映画の殿 第75号 俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル

【現役からレジェンドに至る大勢のプロ・ゴルファーと共演しているギルモア】

SNAKEPIPE  WROTE:

「アメリカンジョークは面白くない」と言う人は多いはず。
コテコテのオヤジギャグを好むSNAKEPIPEも大きくうなずくはずなのに、「俺たち〜」シリーズで有名なアメリカのコメディアンであるウィル・フェレルの大ファンになったのが今から10年以上前のこと。
ちょっと下品なアメリカンジョークに、腹を抱えて笑えることがわかったよ。
ウィル・フェレル出演の映画については「映画の殿08」から「ユーロビジョン」まで5つも特集しているので、いかに熱中して鑑賞していたのかが分かるよね。(笑)
そんなウィル・フェレルがコメディアンとしての地位を確立したのが、アメリカのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」だった。
1975年から続く長寿番組だというので、日本だったら「笑点」みたいなものか?
ウィル・フェレルより少し前に「サタデー・ナイト・ライブ」で笑いを取っていたのが、ユダヤ系アメリカ人のアダム・サンドラー
前置きが長くなってしまったけれど、今回はアダム・サンドラー主演映画「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル」について書いていこう。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未鑑賞の方はご注意ください

1996年に公開された「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル(原題:Happy Gilmore)」。
タイトルと画像でゴルフの話だと分かるよね。
以前より何度か書いているように、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは毎週欠かさずアメリカのPGAゴルフを鑑賞しているゴルフ・ファン。
恐らく10年ほどの鑑賞歴になるので、今ではすっかり詳しくなっているはずだよ。
そういえば、ウィル・フェレルもスポ根映画、たくさん扱っていたっけ。(笑)
アダム・サンドラー主演のゴルフ・コメディ映画はどんな感じだろう。
あらすじはこちら。

プロのアイスホッケー選手を目指す青年ハッピー・ギルモアは、シュート力は抜群なのにスケートが大の苦手。
ある日、差し押さえられた祖母の家を取り戻すために大金が必要になったギルモアは、賞金目当てでゴルフトーナメントに出場することに。
持ち前のシュート力でミラクルショットを連発し、順調に勝ち進んでいくが……。
(映画.comより)

トレイラーはこちら。

ティーショットで400ヤード飛ばし、パー4でワンオンするなんて夢のような話。(笑)
本当はアイスホッケーのプロになりたかったはずなのに、借金返済のためにゴルフを選ぶギルモア。
ゴルフの優勝賞金額は高いからね!
ホッケーのシュートを決める時のフォームが、ゴルフのティーショットになっているね。
下からすくい上げるようなスタイルは、現在世界ランクNo,1のスコッティ・シェフラーに似てるかも。
そしてハッピー・ギルモア本人は、画像でも分かるように「やんちゃ」で、深く考えないタイプ。
性根は優しくて、おばあちゃん想いなんだよね。

ギルモアが大好きなおばあちゃん(画像真ん中)。
このおばあちゃんが税金を27万ドルも滞納したことで、ギルモアがゴルフに転向するんだよね。
おじいさんが建てた家まで抵当にはいってしまうとは、おばあちゃん呑気過ぎ!(笑)
おばあちゃんを演じているのは、フランシス・ベイ。
どこかで見たことあると思ったら、デヴィッド・リンチ作品の常連だったよ!
「ブルー・ベルベット」にも出演していたとは。
そして画像左は、のちにギルモアのガール・フレンドになるバージニア。
紳士のスポーツであるゴルフとはかけ離れたギルモアの様子にとまどいながらも、味方になっていくんだよね。

家を差し押さえられてしまったため、おばあちゃんが入居した老人ホームの経営者。
観ている時には気づいていなかったけれど、演じているのはベン・スティラー!
ウィル・フェレル、アダム・サンドラーと同年代の「サタデー・ナイト・ライブ」出身者。
コメディアン2人が出演していたんだね!
ベン・スティラーとウィル・フェレルが出演していた映画「ズーランダー(原題:Zoolander 2001年」も面白かったな。
決め顔の「ブルー・スティール」、また見たくなったよ!(笑)

ギルモアと因縁のある男、ラーソンを演じていたのは、「007 私を愛したスパイ」でジョーズ役だったリチャード・キール
身長218cmで、世界一巨体の俳優として知られているらしい。
この顔と体格なら、どの作品でも観間違うことがないよ。
ギルモアのせいで頭にナイフが突き刺さったままになっている設定なんだよね。
まるでアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の「刺さった男」状態だよ。(笑)

ギルモアの才能を見抜き、レッスンを買って出る元プロゴルファーのチャップス。
ゴルフ場でワニに右手を食いちぎられるという過去を持ち、右手は義手という設定になっている。
PGAゴルフをTV観戦していると、実際にゴルフ場にワニが出現することあるんだよね。
ルイジアナ州やフロリダ州はワニが生息していることで知られているので、チャップスの話はまるっきりデタラメではない。
義手の扱いがぞんざいで、この辺りがキツめのブラック・ジョークなんだよね。(笑)

飛ばし屋で、様々なラッキーにも恵まれ、賞金を稼いでいくギルモアの活躍に大笑いさせてもらった。
「そんなバカな!」
というシチュエーションで、ゴルフボールがカップインしていく様子は、あり得ないからこそ面白かったよ。(笑)
ライバルのゴルファーや、ド素人のキャディも良い味出していたね。
ゴルフ好きにはおすすめの映画だよ!

「俺は飛ばし屋」から29年が経過した今年2025年、Netflixの新作映画として登場したのが、「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル2(原題:Happy Gilmore 2)」。
ここで知らされていなかったら見逃していたところ、ROCKHURRAHが目ざとく発見し鑑賞することになったんだよね。
そのためROCKHURRAH RECORDSでは、「飛ばし屋1」と「飛ばし屋2」を連続して観ることができた。
ハッピー・ギルモアは、一体どうなったんだろうね?

ハッピー・ギルモアのゴルフ人生は、まだ終わっちゃいない!
アダム・サンドラー演じる短気なゴルフ界のレジェンドが、娘の夢をかなえるために復帰を目指してクラブを振り回す。
(Netflixより)

続いてはトレイラーね。

30年近く経ってもギルモアの精神年齢はほとんど変わっていないみたいだよね!
そしていつの間にか4人の息子と娘が1人いることになっているよ。
「飛ばし屋1」で登場したヴァージニアと結婚し、子宝に恵まれたんだね。(笑)
男の子達は完全にギルモアの下ネタ好きDNAを受け継いでいるよ。
幸せなご家庭が垣間見られるのかと思いきや、ヴァージニアは映画開始ほんの数分で退場してしまう。
「飛ばし屋」ではあっさり人がいなくなってしまうんだよね。
きっとこれもアダム・サンドラー式のブラック・ジョークなんだろうな。(笑)

PGAゴルフで一番有名な大会といえば、マスターズ・トーナメント
ここで優勝したプレイヤーは記念として、緑色のブレザー通称「グリーン・ジャケット」が贈られる。
2021年に松山英樹がアジア人として初優勝したことは記憶に新しいよね。
そんなマスターズをパロディにしたシーンが映画に登場し、グリーンならぬ「ゴールド・ジャケット」を着用したプロ・ゴルファー達が大勢出演していることに興奮する。
画像は集合写真で、全員ではないけれどプロ・ゴルファー達が笑顔を浮かべているよ!
大ファンのジョーダン・スピースやマキロイも出演していて、ゴルフ・ファンには嬉しい限り!(笑)

世界No.1のシェフラーまで演技していて、2025年5月に誤認逮捕された時のことを自虐ネタとして披露する。
「また逮捕かよ」には笑わせてもらったよ。(笑)
ゴルファー達は皆、演技が上手ですぐに俳優になれそうなほどだった。
中でも群を抜いて目立っていたのがウィル・ザラトリス!
プロ・ゴルファーの中で特徴があるわけではないのに、「俺は飛ばし屋1」の中で最初のキャディだった少年がプロになっている役どころを演じていたよ。
演技力の高さにびっくり!(笑)
ザラトリスとシェフラーの見方が少し変わってきそうだよ!

ラッパーのエミネムも出演していたよ。
世界で最も売れたラップ・アーティストなんだって?
エミネムが出てきた2000年代は、もうラップ系を聴いていなかったSNAKEPIPE。
名前は知っているけれど、正直言ってあまり馴染みがないんだよね。
「俺は飛ばし屋2」では、ヤジを飛ばす観客として登場していたよ。
エミネムは「スーパーバッド 童貞ウォーズ」を200回以上観たと公言しているコメディ映画好きらしいので、アダム・サンドラーとの共演を楽しんだのかもしれないね?

PGAツアーに反旗を翻すように設立されたLIVゴルフを揶揄するような、ゲームっぽい対戦が面白かった。
ここでもプロ・ゴルファー達が演じていたんだよね。
最終ホールのグリーンでは大いに笑ったよ!
あんな試合が実際にあったら楽しいだろうね。(笑)
ゴルフ・ファンでなくても楽しめるけれど、ゴルフ・ファンなら2倍楽しめる「俺は飛ばし屋」シリーズ、鑑賞できて良かった!

アメリカでは公開当時、ファストフード・チェーンのSUBWAYで、カリフォルニア州の1店舗を映画とコラボして「ハッピー・プレイス」に変更したという。
「俺は飛ばし屋1」で、ギルモアがSUBWAYの広告に出演しているシーンがあったことを思い出す。
更に「ハッピー・ギルモア・ミール」というメニューを販売し、映画の登場人物がプリントされカップを受け取ることができたというから、皆さんノリノリだよね!
SNAKEPIPEも、このカップ欲しかったな。(笑)

ROCKHURRAH紋章学 Herbert W. Kapitzki 編

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【新聞広告用のデザインとカピツキご本人をコラージュ】

SNAKEPIPE WROTE:

2025年7月にギンザ・グラフィック・ギャラリーで鑑賞した「アイデンティティシステム」で、とても気になったグラフィック・デザイナーが2人いた。
「他の作品も観てみたい」とブログ内で書いていたように、そのうちの1人であるヘルベルト・W・カピツキ(Herbert W. Kapitzki)について特集してみたいと思う。
最初にカピツキの経歴を調べてみようか。

1925 ダンツィヒ(現・ポーランドのグダニスク)に生まれる
1941–1943 ダンツィヒでフリッツ・プフーレ教授のもとで学ぶ
1946–1948 ベルンシュタインの絵画芸術ワーキンググループに参加
1949–1952 シュトゥットガルト造形芸術アカデミーでヴィリー・バウマイスター教授に師事
1953〜 フリーランスのデザイナーとして活動
1956–1968 バーデン=ヴュルテンベルク州経済振興庁(LGA)デザインセンター・シュトゥットガルトで勤務
1964–1968 ウルム造形大学で講師を務める
1965年から視覚コミュニケーション学科長に就任
1967 モントリオール国際博覧会・ドイツ館の設計に参加
1968 視覚コミュニケーションおよびデザイン研究所を設立
「ドイツのグラフィックデザイン」コンペで受賞
1969 ドイツグラフィックデザイナー協会(BDG)副会長に就任
1970–1990 ベルリン国立美術アカデミーの視覚コミュニケーション学科教授に任命される
1974年には同校の副学長に就任
1990年に退職するまで数年間学科長を務める
1984 ドイツグラフィックデザイナー協会の設立メンバーとなる
1992–1995 シュヴェービッシュ・グミュント造形大学で客員講義を担当する
1993 ドイツグラフィックデザイナー協会の設立メンバーとなる
1994 第1回ロゴデザイン・ビエンナーレに参加、講演・展覧会を開催する
2005 ベルリンにて逝去

カピツキはデザイナーとして作品を制作しただけではなく、教育にも力を入れていたことが分かる。
ドイツはデザインに対する意識が高いよね!
1953年からずっとデザインに関わり続けたカピツキ。
作品を観ていこう!

年表の1956–1968にあるバーデン=ヴュルテンベルク州経済振興庁(LGA)のポスターがこちら。
1962年「計測と検査 製造技術において」という展覧会が開催されたみたい。
一体どんな展示があったのか気になるよね。(笑)
カピツキのデザインは、1953年に開校したウルム造形大学の思想に影響を受けているらしい。
それは情報の視覚構造化やシステム設計的アプローチから読み取れるという説明を読んだけど、色合いや雰囲気からバウハウスを感じてしまうよね。(笑)
ウルム造形大学らしさについて、調べてみたいよ。
どちらの学校も機能デザインを学ぶことができるみたいだけど、違いがあるらしいからね。

1962年に制作された写真家・アーウィン・フィーガー(Erwin Fieger)の展覧会告知ポスターがこちら。
「カラー写真によるエッセイ」というタイトルを、縦と横の両方向斜めに配置している。
ちょっとブレたフォントがオシャレだよね!(笑)
少ない色でタイポグラフィのみを使用し、最小限の情報を伝えている。
シンプルなポスターで、とても好みだよ!

こちらも1962年にデザインされた本の表紙だよ。
「グラフィックの記録(Dokumentation der Grafik)」というタイトルにふさわしく、強いインパクトがあるよね。
このデザインが、古代エジプトのシンボルである「ホルスの目」に見えてくるのは気のせいかな。(笑)
ブレを使っているのは前述のタイポグラフィを使用したポスターと同じ。
このブレが過去から未来へ続く時間を表現しているのかもしれない。
1962年にフォーカスし「現在(いま)のグラフィック」を記録した本、を意味してるのかな?

1963年に南西ドイツを代表する日刊紙「シュトゥットガルター・ナハリヒテン(Stuttgarter Nachrichten)」の新聞広告をデザインしたカピツキ。
新聞が自社のために「イメージ」を確認または強調することを目的として広告を出しているんだって。
読売新聞とか朝日新聞が自分の新聞のために広告を掲載する、みたいなものだよね。
大きな正方形と右下の小さな正方形がデザインされ、テキストが記載されている。
「関係性(Bindungen)」と題された作品は鎖によって「つながり」が表現され、右下の赤い正方形はロープの結び目のように見えるね。
文章は「出会いは関係を生み、関係は結びつきへと変わる。結びつきは関係を支え、そして対立を保護する。」と書いてあるそうだよ。
なんだか80年代の日本の広告みたい、と感じたSNAKEPIPE。
一見関係なさそうな題材とコピーを使用した雰囲気が似ている気がしたんだよね。

続いては、こちら。
1967年に刊行された複数のデザイナーによる、「シルクスクリーン・カレンダー・ポートフォリオ」だという。
そのうちの1枚がカピツキのデザインなんだね。
大きさ30cm四方で、シルクスクリーンで印刷されている。
円と正方形を組み合わせた迷路っぽいデザインが、オシャレ!
この作品は販売されていて、€80,00、日本円で約13,700円。
お手頃価格なので、SNAKEPIPEでも買えるよ。(笑)

1980年に学生向けの教材として活用された「プログラムによる造形 ― 記号による視覚化の基礎」の表紙だよ。
2つの立方体が組み合わさり、規則的に積み上がっている。
線の強弱とグラデーションを使用したモチーフの繰り返しが、シンプルでカッコ良いね!
この教材でグラフィックデザインの基礎を学び、「意味のある視覚言語」を作成する手順を学ぶことができるんだって。
カピツキの元で勉強した学生たちは、今頃どんな活躍をしているんだろう。
SNAKEPIPEもそのクラスに入ってみたかったな!
まずはドイツ語の習得からだね。(笑)

今回はドイツのグラフィック・デザイナー、ヘルベルト・W・カピツキを特集してみたよ!
ROCKHURRAH RECORDSの琴線に触れる作品がたくさんあって嬉しい。(笑)
「アイデンティティシステム」で気になったもう一人のデザイナー、アントン・スタンコフスキーについても近いうちに調べてみる予定だよ。
どうぞ楽しみに!

永劫回帰に横たわる虚無 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入口を撮影。いつも通り!】

SNAKEPIPE WROTE:

表参道のジャイルギャラリーで開催されている「永劫回帰に横たわる虚無 三島由紀夫生誕100年=昭和100年展」を鑑賞した。
展覧会のタイトルを見ただけで、キュレーションは飯田高誉氏だと分かってしまう。
とても観念的だからね!
1989年に終わった昭和から、すでに36年が経過していたことに驚く。
平成も終わって令和になってるもんね。(笑)
三島由紀夫が昭和元年生まれだったことも知らなかったよ。
生誕100年を記念する展覧会ってどんなだろう?

暑い中、ジャイルギャラリーに向かう。
表参道界隈が、いつもより空いている感じがするよ。
受付の方に撮影許可をもらい、展示作品りすとを受け取ろうとすると「日本語版は増刷中」と言われてしまう。
仕方なく英語版をもらったけれど、作品名が分からないかも。(笑)
入口入ってすぐに展示されていたのは森万里子の「UNITY」。
三島由紀夫の絶筆となった「豊饒の海」第一巻「春の雪」を題材にした作品だという。
鳥の子紙に顔料でプリントしているみたい。
クリスタルガラスがキレイだね。
今まで鑑賞したことがある森万里子の作品の中で、最も和風だったよ。
仏教美術と呼びたくなるね。

杉本博司の「相模湾 江之浦 2025」は、今年のお正月に撮影されたという。
2024年11月に訪れた「江之浦測候所」で見た、あの海だよね!
SNAKEPIPEが「海景」を真似た写真を撮り、ブログに載せたっけ。
そんな素人とは別格の、素晴らしい「海景」にうっとり。
まるでマーク・ロスコの絵画をモノクロームで鑑賞しているみたい。
ツヤなしの印画紙が重厚な印象を強くしているように感じたよ!

今回の展覧会で最もインパクトが強かったのが中西夏之のインスタレーション「着陸と着水」だった。
布の上にセラミック粉末が等間隔で盛られ、間にはパチンコ玉のような小さな球が転がっている。
中央付近に吊り下げられた朱色/シルバーの三角形が2つ、ゆっくりと捻転している。
2つの三角形が回る速度に違いがあり、左右の色の組み合わせが発生する。
まるで中国や台湾などで占いに使用されるポエのように見えるよ。
盛られている粉は御霊を表していて、占いによって転生が決定される装置かもしれない、と想像するSNAKEPIPE。
壁に配置された黒い2つの作品は同一なのかな。
このインスタレーションにおいては、阿吽像的な役割を果たしているのかも。
様々な解釈ができる作品だね!

友沢こたおは初めて知る名前だよ。
調べてみると、母親は漫画家の友沢ミミヨ、父親はフランス人アーティストだという。
5歳までフランスで育ち、それ以降は日本で生活している1999年生まれの美女だった!
「お」がついているので男性だと勘違いしてしまったよ。(笑)
恐らく画像右は友沢こたお本人の顔じゃないかな。
三島由紀夫の「仮面の告白」に戦慄した文章と共に作品を鑑賞すると、エロチシズムと死の関連を感じるよ。
大島渚の映画「愛のコリーダ」で、快感を高めるために相手の首を締めたような行為に近い雰囲気だね。
なんとなく伝わるかな?(笑)

インド出身のアニッシュ・カプーアの作品も展示されていた。
2023年12月にジャイルギャラリーで開催された「奪われた自由への眼差し」が記憶に新しいよ。
あの時は「血みどろ」の殺人現場みたいな展覧会だったっけ。
カプーアの絵画作品を鑑賞し、エネルギーを注入された気分を味わったよ。(笑)
今回の展示作品も、前回と同じように「ほとばしり系」(SNAKEPIPE命名)だった。
作品名はすべて「Untitled」。
モノクロームの作品は、まるで墨で描かれているみたいだね。
下から上に「ほとばしって」いて、爆発しているように見えてくる。

続いて、カプーアの赤い作品ね。
まるで火山が爆発したみたいじゃない?
2023年の展覧会では展示されていなかったようなので、初めて観る作品なんだね。
「メラメラ」や「ドクドク」といったオノマトペを思い浮かべる。
岡本太郎の作品に近い印象を受ける。
枠からはみ出さんばかりの力強さに元気をもらったよ!
サイトによれば、カプーアは三島由紀夫の大ファンなんだとか。
そして解説している飯田高誉氏によれば、三島由紀夫とカプーアには「共通する世界観」があるという。
とても高度な考察が載っているけれど、SNAKEPIPEの理解が追いつかないよ。(笑)

三島由紀夫生誕100年展を鑑賞できて良かった!
ブログ内では紹介しなかったけれど、三島由紀夫の音声をコラージュした池田謙や、「豊饒の海」のワンシーンを視覚化して写真作品にしたジェフ・ウォールなど、興味深い作品があったよ。
SNAKEPIPEは、三島由紀夫の作品は数冊のみ読んでいる。
横尾先生関連で知ったことが多いかもしれない。(笑)
今回テーマになっていた「豊饒の海」は未読なので、いつか読んでみたいなと思う。
電子書籍になっていないのが残念だね。

ホセ・パルラ「Home Away from Home」 鑑賞

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【ポーラ ミュージアム アネックス入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで「アイデンティティシステム」を鑑賞した記事を書いたよね。
その後、もう一つ展覧会を鑑賞したので、感想をまとめておこう。

銀座ってギャラリーがたくさんあるから、よりどりみどり見学できてありがたいよね!(笑)
その中から、今回はポーラ ミュージアム アネックスをチョイス。
ホセ・パウラ 「Home Away from Home」が開催されている。
SNAKEPIPEは初めて知るアーティストだよ。
経歴を調べてみようか。

1973 アメリカのマイアミ生まれ
1990〜 サバンナ芸術工科大学で学ぶ
—- マイアミ・デイド・コミュニティ・カレッジで学ぶ
—- ニュー・ワールド・スクール・オブ・ジ・アーツで学ぶ
2009 カナダ、トロントの住宅開発地に初めて大規模な壁画を制作する
2012 ニューヨークのバークレイズ・センターで公共壁画「Diary of Brooklyn(ブルックリンの日記)」を発表
2014–2015 ニューヨークのワン・ワールド・トレード・センターに「ONE: Union of the Senses(感覚の結合)」を発表

何年に学校を卒業した、のような詳細な経歴は確認できなかったよ。
1973年生まれなので、今年52歳なんだね。
ブルックリンを拠点に活動しているんだって。
2009年頃から大型の壁画を制作していて、特に世界貿易センターの「ONE」は、毎日ビルに入る2万人が目にする作品だという。
「ONE」は横幅27mで、ニューヨークで一番巨大な壁画として認知されているんだとか。
パルラは脚立から飛び降りながらキャンバスに筆を振り下ろし、勢いのせいで何度も投げ出されながら制作したんだって。
白髪一雄顔負けのアクション・ペインティングだね!
脚立を使いながら「ONE」を制作している画像がこちら。
ここから落ちたら怪我しそうだよね。(笑)

ホセ・パウラは、世界的に有名なアーティストだったんだね!
SNAKEPIPEの勉強不足でスミマセン。
それでは早速、ポーラ ミュージアム アネックスに向かってみよう。
銀座1丁目にあるポーラ銀座ビルは、外壁の塗装か何かやっていて、工事中なんだよね。
美術館は開館しているけど、誤って通り過ぎそうになるから注意だよ。
営業していないと勘違いしている人が多いのか、会場にはほんの数人しか入っていなくてガランとしていた。
ゆっくり鑑賞できるのは良いね!
受付の方に撮影許可をいただき、鑑賞を進める。
一番最初に展示されていたのは、「NIPPON」と題された2013年の作品だった。
タイトル通り日本の国旗に見えるね!
丸いキャンバスは、この1点だけだったよ。

全部で約20点ほどの作品が展示されている。
全体的にサイズは大きめなんだよね。
載せたのは2024年の「Shifting Poetics(詩情の揺らぎ)」で、六本木のピラミデビルにあるKOTARO NUKAGAが所蔵しているみたい。
KOTARO NUKAGAでもホセ・パウラ展を同時開催しているんだって。
ギャラリーの説明によると、1999年以降パウラは何度も訪日し、アーティストやファッションデザイナーとコラボしているんだとか。
そう聞くと最初の「NIPPON」を制作したのも納得だね!

左から「The Vast Space of Creation(創造がひらく無限の空間)2022年」、「Words Break Across the Sunset(沈む陽を裂いてゆく言葉たち)2013年」で、右が「City Prose(都市が綴る散文詩)2013年」。
詩的なタイトルがつけられているんだね。
パウラはアーティストとしての地位を確立する前、ヒップホップのアルバム・ジャケットやTシャツのデザインなどで生計を立てていたんだとか。
パウラ独特のカリグラフィは、ストリート・アートの影響を受けているようだね。
街で見かける、何語なのか分からないサインに似てるかも。

こちらが2025年の新作ね。
「Morning Blossoms Over Tokyo (Multiversal)(東京に咲く朝の花々 ― 多元宇宙のかなたにて)」は、182.9 x 487.6 cmという大型作品で、迫力あったよ!
4枚のキャンバスをつなげて、1枚として見せる方法がとられているんだよね。
2023年8月に鑑賞した「蔡國強展」にも、4枚で1組になった作品があったことを思い出したよ。
蔡國強は生活したことがある福島県いわき市を「第二のふるさと」と呼んでいるという。
パウラも同様で、何度も訪れている日本を「もう一つのホーム」と捉えているというから、似た印象が強まるね!

日本とのつながりが分かる展示がこちら。
備前焼の作品が展示されている。
写真家であり、備前焼の伝統窯元「一陽窯」の三代目の顔も持つ木村肇とコラボしているんだね。
写真と陶芸を並行して創作活動するアーティストって珍しいんじゃないかな。
まるで発掘調査で出土したような四角い焼き物が2つ。
パルラのカリグラフィが、エジプトのロゼッタ・ストーンみたいだもんね!
「Sake Bottle」と記載されている、小さめの徳利も渋くて良いね。

ホセ・パウラの展覧会を鑑賞できて良かった。
2021年5月の「収集狂時代 第19巻 高額アート編#04」で紹介したサイ・トゥオンブリーの影響を見る人もいるらしい。
1950年年代、暗号制作者としてアメリカ陸軍に従軍した経歴を持つトゥオンブリーは、書き殴ったような文字やドローイング的な動きを取り入れた作品が有名だという。
色や文字(記号)を何度も塗り重ねて、時間や記憶を感じさせるところに共通点があるのかもね。

有楽町方面に歩き、以前より気になっていたディスカウントストア「オーケー銀座店」に立ち寄ってみた。
2023年10月にオープンしているらしいので、すでに2年半経ってるけど。(笑)
品揃えや価格など、「銀座ならでは」の特徴があるのか知りたかったからね!
階段を降りて地下に向かい、売り場を確認していく。
特に「銀座価格」にもなっていないし、品揃えも近所のオーケーと変わらないよ!
銀座でやっていかれるか心配になってしまうね。
1999年にマツモトキヨシが出店した頃から銀座のイメージが変わってきているけど、銀座3丁目にスーパーマーケットができるとは思いもよらなかった。(笑)
2025年7月に発表された土地の路線価は、相変わらず銀座5丁目の鳩居堂前が日本一だという。
高級路線と庶民的なものが入り混じっていて、不思議だね。
時代の移り変わりを感じるなあ!(遠い目)