軽井沢初上陸!軽井沢現代美術館 鑑賞

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【軽井沢現代美術館の正面を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
毎年プレゼントに悩んでしまうSNAKEPIPEだけれど、今年はROCKHURRAHから提案があった。
「軽井沢に行ってみたい」
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも、行ったことがない場所なんだよね。
旅行をプレゼントに決め、ホテルや新幹線の予約などを済ませ、いざ軽井沢へ!(笑)

梅雨はまだ明けていないので、一泊二日の日程がずっと雨降りでも仕方ないねと話していたけれど、出発当日は35℃を超え、ギラギラした太陽が照りつける日だった。
避暑地として有名な軽井沢だから、寒さ対策として軽く羽織るジャケットがあったほうが良いかも、という心配は一切無用となったよ。(笑)
天気に恵まれたのは良かったね!

指定席を予約していたので、何の問題もなく東京から軽井沢まで約1時間ほどで到着。
軽井沢ってこんなに近いところなんだ!
新幹線に乗るのは2022年6月に金沢に行った時以来かな。
出張が多い方や旅行が趣味の方々からすると、驚かれるほど少ない旅行の回数かもしれないね。
旅行慣れしている方には「そんなことも知らないのか」と呆れられてしまうはず。
ほとんどどこにも行ったことがないSNAKEPIPEにとっては、初めてのことばかりだからね。(笑)

ホテルのチェックイン前に計画していたのが、軽井沢現代美術館に行くこと。
マイカー族ではないROCKHURRAH RECORDSは、公共交通機関を使うことになる。
軽井沢といえば、お金持ちが別荘持ってて、高級車でバカンスに繰り出すというイメージがあるSNAKEPIPE。
この発想自体が昭和なのかな?(笑)
どちらにしても目的地までバスや電車を乗り継いで行く、というよりはマイカーで好きな時にお気に入りの場所に出かける観光客が多いはず。
バスで目的地に行きたい時には、時間に気を付けて行動しないとね!

軽井沢駅から循環バスに乗り「図書館前」というバス停で下車。
強い日差しを浴びながらROCKHURRAHとテクテク歩く。
「Y字路を右って書いてあるよ」
どこから見たY字路なのか分からないまま、ひたすら歩くこと15分。
小さな看板が見えてきた!
これは非常に分かりづらい。(笑)
マイカー族なら見逃してしまうかもしれないよ。
ゆるやかな坂を上がっていくと、ようやく正門が見てきた。
この時には2人共汗だく!
空調が効いている館内に入ってホッとしたよ。

平日だったせいか、お客さんはわずかしかいなかったので、ゆっくり鑑賞できるね!
松谷武判の「Circle」は、キャンバスにボンドを使用した作品だった。
黒い部分が垂れて盛り上がってるんだよね。
シンプルだけど、実験的で力強く、カッコ良い!
1937年生まれなので、今年87歳になるアーティスト。
今年の10月から東京オペラシティアートギャラリーで個展が開催されるようなので、是非足を運びたいね。

1936年大阪生まれの前川強は「具体美術協会(通称:具体)」出身なんだね。
赤と緑の作品は強烈なインパクトがあるのに、近くでじっくり鑑賞すると細く縫った跡が見えるよ。
大胆さと繊細さというアンビバレントが魅力的な作品だね!
「具体」は1954年に大阪の芦屋で結成された前衛美術グループ。
かなりラディカルな作品で、SNAKEPIPEもROCKHURRAHも大好きなんだよね。
「具体出身」というフレーズだけで、鼻息が荒くなるよ。(笑)

「具体」のトップ・アーティストといえば白髪一雄。
2020年2月の「白髪一雄 a retrospective展」で、念願の白髪一雄展を鑑賞したSNAKEPIPE。
赤黒い色彩が多い印象なので、今回展示されていた明るめの色調は珍しく感じてしまう。
「桃園」というタイトルで1988年の作品。
勢いのあるペインティングに惚れ惚れするね!

靉嘔(Ay-O)の作品は、以前どこかで観たことがあるはず。
瑛九が創立した「デモクラート美術家協会」に所属していたという。
1960年代には「フルクサス」という前衛技術運動にも参加した経歴を持つ。
名前からでは何人か不明だけど、茨城出身の日本人だって。
載せたのは「レインボー」というアクリルで描かれた作品。
実際に虹色の光が、この配色になっているのかは不明だけど、目を引く作品だったよ。
リヒターのストライプと同様、細かい線の連なりで描かれているけれど、印象はかなり違う。
抽象絵画の奥行きを感じるなあ!

長野県松本市出身の草間彌生、地元の大有名人だよね。
トリプティク(三幅対)の「PUMPKIN」や、南瓜の彫刻、スカートの布地に模様が描かれた作品などが展示されていた。
世界的に有名なので、海外からのお客さん達は彌生作品と一緒に記念撮影してたよ。
きっとミュージアム・ショップにも彌生グッズが並んでいるに違いない、と予想する。

菅井汲の「ムッシュ」と「朝のオートルート」は縦が130cmほどの大型作品で、大胆な色使いも含めて存在感がある作品だった。
1952年に渡仏して、高い評価を受けていたアーティストなんだね。
どこかの美術館で作品を目にしたことがあるはずだよ。
フランク・ステラを彷彿させるミニマル・アート、とても好き!
菅井汲の作品をもっと観たいと思った。
そしてフランク・ステラ作品を多く所蔵している川村記念美術館のサイトで、フランク・ステラが2024年5月4日に亡くなっていたことを知ったよ。
横尾忠則と同年生まれなので、まだ活躍して欲しいアーティストなのに、残念でならない。

2022年3月に東京オペラシティアートギャラリーで「ミケル・バルセロ展」を鑑賞した際、4Fコリドールに展示されていたのが水戸部七絵の作品群だった。
ゴツゴツとした盛り上がりのある油絵の具。
ちょっと過剰気味に見えるモチーフに見覚えがあったんだよね。
例えばリンチのアート作品に文字が入るのは効果的で、文字も作品の一部だと感じる。
オペラシティで鑑賞した時、「文字がなければ良いのに」と口にしたSNAKEPIPEにROCKHURRAHも同意する。
作品の説明になっているみたいで、余計な気がするんだよね。
モチーフの選び方や方向が理解できるから、邪魔に感じてしまうのかも。
ただ、一度観ただけなのに「あの作品だ」と思い出すことができるのは、水戸部七絵の作品に個性があるからなのかもしれないね。

草間彌生に並び、世界的に人気のあるアーティスト、村上隆の作品も展示されていたよ。
壁にある丸いオフセット印刷の作品は、販売されていたんだよね。
限定300部で、お値段43万円だって!
村上隆の作品がそんな値段で購入できることに驚いてしまう。
海外からの需要も見込んでなのか、和風テイストな仕上げなんだよね。
手前は村上隆の作品に登場するキャラクターのフィギュアが並んでいた。
特に好きではないけれど、これだけの数が展示されていると見応えあったよ。(笑)

一通り鑑賞が終わり、チケット受付の方に声をかけると、飲み物を運んできてくれた。
軽井沢現代美術館、チケット代金に飲み物まで含まれているとは!
外が暑かったので、冷たいりんごジュースとぶどうゼリーをいただく。
作品数もボリュームがあり、楽しく鑑賞し、作品を遠くに眺めながらジュース飲めるなんて素晴らしい美術館だよ!
どうやら2025年秋で閉館が決まっているというので、寂しい気分になってしまう。
一度だけでもROCKHURRAHと行かれて良かったよ!

美術館をあとにして、また強い日差しが照りつける中を歩き、ホテルを目指す。
ここからの続きは次週にしよう。
どうぞお楽しみに!

デ・キリコ展 鑑賞

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【上野公園内の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

上野の東京都美術館で「デ・キリコ展」が開催されることを知ったのは、昨年だったかな。
展覧会情報を検索していて見つけたんだよね。
キリコといえば、2010年5月に「SNAKEPIPE MUSEUM #03 Giorgio de Chirico」というブログを書いているSNAKEPIPE。
その記事にも記述したけれど、2005年に東京大丸ミュージアムで開催された「巨匠 デ・キリコ展~異次元の森へ迷い込む時」を、ROCKHURRAHと一緒に鑑賞したんだよね。
あれが2人で行った最初の展覧会だったかもしれないなあ。(遠い目)
その記事の最後に「またどこかでキリコ展あったら観にいきたいと思う」と綴ったSNAKEPIPEの願いが叶うことになるんだね!(笑)

SNAKEPIPEにとっては、東京都美術館に行くのは2021年7月の「イサム・ノグチ 発見の道」以来、ROCKHURRAHにいたっては2016年5月の「若冲展」以来なので、およそ8年ぶりなんだね!
上野公園に点在する美術館・博物館としては2022年5月の「空也上人と六波羅蜜寺」で訪れたっけ。
上野に行く自体も久しぶりになるんだね。
かつてはミリタリー・グッズを求めて、上野、秋葉原を巡ったり、正月の買い出しではアメ横に行ってたのに。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも、変化しているんだね。(笑)

最近では珍しく土日祝のみ時間指定するチケット予約になっている。
ゴールデン・ウィーク前から開催されている展覧会なので、2ヶ月が経過しているにもかかわらず、時間で割り振らないとお客さんが多いってことなのかも。
朝一番の回を予約し、2年ぶりの上野へ。

昨年、事務所を移転する前は、日比谷線を使って上野に行っていたROCKHURRAH RECORDS。
今回はJRで上野に行ったので、公園口の改札を抜ける。
さすが公園口、目の前が上野公園だよ!(当たり前だけど)
東京都美術館まで結構歩いた記憶があったのは、日比谷線だったからだね。
美術館の開館時間に余裕で到着。
すでに20人くらいの人が並んでいる。
チケット予約の枠を何人に設定しているのか不明だけど、後続の人数を観察すると軽く100人はいたんじゃないかな。

いよいよ会場へ。
チケット予約していると、QRコードの画面見せるだけだから簡単。
すんなり入場して鑑賞を始める。
予想していたことだけど、やっぱり会場内の撮影は禁止。
今回のブログで使用している画像は、会場で撮ったものではないので4649!

会場は5つのセクションに分かれていた。
セクション1は「自画像・肖像画」。
キリコの自画像が多数展示されている。
画家が自分自身を描いた作品は、見慣れていると思っていたけれど、キリコは違ったね。
「闘牛士の衣装をまとう」「鎧をまとう」「17世紀の衣装をまとう」など、いわゆるコスプレを楽しんでいるみたい。
今回展示されていたのは1950年以降の作品だったので、1888年生まれのキリコが60歳を過ぎてからの自画像なんだよね。
載せたのは「自画像のある静物(1950年代半ば)」で、ポール・セザンヌの静物画のようにテーブルの果物に焦点を当てているのかと思いきや、壁にかかっている自画像が主役の作品!
この手法には、森村泰昌もびっくりなんじゃない?(笑)

セクション2は形而上絵画。
そもそも「形而上」ってどんな意味?
調べると「感性的経験では知り得ないもの。有形の現象の世界の奥にある、究極的なもの(Oxford Languagesより)」だって。
分かるような、分からないような説明じゃない?(笑)
キリコはニーチェの思想から着想を得たとされているので、哲学的な実験絵画を制作したということになるみたいだね。
載せたのは「運命の神殿」という1914年の作品。
複数のモチーフでコラージュを描いているところが面白い!
ダダより早い時期の作品かもしれないね。

キリコは時代によってスタイルを変えていった画家だと教えてくれたのは、日曜美術館「アートシーン」だった。
形而上絵画から印象派、更に新形而上絵画へと変化したらしい。
今だったら「シン・形而上絵画」と書くのかも。(笑)
セルフ・カバーとでもいうのか、1910年代に描いたモチーフに再び挑んでいるんだよね。
展覧会は、年代順に作品展示をしていなかったので、キャプションを確かめながら鑑賞していたSNAKEPIPE。
「孤独のハーモニー」は1976年の作品なので、「新形而上絵画」のほうみたい。
三角形の木材が積み上げられ、奥にはキリコ特有の青緑色の空が広がっていて、色彩が美しい。
左右にある黒い空間には何があるのか非常に気になるよ。

展覧会のポスターになった「預言者(1914-1915)」や「形而上的なミューズたち(1918年)」に描かれたマヌカンが、新形而上絵画にも登場する。
展覧会にちなんでマヌカンって表記したけど、マネキンと言ったほうがシックリするな。
「ヘクトルとアンドロマケ」は1970年の作品だという。
キリコは、ホメロスによるギリシアの叙事詩「イリアス」に登場するトロイアの王ヘクトルと王妃アンドロマケを何度も題材に選んでいるんだよね。
かつて文学少女だったSNAKEPIPEだけど、「イリアス」は読んでないなあ。(笑)
どうやら戦場に向かう夫ヘクトルを送り出す、今生の別れのシーンらしい。
表情がないマネキンなのに、寄り添っている様子や男女であることは分かる。
ギリシャ文学に親しんでいる方なら、タイトルだけで情景が浮かぶのかもしれないね。
マネキンのバックの建造物や背景の色だけでも、SNAKEPIPEにはグッとくる一枚だよ!

セクション3は「1920年代の展開」。
キリコはシュルリアリストたちとの交流もあったけれど、後に決別したという。
その後も友人関係を続けていたのはジャン・コクトーだったらしい。
2024年3月の「箱根初上陸続編!ガラスの森美術館」でもコクトーの名前を書いていたことを思い出したよ。
100年近く前のことを、当ブログでは記事にしてるってことだね。(笑)
展覧会に話を戻すと、1934年キリコは、ジャン・コクトーの詩集「神話」のために10点のリトグラフを制作したという。
載せたのは、そのリトグラフと同じモチーフの「神秘的な水浴」で1965年の油彩画。
右下に1939と書かれているのが謎だけどね?
水が「ツイン・ピークス柄」で表現されている点やエッシャーの騙し絵みたいな不思議な構図に見入ってしまう。
「一番左の人物はコクトーだよね?」
ROCKHURRAHに言われて、納得したよ。
確かに似てるわ!(笑)

2005年の展覧会で鑑賞した時にも「ウチに欲しい」と思っていた彫刻!
今回も展示されていて、再び同じ感想を持ったよ。
こういう作品をモチーフにした物がミュージアム・ショップにあったら良いのにな。
相変わらず「クリアファイル」とか「ショッピング・バッグ」なんだろうな。
「ペネロペとテレマコス」は1970年のブロンズに銀メッキされた作品。
どうやらこれはホメロスの「オデュッセイア」の登場人物らしい。
キリコはホメロスに傾倒していたのかな。
どんなシーンが切り取られているのか不明だけど、観ているだけでワクワクする彫刻作品だよ!
自宅にあったらどんなに嬉しいだろう。(笑)

キリコが舞台美術を手掛けていたとは知らなかった。
説明によると、1924年パリでバレエの舞台美術と衣装を担当したのがスタートだという。
1960年代まで続けていたというから、キリコも楽しんでいたんだろうね!
展覧会ではスケッチと実際に使用された衣装が展示されていた。
1942年の衣装スケッチを載せてみたよ。
腰からスカートにかけて、建築のデザインというから斬新だよね。
一体どんな舞台だったんだろう。
キリコの新たな一面を知ることができたね!

ミュージアム・ショップを探索する。
予想通り相変わらずの商品が並ぶ中、今回変わっていたのは、イタリアの食材が並んでいたこと。
イタリアのお菓子「ビスコッティ」やオリーブオイルなど、あまり見かけないグッズが販売されていたのは面白かった。(笑)

100点以上にも及ぶ展示作品数は観ごたえ十分。
「形而上絵画」と「新形而上絵画」の区別を知ったことが収穫だったSNAKEPIPE。
前から好きだったキリコ、もっと好きになったよ。
行って良かった展覧会だね!

収集狂時代 第23巻 楽器編

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【楽器が描かれた名画といえばアンリ・ルソーの「眠れるジプシー女」】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年6月に鑑賞した「GOMA ひかりの世界」で、初めて知ったのがディジュリドゥという楽器だった。
「世界にはいろんな楽器があるんだね!」と感想を書いたSNAKEPIPE。
そこからヒントを得て、今回は珍しい楽器を特集してみよう。
ただし、SNAKEPIPEは楽器に関して全く知識がないので、詳しい方からすれば「こんなことも知らないのか」と呆れられてしまうかもしれないけどね?(笑)

「なんだこれは!」と思わず口に出してしまいたくなるよね。
ジャズ・ギタリストであるパット・メセニーが、1984年にリンダ・マンザーに特注したギターなんだとか。
「できるだけ多くの弦を持つギター」というリクエストに「4つのネック、2つのサウンドホール、42本の弦」を持つ「ピカソ・ギター」が誕生したという。
このネーミングも納得だよ。(笑)
オブジェじゃなくて、本当に演奏できるからすごいよね!

一人で複数のパートをこなしていてビックリ!
こんな演奏ができたら楽しいだろうなあ。

円盤が着陸した画像?
まさかと思うけど、これも楽器なのかな。
正解はハングというイディオフォン(体鳴楽器)に分類される楽器なんだって。
深絞りされた窒化鋼板の2つの半球をリムで接着して作られていて、内部は空洞で凸レンズの形状をしているとのこと。
上部(「ディング」)側には中央にハンマーで打ち込まれた「ノート」があり、その周りに7つまたは8つの「トーンフィールド」が配置されているという。
下部(「グー」)側は平らな面で、中央に巻き込まれた穴があり、リムを打つことで調律された音が生成される、と説明されているよ。
一体どんな音なんだろう?

形状から想像していたのとは違う音じゃない?
環境音楽とかヒーリング・ミュージックと呼ばれるジャンルになるのかな。
演奏しているのはHANG MASSIVEというデュオで、プロのミュージシャン!
インドのゴアで出会った、とプロフィールに書いてあるね。
オフィシャル・ビデオはチベットで撮影されたみたい。
壮大な風景と音楽がマッチしているよね。

こちらも不思議な形状だけど、本当に楽器なのかな。
調べてみると、1761年にベンジャミン・フランクリンによって発明されたグラス・ハーモニカと判明!
今から250年以上前から存在していた楽器とはびっくりだね。
「ワイングラスの縁を濡れた指で擦って音を出す現象について、ガリレオも『新科学対話』の中で考察していた(Wikipediaより)」なんて書いてあるよ。
時代が遡り過ぎて、いつの話をしているのか分からなくなるね。(笑)
グラス・ハーモニカはガラス製の大きさの異なる円盤を配列し,水で濡らして回転させ,それを指で押えて演奏する体鳴楽器、だって。
音を聴いてみよう。

グラスの縁を指でなぞって音を出すのは「新春かくし芸大会」で見たことあるけど(古い!)、横にして回転させると音が連続するんだね。
音を聴いて、ホラー映画を連想してしまった。(笑)
SNAKEPIPEは寂しい、悲しい、怖いと感じたけど、人それぞれ感想は違うよね!

最後はこちら!
画像だけでは、どんな楽器なのか想像もつかないよね。
細かい部品がみっちり詰まっていて、手巻きのリールのような物も見えるよ。
これはスウェーデンのWintergatan(ウィンターガタン)というフォークトロニカ・バンドが自作したMarble Machine(マーブル・マシーン)という楽器だという。
手動でリールを動かし、鋼鉄の玉の移動により、機械下部に設置された楽器を叩き、音を奏でる仕組みなんだって。
ビブラフォン、ベースギター、シンバルやドラムの音を出すことができるという。
実際に機械楽器を動かしている映像がこちら。

一人で忙しそうに機械を操っているね。
木材に手書きで文字が書いてあったり、ネジを手回しする部分はアナログなのに、プログラミングされて動くところは未来的。
レトロ・フューチャーとでもいったら良いのか、面白いよね!
ウィンターガタンは、この機械楽器を2年かけて制作し、そのプロセスを動画配信しているという。
すでにこの初号機は解体され、2号機も完成しているみたいだね。
ウィンターガタンのサイトには、マーブル・マシーンの設計図が「お代は自由にどうぞ」として、ダウンロード可能になっているよ。
「同じ楽器を作りたい」と思ったら、自作できるんだね!
工学と音楽を組み合わせた斬新なバンドを知ることができて良かったよ。

今回はSNAKEPIPEが、今まで見たことも聴いたこともない楽器を特集してみたよ!
目と耳が刺激されて、とても楽しかった。
世界にはまだ色々な楽器があるので、続きを検討してみよう。
次回もお楽しみに!

Mark Leckey Fiorucci Made Me Hardcore 鑑賞

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エスパスルイ・ヴィトン エレベーター前の看板】

SNAKEPIPE WROTE:

現代アート好きの友人Hと待ち合わせ、ジャイルギャラリーで「GOMA ひかりの世界」を鑑賞した話の続きを書いていこう。
ランチに向かったのは、友人Hが「素敵なところ」とお勧めしてくれたお洒落なイタリアン・レストラン。
予約していなかったけれど、すんなりテラス席に案内してもらう。
この店名は、もしや?
SNAKEPIPEの記憶にある「80年代に大好きだった店」が蘇ってきた!
看板をみると「since 1977」と書いてあるので、間違いないよ。
当時は珍しかった「全粒粉パン」「白いパン」や具材を選び、その場で作ってくれたサンドイッチ屋さんだったんだよね。
気取ってランチを頂いたものよ。(遠い目)
今はイタリアンの店になっていたんだね。
チョイスしてくれた友人H、ありがとう!(笑)

ゆったりしたランチ・タイムを過ごした後、次に向かったのはエスパスルイ・ヴィトン!
「ギャラリーに行きたいんですけど」
ドアマン対策を万全にしたおかげで(笑)すんなりエレベーターを案内される。
アジア系のお客さんが案内係の男性と共に、先にエレベーターを待っていた。
同じエレベーターに乗り込むと、案内係が「何階ですか?」と聞いてくるので「ギャラリーです」と応じる。
アジア系の方々は「本当のお客さん」なので、5階で降りていったよ。
「レセプショニスト、ってバッジつけてましたね」
友人Hが案内係を観察していたようだ。
「昔ならエレベーター・ボーイじゃない?」
などと言っている間にギャラリーに到着。
鑑賞前にまず化粧室に立ち寄る友人HとSNAKEPIPE。
ルイ・ヴィトンで最初にトイレに行くとは、大物感あるわあ。(笑)

いよいよ会場へ。
実はジャイルギャラリー同様、エスパスルイ・ヴィトンでの展示についても全く予習してこなかったSNAKEPIPE。
今回はMark Leckeyの「Fiorucci Made Me Hardcore feat. Big Red SoundSystem」という展覧会が開催されている。
ここからはマーク・レッキーと表記していこう。
初めて聞くアーティストなので、経歴を調べてみようか。

1964 イギリスのバーケンヘッド生まれ
1990 ニューカッスル工科大学にて学士号取得
1999 「Fiorucci Made Me Hardcore」を発表
2005-2009 ドイツのシュテーデル美術大学で映画学の教授を務める
2008 ターナー賞を受賞

今年60歳のアーティストなんだね。
ターナー賞受賞者で、大学教授まで経験しているアーティストだったとは!
これは帰宅後調べて知った事実で、会場入りした時には知識ゼロだからね。
先入観なく素直に作品と対峙できるってことだ。(笑)

暗い会場に足を踏み入れると、大きめの音量と巨大スクリーンが見える。
エスパスルイ・ヴィトンの係の方がにこやかに駆け寄ってくる。
「ごゆっくりご覧ください。撮影もできます」
最初から言ってもらえると助かるー!(笑)
お礼を言って、早速映像作品に目を向けるSNAKEPIPE。
ダンス・シーンが続いている映像なんだよね。
これが展覧会タイトルの「Fiorucci Made Me Hardcore」で、フィオルッチとはファッション・ブランドのフィオルッチのことだって。
80年代を知っている人にとっては懐かしいブランドだよね。
直訳すると「フィオルッチが俺をハードコアにしてくれた」になるね。(笑)
それにしてもルイ・ヴィトンの会場でフィオルッチとは良い度胸してるわ。
YouTubeに「Fiorucci Made Me Hardcore」の映像があったので、載せてみよう。

改めて最初から最後まで観てみたよ。
70年代から90年代のクラブ(ディスコ)でのダンス・シーンを、マーク・レッキーがアレンジした作品だという。
ファッションと音楽が個人のアイデンティティや文化的背景に与える影響を象徴的に表現し、ノスタルジアや文化の変容を探求する作品として評価されているんだって。
日本とイギリスの違いはあるけれど、サブカルチャーやファッション、そして音楽を栄養源として育った人には、共感できる題材だよね!
最後まで観ると、少し寂しい気持ちになるのは、「踊っていたあの頃」を思い出すからかな?

ね、そう思わない?と話しかけようとすると、友人Hの姿が見えない。
どこに行ったのか周りを見渡すと、スクリーンの真後ろにある赤い作品の前で微動だにせず立ち尽くしている。
この作品は一体何?
「サウンド・システムですね」
友人Hが答えてくれた。
サウンド・システムって聞き覚えがあるなあ。

90年代によく聴いていたのが、サウンド・システム「Stone Love」だったことを思い出した!
ジャマイカで本場のダンスホール・レゲエ体験していたわけではなく、CDを愛聴してたんだよね。
サウンド・システムとは、「野外ダンスパーティを提供する移動式の音響設備、および提供する集団を指す(Wikipediaより)」とのことなので、機材だけでもサウンド・システムなんだね。
友人Hは音質の良さに圧倒され、じっくり観察していたという。

サウンド・システムの後ろの天井部分には、巨大なフェリックス・ザ・キャットが寝転んでいる。
かなりの大きさ!
どうやら身長(?)12m、胴体が5mもあり、送風機で空気を送り膨らませているみたいだね。
マーク・レッキーなりの解釈でフェリックスを題材に選んでいるようだけど、意味を理解しなくても良いような?
観た瞬間に驚かせるのが現代アートだからね!(笑)

最初の映像もトニー・パーマーが1977年にテレビのために撮影した映像などを編集した作品で、フェリックスもオリジナルではない。
マーク・レッキーは「レディ・メイド」を得意にしているのかもしれないね?
帰ろうとした時、エスパスルイ・ヴィトンの係の方がにこやかに近寄ってくる。
そしてマーク・レッキーが来日し、オープニング・セレモニーの時にシャンパン片手にサウンド・システムの音量を上げてご機嫌だった話を教えてくれたよ。
「その音を聴きたかった!」
友人Hが残念そうに言う。
本当に耳の人なんだね。(笑)

1日に2つのギャラリーを鑑賞できて楽しかった。
どちらも初めて知ったアーティストなので、知識が増えて嬉しいよ。
そして同じ感動を味わった友人Hに感謝!
また約束しましょ。(笑)