ビザール・ウォールペーパー選手権!51回戦

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【映画で印象に残っているのは「ホーリー・マウンテン」の壁だよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

部屋の印象をガラリと変えてしまうアイテムである壁紙。
「剥がせる壁紙」も購入できるので、好きな色や柄を貼って楽しむことができるね!
検索するとビザールな商品が多数販売されていて、見ているだけでもワクワクしてくる。
リフォームが趣味の方にとっては「壁紙の重要性に今頃気付くなんて」と呆れられてしまうかもしれないけどね。(笑)
ビザール・グッズ選手権」は、通常米国Amazonで購入できる逸品を紹介してきたけれど、今回はAmazon以外の店舗で販売している壁紙を紹介してみよう。

見た瞬間に笑ってしまったのがこちら!
なんでしょうか、このデザインは。(笑)
こんなにたくさんの目に見つめられて、落ち着くことができるのか?
furn. Theia Abstract Eye Printed Wallpaper, Blushは、サイトの説明によると「見守る目」のデザインだとか。
どの部屋に使用しても若々しいエネルギーを追加し、柔らかなブラッシュピンクの色合いがモダンな印象を与えます、と続いているよ!
お値段は1ロール(52cmの幅で10m)$55.99なので、日本円で約8,000円だって。
見守られたい時に購入を考えてみよう!

こちらも落ち着かないタイプだね。(笑)
Psychedelic Shapes 2 wallpaperは、とてもSNAKEPIPEの好みだよ!
一面の壁だけカラフルにしてもオシャレかもしれないね。
これはVIVIANA GONZALEZというデザイナーの作品で、デジタルプリントされた壁紙なんだとか。
最大サイズが幅10m、縦69.8cmで、お値段は$3,350、日本円で約47万円。
気分転換に買おうかなって金額じゃないね。(笑)
どうしてもこの雰囲気にしたかったら、SNAKEPIPEがペンキで描くことにしよう!

Black Mechanical Wallpaper Muralは、メタリックな部品がプリントされた壁紙なんだよね!
インダストリアル好きなSNAKEPIPEはグッときたよ。
壁紙が主張し過ぎて、テーブルや椅子が全く目立たなくなってしまう恐れがあるけど、カッコ良いよね。
ご自宅に使用する人は稀で、オシャレなレストランやショップが好むデザインかもしれないな。
お値段は1㎡で$2,935.71なので、日本円にすると41万5,000円!
壁一面なんて気が遠くなりそうな金額だよ。
ちょっといいなと思っても手が出せないなあ。(笑)

End of the Maze Undergroundは、ロンドンの地下鉄をプリントしている壁紙なんだよね。
地下迷路に迷う錯覚を起こさせるんだとか。
方向音痴のSNAKEPIPEは、自宅でも迷ってしまうのか?
そして部屋が広くみえます、とサイトに書いてあるよ。
確かに向こう側にまで通路が続いているからね。(笑)
完全なオーダーメイドなので、壁のサイズをお知らせください、とのこと。
お値段は1㎡$5.95、日本円で約850円。
10㎡必要だとしても8,500円ってことだね!
現実的な金額になってきた。(笑)
候補に入れてみよう!

続いてはこちら。
Gothic Occult Wallpaper Diabloだって。
ゴシック、オカルト、ディアブロと3つの単語が並んでいるだけでも「おどろおどろしい」よね。(笑)
他にはないタイプの壁紙をお探しの方へ、とお勧めの文言が書かれているよ。
バックの色が黒以外に白やピンクがあるのでお好みでどうぞ、とのこと。
1ロール(75cm幅7m)で$104、およそ15,000円だって。
ゴシックやオカルト・ファンにはたまらない壁紙だよね!

最後はPollock Wink 7 wallpaperね!
商品名にポロックとついていることからも分かるように、現代アーティスト、ジャクソン・ポロックをイメージした壁紙だと分かるよ。
これは2つ目に紹介したサイケ柄と同じサイトで見つけたんだよね。
ESTEVEZというデザイナーの作品だという。
最大サイズは9.5m×9.5mで$4,332、日本円で61万4,000円!
とても素敵だけど、予算的に難しいかな?
SNAKEPIPEがペンキぶちまけて、ポロックやるか。
もしくは天井からぶら下がって白髪一雄もどきで頑張ってみようか。(笑)

今回は個性的な壁紙を紹介してみたよ!
アメリカ物を探してみたけれど、他の地域ではまた違う素敵なタイプがあるかも?
アプローチを変えて検索してみよーっと。(笑)

映画の殿 第59号 韓国ドラマ編 part14

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【ROCKHURRAHがたくさん集めてくれたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回の「映画の殿」は韓国ドラマ編!
5つの作品について感想をまとめてみよう。

まずは「離婚弁護士シン・ソンハン(原題:신성한, 이혼 2023年)」から。
「離婚弁護士」と検索すると、天海祐希主演の日本のドラマがヒットしてしまうよ。
日本のドラマはほとんど観たことがないので、どんな内容なのか不明。
「シン・ソンハン」まで書かないとダメだね。(笑)
あらすじとトレイラーはこちら。

つらい出来事をきっかけに、ピアニストから法律家に転身した離婚専門の弁護士。
さまざまな事情を抱えるクライアントのため、型破りな方法で複雑な離婚訴訟に立ち向かう。(NETFLIXより)

離婚専門の弁護士シン・ソンハンを演じるのは、「秘密の森」や「シーシュポス: The Myth」でお馴染みのチョ・スンウ。
ドラマ毎に印象が変わる俳優だね。
今回は元ピアニストという役どころで、コミカルな一面も見せていた。
印象に残ったのは、いつでも行動を共にしているシン・ソンハンの親友2人との仲良しなところ。
弁護士事務所でシン・ソンハンと一緒に働いているチャン・ヒョングン役キム・ソンギュンが面白かった。
近所のラーメン屋の店主が「ラーメンを食べてる姿が素敵!」と惚れてしまうシーンが最高だった。
「あばたもエクボ」状態なので、どんな姿でも「うっとり」するのは分かるけど、ラーメン店主の脳内で麺をすすっているシーンがスローモーションでリフレインされて大笑いしたよ!(笑)
離婚に関するエピソードも興味深かったけれど、男3人の仲良しぶりがとても良かった。

このエリアのクレイジーX(原題:이 구역의 미친 X 2021年)」は、タイトルだけで「何か問題がありそうな人の話だろう」と予想がつくよね。
今の時代は、精神に障害を抱えている人は多いはず。
全く聞いたことがない病名がたくさんあるんだよね。
韓国ドラマでは自閉スペクトラム症の「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」、「サイコだけど大丈夫」やアスペルガー症候群の「ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です」など、障害がある主人公をよく見かけるよ。
「このエリアのクレージーX」はどんな話なんだろうね?

家が隣同士で、かかりつけの精神科医も同じ2人の男女。
関わりをもたずにいる方がお互いのためなのに、なぜか事あるごとに顔を合わせる羽目になり…。(NETFLIXより)

黒いサングラスをかけ、耳に花を飾る女、イ・ミンギョン。
本人にとっては人目を避け、魔除けとして花を身に着けているらしいけれど、傍からみると怪しい女だよ。
演じているのは「花遊記ファユギ」で三蔵法師役だったオ・ヨンソ。
大きなサングラスが良く似合ってるんだよね!
正統派美人女優だけれど、今回のドラマでは強迫性障害のためか、感情を爆発させることが多いエキセントリックな役だったよ。
途中から同居することになる犬がとても可愛いかった!(笑)
チョン・ウ演じる隣人のノ・フィオは憤怒調整障害という怒りを抑えることができない病気の持ち主。
最初は顔を見るのも嫌、というほど嫌い合っていたのに、次第に意識する関係になる。
小さなことで怒りを覚えたり、ガスの元栓を気にするのは、誰にでも経験あるので、いつの間にか主人公の2人に共感し応援していたSNAKEPIPE。
ただ、夜中に笛を吹くのはやめたほうが良いと思ったけどね。(笑)

椿の花咲く頃」「最高の愛」などで主役を勤めているコン・ヒョジンは「ラブコメの女王」や「視聴率女王」の異名を持つ女優なんだよね。
ROCKHURRAH RECORDSもコン・ヒョジンのドラマはいくつも鑑賞していて、好きな女優の一人!
コン・ヒョジンが出演している未鑑賞のドラマが他にないか探していたところ、「主君の太陽(原題:주군의 태양 2013年)」がAmazonプライムで鑑賞できることが分かった。
「最高の愛(2011年)」より2年後のドラマになるんだね。

ケチで傲慢で自己中な社長と、霊視能力がある変わり者の女。
そんな2人を取り巻き次々と起こるさまざまな事件を通じ、次第に2人の距離が縮まっていき・・・。(Filmarksより)

「最高の愛」と同じ、ホン姉妹が脚本を手掛けている。
コン・ヒョジンが主演だから余計かもしれないけれど、最初は男性から厭われて冷たくされていたけれど、最終的には恋愛に発展するという構成が「最高の愛」と同じなんだよね。
相手役の俳優がモデル体型のソ・ジソブで、「最高の愛」の時のチャおばさんを見本にしているんじゃないかな?
髪型までそっくりだったし。
幽霊が出てくるので、ジャンルが「ロマンス、ホラー、コメディ」になっているよ。(笑)
チング 〜愛と友情の絆〜」にも出てきたけれど、何故か「主君の太陽」にも日本の少女漫画「キャンディ♡キャンディ」のエピソードが出てくるんだよね。
「キャンディ♡キャンディ」なんて1970年代の漫画なのに、不思議だよ。
韓国でも人気があったんだろうね。
コン・ヒョジンに期待して鑑賞していたけれど、「最高の愛」のほうが面白かったよ。

「3食ごはん」「韓国No.1を探せ!」といったバラエティ番組や「奈落のマイホーム」で記憶に残る俳優イ・グァンスが主演している「サウンド・オブ・ハート(原題:웹드라마  2016年)」はウェブトゥーンが原作のドラマだという。
韓国では漫画が原作のドラマが多いよね!
左の画像にあるイラストが原作で、ドラマの中にも少し出てきたね。
顔の輪郭が「いびつ」で、絵を見ただけもコメディだと分かるよ。(笑)

とある漫画家が、彼女や家族とともに過ごすおバカな日常を描いたコメディ。(NETFLIXより)

非常に簡単なあらすじと、日本語字幕がないトレイラーしか見つからずスミマセン!
イ・グァンスは漫画家を目指す主人公チェ・ソクがピッタリだった。
ソクの兄ジュンは、「ミセン」でキム代理だったキム・デミョン。
両親や恋人役の俳優陣も、よくもこの「おバカ」なドラマに出演したものだ、と感心してしまう。
お腹を抱えて笑い過ぎて涙を流してしまったSNAKEPIPE。(笑)
卑猥ではなく、汚いほうの「下ネタ」が多いので、そこだけは要注意!
そしてこのドラマのリブート版が放映されていてびっくりしちゃう。
どうしてもう一度ドラマ化しようと思ったのか不思議でならないよ。

最後は「被告人(原題:피고인 2017年)」。
NETFLIXのマイリストにROCKHURRAHが入れてくれていたのに、ずっと鑑賞していなかったんだよね。
NETFLIXでは全26話になっているので、後回しになってしまった。
実際には18話だったようなので、編集されていたのかもしれないね。
たまにブツッと切れて変な終わり方してたもん。

ソウル中央地方検察庁のエース検事ジョンウは、どんな不正や悪も見逃さない熱血漢。
今日も暴力団のボスを逮捕し、華々しく活躍した。
その日、愛娘の誕生日を祝ったあと、幸せな気持ちで眠りについたジョンウ。
ところが目を覚ますと、そこは監獄。
妻と娘を殺した罪で服役していたのだ。
まるで状況が理解できないジョンウ。
彼は4ヶ月間の記憶を失っていた。
いったいなぜ、彼は殺人犯になったのか――?(KnTVより)

肝心な部分の記憶だけが消滅しているところがもどかしかった。
チソン演じる主役のパク・ジョンウが泣いたり叫んだりするだけだったからね。
刑務所同房の人達の交流が生まれて面白くなってくる。
まるで「刑務所のルールブック」のようで微笑ましかったよ。(笑)
みんな良い味出してたからね。
チャ・ソノ、チャ・ミノという双子を一人二役で演じたオム・ギジュンがヒール役に最適!
あれほどまでの悪人顔はなかなかいないだろうね。
「極上リベンジサスペンス」と書いてあるサイトを見たけれど、SNAKEPIPEは途中で少し「まだるっこしい」気分になったよ。
もしかしたらそれは、前述した「ぶつ切り」のせいだったかもしれないね。

タイトル曲が緊張感を煽る重要な役割を果たしていたので、載せてみよう。
耳に残るメロディなんだよね!

今回は5つのドラマを紹介してみたよ。
ジャンルが多岐に渡っていて、面白かったね!
次回をお楽しみに。

ワールド・クラスルーム 鑑賞

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【展覧会入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとう、ROCKHURRAH!(笑)
ここ数年、誕生日と休日が重なることが少なかったので、今年は休んでお祝いすることにしたよ!
森美術館で開催されている「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」を観に行くことにする。
NHKで放送している「日曜美術館」でも紹介されていたので、どんな作品が展示されているのかある程度知っていたんだよね。
テレビで紹介された作品だけではないので、実物を観てみることにした。
天気の良い暑い日、ROCKHURRAHと六本木に向かう。

前回SNAKEPIPEが森美術館を訪れたのは、2022年3月の「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」以来、ROCKHURRAHに至っては2019年12月の「未来と芸術展」からおよそ3年半ぶりの訪問になるんだね。
開館と同時刻に予約していたのにも関わらず、エレベーターを待つお客さんでいっぱい!
こんなに人が多いのかと驚いていたら、どうやら別会場で開催されているディズニー・アニメーションの来場者がほとんどで安心する。
2018年3月に鑑賞した「レアンドロ・エルリッヒ展」で、チケットを購入するまでに約40分程度並んだ苦い経験があったからね。
コロナの影響で、チケット予約制度が確立したのは喜ばしい。
安心感があるからね!

入場すると最初に展示されていたのは、ジョセフ・コスースの「1つと3つのシャベル」。
この作品は撮影禁止だったけれど、テレビでは紹介されていたんだよね。(笑)
同様にヨーゼフ・ボイスが1984年に東京藝術大学で講義をした時の黒板も撮影禁止。
こちらも日曜美術館で説明があった作品だったので、不思議に感じてしまう。
公共放送と一般レベルの撮影の違いってなんだろうね?

撮影オッケーだった作品の感想をまとめてみよう。
展覧会は「国語・算数・理科・社会・哲学・音楽・体育・総合」で区切られていたよ。
かなり「こじつけ」っぽかったけど、面白い試みだよね。(笑)

森村泰昌の作品は「社会」に分類されていた。
画像上は1989年の「肖像(双子)」で、下は2018年の「モデルヌ・オランピア2018」。
マネの「オランピア」をモチーフにした作品を、更にセルフ・カヴァー(?)したということになるんだね。
もう森村さんに何も言うことはありません!
どんどん好きなこと、やっちゃってください!(笑)
楽しみに待ってます!

2009年に森美術館で開催された「アイ・ウェイウェイ展」に行かなかったことを今でも後悔しているSNAKEPIPE。
当時は「中国の現代アーティスト」と聞いても、あまりピンと来なかったんだよね。
「漢時代の壷を落とす」は3枚の連続写真で構成された作品。
漢時代とは前漢と後漢の総称らしく、紀元前206年から紀元後220年までの中国王朝を指すという。
手前も貴重な壺らしいんだけど、「コカ・コーラ」のロゴが描かれていて、社会的なメッセージを投げかけているんだろうね。

パンクロック・スゥラップの作品は、どうやら2017年9月の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」で鑑賞していたSNAKEPIPE。
作品リストに説明がされていたので、当時撮影した画像を確認してみたら、撮影していたことが判明。
「この作品面白いね」などとROCKHURRAHに話かけていたけれど、2017年のことを失念していたよ。
パンクロック・スゥラップはPUNK ROCKではなくPangrokで、多様なメンバーで構成されたマレーシアのコミュニティだという。
「どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ」というタイトルの作品は、マレーシア、フィリピン、インドネシア3国の連合体に関しているらしい。
社会派アート集団なんだね。

「Lime Works」から大ファンになった畠山直哉の作品も展示されていたよ。
2011年10月に東京都写真美術館で開催された「畠山直哉展 Natural Stories」以来、まとまった展示を鑑賞するのは久しぶりかもしれないと思っていたら、2017年の「ヨコハマトリエンナーレ」でも作品を鑑賞していたことが分かった。
記憶力が低いなあ。(笑)
「陸前高田シリーズ」は、静謐で彼方が霞み、儚い印象を受ける作品だった。
撮影地を知らないと、日本ではない場所のように見えるスタイリッシュさは健在だね!

青山悟の作品は、「六本木クロッシング2010」「ヨコハマトリエンナーレ2017」でも鑑賞したね。
工業用ミシンでミッチリと刺繍された作品は、インパクトがあるよ。
室内を暗転させ、ポッカリと浮かび上がる展示方法は効果的だったね。
久しぶりに観たけれど、やっぱりとても好きな作品群だよ!
ウチにある工業用ミシンでも作成できるんだろうか?(笑)

今回の展覧会で最も驚いたのがアラヤー・ラートチャムルンスックのビデオ作品だったよ。
「授業」というタイトルで、教授としてアラヤー本人が出演し、引き取り手のない6体の遺体に死についての講義をしている。
ブラック過ぎるブラック・ジョークだよね!
アラヤーの経歴を調べると、「タイのシラパコーン大学で版画を学び、ドイツのブラウンシュヴァイク美術大学に留学し修士号を取得。その後、30年にわたりチェンマイ大学で教鞭をとる(森美術館より)」というから、驚いてしまう。
アラヤーも「サンシャワー展」に出品していたらしいけど、ビデオ作品は最後まで鑑賞することが少ないので記憶に残りにくいよね。
今回の作品はバッチリ覚えたよ!(笑)

宮島達男の作品は見間違うことがないよね!
少し離れて鑑賞すると、床に反射した光まで含めて美しい赤色を堪能できる。
画像は引いた状態(上)とアップ(下)を2枚つなげているよ。
上部は、まるでマーク・ロスコみたいだね!
近づくと、無数の数字が並んでいる。
LEDの一つ一つが生命を表し、9から1へとスピードを変えてカウントしているという。
0は死を意味し暗転するんだとか。
そしてまた9からスタートするというので、輪廻転生なんだね。
デジタルと仏教的な思想が融合した作品、素晴らしい!

杉本博司の「観念の形」シリーズは初めて鑑賞する作品だよ。
三次関数の数式を立体化した小さな模型を撮影したんだとか。
展示された作品の横に書かれていた数式を解くと、あの形になるんだろうね。
建築家がイメージする世界を肖像写真として作品化したという解説を読んだよ。
説明を受けなくてもカッコ良い作品群だけど、説明を受けて更に魅力が増したね!(笑)

2022年7月にミヅマアートギャラリーで開催された「くぼみに眠る海」の宮永愛子も展示されていたよ。
感想をまとめたブログで「全体的にロマンチックな少女趣味だったため、
SNAKEPIPEは少し居心地が悪くなった」と書いている。
今回の展示は全てナフタリンで作成された靴で、可愛らしい作品だったよ。
やっぱりSNAKEPIPEには向いてないかも。(笑)

福岡の太宰府天満宮に所蔵されているという田島美加の作品。
背面からのライトにより、淡い色彩が浮かび上がり神秘的だったよ。
それはまるで原始の記憶を呼び起こすようなイメージ。
夕暮れ時や朝日が昇る空を見ていた遠い祖先を連想してしまう。
田島美加は、ロサンゼルス生まれの日本人だという。
アメリカに生まれ育ったアーティストの作品をもっと観てみたいね!

ヤン・ヘギュの「ソニック・ハイブリッド」は、とてもユニークな作品だった。
まるで子供が描いたロボットみたい。
鑑賞した時は静止していたけれど、どうやら動くみたいだね。
画像左の緑と紫の作品は「移り住む、オオタケにならって」という副題が付いている。
オオタケとは、大竹伸朗ではなく大竹富江というアーティストのことだって。
背景も含めてカラフルで楽しい空間だったよ!

ヤコブ・キルケゴールの「永遠の雲」は、薄衣のようなスクリーンに繰り返し雲が映し出されるビデオ作品だったよ。
ベンチに座って鑑賞してみる。
空っぽの空間に浮かぶ雲は、ゆったりしていて観続けると意識が飛びそうになる。
重低音のサウンドも含めての作品なんだけど、SNAKEPIPEの好みとしては音がないほうが良かったかも。
調べてみるとヤコブ・キルケゴールは、サウンドと映像のアーティストなんだとか。
音がないほうが好きと言ってごめんなさい!(笑)

「ワールド・クラスルーム」は全体的に物足りない展覧会だったかも。
ワールドと銘打ってる割には、アジア中心だったし。
今まで全く知らなかった作品に興奮することが少なかったからね。
前述したように「こじつけ」感が強いな、というのが正直なところ。
次の展覧会に期待だね!(笑)

80年代世界一周 諾威編

【厳しい自然の中で培われた斯干的那維魂(読めん)】

ROCKHURRAH WROTE:

実に久しぶりとなるROCKHURRAHによるブログ記事だよ。

長い歴史を持つ当ブログであるが、ROCKHURRAH WEBLOGという割にはSNAKEPIPEが大半の記事を書いてて、ROCKHURRAHとしては「実に久しぶり」とか「最後に書いたのがいつだったか覚えてない」としか書きようがないくらいの怠慢ぶり。 SNAKEPIPE WEBLOGとタイトル変えた方が良くないか?
最近はあまり文章書いてないせいもあるけど、気の利いた言葉のひとつも出てこないのが自分でもイヤになるよ。

さて、そんなROCKHURRAHが今日書こうとしてるのがこれまた久しぶり「80年代世界一周」というシリーズ記事だ。
主に70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブについてしか語らないROCKHURRAHが、イギリスやアメリカなどのメジャーな国以外の80年代音楽を探してきて語る、といった単純な企画だ。

あまりニュー・ウェイブ先進国ではないと思われた国に意外な逸材がいたりして、その辺が好きな人には興味深いかもと思って始めてみたんだが・・・。
ROCKHURRAHがレコードを必死に集めてた時代と違い、あらゆる国のあらゆる年代の情報を得るのが難しくない時代になってるから、こんな記事自体が意味なしかも知れないね。
別にニュー・ウェイブ音楽の権威になりたいわけでないから、それはそれ、これはこれ(意味不明)。

今回取り上げるのが「諾威」とあるが、うーむ、世界情勢に疎いROCKHURRAHなので見覚えない国名だぞよ。
そもそも国名を漢字、当て字で日常的に扱ってる人はクイズ王か挑戦者くらいのもので、知らなくても特に問題はなかろう。
諾威と書いてノルウェーと読むそうな。
ノル要素もウェー要素も微塵も感じないところがすごいな、誰がこの当て字考えたの?

ノルウェーは誰でも知ってるようにスウェーデン、デンマークと共に北欧のスカンジナビア三国のひとつだが、文化面で言うならメジャーなスウェーデンに比べるとイマイチ知られてないような気がするよ。
詳細に調べたわけじゃないから、個人的な印象ね。
ちなみに一番上のスライドショーの下の小さな文字で斯干的那維と書いてるのはスカンジナビアの当て字だそうだ、ひゃー、ますます読めん。

「80年代世界一周」の題材となるバンドが割といっぱい出てきそうなスウェーデンを飛ばして、敢えてノルウェーにしてみたのは本当にイマイチなのか気になったからというわけだ。
では80年代ノルウェーのニュー・ウェイブはどんなだったのか、書いてみよう。

ノルウェーというと誰でもすぐに連想するのはサーモンやオイルサーディンなどの海産物かな。
アラスカやチリ産のサーモンもあるけど、最も知名度が高いのがノルウェー産なんだろう。
子供の頃は「釣りキチ三平」のキングサーモン編で舞台はカナダだったから、その辺が有名な産地だと思ってたけど、輸入して食べてるのは釣った天然ものではなく養殖ものだから事情が違うんだろうな。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも特に好き嫌いはないんだが、サーモンの刺し身や寿司を好んで食べることはなかった。
理由はよくわからないんだが、昔食べてうまくなかったとか何かあったからだろうね。
しかしある時、手巻き寿司のネタでとてもうまいサーモンを食べてからは積極的に食べるようになったよ。
オチはない。
ノルウェーについて何か書きたかったからどうでもいいことを書いてみたが、意味なしの数行だったな。

80年代的に言うとあまり知られてないノルウェーのバンドの中で、最も知名度が高いのがこのa-Haで間違いないだろうな。
知名度云々よりも音楽とかに特に興味なくても、この当時に青春期だった人ならば彼らの「Take On Me」はどこかで一度は聴いたことがあるだろうというくらいの、1985年の大ヒット曲だよね。
ノルウェーで活動してたわけではなくイギリスに渡ってから大成功を収めたから、故郷に錦を飾った(最近あまり言わない表現だな)ノルウェー人バンドというわけだ。

パンクでニュー・ウェイブだったROCKHURRAHは、この手のメジャー売れ線には特に興味がなかったから素通りしたバンドなんだが、ノルウェーと言うより単に北欧のどこかのバンドという認識くらいしかなかったよ。

1982年の結成以来、メンバーが変わることなく不動の仲良し3人組で、いまだに活動しているというのもビックリだ。
デビュー曲「Take On Me」はデッサンがアニメーションして実写と混ざるという、当時としては斬新なビデオが話題を呼び大ヒットしたが、実はこれより前のあまりヒットしなかったヴァージョンというのも存在しているようだ。

大ヒットしたものよりアッサリしていて簡素だけどこっちのヴァージョンの方が個人的には好ましい。
最初に売れなかったものが別のアレンジやプロデュースでヒットするというところはBムービーの「Nowhere Girl」を思い出すが、そっちの方を知らない人の方が多いか?

「Take On Me」があまりにも有名だからこの時だけの一発屋だろうと思ってたが、それなりにヒットで食いつないでいたようで、上の方のビデオも大メジャー映画「007 リビング・デイライツ」のテーマ曲だったな。
実はROCKHURRAHもSNAKEPIPEも007シリーズは1作目からダニエル・クレイグが最後を飾った「ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで(どのタイトル言われても内容がパッと思い出せるほどのファンじゃないけど)ほぼ全作観ている。
「リビング・デイライツ」は歴代ボンドの中でも一番印象が薄いティモシー・ダルトンによるもので、前のロジャー・ムーアの陽気なボンドの方が良かったよとか言いながらも、もしかしたらジェームズ・ボンドの本来の雰囲気を最も出していたのかも。
ウチでは満場一致で(2人しかいないけど)やっぱり一番はショーン・コネリーだけどね。

a-Haのテーマ曲は「Take On Me」よりは骨太でいかにも80年代ヒット曲のオーラに溢れる野心作だが、007のタイトルバックをそのまんま当てはめたようなビデオもいいね。
知名度の高いa-Haを冒頭に持ってきたが、個人的に何も思い入れがないからぞんざいな文章になってしまったし、ノリも悪いな。
やっぱりROCKHURRAHはこういうメジャーどころには疎いと痛感したよ。

ノルウェーと言えばROCKHURRAHとSNAKEPIPEにとって、ここ数年で真っ先に連想するのはアメリカのPGAツアーで活躍する若手プロ・ゴルファー、ビクトル・ホブランドだ。
ノルウェーにいても世界的ゴルファーにはなれないからアメリカに進出し、アマチュア・ランキングのトップだった逸材。
TVによく映る(つまり上位で活躍してる)割にはイマイチ優勝が少なかったが、「メモリアルトーナメント」という大きい大会で優勝して勢いに乗っている選手だ。
写真の通り見た目はいつでもヘラヘラ笑ってる印象で、失礼だが首都オセロ出身とは思えないくらいに洗練されてない純朴な青年っぽい。
うーむ、関係ない話なのはわかっていても、他にノルウェーで連想するものも少ないからちょっと書いてみただけ。

気を取り直して次に紹介するのはこれ、1980年にオスロで結成した3人組、De Pressだ。
ポーランド出身のメンバーが中心となっているため、純粋にノルウェーのバンドとは言えないのかも知れないが、ポーランドっぽいとかノルウェーっぽいとかの区別もつかないROCKHURRAHなので特に問題はない。
1980年のデビュー以来、2010年代くらいまでコンスタントに活動していた長寿バンドらしいが、日本語で彼らのことを書いた文章が悲しいほどないので、バンドの詳細とかはわかってない状況だよ。
ヴォーカルとベースのアンドレイ・ネッブというのが中心となってて、この人がポーランド人というくらいしかわかってない。

前に波蘭土編でも書いた通り、この時代のポーランドは独立派の反共産主義労働組合「連帯」と社会主義政権の間で激しく対立していて、戒厳令がしかれたために民衆の生活が破綻していた頃だと思える。
アンドレイ・ネッブ氏やその家族はそれを逃れてノルウェーにやってきたのか、もっと前から来てたのかは知らないが、誰でもそんな状況の母国は嫌になるだろうな。

そういう怒りを込めてなのかは知らないがビデオの冒頭では旧ソ連を象徴する、鎌を研ぐような危なっかしいパフォーマンスを見せてくれる。それを投げ捨てたというような意味なのだろうか?
もっとカッコ良く投げ捨てるとかの編集が出来ないものかね。この洗練されてないところが彼らの真骨頂。
ビデオの曲「Bo jo cie kochom(あなたを愛してる)」は1981年に発表した1stアルバムに収録されている曲より。

このネッブ氏、ミュージシャンというより労働者のような風貌なんだが、歌はやっぱりロシア民謡とかそっちの方の(おそらくポーランド民謡?)雰囲気、それとパンクっぽさがミックスされた粗野な感じが独特の魅力なんだろうな。
妙にきれいなコーラスが当時の英米のパンクにはない要素で、この辺は北欧メタルとかの雰囲気なのかな。
そういうヴォーカルとは対象的に英米パンクの影響をモロに受けたようなギタリストは、1981年にはまだなかったスカコアっぽい激しいカッティング(イギリスのフライズが1977年には既に開発していた手法)で当時のノルウェーでは先進的だったと思われる。

このDe Press、90年代くらいになると山岳地帯やフィヨルド、牧羊地帯などの自然をモチーフとした素朴なレコード・ジャケットが多くなり、パッとレコード屋で見ただけではニュー・ウェイブ系のレコードにはとても見えないが、音の方はちゃんとポスト・パンクなのでその辺のギャップもユニークな個性だね。

上記のDe Pressのアンドレイ・ネッブは他にもバンド活動をやっていて、それがこのHoly Toyだ。
これまたポーランド人がフロントマンなのでノルウェーの純国産バンドとは言えないかも知れないが、De Pressと活動時期がかぶってて、1982年から90年くらいに掛け持ちでやってた模様。
こっちの方はいわゆるエクスペリメンタル系と言えばいいかな。
今の目で見るとそこまで実験的とも思えないが、80年代前半のノルウェーだと思えば充分に画期的な試みなんだろうな。

ビデオは1982年に出た1stアルバム「Warszawa」や83年のシングルにも収録されていた曲より。
このアルバムはよくレコード屋で見かけていたことを思い出す。
ジョイ・ディヴィジョンの前のバンドがワルシャワだったので1回間違えたというだけの話なんだが、紛らわしいタイトルだのバンド名だのはこの時代からよくあること。
ライブ・ワイヤーというバンドのレコードをワイヤーのライブだと勘違いして手に取ったりもしたなあ。

「Down in Japan」というタイトル通り、日本の映像がメインとなって、そこに浮かび上がるアンドレイ・ネッブの顔と抑揚ない歌という構成で、プロモーション・ビデオがある自体が謎。売る気はあったんだろうな。
ちなみに今はミュージック・ビデオとかMVとか言ってるけど、80年代的にはプロモーション・ビデオ、プロモと言ってたのでウチでは80年代方式を貫くよ。

DAFの「Der Mussolini」が元気なくなったようなこの歌に比べれば、情感たっぷりのDe Pressの方がまだ好みだな。

何年か前の冬に寒がりのROCKHURRAHが買ったのがUBER(UBR)というメーカーのダウン・コートだった。
ウーバーイーツと意味合いは同じなんだけど、ドイツ語で「上質」を表すブランド名がついてるとのこと。
がしかしこれはドイツではなくノルウェーの高級アウターだそうで、日本よりずっと寒いと思われる北欧の冬を乗り切るための数々のテクノロジーを盛り込んだ機能性アウター、そして服なのになぜかインダストリアル・デザイナーがデザインしたというのが気に入って買ってみたよ。
見た目はダウンとは思えないくらいにタイトでスマート、暖かさも申し分ない。
しかし買ったサイズが悪かった。
デブと言われたことは一度もないパッと見は痩せぎすのROCKHURRAHでも、タイト過ぎて前を閉めたら身動き取りづらいという残念な買い物だったよ。

さて、上に書いたHoly Toyにも参加していたBjørn Sorknes(読めん) がそれ以前に在籍していたのがこのFra Lippo Lippiだ。
フラ・リッポ・リッピ、早口で言いにくい珍妙なバンド名だが、ルネッサンス期の有名な画家(ボッティチェリの師匠)の名前からそのまんま拝借したバンド名だな。
日本盤でレコードも出てたしa-Haの次くらいに知名度が高いノルウェーのバンドかもね。

前述のBjørn Sorknesはバンドの創設メンバーの1人だが、彼がいた初期は「ノルウェーのジョイ・ディヴィジョン」と呼ばれるほどジョイ・ディヴィジョン風味をそのまんま拝借したクリソツ・バンドだった。
さすがにこのまんまじゃ永遠にフォロワーでしかない、と思ったのか音楽性を変えてゆき、そのBjørn氏もバンドを去った後にいくつかのスマッシュヒットを放ち、一気にメジャーっぽく変身していった。
日本盤が出て知ってる人が多くなった頃とデビュー当時では全く音楽性が違うのでビックリしますわ。

ビデオはメジャー路線も板についてきた1986年のヒット曲「Shouldn’t Have To be Like That 」だ。
涼し気なメロディーと大仰ではない等身大のポップス、というような図式はイギリスのスミスとかギターポップのいくつかのバンドにも呼応するが、そういう取り入れ方もうまいバンドなんだろうな。
しかしビデオの方は実写がデッサンで塗られていったり、a-Haの「Take On Me」をさりげなくパクったような出来。
うーん、やっぱり拝借するのが上手なバンドとしか言われないだろうな。

オーロラ見たいとかフィヨルド見たいとかの観光でノルウェーは人気だと思うが、最近では格安航空券とかもあるし、大昔ほどの決死の覚悟で地の涯に飛ぶ、という感覚はないんだろうな。
物価がすごく高いらしいので行ってから苦労するかも知れないが。

亡くなった伯母が旅行大好きで、海外や国内の旅行行った写真だけで何千枚あるか?というくらいの記録を残してるんだが、今とは違って高かったからなのかあまり興味なかったのかはわからないが、北欧には行ってないようだ。
ゴビ砂漠とかまで行ってるのに。
ROCKHURRAHもどうせ欧州に行くならスペインかイタリアかイギリスか、どっちにしろウチの場合は通常の観光というよりはアートな場所の方がよほど楽しめるから、絶景やグルメよりはそっちを優先させるだろうな。
人によって魅力の場所は違うからね。

オスロに次ぐ第2の都市として有名な港町ベルゲン出身なのがこのAlle Tiders Dusterというバンドだ。
1980年から84年という短い期間しか活動してないし、知名度は相当に低いと思うけど、写真を見てわかる通りに化粧や仮装をしたアングラ劇団風のなかなか派手なバンドだったようだ。
80年代前半のオスロとかベルゲンがどれくらいの都会だったのかは知らないが、こういうちゃんとしたニュー・ウェイブ、ポスト・パンクのシーンがあったのにちょっとビックリする。
そりゃ日本よりイギリス近いし、ハンザ同盟やヴァイキングで貿易栄えてたから(時代が違う)音楽の輸出入も盛んだったのかな。

このバンドは81年から82年にアルバム1枚とシングル2枚を地元のレーベル、アポロン・レコーズから出しているが、無論日本のアポロン音楽工業(アイドルやゲーム音楽のカセットとか出してたけど)とは関係ない。

動いてる映像もあったんだが曲がパッとしなかったので、この曲を選んだよ。
聴いてすぐにヒカシューとかプラスチックス、タコの「な・い・し・ょのエンペラーマジック」あたりを連想してしまうが、ヨーロッパでもこの系統の音楽は探せば色々あるから、その辺の影響を受けたんだろう。
本人たちはPILやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンとかの影響下にあると言ってたが、そういう傾向よりはむしろこっちのチープでキッチュ(最近あまり言わないな)な路線の方が合ってるような気がする。
ヴォーカルが男女3人もいるバンドなので雰囲気も色々、これいいわ(デヴィ夫人)。

Alle Tiders Dusterは地元ベルゲンを舞台に、子どもたちを主人公にした「Carl Gustav, gjengen og parkeringsbandittene(カール・グスタフと仲間たち)」というコメディ映画にそのまんまバンドとして出演している。
1982年のノルウェー映画で日本で公開もDVD化もされてなさそうだが、この時代に流行した子供が主役のちょっとした冒険ものみたいな雰囲気が楽しそう。

「他のウェブサイトでの再生は、動画の所有者によって無効にされています」とあり動画の再生が出来なかったのが残念だが、YouTubeで観るだけなら出来るようだ。
冒頭の2:30くらいからちょっとだけなんだが、見た目も音楽も英米のニュー・ウェイブと比べてひけを取ってないという気概があるね。
せっかくアングラ劇団風なんだから演技もしてほしかったな。

北欧というとヘヴィメタルというイメージが強いけど、メタルに全く興味がないROCKHURRAHでも知ってるくらいにビッグネームは80年代で言うとスウェーデン産が多く、ブラックメタルという悪魔崇拝のジャンルが隆盛を極め、ノルウェーのバンドが有名になってきたのは1990年代以降になってからだという。
しかしノルウェーのバンドのメンバーが別のバンド・メンバーを殺害したり、教会へ放火したり、過激さが度を越し過ぎて大事件となったりで、いくら何でもこりゃやり過ぎだろ、と思ってしまうよ。
冬が寒く雪深いところだから激しいメタルで大騒ぎ、くらいならまだ良かったのにシャレにならんぞよ。

さて、知ったバンドも少ないし大して書けないだろうと予測していた諾威編だが、意外と長く書いてしまった。
最後のバンドは首都オスロで1982年に結成したバンド、前述のブラックメタルとは何の関係もないGarden Of Delight、これで終わりにしよう。

ビデオを見ればわかる通り、派手な女性を4人も含む5人組で本場イギリスにもいない本格派のポジティブ・パンク、ゴシックのバンドだった。死体役だけが男なのかな?
女性メンバーが多いこの手のバンドというとドイツのX-mal Deutschlandが同じような編成だが、ヴォーカルや演奏のスタイルはたぶん多くの影響を受けてるような気がする。
とは言ってもほぼ同時代のバンドでしかもゴシックなシーンもなさそうなノルウェーだと考えれば、Garden Of Delightはかなりポイント高いと思えるよ。
ヴィジュアル的にも良いのでもう少し頑張って音楽活動に勤しんでいれば、伝説のバンドにもなれたのに惜しい。
1984年にシングル2枚と87年にアルバム1枚出しただけで終わっていて、しかもアルバムの方は全くゴシック要素もないようなジャケットで、間違って買う人も稀だったに違いない。

この手の先駆者で絶対的女王と言えばスージー&ザ・バンシーズで、同じようなジャンルの女性ヴォーカルというと大半がスージーっぽい。
演奏がちょっと違うだけでバンシーズなのか別のバンドなのか違いがわかりにくい、などという苦情が寄せられてもいるが(ウソ)、Garden Of Delightはまあ見栄えの良さで数あるポジパン・バンドの中でも高得点をつけられると思うよ。
イギリスに渡れば良かったのにね。

以上、ノルウェーや80年代ノルウェー産ニュー・ウェイブの良さを全く伝えることは出来なかったようだが、これに懲りずにまた色々な国を探してゆきたいと思うよ。
それではまた、ハ デ ブラ!(ノルウェー語で「さようなら」)