ふたりのイエスタデイ chapter27 / RUN DMC

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【今でも心躍るシンプルなロゴ・マーク】

SNAKEPIPE WROTE:

ふたりのイエスタデイ」では、ROCKHURRAH RECORDSの思い出にまつわる「よもやま話」を紹介している。
今日は1980年代後半にSNAKEPIPEが夢中になっていたヒップホップ・グループ、RUN DMCについて書いてみたいと思う。
RUN DMCの表記がいくつかあるようだけど、当ブログではRUN DMCで統一するのでよろしくね!

まずはメンバー紹介から。
画像左からMCのRunとDMC、DJのJam Master Jayの3人チームなんだよね。
グループ名はMC2人の名前から、つけられていることが分かる。
RUN DMCとして活動を開始したのが1982年だという。
1984年には1stアルバムを発売、1985年に2nd、1986年には3rdアルバムを出している。
1stアルバムから50万枚を売上げ、ゴールド・ディスクを獲得したというから、最初から成功してるんだね。
2ndは100万枚(プラチナ・ディスク)、そして3rdは「史上最も売れたラップ・アルバム」として認知される。

それが「Raising Hell」なんだよね!
それまではPUNKやニュー・ウェイヴを聴いていたSNAKEPIPEも、RUN DMCに魅了されてしまった。
当時のNOWな人達は、こぞってヒップホップへ移行していたんだよね。
藤原ヒロシと高木完はタイニー・パンクスを結成し、レコード・レーベル「MAJOR FORCE」を設立していた。
そのレーベルから出た「建設的」や中西俊夫のTYCOON TO$Hのアルバムも持ってたなあ。(笑)
RUN DMCの曲だけではなく、ファッションにも注目が集まっていたよ。
カンゴールの帽子、アディダスのジャージやスニーカー、太いチェーンのネックレスなどが大流行!
SNAKEPIPEもアディダス着て、太いゴールド・チェーン着けてましたとも。(笑)

その頃、RUN DMCの来日が決定!
1986年12月20日、場所はNHKホールだったと検索して判明。
SNAKEPIPEは長年来の友人Mと共に会場入りしたよ。
40年前のこととは、怖いね。(笑)

日本公演前の1986年7月にシングルとして発売された「Walk This Way」に熱狂した人は多かったはず。
ロックとヒップホップの融合!
そしてエアロスミス本人が登場するMVも大人気だった。
サンプリングというのは、DJが気に入ったフレーズを勝手に使用するものと思っていたけど、違うのかな。
「Walk This Way」の場合は、本家エアロスミスのお墨付きだから、著作権等全く問題ないよね。
コロッケが美川憲一のモノマネしてる後ろから「ご本人登場」する、みたいな公認ってことだもんね。(例えが古い!)

1986年のNHKホール公演で、観客は全体的に大人しかったように記憶している。
ヒップホップのノリ方が分からないから、仕方ないよね。
SNAKEPIPEと友人Mは、通路に出て踊っていたっけ。
ツバキハウスで踊っていたように、ピョンピョン飛び跳ねたものよ。
他の踊り方知らなかったし。(笑)

SNAKEPIPEの記憶違いでなければ、別の年にあと2回ライブに行っているはずなんだよね。
1989年12月に再びNHKホールで公演をした記録は残っているようなので、多分これにも行ったんだろうな。
写真もパンフレットも何も残っていないので、はっきり言い切れないのが辛いけど。(笑)
そして最後に行ったのは、関内辺りの小さいライブハウスだった。
友人Mともう一人友人Sの3人で出かけたんだよね。
横浜界隈の地理に疎いので、わざわざタクシーで会場まで行ったっけ。
「お客さんどこから来たの?」
「そんなこと聞くな!」ってね。
タクシー運転手が地名の菊名にかけたダジャレを言ってきたけれど、3人でキョトンとしていた。
当時は千葉県民だったから、横浜近辺の地名を知らなかったからね。(笑)

1989年か1990年に行ったライブハウス(ディスコ?)は、割と小さめだった。
お客さんの半分くらいは黒人で、ステージとの距離が近かったよ。
長年来の友人Mに覚えているか尋ねると「伊勢佐木町のOXUM TRAP(オクスン・トラップ)じゃなかった?」と即答され、びっくり!
観客の中にZOOのヒロとルークもいたという話まで出てきたよ。
昔のことをよく覚えていて、素晴らしい記憶力だよね。(笑)
かつてOXUM TRAPが存在したことは確認できたけれど、RUN DMCの公演についての情報は見つけられなかった。
友人MとSNAKEPIPEの記憶だけが頼りだね!

少し待たされ、ついにRUN DMC登場!
興奮し過ぎて踊りまくり、床に転倒したSNAKEPIPE。
その時に演奏されていた曲が「Mary, Mary」。

当時のSNAKEPIPEはヒップホップ系か、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズを真似たロック系の服装だった。
バンダナ巻いた上にキャップを後ろ前にかぶったりね。(笑)
OXUM TRAPに行った時はガンズ系の服で、革ジャンにレザーのブーツを履いていた。
その靴で滑って転んでしまったのである。
「ブレイクダンスしようと思ったんでしょ?」
駆け寄るなり、尋ねてくる友人M。
ブレイクダンスなんて踊れないよ!(笑)

40年近く前のことが、まるで昨日のようで、とても懐かしい。
書いてるうちにノリノリになってきたSNAKEPIPE。
もう1曲載せさせてもらおう!
「It’s Tricky」もお気に入りなんだよね。

2002年にジャム・マスター・ジェイが射殺されてしまう。
このニュースを知った時はショックだったなあ!
RUN DMCは、この時点で活動休止し事実上の解散となってしまう。
ジェイを撃った犯人は、18年後の2020年に逮捕されたという。
ドラッグ絡みの事件だったこと、ジェイが37歳で亡くなったことを知る。
RUN DMCの栄光と転落が浮き彫りになり、悲しくなるね。

当時はレコードで、今ではCDで愛聴しているRUN DMC。
ジャイの不在はとても残念だけど、SNAKEPIPEは今でもファンなんだよね。
その後のヒップホップに、ファッションを含めて多大な影響を与えたグループだと思うよ。
ヒップホップが好きだった頃は、他にもLL・クール・JやPUBLIC ENEMYもよく聴いてたなあ。
今でもCDは全て所持してるよ!(笑)

次第にSNAKEPIPEの好みは変化していく。
ニュー・ウェイヴからPUNK、そしてヒップホップ。
次に傾倒した音楽ジャンルは、何でしょう?
答えはまたいつか、書いてみようかな。(笑)

映画の殿 第73号 マイ・スイート・ハニー/DOG DAYS

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【映画の中で食事中のヘジンさん】

SNAKEPIPE WROTE:

今回の「映画の殿」では、2本の韓国映画を紹介したいと思う。
どちらも主演はユ・ヘジン
ROCKHURRAH RECORDSは、「ヘジンさん」と知り合いのように呼んでしまうほど大ファンなんだよね。(笑)
映画俳優としてはもちろん、「三食ごはん」で見せる素顔にも魅了され、ヘジンさんが出演している映画はできる限り鑑賞している。
ソン・ガンホと並び、韓国の国民的俳優と称されるヘジンさん。
マイ・スイート・ハニー(原題:달짝지근해 2023年)」で初めてロマンチック・コメディーに挑んだという。
翌年には「DOG DAYS 君といつまでも(原題:도그데이즈 2024年)」で主演しているんだよね。
(原題:올빼미 2022年)」や「破墓/パミョ(原題:파묘 2024年)」も鑑賞済だけれど、今回は「マイ・スイート・ハニー」と「DOG DAYS」の2本を取り上げよう。
※ネタバレしている可能性がありますので未鑑賞の方はご注意ください

まずは「マイ・スイート・ハニー」から。

前述したように、ヘジンさん初のロマコメとして注目度が高い作品だったみたいね。
2023年に公開されているので、今から3年前に映画館で鑑賞した人には「何を今更」と思われてしまうかもしれない。
ROCKHURRAH RECORDSでは今年になって、ようやく鑑賞できたんだよね。(笑)
簡単にヘジンさんの経歴を書いておくと、1970年生まれの55歳。
1997年に映画デビューしているので、そろそろ役者人生30年になる大ベテラン俳優だよ。
脚本を手掛けたのは、映画「エクストリーム・ジョブ(原題:극한직업 2019年)」を監督したイ・ビョンホン。
俳優のイ・ビョンホンではないので注意だよ。(笑)
映画のあらすじとトレイラーを載せてみよう。

製菓会社で研究員として働く45歳のチャ・チホは、天才的な味覚を武器に数々のヒット商品を生み出してきた。
自宅と会社を往復するだけの毎日を送っていた彼は、明るくエネルギッシュなシングルマザーのイ・イルヨンと出会う。
イルヨンはチホの優しさや純粋さにひかれていくが、恋愛経験のないチホには恋という感情すら分からない。
これまで経験したことのない感情に戸惑いながらも、イルヨンと過ごす日々はチホにとって特別なものになっていく。
そんな矢先、ある事件が起こる。
(映画.comより)

ヘジンさん演じる、勤勉で実直な仕事人間、チャ・チホの生きがいは会社に貢献することだけ。
趣味もなければ、人生での楽しみを見つけることもない。
チャ・チホは、お菓子を食事代わりにしていたせいで栄養失調で倒れてしまう。
ここまで会社に尽くす社員ってすごいよね。
健康を害してもチャ・チホが有能なだけに、見て見ぬ振りをする会社はブラック企業だよ。
普段は無表情なチホなのに、子どもをあやすシーンがあって意外だった。
そのおかげで(?)45歳にして初めての恋が生まれるとはね。(笑)

チャ・チホが子どもをあやすシーンを見つめていたのは、サラ金取り立ての電話応対をするイ・イルヨン。
演じているのはキム・ヒソンで、ROCKHURRAH RECORDSでは初見の女優だったみたい。
何事にも前向きなシングル・マザーで、どんなに嫌な客への対応も可能な強さを持っている。
チャ・チホには初めから好意を抱いていたようで、イルヨンのほうから迫っていくんだよね。
栄養失調のチホと一緒に食事をする友達になり、どんどん距離が近づいていく。
イルヨンの元夫に関するエピソードは少しお粗末だったかも。
一瞬だけ登場して、すぐに消えてしまったからね。

チャ・チホの兄、ソクホ。
ギャンブルに明け暮れ、弟の収入を当てにしている毒兄に見えるよ。
チホも「兄貴のためなら」と進んで借金返済に協力するので、見ているこちらがヤキモキしてしまう。
映画を最後まで観ると印象が変わるので、良かった。(笑)
そしてこの兄の借金返済が理由で、チホとイルヨンが出会えたので、愛のキューピットと言えるかも?
演じているのはチャ・インピョで、かつてトレンディドラマで有名な俳優だったとか。
チャラけた雰囲気が良く出ていたよ!

チャ・チホが勤める製菓会社社長の息子、ビョンフン。
チホのヒット商品を開発する能力を認め、自社のために更に貢献してもらうことを望んでいる。
チホの健康問題など関係なしに、金儲けだけを考える即物的な上司かと思いきや、変わって良かった。(笑)
演じているのは「エクストリーム・ジョブ」でマ刑事だったチン・ソンギュ。
あの映画を観て以来、ずっとマ刑事と呼んでしまうほど、強烈な印象を残したっけ。
もう一度「エクストリーム・ジョブ」観たいなあ。(笑)

脇を固める俳優陣も見逃せないよ。
チホが訪れる薬局にいる薬剤師が、「椿の花咲く頃」や「悪霊狩猟団: カウンターズ」などでファンになったヨム・ヘランなんだよね!
役名で覚えてしまうので、今でもチュさんと呼んでいるSNAKEPIPE。(笑)
「マイ・スイート・ハニー」でも良い味だしていて、ヘジンさんとの掛け合いが良かったよ。
名バイプレイヤーだよね!

役名もなく、通りすがりの青年として出演していたのがイム・シワン。
恋人に愛を伝えるために歌う、という古めかしく、少し恥ずかしいことを堂々とやってのける。
告白されている女性からすると、迷惑かもしれないよね。(笑)
「あれ?イム・シワンじゃない?」と言うSNAKEPIPEに「あんなチョイ役じゃ出ないでしょ」とROCKHURRAH。
調べた結果、SNAKEPIPEが当たりだったみたいだね。(笑)
他人は地獄だ(原題:타인은 지옥이다 2019年)」以来、久しぶりに観たかも。

45歳という役どころなのに、初心なヘジンさんがとてもキュート!
世間的には「おっさん」の年齢だろうけど、初恋に胸を焦がしているので、気分的には10代になるのかな。
ぎごちないけれど、まっすぐな心を持っているチャ・チホを見事に演じきっていたよ。
ドライブ・シアターのシーンでは、涙を流しながら笑わせてもらった。(笑)
ラブ・ロマンス系の映画はあまり得意ではないROCKHURRAHとSNAKEPIPEだけど、主役がヘジンさんなら話は別!
とても温かい気持ちになれる、良い映画だったよ!

続いては「DOG DAYS 君といつまでも」のご紹介。
「孤独を抱えた人々とチャーミングな犬たちの出会いが奇跡を起こすとびきり愛おしいハート・ウォーミング・ストーリー」と宣伝されている映画なんだよね。
先に書いた「マイ・スイート・ハニー」同様、ハート・ウォーミングと言うジャンルは、通常スルーしてしまうROCKHURRAH RECORDSだけれど、ヘジンさんが主役ならば外せない映画になるよ。(笑)
そしてワンちゃんたちがたくさん登場すると聞けば、観たくなるのは当然!
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEもワンちゃん、大好きだからね。(笑)
あらすじを書いてみよう。

きっちりした性格のミンサンは、動物病院「DOG DAYS」のせいで、自宅周辺に犬の糞が転がっていることが忌々しい。
院長ジニョンと今日もやり合ったミンサンは、有名建築家ミンソにたしなめられる。
リゾート開発に関わるミンサンは、ミンソを紹介してもらおうと、ジニョンが助けた保護犬、チワワの「車長さん」を一晩預かることに。
ミンソは散歩中に倒れ、フレンチブルドッグの愛犬ワンダを見失う。
居合わせた配達員のジヌはワンダ探しを手伝う。
その頃、作曲家ソニョンとジョンアの夫妻に養子に迎えられた少女ジユが、迷い犬と出会う。
一方「DOG DAYS」には、ゴールデンレトリバーのスティングが担ぎ込まれる。
大慌てで連れてきたのは、恋人スジョンの留守中にスティングを預かるヒョン。
そこへスジョンの元彼ダニエルが現れて……。
犬を介して出会い、心を通わせる人々の日常が、少しずつ動き始める。
(公式サイトより)

ワンちゃんの中でも、とりわけ白黒のチワワが大好きなので、「車長さん」が登場すると「かわいいー!」と叫びながら鑑賞してしまった。(笑)
ヘジンさんが片手でヒョイっと持ち上げられる小ささ。
あまりにも可愛らし過ぎて、もうたまりません!(笑)
ヘジンさん演じるミンサンは、堅物で犬嫌い、自分の利益のことしか考えないような嫌な人なんだよね。
「マイ・スイート・ハニー」同様、どんどんミンサンに変化が生じてくる。
人って変われるんだね!

動物病院「DOG DAYS」の院長であるジニョン。
演じているのは、「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜(原題:SKY 캐슬 2019年)」で、怖い怖いキム先生だったキム・ソヒョン。
あの時の印象が強過ぎるため、ワンちゃんに優しく接しているシーンにホッとしてしまう。
もうキム先生じゃないことは分かってるのにね!
動物病院での厳しさも同時に知ることになり、涙してしまうSNAKEPIPE。
最近涙もろいんだよねえ。
単なる年齢のせい?(笑)

あらすじにも登場した有名建築家のミンソと配達員のジヌ。
ミンソはフレンチ・ブルドッグを可愛がっているんだよね。
そんな愛犬に対して「ブサイク」と言い放ってしまった配達員のジヌ。
初対面の印象はお互い最悪だったけれど、半ば強制的にミンソに付き合う羽目になる。
一緒にいる時間が長くなり、だんだん仲良くなっていく様は、見ていて微笑ましかった。(笑)
ミンソを演じていたのは、韓国人俳優初のアカデミー賞助演女優賞獲得したユン・ヨジョン。
配達員ジヌには、「愛の不時着」や「ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です」などで知っているタン・ジュンサン。
主役になれるレベルの俳優が出演している豪華なキャスティングだよね!

あらすじに登場したゴールデンレトリバーのスティング。
スギョンの留守中に恋人ヒョン(画像左)がスティングを預かっている。
そこへ元の彼氏のダニエル(画像右)が、まるで離婚した親が子供に会うかのように、スティングに会いにやってくるんだよね。
スティングも、とてもかわいいワンちゃんなので、ダニエルが会いたくなるのも納得だよ!
ヒョンを演じたのは「ワンダフル・デイズ」で知っていたイ・ヒョヌ。
あのドラマも犬だったね。(笑)
ダニエルを演じたダニエル・ヘニーは、「コンフィデンシャル:国際共助捜査(原題:공조2: 인터내셔날 2022年)」で観ているはずだけど、失念してるよ。
ヘジンさんとは、あの映画でも共演していたってことだね!

スティングの飼い主であるスギョンは、キム・ゴウンだったんだよね!
公式サイトにはキム・ゴウンの名前が出ていないので、秘密のスペシャル・ゲストになるのかな。
室内で歌う、回想シーンにだけ登場するよ。
キム・ゴウン、歌もうまいんだよね!
そういえば「破墓/パミョ」でも、キム・ゴウンとヘジンさんは共演していたっけ。
大物俳優が共演している映画は、やっぱり観ておきたいって思うよ。

「DOG DAYS 君といつまでも」は、宣伝通りハート・ウォーミングな物語で、心をしっとりさせてくれる映画だった。
上に何度か書いたように、大物俳優がたくさん出演しているので、相当ギャラが高かったんじゃないだろうかと心配してしまうほど。(笑)
ワンちゃんたちも皆かわいいので、観ているだけで癒やされたSNAKEPIPEだよ!
「マイ・スイート・ハニー」も「DOG DAYS 君といつまでも」のどちらの映画も、ヘジンさんが主役を務めた「LUCK-KEY ラッキー(原題:럭키 2016年)」のように、最初は無愛想で無骨だったのに、最後には人間味に溢れた良心的な人物になるキャラクター設定なんだよね。
そしてこれがヘジンさんの人柄にマッチしているので、演技に見えないほど自然なんだろうな。
これからもヘジンさんの応援、続けていくよ!(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #76 John Walker

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【作品の前で笑顔を見せるジョン・ウォーカー】

SNAKEPIPE WROTE:

2025年6月に「形象 Keisho」展で鑑賞したドレーヌ・ル・バ(Delaine Le Bas)が、2024年度ターナー賞の最終候補に挙がっていた、と記事の中で書いているよね。
そこでふと「今年のターナー賞は?」と疑問を持ったSNAKEPIPE。
調べてみると、ニーナ・カルー(Nnena Kalu)、レネ・マティッチ(Rene Matić)、モハンマド・サーミ(Mohammed Sami)とゼイディー・チャ(Zadie Xa)がノミネートされているという。
4人の展覧会を2025年9月〜2026年2月で開催し、ターナー賞受賞者は2025年12月9日に発表されるんだとか。
今までブログに何度もターナー賞と書いてきたけれど、こうしたシステムになっていることを知らなかったよ。
勉強になりました!(笑)

1984年から始まっているターナー賞受賞者についても調べてみると、SNAKEPIPEには馴染みがないアーティストがいっぱいなんだよね。
多少はアートについて知っているつもりだったのに、面目ないなあ。
2008年6月に「ターナー賞の歩み展」を鑑賞しているにもかかわらず、である。
受賞者と候補者の一覧を調べても、知らない名前ばかりで悔しい。
それならばリストの中から、今まで知らなかった好みのアーティストを見つけてみよう!と目を輝かせる前向きなSNAKEPIPE。(笑)
1984年から確認していき、1985年の候補者のジョン・ウォーカー(John Walker)という抽象画家に目が留まる。
スコッチ・ウイスキーのジョニー・ウォーカーの創業者と同じ名前だね。(笑)
冗談はさておき、ジョン・ウォーカーの経歴を調べてみよう。

1939 イングランドのバーミンガムに生まれる
1956〜1960 バーミンガム美術学校で学ぶ
1960〜1961 ローマのブリティッシュ・スクールで学ぶ
1961〜1963 パリのアカデミー・ド・ラ・グラン・シャオミエールで学ぶ
1967〜1969 リーズ大学のグレゴリー・フェロー(研究者)を務める
1969〜1970 ハークネス・フェローシップでアメリカに渡る
1972 ヴェネツィア・ビエンナーレにイングランド代表として出展
1977〜1978 オックスフォード大学のアーティスト・イン・レジデンスを務める
1980〜 オーストラリアのメルボルンにあるビクトリア美術大学の学部長を務める
1985 ターナー賞にノミネートされる
1993〜2015 ボストン大学(Boston University)で教鞭をとる

1939年ということは、今年86歳になるんだね。
現在はボストン大学ビジュアルアーツ学部の名誉教授だという。
作品制作だけではなく、教育にも力を入れているアーティストなんだね。
ニューヨークの近代美術館(MOMA)やロンドンのテート他、多くの名だたるギャラリーで個展を開催しているんだとか。
作品が世界中の有名美術館に所蔵されていることも分かったよ。
もしかしたらSNAKEPIPEもどこかで作品を目にしているかもしれないね?
それではジョン・ウォーカーの作品を紹介してみよう!

この作品を目にした時、てっきりデヴィッド・リンチの手による絵画かと勘違いしてしまったSNAKEPIPE。
色使いやらモチーフが似た雰囲気なんだよね!
1991年に今はなき東高美術館で鑑賞したデヴィッド・リンチ展を思い出すよ。
特にどの作品が近いということはないけどね。(笑)
これはジョン・ウォーカー、1980年の「A MOROCCAN」という作品。
直訳すると「モロッコ人」になるけど、人の気配は感じないね?
作品のサイズが「10’ x 8’」なので、約305cm × 約244cmという大きさだって。
こんなに大きな絵を飾れたら素敵だろうね!

続いては1984年の作品「Untitled #11 (Alba Series),」だよ。
構図は「A MOROCCAN」とほとんど同じだね。
赤色が強くて、右側に頭蓋骨らしき白が見えるところが不気味だよ。
この作品を制作した年にターナー賞候補になっているんだね。
大きさは91.4 x 71.8 cmとのこと。
「A MOROCCAN」に比べると、小さめの作品だよ。
お値段$3,000 ( 約43万円)〜$5,000(約72万円)で取引されたらしい。
似た構図の作品を並べて鑑賞したいよ。

1996年にバーミンガム大学・アーツビル玄関ホールに設置された壁画 「The Blue Cloud」(部分)を載せてみたよ。
1994年、ジョン・ウォーカーにバーミンガム大学名誉文学博士号が授与された縁もあって、大学から依頼されたらしい。
絵の中に文字が書かれているところもリンチっぽい、と「にんまり」してしまう。(笑)
ジョン・ウォーカーが書いたのは、ウィルフレッド・オーエンとバイロン卿の詩からの一節なんだとか。
生と死、出会いと別れといったテーマが盛り込まれているという。
毎日この壁画と対面する大学生は、どんな気持ちで鑑賞するんだろう。
実物を観てみたいよ!

「The Blue Cloud」の翌年に制作された「Anger Anguish」。
ジョン・ウォーカーには抽象的なモチーフが多い中、はっきりと人物が描かれているのが珍しい。
タイトルを直訳すると「怒り・苦悩」になるので、登場している人物の心情なのかも。
画像からは読み取れないけれど、何やら文字が書かれているよね。
2分割された画面の下段に「FOR YOU」と書いてあるのだけは読めたよ。
一体何を意味しているのか不明だけど、強い感情を表現したことは分かるね。
この時ウォーカーは58歳くらいかな。
丸くなろうなんて、これっぽっちも思ってないように見えるよ。
パンクっぽくて、いいね!(笑)

ジョン・ウォーカーはずっと活動を継続していて、「Clammer’s Marks North Branch」は2003年の作品だって。
直訳すると「貝採り漁師の痕跡:ノースブランチ」とのこと。
白髪一雄を思わせる大胆な筆使いだよね。
描いた上から何度も色を重ねていくうちに、最初に描いた部分を打ち消したみたいに見えてくる。
文字もところどころ消されていて、何だか分からないよね。
山口百恵の「美・サイレント」での口パクみたいに、受け取り側が想像するしかないかも。(例えが古過ぎ)
縦約244cm × 横約213cmの大型作品は、頭じゃなくて心で感じたら良いんだろうな。

2016年の作品「Caitlin Lee」はモノクロームで、抽象化が進んでいるね。
レストランや豪邸に、展示したらオシャレだろうな。
北欧のテキスタイルにも見えてくるよ。
批評家の一人がジョン・ウォーカーを「過去50年間で際立った抽象画家のひとり」と評したというのも納得!
不思議な形で構成された作品だけど、構図と色のバランスが抜群だよね。
SNAKEPIPE MUSEUMに所蔵したくなるよ。

ジョン・ウォーカーのサイトでは、2023年に制作された作品も鑑賞することができる。
2年前なので84歳かな。
約183cm × 約168cmほどの大型作品を精力的に手掛けているみたい。
「絵を描くことに退屈を感じたら、制作をやめる」とインタビューで答えているので、いまもなお作品制作が面白く感じているんだね!
2024年12月に鑑賞した「松谷武判展」の松谷武判は1937年生まれで88歳、我らが横尾先生も1936年生まれの88歳!
現役で活動を続けている80代のアーティストがいっぱいいて嬉しいね。
今まで知らなかったジョン・ウォーカーを知ることができて良かった。
これからも温故知新で知識を広げていきたいと思ったSNAKEPIPEだよ!(笑)

創造と破壊の閃光 鑑賞

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【毎度お馴染み、ジャイルギャラリーの入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年9月の「ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展」以来、約9ヶ月ぶりにジャイルギャラリーに行ってきた。
現在開催されているのは「創造と破壊の閃光」展で、企画と構成を担当しているのは飯田高誉さん。
飯田さんの企画は難解で観念的なものが多いけれど、デヴィッド・リンチ好きという共通項があるため、できるだけ足を運ぶことにしてるんだよね!
よく晴れた真夏並みに暑い日、ROCKHURRAHと表参道を闊歩したのである。

表参道を原宿方向に歩くと、いつもより少し人が少ない気がする。
GYREに到着し、ギャラリーに向かうと一人もお客さんがいないよ。(笑)
いつも通り撮影許可をもらい、鑑賞しながら撮影していく。
ゆったり観られて良かった!
今回は4人の女性アーティストの作品が展示されているんだよね。

4人の中で最も知名度が高いのは、世界のクサマ、ご存知、草間彌生!(笑)
遠くからでも草間彌生の作品は目立つよね。
美しいブルーがバックの「永遠の希望」(画像左上)や、ピンク色が鮮やかな「求道の輝く星は宇宙のかなた、求めれば求めるほど光り輝くのだった」(画像右下)など、大型の作品が展示されている。
制作年が2015年から2020年になっていて、90歳を超えても精力的に活動していることが分かり嬉しくなるよ。
「かぼちゃ」や「ドット」はグッズになっているのを見かけるけど、こうした作品をテキスタイルにしてくれたら良いのにね?(笑)

三島喜美代の作品は、2021年7月の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力」で鑑賞したことがあり、感想を書いているね。
「アナザー・エナジー展」は、長年作品制作を継続している世界の女性アーティストを知ることができた素晴らしい企画だったっけ。
そこで宮本和子や三島喜美代という日本人アーティストを初めて知ったSNAKEPIPE。
三島喜美代の作品は、消費社会で出たゴミを陶にシルクスクリーン印刷して制作しているんだよね。
じっくり近くで観ても本物と区別がつかないほど、精巧に作られているよ!

三島喜美代のコラージュ作品も展示されていた。
「アナザー・エナジー展」でも1960年代の作品を鑑賞したよ。
今回展示されていたのは、いつ制作されたものだったんだろう。
黒色がシャープで、カッコ良い作品だね。
残念なことに三島喜美代は、2024年6月に91歳で亡くなったという。
革新的な作品を制作している日本人女性アーティストの訃報は悲しいね。

坂上チユキは、極細の筆で描かれた水彩や顔彩を使用したドローイングが特徴のアーティストだという。
ものすごく細かく線が描かれているよ。
色調をドギツくしたら、サイケデリック・アートのような雰囲気。
「5億9千万年前プレカンブリア紀の海に生を受けた」という坂上チユキは、その後大気が形成された、シルル紀時代の鮮烈な空と海の青の記憶を描いているらしい。
古代生物や神話に登場する幻獣などがモデルだと説明しているサイトを知ると、謎めいた流線型のヒントになりそうだね。

展示作品にはキャプションがなかったけれど、載せた画像は恐らく「辺境にて」という遺作の油彩画。
2017年に制作されたみたいだね。
青色の濃淡を繰り返し少し盛り上がった細かい点描は、執拗なほどだよ。
古代の海に海洋生物の細胞を一つ一つ描き出しているような感じかな?
点を繰り返すところは、草間彌生に通じる雰囲気だね。
初めて坂上チユキの名前を知り、作品を鑑賞することができて良かった!

ジャイルギャラリー入口入ってすぐに展示されていたのは、「方舟はもう現れない」というタイトルの作品。
谷原菜摘子も初見のアーティストだよ。
1989年埼玉県生まれで京都市立芸術大学でアカデミックな教育を受けているという。
ベルベットの布地に油彩やアクリルなどを使用して、作品を制作しているんだとか。
少女マンガみたいに、お目々キラキラの少女たちが不気味に見えるのは、バックの黒の効果かもしれないね。
笑みを浮かべながら水没していくように見える少女(もしくは人形?)たち。
抱きかかえられているのは、もしかしたらアーティストご本人で、自画像かもしれないと思ったよ。

展覧会の最後に展示されていた2枚は、物語性があり想像力を刺激してくれる。
SNAKEPIPEが作るお話なんて、陳腐で大したことないけどね。(笑)
展覧会のサイトによれば「谷原の絵は日本近代絵画史の『くらい絵』の系譜を受け継いでいる」んだとか。
「自身の負の記憶と人間の闇を混淆した美」を描くという谷原菜摘子は、日本画家の松井冬子が持つネガティブなエネルギーに似たものを原動力にしているように感じたよ。
違う作品も観てみたいと思ったアーティストだね!

草間彌生を中心に、3人の女性アーティストの作品を鑑賞することができた豪華な展覧会だった。
感想をまとめるために1人ずつ紹介していたけれど、実際は画像のように4人の作品が入り乱れて展示されていたんだよね。
いつも以上に空いていたので、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの特別室みたいな環境で観ることができたのも良かった。
やっぱり飯田さんの企画はできる限り観に行かなければ、と改めて思ったSNAKEPIPEだよ!(笑)