Mark Leckey Fiorucci Made Me Hardcore 鑑賞

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エスパスルイ・ヴィトン エレベーター前の看板】

SNAKEPIPE WROTE:

現代アート好きの友人Hと待ち合わせ、ジャイルギャラリーで「GOMA ひかりの世界」を鑑賞した話の続きを書いていこう。
ランチに向かったのは、友人Hが「素敵なところ」とお勧めしてくれたお洒落なイタリアン・レストラン。
予約していなかったけれど、すんなりテラス席に案内してもらう。
この店名は、もしや?
SNAKEPIPEの記憶にある「80年代に大好きだった店」が蘇ってきた!
看板をみると「since 1977」と書いてあるので、間違いないよ。
当時は珍しかった「全粒粉パン」「白いパン」や具材を選び、その場で作ってくれたサンドイッチ屋さんだったんだよね。
気取ってランチを頂いたものよ。(遠い目)
今はイタリアンの店になっていたんだね。
チョイスしてくれた友人H、ありがとう!(笑)

ゆったりしたランチ・タイムを過ごした後、次に向かったのはエスパスルイ・ヴィトン!
「ギャラリーに行きたいんですけど」
ドアマン対策を万全にしたおかげで(笑)すんなりエレベーターを案内される。
アジア系のお客さんが案内係の男性と共に、先にエレベーターを待っていた。
同じエレベーターに乗り込むと、案内係が「何階ですか?」と聞いてくるので「ギャラリーです」と応じる。
アジア系の方々は「本当のお客さん」なので、5階で降りていったよ。
「レセプショニスト、ってバッジつけてましたね」
友人Hが案内係を観察していたようだ。
「昔ならエレベーター・ボーイじゃない?」
などと言っている間にギャラリーに到着。
鑑賞前にまず化粧室に立ち寄る友人HとSNAKEPIPE。
ルイ・ヴィトンで最初にトイレに行くとは、大物感あるわあ。(笑)

いよいよ会場へ。
実はジャイルギャラリー同様、エスパスルイ・ヴィトンでの展示についても全く予習してこなかったSNAKEPIPE。
今回はMark Leckeyの「Fiorucci Made Me Hardcore feat. Big Red SoundSystem」という展覧会が開催されている。
ここからはマーク・レッキーと表記していこう。
初めて聞くアーティストなので、経歴を調べてみようか。

1964 イギリスのバーケンヘッド生まれ
1990 ニューカッスル工科大学にて学士号取得
1999 「Fiorucci Made Me Hardcore」を発表
2005-2009 ドイツのシュテーデル美術大学で映画学の教授を務める
2008 ターナー賞を受賞

今年60歳のアーティストなんだね。
ターナー賞受賞者で、大学教授まで経験しているアーティストだったとは!
これは帰宅後調べて知った事実で、会場入りした時には知識ゼロだからね。
先入観なく素直に作品と対峙できるってことだ。(笑)

暗い会場に足を踏み入れると、大きめの音量と巨大スクリーンが見える。
エスパスルイ・ヴィトンの係の方がにこやかに駆け寄ってくる。
「ごゆっくりご覧ください。撮影もできます」
最初から言ってもらえると助かるー!(笑)
お礼を言って、早速映像作品に目を向けるSNAKEPIPE。
ダンス・シーンが続いている映像なんだよね。
これが展覧会タイトルの「Fiorucci Made Me Hardcore」で、フィオルッチとはファッション・ブランドのフィオルッチのことだって。
80年代を知っている人にとっては懐かしいブランドだよね。
直訳すると「フィオルッチが俺をハードコアにしてくれた」になるね。(笑)
それにしてもルイ・ヴィトンの会場でフィオルッチとは良い度胸してるわ。
YouTubeに「Fiorucci Made Me Hardcore」の映像があったので、載せてみよう。

改めて最初から最後まで観てみたよ。
70年代から90年代のクラブ(ディスコ)でのダンス・シーンを、マーク・レッキーがアレンジした作品だという。
ファッションと音楽が個人のアイデンティティや文化的背景に与える影響を象徴的に表現し、ノスタルジアや文化の変容を探求する作品として評価されているんだって。
日本とイギリスの違いはあるけれど、サブカルチャーやファッション、そして音楽を栄養源として育った人には、共感できる題材だよね!
最後まで観ると、少し寂しい気持ちになるのは、「踊っていたあの頃」を思い出すからかな?

ね、そう思わない?と話しかけようとすると、友人Hの姿が見えない。
どこに行ったのか周りを見渡すと、スクリーンの真後ろにある赤い作品の前で微動だにせず立ち尽くしている。
この作品は一体何?
「サウンド・システムですね」
友人Hが答えてくれた。
サウンド・システムって聞き覚えがあるなあ。

90年代によく聴いていたのが、サウンド・システム「Stone Love」だったことを思い出した!
ジャマイカで本場のダンスホール・レゲエ体験していたわけではなく、CDを愛聴してたんだよね。
サウンド・システムとは、「野外ダンスパーティを提供する移動式の音響設備、および提供する集団を指す(Wikipediaより)」とのことなので、機材だけでもサウンド・システムなんだね。
友人Hは音質の良さに圧倒され、じっくり観察していたという。

サウンド・システムの後ろの天井部分には、巨大なフェリックス・ザ・キャットが寝転んでいる。
かなりの大きさ!
どうやら身長(?)12m、胴体が5mもあり、送風機で空気を送り膨らませているみたいだね。
マーク・レッキーなりの解釈でフェリックスを題材に選んでいるようだけど、意味を理解しなくても良いような?
観た瞬間に驚かせるのが現代アートだからね!(笑)

最初の映像もトニー・パーマーが1977年にテレビのために撮影した映像などを編集した作品で、フェリックスもオリジナルではない。
マーク・レッキーは「レディ・メイド」を得意にしているのかもしれないね?
帰ろうとした時、エスパスルイ・ヴィトンの係の方がにこやかに近寄ってくる。
そしてマーク・レッキーが来日し、オープニング・セレモニーの時にシャンパン片手にサウンド・システムの音量を上げてご機嫌だった話を教えてくれたよ。
「その音を聴きたかった!」
友人Hが残念そうに言う。
本当に耳の人なんだね。(笑)

1日に2つのギャラリーを鑑賞できて楽しかった。
どちらも初めて知ったアーティストなので、知識が増えて嬉しいよ。
そして同じ感動を味わった友人Hに感謝!
また約束しましょ。(笑)

GOMA ひかりの世界 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

現代アート好きの友人Hと久しぶりに約束することになった。
前回は、「Holidays In The 散歩 ファーレ立川」で、立川に点在するパブリック・アートを散策した2023年11月のことなので、約半年ぶりになるんだね!
友人Hから、表参道のジャイルギャラリーへのお誘いを受けたので、今回は表参道〜原宿を歩くことに決定。
せっかくだからエスパス ルイ・ヴィトンにも行ってみよう。
「おかしな服装でも入れますか?」
友人Hからの問いに、全く問題ないですよ、と回答するSNAKEPIPE。
軽く答えてはみたものの、例えば2021年10月の「ギルバート&ジョージ Class War, Militant,Gateway」などで、居心地の悪い思いもしてるんだけどね。(笑)
堂々としていればいいんです。
きっとそれがポイントなんだよ!(ふふふ)

友人Hと約束したのは、「紫外線対策は万全に」と天気予報で言っていた通り、気温が高くしっかりと晴れ間が見える日だった。
天気に恵まれて良かった!
オープン時間の11時に友人Hとジャイル・ビルの前で待ち合わせる。
先に待っていてくれた友人Hは、SNAKEPIPEを認めた瞬間に笑い転げるじゃないの!
「服装がかぶってる!」
確かに2人とも、モノトーンのワンピースにスニーカーで、まるでニコイチ・ファッション。(笑)
似た趣味の者同士、服の好みまで似通っているとはね!

ジャイルビルの前でオープンを待っていた人たちが、続々とビルの中に入っていく。
そのあとに続き、友人Hとジャイルギャラリーに向かう。
今回は「GOMA ひかりの世界」という展覧会が開催されているんだよね。
一番で会場に入った男性2人組が最初の作品を熱心に鑑賞しているので、トップ画像用の撮影ができないSNAKEPIPE。
友人Hをお待たせしてしまい、申し訳なかったよ。

やっと撮影し、会場へ。
その途端に全身を包み込む不思議な音。
全く学習しないでギャラリーに来てしまったけれど、どうやらアーティストのGOMAは、オーストラリア先住民アボリジニの伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者なんだとか。
ディジュリドゥは1000年以上前から使用されている、世界最古の管楽器とのこと。
鼻で息を吸い、口で吐く循環呼吸で演奏するんだって。
SNAKEPIPEが習っているピラティスも鼻で吸って口で吐くんだけど、胸式呼吸なんだよね。
循環させながら息を長く保って、演奏するのは難しいだろうね!

まるで僧侶がお経を一斉に唱えているような、耳からだけではなく毛穴から体内に沁み込んでくる音に戦慄する。
夏の暑い日、竹藪の中でセミの大合唱を聴いたことを思い出したよ。
意識が飛び、自分がどこにいるのか分からなくなる神秘的な体験だったっけ。
あの時の感覚に近い音を聴いている気がしたSNAKEPIPE。
会場には白一色だけの作品が並んでいて、音響との相乗効果でめまいが起きそう。
友人Hがいなかったら倒れていたかも。(おおげさ)
白い画面に近づいてみると、「こんもり」と盛り上がった点や線が確認できるよ。
絵の具の厚みが模様になっているんだね!

会場に設置された文章やパンフレットに「GOMAは2009年交通事故に遭い、事故の後遺症によって意識を失っているときに見た光景を描いている」と書かれている。
白い光が見えるという。
これは「チベット死者の書」に書かれている「チカエ・バルド(死の瞬間のバルド)」で、光が現れる状態と同じじゃない?
ということは、GOMAは何度も臨死体験を繰り返してることになるのかも。
敬愛するデヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」にも、ローラのお父さんであるリーランドの死に際に「into the light(光の中にお行きなさい)」とクーパー捜査官が言うところあったよね!
またリンチのネタを書いてしまった。(笑)

予習しないで訪れた展覧会で毛穴から音が入り、幻惑され、絵の中(宇宙)に吸い込まれそうな体験して大感激したSNAKEPIPE。
そうなのよ、言葉じゃなくて感覚が大事なんだよね!
友人Hの神経も刺激されたようで、2人でホクホクしながら次の会場に向かう。
ヒモみたいな「のれん」をかきわけると、第2章は撮影禁止エリアだった。
今までジャイルギャラリーで撮影不可だったことなかったのになあ。
展示されていたのは大型の作品で、素晴らしかったよ。
「発光体に色がついてきて『脳と体が合体する』のを感じると意識が戻る」とサイトに載っている。
白の世界からカラーの作品に一転したのは、現れた光が白から着色されて近寄ってきたイメージなのかもしれないね。
ここで意識が戻ったのかもしれない。

撮影できなかった第2章から、またヒモみたいな「のれん」から出ると、グッズと作品が販売されていた。
何か記念に欲しい!
作品まで販売されていて、お値段33万円!
お金に余裕があったら購入してたよ。(笑)
友人Hは迷わずCDを手に取り、レジに進んでいく。

レジにいた男性が立ち上がり「ありがとうございます」と挨拶してくれる。
「サインしましょうか?あの、本人です!」
えっ、ええーーーっ?
本人ってまさか、あの、GOMAさん?
なんと、本当にアーティストご本人だったんだよね!(笑)
レジの人だと思ってたから、これにはびっくりんこだよ。
自分から「本人です」と名乗るアーティストって珍しくないか?
友人HはCDにサインを書いてもらっている。
SNAKEPIPEもCD気になったけど、やっぱり曼荼羅っぽいTシャツに決めた。
「わざと大きくしてワンピースみたいにしたらカワイイ」
という友人Hのアドバイス通り、XXLにしてみたよ。
パンフレットにGOMAさんのサインをいただき、更に3ショットで記念撮影もしてもらう。(笑)
とても良い経験ができたよ!
ジャイルギャラリーに誘ってくれた友人Hに感謝だね。

GOMAさんの演奏がYoutubeにあったので、載せさせていただこう。

これは2009年、今から15年前の映像みたいだね。
もしかしたら事故に遭う前で、まだ絵を描いていない頃なのかもしれない。
かなりダンサブルで、聴いていると踊りだしたくなるリズムだね。
ジャイルギャラリーの会場で耳にした音は、瞑想するのに似合う宗教的な雰囲気だったので、印象が全然違うよ。
ディジュリドゥという楽器が、モンゴルのホーミーやブライアン・ジョーンズの「ジャジューカ」などと同じように魂に響くことが良く分かる。
帰宅後ROCKHURRAHに話すと、「ああ、ディジュリドゥね」と即答されてしまい、ちょっと悔しい。
SNAKEPIPEだけが知らなかったのか。(涙)
世界にはいろんな楽器があるんだね!

音楽と映像と絵画を駆使して表現活動しているGOMAさん、初めて知ったアーティストだったよ。
あれ、いつの間にか「GOMAさん」ってさん付けになってる。
会話して記念撮影させてもらったしね!(笑)

友人Hとはこの後、ランチを楽しくいただき次の会場に向かう。
この続きは来週にしよう!
次回をお楽しみに。(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #70 Eli Lotar

20240602 08
【1929年の作品「ラ・ヴィレットの食肉処理場にて」】

SNAKEPIPE WROTE:

約3ヶ月ぶりに更新するカテゴリー「SNAKEPIPE MUSEUM」では、Eli Lotarを紹介していこう。
読み方はエリ・ロタールで良いのかな。
1920年代から30年代にかけて活躍した写真家なんだよね!
経歴を調べてみようか。

1905 パリに生まれる
1926 パリでジェルメーヌ・クルルの助手となる
1929 ジョルジュ・バタイユが編集した雑誌「Documents」に写真が掲載される
1930 ジャック=アンドレ・ボワファールとスタジオをパリに設立
1933 ルイス・ブニュエル監督「糧なき土地」の撮影監督を務める
1934〜 フリーランスの写真家として活動
1939 結婚し、娘が生まれる
1960〜 アルベルト・ジャコメッティと住み、彫刻のモデルを務める
1969 死去

錚々たる名前が出てきたよ!
バタイユ、ブニュエル、ジャコメッティだって。(笑)
1920年代のパリにいたら、有名な人達との交流があるんだろうな。
エリという名前だから、てっきり女性だと思っていたら、男性だったよ。
載せた画像は、パリのポンピドゥー・センターが所蔵している「1925年頃撮影された作者不詳」のエリ・ロタール肖像写真だという。
20歳くらいだと思うけど、甘いマスクの持ち主(死語)だったみたいだね!

ROCKHURRAH RECORDSでは、エリ・ロタールの作品を以前鑑賞していたみたい。
2011年3月の「シュルレアリスム展~ポンピドゥセンター所蔵作品」で、すでにお目にかかっていたんだね。
SNAKEPIPEは、ちゃんと図録も購入してたし。(笑)
13年前の記事の最後に「シュルレアリスムはまだこれからも勉強していきたいジャンルだね!」と書き残していた通り、SNAKEPIPEの探求は続いているよ。

エリ・ロタールの作品を観ていこうか!
「シューーーールーーーーッ!」
と叫んでしまいたくなるほど、絵に描いたようなシュルレアリスム写真作品じゃない?
絵に描いたような写真、という表現は間違ってるけど、とても分かり易いシュルレアリスムの例だと思う。
「Hôpital des Quinze-Vingts」は1928年の作品だという。
陳腐だけど、病院の廊下に時計というと、死が刻々と迫っている様子なのかな?
この背景、ROCKHURRAHが2016年8月に作成した「ROCKHURRAH RECORDS残暑見舞い2016」によく似ているよ。
記事によれば、どうやらSNAKEPIPEの具合が悪くなったらしく、ROCKHURRAHが急にブログを担当することになったらしいので、どうやって残暑見舞いを作ったのか謎だね。(笑)

「Punishment(罰)」は1929年の作品。
膝のあたりから下だけが残されていて、とても怖いよ。
靴のサイズや雰囲気から推測すると、少年の足元じゃないかな。
立ったままなので、瞬時に吹き飛ばされてしまったように見える。
もしくは義足かもしれないね?
ハンス・ベルメールの作品か、四谷シモンが作っている途中の人形みたいだよ。
足元の荒れたレンガも効果的で、印象に残る作品だね。

「Draining of the Zuiderzee」は1930年の作品で、撮影地はオランダだって。
シュルレアリスムというよりはドキュメンタリーのジャンルになるのかな。
どうやらフランスでは1928年から1945年まで650号が刊行された「Vu(ヴュ)」というグラフ雑誌があったらしい。
アメリカの「ライフ」より先を行ってたんだね!
名だたる写真家の作品が掲載されていた雑誌で、エリ・ロタールも活躍していたんだとか。
まさに「決定的瞬間」を捉えてるよね!

年表の1929年にあったジョルジュ・バタイユ編集の雑誌に載ったのが左の作品。
「Aux abbatoirs de La Villette(ラ・ヴィレットの食肉処理場にて)」は、エリ・ロタールの代表作だね。
ジョルジュ・バタイユが「食肉処理場というのは宗教に所属する」と書いた、「ドキュマン第6号」の挿図として採用されたんだとか。
屠殺というのが、宗教的に供物と同義であるというのは理解できるね。
この作品は静寂と残酷さが共存していて、構図もバッチリで素晴らしい!
バタイユが絶賛したのも納得だよ。(何様のつもりだ?)
一番上に載せたのは、足部分のクローズ・アップ。
近づいて撮ったんだろうね。

「ラ・ヴィレットの食肉処理場」第3弾。
かなり生々しく、ぬめりまで感じられる作品だよね。
牛に見えるけど、パッと見た時には敬愛するデヴィッド・リンチ監督作品「イレイザーヘッド(原題:Eraserhead 1977年)」に登場する赤ん坊(通称スパイク)に似ていると思ってしまったSNAKEPIPE。
なんでもリンチに結びつけるのは悪いクセかも。(笑)
リンチといえば「6月5日に何かがやってくる」と謎のメッセージを動画で配信していて、気になってるんだよね!
一体どんなサプライズがあるのか楽しみに待っていよう。(笑)

今回はシュルレアリストの写真家、エリ・ロタールを特集してみたよ!
1920年代のアーティストについて調べると芋づる式に、様々な名前が登場してきてワクワクしちゃうね。
エリ・ロタールが関係していたアーティストも気になるので、調べてみよう。
SNAKEPIPEの勉強はまだまだ続くよ!(笑)

ROCKHURRAH紋章学 ペントアワード編3

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【ピストルズ好きならコレクションしたいパッケージだね】

SNAKEPIPE WROTE: 

世界的に有名な国際的パッケージング・デザイン・コンペティションである「pentawards(ペントアワード)」で、特賞であるダイヤモンド賞を受賞した作品を特集する第3弾!
第1弾第2弾はリンクを参照してね。
今回は2018年から紹介していこう。

Mutti(ムッティ)は1899年に創業したトマトを使った保存食を提供するイタリアの企業だという。
ムッティが限定品としてデザインを依頼したのが、イタリアのAuge Design
「今までで一番美しいトマト缶」と大絶賛され、満場一致でダイヤモンド賞が決定したんだとか。
伝統ある企業がシンプルで高級感のあるデザインで勝負したら、やっぱり強いよね。
Auge Designのサイトに、まるで日本の家紋をモチーフにしたような缶のデザインが載っていて、観ていて楽しいよ!
赤と白とゴールドの3色だけ使用しているのも印象的。
シンプルイズベストのお手本だよ。
ムッティのトマト缶は日本でも手に入るようなので、濃厚なトマトの味を堪能してみたいね!

2019年はMicrosoftのXbox Adaptive Controllerのパッケージがダイヤモンド賞を受賞している。
ROCKHURRAH RECORDSは任天堂とPlayStationは所持していたけれど、Xboxはあまり詳しくないよ。
Xbox Adaptive Controllerとは、身体に障害があるゲーマーがゲームをより簡単にプレイできるように設計された特別なゲームコントローラーで、自分のニーズに合わせてコントローラーをカスタマイズすることができるという。
一体型で展開するようなパッケージは、製品の保護と小型化に成功しているんだね。
デザインを手掛けたのは、Mark Weiserというインダストリアル・デザイナーだって。
障害がある人が簡単に開けられるようにする、といったアクセシビリティにも配慮したデザインに仕上げた点も大賞受賞の決め手になったんだろうね。

2020年はAir Vodkaが受賞している。
これはCO2(二酸化炭素)と水のみを原材料とするウォッカなんだって。
CO2を空中から抽出し、それを純粋なエタノールへと変えることができる技術を採用し、ボトル1本で450グラムのCO2を除去できるという。
そんな技術がある事自体驚きだよ!
本当に名前通りに「エア・ウォッカ」なんだね。
どんな味なのか、とても気になるなあ!
パッケージは再生可能で、水筒や花瓶、キャンドルホルダーなどの他の用途に使用できるという。
透明感のある美しいパッケージだから、並べておきたくなるよね!
パッケージ・デザインを調べていると、知識が増えて楽しいよ。(笑)

2021年はキューバのEminente Reservaというラム酒がダイヤモンド賞に選ばれている。
アルコールのパッケージ・デザインが選ばれることが多いような?
キューバの形がワニに似ていることから「ワニの島」という別名があるとは知らなかったよ。
その名前の由来から、瓶の表面をワニ皮仕様にしているところがお洒落!
ゴツゴツした質感は、きっと滑りにくいだろうし。(笑)
2020年のエア・ウォッカ同様、この瓶も飲み終わった後も使用可能だね。
カッコ良い瓶なので、醤油とか「みりん」は似合わないだろうなあ。
ラム・マスターが作ったというエミネンテ、一度飲んでみたいね!

気球のようなデザインは、一体なんだろうね?
画像だけでは大きさが分からないから、謎が深まるばかり。
もう一枚画像を乗せてみよう。
これは中国のUrban Forest Lifestyle Limitedが手掛けたネック・ピローなんだね。
ケースとして使用している気球部分をポンプにすることで、簡単に空気を入れることができ、ボタンを押すと空気が抜ける仕組みなんだとか。
手のひらサイズの大きさみたいだから、持ち運びも便利!
どうやらアマゾンでも販売されていたようだけど、完売しているよ。
デザイン性と機能性がある、面白い逸品だね!

2023年の受賞はCASA MARRAZZO 1934
1934年創業のカーザ・マッラッツォ社は、トマトを中心とした保存食品を生産しているという。
今回受賞したデザインを手掛けたのは、なんと2018年に大賞を受賞したAuge Designだって。
2回も受賞するとは、素晴らしいよね!
ブランドのノスタルジックなエッセンスをとらえ、洗練された温かみのある素朴なスタイル、と評価されたらしい。
透明なガラス瓶に大きく描かれているのは家庭用品のイラストとのこと。
伝統的な道具と現代的なデザインのマッチングがアート作品のようで美しいよね。
この瓶も並べて飾りたくなるよ!

2018年から2023年までのダイヤモンド賞受賞作品を紹介してみたよ。
デザインに加えて環境に配慮したサスティナブルな部分にも注目されていることが分かったね。
今年の審査も始まっているようで、最終結果発表は11月頃なのかな。
ペントアワードにはたくさんの賞が授与されているので、今度はSNAKEPIPE独自の好みでパッケージ・デザインを選んで特集してみようかな。
次回もお楽しみに!