ビザール・ランプ選手権!21回戦

【映画「Lost Highway」に登場するリンチの手作りランプ!三角形がお洒落!】

SNAKEPIPE WROTE:

近所に新しいアジア雑貨屋がオープンしていた。
かつては部屋のほとんどをアジア系の家具や置物で揃えていたSNAKEPIPEは、その手の店を見つけるとつい立ち寄ってしまう。
木材の色合いが落ち着いていて好きなんだよね!
そこで素晴らしいランプを見つけてしまった。
少しだけ開きかけた蓮のつぼみから細く漏れる光。
昔だったら購入を即決してただろうな。(笑)

かつてのアジア系だった頃は全てを間接照明にしていたので、それはそれは暗い部屋だったものよ。(笑)
その代わりいくつもランプを置いていたっけ。
気に入ったランプを見つけると買って、置き場を考えて。
現在の部屋はアジアンテイストじゃないからね。
またいつの日かアジア系の部屋にしてみたいものだ。

ということで(?)今回のビザール・グッズ選手権はランプにしてみよう。
今までランプを特集していなかったからね。(笑)
検索してみると数多くのビザール・ランプがあったよ!
そのうちのいくつかを紹介してみよう。

これはビザールというよりは便利グッズになるのかな。
1冊の本かと思いきや、中から出てくるのはランプ!
まるで飛び出す絵本みたいな造りだよね?
これはGenerate Designが販売している「Book of Lights」という商品なんだよね。
一体どんな仕掛けになってるんだろうと思ってHPを見ていたけれど、現在は販売終了してるようで詳細については分からなかった。
販売していた時は$92、日本円で約1万円といったところだね。
Generate Designは他にも面白・お洒落グッズがたくさんあって、HP見てるだけでも楽しくなるよ!

続いてはクラゲ・ランプ!
ビザール・チェアの時も、生き物に似せたデザインを選ぶことが多かったSNAKEPIPE。
今回のクラゲもなかなかどうして!
空中をユラユラ漂っているようで素敵だよね。
これはRoxy Russellというカリフォルニアのデザイナーによる作品、「メデューサ・コレクション」。
PETボトルに使用されるポリエチレンテレフタラートを再生利用し、白くコーティングしたアルミを加えた材料を使用しているとのこと。
エコとデザインの融合だよね!
お値段はデザインによって$375〜$475、日本円で約42,000円から53,000円だね。
暗闇に1体いてもらうだけでも、うっとりしそう。
瞑想部屋に「もってこい」だね!(笑)

海洋生物のスチームパンク・バージョンもあるよ!
タコをモチーフにしたランプだね。
これはEvan Chambersの作品で、ブロンズとガラスで手作りされているという。
Evan Chambersのプロフィールによると、どうやら両親がステンドグラスの工房を持っていたようで、子供の頃から制作に携わっていたというから羨ましい環境だよね。(笑)
一つ一つにナンバリングされたパーツを組み合わせて完成させるらしい。
手間暇かかった作品のお値段は$3,600、日本円で約40万円ね。
高さ35cm幅が40cmなので、 意外と大きいよね。
かなり存在感ありそう!

インダストリアルな、非常に好みのランプを発見!
パイプを組み合わせて作られてるんだよね。
名前がSNAKEPIPEだけに、やっぱりパイプ好きなのよ。(笑)
単純な発想だけど、今まで見たことがないデザインだよね!
これはイスラエルのデザイナー、David BenatanのKozo Lampで扱っている作品。
どうやって使用するのかをYouTubeで見つけたので、それも載せておこうか。

手(?)になる部分が磁石になってるんだね。
遊び要素と実用性、そしてデザイン性と三拍子揃った小僧ランプ。
あれ?kozoは小僧なのかしら?(笑)
まるで小僧カンパニーみたいだね!
幅14cm 高さ34cm 奥行き 8cmで重さが3.8kg。
テーブルに丁度良いサイズ、さて気になるお値段は?
「お問い合わせください」としか書いてない!
しかも問い合わせページにいこうとすると「安全ではないサイト」と出てきてしまう…。
一体いくらなんだろう。気になる、気になる! (笑)

最後は「時計じかけのオレンジ」に出てくるコロヴァ・ミルク・バーを彷彿とさせるランプね!
女体モチーフは多いけれど、この部分だけを光らせるところがポイントかな?(笑)
地下にあるような、秘密倶楽部の壁にかかってたら似合いそうだよね!
これはロシアのデザイナー、Tembolat Gugkaevの作品ね。
実はお尻シリーズも展開しているので、せっかくなので載せてみよう。
なんと読むのか分からない名前なんだけど、この方の作品はどれもお洒落で面白い。
HPの造りも凝っていて、トップページから遊び心満載なの。
前にも書いたことがあるけれど、センスを売り物にしている人はHPに相当こだわっているよね。
当然とも言えるけど!
お尻シリーズはあまりエロティックに感じないのはSNAKEPIPEだけ?
これなら少し健全な店でもオッケーかもしれないよね。
とは言ってもお値段の記載がなくて分からないのよ。
気になる方はお問い合わせしてみてね!
それからお値段教えてね!(笑)

ランプについては全く検索してこなかったけど、調べていてとても面白かった。
様々な国のデザイナーの作品はとても新鮮だったよ!
このワクワクをまた体験したいと思う。

SNAKEPIPE MUSEUM #37 Joseph Seigenthaler

【自身の作品を使用したアニメーション作品。音楽がpeter gunn!】

SNAKEPIPE WROTE:

ちょっと気になるアーティストを見つけると、ブックマークに入れておくことにしている。
あとになって「あのアーティストのページを見よう」と思っても、もう一度たどり着けるとは限らないからだ。
いや、むしろ辿りつけないことのほうが多い。
特にSNAKEPIPEが検索するのは、海外のアーティストがほとんどなので、スペルを完全に覚えていることはないし、同じ検索ワードで拾おうとしても情報は移り変わっていくからね。

そんなことを習慣にしていると書いたのにも関わらず、何気なく開いたブックマークに見慣れない名前を発見する。
Joseph Seigenthaler
誰だろうと思いながらクリックしてみる。
見てびっくり!
いかにもSNAKEPIPEが好きそうな不気味な立体作品がたくさん載ってるんだもん。
随分昔にブックマークしておいて、そのまま忘れていたようだ。
自分で検索したことすら忘れているとは!とほほ。

それにしてもJoseph Seigenthalerってどう読んだらいいんだろう?
ジョセフ、もしくはヨセフは良いとしてSeigenthalerのほうが問題ね。
同じファミリーネームの人で調べてみると、アメリカのジャーナリストでJohn Lawrence Seigenthalerという方がいて、読み方はシーゲンソーラーだって。
スペル同じだからそれで良いかな?
と思ったら、その方の息子ジョンにはセイジェンタラーという読み方が表記されてる!
親子なのに違う読み方が記載されているとはね!(笑)
有名なのはジョン・ローレンスさんのほうみたいなので、シーゲンソーラーで統一しようか。
アメリカ人なので、Josephもジョセフにしようね。
それにしても全くジョセフ・シーゲンソーラーについての記事が見つからなかったということは、日本で紹介するのはSNAKEPIPEが初めてってことなのかしら?
SNAKEPIPEはどこから見つけてきたんだろうね?(笑)

ジョセフ・シーゲンソーラーについては、自身のHPにもそんなに詳しく載っていなかったので、分かる範囲だけ書いてみよう。
ジョセフ・シーゲンソーラーは1959年テネシー州ナッシュビル生まれの彫刻家/ビデオアーティスト。
1981年にメンフィス美術大学の油絵科を卒業後、いくつかの蝋人形館で働く。
1984年から1986年までセラミック・アートを学び、単位を取得。
ハラルド・ワシントン大学やモンタナ大学でセラミック・アートを教えているという。
自分の作品を使用したアニメーションの制作もしていて、それがブログ1番上に貼ったYouTube。
かなり不気味で良い感じに仕上がっているよね!(笑)
フランス人の画家アン・ギルバードと結婚、3人の娘と共にシカゴに在住し活動を続けているという。

作品はホノルル美術館やシカゴ現代美術館など世界各国の美術館に所蔵されているらしい。

この経歴だけでは、どうして絵を描いていた人が、急に蝋人形館で働くことになったのか分からないんだよね。
平面から立体へ変更するには、何かしらの理由があると思うんだけど?
これはSNAKEPIPEの想像だけど、ジョセフ・シーゲンソーラーはスーパーリアリズムの絵を描いていたんじゃないかな。
もっとリアルに近づけるため、立体に変化していったのではないか、と推測してみたよ。
ジョセフ・シーゲンソーラーの特徴の1つは、スーパーリアルであることだからね。
まるで本物にしか見えない、見事な出来に驚いてしまう作品ばかりなので、推測は正解なように感じるよ。
そしてもう1つの特徴は、その人物が最も醜く見える瞬間を定着させている、ということかな。
上の作品「Busta」(1994年)は、この人物が怒りにかられて怒鳴っているところを表しているように見える。
青筋を浮かべ、鼻にはシワが寄っているよね。
同じ人物の笑顔の瞬間を作品にしても良いのに、ジョセフ・シーゲンソーラーは、あえてこのような醜悪な表情にこだわっているようである。

ダイアン・アーバスの写真に出てくるモデルを、ハンス・ベルメールが制作したような「sisters」は1999年の作品である。
まるでピンヘッドを思わせる頭部、ぽっこり出たお腹。
全裸だけど、何故だか靴は履いている。
そして膝の部分が抜け落ちているのに、立っているように見えるのが一層不気味だよね。
上で吊ってるから固定できるんだけど、ギョッとさせられてしまう。
この作品にモデルがいたのかどうか不明だけど、目の前に生きているように見えるリアルさが怖い!
ジョセフ・シーゲンソーラーの作品は、いわゆる「カルト映画」と分類されている世界観に通じる雰囲気があって、そこが好みみたい。(笑)

日本の小説を思わせる作品もあるんだよね。
左の画像は「Pedestal」、1996年の作品である。
体型だけを見ると「芋虫」だし、テレビ台にされている様子は「家畜人ヤプー」 なんだよね。
どちらの小説もかなり「アブナイ」系なんだけど、それらの作品に近いリアルな立体作品を見ることができるとは!
SNAKEPIPE個人の希望としては、是非とも江戸川乱歩の「盲獣」の世界を制作してもらいたいと思う。
増村保造監督の映画化もなかなか良くできていたけれど、ここまでリアルにこだわるアーティストが作るとどうなるのか興味があるよ。
きっとジョセフ・シーゲンソーラーも好きなはず。(笑)
それにしてもジョセフ・シーゲンソーラーは大学の客員教授もやりながら、こういった作品も制作して発表しているってところがすごい!

上の画像は「Couple」という1993年の作品である。
男性の皮膚全体が赤い発疹で覆われている、アート作品としてはあまり見かけないタイプの人物像なんだよね。
そしてその発疹が奥さん(?)にも進行しつつある経過を表しているんだけど。
上の画像では表情が分からないので、奥さんだけ左に乗せてみたよ。
旦那さんが目を閉じ、もう運命を受け入れたかのような穏やかそうな顔立ちをしているのとは対照的に、奥さんの恐怖の顔!
私もこんな風に発疹で覆われていくの?
いくら夫婦だからって病気を共有し、運命まで共にしなければいけないの?
どうしよう、もう手から腕にまで発疹が伝染してきている!
こわいっ、醜くなりたくないっ!
と思っているように見えるんだよね。
好きだ、愛してると言いながらも、実際にはエゴイズムに支配されている人間の薄さ、のようなものまでも感じてしまうし。
その嘘っぱちをリアルに作る、という矛盾。(笑)
この作品にもモデルがいたのかどうか不明だけど、最初に書いたジョセフ・シーゲンソーラーの特徴である2つ、リアルな醜悪が存分に表現されている秀逸な作品だと思う。

先にも書いたように、もしかしたらジョセフ・シーゲンソーラーについて書いた記事は、このブログが初かもしれないので、間違った読み方や内容があった場合は許してね!
世界にはまだまだ知らない面白いアーティストがいっぱいいるね!
また探していきたいと思う。(いつも通りのワンパターン)
そして探したことを忘れないようにしないと。(笑)

劇的ビフォ→アフターpart5 

【染めQを染めてみた!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

3月6日は鳥飼否宇先生の誕生日!
鳥飼先生、お誕生日おめでとうございます。
SNAKEPIPEも2日前に一つ年を取りました!(笑)

鋲打ちが趣味だった頃、様々なタイプのスタッズを求めてパーツを売っているところに出入りすることが多かった。
例えば新宿のオカダヤ、ある時は渋谷の東急ハンズ。
記憶が正しければ、その時の東急ハンズで宣伝用のテレビで流れていたのが染めQだった。
その画面に見入って
「レザーを簡単に染められるなんてすごい!」
と感心し、「いつか試してみたい」と思ったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも興味津々で、その話題で盛り上がったものだった。

あれから10年以上の月日が経過しているのに、
「いつか試してみたい」
という思いを残しつつ、結局やっていなかったんだよね。(笑)
理由その1は、染めたいと思う品物がなかったから!
本当はあったのかもしれないけれど、染めQを思い出さなかった、というのが正確な理由なのかもしれないね?
理由その2は、軽く試してみたいと思うほど染めQがお手頃じゃない、ということだろうか。
小さい70mlサイズと大きな264mlサイズがあるんだけど、大きいほうで約2000円なんだよね!
264mlで染められるのは平均0.8平米〜1平米という。
大きさによるけれど、1本で足りない場合は更にお値段がかかるってことだからね!
二の足を踏むのも当然かな?(笑)

SNAKEPIPEが2016年の目標に掲げたのが
「面倒がらない」
ということ。
やろうと思って後回しにすることって多いからね。
「面倒だから」を理由にせず、小さなことでも自分でできることはやってみよう!と思っているのである。

そこで思い出したのが、数年前にリサイクルショップで購入したレザーのスカート!
びっくりするほどの安値で購入し、何かの材料にすれば良いとそのままにしていたスカートだったのである。
デザインは巻きスカートタイプで、前面にフラップ付きのポケットがあるのが非常に好み!(笑)
色がモスグリーン系で、傷がつきやすい表面加工のレザーだったため、いくら手入れをしても「汚れたスカート」にしか見えない。
色さえなんとかなれば、普通に着用できるんだけど、と思いながら放置されていたスカートだったのである。

ここで思い出したのが前述した「いつか試してみたい」と思っていた染めQである。
ものすごい安値で買ったスカートに使うのは勿体ない?
いや、似たタイプを購入すると考えたらお安いかも。
それに染めQをものすごくお気に入りのレザーで、初めて試すのも怖いような気もするし。(笑)

先ほども書いたようにこのスカートは巻きスカートなので、実は表面積は広いんだよね。
264mlで染められる範囲を超えてるだろうな、と思いながらまずは1本だけ購入してみる。
「室内でも染められる」と宣伝ではいわれていたけれど、スプレーが飛び散るのが怖かったのでベランダで試すことにする。
1回目の状態が右の画像。
まだまだだよねー!

散布したのは風が強い日だったので、スプレーが撒き散らされる状態になってしまった。
そのせいでスプレーの強烈なにおいが充満している。
ラッカーのにおい、なのかな。
ROCKHURRAHによると、プラカラーのにおいと同じ、だそうで。

これ、とても室内でなんて作業できないよ?
このにおいが落ちるのかあ?
心配になっちゃうよね。
上の画像で3回ほど塗った状態。
光の加減にもよるけど、黒というよりはブロンズに近いのかな?
心配していた通り、1本では足りなかったね。
スカートのサイズは135cm☓60cmなので810平米だけど、完全に色を変えてしまうためには2本必要ってことね。

1本目を購入した近所の店に出向くと…なんとブラック売り切れ!
えー!明日作業したかったのにっ!
きっと再入荷は未定だろうな、と見切りをつけてAmazonで購入。
通販のほうが早くて確実だね!
2本目は、まず裏から散布することにする。
上に書いたように、巻きスカートタイプのため、歩いたり何かしらの動きがあった時には、ペラッとめくれることがあるんだよね。
裏側のレザー部分は、そのめくれるかもしれない危険ゾーン!
ここもちゃんと塗っておかないと、急に別のカラーがチラリズムしちゃうからね!(笑)

めくれそうな部分を重点的に塗ってみた。
この後も数回塗って、多分見えても大丈夫な程度にまでなったはず!
表面とは違ってなんとなく黒っぽければ良いか、程度なのでこれで大丈夫かな。
写真がかなりピンぼけなのが気になりますなあ。

1本目の時にはブロンズ色にしか見えなかった表面にも再び散布。
洗濯をした後の、少し表面がボコボコした状態で塗っているので、どうしても角度によって色ムラがあるような気がするね。
靴とかバッグなどの、ある程度硬さがあるものへの散布だとキレイになるのかもしれないな。
それでもかなり黒っぽくなってるよね?

そしてこれがビフォ→アフター!
オイルを塗るようなお手入れはまだなので、シワシワだけどね。
色はかなり黒になったと思うよ!

初めて知った時から10年以上の時を経ての初体験!
それほど長い歴史がある染めQだけど、段階を追ってチャレンジしている記事が少なかったのが意外。
そしてレザーの洋服や靴などを染めた後、その後着用しても問題なかったのか、剥がれてきてしまったのかなどの記事は更に少ないんだよね。
SNAKEPIPEが見つけたのは1件だけで、「剥がれた」というもの。
その後その方がどうされたのかは載っていなかった。

今回のブログはここまでで書き終えるけど、追記としてその後の情報も載せたいと思っている。
染めQの実力やいかに?!(笑)

村上隆のスーパーフラット・コレクション鑑賞

【毎度お馴染み!美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2016年になって一番初めの展覧会鑑賞記事である。
なんと2015年にも村上隆の展覧会に行ってるんだよね!
ものすごく好きなアーティストというわけじゃないのに、連続してしまうとは。(笑)
ただし今回の展覧会は、村上隆がコレクションしている作品の展示ということなので、村上隆自身の作品の展示とは違うけどね!
この展覧会に関しては、かなり前から長年来の友人Mより
「面白そうだから行こうよ」
と誘われていた。
ようやく日程調整をして、ROCKHURRAHを含めた怪しい3人組、昨年10月に鑑賞した蔡國強展以来の横浜みなとみらいに集合である。

展覧会が開催されているのは横浜美術館
この美術館は企画展も良いけれど、美術館自体のコレクションも充実していて素晴らしいんだよね!
さて、今回の企画展である「村上隆のスーパーフラット・コレクション」についての説明を聞いてみようか。

村上隆は近年、独自の眼と美意識で国内外の様々な美術品を積極的に蒐集し続けています。
村上隆にとって「スーパーフラット」とは、平面性や装飾性といった造形的な意味のみに限定されるのではなく、
時代やジャンル、既存のヒエラルキーから解放された個々の作品の並列性、枠組みを超えた活動そのものを示しており、「芸術とは何か?」という大命題に様々な角度から挑み続ける作家の活動全体(人生)を包括的に表す広範かつ動的な概念と捉えられるでしょう。

スーパーフラット、という言葉に関する説明なんだけど、ちょっと難しいよね?
ヒエラルキーとか言われても、ねえ。(笑)
一応調べたので書いてみると、ヒエラルキーとは階層制や階級制のことで、主にピラミッド型の段階的組織構造のことを指す、という。
文中にあった「ヒエラルキーからの開放」とは、高低や順位やら優劣(?)などを排除した状態、ということになるのかな?
この問題については展覧会を鑑賞し終わってから、また考察することにしようか。
まずは展覧会の概要を知るため、横浜美術館が制作した展覧会のメイキング映像を載せてみよう。

メイキングを観ただけでも、膨大な数の作品が所狭しと並べられていく様子が分かるよね。
そして実際に目にした最初の部屋には、どこに何が展示されているのか分からない程の作品が並んでいたよ。
一つ一つを丁寧に鑑賞することができないほど、メチャクチャに置かれた作品群。
最初の部屋には作品名や作者に関する表示もなかったような?
この無秩序に見える状態が、もしかしたら今回の展覧会を象徴する「スーパーフラットな部屋」なのかもしれないね。
ミクスチャーの、チャンプル状態だったからね。

ごちゃまぜだったのは最初の部屋だけで、次の部屋からはちゃんと作品名やアーティスト名が記載されていた。
これでやっと誰の作品か分かるようになって安心だね!
ここからはSNAKEPIPEが展覧会の中で気になった作品を紹介していこうかな。
フラッシュをたかなければ撮影オーケーな展覧会だったので、バシバシ撮ってきたよ!(笑)
え?最近はフラッシュたく、って言わない?ほんとー?(笑)

ヘンリー・ダーガーの作品は画集などで知っていたけれど、実物を目にしたのは初めて!
自宅で一人コツコツと描きためた作品が評価されることになるのは、ヘンリー・ダーガーの死後だったという、よくある話なんだけど。
その偏愛的な作品は、物議を醸し出すであろうロリコン系!
その異常性と芸術的な高さとのバランスが魅力的なんだよね。
淡い色彩と繊細な線画がとても美しい作品だった。
ガラスに反射して「非常口」の緑色が映り込んでしまったのが残念!

このアーティストのことは知らなかったけれど、一目観て気に入ってしまった!
ロイヤル・アート・ロッジは1996年から2008年まで複数人で活動していたカナダの現代アートグループのようで。
そのメンバーのうちの2人はまだ一緒に活動していることがHPで分かるね。
色使いの美しさとモチーフの残酷さ。
まるで子供が描いたように見えるのに実は計算された構図、というミスマッチ感覚にヤラレた!(笑)

ギョッとしてしまう彫刻の作者はジュリアン・ホーバー 。
頭部に無数の穴が開いているだけで、こんなに気味悪くなっちゃうんだね!
作者のHPはなくて、所属しているギャラリーのHPに載っている情報では、1974年フィラデルフィア生まれの女性で、2002年から個展を開催しているアーティストとのこと。
彫刻だけではなく、絵も描くし、どうやらビデオ作品も制作しているみたい。
今回の穴あき頭部の展覧会の画像をみたけれど、一つでも充分なインパクトなのに、複数の頭部が展示されている様子はまさに猟奇!
実際に目にしてみたいよね!

村上隆のコレクションすごいよね。
ダミアン・ハーストも持ってるんだもん。
これは鏡面仕上げの表面に蝶々が貼り付けられている「Dreams of Magnificence」という作品なんだけど、死骸と知った後でも「キレイ!」と感想を持ってしまう。
ダミアン・ハーストの作品に死はつきものだと思うけれど、グロく見えない美しさだった。
鏡みたいになっていたから、周りが映り込んでしまい撮影に苦労してしまう。
ただし、左に載せた作品だけの画像で見ると鏡面仕上げが分からない感じ。
実際に観るのと画像で見ることの違いがハッキリするよね。
それにしてもこの画像は、どうやって撮影したんだろう?
何か特別な撮影方法あるのかしら。
誰かやり方教えて!(笑)

ROCKHURRAHから「この作品撮影して!」とリクエストされた。
どうしたのかと尋ねると、ソニック・ユースのキム・ゴードンがプッシー・ガロアのバンド名を作品にしてるから、という。
ソニック・ユース!
なんとSNAKEPIPEと友人M、かつてソニック・ユースが新宿ロフトで行ったライブに行ってるんだよね。(笑)
2時間開始が遅れたこと、ライブ途中でSNAKEPIPEがコンタクトレンズを落としたこと、などのどうでも良いことだけを覚えていて、肝心のライブはうろ覚え!
なんでライブに行ったのかも不明だよ。(笑)

「えーーっ!」
友人Mが声を上げながら駆け寄る。
どうしたのかと思うと、この作品の作者はジェイク・アンド・ディノス・チャップマン、通称チャップマン・ブラザーズだったんだよね!
かなり過激な作品を発表しているため、作品の評価は賛否両論というイギリス人兄弟に関して、友人Mが興味津々だったことを思い出す。
日本での個展開催は難しいかもね?と言い合っていたので、一つでも作品が観られて良かった!
それにしてもやっぱり不気味な雰囲気だったね。(笑)

チャップマン・ブラザーズの後に鑑賞した作品が更に不気味だった!
ギレーヌ&シルヴァン・ステランの作品を2体撮影してみたんだけど、まるで民族学博物館などで並んでいるような、呪術で使われる人形みたいじゃない?
原始宗教とか「まじない」といった、現代アートとはあまり馴染まない単語が次々と頭に浮かんでくる。
素朴な材料を使用しているのも、余計に部族っぽいし。
非常に怖い作品で、とても気に入ってしまった!(笑)
HPにはもっとたくさんの不気味ちゃん達がいるので、気になる方はチェックしてみてね!

横浜美術館入り口にはドーンと大きなアンゼルム・キーファーの作品が「どうだ!」と言わんばかりに鎮座していたけれど、それらの作品も全て村上隆のコレクションだったことは帰宅後知った。
そうそうたる現代アートのスター達の作品群を所有している村上隆、やっぱりすごいね!
今まで知らなかったアーティストの素晴らしい作品もたくさんあって、鑑賞できて良かったと思う。

そして文頭で投げかけた「スーパーフラット」の意味は、恐らく作品の評価や金額、アーティストが有名か無名かなど、一切の垣根を取り払って
「これが好き」
「この作品、欲しい」
と村上隆が思った物をコレクションしている状態を指すのだろうと思った。
それは同時に「分かる人にだけ分かれば良いアート」といった「現代アート=難しい」という敷居の高さも取り払って、感じたまま、思うまま鑑賞すれば良いという姿勢も感じられたし。
これってSNAKEPIPEが「家に持って帰りたいと思う」作品に巡りあって、嬉しかったと思う気持ちと全く同じで、更に当ブログで展開している「SNAKEPIPE MUSEUM」の趣旨なんだよね。
実はちょっと胡散臭いと思っていた村上隆だけど、今回の展覧会で見直してしまったよ。

それにしても、村上隆は膨大なコレクションをどこに保管してるんだろうね?
これも大きな謎だ!(笑)