映画の殿 第52号 韓国ドラマ編 part8

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【誰がどのドラマに出ていたか分かるかな?】

SNAKEPIPE WROTE: 

2022年6月に書いた「映画の殿 第51号 韓国ドラマ編 part7」の最後に「Netflixだけにとどまらずアマゾンプライムにも手を出した」ことを告白していたSNAKEPIPE。
アマゾンプライムに、どうしても観たいドラマがあったからなんだよね!

それが「怪物(原題:괴물 2021年)」。
韓国のゴールデングローブ賞といえる、百想芸術大賞で三冠を獲得したサスペンス・ドラマで、長年来の友人Mからも強力に勧められていたんだよね!
このドラマが観たいためにアマゾンプライムに加入。(笑)
Netflixでは放映してなかったからね。
まずはトレーラーを載せてみよう。

続いてあらすじね。

エリート警察官のジュウォン(ヨ・ジング)は片田舎のマニャン派出所勤務を命じられる。
パートナーを組むことになったのはドンシク(シン・ハギュン)。
実はドンシクは20年前に妹を連続殺人事件で失い、その容疑者となった過去があった。
そんな中マニャンで20年前と同じような猟奇殺人事件が発生。
事件の捜査を始めるジュウォンだったが、かつての事件の資料が消えていたり、警察庁次長の父から捜査しないよう命じられる。
町ぐるみで何かを隠しているのではと感じたジュウォン。
実はジュウォンがマニャンにやってきたのはある理由があった。
そして一方のドンシクも胸の内に秘密を抱えていた。
ジュウォンとドンシクはお互いに疑いの目を向けながら共に事件を捜査することに。
(KNTVより)

田舎を舞台に猟奇殺人事件が起きる、というのは敬愛するデヴィッド・リンチの「ブルー・ベルベット」以来、大好物の題材なんだよね。(笑)
閉鎖的な住民達が全員怪しく見えてくるところが秀逸だった。
警察官のドンシクが、正義の人というよりは最も危険な人物に思えたし。
笑った顔がここまで怖い俳優って、なかなかいないんじゃないかな?
百想芸術大賞の男性最優秀演技賞を獲ったのも納得!

今までに相当な数の韓国ドラマや映画を観てきているROCKHURRAH RECORDSだけど、カン・ジンムク役の俳優の不気味さには目を見張ったよ!
イ・ギュフェで検索すると、どうやら「愛の不時着」にも出演していたようだけど、北朝鮮軍の第3課長では記憶にないなあ。(笑)
画像は載せてないけれど、ドンシクの相棒として一緒に捜査するジュウォンを演じていたのが、「太陽を抱く月」で子役だったヨ・ジング。
友人Mから教えてもらうまで気付いてなかったよ!
ROCKHURRAH RECORDSが「太陽を抱く月」を観たのが割と最近だから、見違えちゃうよね。(笑)
「イカゲーム」でヤクザ役だったホ・ソンテが、時々ロシア語を混ぜながら話すところが面白かったよ。
「怪物」は、時間が経ったら、もう一度観たいと思う。

次は「バガボンド(原題:배가본드 2019年)」。
謎の旅客機墜落事故で、甥を亡くしたスタントマンのチャ・ダルゴンは、悲しみに暮れながらも、事故の真相を突き止めるため、国家情報院の工作員、コ・ヘリと協力するも、やがて時間と共に惹かれ合ってしまうというストーリーだよ。(Wikipediaより引用)
トレイラーはこちら。

制作費が日本円で22億円と言われる超大作だけあって、海外ロケに派手な爆破シーン、たまげてしまうよ!
下手なアクション映画より、ずっと出来が良いんじゃないかな?
スタントマン役のイ・スンギを観たのは初めてだけど、アクション俳優かと思っていたら元々歌手だとは。
ちなみにイ・スンギは「国民の弟」だって!(笑)
ヒロイン役には元ガールズグループのメンバーだったペ・スジ。
こちらは「国民の初恋」と呼ばれているんだとか。
「バガボンド」は、これからどうなるんだろう、と思っているところで突然終わってしまい、「バガボンド2」はないのかとヤキモキさせられてしまった。
今のところ続編の情報は入っていないので、尻切れトンボで終わりなんだろうね。
手に汗握るほどの白熱した展開にワクワクしていただけに、残念でならないよ。

似たジャンルのドラマが続かないように配分して選んでいるので、次はヒューマン・ドラマにする。
私たちのブルース(原題:우리들의 블루스 2022年)」の舞台は済州島のプルン村で、人生晩年、挫折や出発点に立つ人情溢れる生活をする人々を描いた作品なんだよね。(Wikipediaより引用)
短いものでは9話だったり、大抵が16話で完結するドラマが多い中、「私たちのブルース」略して「わたブル」は20話まである長編!
短編小説よりも長編を好むSNAKEPIPEに朗報だね。(笑)
そして田舎を舞台にしているところもポイント高めだし。
トレイラーはこちら。

主人公は「プルン村の住人たち」なので、1話ごとに主体となる人物が変わるタイプの、いわばグランドホテル形式のようなドラマなんだよね。
2話連続で主体になることもあれば、数話開いてからチョイ役で出てきたり。
住人それぞれの人生にスポットが当たり、物語が展開していく。
登場人物は、ほとんどが中年以上なので、誰しも多少なりとも心に傷を持っている。
田舎では、住人は皆知り合いで、小さい頃からの記憶は共有されているんだよね。
憎みケンカしても、最後には仲直りする共同体で、人情味にあふれているよ。
「わたブル」では韓国の有名俳優人が顔を揃えているので、見応え充分!
ウニ役の大好きなイ・ジョンウンはもちろんだけれど、特筆すべきはイ・ビョンホンだね!
どちらかというと二枚目な役が多い印象だったのに、「わたブル」では「しょげて」うだつの上がらない中年男を見事に演じていた。
イ・ビョンホン、すごい!と感心したSNAKEPIPEだよ。

劇中で使用されていた「Whiskey on the Rock」が気になったのでYouTubeを載せよう。

「わたブル」の第1話の映像が流れているね。
SNAKEPIPEも歌えるように練習しようかな。(笑)

「わたブル」は、ウニ達と同年代か、それ以上の年齢の人には、より一層身近に感じられるドラマじゃないかな。
人間、ある程度年を重ねると、いろんなことがあるもんね。
プルン村の住人に、シンパシーを感じながら鑑賞する人もいるかもしれない。
せつなさやおかしさなど、複雑な感情を持ちながら観る、深いドラマだったと思う。

最後はこちら!
「ルーガル(原題:루갈 2020年)」は、ウェブトゥーンを原作にしたドラマなんだよね。
「梨泰院クラス」をはじめ、漫画が原作のドラマはいくつか観ているけれど、その中でも「ルーガル」は飛び抜けてチープ感が漂う。
それがいかにも漫画っぽくて良いのかもしれないね?(笑)
出演者のせいもあるし、間抜けな展開のせいかもしれない。
あらすじとトレイラーはこちら。

テロ集団「アルゴス」によって目の前で妻が殺され、また自身も両目を失ってしまった刑事カン・ギボム(チェ・ジニョク)。
全てを失ったギボムであったが、人工眼を移植することを条件にアルゴスの処断だけを目的とする警察の特殊組織「ルーガル」に入らないかとの提案を受ける。
人工眼の移植が成功し、人間兵器として生まれ変わったギボムは、他のチーム員たちと協力し世界を支配しようとする機械兵器を作る絶対悪「アルゴス」に立ち向かっていくのだが…。
(KONESTより)

 

人工眼を移植されたカン・ギボムが、若い頃の野口五郎に見えてしまうのはSNAKEPIPEだけ?
「ルーガル」に所属するチーム長が郷ひろみに似て蝶なので、余計におかしくなってしまった。(笑)
野口五郎は眼を、郷ひろみは腕が義体化されてるんだよね。
悪の組織「アルゴス」での悪者のほうが上手で、特殊な訓練を受けているはずの「ルーガル」メンバーが手こずっているところが間抜けだった。
途中でメンバー全員が色違いのレザー・ジャケットを着用するシーンでは、まるでゴレンジャーみたいだったし。(笑)
そうしたチープさを楽しみに最後まで観ていたよ。
最後はお粗末な展開で、少しガッカリ。
原作通りなのかもしれないけど、もう少し落とし所が違っていたら感想が変わったかもしれないな。

今回は4つのドラマをまとめてみたよ!
「怪物」と「わたブル」はとても良いドラマだったので、オススメだね。
「イカゲーム」「カウンターズ」「地獄が呼んでいる」「D.P.」など、続編が発表されているドラマも楽しみ!
いつ公開されるのか情報をチェックしないとね。(笑)

中野信子『数学的崇高』についての脳科学的考察/細谷巖 突き抜ける気配 鑑賞

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【銀座 蔦屋にあるギャラリーの壁を撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

ROCKHURRAHの影響でタイポグラフィに興味を持つようになったSNAKEPIPE。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催される企画展情報は、マメにチェックしているんだよね。
今回は「細谷巖 突き抜ける気配」だって。
日本の広告デザインの第一人者として活躍してきたらしいけれど、SNAKEPIPEはよく知らないよ。
銀座だったら、他にも面白そうな展覧会があるはずなので、検索してみよう。
銀座 蔦屋書店のアートギャラリーで開催されている脳科学者である中野信子の『数学的崇高』についての脳科学的考察」ってどんな展覧会だろう?
中野信子は、NHK BSで放映されている「英雄たちの選択」のコメンテーターとして出演しているので、ROCKHURRAH RECORDSではお馴染みの人物なんだよね。
せっかくなので2つの展覧会を「はしご」してみることに決定!

ROCKHURRAHと一緒に銀座に向かった日は、湿度が高く日差しもあって、とても暑かった。
少し歩くだけで汗だくになるほど。
まずは銀座シックスの蔦屋に向かう。
今までも何度か訪れたことがある銀座シックスだけど、服飾の店舗はいつでもガラガラ。
SNAKEPIPEが心配することはないけれど、売上取れているのかなあ?
蔦屋書店が入っている6Fへ。
中央にあるイベントスペースでは、複数人のアーティストによる「Since 1989 NOMART -アーティスト×工房展-」が開催されていた。
名和晃平の作品も展示されていたよ。

中野信子の展覧会は、FOAM CONTEMPORARYという、別の会場で開催されていた。
扉を開けて中に入り、受付の女性に撮影について尋ねるとオッケーとのこと。
そして観賞用の「特別なスマホ」を手渡してくれる。
中野信子は東大で工学部応用化学や大学院では医学系研究科脳神経医学などを専攻し、現在は東京芸大の大学院で科学とアートの研究を行っているという。
この展覧会は脳波を使った作品とのことなので、今まで観たことがないタイプの作品に出会うはずだね!

脳波を可視化したという作品。
「3種類の波動が交錯する様子を1画面に収め、2.5次元のプリント技術で作品にした」
という説明がされているよ。
会場では、訪れた人の脳波をスクリーンに映し出すイベントが行われていた。
それが上の画像なんだけど、自分の脳波なんて見たことないもんね。(笑)
どうやら脳波の活動パターンというのも、指紋や声紋などと同様に、個人個人に違いがあるんだって。
この形の人はこんな性質、みたいな分析もできるのかなあ?

壁には、複数のQRコードが印字されているキャンバスが展示されていて、受付で渡された「特別なスマホ」をかざすことで作品が浮かび上がる仕掛けになっていた。
ROCKHURRAHにかざしてもらって、SNAKEPIPEが撮影してみたよ!
中野信子の脳波パターンが出現する。
解説によれば「中野信子のポートレート」とのこと。
まるで脳核だけを残して、全身義体化した「攻殻機動隊」の世界じゃない?
ってことは、このポートレートは中野信子のゴースト、といえるのかもしれない。

AIを使った作品もあったよ。
載せた「mandala」というシリーズは、AIに抽象概念を入力して得た結果を蓄積したものだという。
AIと抽象という相反する企画自体が興味深いよね。
「AIは時間を16分割、もしくは32分割する」という解説が面白かった。
合理的な考えでは16時間になるのかもしれないね?
何をどのようにしたら、こんな図が完成するのか不明だけど、とても美しい作品だったよ!

脳波やAIとアートの融合は、これからどんな形に発展していくのか楽しみ。
頭が良い人は発想力があるからね!
中野信子の旦那様は大阪芸術大学アートサイエンス学科の准教授だとか。
まさに、アートと科学の融合なのね。(笑)
お互いに刺激し合って、楽しそうな関係と想像するよ。
中野信子の本も読んでみたいね!

続いて向かったのは、ギンザ・グラフィック・ギャラリー。
2021年1月の「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」を鑑賞した時以来だね。
ROCKHURRAHは2020年3月の「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」から2年半ぶりになるのかな。
ちょうどその頃からコロナの影響が出てきていたので、仕方ないね。

細谷巖について少しだけ書いておこうか。
1935年、神奈川県生まれ。
1953年、高校卒業後、ライトパブリシティ入社以来、69年間同じ会社に勤めているという。
現在は取締役会長だって。
1955年、日宣美展特選以降、数々の栄冠に輝く。
画像後ろに写っている「オスカー・ピーターソン」が受賞作のようだね。
2001年、紫綬褒章。
2014年、旭日小綬章を授与されている。

代表作とされる「男は黙ってサッポロビール」やキューピーマヨネーズの広告が展示されていないのが不思議。
あまりにも有名だから省かれてしまったのか?
できれば「全仕事」として一緒に並べて欲しかったな。
展示されていた作品は、ズバッとクローズアップ、もしくは顔のアップが多様されていて、インパクトの強さを感じるよね。

50年代から日本の広告業界を牽引したグラフィック・デザイナーということが分かる。
業界では知らない人はいないほどの有名人のはずなのに、今回の展覧会の展示方法はシンプル過ぎて、展示数も非常に少なくて残念だった。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで鑑賞した中では、最も面白みに欠ける展覧会だったかもしれない。
無料とは思えないほど充実している展覧会を行う場所と認識しているので、ガッカリしてしまった。(笑)
次回はもっと満足のいく展覧会をお願いしたいね!

大人社会科見学—アド・ミュージアム東京—

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【アド・ミュージアム東京を外から撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

近場で行ってみたい場所として、以前より候補に上がっていたのが、汐留にある「アド・ミュージアム東京」だった。
ここは公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団が運営している施設で、入場無料なんだよね!
事前予約を済ませ、汐留に向かったのである。

アド・ミュージアム東京は、汐留駅直結のカレッタ汐留というビルの地下2階なので、道に迷うことはないよ。
予約時間の12時少し前に到着すると、すでに入場を待つ列ができていた。
お客さんのほとんどは10代の女の子達で、ちらほら年配者が混ざっている状態だよ。
行ったときは夏休み期間だったせいもあるし、入場無料も影響してるだろうね。
入り口で名前を確認され、会場へ。

「ニッポン広告史」として、江戸時代の広告からスタート。
江戸時代が想像以上に進んだ文化を持った時代だったことは、NHKの「浮世絵 EDO-LIFE」などを観て知ったROCKHURRAH RECORDS。
当時の人たちは、美味しいご飯食べたり、オシャレをしたり、旅行に出かけたりして現代人と、それほど違いがない暮らしぶりだったみたいだよね。
載せた画像はお店の看板だったのかな。
左から「櫛屋」「鍵屋」「かつら屋」「両替屋」「あめ屋」だって。
ここで驚くのが、江戸時代に「かつら屋」があったこと!
調べてみると、歌舞伎役者などが使用していた以外に、お侍さんも使っていたらしいよ。
看板が残されてるくらいだから、愛用者が多かったのかもね?

続いては明治時代の広告コーナーへ。
浮世絵の中に洋装の人物が描きこまれた「木村屋」の宣伝や、商品のポスターが並んでいた。
「味の素」や「アサヒビール」のレトロな広告は、入場者にも大人気。
ガラス面で光ってしまうため、斜めからの角度で撮影してみたよ。
この中にあった「ミツワ練歯磨」のポスターが鏡になっていたので、ミュージアム・ショップで衝動買い!(笑)
大正時代のデザインって好きなんだよね。

戦中〜戦後の広告では、標語のようなポスターが多かった。
大正時代までの商品を宣伝するために作られた広告とは、まるで性格が違っているよね。
左上の「買わないですませる工夫」は、現代でも通用する工夫で、納得しちゃう。
「何がなんでもカボチャを作れ」も、かなりインパクトが強いポスターだよ。
「必勝食糧」になっているカボチャは、代用食として栽培が奨励されたという。
戦後の広告では、少しずつ現代に近づいてきて、ホッとしちゃうね。

広告がライフ・スタイルをリードする、というコーナーでは、懐かしい80年代の広告が並んでいたよ。
2021年1月に鑑賞した「血が、汗が、涙がデザインできるか」の石岡瑛子の手によるポスターもあったね。
確かに80年代は広告が面白かった!
大好きなニュー・ウェイヴの音楽がCMに採用されていたり、遊び心に溢れた広告が多かったように記憶しているよ。

昭和初期に発行されていたポスター研究雑誌や、お菓子のパッケージなどが観られるコーナーで発見したのが不二家のミルキー。
いつ頃販売されていたパッケージなのか記録するのを忘れてしまったよ。
舌をペロッとさせているところは今でも同じだけど、顎のラインがいびつ。
なんといっても目が怖い!(笑)
ペコちゃんは誰でも知ってるキャラクターだけど、こんな顔で売り出されていたこともあるとは。
強い衝撃を受けたSNAKEPIPEだよ。(笑)

隣のブースでは「ほほ笑みをとりもどす世界の広告-Good Ideas for GoodⅢ-展」という、世界の面白いCMが展示されていたよ。
SNAKEPIPEが面白いと思った2作品を載せてみよう。
残念ながら日本語字幕付きは探せなかったよ。

メキシコ最大の航空会社・アエロメヒコ航空が実施した驚きのキャンペーン広告なんだよね。
なんとメキシコのDNAの割合によって、航空券を割引くんだって!
恐らく一般的には、メキシコの血が濃いというのは歓迎されないように思うけど?
CMでは「私はもっとメキシコの血が濃いはずよ」などと逆ギレするんだよね。(笑)
アメリカ人へメキシコへの旅行を促すためのキャンペーンだったとはいえ、逆転の発想で話題をさらうところが素晴らしいと思ったよ。

ブラジルでは「This Coke is a Fanta(外側コーラでも中身はファンタ)」という言葉がLGBTQを揶揄しているんだとか。
その言葉通り、コーラ缶の中身をファンタにした商品を売り出し、ゲイ・パレードとコラボ。
LGBTQへの偏見を逆手に取ったコカ・コーラの作戦勝ちだね!
紹介した以外にも、わざとスペルを間違えたロゴで正規品を販売した、ファッション・ブランドのディーゼルのCMなども企業側のアイディアに感心させられたよ。
結構ドギツいCMもあったけれど、世界レベルになるとさすがに面白かった!(笑)
日本の企業だったら、恐らくゴー・サインが出ないようなキワドい内容に触れるCMを率先して制作し、好感度をアップさせているんだもん。
日本のCMとはレベルが違うように感じたよ。

アド・ミュージアム東京は、予想していたよりも「こじんまり」していたけれど、浮世絵のように4回押すと絵葉書が完成するスタンプが配置されていたりして、楽しめる工夫がされていた。
SNAKEPIPEの個人的な好みは大正時代や昭和初期のポスターやデザインなので、もう少しミュージアム・ショップのアイテムが多かったら良かったかもしれないと思ったよ。

またどこか近場で社会科見学行ってみよう!

野口哲哉「this is not a samurai」鑑賞

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【ポーラ ミュージアム アネックスの看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

8月29日から1週間の間に、ROCKHURRAH RECORDSの近親者が相次いで亡くなる、という前代未聞の出来事があり、ブログの更新をすることができなかったよ。
連続してしまった不幸を乗り越え、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、今まで以上に楽しく生きていくことを誓い合う。
健康で明るく、ね!

2022年8月に書いた「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」を鑑賞した後、長年来の友人Mと展覧会のハシゴをしていたSNAKEPIPE。
「気になる展示があった」と友人Mから聞き、せっかくだから行ってみることにしたのである。
それはポーラ ミュージアム アネックスで開催されている「this is not a samurai」という展覧会だという。
ポーラ美術館って箱根じゃなかったっけ?
どうやらアネックスのほうは銀座1丁目にあるポーラ銀座ビルにあり、無料で企画展を開催しているんだとか。

雲が厚くなってきて、ゲリラ豪雨になってしまった銀座を早足で行く友人MとSNAKEPIPE。
銀座1丁目というと、ほとんど東京駅だもんね。
なんとかポーラビルにたどり着き、会場に向かう。
予想以上にお客さんが入っていて驚いてしまった。
SNAKEPIPEが知らなかっただけで、有名な場所なのかも?(笑)

展覧会の作者は野口哲哉というらしい。
こちらも初めての名前なので、少し経歴を調べてみようか。

1980 香川県高松市生まれ
2003 広島市立大学芸術学部油絵科卒業
2005 広島市立大学大学院芸術学部油絵科卒業
2016 香川県文化芸術新人賞受賞

1980年生まれということは42歳かな。
2003年頃から鎧をモチーフに制作をしているようで、ポーラ ミュージアム アネックスでも過去に展覧会を開催していたみたいだよ。
早速作品を観てみようか。

デンマークの建築家/デザイナーであるアルネ・ヤコブセンがデザインしたエッグチェアに座る3名の武将たち。
パッと見ると、何の違和感も無いんだよね。(笑)
時代が違う人とモノがミックスされる面白さ。
野口哲哉のユーモアなんだよね。
他にも似たタイプの作品がたくさん並んでいるよ!

バンクシーをモチーフにしたような作品だよね。
武将がハートを描いているんだもん。
「んなわけないでしょ!」
と言いながらも笑みがこぼれる。
純粋な面白さは好きだよ!(笑)
少し難解だったガンダーの後だったので、より一層好感を持ってしまう。
どうやらこの作品は4年前にもアネックスで展示していたようだね。
武将が手にしているのが口紅というのも、ポーラ化粧品に合っててナイスだよ!(笑)

武将がスマホをいじってるシーン。
これも時間軸を歪めている、野口哲哉のユーモアだよね。(笑)
一つのアイテムをプラスするだけで印象がガラリと変わる。
経歴にあったように油絵科を卒業しているので、さすがの腕前だよね!
日本画風のタッチで描いている作品もあったけれど、まるで西洋画のように武将が描かれているのも新しいかもしれない。

2017年6月に「収集狂時代 第7巻 Chanel編」、2020年9月には「収集狂時代 第17巻 Chanel編 part2 」を書いているSNAKEPIPE。
驚くようなシャネルの正規品の数々を特集した、大好評の記事だったんだよね!
シャネルが鎧を作ったら?というコンセプトで制作したと思われる作品がこちら。
文字もロゴもバッチリ入ってて、なかなか良いよね。
鎧や兜などはとっても素敵なのに、SNAKEPIPEが気に入らないのは男の顔。
ちょっと「ヌケサク」に見えるんだもん。(笑)
もしかしたらシャネルとのギャップもユーモアの一部なのか?

ニューヨークにある、メトロポリタン美術館に収蔵されている鎧兜を模して制作された作品だという。
メトロポリタン美術館、通称METの紙袋を下げているところがポイント!(笑)
そんなに大きな作品ではないのに、細かいところまで丁寧に作り込まれてるんだよね。
大好きなお人形に、自作で洋服を作って着せている感覚なのかも?

2022年6月に行った「金沢21世紀美術館」でも甲冑をテーマにした展覧会が開催されていたし、もしかしたら今年は鎧兜や甲冑に注目が集まってるのかもしれないね。
次に野口哲哉はどんな作品を見せてくれるのか。
楽しみにしていよう。