ブラック演じるハルね。(笑)
ナンパに出かけてもフラレてばかり。
高望みし過ぎると言われても父親の遺言には逆らえません!(笑)
美人でグラマーな女性だけが女、なんて聞かされちゃってるからね。

たまたまエレベーターで出会った自己啓発セミナーの講師と話すことになり、 外見だけで女性を判断しないようにと諭されるハル。
その後からハルには信じられないような出来事が起きるのである。

出会う女性がみんな美人!
しかも自分に好意を抱いてくれるではないか!
有頂天になるハルだけど、これはハルの目にフィルターがかけられていたみたいだね。
ハルにはそのフィルターの存在がわからなかったみたい。
ハルは暗示にかかりやすいんだね。(笑)
でもねえ、本人が幸せならそれで良いのかも?

そんな時に出会った絶世の美女、ローズマリーに一目惚れするハル。
ローズマリーを演じているのはグウィネス・パルトロウね。
映画「セブン」(原題:Seven 1995年)ではブラッド・ピット演じる刑事の妻役だったね。
「セブン」 から6年が経過して、まさかあの陰気な奥さん役だったグウィネスがこんな姿で登場するとはね!(笑)
上の画像はフィルターがかかった目でハルが見たローズマリーの姿。
それにしても、手にしたデカパンで少しは察する気がするけどね?(笑)
この映画の中でのグウィネスはかなり体当たり演技していて、椅子から転がり落ちてパンツ丸見えになったり。
頑張ってます!(笑)

ハルの恋は順調に進むけれど、クラブで一緒にナンパをしていた仲間だったマウリシオ(ジェイソン・アレクサンダー) には面白くないみたい。
あんなに高望みしていたのに、ローズマリーのような女性に夢中になるなんて!
映画の中ではチラチラと片鱗は見せるんだけど、ローズマリーの本当の姿は「あとのお楽しみ!」って感じで全体像を見せてくれないんだよね。(笑)
そしてマウリシオはハルの秘密だったフィルターを外してしまう、、、。

じゃーん!ついに本当のローズマリーが姿を現す!
もちろん特殊メイクだってことはわかってるんだけど、それにしても良くできてるよねえ!
グウィネス、よくオッケーしたよね。
頑張りました!(笑)

内面と外見のキレイについて、ここまであからさまな表現をする映画というのも珍しいよね。
フィルターのおかげでローズマリーを美人と思って好きになっていたハルは、フィルターが無くなって素のローズマリーと対面しても好きと言えるのか?がポイントだからね。(笑)
SNAKEPIPEはローズマリーの懐(と体)の大きさが素晴らしいと思ったね!

そういえばテネイシャスDの相方、カイル・ガスもハルの会社の同僚として出演していたことを書いておこう。
ジャック・ブラックが関連している映画には一緒に出ること多いよね。
あ、言うまでもなく左の男性のほうね。(笑)

ジャック・ブラックのファンはもちろんのこと、グウィネス・パルトロウのファンの人も楽しめる映画だと思うので、お勧め!(笑)

最後に「オレンジ・カウンティ」(原題:ORANGE COUNTY 2002年)で締めくくろう!

南カルフォル二ア、オレンジ郡に暮らすショーン・ブラムダーはサーフィンに明け暮れる高校生。
ある日、砂浜に捨てられた小説を手にしたショーンは作品に感銘を受け、小説家になることを決意する。
そして、小説の作者スキナー氏のいるスタンフォード大学進学を目指すのだったが…。

主人公ショーンを演じたのが、トム・ハンクスの息子であるコリン・ハンクス
いつも泣きべそ顔をしていて、いじめられっ子の印象だけど映画の中ではヤンチャな連中とつるんでいる。
日本の俳優、妻夫木聡に似ているように感じたのはSNAKEPIPEだけかな?
ショーンが目指していたスタンフォード大学に、あるアクシデントのため入学できなくなってしまうところから話が始まる。
いや、もし本当にこんなアクシデントが起きたら大変な事件だよ!
マスコミが知ったら責任追及されるだろうし。
そのままになっているところが、さすが映画!
ショーンが自分で奮闘しないとお話にならないもんね。(笑)

そのショーンの兄の役で出演しているのがジャック・ブラック。
この作品の中では、ほとんど下着姿だったような?
ダメ兄貴という役柄だけど、良い味出してるんだよね。
ジャック・ブラックの特徴として、最終的には「いいヤツ」という感想に変わってしまう、というのがある。
恐らくそれがジャック・ブラックの持ち味であり、魅力なんだろうね。
「暑苦しい、厚かましい、鬱陶しい」はずだったのに。(笑)

ショーンのガールフレンドを演じたのがシュイラー・フィスク。
この名前でピンときたSNAKEPIPE。
フィスクとはジャック・フィスクだ、と。
敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの処女作である「イレイザーヘッド」の中に登場する「惑星の男」を演じたのがジャック・フィスク。
そしてそのジャック・フィスクと結婚したのがブライアン・デ・パルマ監督の「 キャリー」(原題:Carrie 1976年)で主演したシシー・スペイセク
その娘がシュイラー・フィスク、というわけだ。(説明長い)
確かにシシー・スペイセクに似てる。
そばかすが特に似てる!(笑)
高校生カップルを演じている2人が、2人揃って2世タレントだったとはね!

ショーンの両親がこちら!
最初はシャロン・ストーンかと間違ってしまった母親はキャサリン・オハラ、 父親はジョン・リスゴー
つい先日、これもまたブライアン・デ・パルマ監督作品「レイジング・ケイン」を観たばかりで、ジョン・リスゴーの怪演に目を見張ったばかり。
あの異常者がお父さんだなんて!(混同しまくり)
両親も良い味出してたね。

ほんのチョイ役で出演していたのが、ベン・スティラー
ジャック・ブラックとの絡みだったのに、全然コメディ要素がなかったから「似てるけど、違うかな?」と思いながら観てしまった。
消防士の役がとてもよく似合っていたね!

高校生が主人公のため「人間の成長過程」がテーマなんだよね。
そこだけを取ると真面目そうな映画だと勘違いしそうだけど、ジャック・ブラックのおかげ(?)でコメディ映画になっているところがポイントかな。

興味を持った監督や俳優の作品はなるべく鑑賞したいROCKHURRAH RECORDSなので、実はジャック・ブラック関連の映画は他にも鑑賞済なんだよね。
また特集してジャック・ブラックの魅力をお伝えしよう!(笑)

時に忘れられた人々【25】ゴージャス音楽の宴編

【ゴージャスさを勘違いして意味不明な画像】

ROCKHURRAH WROTE:

食欲の秋、などと言われていてもこのところ、皆さん知っての通り、野菜がバカ高くて困ってしまう。
見た目や書いてる記事からは想像も出来ないだろうが、毎日SNAKEPIPEと2人で献立に悩んでいるのだった。

自分に当てはめて考えるとバブル景気なんて全く実感した覚えがないけど、それでも80年代は今よりもずっと暮らしやすかったなあと、いい記憶ばかりが思い出される。
消費税なんてまだなかったから少なくとも「ふんだくられてる」感覚は買い物の時になかったからね。
ROCKHURRAHやSNAKEPIPEに限らず、80年代にまた戻りたい病の人はたくさんいるはず。まあ全然反響はないけど。

さて、本日はいかにも80年代的にゴージャスな音楽特集というROCKHURRAHには似合わない企画で書いてみよう。
もちろん、ウチの記事はパンクや80年代ニュー・ウェイブに限ってしか語らないという点で一部有名。
その後の時代の、いわゆる普通のゴージャスな音と誰もが思えるようなのはたぶん全部すっ飛ばすと思うよ。

ROCKHURRAHは今までの人生でゴージャスな体験を全然した事がないというくらい、贅沢も豪華も無縁の生活をしてるけど「どんな服を着てもそれなりのいい品に見えてしまう」と言われる点だけが少しは誇れる部分かな。SNAKEPIPEも300円で買った高価そうな服とか着てるしね。二人揃って只者じゃないオーラがあるってことかな(笑)。
関係ないがゴージャスというと真っ先に思い出すのが泉昌之の「かっこいいスキヤキ」に収録のこれ。いかにも80年代的な笑いのツボに溢れた漫画だったな。

「パンクや80年代ニュー・ウェイブに限って」などと書いてはみたものの、そもそもパンクやニュー・ウェイブにゴージャスなものはあるのか?

上流の家庭に生まれ何不自由なく暮らしていた若者が突然パンクに目覚めて、というシチュエーションも今だったらなくはないだろうけど、オリジナルの70年代ではあまり聞いたことない。
例えそういう経歴だったとしてもたぶん隠すだろうしな。
やっぱりパンクは労働者階級の音楽じゃないと格好がつかない気がする。当時は労働者どころか失業者がメインだもんな。無論ゴージャス要素はそこにはない。

親が汚い仕事で儲けた有力者の御曹司、親の不正、巨悪に気付いてからはアナーキストへの道を進んでパンクの世界に入ってゆく。
これまた三流映画ではありそうだが、そういった人は敢えてゴージャスを引きずらないのが当たり前。たとえ生まれは良くても堕ちたい願望があるだろうからね。
だからパンクとゴージャスを結びつけるのは難しいな。
スキッズのリチャード・ジョブソンなんかは元々の生まれ育ちが悪くて、スキッズで儲かったから徐々に品のあるブリティッシュ・トラッドな紳士に変身していった。これは逆のパターンで珍しい上昇志向だね。

80年代のニュー・ウェイブになると少しは状況が違ってきて、ニュー・ロマンティックのように着飾った華やかなスタイルが流行した時期もあった。がしかし、これもたぶんパッと見だけの華麗な世界。
やってたバンドは金持ちになったろうしゴージャスな生活も可能だとは思うが、その聴衆は大半がただの一般人。着飾った男がクラブから帰った家は安アパートとかそんなもんだろうよ、と想像する。

これからコメントしてゆくのも泉昌之と同じで何となく服装が豪華に見えるとか、曲がゴージャスに聴こえるとか、シャネルの支店前でプロモ撮ったとか、その辺の短絡的なものなので本当の上流階級的なものは想像しないでね。

80年代的にゴージャスを感じる音楽というと真っ先にこのバンドを思い浮かべたのはROCKHURRAHだけではあるまい。
好き嫌いは抜きにして誰もが認めざるをえない「メローな」「ソフィスティケートされた」「ゴージャスな」という三拍子が最も似合うのがこのブロウ・モンキーズだろう。
R&Bやソウル、ブルースなどブラック・ミュージックなら何でもござれというレコード・マニアの真髄で、3万枚ものレコードを所持していたというDr.ロバートによるバンドだ。
マニア過ぎてレコード屋の上に住んでた噂があるが、すぐに買いに行けるという以上のメリットはなさそう。せめてレコード屋ごと買った、くらいの爆買いエピソードが欲しかったよね。

数多く聴けば偉いのか?という事はなかろうけど、より多くを知れば多くのものが見えてくるのは確か。造詣ばかり深くて自分でやってみたらヘッポコ、というパターンは多いけど、彼らはちゃんと見事に消化してるのが偉いな。
ブラック・ミュージックが苦手で個人的にはこの路線にはあまり興味が持てないけど、またしても「好きじゃないならコメントするなよ」と言われてしまいそう。
とても冷酷そうな顔だし、すぐに裏切られそうなところが超ビッグ・ネームにならなかった原因か?

映像の方はサイズ間違ったんでないの?というほど巨大なダブルのスーツに目を奪われるが、これは30年代のギャングが着用してたズートスーツのヴァリエーションのひとつなんだろうな。PACHUCOと呼ばれたメキシコ系のメチャメチャ悪そうな若手ギャング(予備軍)とかでも有名になったスタイルだな。
ギャングが人一倍ラグジュアリーなものを好むのは世界共通だから、このスタイルでゴージャスと感じたのは特に間違いではなさそう。良かった良かった。
ゴージャス要素の定番、黒人コーラス隊とサックス、華麗なダンスまで披露して完成されすぎだな。投げたギターを片手でキャッチしたり、イヤミなまでの二枚目ぶり。特撮なしでそれくらい特訓しろよ。
「どこまでカッコつけとんねん」と関西方面からのツッコミはなかったのか?

ゴージャスの重要な要素である「金ピカ」。金ピカと来れば即座に思い浮かべるのがこのバンド、ABCだ。
別にマツケンサンバでも(うーん、微妙に古い)いいじゃないか?と言われそうだが、あくまでも80年代で語りたいのでこれに決めた。
80年代前半に大流行したニュー・ロマンティックとファンカ・ラティーナという二大潮流の狭間で見事に大ヒットしたバンドだ。

元々は地元シェフィールドで活動してたヴァイス・ヴァーサというバンドを母体としてるんだけど、これがABCとは似ても似つかぬ音楽のもの。ダークでポップ性があまりないエレクトロニクス主体の音楽だけど、ソフトセルから売れ線の要素を取り除いたかのような方向性だった。
そこに後のABCのヴォーカルとなるマーティン・フライが加わってどういった経緯でかはわからんが、1982年くらいには華麗な転身を遂げて、ABCとしてたちまちヒットチャートを賑わすバンドとなった。

マーティン・フライは音楽ジャーナリストだったという話だが、パンク初期にサブタレニアンズをやってた音楽ライター、ニック・ケントとか「Sniffin’ Glue」というファンジン(パンク初期にあった私設音楽雑誌)を出してたオルタナティブTVのマーク・ペリーとか、評論→バンドへの転身はそれほど珍しくない経歴なのかも。
上記の二人ほど骨はないに違いないが、音楽情勢に詳しいという強みを生かしてヒットを連発したところだけは見事?

彼らの代表曲「ルック・オブ・ラブ」 などはいまだにGoogleの予測変換で「るっくお」と入力した時点で候補にあがるくらいに大ヒットしたし、プロモで使われていたからカンカン帽も流行したな。

この時代はカルチャー・クラブやウルトラヴォックス、ピッグバッグにジョン・フォックス、エレクトリック・ギターズ、シンプル・マインズなどなど、日本のCMにもニュー・ウェイブ系の音楽が続々と使われて、使われたバンドは間違いなく有名になるという傾向があったが(ん?エレクトリック・ギターズだけが例外的に完璧な一発屋だったな)ABCもそのパターンだったね。
ロキシー・ミュージックをもう少し若い世代で80年代風にしたらこういう感じ、というコンセプトなんだろうけど、ブライアン・フェリーよりは役者向け、映画のワンシーンみたいなジャケットも有名だね。

上の映像も大ヒットした数曲のうちのひとつだけど、いや、お恥ずかしい。単に金ラメのスーツ(金の推定含有率0%)を着てるというだけで短絡的にゴージャス部門にしてしまったよ。確かにこの服装で成金っぽく見えないのはワンランク上の着こなしだね。ストーカーっぽく女優につきまとってるのに最後になぜか成就してるっぽいのも謎の展開。

関係ないがROCKHURRAHの出身地、福岡には成金饅頭という巨大などら焼きみたいなおみやげがあるのをふと思い出した。
やたら重いからおみやげとして買ったことはないけど、一人分に個装されてないから割と不親切な部類のおみやげだったなあ。

ゴージャス特集、自分にその要素とブラック・ミュージックに対する造詣が全くないもんだから既に企画失敗の自覚があるが、何とか先に進めてみよう、トホホ。何でこんな特集考えてしまったんだろう?

マリー・アントワネットを例に挙げるまでもなく、女性の盛り上がった髪型は古今東西、ゴージャスの重大な要素だったのは間違いない。80年代ニュー・ウェイブの世界で最も盛り上がった女性と言えば必ず思い浮かぶのがこのビーハイブ(蜂の巣)・ヘアをトレードマークにしたマリ・ウィルソンだろう。
それより前の70年代にアメリカではB-52’sがこの髪型で鮮烈なデビューをしていたから目新しいものではなかったが、今回の括りが髪型自慢ではなくゴージャスなので、マリ・ウィルソンの方に焦点を当ててみよう。

思いっきり60’sのガールズ・スタイルとこの髪型でショーダンサーやコーラス隊を引き連れた「大物風」ステージだから、いかにもアメリカンな感じがするが、れっきとしたイギリス人によるフェイクなもの。

70年代パンクの時代にAdvertisingというパワーポップのバンドがあったんだが、そのメンバーだったトット・テイラー。彼が80年代になって作ったインディーズ・レーベルがコンパクト・オーガニゼーションというもの。ちなみにこのAdvertisingにいたサイモン・ボズウェルは後に映画音楽の作曲者として有名になり、ホドロフスキーの「サンタ・サングレ」なども手がけているな。

コンパクト・オーガニゼーションからデビューした中で注目された歌姫の筆頭がこのマリ・ウィルソンとスウェーデンのヴァーナ・リントだが、このどちらもトット・テイラーの60年代好きが反映されている。
ヴァーナ・リントの方は架空のクールな北欧女スパイというイメージ(諜報機関で通訳してたという噂もあり)で音楽もそれ風。後のエル・レーベル、そして”渋谷系”と呼ばれたクルーエル・レコードやトラットリア・レコードなどに影響を与えた(たぶん)ような感じかな。何と世界的に有名なリンツ・チョコレートの令嬢、との事だがスイス生まれのメーカーなのになぜスウェーデン?なところが詳細不明で、またミステリアス。
対するマリ・ウィルソンの方はモータウンとかの歌姫の再来を目指した音楽と見た目でかなりヒットした記憶がある。ん?マリ・ウィルソンについて書こうとしてるのにマリ・ウィルソン部分が異常に少ないな。まあいいか。
そしてこのどちらの歌姫も本格派ではなく、エレクトロニクスをうまく使って「それ風」に仕上げたイミテーションなもの、というのがポイントだった。

「Just What I Always Wanted(マリのピンクのラブソング)」という情けない邦題で世間を湧かせた曲が最大のヒットなんだが、プロモの方はROCKHURRAHが個人的に唯一シングルを持ってた懐かしさで「(Beware) Boyfriend」にしてみた。
どっちもトット・テイラーの作詞作曲なんだが、何かのカヴァーなのかと思うくらいに60年代満載の出来。元New Musikのトニー・マンスフィールドがプロデュースで、この手のフェイクとしては抜群の完成度だな。
日本ではフィリピンのジャズ・シンガー、マリーンが歌った「ボーイフレンド」のカヴァーの方が有名だったけど、ゴージャスさではこの巨大な髪型には到底太刀打ち出来ないね。

ゴージャスとかリッチとかに無理やり当てはめて今回は書いてるが、ニュー・ウェイブの音楽は大まかに言えばロックの範疇にあるもの。しかし生粋にロックだけのものではなく、やっぱりR&Bとかソウルとかモータウンとか、ブラック・ミュージックを取り入れた音楽の方がよりゴージャスに見えてしまうという結果になってしまった。単にROCKHURRAHがあまり考えもせずにセレクトしただけかも知れないけど。

髪型とか金ピカとか、雰囲気だけでゴージャスをいいかげんに書いてきたが、最後のこれは見た目じゃなくて本物のゴージャスな音楽だ。
何度も当ブログで書いてきた80年代リヴァプールだが、エコー&ザ・バニーメンのイアン・マカラック(今は違う発音するみたいだが、80年代的に書けばマカラック)、ティアドロップ・エクスプローズのジュリアン・コープと共にバンドを始めたのがピート・ワイリーだった。
そのバンド、クルーシャル・スリーは世に出ることなく、3人ともメンバーを取っ替え引っ替えした結果、上記のバンドが生まれるが、ピート・ワイリーは70年代末にワー!ヒートを結成して本格デビューする。

3つのバンドともにネオ・サイケと呼ばれた分野で活躍するけど、本格派正統派のエコー&ザ・バニーメン、色んなものを盛り込み過ぎて何がやりたいのかよくわからんティアドロップ・エクスプローズ、そしてハードだが抽象的なギター・サウンドとメッセージ性が強い(推測)ヴォーカルのワー!ヒート、という具合にそれぞれ特徴あるアプローチで支持されていった。

ピート・ワイリーの場合はその情熱が一般的には理解されにくいタイプだったからか、日本では特に知名度は低いが、レコード出すたびにちょっとだけバンド名を変えるという変なこだわりもマイナス・ポイントだったかな。Wah!Heat、Wah!、Shambeko Say Wah!、J.F.Wah!、Mighty Wah!、Wah! The Mongrelなどなど、列記したどこからどこまでがひとつのバンド名なのかわからん。他の人にとってはどうでもいい部分だね。

初期は甲高い声でエモーショナルな歌唱と暗めの曲調を得意としてた(シアター・オブ・ヘイトあたりと似た感じ)バンドで「Seven Minutes To Midnight」などは個人的にとっても思い出に残る曲なんだが、82年あたりから音楽性をガラッと変える。
「Remember」や「Story Of The Blues」「Hope」、この三部作がゴスペルとかR&B要素をロックにうまく取り入れた大傑作となっている。
元々黒人ベーシスト、ワシントン(プロモのバーテン役)が初期からの重要なメンバーだったのでブラック・ミュージックへの傾倒は当然と言えるが、ここまで珠玉の名曲をモノに出来るほど大成するとはデビュー当時思ってもいなかったのでビックリしたもんだ。

ビデオではゴージャス要素が全然見えないが、車に水しぶきかけられてもハートは錦だよ、というような意気込みが精神的なゴージャス。むむ、苦しいか?

「Story Of The Blues」は本来はパート2まである超大作なんだけど、ビデオは前半部分のみ。サビの壮大な盛り上がりはニュー・ウェイブの歴史に残る名曲だな。

この後、マイティ・ワー!になってやっと日本で本格的にリリースされたけど、84年のシングル「Come Back」も壮大路線を受け継ぐ力強い傑作。まあこの時期の彼らの全てがこういう傾向ではなく、ちゃんとロックな曲も多いしアフロ要素まで見え隠れする。シングルとアルバムできっちり両方とも披露してるのが「かぶれ」じゃないところか。

この前後にワイリーのパートナーとして大活躍した美女、ジョシー・ジョーンズは残念ながら2015年に亡くなったが、日本ではその情報さえ皆無に等しいのが悲しい。いかにも80年代ニュー・ウェイブを象徴する服装とルックスで気に入ってたのを思い出す。まさにファビュラスだったよ。
リヴァプール御三家の中でROCKHURRAHが最も熱心に集めていたのがピート・ワイリー関連だったが、ウチのブログでは何かの記事のおまけでチョロチョロ書いてるだけだったので、珍しく熱弁をふるってみたよ。

うん、苦手と言いながらも何とかここまで書けて良かった。やっぱりROCKHURRAHにはゴージャスな音楽は向いてないね。次回はルンペンプロレタリアートからロックスターに上り詰めた人物特集にしてみるか(ウソ)。

ではまた、До свидания(ロシア語でさようなら)。