シュルレアリスム展~ポンピドゥセンター所蔵作品

【マン・レイ展の時も似た写真だったね。マン・ネリ!】

SNAKEPIPE WROTE:

まず初めに。
本日3月6日は我らが鳥飼否宇先生の誕生日!
鳥飼先生、おめでとうございます!!!
SNAKEPIPEも2日前に誕生日を迎えました。(笑)

2010年8月に「マン・レイ展~知られざる創作の秘密」を鑑賞しブログに書いたSNAKEPIPEだけれど、実はその時に2011年2月より同じ国立新美術館で「シュルレアリスム展」を開催することを知ったのである。
シュルレアリスム!(笑)
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも大好きなジャンルである。
2008年に「不条理でシュールな夏」というタイトルでシュールについて書いたっけ。
人の想像力の頂点に立つ運動、とも言えるであろうシュルレアリスム。
今回国立新美術館で展示されるのはパリのポンピドゥセンター所蔵作品とのこと。
パリだもんねー!シュールの本場だもんねー!(笑)

今回展示される作家もルネ・マグリット、サルバドール・ダリ、ジョルジョ・デ・キリコを含む総勢47名!
それぞれ単独で展覧会やって欲しいような著名な方々ばかり。
作品数約170点に加え当時の雑誌やポスターなど120点も展示、というかなり大がかかりな展覧会のよう。
これは期待できそうだよね!

SNAKEPIPEお気に入りのジョルジョ・デ・キリコから始まった展覧会は、1924年にシュルレアリスム宣言をしたアンドレ・ブルトンの著作の中の言葉からほとんどのテーマが選ばれ、年代順に展示されていた。
アンドレ・ブルトンはシュルレアリスムの父であり立役者というべき人物だけど、ご本人が残してるのは著作だからねえ。
言葉と、本人の写真だけが展示されてたね。

170点もの展示作品の中から特に気に入った作品についてまとめてみようかな。

「三本の糸杉」は遠くからでもその発色の良さに目を奪われる作品だった。
糸杉って植物だよね?
描かれているのは、どちらかというと鍾乳洞の中にあるオブジェ化した石灰岩のようにみえるね。
不思議な物体だけど、なんだかとても素敵。
家に飾りたくなる逸品だね!
エルンストは今回展示数が多くて、版画作品や写真作品などもあった。
本当はそれぞれ感想を書きたいくらいなんだけど、エルンスト特集じゃないからね。(笑)
エルンスト展があったら観に行きたいな。

ヴィクトル・ブローネル「光る地虫」はいかにもシュルレアリスムらしい作品で、謎の生物がいるんだよね。(笑)
ブローネルについての情報が少なくて、ルーマニアの画家ということくらいしか分からないんだけど、とても面白い作品がたくさんあった。
まるで漫画のキャラクター設定をしているかのような作品やイタズラ書きみたいなデッサン風のものまで展示されていて楽しめた。
今まで知らなかった名前なので要チェックですな!(笑)

アンドレ・マッソン「迷宮」。
ギリシャ神話の中に出てくるミノタウロスをモチーフして、その内部(内臓)を迷宮として捉えている作品らしい。
どうやら解説を読むとニーチェが、バタイユが、と神話と哲学などが混ざった観点から描かれた作品のようなので詳細はその道の専門家の方にお願いして。(笑)
そういった思想的な部分を抜きにしても「どうだ!」といわんばかりの迫力のある作品だった。
好みは分かれるかもしれないけどね。
マッソンのことはよく知りマッソン!(プッ)
調べてみたらマッソンってジョルジュ・バタイユの「眼球譚」に挿絵描いてたんだって?
あらま、じゃ観て知ってるはずだよね?
そういえば昨日SNAKEPIPEが見たのが、手の上に自分の眼球乗せてる夢だったなあ。
思いっきりシュールだわ!
眼球は思ったよりも大きくて、プニョプニョしてたよ。
なんて恐ろしい夢なんでしょ。
それにしても眼球ないのに見てたってところが破綻してるよね。(笑)

マッソン作品は非常に多く展示されていて
「またマッソン!」
「またまたマッソン!」
などと言いながら鑑賞。(笑)
「夏の愉しみ」という作品はまるで鳥飼否宇先生の「昆虫探偵」の挿絵に丁度良さそうでニヤリとしてしまった。

フランシス・ピカビア「ブルドックと女たち」はシュールという括りに入るのかちょっと疑問だけど、とても好きな作品である。
さすがに横尾忠則先生が傾倒し、師と仰いでいたのが良く解るね。
女性は雑誌に掲載された写真から描いてるらしいし、ブルドックもやはりまた違う写真から採用されたとのこと。
作風はもちろんのこと「あれ」と「これ」を混ぜて一つの作品にしちゃうところも横尾先生に影響を与えてるのかもね?
今回ピカビアの作品は3点展示されていて、どの作品も恐らく「具象の時代」と呼ばれる時代の作品だったみたい。
年代によって作風がガラリと変わる画家だったらしいので、また違う時代の作品も観てみたいな!

最後に立体作品、アルベルト・ジャコメッティ「喉を切られた女」のご紹介。
ジャコメッティといえば針金みたいに細い人物の彫刻作品が有名なスイスの彫刻家。
そのイメージがあったので、今回のシュルレアリスム展の中に入っているのが意外だったSNAKEPIPE。
ところがどうやら時代的にもばっちり1920年代にパリにいたらしいし、ブルトンをはじめシュルレアリスト達との交流もあったとか。
今回展示されていた左の作品は、まずタイトルからしてシュール。
どれどれ、解説を読んでみようか。
どうやらフランス語でカマキリと恋人(女)が「ラマント」と同じ音になることからカマキリを女に見立てて制作された彫刻らしい。
うーん、フランス語知らないから教えてもらわないと言葉遊びを知らないままになっちゃうね。
でも今回の彫刻は意味が解らなくても充分面白かった。(笑)

非常に期待して出かけたシュルレアリスム展だったけれど、簡単に言ってしまうと可もなく不可もなくという感じかな。
粒揃いだけれど、突出してもいない平均的な展示だったように思う。
SNAKEPIPEが観たかったハンス・ベルメールは写真作品1点のみだったり、マルセル・デュシャンの作品もちゃんとした形のものは1点だけ。
「大ガラス」などはデッサンだけ、だったしね。(笑)

当時の雑誌やポスターなども含めて展示されていたり、今までSNAKEPIPEが全く名前を知らなかった作家の作品を鑑賞することができたのはとても良かった。
シュルレアリスムをいろんな角度から眺めて、運動そのものに焦点を当てた企画自体も興味深かったけどね。

とどのつまりは自分が好きな作家の展覧会が観たいんだろうね。(笑)
シュルレアリスムはまだこれからも勉強していきたいジャンルだね!

Transformation鑑賞

【東京都現代美術館サブエントランス付近を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

木場にある東京都現代美術館のページを観ていたら、ちょっと面白そうな企画が開催されている模様。
「トランスフォーメーション」と題された企画展で、「変身-変容」がテーマらしい。
ポスターにマシュー・バーニーの写真を持ってきているのも気になるところだ。

「変身-変容」と聞いてまず初めに思うのは「変身願望」、ファッションだったり化粧だったり。
今風の言葉で言うならばコスプレ、とか?
「○○みたいになりたい」と思うのって老若男女問わず持ってる願望だよね?
もしくはカフカの「変身」みたいな不条理世界を思い浮かべる人もいるかな。
恐らく様々な角度から「変身-変容」を捉えアートの領域に持っていった企画なんだろう、と勝手に解釈していたSNAKEPIPE。
「この展覧会は、『変身-変容』をテーマに人間とそうでないものとの境界を探るものです。」
なんて書いてあるし!
どんなアートに出会えるんだろうと楽しみに、終了1週間前に慌てて行ってきたのである。

良く晴れた、ここ最近にしては暖かい日。
木場駅から歩いて15分くらいかかるので、天候が悪い日にはなるべく行くのを避けたい美術館なんだよね。(笑)
天気が良い日には公園の中を散歩しながらブラブラ歩くと気持ちのいいコースになる。
今回は「大陶器市」が公園内で開かれていて、横目で見ながら歩いてみた。
近くにこんな公園があったらウォーキングやジョギングにいいだろうね!

そしていざ美術館へ。
会期終了間際の割には人が入っていたかな。
ここの美術館は企画によって1Fから3Fまでを使用して展示することがあるんだけど、今回も1Fと3Fで展示。
順路は3Fから、とのこと。
わくわくしながら行ってみる。

一番初めに目にしたのは、パトリシア・ピッチニーニという作家の作品。
この作家は以前「医学と芸術展」でゲームボーイで遊んでいる現物そっくりの子供(老人?)2人、という作品を観たことがあったな。
ブログに作品の感想も書いてあるし。(笑)
今回の作品は動物(カモノハシだったらしい)と人間を合成させた新生児をシリコンみたいな素材で作った作品。
とても解り易い「変容」で安心。(笑)
ところがホッとしたのもつかの間、同じ作家による次の作品はなんと映像作品。
説明を読むと、どうやら「海で溺れた少女にいつの間にかエラが発生する」作品らしい。
映像作品って鑑賞するのが難しいよね。
椅子がない場合が多いし、何分かかるのか分からないし。(笑)
大抵の場合、映像作品はチラッと観て立ち去ることが多いSNAKEPIPE。
ピッチニーニには悪いけど、次に行かせてもらうね!(笑)

と次々に作品を観て歩いていると、今回の展示は映像がほとんどだったんだよね。
チラ観ばっかりになってしまった。
今回の展示の最大の目玉はマシュー・バーニーの「クレマスター3」の映像を流すことだったんだろうけど、その方法がひどい!
関連する彫刻作品と写真も同時に展示していて、なんと映像は小さい薄型テレビ2台を天井付近から吊るして流しているのである。
椅子もない部屋で、地べたに座って上を見上げて鑑賞するお客さん達。
3時間あるっていう映像をあの姿勢で観なければいけないとは!
しかも画面小さ過ぎ!
首が痛くなっちゃうよー!
実はSNAKEPIPE、2002年(?)に東京都写真美術館で上映した「クレマスター3」観てるんだよね。
当たり前だけど、椅子に座って、大画面で。(笑)
今回も、もっとちゃんと観たかったよね!

今回の展示で興味深かったのはヤン・ファーブルの胸像シリーズ。
鹿とかヤギ、もしくは架空の動物の角を付けた作家本人がモデルになった胸像を18種類展示していた。
単純明快な「変身-変容」だったし、観ていて楽しかった。
SNAKEPIPEだったらどの角にしようかな、と考えるのも面白かったし。(笑)
「ファーブル昆虫記」を書いたジャン=アンリ・ファーブルが曽祖父なんだって?
それで昆虫をモチーフにした作品も制作してるみたいね。

もう一人あげるならばシャジア・シカンダーというパキスタンの作家も興味深かった。
アラビア文字を使ったり、インクをにじませて描いたようなドローイングは色使いがキレイだった。
わざとなのか、拙い技法を使ったビデオ作品も紙芝居的な面白さがあった。
どこかインド的な、中国的な不思議な感覚は新しく思えるね。

今回の「トランスフォーメーション」は企画する側と鑑賞する側に温度差があったような気がする。
期待して出かけただけに残念。
でも上にある宣伝観たら、面白そうだって思わない?(笑)

映像作品を作る作家には是非、5分以内で終わる作品に仕上げて欲しいと思ってしまった。
そうでなければせめて何分の作品なのか知らせてもらいたい。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHがせっかちなのかもしれないけどね。(笑)

小谷元彦展~Phantom Limb 幽体の知覚

【小谷元彦 SP2:ニューボーン(ヴァイパーA)】

SNAKEPIPE WROTE:

2009年4月に書いたブログ「小谷元彦 SP4と万華鏡の視覚展」でも紹介したことがある現代アーティストの小谷元彦の個展が森美術館で開催されている。
2009年に山本現代という画廊に観に行った顛末は上述したブログに書いてあるね。

「ほんの数点しか展示品がないし、なにせ今回が初めてなので感想を言うことが難しいなあ。
『山本現代』のホームページの中で『キーワードはゾンビ』なんて書いてあったけれど、最近ゾンビ映画を観ているSNAKEPIPEにはピンと来なかった。
今までの作品全ての展示があったら是非観てみたいし、それから感想をまとめたいなと思った。」

と約1年半前に書いていた望みが叶うことになったわけだ。
同行者はいつも通り友人M。
「年内が無理だったら来年ね」
と言っていたけれど、どうにか予定を合わせ、今年のアート鑑賞締め括りとしてめでたく小谷元彦展へ行くことができたのである。

ここで少し小谷元彦について書いておこうか。
1972年京都府生まれ。
東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。東京芸術大学院美術研究科修了。
今は芸大の准教授もやってるみたいね。
2003年のヴェネツィア・ビエンナーレ日本館の代表に選出される、という世界的に注目を集めているアーティストである。

もうあと数日寝るとお正月、という年の瀬も押し迫った非常に寒い日。
森美術館のチケット売り場には長い行列ができていた。
「小谷元彦って人気あるんだね」
「年末だから人が大勢いても仕方ないね」
などと言い合っていたSNAKEPIPEとM。
ところが行列してた皆さんは小谷元彦展が目的じゃなかったみたいね。
どうやら森アーツセンターギャラリーで開催している「スカイプラネタリウム」か展望台がお目当てだった模様。
ちょっと安心する。(笑)

いざ「幽体の知覚」展へ。
会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは白い壁に白い床。
白い壁に書かれている黒い文字を読むと少し頭がクラクラする感じ。
小谷元彦が白を「攻撃的な色」と指定しているのが解る気がする。
SNAKEPIPEも白い空間にいると落ち着かないんだよね。(笑)

初めに展示されていたのがタイトルの「ファントム・リム」。
少女を写した5枚のカラープリントが並んでいる作品で、よく観て説明を読んで意図が理解できたSNAKEPIPE。
こういうパッと観ただけで、感覚的に「すごい!」と思わない作品は難しいね。
現代アート全体に感じることだけど。

拘束具を付けられた小鹿の剥製とか、ツインになっている狼などはまずは観てびっくりする。
小鹿が愛らしいだけに、より一層ピカピカの拘束具が不気味で残酷に感じられる。
SMの世界につながる感覚なのかな。
ツインの狼はドレスになっていて、下から網タイツにパンプス履いた人間の足が出てたんだけど、これが…。
足のサイズに合ってないし、あまりに凡庸なパンプスだったんだよね。(笑)
せっかくの作品なんだからさー、とブツブツ言い合うSNAKEPIPEとM。
もうちょっとどうにかできなかったのかなあ?
もう一つ残念な展示方法だったのが、2009年4月にも観たSP4の騎馬像。
山本現代で観た時も同じだったのか記憶が定かじゃないんだけど、今回の森美術館ではなんだかベニヤ板に見えるような木の箱に乗せて展示。
その木が非常に安っぽく見えたし、作品の色味とも全然合ってなくて残念。
もうちょっとどうにかできなかったのかなあ?(2回書いてしまった)

小谷元彦は拘束や矯正などに使われる器具に興味があるようで。
手(指)を反らせるための矯正具から発想したというバイオリンのような作品や、木で作られたスカート状のウエスト絞り拷問具みたいな作品などが展示されていた。
人体を変形させたり苦痛を与えたりするような恐怖作品。
以前書いたブログ「医学と芸術展 MEDICINE AND ART」にも似たようなモチーフがあったね。
そう、あの時に書いたのが以下の文章。

「手術用の器具の展示もあった。
丁寧に装飾までされている美しい切断用ノコギリってどうよ!
まるでオブジェなのに、目的は切断よ、切断!(笑)
このミスマッチが余計に怖い!
この展示はデヴィッド・クローネンバーグ監督の『戦慄の絆』みたいだった。」

インタビューを読むと、小谷元彦が好きな監督はやっぱり二人のデヴィッド、クローネンバーグとリンチだったんだね。
うん、大いに納得。
クローネンバーグの映画に出てきた美しい手術器具を具現化した感じ。
リンチの、あっちなのかこっちなのか判らない境界線上の世界、浮遊感、そして恐怖。
全部感じられるもんね!(笑)
上の写真「ニューボーン」シリーズでは、架空の生物の化石を想像して制作してるみたいなんだけど、その中に「イレイザーヘッド」みたいなのもあったし。
小谷元彦が好きな物、影響を受けた物ってすごく良く解るわあ!(笑)

今回の展示作品の中でSNAKEPIPEが一番気に入ったのが「ホロー」シリーズ。
目に見えない力、存在や現象の可視化がコンセプトとのこと。
まるで蝋が溶けて形になっているような、流れるような曲線の集まりが固まってできている作品群。
白い部屋に展示されてる白い彫刻というのが、テーマにぴったりマッチしてることになるんだね。
じっくり観察しないと形が判らないからね。
「かんぴょう?」
と聞いてきたMに大笑いしたSNAKEPIPEだったけど。(笑)

以前にも何かで書いたけれど、最近の現代アートで興味を持つのは3次元の作品のことが多いSNAKEPIPE。
今回鑑賞した小谷元彦の作品の中にもいくつか「家に飾りたい」作品があった。
同じリンチアンとして、今後の活躍に期待だね!(笑)

超驚愕現代アートコレクション

【山下信一のフィギュア達】

SNAKEPIPE WROTE:

「面白そうな企画があるんだけど、一緒に行かない?」
と友人Mから電話があった。
友人Mとはこのブログに何度か登場している、映画やアート鑑賞に同行する情報通の友人である。
このMから「一緒に行こう」と誘われる催し物は、大抵SNAKEPIPEの琴線に触れることが多くハズレがない。
好みのタイプが似ているせいだろう。

今回誘われたのは六本木ヒルズ内にある森アーツセンターで開催されている「北原照久の超驚愕現代アートコレクション」。
「北原照久って知ってるでしょ?」
と聞かれたけれど、恥ずかしながらSNAKEPIPE、その方のことなんにも知りましぇん!
ROCKHURRAHに聞いてみると
・ブリキのおもちゃのコレクター
・「開運!なんでも鑑定団」に出演している鑑定士
・海まで自分の家、というような豪邸に住んでいる
とスラスラ答えるではありませんか!
えー、そんなに有名人なのー?
「知らないほうがおかしい」
とMにまで言われてしまった。
勉強し続け、テレビも見ないし雑誌も読まないために
「ピンクレディって誰ですか?」
とインタビュアーに問う東大生の話を聞いた時には
「えっ、世の中にはそんな人がいるんだ!」
とびっくりしたことがあったけど、今回のSNAKEPIPEはまさにその状態。
マズイねえ、これ!
いや、何がマズイってピンクレディの話で年代が判るってことが。(笑)

今回の企画は、その北原照久が館長を務める箱根の「北原ミュージアム」には展示されていない「もうひとつのコレクション」が展示されているとのこと。
ROCKHURRAHも口にしていたように、この方はブリキのおもちゃの世界的なコレクターだとか。
それ以外のコレクションとは何ぞや?
うーん、とっても楽しみ!
この時期がハロウィーンと重なっていたため「仮装して来館された方は半額」、って書いてあるよー。
本気で仮装して行こうかと思ったSNAKEPIPEだけど、友人Mが一緒なのでやめることにした。(笑)
とは言っても普段着はミリタリー系が多いので、それも一種の仮装(コスプレ)と言えるかもしれないけど?

平日だったためか、非常に人が少なくてガランとした森アーツセンター。
アート鑑賞はこれくらいがいいねー!
「もぎり」の女性が
「今回の展示は一部を抜かして撮影オッケーです」
と案内してくれる。
ぐがーーー!この時に限ってカメラを忘れてしまったSNAKEPIPE。
携帯もロッカーに入れてきちゃったし。
ええぇぇっ、とその女性の前で崩れてしまった。うーん、残念!
但し悔しいから言うわけじゃないけど、誰でも撮影オッケーな作品をあえてSNAKEPIPEが撮らなくてもいいかな、とも思ったのも事実。
脳内記録装置あるし。(笑)

一番印象的だったのは、恐らく今回の目玉だと思われる山下信一のフィギュア達。
高さ約60cmの箱の中に入った半裸の少女がズラリと並んでいる。
箱はアクリルケースもあれば、バービー人形が入っているようなパッケージもある。
一つ一つの人形の表情や衣装などがあまりに精巧に造られていて、観れば観るほど様々な発見があった。
背景になる箱も凝っていて、箱まで含めて作品なんだなとよく判る。
人形達はレトロな雰囲気も素敵だけれど、未来的なタイプのフィギュアのほうに惹かれた。
まるで「攻殻機動隊」の中に出てくるような人形達。
「フィギュア・コンプレックス」なんてタイトルが付いてたから余計にそう感じたのかもしれないね。
人形好きのMも圧倒されたようで
「ずるいと思わない?これ全部北原さんの物なんだよ!」
とお怒りモード。
「一体よこせって感じ!」
って結局欲しいだけじゃん。(笑)
いや、でも良く解るよその気持ち。
SNAKEPIPEも家に飾りたいと思ったからね。

北原照久という方は昭和の香りが好きなんだろうね。
昭和30年代をイメージした架空の風景を描いた毛利フジオの作品群は、経験したことがない時代のはずなのにどこか懐かしさを感じさせる。
平和でのどかな明るい日本の姿。
本当に昭和30年代ってこんな雰囲気だったのかなあ?
毛利フジオが憧れて描いているから色調が明るいのかしら?
故・今敏監督「妄想代理人」の中にも昭和30年代っぽい書き割りの風景が出てきたことを思い出す。
やっぱりあの時もどこか懐かしくて良い時代だな、と感じたっけ。

昭和の時代をジオラマで表現していたのが山本高樹
新宿ゴールデン街や有楽町ガード下など、とても庶民的な風景を精巧に再現している。
ミカン箱くらいの空間に存在している世界。
その中で本当に生きているような表情をした、ほんの数センチの人々。
じーっと観ていると、その世界の中に入って行かれそうである。
隅々までこだわって造られていて、これらの作品群も奥のほうまで観れば観るほどに発見がありとても楽しかった。

昭和の代表と言えば、やはりこの方横尾忠則先生!
SNAKEPIPEが敬愛するアーティストであり、何度か個展に足を運んだこともある。
作品ももちろん大ファンだけれど、浮世離れした横尾氏本人にも魅力を感じるのだ。
前述した山本高樹の作品「新宿ゴールデン街」にも横尾氏のポスターが作品内作品としてミニチュアで登場していたね。
横尾忠則氏本人の作品としては今回は油絵が一枚と、他にはポスターが展示されていた。
今までほとんどのポスター作品を観たと思っていたのに、今回初めて観る物がありびっくり。
どうやら個人や企業などが依頼して作られた作品だったようで。
県の観光案内から結婚した記念などに横尾氏のポスターとは!
ちょっと贅沢だけど、横尾氏の独特の構図と色彩は確実に観る者を捉えるはずなので宣伝効果は抜群なんじゃないかな?

もう一人昭和、という括りというよりはファッションの興味から書きたいのは岡本博。
この方はイラストレーターであり「トイズ・マッコイ」というバイク系アパレルメーカーの創始者だそうで。
岡本博の名前を言っても知らなかったROCKHURRAHだけど、スティーブ・マックィーンのイラストを見せたら
「あぁ、この人か。」
と分かった模様。
リアル・マッコイズの頃からスティーブ・マックィーンがテーマだった、とROCKHARRAHは知ってたようで。
今回展示の油彩画(イラストだったのか?)はモチーフがバイクとB-3ジャケットとはさすが!
ムートンの質感が良く出ていて感心してしまった。

今回のアートコレクションは、とても興味深く面白い展示がいっぱいで楽しかった。
恐らくブリキのおもちゃだけだったら、SNAKEPIPEは同じ感想を持たなかったかもしれないね。(笑)
SNAKEPIPEは現代アートを観る時にいつも
「その作品を欲しいと思うかどうか」
を基準にして良し悪しを決めている。
もちろん本気で「絶対家に持って帰る」とまでは思わないし、アート作品を買うなどと大それたことを考えたこともない。
それを実践しているのが北原照久という人なんだね。
「家に飾って、心ゆくまで眺めたくて購入しました」
みたいに書いてあるし!
これだけの作品を買うって一体どれだけのお金持ちよ?
好きな物を追い求めて収集するコレクター気質は誰でも持っている願望なんだろうけど、それを極めて職業にまでしてしまった人は少ないよね。
ユイスマンスの「さかしま」や江戸川乱歩の小説でも描かれるように、自分にとっての楽園を構築することがライフワーク。
そんな生き方ができたら楽しいだろうね!