
【Judy Kensley McKieのフィッシュ・ベンチは6千万円だって。ステキ!】
SNAKEPIPE WROTE:
2021年5月以来、更新していなかった「収集狂時代 高額アート編」。
毎年のように情報の確認はしていたけれど、ランキングにさほど変動がなかったんだよね。
いつでもベーコンさんだったりリヒターやマーク・ロスコといったお馴染みの顔ぶれが高額取引されていて、少々食傷気味。
何十億円もの作品について、SNAKEPIPEがそんな発言をするのは「けしからん」話だけどね!(笑)
ただ世間的にもSNAKEPIPEも似たような感想を持つ人がいるようで、不動の人気を誇ったウォーホルやジャコメッティの作品が落札されない事態が発生しているんだとか。
価格帯は抑えめで女性アーティストの作品が人気になっているという。
今年のトレンドはどんな感じなのか、早速見ていこう!
下半身を剥き出しにして「どうだ!」と言わんばかりに正面を見据えた挑発的な女性が描かれている。
凝視するのが憚られるような作品だよね。(笑)
作者はMarlene Dumas(マルレーネ・デュマス)。
1999年に制作された「Miss January(ミス・ジャニュアリー)」が、$13,650,000(日本円で約20億円)で落札されたという。
マルレーネ・デュマスは初めて聞いたアーティストかも。
少し調べてみようか。
1953年南アフリカ共和国のケープタウン生まれの、現在72歳。
1975年にケープタウン大学美術学士号(ファインアート)を取得する。
1976年にオランダに移住し、ハールレムのアトリエ63で美術を学び、1979年から1980年にはアムステルダム大学で美術と心理学を学んだという。
自ら撮影したポラロイド写真やメディアに流通している映像や画像などを基に描くこともあるという。
2000年代には、写真家のアントン・コービジン(今の読み方はアントン・コービンみたい)と協働し、アムステルダム歓楽街のナイトクラブを取材した「Stripping Girls」を発表というところが気になったよ。
アントン・コービジンは、ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカル、イアン・カーティスの伝記映画の監督だったよね。
その映画についての感想は2009年12月の「BREAK ON THROUGH TO THE OTHER SIDE」をご参照ください!
マルレーネ・デュマスは、このオークションで生存する女性アーティスト作品の史上最高額を更新したんだって。
他の作品も観てみたいよ。
$6,220,000(日本円で約9億1,500万円)で落札されたのは、Remedios Varo(レメディオス・バロ)の「Revelación (El relojero)(啓示(時計職人)」。
天幕のような天井に突き刺さるほど大きな時計が8つ。
それぞれの時計には窓があり、一人ずつ人間が配置されているのは何を意味しているのか。
中央に腰掛ける人物が恐らくタイトルの時計職人だろうね。
窓から、なにやら透明の円いモノが漂って来ている様子。
これが啓示なのかもしれない。
このシュールな絵は、1955年の作品だという。
レメディオス・バロは1908年スペイン生まれで1963年に亡くなったシュルレアリスト。
22歳で結婚したにも関わらず、旦那を置いてメキシコへ逃避行をしてしまったというから驚きだよ。(笑)
最終的には、また別の男性と結婚することになったというから、恋多き女性だったのね。
まるでドラマみたいな話も、レメディオス・バロの肖像写真を確認して納得してしまった。
ちょっとキツめの美女だもんね!(笑)
1930年にパリに移りアンドレ・ブルトンから影響を受けた、とWikipediaに載っているよ。
本場でシュルレアリスムを宣言した本人に出会ってるとはね!
レメディオス・バロの他の作品も気になるよ。
2012年6月に「SNAKEPIPE MUSEUM #16 Dorothea Tanning」で紹介したDorothea Tanning(ドロテア・タニング)の名前がランキングに登場していて嬉しくなる。
1944年の作品「Endgame(エンドゲーム)」が、$2,340,000、日本円で約3億4,500万円で落札されたという。
以前のブログにも書いているように、ドロテア・タニングはマックス・エルンストの奥様なんだよね。
「エンドゲーム」は、エルンストと出会った直後に制作されている。
2人が興じたチェスが題材になっていて、エルンストとタニングが向かい合っている様子まで想像してしまうよ。(笑)
チェスといえばマルセル・デュシャンを思い出すね。
きっと1920年代や30年代のパリでは、カフェでシュルレアリスト達がチェスをしていたんだろうなあ。
「エンドゲーム」では、白いシルクのスリッパがクイーンの駒として描かれていて、ビショップを踏みつけているんだって。
将棋もチェスも経験がないSNAKEPIPEなので、駒の意味を理解できていないよ。
解説だけを読んで感想を言うなら「クイーン(女性)がキリスト教の聖職者(男)を踏んでいる」と聞くと、「かかあ天下」をイメージしてしまうね。(笑)
踏みつけ方が強烈で、チェス盤が歪むほどの圧力だよ。
下方に破れたように見える風景は、2人が滞在していたアリゾナ州セドナかも?という記述があったよ。
出会ってすぐに親密になったというエルンストとタニング。
2人のカッコ良い肖像写真を載せてみたよ!
先のレメディオス・バロ同様、タニングも女優みたいだよね。
シュルレアリスト同士、惹かれ合って刺激的な毎日を過ごしたんだろうなあ。
13年前の記事にも書いたけれど、ドロテア・タニングの展覧会どこかで開催して欲しいよ。
全貌を観てみたいね!
続いては彫刻作品の紹介だよ!
高さ約3メートルのブロンズ彫刻はSimone Leigh(シモーヌ・リー)によるもの。
2020年に制作された「Sentinel IV(守護者4)」は、$5,730,000(約8億4,400万円)で落札されたんだとか。
シモーヌ・リーは、アフリカ美術や土着の物から着想を得ることが多いアーティストだという。
「守護者」は女性の体を基部にして、ズールー族の儀式用スプーンにインスパイアされた形状を頭部に配置しているんだって。
上のほうが重そうに見えるけど、バランス取れているんだね。
3メートルもの大きさがある作品を購入できる人は、高い天井の豪邸か広い庭の邸宅にお住まいなんだろうね!
3部作である「守護者」のうち1体は、テキサス大学オースティン校のアンナ・ヒス体育館前に設置されているというから、個人蔵ではなくてパブリック・アートとして購入されていることもあるんだね。
シモーヌ・リーは1967年、ナザレン教会の宣教師としてアメリカに渡ったジャマイカ移民の両親のもとに生まれたという。
1990年にインディアナ州リッチモンドのアーラム大学で美術学士号を取得。
ニューヨークのグッゲンハイム美術館、ロンドンのテート・モダンなどの名だたるギャラリーや美術館で個展を開催し、2022年のヴェネツィア・ビエンナーレではアメリカ館代表に選ばれ金獅子賞を受賞しているという。
どこかで鑑賞するチャンスがあるかもしれないね?
今回の高額アートは女性アーティストに絞って紹介してみたよ。
日本には世界的に有名な御年96歳の草間彌生という偉大な女性アーティストがいるためなのか、女性がトレンドと言われても何を今更と感じてしまったSNAKEPIPE。
2021年7月に森美術館で開催された「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力」にて、世界の女性アーティスト16人の作品を鑑賞し、感銘を受けたことがあったっけ。
皆様80歳以上になっても強い情熱を持って作品を制作されているんだよね。
オークションでのトレンドは、目新しくて好奇心をそそられる作品、ということなのかもしれない。
女性アーティストとシュルレアリスムの作品が高額取引の常連になったら、また別のトレンドが生まれるのかもね。(笑)









