SNAKEPIPE SHOWROOM 物件23 高額物件編

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【2位にランクインしたフロリダのゴードン・ポイントは約459億円】

SNAKEPIPE WROTE:

約1年ぶりの更新となる「SNAKEPIPE SHOWROOM」、2012年以来の企画である「高額物件編」を特集してみよう。
13年の間に高額物件に変化があるはずだよね。
世界で最も高額な物件2024年版から書いてみようか。

ハイアット・ホテルの億万長者であるトニー・プリツカー氏とその元妻ジーンさんがかつて所有していた「ビバリーヒルズ・ポスト・オフィス」邸宅が7位にランクイン。
本物のビバリーヒルズだよ、チバリーヒルズじゃないよ!(笑)
6エーカー(約7,400坪)の敷地には、インフィニティ・エッジ・プールとスパ、照明付きのテニスコートがあり、ロサンゼルス盆地全体を一望できる素晴らしい景観が自慢だという。
16のベッドルームに27のバスルームの他、18の暖炉、映画館、ワインセラー、ウェルネスセンター、さらにボウリング場まで完備されているとは驚き!
ご自宅にウェルネスセンターって一体なんだろうね?
敷地内には独立したゲストハウスと別棟のスタッフ用宿舎まであるという。
お値段は$195,000,000 (約304億円)!
7位で300億円超えてるよ。

高額ランキング6位になったのは、フランスの高級車ブランドであるブガッティによる世界初のプロジェクトである「Sky Mansion Penthouse In Bugatti Residences」。
場所はドバイで、52階建ての2棟からなる複合施設だという。
流線型のデザインが近未来風で素敵だよ!(笑)
まだ建設前らしいけれど、ブラジルのサッカー選手ネイマールがこのタワー内のユニットを購入したと報道されたとか。
4つの寝室、8つのバスルーム、プールも付いているという。
その他のアメニティとしてプライベートジムやゲームルーム、書斎、映画館などのサービスが満載とのこと。
専用のガレージからペントハウスまで直通で移動できるカーエレベーターが用意されているため、車に乗ったまま自分のペントハウススイートに直接アクセスすることが可能だというのが、さすが車のメーカーだよね。(笑)
気になるお値段は、 $204,000,000 (約317億円)!
世界のお金持ちには、ちょっとした買い物って感じかもね?

続いてもドバイの物件で、Sky Penthouseがランクイン。
こちらはアクセサリーや時計を扱う高級ブランドJacob & Co. ブランドのビルで、完成はこれかららしい。
6位のブガッティもこれからと書いてあったので、ドバイは建設ラッシュなんだね。
タワーの頂上には、Jacob & Co. の象徴的なダイヤモンドウォッチデザインに敬意を表した壮麗なクリスタルの「クラウン」が装飾され美しい。
住居の内装は「エメラルド」、「ダイヤモンド」、「サファイア」の3つのテーマから選ぶことができるという。
それぞれの違いを教えてもらいたいよね。(笑)
およそ1,100㎡の敷地に5つのベッドルーム、専用プールなどが完備されている。
専用シェフ、バトラー、専属運転手、ナニー、ボディーガードなど、ロイヤルクラスの特別サービスも含まれているんだとか。
お値段は$204,000,000 (約317億円)で、6位と同額だね。

4位は、ロンドンの高級住宅地「One Hyde Park」にある86戸の住宅アパートメントで構成された複合施設だよ。
2フロアを所有するメゾネットタイプで、敷地面積約1,670㎡という広さに5つのベッドルームがあり、それぞれに専用のバスルームを完備。
主寝室は213㎡の広さがあり、ハイド・パークを見下ろす景観が魅力だという。
カクテルバー、ビリヤード台、ホームシアター、2つの書斎やミーティングエリアがあり、専用スパにはトリートメントルーム、サウナ、スチームルーム、最先端のテクノジム機器を備えた専用ジムも利用可能だというから至れり尽くせりだね。
地下には4台分の安全な駐車スペース、4つの収納ユニット、2つの裏口(スタッフ用入口)があり、スタッフ用のスイートルームも完備しているんだとか。
「裏口」というのが非常に気になるね。(笑)
$220,000,000(約343億円)だって。
ドバイの物件を見た後だと、外観が地味に感じてしまうのはSNAKEPIPEだけかな?

堂々の1位は3年連続で世界一の高額物件と認められているロンドンの「ザ・ホーム(The Holme)」。
およそ4エーカー(約4,800坪)の敷地内に建つ814坪の2階建ての邸宅には、40の寝室、サウナ、図書室、壮大なダイニングルーム、そして最大8台の車を収容できるガレージがあるという。
200年以上の歴史がある建築物で「リージェンツ・パークのホワイトハウス」と呼ばれているんだとか。
老朽化していることは間違いないので、実際に所有者となった場合には大掛かりなリノベーションが必要みたいだよ。
そうした事情があっても、お値段は$314,000,000(約489億円)だって!
特別な思い入れがなかったら、なかなか手が出せない物件かも。
一体誰の手に渡ることになるんだろうね?

世界の高額物件ランキングから紹介してみたよ。
金額の桁が違い過ぎて、だんだん頭が麻痺してしまうね。
建築物として興味を持ったのはドバイの物件だよ。
実際に完成したところを観たいね。
また数年後に高額物件編を計画してみよう!

ふたりのイエスタデイ chapter26 /アート系映画

20250119 06
【今観てもショッキングな「アンダルシアの犬」のワンシーン】

SNAKEPIPE WROTE:

「デヴィッド・リンチ氏死去」
1月17日、朝のニュースで飛び込んできた訃報に、動きが止まる。
頭のどこかに空洞ができたようで、言葉が理解できない。
ただ、昨年リンチが自身の病気を発表してから、少しだけ覚悟があったことも事実。
それにしても、78歳では早過ぎるよ。
先週もリンチのグッズ特集を書いたばかりなのにね。

リンチの、映画、絵画、写真、音楽と幅広い作品を観せてもらった。
SNAKEPIPEの知見を広げてくれたし、作品を通じてたくさんの喜びを与えてくれた師匠だよ!
このブログでも何度か書いているけれど、1991年原宿の東高美術館で一度だけリンチにお目にかかることができたことは宝物だね。
リンチには感謝の思いでいっぱいだよ。
本当に今までありがとうございました。
これからも変わらず、リンチのファンを続けるし、ブログで特集を組むこともあるかもしれない。
SNAKEPIPEの中で、リンチは永遠のスターだからね!

リンチの作品を最初に知ったのと同時期、SNAKEPIPEがまだ少女だった頃の話。
毎週のように出かけていたのが、早稲田や高田馬場近辺の小さな映画館巡りだったんだよね。
ACTミニ・シアター三百人劇場早稲田松竹や、マンションの1室で靴を脱いで体育座りで観る映画館など、様々な場所でレトロな映画を鑑賞したものだった。
大抵は一人で出かけていたように記憶している。
情報源は「ぴあ」で、小さい文字を追って良く出かけたものよ。(笑)
今日はその頃観ていた映画を紹介していこうと思う。
SNAKEPIPEを形作った思い出深い作品だよ。

学生だったSNAKEPIPEは、まだ実家に住んでいた。
写真家だった父親が集めた映画関連の本を手にしたことから、レトロな映画への興味が湧く。
岩波新書くらいのサイズだったので、紹介されている写真はとても小さかったはず。
その中で気になるタイトルを記憶し、「ぴあ」で上映している映画館を探していたのである。
戦艦ポチョムキン(原題:Броненосец «Потёмкин» 1925年)」はロシアのセルゲイ・エイゼンシュテイン監督作品。
古典中の古典と言える作品だよね。
最も有名な「オデッサの階段」シーンは、乳母車のシークエンスを含め、後にフランシス・ベーコンがメガネの割れた老婆を描いたりと、各方面に多大な影響を与えているよね。
トレイラーを載せておこう。

ロシアの次はポーランドにしてみよう。
灰とダイヤモンド(原題:Popiół i diament 1958年)」は、アンジェイ・ワイダ監督作品だよ。
暗殺者の若者が主人公で、無鉄砲な生き様に男気を感じる人もいるかもしれないね。
屋上にシーツがかかっている中を逃げる主人公が印象的だった。
このシーンも、他の映画で真似されているのを観たことあるかも。
アンジェイ・ワイダ監督では、他に「地下水道」も観たなあ。
かなり退屈な時間を過ごしたように覚えているけれど、昔は我慢強かったかも。
ちゃんと最後まで観てたからね。(笑)
「灰とダイヤモンド」のトレイラーも載せておくことにしよう。

アンダルシアの犬(原題:Un Chien Andalou 1929年)」はルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリによって制作されたシュルレアリスム映画。
観ていた当時のSNAKEPIPEは、シュルレアリスムという言葉を知らなかったよ。
不可思議なシークエンスの連続で、特にストーリーはなかったように記憶しているけど、違っていたらスミマセン!
スペインの2大巨匠が手かげたショート・フィルムは、今だったら簡単に動画配信サービスで観ることができるけれど、学生だったSNAKEPIPEの時代は1回逃したら、次はいつチャンスが訪れるか分からない上映だったはず。
方向音痴で、今みたいに「乗換NAVI」などがない時代、よく通ったもんだ。(笑)
「アンダルシアの犬」は、不条理小説を好んでいたSNAKEPIPEの好みにピッタリの映画だった。
こちらもトレイラーがあったので、載せてみよう。

ルイス・ブニュエル監督作品はよく観に行ったっけ。
「小間使の日記」「ブルジョアジーの密かな愉しみ」「自由への幻想」など、夢中になって観ていたよ。
今回は「昼顔(原題:Belle de jour 1967年)」について書いてみよう。
少女時代のSNAKEPIPEが鑑賞するにしては、ちょっと刺激的な内容だったかもしれないね?(笑)
この映画の中で最も印象に残っているのは、カトリーヌ・ドヌーヴの美しさ!
スタイリッシュで憧れてしまうほど。
周りの娼婦達も、なんだかカッコ良く見えてしまったし。
ラストシーンが謎だったけれど、やっぱり今でもカトリーヌ・ドヌーヴ好きだよ。
トレイラーはこちら。

去年マリエンバードで(原題:L’Année dernière à Marienbad 1961年)」で一番目を引いたのは、ポスターの背景にある庭園だった。
シンメトリー構造の、不思議な三角形がモチーフになった庭園が、先に書いた父親の映画の本に載っていて、惹かれたよ。
鑑賞した後には、庭園の記憶はあまり残っていなくて、とにかく頭がぐるぐるしたことを覚えている。
「去年マリエンバードで」何かあったようなんだけど、それがなんだかはっきり分からないまま、モヤモヤしたんだよね。
検索するとどうやら430のシーンで構成されていたらしいから、SNAKEPIPEが混乱するのも無理はないね。
衣装担当がココ・シャネルだって?
それも知らなかったよ。(笑)

最後にゴダール監督の「勝手にしやがれ(原題:À bout de souffle 1960年)」を紹介しよう。
今回6本の映画について書いたけど、全てヨーロッパ映画だね。
ヌーヴェル・ヴァーグ(ニュー・ウェイヴ)という、1950年代から始まった映画の運動の中心人物だったゴダール。
ジャン=ポール・ベルモンドの奔放さは、先に書いた「灰とダイヤモンド」の主人公マチェクに近い雰囲気だったように覚えている。
破天荒な若者の生き様を描く作品というだけでなく、ヌーヴェル・ヴァーグならではの手法もあるようだけど、あまり覚えていないよ。(笑)
今観てもオシャレでカッコ良いね。
トレイラーはこちら。

「二人のイエスタデイ」として、久しぶりに思い出しながら、若かりし頃夢中になった映画について書いてみたよ。
今回はカルト系は入れてないんだよね。
SNAKEPIPEは、アートの基本を映画で習ってたのかもしれないな。
映画監督のジョン・ウォーターズは「恥ずかしい趣味」としてアート映画鑑賞を挙げている。
ジョン・ウォーターズもリンチと同い年の78歳。
ホドロフスキー監督は95歳。
皆さん高齢になっているので、健康に留意して欲しいね!

収集狂時代 第24巻 David Lynch グッズ編2

20250112 10
【ツイン・ピークスのファンなら手に入れたくなるアクセサリー

SNAKEPIPE WROTE:

一年前に行った企画が「収集狂時代 第22巻 David Lynch グッズ編」だった。
映画を撮らなくなって久しいデヴィッド・リンチだけれど、SNAKEPIPEを含め世界中に熱狂的なファンがいる。
今でもリンチ関連のグッズが増えているんだよね。
リンチ・グッズの中から選りすぐって紹介していこう!

なんて秀逸なステッカーなんでしょ!
リンチの映画から、印象的なシーンを切り取ってデザインされている。
その名も「DAVID LYNCH Sticker Sheet」だって。
A5サイズ(15x21cm)にバランス良く配置されていて、ファンにはたまらないよ。(笑)
お値段£4.99 GBP、日本円で約960円!
他にもツイン・ピークスのステッカーやトランプも扱っていて、どれも気になる。
ツイン・ピークスのトランプも素晴らしいデザインで、£12.99 GBP(約2,500円)だって。
日本への配送はしてくれるのか調べてみよう。

続いてはこちら。
先にも書いたように、映画を撮らなくなってしまったリンチなので、このステッカーはグッと来るよ。
2017年7月の「ふたりのイエスタデイ chapter12 / ゲルニカ」の中で、「『Directed By DAVID LYNCH』
の画面を観ることができて、本当に感激したよ!」と書いているSNAKEPIPE。
このステッカーは、リンチアン(リンチのファンのこと)の心を鷲掴みにするよ!
観てるだけで嬉しいもの。(笑)
約11.4cm×3cmサイズが5枚セットで1,800円ほど。
日本へは500円ほどプラスでベルギーから発送してくれるみたい。
これも欲しいね。(笑)

ツイン・ピークスに登場する「ROAD HOUSE」という酒場のネオン・サインが「BANG BANG BAR」だったんだよね。
分かる人には分かる、ちょっと変化球的な商品にニヤニヤしてしまう。
至ってシンプルな枕カバーで、約40cm四方のポリエステル製で両面プリントだという。
このデザインが秀逸なんだよね。(笑)
$24.99、日本円で約4,000円。
他にない商品なので、お買い得かも。

続いてはツイン・ピークスにインスパイアされたアロマ・キャンドルだよ!
説明によると「ワシントンの森」「チェリーパイ」「コーヒー」の香りを楽しむことができるという。
レビューを書いている人の中に「まさにツイン・ピークスの香り!」と大絶賛する人もいる。
ツイン・ピークスの香りって言い切っちゃうところがすごい。(笑)
お値段3,900円だって。
どんな香りなのか試してみたいよね!

ツイン・ピークス・リターンズをテーマにしたコースター
デイル・クーパーとダイアンとリンチとコーヒー。
選び方にセンスがあるし、抽象的な表現もイカしてる!(笑)
素材はコルクと木材で約9.5cmサイズだって。
お値段約4,800円。
これは使わないで額に入れて飾っておきたいね。

ツイン・ピークスの世界が瓶詰めになっているよ!
赤いカーテンとV字型の床に立っている、ミニチュアのクーパー。
これはコレクションしたいね!
お値段5,000円で、日本への配送料は4,400円とのこと。
高さ8.89cm、幅7.62cmというサイズも丁度良いね。
在庫の残り7個だって。
急がないと!

赤い服の男がダンスしているシーンがステッカーになっているよ!
これも素晴らしい逸品だね。
ツイン・ピークス序章の最後に踊りまくっていた赤い男を何度観たことだろう。
その様子がステッカーになってるから嬉しくなるよ。
9.14cm×7.37cmから35.56cm×28.19cmまで、種類が4種類あるらしい。
このステッカーで35cmだったら、かなり迫力あるかも。
一番大きなサイズで、お値段が$20.70、約3,300円!
どこに貼ろうかな。(買う気満々)

最後はこちら!
イレイザー・ヘッドの赤ん坊を抱いているリンチのフィギュアだよ。
通常だったら主人公のヘンリーが赤ん坊を抱くはずなのにね?
赤ん坊の出来はまあまあだけど、リンチのほうは似てない!
顔はゴツゴツしてるし、しかめっ面だし。
これはひどい。(笑)
それなのにお値段は66,665円だって。
「貴重な掘り出し物ですね」なんて宣伝されてるよ。
このフィギュアより前に紹介した逸品全てを注文してもお値段3万円ほどなので、SNAKEPIPEは迷わずフィギュア以外を購入するよ。(笑)
2025年になってもツイン・ピークス関連グッズをはじめ、リンチに関連する商品が販売されていて嬉しい限り。

ロスの山火事が報道されていて、有名人のお宅が全焼したと聞いた。
リンチもロスに住んでいるはずなんだよね。
お家は大丈夫なのか心配になっちゃう。
何事もなく無事でいてくれることを祈るばかりだよ!

SNAKEPIPE MUSEUM #74 Stuart Pearson Wright

20250105 05
【Halfboy and Halfsisterは2018年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

2025年最初のブログだね!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
元旦にROCKHURRAHが書いた記事にもあったように、SNAKEPIPEは病み上がりなんだよね。
言葉通りの寝正月になってしまい、計画していたことができなかったのが残念。
ほとんどが大掃除に関することなので、これから気長が進めていこう。
年末だけが掃除のチャンスじゃないしね?(笑)

まだ正月だけど、ROCKHURRAH RECORDSでは普段同様の記事を書いていくよ。
今回は「SNAKEPIPE MUSEUM」として、Stuart Pearson Wrightを紹介したい。
読み方はスチュアート・ピアソン・ライトで良いのかな。
作品の前に経歴を調べてみよう。

1975 イングランド中東部のノーサンプトンに生まれる
1999 ロンドン大学 スレード美術学校 美術学士 (優等学位)
2003 ロイヤル・ドローイング・スクール「ドローイング・イヤー」
2014 妻と2人の子供と共にイングランド東部サフォークの田舎にある城に移住

情報が少ないので、わかっているのはこれくらい。
本人のサイトには「2004年王立芸術協会の依頼で制作したエディンバラ公爵の肖像画」についても記載されていて、上半身裸の王子に青いハエが描かれていたため、受取を拒否されたという。
個展の開催や数々の賞を受賞していて華々しい経歴だけど、上に書いたようなパンク要素を併せ持ったアーティストだと分かるね。
どんな作品なのか、早速観ていこう!

ピアソン・ライトの作品で一番最初に目に留まったのがこの作品。
「Middlesbrough」は1998年に制作された油絵なんだよね。
「Middlesbrough(ミドルズブラ)」 は、イングランド北東部に位置する都市の名前だという。
2人の子供を抱き、ベンチに座る母親。
目には光がなく、絶望や悲嘆といった単語がよく似合うよ。
子供に目をやると、なんとも不気味な顔立ちにゾッとする。
おじいさんみたいな顔をした膝に乗っている子供も、泣き出しそうな左の女の子も、通行人から頭を撫でられたりお世辞を言われることがないほどの醜悪さ。
これを描いたピアソン・ライトは23歳?
まだロンドン大学在学中だったんだね。

「The Ventriloquist(腹話術師)」は2001年の作品。
自分とそっくりの人形と対峙するのってどんな気分だろうね?
腹話術師というのは、紀元前にまで遡る歴史があるんだとか。
日本で有名なのは「いっこく堂」かな。
全く唇を動かさず、人形のセリフを吹き替える芸に驚いたことがあるよ。
ピアソン・ライトの腹話術師はどうだろう。
まず見た目のインパクトが強いので、座っているだけで面白い。
どんな掛け合いが行われるのか、観てみたいよね。(笑)

「Gallus gallus with Still Life and Presidents」は、ピアソン・ライトが2001年にBPポートレート賞で1位を受賞した作品だという。
「Gallus gallus」とはニワトリを表すラテン語で、弱さや臆病さ、あるいは田舎的で素朴なシンボルだという。
テーブルの真ん中に死んだニワトリがいるのが分かるね。
「Still Life(静物画)」と「Presidents(大統領たち)」を組み合わせることで、風刺やブラックジョーク的な意味合いがあるみたいだよ。
そうした意味を知った上で大統領たちの顔を確認すると、どこかしょぼくれて見えてくる。
ピアソン・ライトは、ちょっとヒネった表現が得意みたいだね。

「The Tragedy of Maurice and Tabitha」(モーリスとタビサの悲劇)は、2000年の作品。
背景には、まるでユトリロのような白い建造物が描かれ、薄曇りの空も美しい。
手前にいる人物に目をやると、なんだか様子がおかしいよね。
バラバラに切断されたタビサ(?)の頭部を愛おしそうに抱きかかえるモーリス。
マネキン人形みたいに、体のパーツを組み立てられるようなので、人間ではないのかも。
モーリスの様子をじっと見つめている、左の男性も意味不明。
ピアソン・ライトには「なんか変」と思わせる作品が多くて、とても好みだよ!

ピアソン・ライトは自画像をよく手掛けていて、左は「I’ll never stop lovin’ you」という2010年の作品なんだよね。
西部開拓時代をテーマにしているようで、カウボーイ姿になっている。
隣の女性は「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラみたいだし。(笑)
他にも中世の騎士に扮した自画像や動画もあったよ。
先日のキリコ展で、キリコも様々なコスプレで自画像を描いていたっけ。
自画像を描く人っていうのは、やっぱり自己愛が強い人なのかなあ?
それにしてもピアソン・ライトの画筆の素晴らしさ、伝わるよね。

「Wanderer」は2014年の作品。
意味を調べてみると「放浪者、さすらい人」といった旅人みたいな訳になったよ。
SNAKEPIPEには、ホラー映画のワンシーンに見えてしまったんだけどね。(笑)
湖で作業を行って帰るところ、月明かりにふと目をやった犯人と想像したよ。
手には何も持っていないから、すべて湖に投げ捨て、証拠隠滅を図ったに違いない。
静寂に包まれた絵画なのに、不穏な空気を感じることができて素晴らしいよ。
何気ない一枚なのに、物語が浮かぶのは楽しいからね!
スペインのアーティストであるエンリケ・マルティを彷彿させるよ。
これからもピアソン・ライトに注目していこう!