映画の殿 第76号 トンイ編

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【本文中で紹介できなかった俳優もいるね!】

SNAKEPIPE WROTE:

かねてより韓国ドラマ好きの方々からお勧めされていたのは「トンイ(原題:동이 2010年)」。
きらびやかな衣装が特徴の17世紀、朝鮮王朝を舞台にしたドラマなんだよね。
今から15年以上前の2010年に制作されているので、Netflixなどのストリーミングで配信されていない。
観始めるのを躊躇させたもう1点の大きな要因が、その長さ!
全60話なので、毎日1話ずつ観たとしても2ヶ月かかることになるからね。(笑)
先日Amazonプライムの中にあるチャンネル「アジアプレミアム」で、「トンイ」が配信されていることを発見。
日本でも何度か吹替版などがTV放映されていたようだけど、ROCKHURRAH RECORDSでは、今年になってようやく鑑賞を始めたのである。

あらすじは、簡単な紹介だと数行程度。
丁寧なものだと60話それぞれを要約したものがあるんだよね。
今回は簡単なほうを紹介しよう。

最下層の身分から朝鮮王朝第19代王・粛宗の側室となり、後の第21代王・英祖の生母となったトンイ(淑嬪 崔氏スクビン チェシ)の一代記。
朝鮮王朝の最も派閥闘争の激しかった時代を背景に、粛宗を巡るロマンス、女性同士の権力争い、そして英祖の成長過程を交えながらドラマチックに描いていく。
(テレビ愛知より)

続いてトレイラーね。
どうやらタイ版のようで、日本語字幕なしでスミマセン。

主要な人物について感想を含めて書いていこう。
まずは主人公のトンイから。
主人公のトンイの娘時代以降を演じたのは、ドラマ「ムービング」や「ハピネス」でお馴染のハン・ヒョジュ。
韓国ドラマファンなら、年代的に「トンイの主役だった女優」のように書くんだろうね。
ROCKHURRAH RECORDSは、鑑賞する順番が違うので許してね!(笑)
かつて韓国には、奴婢という身分制度があったという。
奴婢出身の女性が王様の寵愛を受け、王子を授かるという、シンデレラ・ストーリーなんだよね。
下層階級出身の豊臣秀吉が天下人となった「太閤記」に近いテイスト、といえるかも。
主人公トンイは、いつでも明るく前向きで、他人にも寛容なんだよね。
復讐や仕返しというようなネガティブな感情は持ち合わせていないようで、観ていて歯痒いほど。
こんなに心がキレイな人間がいるのかと思ってしまうほどの、清廉潔白な聖人のような女性だよ。
ハン・ヒョジュは、トンイ役が合っていたね!

「トンイ」は子供時代から始まっているんだよね。
少女時代のトンイを演じていたのは、「太陽を抱く月」で観ていたキム・ユジョン。
大人顔負けの演技力なんだよね!
「トンイ」に出演していた時は、恐らく10歳か11歳くらいなので、小学校4年生くらい?
賢くて気が利く子供役がぴったりだったよ。
この子が大きくなってハン・ヒョジュになった、というのが違和感なかったね。
父と兄を同時に失ってしまったのに、気丈に耐え一人で生きていく精神力の強さが素晴らしかったよ。

李氏朝鮮第19代国王の粛宗(スクチョン)を演じたのは、ドラマ「サバイバー: 60日間の大統領」で主役だったチ・ジニ。
ヒゲや韓服が良く似合っているね。
あの時は大統領で、今回は王様とは!
イエーチョナー!(笑)
ドラマ「トンイ」は史実に基づきながらも、フィクションも取り入れているので、王様の人柄は実物とは違っていたかもしれない。
「トンイ」の中では、とても気さくで大らか、民から慕われる王様なんだよね。
王家の血統を絶やさないことは王様にとっての最重要課題で、子を成すために王妃以外の女性も近くに控えさせている。
実際、スクチョンは結婚3回、妻(王妃)以外の女性が複数人いたみたいだよ。
そうした派手な女性関係がドラマになりやすいのかもね?

スクチョンの王妃、仁顕(イニョン)を演じたのはパク・ハソン。
このドラマで初めて観た女優かもしれないな。
イニョン王妃は史実通りの設定で、正室ではあるものの悲劇的な運命を辿った女性だったみたい。
病弱だったせいか子宝に恵まれず、王から受ける愛情も薄かったようだね。
策略により宮廷を追い出されて貧困に陥ったせいもあり、病気が更に悪化したらしい。
それでも性根が美しく、王を恨むことなく公平な判断ができる強い女性だったよ。
王妃にふさわしい人物だったのに、かわいそうな結果になってしまい残念だった。
王様も、もう少し早く王妃の優しさに気付いてくれたら良かったのにな。

イニョン王妃を陥れた側室の張玉貞(チャン・オクチョン)。
オクチョンは大層な美貌の持ち主で、王様を虜にしたと史実にも記載されているらしい。
演じたのはイ・ソヨン。
王妃やトンイを蹴落として、自分が王様にとって1番の女性になりたいと必死で策を練る。
回を追うごとに性格が悪い女性になっていく様を上手く演じていたよ。
オクチョンは低い身分の出身だったらしく、奴婢から成り上がっていくトンイが許せなかったのかも。
朝鮮三大悪女としても有名だというから、数々のドラマが制作されているんだね。
悪名でも後世まで名前が残っているのは、オクチョンにとって幸せなのかな?

チャン・オクチョンの兄、張希載(チャン・ヒジェ)。
妹が王様からの寵愛を受けていることを利用して、少しでも自分や妹が優位になることを模索する。
波のような目をした狡猾そうな顔が役柄にピッタリだったよ。
演じていたのはキム・ユソクで、初めて観る俳優みたい。
悪巧みをするのは良くないことだけれど、見方を変えると非常に妹思いの兄とも言えるんだよね。
面白い役どころだったので、ドラマの中で効果的な存在だったよ。
チャン・ヒジェも実在の人物で、ほぼ史実通り描かれていたようだね。

トンイの兄トンジュの親友、車天壽(チャ・チョンス)。
子供の頃から知っているので、トンイは「チョンス兄さん」と呼び、なついていた。
トンイの父や兄と共に剣契(コムゲ)として暗躍する別の顔を持つ。
剣契は実在した秘密組織だけれど、チョンスは架空の人物みたい。
演じていたペ・スビンは、香港の映画監督であるウォン・カーウァイに認められたようで、中国北京映画学校で学んだという。
中国語は独学でマスターしたというから、努力の人だよ。
コムゲとしてのシーンも本人がこなしていたので、相当アクションができるんだね。
別の作品で観たとしても「チョンス兄さん」と呼んでしまうだろうな。(笑)

捕盗庁(ポドチョン)に所属する3人も良い味出してたね。
日本でいうところの警察にあたる部署が捕盗庁で、写真中央の徐龍基(ソ・ヨンギ)を長にして、南副官(ナム副官:画像左)と黄武官(ファン武官:画像右)が部下として仕えている。
捕盗庁は実際にあった部署だけれど、3人の人物はフィクションみたいだね。
トンイと信頼関係が築かれていき、心強い味方になっていく様子に安堵する。
無愛想に見えるソ・ヨンギだけど、機転が利いて人の心が解る人物だからね。
部下の2人も意外と真面目に仕事していて頼もしかったよ。

掌楽院(チャンアグォン)に所属する黄周植(ファン・ジュシク:画像左)と方英達(パン・ヨンダル:画像右)。
朝廷で儀式などを執り行う際、楽器を演奏するオーケストラの役割を果たす部署なんだね。
孤児になったトンイが奴婢として働いた場所なので、ファンとはかなり長い付き合い。
ヨンダルを演じたのは、映画「探偵なふたり リターンズ」やドラマ「殺人者の買い物リスト」などでお馴染みのイ・グァンス。
トンイのことを妹のように思い、いつでも心配してくれる良い人だった。
2人共トンイの味方なので、登場が微笑ましかったよ。

「トンイ」で忘れてはならないのが、韓内官(ハン内官)!
王様であるスクチョンのお付きの人で、いつでも呼ばれたらかけつける役割なんだよね。
本来であれば許されないであろう王様への進言をしたり、王様の様子を含み笑いで見守ったりする。
韓国の時代劇では、お付きの人が皆、存在感あるのは何故だろう。
「太陽を抱く月」「秘密の扉」「花郎」など、観たことがあるドラマで、それぞれ個性的なキャラクターが確立されているんだよね。
ハン内官の印象が強かったので、演じていたチョン・ソニルを現代劇で観ても同一人物だと気付かないかも。(笑)

主要な人物について感想を書いてみたよ。
全60話だから、他にもたくさん魅力的な人物がいるんだけど、ここまでで終わりにしようか。
日本で漫画「ベルサイユのばら」を読んだ女学生がフランス革命辺りの歴史に強くなったように、「トンイ」を観て17世紀後半から18世紀前半までの朝鮮王朝に詳しくなった人も多いだろうね。(笑)
フィクションが混ざっていても、大筋は史実に基づいているみたいだからね。
「トンイ」は15年以上経った今でも、引き込まれる内容で人気があるのも納得のドラマだった。
韓国ドラマ好きの方からお勧めされてきたけれど、ようやく鑑賞できて良かったよ!

SNAKEPIPE MUSEUM #77 Tempest Doll

20250907 03
【ティーソーサーに横たわる球体関節人形】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログのカテゴリー「SNAKEPIPE MUSEUM」では、定期的に人形作家の特集をするんだよね。
前回は2019年1月の「Pasha Setrova」だったようなので、およそ6年半ぶりの更新になるのかな。
定期的とは言い難い年月が経過していたね。(笑)

今回特集するのは、ポーランド、ザモシチ在住の人形作家Tempest Doll、直訳すると「嵐の人形」になるのかな。
ブランド名として確立されているようなので、カタカナでテンペスト・ドールと書いていくことにしよう。
テンペスト・ドールはMarta Żary(マルタ・ジャリ)という個人が手作りしているらしい。
Webページにテンペスト・ドールのページをいくつか発見できたけれど、詳細については不明だよ。
今回は年表などは無しで、作品のみを紹介していくことにしよう。

一番最初にSNAKEPIPEが観たのは動画だった。
その動画を観てコレクションしたい!と思ってしまったんだよね。
動画の共有が許可されていないので、こちらからご覧ください!
この人形は「「Porcelana(ポルセラナ)」で、「磁器」を意味するポーランド語だという。
青色に染付された中国の陶磁器みたい。
どんな動画なのか、文章で簡単に説明しよう。
左のように、箱に入ったバラバラのパーツから始まるんだよね。
体の中央になるバストからスタートし、腰や手足にゴム紐を通しながら、体が作られていく。
関節部分のゴールドがひょうたん型で面白い。
最終的には10頭身くらいのモデル体型人形(身長45cm)が出来上がる。
パーツから、こんな人形ができあがるなんて、素敵だよね!

上のポルセラナに似た中華風の「Epergne(エペルヌ)」。
飾り皿や花器などを意味する言葉らしいので、やっぱりモチーフは陶磁器なんだね。
この人形は、ポルセラナの約半分の大きさで18cmなんだって!
手のひらサイズで、この精巧さにはびっくり。
腕が4本あって、頭に金ピカの装飾が施されているので、仏像っぽくも見えるよ。
テンペスト・ドールが使っている素材はポリウレタン樹脂で、磁器や陶器に似た質感が出て繊細な造形が可能だという。
着色もしやすいらしいので、扱いやすい素材なんだね。

頭の飾りがグレードアップしているよ!
この人形には「The Observer(観察者)」という名前がついているよ。
上の2つとは造形が違い、胴体を細く長くし、腕を短くし、顔やパーツがリニューアルされているという。
ポリマー石膏に変更したことで、磁器のような見た目と質感を持ちながら、レジンよりも割れにくく環境耐性の高い仕上がりを実現することができたんだとか。
ところどころ、まるで青い血管のように走っているように見えるのは、ひび割れを強調し塗装しているんだって。
欠点を受け入れデザインとして取り込むことにした、テンペスト・ドールの新たなアプローチだと説明があったよ。
人形に対してというよりも、テンペスト・ドール自身の生き方を宣言しているようで、応援したくなってしまうね。

テンペスト・ドールの作品は販売されているんだよね。
ここまで観てきて、欲しくなった人も多いはず。
SNAKEPIPEも手に入れたくなってしまったからね!
現在販売されているのは、画像の「Carat(カラット)」で、身長45cmのタイプ。
王冠やウィッグ、衣装などが全てセットになっているという。
名前の「カラット」は、征服に人生を捧げあらゆる物を手にして、今では金そのもののように冷たく生気のない存在になってしまった女王というイメージなんだって。
テンペスト・ドールは、見聞きしたものからインスピレーションを得て、背景と共に制作に取り組んでいるんだね。
「カラット」のお値段は、送料を含めて日本円で約565,000円ほど。
1点物で、自分の好きなポーズを取らせることができる自由度を考えると、お手頃なのかな?
SNAKEPIPEは、ポルセラナで素材がポリマー石膏のタイプがあったら欲しいと思うよ。
テンペスト・ドールにリクエストして特注で作ってもらおうか。(笑)

映画の殿 第75号 俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル

【現役からレジェンドに至る大勢のプロ・ゴルファーと共演しているギルモア】

SNAKEPIPE  WROTE:

「アメリカンジョークは面白くない」と言う人は多いはず。
コテコテのオヤジギャグを好むSNAKEPIPEも大きくうなずくはずなのに、「俺たち〜」シリーズで有名なアメリカのコメディアンであるウィル・フェレルの大ファンになったのが今から10年以上前のこと。
ちょっと下品なアメリカンジョークに、腹を抱えて笑えることがわかったよ。
ウィル・フェレル出演の映画については「映画の殿08」から「ユーロビジョン」まで5つも特集しているので、いかに熱中して鑑賞していたのかが分かるよね。(笑)
そんなウィル・フェレルがコメディアンとしての地位を確立したのが、アメリカのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」だった。
1975年から続く長寿番組だというので、日本だったら「笑点」みたいなものか?
ウィル・フェレルより少し前に「サタデー・ナイト・ライブ」で笑いを取っていたのが、ユダヤ系アメリカ人のアダム・サンドラー
前置きが長くなってしまったけれど、今回はアダム・サンドラー主演映画「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル」について書いていこう。
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未鑑賞の方はご注意ください

1996年に公開された「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル(原題:Happy Gilmore)」。
タイトルと画像でゴルフの話だと分かるよね。
以前より何度か書いているように、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは毎週欠かさずアメリカのPGAゴルフを鑑賞しているゴルフ・ファン。
恐らく10年ほどの鑑賞歴になるので、今ではすっかり詳しくなっているはずだよ。
そういえば、ウィル・フェレルもスポ根映画、たくさん扱っていたっけ。(笑)
アダム・サンドラー主演のゴルフ・コメディ映画はどんな感じだろう。
あらすじはこちら。

プロのアイスホッケー選手を目指す青年ハッピー・ギルモアは、シュート力は抜群なのにスケートが大の苦手。
ある日、差し押さえられた祖母の家を取り戻すために大金が必要になったギルモアは、賞金目当てでゴルフトーナメントに出場することに。
持ち前のシュート力でミラクルショットを連発し、順調に勝ち進んでいくが……。
(映画.comより)

トレイラーはこちら。

ティーショットで400ヤード飛ばし、パー4でワンオンするなんて夢のような話。(笑)
本当はアイスホッケーのプロになりたかったはずなのに、借金返済のためにゴルフを選ぶギルモア。
ゴルフの優勝賞金額は高いからね!
ホッケーのシュートを決める時のフォームが、ゴルフのティーショットになっているね。
下からすくい上げるようなスタイルは、現在世界ランクNo,1のスコッティ・シェフラーに似てるかも。
そしてハッピー・ギルモア本人は、画像でも分かるように「やんちゃ」で、深く考えないタイプ。
性根は優しくて、おばあちゃん想いなんだよね。

ギルモアが大好きなおばあちゃん(画像真ん中)。
このおばあちゃんが税金を27万ドルも滞納したことで、ギルモアがゴルフに転向するんだよね。
おじいさんが建てた家まで抵当にはいってしまうとは、おばあちゃん呑気過ぎ!(笑)
おばあちゃんを演じているのは、フランシス・ベイ。
どこかで見たことあると思ったら、デヴィッド・リンチ作品の常連だったよ!
「ブルー・ベルベット」にも出演していたとは。
そして画像左は、のちにギルモアのガール・フレンドになるバージニア。
紳士のスポーツであるゴルフとはかけ離れたギルモアの様子にとまどいながらも、味方になっていくんだよね。

家を差し押さえられてしまったため、おばあちゃんが入居した老人ホームの経営者。
観ている時には気づいていなかったけれど、演じているのはベン・スティラー!
ウィル・フェレル、アダム・サンドラーと同年代の「サタデー・ナイト・ライブ」出身者。
コメディアン2人が出演していたんだね!
ベン・スティラーとウィル・フェレルが出演していた映画「ズーランダー(原題:Zoolander 2001年」も面白かったな。
決め顔の「ブルー・スティール」、また見たくなったよ!(笑)

ギルモアと因縁のある男、ラーソンを演じていたのは、「007 私を愛したスパイ」でジョーズ役だったリチャード・キール
身長218cmで、世界一巨体の俳優として知られているらしい。
この顔と体格なら、どの作品でも観間違うことがないよ。
ギルモアのせいで頭にナイフが突き刺さったままになっている設定なんだよね。
まるでアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の「刺さった男」状態だよ。(笑)

ギルモアの才能を見抜き、レッスンを買って出る元プロゴルファーのチャップス。
ゴルフ場でワニに右手を食いちぎられるという過去を持ち、右手は義手という設定になっている。
PGAゴルフをTV観戦していると、実際にゴルフ場にワニが出現することあるんだよね。
ルイジアナ州やフロリダ州はワニが生息していることで知られているので、チャップスの話はまるっきりデタラメではない。
義手の扱いがぞんざいで、この辺りがキツめのブラック・ジョークなんだよね。(笑)

飛ばし屋で、様々なラッキーにも恵まれ、賞金を稼いでいくギルモアの活躍に大笑いさせてもらった。
「そんなバカな!」
というシチュエーションで、ゴルフボールがカップインしていく様子は、あり得ないからこそ面白かったよ。(笑)
ライバルのゴルファーや、ド素人のキャディも良い味出していたね。
ゴルフ好きにはおすすめの映画だよ!

「俺は飛ばし屋」から29年が経過した今年2025年、Netflixの新作映画として登場したのが、「俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル2(原題:Happy Gilmore 2)」。
ここで知らされていなかったら見逃していたところ、ROCKHURRAHが目ざとく発見し鑑賞することになったんだよね。
そのためROCKHURRAH RECORDSでは、「飛ばし屋1」と「飛ばし屋2」を連続して観ることができた。
ハッピー・ギルモアは、一体どうなったんだろうね?

ハッピー・ギルモアのゴルフ人生は、まだ終わっちゃいない!
アダム・サンドラー演じる短気なゴルフ界のレジェンドが、娘の夢をかなえるために復帰を目指してクラブを振り回す。
(Netflixより)

続いてはトレイラーね。

30年近く経ってもギルモアの精神年齢はほとんど変わっていないみたいだよね!
そしていつの間にか4人の息子と娘が1人いることになっているよ。
「飛ばし屋1」で登場したヴァージニアと結婚し、子宝に恵まれたんだね。(笑)
男の子達は完全にギルモアの下ネタ好きDNAを受け継いでいるよ。
幸せなご家庭が垣間見られるのかと思いきや、ヴァージニアは映画開始ほんの数分で退場してしまう。
「飛ばし屋」ではあっさり人がいなくなってしまうんだよね。
きっとこれもアダム・サンドラー式のブラック・ジョークなんだろうな。(笑)

PGAゴルフで一番有名な大会といえば、マスターズ・トーナメント
ここで優勝したプレイヤーは記念として、緑色のブレザー通称「グリーン・ジャケット」が贈られる。
2021年に松山英樹がアジア人として初優勝したことは記憶に新しいよね。
そんなマスターズをパロディにしたシーンが映画に登場し、グリーンならぬ「ゴールド・ジャケット」を着用したプロ・ゴルファー達が大勢出演していることに興奮する。
画像は集合写真で、全員ではないけれどプロ・ゴルファー達が笑顔を浮かべているよ!
大ファンのジョーダン・スピースやマキロイも出演していて、ゴルフ・ファンには嬉しい限り!(笑)

世界No.1のシェフラーまで演技していて、2025年5月に誤認逮捕された時のことを自虐ネタとして披露する。
「また逮捕かよ」には笑わせてもらったよ。(笑)
ゴルファー達は皆、演技が上手ですぐに俳優になれそうなほどだった。
中でも群を抜いて目立っていたのがウィル・ザラトリス!
プロ・ゴルファーの中で特徴があるわけではないのに、「俺は飛ばし屋1」の中で最初のキャディだった少年がプロになっている役どころを演じていたよ。
演技力の高さにびっくり!(笑)
ザラトリスとシェフラーの見方が少し変わってきそうだよ!

ラッパーのエミネムも出演していたよ。
世界で最も売れたラップ・アーティストなんだって?
エミネムが出てきた2000年代は、もうラップ系を聴いていなかったSNAKEPIPE。
名前は知っているけれど、正直言ってあまり馴染みがないんだよね。
「俺は飛ばし屋2」では、ヤジを飛ばす観客として登場していたよ。
エミネムは「スーパーバッド 童貞ウォーズ」を200回以上観たと公言しているコメディ映画好きらしいので、アダム・サンドラーとの共演を楽しんだのかもしれないね?

PGAツアーに反旗を翻すように設立されたLIVゴルフを揶揄するような、ゲームっぽい対戦が面白かった。
ここでもプロ・ゴルファー達が演じていたんだよね。
最終ホールのグリーンでは大いに笑ったよ!
あんな試合が実際にあったら楽しいだろうね。(笑)
ゴルフ・ファンでなくても楽しめるけれど、ゴルフ・ファンなら2倍楽しめる「俺は飛ばし屋」シリーズ、鑑賞できて良かった!

アメリカでは公開当時、ファストフード・チェーンのSUBWAYで、カリフォルニア州の1店舗を映画とコラボして「ハッピー・プレイス」に変更したという。
「俺は飛ばし屋1」で、ギルモアがSUBWAYの広告に出演しているシーンがあったことを思い出す。
更に「ハッピー・ギルモア・ミール」というメニューを販売し、映画の登場人物がプリントされカップを受け取ることができたというから、皆さんノリノリだよね!
SNAKEPIPEも、このカップ欲しかったな。(笑)

ふたりのイエスタデイ chapter28 / The Velvet Underground

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【ウォーホルのバナナが描かれた1stアルバム】

SNAKEPIPE WROTE:

先週、ROCKHURRAHが書いた「残暑見舞2025」にあったように、お盆時期から約10日程手術のために入院していたSNAKEPIPE。
日本一(世界一かも)と言われている名医に執刀してもらい、無事に退院したんだよね。
手術の翌日から立って歩けたのにはびっくり!
そして退院時も、迎えに来てくれたROCKHURRAHとともに、自分の足で帰宅できて良かったよ。
皆様、お騒がせしましたが、ここにSNAKEPIPEの復活を宣言いたします!(笑)
報告に続いて、通常のブログに戻ろうか。

当ブログのカテゴリー「ふたりのイエスタデイ」で、前回書いた「ふたりのイエスタデイ chapter27 / RUN DMC」について、ご指摘を受けてしまった。
RUN DMCについては2020年2月に「ふたりのイエスタデイ chapter17 /Sigue Sigue Sputnik&RUN DMC」として記事にしている、というもの。
6年前に書いたことを失念していたとは!
ダブった記事を載せてしまい、深くお詫び申し上げます。
恥ずかしいミスだね。(笑)

気を取り直して、「ふたりのイエスタデイ」を書いていこう。
今回はヴェルヴェット・アンダーグラウンドについてだよ!
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)は、1964年にニューヨークで結成されたバンド。
ロック史上、最も革新的で影響力のあるバンドのひとつとして知られているんだとか。
画像中央のルー・リードが作詞したのは、ドラッグ、セクシュアリティや暴力など、それまでは扱われなかったテーマというのが特徴なんだって。
ポップ・アーティストのアンディ・ウォーホル(画像左から2番め)が、デビューアルバムのプロデュースとアルバム・ジャケットを手がけ、アートと音楽の融合という点も画期的だったという。
ウォーホルが連れてきたとされるモデルのニコ(画像左)が1stアルバムのみヴォーカルとして参加している。
ヒップでクール(死語)な人たちが集まって、バンドやったってことだね。
SNAKEPIPEはリアルタイムで聴いていたわけではないので、伝聞としてお伝えしているよ。(笑)

ここからが思い出につながる話ね。
SNAKEPIPEの父親は、数回、写真展を開催したことがある。
展覧会場ではBGMを流すことができたので、SNAKEPIPEと長年来の友人Mが音楽を担当した。
手持ちの音源をいくつかピックアップし、父親に聴いてもらう。
その中で「これ、いいね!」と父親が選んだのが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sunday Morning」だった。

精神世界的な映像だね!(笑)
ゴッホの絵画作品みたいな「ぐるぐる」が出てきて、とてもアートな雰囲気。
2017年にアップされたようなので、当時は観ていない動画だよ。
デビュー・アルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」を聴きながら、父親にアンディ・ウォーホルが関係している話を伝えると、とても嬉しそうに「これに決めよう!」と瞬時にBGMが決定した。
SNAKEPIPEはCDを所持していなかったので、父が購入し、展覧会場で使用することになった。
その時のCDを今でも所持していて、愛聴しているよ!(笑)

父親の展覧会場で、SNAKEPIPEは受付に立っていた。
ふらっと立ち寄った外国人(欧米人)から英語で尋ねられる。
「この曲のタイトルは?」
展覧会のテーマにした「Sunday Morning」だったので、CDジャケットを見せて説明する。
「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、OK!サンキュー!」
暗記するように何度もバンド名をつぶやき、お礼を言って去っていった。
写真展についてのやり取りをしているのかと、父親が駆け寄ってきたけれど、質問が音楽だと分かり落胆していたっけ。(笑)

NHKで再放送されていた「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」を観る。
1989年にチェコスロバキアが革命により、共産党政権が崩壊し民主化が始まる。
チェコの反体制派から熱烈な指示を受けたのが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stだったという。
後にチェコ大統領となるヴァーツラフ・ハヴェルが偶然手にしたレコードが革命の始まりだったとされ、「ヴェルヴェット革命」と呼ばれているという。
「音楽が歴史を変えた」ドキュメンタリーで、とても興味深かったよ!
大統領になったハヴェルが衝撃を受けたのが「I’m Waiting For The Man」だったという。

ピンボケで、ズームのスピードが速いため、かなり見づらい動画だよ。
SNAKEPIPEは洋楽を日本盤で買うことがほとんどないので、対訳が載っている解説を読んだことがない。
「I’m Waiting For The Man」はどんな内容なのか調べてみようかな。

マン(The Man)=麻薬の売人に会うために、26ドル握りしめレキシントン通りの125番地に向かう俺。
ここは白人の俺にとって居心地が悪い場所。
好奇の目で見られたり、何をしに来たのか探られてしまうからさ。
気にせず「マン」を待ち続けて、ようやく「マン」がやってくる。
待たされた挙げ句やっとドラッグにありつき、安心して帰路につけたよ。

少しSNAKEPIPEの脚色が入っているけど、歌詞を要約するとこんな感じみたい。
タイトルは「売人を待つ」というスラングで、当時の26ドルは、今だと200〜250ドルくらい。
これはヘロインの相場だったらしいね。
まるでスナップショットのように街の様子を切り取り、ドラッグをテーマにした曲は斬新だったんだね。
ヒッピーが提唱する「愛と平和」とは一線を画してるよ。
まさにバンド名通り「隠れた世界」や「社会の裏側」を表現していることが分かるね。

ROCKHURRAHがデビュー・アルバムの中で好きな曲は「Venus In Furs」だって。
タイトルはマゾッホの小説「毛皮を着たヴィーナス」から取られている曲なんだね。
ジョン・ケイルのエレクトリック・ヴィオラが印象的だよ!
ROCKHURRAHはジョン・ケイルが好きで、レコードを数枚所持しているという。

こちらもピンボケの粗い画像だけど、当時の雰囲気が感じられるよね。
ウォーホルが関わったことでアートと音楽が融合されたことは前述したけれど、文学的要素も加わっているよ。
80年代日本でバンド名に「マダム・エドワルダ」と名付けたり、「ジュネ」を名乗ったりするのも同じ傾向だよね。(笑)
文学と音楽とファッションとアートなど、複数の要素を「たしなんで」いたのは、80年代の共通項だったのかもしれない。
SNAKEPIPEもROCKHURRAHも然り、だからね!

2023年3月に「合田佐和子展」を鑑賞し、ルー・リードのアルバム・ジャケットを手がけていたことを知る。
合田佐和子はかねてよりルー・リードのファンで、1975年に来日した際、インタビューをしたという。
気難しいルー・リードと打ち解け、1977年に発売されたベスト盤(日本盤)アルバム・ジャケットの依頼を受けた話が紹介されていたっけ。
合田佐和子が出会った時には、すでにヴェルヴェット・アンダーグラウンドは解散していて、ソロ活動していたんだね。
ルー・リードについて調べていたら、2008年に前衛音楽家のローリー・アンダーソンと結婚していたことを知ったよ。
今頃驚くのは、遅過ぎだよね。(笑)

今回はヴェルヴェット・アンダーグラウンドにまつわる思い出話と曲の紹介をしてみたよ。
曲を聴いたりにおいをかいだりして、ふと昔の記憶が蘇ってくることがあるよね。
やっぱり歳だからかな?(笑)