映画の殿 第56号 韓国ドラマ編 part12

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【今回特集した4本のドラマに出演した面々】

SNAKEPIPE WROTE: 

今週は「映画の殿 韓国ドラマ」編を書いていこう!
毎日、何かしらのドラマを観続けているROCKHURRAH RECORDS。
ドラマ鑑賞を始めたのは2020年からなので、昔にヒットしたドラマを知らないんだよね。
10年以上前の作品も楽しんでいるよ!(笑)

最初に紹介するのは2009年の「チング〜愛と友情の絆〜(原題:친구, 우리들의 전설)」。
このドラマは2001年に公開された映画「友へ チング」をドラマ化したものとのこと。
映画は未視聴だけど、当時韓国で大ヒットを記録したんだとか。
いつか観てみようかな!
どんなドラマなのか、まずはあらすじを書いておこう。

幼いころからいつも一緒で、深い友情で結ばれていた4人の少年。
高校時代のある事件をきっかけに二人が裏社会へと足を踏み入れ、やがて対立することに……。(美韓-BIHANより)

プロモーション映像(?)はこちら。

全20話ある長編だった「チング」。
70年代後半の釜山が舞台で、タイプの違う4人が仲良く過ごす高校時代は、観ていて微笑ましかった。
映画「スタンド・バイ・ミー」や、ドラマ「ストレンジャー・シングス」の韓国版といった雰囲気だったからね。(笑)
「愛の不時着」で有名なヒョンビンがボクサーとして出ていたよ。
海兵隊での優秀な成績についてWikipediaに書いてあるように、プロのスポーツ選手に見劣りしない体型なので、「愛の不時着」での軍服と共に、ボクサー役も似合っていたよ。
学ラン姿で学生帽を斜めにかぶる、いわゆる「バンカラ」が、韓国でも流行していたとは驚き。(笑)

「チング」の中でSNAKEPIPEが注目したのは、4人組のうちの一人であるキム・ジュンホ。
演じていたのは、「チング」でデビューしたイ・シオン。
重たい雰囲気になることが多かった「チング」で、キム・ジュンホが出てくると空気が和むことが多かったんだよね。
そして最大の注目ポイントは、ゴルファーの松山英樹似だったこと!(笑)
あまりにも似ていて、松山本人かと観間違うほどだったよ。
「チング」以降も数々のドラマに出演して活躍しているようなので、応援しよう。
松山、ファイティング!(笑)

「チング」は後半になるにつれて、気が重くなるような展開になっていき、観るのが辛くなってしまった。
高校時代のヤンチャなエピソードや、女子校のバンド・メンバーとの恋愛話などは面白かったのにね。

続いては「他人は地獄だ(原題:타인은 지옥이다 2019年)」ね!
ヨンキによるウェブトゥーンが原作とのこと。
日本ではLINE漫画で閲覧可能なんだね!
最初のほうだけ読んでみたけど、ドラマはかなり忠実に再現してるみたい。
主役は「太陽を抱く月」や「ミセン」で有名なイム・シワン。
好青年の印象がある俳優なのに、こんなにおぞましいドラマに出演するとは驚き!
あらすじを書いてみよう。

大学の先輩が起業した会社で働くため、地方から上京したジョンウは、町外れにある古びた考試院(コシウォン)に入居するが、住人たちは奇妙な人間ばかりだった。(公式サイトより)

トレイラーはこちら。

およそ2分の予告映像だけでも怖さが伝わるよね!
古くて不潔、狭い「考試院(コシウォン)」というのは、貧困や格差社会を象徴する簡易宿泊施設のことだという。
いわゆる「訳あり」の人が住まいにする、と考えて良いだろうね。
そこに集う「地獄」を演出する住民たちの濃さが際立っていて、おぞましいんだよね。(笑)
画像右上の大家さんは、「パラサイト」のお手伝いさん、「わたしたちのブルース」ではウニを演じていたイ・ジョンウン。
笑顔が怖かった!
上の真ん中は、歯科医のムンジョ役で、「トッケビ」では死神を演じていたイ・ドンウク。
歯医者さんが考試院に住んでること自体がおかしいんだけどね。(笑)
ムンジョの顔色が青白く唇が赤いので、不気味さが倍増だったよ。
この役がぴったりだったね!
「他人は地獄だ」は、悪夢を見るくらい強烈なドラマだったよ。
原作のウェブトゥーンも読んでみよう!

「チング」の重たい空気と、おぞましい「他人は地獄だ」とは一転、ラブコメを観ることにする。
「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜(原題:최고의 사랑)」は2011年のドラマということは、今から12年の前に放映されていたんだね。
このドラマを選んだ理由は、「三食ごはん」で料理の腕をふるっていたチャおばさんこと、チャ・スンウォンが主演しているから。
「パスタ〜恋が出来るまで〜」や「椿の花咲く頃」などに出演し「ラブコメの女王」と評されるコン・ヒョジンが相手役だというから期待大!
と書いたけど、12年前に終わってるんだよね。(笑)

10年前、アイドルグループ「国宝少女」のメンバーとして人気を集めたク・エジョン。
現在は、やっとのことで芸能界にしがみついている売れないタレントだ。
彼女はある日、国民的トップスター、トッコ・ジンと最悪の出会いを果たす。
以来、何かとぶつかりあってばかりの2人だが、ジンは「国宝少女」のヒット曲「ドゥグンドゥグン(ドキドキ)」を聴くたびになぜか胸がドキドキ…!
そんな中、エジョンは人気お見合い番組にキャスティングされる。
番組の司会は、エジョンと同じ元「国宝少女」で、ジンと公認カップルのセリ。
番組に出演したイケメン韓方医のピルジュはエジョンを気に入るが、その様子を見たジンはジェラシーを感じはじめ…。(Filmarksより)

トレイラーを観てみよう!

モデルでファッショニスタのチャ・スンウォンなのに、どうしてこんなに「おバカ」な役が合ってしまうんだろうね。
「最高の愛」の中でも、ファッションのみならずアクセサリーなどの小物までキメキメ!
ナルシストで高飛車な「俺様」なのに、ギャップを感じる演技がピカイチだった。
ROCKHURRAH RECORDSが観た順番は逆だけど、2017年の「花遊記」で演じた魔王に近いキャラクターだったね。
トッコ・ジンには、毎回笑わせてもらったよ!(笑)

「国宝少女」というアイドル・グループの中心人物で、「ドゥグンドゥグン」というヒット曲を歌っていたク・エジョン。
現在は体を張った仕事も引き受ける、B級タレントなんだよね。
画像下ではカエルの着ぐるみを着てるんだけど、この姿がとても可愛かった!(笑)
コン・ヒョジンは173cmでファッションモデル、スラッとしてるからなんでも似合ってしまうのかも。
自然な演技でク・エジョンを魅力的な女性にしていたね。
「最高の愛」が2011年のドラマ部門の賞を総ナメにしたのも納得だよ!
2023年に観ても楽しめたしね。(笑)

最後は「恋慕(原題:연모 2021年)」。
このドラマは韓国ドラマ初の国際エミー賞を受賞した作品だという。
主演は「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のパク・ウンビン。
ROCKHURRAH RECORDSでは「ウ・ヨンウ」のほうを先に鑑賞していたので、「ウ・ヨンウが出ている時代劇」と言ってしまうよ。(笑)
「恋慕」は時代劇ロマンス。
韓国では宮廷を題材にするドラマが多いんだね。

時は李氏朝鮮時代。
当時は双子が禁じられていたため、彼女の生母は女児であるイ・フィを宮外へ追放せざるを得なかった。
しかし、世孫(セソン。次々期王位継承者)である兄が夭折したため、イ・フィは男装で世子となる。
彼女は毒舌の性格のため、周りが恐れている。
しかし、そんな彼女は自身の師匠となったチョン・ジウンに心が揺れるようになる。(Wikipediaより)

トレイラーね!

双子の妹なのに、運命のいたずらで男装することになったウ・ヨンウ、いやイ・フィ。(笑)
時々、本来の女性である姿で登場するんだけど、男装のほうが似合っていたのが不思議。
顔がはっきり見えたほうが良い女優なのかも。
宮廷物を最初に観たのは「太陽を抱く月」だったけど、王家の転覆を狙う反逆者がいるのは、この手のドラマでは定番なのかな。
そして反逆者はいかにも悪人顔なんだよね。(笑)
世子の付き人が、少しひょうきんで笑いを取るところも似ていたよ。
全20話あったけれど、中弛みすることもなく鑑賞できたドラマだった。
ウ・ヨンウが別人になっていたところが最大の驚きだったね!(笑)

今回は話数が多いドラマを鑑賞したよ。
ジャンルが違うドラマをチョイスしたことになるね。
どのドラマも面白いので、オススメだよ!(笑)

佐伯祐三 自画像としての風景 鑑賞

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【東京ステーションギャラリーに行く道沿いにあったポスター】

SNAKEPIPE WROTE: 

東京ステーションギャラリーで開催されている「佐伯祐三 自画像としての風景」の情報を、「日曜美術館 アートシーン」で知ったSNAKEPIPE。
佐伯祐三はSNAKEPIPEの父親が好んだ画家だったため、実家にあった画集を幼少の頃から鑑賞していたんだよね。
構図や色彩に魅力を感じたものだよ。
学生時代に美術部だったSNAKEPIPEは、美術部担当の教師とも佐伯祐三について話をしたことを思い出す。
「佐伯祐三の絵は、モノクロになっても黒が潰れてないんだよ。すごいよ」
とその教師が感嘆の声を上げたことまで覚えているよ。(笑)

恐らく今までどこかの美術館で、佐伯祐三の作品は鑑賞したことがあるはずだけど、東京での大回顧展は18年ぶりとのこと。
およそ100点以上の作品を鑑賞することができる展覧会、行くしかないよね!
早速チケット予約をしたのである。

ここで佐伯祐三の経歴を書いておこう。

1898 大阪生まれ
1918 東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学
1924 パリへ渡航
1926 日本に帰国
1927 2回目の渡仏
1928 死去

わずか30年の生涯だったとは!
そして1920年代に佐伯祐三がパリにいたということも、今回初めて知ったよ。
SNAKEPIPEがその時代に憧れを持つのも、子供の頃に佐伯祐三作品を観た記憶によるのかもしれないね?

3月後半、久しぶりに東京ステーションギャラリーに向かう。
前回は2020年7月の「開校100年 きたれ、バウハウス」だったので、約2年半ぶりになるんだね。
少し早めの時間に到着すると、ギャラリー前には大行列ができてるじゃないの!
こんな光景は初めてかも。
コロナに対する規制が少しずつ緩和されたせいなのか、予約枠を広げているのかもしれない。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHも行列の最後尾に並ぶ。
周りの観客チェックをすると、7〜8割が高齢者に見えたよ。
SNAKEPIPEの父親もファンだった画家なので、高齢者が多いのも納得だけどね!

ようやく順番になり、入場できることになった。
会場に向かうエレベーターに、身動きが取れなくなるほどお客さんを詰め込むスタッフの対応に驚いてしまう。
他の人たちも「まだ乗せるの?」と声を出していたよ。
コロナの時には、ソーシャル・ディスタンスが取れていて良かったのにね。
会場に着くと、多くのお客さんでごった返している。
初期の作品にはあまり興味がないので、少し足早に観て回ったよ。(笑)
気になる作品を紹介していこう。
東京ステーションギャラリーは撮影禁止なので、SNAKEPIPEが撮った画像ばかりではないことを書いておこう。

1924年に渡仏した佐伯祐三は、フランスの画家ヴラマンクに作品を見せ、罵倒されたことで作風を変えたとされている。
そして代表作とされているのは、パリ時代に描かれたものなんだよね。
今回の展覧会でSNAKEPIPEにとっての一番は、1925年の作品「靴屋(コルドヌリ)」。
載せた画像は、アーチゾン美術館が所蔵している「靴屋」。
会場には隣に、もう少しクローズアップした「靴屋」が並んで展示されていて、そちらは茨城県近代美術館の所蔵作品だという。
この作品には震えが来るほど、強烈に興奮したSNAKEPIPE。
大好きな作品だよ!(笑)
会場を出たところに大型ポスターが貼ってあったので、撮影できたんだよね。

佐伯祐三は、フランスの画家であるユトリロの影響を受けているといわれる。
1914年に描かれたユトリロの「ベルリオーズの家」を載せてみたんだけど、確かに雰囲気近いよね?
この家は、モンマルトルのランドマークだったらしいけれど、そう聞かなければ殺風景な建物の絵、としか思わないかも。
壁の色味が非常に好みだよ!

更に時代をさかのぼり、ユトリロに影響を与えていた写真家の話ね。
アッジェは1890年代後半から、パリの街を撮影し、画家や舞台美術家、パリ市歴史図書館などに資料として写真を売っていた人物。
アッジェの写真をユトリロも買っていたらしい。
参考に画像を載せてみたけど、ユトリロよりも佐伯祐三の作品に影響を与えてるように見えるね。
ずっと昔に、SNAKEPIPEの父親と「アッジェすごい」と話したことを思い出したよ。
アッジェ自身はアートのための撮影じゃなかったようだけど、マン・レイに価値を見出されて有名になったらしい。
佐伯祐三が最初にコンタクトしたヴラマンクも同様、アッジェも経歴が面白過ぎ!(笑)
いつか詳しく調べてみたいと思ったよ。

上のアッジェ作品にも見ることができるように、店の看板を多く作品に取り入れたのが佐伯祐三なんだよね。
「佐伯フォント」と名付けたくなる、独特のタイポグラフィが魅力的!
1927年の「ガス灯と広告」は、左に人物が2人いるけれど、主役は壁一面に貼られたポスターだよね。
1920年代のポスターといえば、2017年3月に鑑賞した「カッサンドル」の作品も貼られていただろうと想像する。
きっと佐伯祐三も目にしていたはずだよね。(笑)

佐伯祐三を知らなかったROCKHURRAHだけれど、鑑賞していくうちに興味を持ったようで、「これ好き!」と言うほどになる。
1925年の「壁」は、トマス・ルフの作品のようだよね。
タイトル通り、キャンパスいっぱいに描かれた壁と小さな窓。
「佐伯フォント」ではないけれど、タイポグラフィも入っている。
「こんなに日本人離れした画家がいたとは!」とはROCKHURRAHの言葉。
パリにはたったの3年ほどしか滞在していないのに、一体何枚描いたのかというほど多くの作品を残しているんだよね。

ROCKHURRAHが一番気に入ったのが、「ピコン」という1927年の作品だという。
黒と強い赤が印象的で、右側にある街路樹は、ほとんど一筆描きのような線だけで表現されている。
「ピコン」とは、フランスで歴史のあるオレンジ・リキュールらしいね。
ほろ苦い味わいでクセになるんだとか。(笑)
ほとんどの佐伯祐三作品は、美術館に所蔵されている中で、この「ピコン」は個人蔵と書かれているよ。
ピコンを使ったカクテルを片手に、作品鑑賞と洒落込んでいるのかもしれないね?(笑)

1928年の「モラン風景 」は、雲の表現が特徴的な作品なんだよね。
絵の具を直接キャンパスに塗ったのではないかと思える大胆さ!
親戚の誰かが、佐伯祐三本人に聞いたような解説が書かれていたように記憶しているけど、どうだっただろう?(笑)
一枚をモノクロにしてみたのは、前述した美術教師の言葉を思い出したから。
元がそんなに黒っぽい作品ではないけど、黒色の中にも濃淡があることが分かる。
美術の先生が言った通りだわ。(笑)
最晩年の、まさしく命を削りながら描いた鬼気迫る作品と知ると、より一層感慨深いよね。

展覧会のミュージアム・ショップには必ず立ち寄るROCKHURRAH RECORDS。
佐伯祐三展のチラシにも採用されていた「郵便配達夫」が、キャラクター化されてTシャツやバッグにプリントされているじゃないの!
原画のままプリントではなく、完全に漫画になっているところに驚いてしまう。
これではまるで「アルプスの少女ハイジ」のおじいさんじゃないの!(笑)
見た瞬間に「なんだ、これは!」と声を出したSNAKEPIPE。
夭折の画家として太く短い生涯を送った佐伯祐三、のようなキャッチコピーとは裏腹なオリジナル・グッズに唖然としたよ。

ミュージアム・ショップにはがっかりしたけれど、多くの佐伯祐三作品を鑑賞することができて本当に良かった!
筆使いやキャンパスのひび割れなど、間近で観ることで細かいディテールを確認できたことも嬉しかった。
改めて佐伯祐三のファンになったし、1920年代のフランスにも一層強い憧れを持ったよ!
一緒に行ってくれたROCKHURRAHにも感謝だね。(笑)

収集狂時代 第20巻 ウォッチ編 #2

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【時計で思い出すのはやっぱりこの絵だね】

SNAKEPIPE WROTE:

2019年7月のブログ「収集狂時代 第13巻 ウォッチ編」の最後に「時計はまだ他にも素敵なデザインがあるので、またいつか紹介してみよう! 」と締めくくっていたSNAKEPIPE。
今頃になって続きを書いていなかったことを思い出したよ。(笑)
早速紹介していこう。

一番最初に注目したのはこれ!
カルティエのドラゴン・ミステリー・ウォッチだよ。
龍が手に玉(如意宝珠というらしい)を持っているのは見たことあるけれど、こちらは龍が時計を抱きかかえているんだよね。
なんという美しいフォルムなんでしょ!
龍の顔立ちもキュートだし、一目惚れしてしまった。
ホワイト・ゴールドを使用した、高級感あふれる逸品!
お値段はなんと140万ドル、現在のレートでいくと1億8,400万円だよ。
最初から高額品になってしまったね。(笑)
土台をシルバーかステンレスにして、同じデザインだったらおいくら万円かなあ。
SNAKEPIPEでも手が出せるかも?(笑)

今度は小鳥がモチーフの時計だよ。
ジャケ・ドローのバード・リピーターね。
かわいい小鳥と雛がガラスケースの中に収まっているだけかと思いきや、手巻きで動くオートマタとは驚きだよ。
アオガラのつがいが雛に餌を与えたり、翼が広がったり、滝の水が流れたり、卵が孵化するというから見てみたいよね。
世界に8本しか存在しないという、この時計のお値段は?
$472,500、日本円で約6,200万円!(笑)
カルティエに比べるとお手頃に感じてしまう自分が怖い!
動いている動画はこちら。

オートマタを持ち歩けるなんて素晴らしいよね!
とてもかわいらしくて、動画だけでも満足だよ。(笑)

冒頭に載せたのはサルバドール・ダリの「記憶の固執」。
ダリといえば、ぐにゃりと曲がった時計が有名だよね。
その時計をモチーフにしたのが、これ。
オリジナルは1990年代に限定品として販売されていたらしい。
デッドストックのお値段は高くて38万円ほど。
現在は、3万円程度で手に入る模造品も多いみたいね。
画像で比較しただけでも、オリジナルの存在感が抜群!
やっぱり真似は駄目だよね。(笑)

ロジェ・デュブイの「Excalibur Roundtable」は、近付いて見る必要があるよ。
文字盤のアップが右側なんだけど、時刻を示す位置に12体の騎士がいるんだよね!
テーマは「アーサー王と円卓の騎士」とのこと。
騎士はわずか7mmなのに、細部にまでこだわり表情の違いもあるというから、実物を拝見したくなるよ。
ただし、この時計はわずか88本のみ作られたというから難しいかな?
そして気になるお値段は、$161,000、日本円で約2,100万円だって!
今回は高額商品を多く紹介してるね。(笑)

フィオーナ・クルーガーのスカル・ウォッチはインパクトあるよね。
スコットランド出身のフィオーナは、子供の頃には3年間メキシコに滞在し「死者の日」という祭りを体験したという。
確かにこれは、メキシコのスカルだもんね!
メカニカルなデザインのスカル・ウォッチ、SNAKEPIPEも欲しくなっちゃった。
載せた画像は限定12本で完売なので、別バージョンのお値段を調べてみたよ。
日本円で約400万円くらいのようだね。
いつか手に入れてみたいと思う。(希望)

今回はアート寄りの時計を特集してみたよ!
個性的で素晴らしいデザインを堪能できたよね。(笑)
また世界の逸品探しを続けていこう。

合田佐和子展 帰る途もつもりもない 鑑賞

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【展覧会のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

「この展覧会に行きたい」
ROCKHURRAHから誘われたのは三鷹市スポーツと文化財団で開催されている「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」だった。
合田佐和子の名前は聞いたことがあるけれど、作品については覚えがないSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHは音楽雑誌「ROCK MAGAZINE」の表紙や、山崎春美がやっていたタコのレコード・ジャケットなどで馴染みがあるという。
会場である三鷹市美術ギャラリーは三鷹駅直結の、非常にアクセスの良い場所なので、まるで土地勘がないROCKHURRAH RECORDSにも安心。(笑)
そもそも三鷹駅で降りたことないんだよね。

SNAKEPIPEの誕生日である3月4日は、晴れてお出かけ日和だった。
この日に「合田佐和子展」を鑑賞したんだよね!
三鷹駅に降り立ち、周りを見渡すと、駅周辺にスーパーやドラッグストアなど、こじんまりとまとまっていて便利が良さそう。
「住みやすそうな街だね」
と話しながら会場へ。
開館したばかりだけれど、すでに数人のお客さんが会場入りしていたよ。
非常に残念なことに、作品の撮影は禁止。
そのため当ブログで使用している画像は、購入した図録からなので、ご了承ください。

まずは合田佐和子の経歴をまとめてみよう。

1940 高知県高知市生まれ
1959 武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)本科商業デザイン科に入学
1963 同校卒業後、唐十郎主宰の劇団状況劇場・唐組、寺山修司主宰の天井桟敷の宣伝・舞台美術などに参加
1965〜 各地で個展・オブジェ展を開催
1971 独学で油彩を始める
1980〜 ポラロイド、パステル、鉛筆、写真、ビデオ、エッチングを発表
2003 渋谷区立松濤美術館にて「合田佐和子 影像 絵画・オブジェ・写真」展を開催
2016 心不全のため死去、享年75歳。

唐十郎の状況劇場や寺山修司の天井桟敷といったアングラ演劇との関わりについても経歴に載っているところからも分かるように、いわゆる正統派じゃない女性なんだよね。(笑)
合田佐和子が作品と共に写っている画像がこれ。
1969年に発行された雑誌の表紙だって。
いかにも60年代後半といった雰囲気!
これを観ただけで、面白そう。(笑)

会場は年代順に作品が展示されていた。
1964年頃、合田佐和子は作品を入れたダンボール箱を抱えて、美術評論家の瀧口修造を訪ねたらしい。
載せた画像の「Watch-Angels」のような作品を瀧口修造に見せたんだろうね。
シュルレアリスムやダダイズムの情報を知らず、自発的にこうしたオブジェを制作していたとは驚いてしまう。
小さな人形があちらこちらに散りばめられていて、とてもキュートだね!(笑)
そして瀧口修造から個展の開催を後押しされたんだとか。
スタートから「御墨付き」だったんだね。

「イレイザーヘッドだ!」
思わず叫んでしまったのは、1966年の「幼きものへ」。
実際には、合田佐和子は蛇をモチーフにしていたらしいし、制作年もリンチの「イレイザーヘッド」より10年も前だけど。
素材は、紙粘土や布を使用しているという。
1967年に開催された個展の案内文に、白石かずこは「異色」という言葉を書いている。
「異形」や「異端」など、「異」という漢字は、どうしてSNAKEPIPEを魅了してしまうんだろう。(笑)

1969年に銀座の画廊で開催された個展の様子。
人形のインスタレーションだという。
かなり不気味な「頭部人形」が目を引く。
江戸川乱歩の「芋虫」を連想してしまうよ。
カラーの作品は「イトルビ」と名付けられた女の顔。
ガラスケースの中で、横向きに転がされた状態の「イトルビ」を観て「欲しい!」と思ったSNAKEPIPE。
大きさは、ほんの10cm程度なのに、存在感が抜群!
表面は滑らかで、とても美しい女の顔だったよ。
これらの作品を観た寺山修司が関心を寄せたというエピソードは納得だね!

1971年から、独学で描き始めたという油絵で、最も有名なのはマレーネ・ディートリッヒをモチーフにした作品かもしれないね。
スーパー・リアリズムというのか、精緻な出来にうっとりしちゃう。
何枚もディートリッヒを描いているのに、合田佐和子自身は「ディートリッヒはあまり好きではない」と語っていたらしい。
好みの女優ではないけれど、題材としては良いということなのか。(笑)
このキャプションを読んでから、ディートリッヒの作品を見つける度に「あまり好きではないけど」と口に出しながら鑑賞したSNAKEPIPEだよ。(笑)

1974年の作品「猫眼の少女」のようなシュールな作品もあったよ!
元々暗い色調が好きなSNAKEPIPEにとっては、よだれが出そう、いや、出てしまったのがこれ。(笑)
不気味さと可愛らしさが混在していて、素晴らしいよ!
今回の展覧会は三鷹市の施設での開催だったため、カタログの販売のみで、グッズなどはなかったんだよね。
この作品を使ったグッズがあったら、絶対買ってたよ。
前述の「イトルビ」のレプリカとかも欲しかったなあ。

経歴に書いていなかったけれど、合田佐和子は1971年に渡米してるんだよね。
海外の経験があることと、洋画のスターを描く画家ということで来日したミュージシャンとの対談をしていたとか。
そしてファンだった、ルー・リードのインタビューをして、アルバム・ジャケットまで手掛けたというから、ファン冥利に尽きる経験をしてるよね。(笑)
ルー・リードといえば、ベルベッド・アンダーグラウンド!
やっぱり合田佐和子は、サブカルチャーの女性なんだね。

かつてROCKHURRAHも所持していたという「ROCK MAGAZINE」の表紙を集めたもの。
先に書いたルー・リードの一件からも、合田佐和子自身ロック好きだったみたいだよね。
「ROCK MAGAZINE」は、音楽のみならずアートや文学などにも造詣の深かった、音楽評論家の阿木譲による、かなりマニアックな音楽雑誌だったとROCKHURRAHが語る。
北村昌士の「Fool’s Mate」と共にROCKHURRAHが最も影響を受けた雑誌なんだとか。
確かに、この表紙を見て手に取る人は、ロック好きなだけじゃなくてアートにも興味がある人だろうね。
SNAKEPIPEも読んで見たかったな!

最後に紹介するのは、天井桟敷のポスターね。
これは1977年に初演された「中国の不思議な役人」。
美術は合田佐和子、衣装はコシノジュンコと書かれているよ。
これだけでも豪華なのに、出演は伊丹十三、山口小夜子って、どんな演劇だったんだろうね?(笑)
カタログに舞台のスチール写真が載っていて、いかにも天井桟敷っぽい雰囲気だったことが分かるよ。
きっとSNAKEPIPEの好みに違いない。(笑)

200点以上も作品が展示されていて、非常に見応えのある展覧会だった。
合田佐和子についてほとんど知らなかったSNAKEPIPEの心を「わしづかみ」にする、大好きな作品群に感激したよ!
そしてこの展覧会に誘ってくれたROCKHURRAHに感謝だね。(笑)