好き好きアーツ!#59 HTコレクションより part3

20230917 04

【伯母が何枚も撮っていた夕日の写真】

SNAKEPIPE WROTE:

今週で最終回となる伯母の写真特集。
まるで写真家が撮影したようなショット集で締めくくってみよう。
きっと伯母本人は、たまたまシャッターを切っただけで、プロっぽく仕上げたつもりじゃないはず。
個人的な思い出の一枚だったんだろうけどね?

工場地帯を移した写真。
まるでアンドレイ・タルコフスキーの映画みたいじゃない?
恐らくバスか電車の中から撮影したように見えるよ。
インダストリアル好きのSNAKEPIPEには、グッときた一枚。

カラーのフィルムにはよくあった赤く焼けた写真。
デジタルになってからは見かけなくなったのは当たり前。
これはカメラに何かしらの光が入ったせいで、フィルムが感光したのが原因だって。
伯母は電柱をモチーフにしていることが多いんだよね。
惹かれるものがあったんだろうね。
写真的には失敗なんだろうけど、フィルムで撮影した写真ならではの味わいがある一枚だよ。

1970年代に始まる「ニュー・カラー」と呼ばれる潮流がある。
例えば2010年8月に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore」などの写真家が有名なんだよね。
色使いが独特で、初めて観ても「懐かしい」と感じてしまう写真。
影のバランスも抜群だよ。

色褪せたカラー写真を作ろうと思ってもなかなかできないよ。
伯母の写真特集は一切加工することなく、スキャンしただけの写真を載せているので、この色合いでアルバムに貼られていたんだよね。
70年代に、アメリカのディズニーランドに行ったようで、その時に撮影されたみたい。
なんとも言えないノスタルジックな一枚だよね。

ここからは、まるで写真家の藤原新也の写真集に収められているかのような写真を載せていこう。
霧の中にぼんやりと浮かぶ街並みは、まるで映画の一コマのよう。
建物の窓を開けて撮影されたみたいだね。

神々しく光を放つ雪山。
空の藍色との対比が美しい。
満州育ちの伯母やROCKHURRAHの母は、寒さに強かったみたい。
これくらいの雪なんてへっちゃらだったのかも?

自宅で咲いた花なのか。
ピンボケ具合が素晴らしいんだよね!(笑)
上の2枚と合わせると、藤原新也の写真に見えてしまうのはSNAKEPIPEだけ?
花が好きだった伯母は、何枚も写真に記録を残していた。
その中で奇跡の一枚がこれ。
伯母本人からすると、失敗作なのかもしれないけどね?

最後はこちら。
この写真も「メメント・モリ」に含まれていても違和感がない一枚だよ。
ピンボケの雲と水面に映る光が、この世とは思えない。
じっと観ていたら、写真の上下が逆さまだと気付く。
不自然な印象を持ったのは、そのせいかもしれないね?
伯母が撮りたかったのは、雲と光なので幻想的な一枚として、このまま載せておきたいよ。

映画「ブレードランナー」の中で、レプリカントと呼ばれる人造人間達が、「自分は人間だ」と証明するために写真を所持しているエピソードがある。
子供自体の写真があるから、自分は人間に間違いないと主張するんだよね。
写真の持つ重要さにショックを受けたSNAKEPIPE。

3週に渡って特集してきた伯母の写真コレクションにも、「ブレードランナー」に似た存在証明としての意義を写真に感じたんだよね。
伯母は、どんな想いで、これらの写真を撮ったのか。
写真を観ながら冥福を祈りたいと思う。

好き好きアーツ!#59 HTコレクションより part2

20230910 02
【77年3月2日に撮影されたイギリス写真】

SNAKEPIPE WROTE:

先週に引き続き、伯母が撮影した写真を紹介していこう。
今回は旅行先でのスナップ・ショット集だよ!

先週も書いたように、満州育ちだった伯母やROCKHURRAHの母は、第二の故郷として中国が大好きだった。
これは万里の長城を観光した時の写真だと思うけど、赤い帽子を手前に写した斬新なショット!
恐らく伯母が帽子の主で、一緒に旅行した友人が撮影したものと思われる。
伯母には数多くの仲間がいて、毎回複数人と共に旅していたようだった。
時間的にも金銭的にも余裕がある生活を送っていて、羨ましいよ。

漢字から、これも中国だと分かるね。
何気ない風景だけど、少年の赤色が鮮烈な印象を残す一枚。
乗り物から撮影したのか、少し高い位置に見えるよ。
いわゆる観光地ではない場所も記録したかったんだろうね。

崩れた積荷を中心にして、何事かと窓から顔を出した人物をしっかり捉えたショット。
まるでルポルタージュみたいだよ。
このまま記事にできそうだもんね。

スナップ写真のお手本になりそうな一枚。
人民服を着ている子どもたちと左隅の女性の配置が抜群なんだよね!
ピンボケだけど、写真家が撮ったような出来栄え。
この写真も素晴らしいね。

街中での撮影。
右側の丸い台に乗っている人が交通整理をしているのかもしれない。
真正面のトラック運転手に光が当たり、バッチリと撮影者である伯母を見ているように見える。
距離があるにしても、外国人を正面から撮影できる勇気がすごい!
この一枚の中に9名の人物が写っていて面白いよ。
皆様は確認できるかな?

農作業を終えたのだろうか、馬に引かせた荷台に乗っている人物を捉えたショット。
もしかしたら伯母も荷台に乗っていて、振り返ったのかもしれない。
この写真もルポライターの記事みたいで、プロっぽいよ。
コピーつけたら広告写真になったかも?

今回は伯母の写真コレクションから、人物写真をピックアップしてみたよ!
観光地に赴くことが多かった伯母だけど、何気ないスナップもたくさん撮影していて空気感が伝わる。
トップに載せたのは恐らくイギリスの近衛兵だと思われる。
撮影された日付が1977年3月2日になっていて驚く。
1977年といえば、パンクが誕生した年とされているからね!
その年に伯母がイギリスに行っていたとは羨ましい。(笑)
どんな様子だったのか話を聞いてみたかったな、と思う。

好き好きアーツ!#59 HTコレクションより part1

20230903 10
【遺品整理で発見!大阪万博をモチーフにした写真屋の紙袋】

SNAKEPIPE WROTE:

今から1年前、ROCKHURRAHの伯母が永眠したため、遺品整理を行っているROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
SNAKEPIPEが初めて会った時には、すでに伯母は80歳を優に超えていた。
元教育者だったという伯母は、高齢になっても口調や言葉がはっきりしていて、話がとても面白かったよ。
年に数回自宅を訪れ、食事をして楽しい時間を過ごさせてもらっていた。
10年以上そんな関係が続いていたけれど、骨折がきっかけになり、伯母は施設に入所することになった。
自宅に戻りたいという希望は叶わなかったのが残念でならない。

一人暮らしだった伯母の遺品整理を引き受けることになり、1年経った現在も続いている。
タンスやキャビネットなどの大物を処分し、中に入っていた食器や書類などを見ていく。
遺品の中で最も多かったのがアルバムや写真類だった。
タンスや押し入れの奥、キャビネットの中など、膨大な数の写真が残されている。
アルバムのまま保管するのは難しいので、写真だけ剥がして保存することにした。

写真を見て分かったのは、伯母が世界20ヶ国以上を旅行していたこと。
テレビの旅番組で見たことがある場所で微笑む伯母の姿を見て驚く。
そして伯母はアルバムにコメントを残し、旅を振り返っていたようだった。

一枚一枚を見ていくと、まるで写真家が撮ったような写真があることに気付く。
このまま埋もれさせてしまうには惜しい写真がいっぱい!
そこで今週から伯母の写真コレクションを紹介していきたいと思う。
最初はモノクロームの写真にしてみよう。
アルバムから外し、何の加工もせずにスキャンしているので、色合いなどはそのままだよ。
伯母のイニシャルからHTコレクション、と名付けさせてもらおう。

伯母の母親、ROCKHURRAHの祖母のポートレート。
写っている時に笑顔を見せている写真は珍しいよ。
大抵は無表情で、ちょっと厳しい雰囲気に見えることが多い祖母だからね。
自宅の庭なのか、植物に囲まれてとても幸せそう。
この写真を見た時に、ソフィア・ローレンが出ていた映画「ひまわり」を思い出したSNAKEPIPEだよ。

恐らく伯母と伯父の子供時代じゃないかと推測する。
若い頃に亡くなってしまった伯父については、何度も話をしていた伯母。
自慢の弟だったと聞いている。
写真でも、伯父の足元を支えて、とても可愛がっていることが分かるね。
学校か公園で撮影されたんだろうか。
NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」に出てきた「肋木」が写っているね。

アンリ・カルティエ=ブレッソンが撮影したような写真だね。
スケートをしているみたいだよ。
ROCKHURRAHの母方の一家は、満州にいたという。
冬はとても寒くて、校庭に水をまいておくと、翌日にはスケートができた、と伯母から聞いたことがあるよ。
もしかしたら、この写真も学校で撮影されたものかもしれないね?

祖母と親戚?
まるで土田ヒロミの写真みたいだよ。
何の作業をしているところなのか不明だけど、「はい、チーズ」と撮られた写真じゃないね。
自然なスナップ・ショットが新鮮だよ。

高い位置から撮られた写真。
建物の上なのか乗り物から撮影してるのか。
構図が面白いよね。
場所や日時が特定できないので、日本なのか満州なのかも不明だよ。
もしかしたら中に親戚がいるのかもしれないね。
撮影の目的がよく分からないけれど、気になる写真だよ。

遊園地の写真を2枚載せてみよう。
観覧車に乗っている祖母を確認することができる。
いつなのか不明だけど、この時の観覧車には安全設備がないんだね!
楽しいというよりは怖そうな乗り物に思えるよ。
「森永ミルクキャラメル」の看板が目立つ右側の写真。
同じ遊園地の写真なのかな。
遠心力で回るタイプのアトラクションみたいだよ。
これもとても怖そうだね!

写真が変色して、縁がシルバー色になっているよ。
この色合いが素敵だよね。
教育者だった伯母の職場で撮られたのかもしれない。
女児の髪型が古めかしいね。
お遊戯していた子どもたちは、今はどうなっているのかな。

伯母が残したモノクローム写真を紹介してみたよ。
一番上は写真が入っていた紙袋で、70年の万博デザインなんだよね。
岡本太郎の「太陽の塔」や新幹線が描かれていて、レトロ・モダンでオシャレ。
来週もHTコレクションとして、伯母の写真を特集するよ!

SNAKEPIPE SHOWROOM 物件20 バスルーム編

20230827 top
【ROCKHURRAHが作ってくれたTWIN PEAKSイメージのバスルーム画像。最高!】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAHが書いた先週の記事にもあったように、現在引っ越し作業中のROCKHURRAH RECORDS。
いよいよ新居でのリフォーム工事が始まったんだよね!
業者の方が複数人来宅し、朝からトンカン音が鳴り響いているよ。
粉塵予防として、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEがいる別室出入り口にはマスカーテープが貼られた。
そのため同じ家の中に人がいることは分かっているのに、ぼんやりとした人影しか見えない状態なんだよね。
自宅で何かの工事があっても、一日中家族以外の人が在宅する経験はなかったので、不思議な気分だよ。

今までリフォームなどには縁がなかったROCKHURRAHとSNAKEPIPEだけれど、壁紙や床などについて考える必要が出てきた。
職場でも、ふと気が付くと天井や壁紙などを眺めているよ。(笑)
全然知らなかったDIYの世界。
現実的には自宅に取り入れることは難しいけれど、素敵なデザインを見るのは楽しいよね!
今回はカッコ良いバスルームを紹介していこう。

バスルームに作品を展示しているよ!
持ち主はギャラリーのオーナーなんだって。
湯船に浸かりながら、ゆったりと鑑賞するなんて羨ましい限り。
特別な防湿を施しているんだろうけど、日本の家屋では作品が「べこべこ」になること間違いないね。(笑)
よく見ると、湯船の横にも立てかけてある。
浴室で本を読む人もいると聞くので、手に持って鑑賞するのかもしれない。
トイレに取り入れたいアイディアだよ。

あまり見かけないタイプの壁!
どうやらこれは「ル・コルビュジエ風」の壁紙を使用しているらしいよ。
この「〜風」というのがポイントで、「〜テイスト」と同義語だろうね。(笑)
SNAKEPIPEは、ル・コルビュジエは建築家という肩書しか知らなかったけれど、検索するとリトグラフなどの作品がたくさん出てくるじゃないの!
色合いが美しくて独創的なので、いつかSNAKEPIPE MUSEUMで特集してみよう。
コルビュジエはん、やっぱり、ただもんじゃないわ〜!(笑)

目の覚めるようなブルー!
バスタブと壁の色味が少し違っているところが面白い。
こんな色のバスタブは見たことがないよ。
下部に曲げわっぱのような枠が貼られているところに注目すると、だんだんお弁当箱に見えてきちゃったのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
個性的な色彩のバスルーム、今後の参考にしよう!

これはレストランのトイレのようだね。
スタッフが描いたらしいんだけど、大胆な構図と色合いが迫力あるよ。
スマホで壁と自分の写真を撮ることを目的に来店するお客さんもいるだろうな、と予想する。
ROCKHURRAH RECORDSの新居も、一室をサイケデリック・アートで仕上げる構想があったけれど、時間的に難しくなったね。
本気でDIYの方だったら、満足行くまで何年も費やして完成させるんだろうけど、「にわかDIY」チームには余裕がない。(笑)
いつかこんな壁を描いてみたいよ!

最後はこちら。
床部分が透明で、宙に浮かんでいるように見えるトイレなんだよね!
床下部分が空洞みたいだけど、どんな状態なのか気になるよ。
もしかしたら下から覗き見ることができるかもしれないし?(笑)
高所恐怖症のSNAKEPIPEだったら、足がすくんでトイレまで辿り着けないかも。
独創性は抜群だけど、居心地が良いかどうかは好みがありそうだね。

今回はバスルームの紹介をしてみたよ!
自宅の中でもプライベートな空間なので、清潔で心地良くしたいよね。
更にグレードを上げて、オシャレにしたい。(笑)
色々なアイディアを参考にして頑張ってみようかな!