横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes 鑑賞

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【gggの壁一面に高倉健がっ!】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)で開催しているのは、「横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes」。
これは版画やポスターなどにするための原画や、版下など作品に仕上げるまでのプロセスを見せてくれる企画展だという。
2021年7月には東京都現代美術館で「GENKYO展」、2021年10月には21_21 DESIGN SIGHTで「The Artists展」など、横尾忠則の展覧会を鑑賞してきたけれど、舞台裏を覗かせてくれるとは楽しみ!
ROCKHURRAHと一緒に銀座に出かけたのである。

gggに到着すると必ず建物の外観を撮影するSNAKEPIPEだけれど、壁一面に高倉健が描かれていて驚く。
過去に数回、gggで横尾忠則展を開催していたようだけど、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは鑑賞していなかったみたいだね。
もしかしたら今までにも、壁一面に横尾作品が描かれていたのかもしれないな。

会場に入り、念のため撮影について問い合わせ、許可を確認する。
受付前に置かれていた作品集などに目をやっていたSNAKEPIPEは、ROCKHURRAHの驚きの声を聞く。
「ちょっと!これ、見て!」
指差す場所には訪問者が名前を記す芳名帳があり、開かれたページの最初の行に
「みうらじゅん」
と書いてあるじゃないの!
あの「みうらじゅん」も同日の、もしかしたら10分前かもしれない時刻にgggを訪れていたことが判明したから狂喜しちゃうよね。(笑)
「これは大変!」
慌ててスマホを取り出し、芳名帳を撮影しようとした瞬間、
「撮影はご遠慮ください」
と受付から注意を受ける。
まあ、確かに個人情報だからね。
スミマセン、とスマホをしまうSNAKEPIPE。
その後も他のお客さんが同様の行為を受付から注意されているのを目撃したよ。(笑)
「みうらじゅん」の人気ぶりがよく分かる。
そしてニアミスで「みうらじゅん」に遭遇できたかもしれないと思うと、とても残念だよ。

芳名帳のある受付から背後に広がる展示スペースを見ると、壁やケースには、所狭しと作品が展示されている。
企画展のサイトによれば「1960年から80年代に制作された作品資料、18000点の中から250点を厳選した」らしい。
無料の展覧会で、ここまでのボリュームとは信じられないくらいの太っ腹!
先に書いた「The Artists展」も無料だったことを思い出す。
大企業がスポンサーになって実現する文化振興、本当にありがたいよね。

今回の企画展には作品リストがなかったようだよ。
作品の展示ではないからね。(笑)
60年代の雰囲気が色濃く見える雑誌の表紙が並んでいる。
2021年1月にgggで開催された「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」でも、ポスター作成にあたり色指定やフォントの調整など、本人が指示をメモしている展示があったっけ。
印刷物の作成には、多くの段階があることがわかるね。

江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」の文字が見える。
装丁を担当したのかもしれないね。
こんな本があったら欲しいよ!
右側は1997年に「サンストリート亀戸」のオープンを告知したポスター。
このポスター、実はSNAKEPIPE所持していて、以前は部屋に飾ってたんだよね。
下絵を発見したROCKHURRAHが慌ててSNAKEPIPEを呼びに来てくれた。
ラフなスケッチの段階で、ほぼ完成図に近い状態だと分かり感激する。
ポスター作成の第一ステップだろうね。
とても嬉しかったよ!
「サンストリート亀戸」は今はもうなくて、「カメイドクロック」という商業施設になっているらしいから、歴史を感じてしまうね。(笑)

画像左は「電報シリーズ」といったら良いのか、コラージュ作品に見えるんだよね。
水兵と恋人(?)は、女性が「ぞんざい」な描き方をされていて可愛らしい。(笑)
赤と青は愛し合う男女を描いたクローズアップだね。
この2枚がとても気に入ったSNAKEPIPEだよ!
画像右はアーチ状に「TADANORI YOKOO」と書かれていて、60年代に制作された「Climax at the Age of 29」と同じように見えるよ。
中央で首を吊っているポスター、見たことないかな?
こちらも制作のプロセスがよく分かって興味深い。
グリコのポーズの、顔部分を横尾忠則本人に差し替えたバージョンが完成形みたいだね。(笑)

建物の壁にも描かれていた「新網走番外地」の高倉健。
3枚並んでいて、右と真ん中をミックスさせて一番左の作品になっているのかな?
版画に近い方法だよね。
浅丘ルリ子は横尾忠則のアイドルだった話は以前読んだことがあるよ。
ヌードを想像して作成されたシルクスクリーンの原画なのかな。
線画の時点でこの完成度の高さは素晴らしいよね。
横尾忠則が刀を持ってポーズを決めているのは「一柳慧作曲 オペラ横尾忠則を歌う」のレコード・ジャケットで使用された作品だね。
1969年発売のレコードということは、大島渚監督の「新宿泥棒日記」と同じ年。
グラフィック・デザイナーとしてだけではなく、俳優や歌手などでも活躍していたんだね。

会場は1Fと地下に分かれている。
第2会場へは階段を使うんだけど、そこから企画展のタイトル通り「ブラック・ホール」へと入っていくんだよね。
紫と緑のライトが暗闇をほんのりと照らす。
階段が見づらかったのか、前を歩いていた初老の男性が足を踏み外すシーンを目撃してしまった!
気をつけないと怪我しちゃうね。(笑)
ROCKHURRAHと無事に(?)地下に到着したよ。

地下は真っ暗で、作品にだけ照明があたっているので、とても見やすい!
撮影した画像も、くっきりだよね。
ピカソや俵屋宗達、モネやマティスのパロディのような作品が並んでいた。
子供の頃から模写が得意だったという横尾忠則、さすがに上手!(笑)
暗闇に鮮やかな色彩が浮かんで、とても美しかったよ。

横尾忠則が精神世界に通じていることは、以前から知っていた。
死をテーマにした作品も多いし、天使やUFOについて対談している本を読んだこともあったっけ。
載せた画像左は仏像の手で右は幽体離脱を描いているみたい。
横尾忠則にとって、眠って夢を見ることも現実の一部であるというので、毎晩幽体離脱しているといえるのかもしれない。
江戸川乱歩の「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」という言葉とは違って、横尾忠則にとっては「うつし世も 夜の夢もまこと」ということなんだろうね。

これらの作品を観た時に、荒木経惟の「センチメンタルな旅」を連想したSNAKEPIPE。
アラーキー同様、横尾忠則も愛妻家で有名だからね!
奥様との思い出を描いているのかな、と勝手に想像したよ。
載せた画像は初めて観た作品だね。

250点もの作品を充分に満喫させてもらったよ!
60年代からの作品資料をずっと保管していることもすごいと思う。
普段は見られない制作過程を鑑賞できて、とても興味深かったね!

ヴォルフガング・ティルマンス Moments of Life展  鑑賞

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【エスパス ルイ・ヴィトンの看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週書いたジャイル・ギャラリーで鑑賞した「超複製時代の芸術」で表参道を訪れたROCKHURRAHとSNAKEPIPE、もう一箇所立ち寄った場所があるんだよね。
それはエスパス ルイ・ヴィトン東京、ハイ・ブランドであるルイ・ヴィトンが主催しているヴォルフガング・ティルマンスの「Moments of Life展」だよ!
2019年8月にクリスチャン・ボルタンスキーの「ANIMITAS II 」、2021年10月にはギルバート&ジョージ の「Class War, Militant,Gateway」を鑑賞したことがあるSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHは今回が初めてのエスパス東京なので「ルイ・ヴィトンのお客さんじゃないのに、入って良いのか」と悩んでいる様子。(笑)
ドアマンが扉の前に立っているので、ちょっと緊張するのは確かだよね。
にこやかに出迎えられ「いらっしゃいませ、どうぞ!」と案内されエレベーターに向かう。

今回の展覧会は、事前に計画していたわけではなく、ジャイル・ギャラリーに向かう道沿いのポスターを偶然目にしたために行くことにした。
かつて写真に興味があったSNAKEPIPEには、ヴォルフガング・ティルマンスの名前は聞き馴染みがあったからね。
どんな写真と聞かれたら「雰囲気写真(SNAKEPIPE命名?)」と答えたくなるんだけど、ちゃんとした説明になってないか。(笑)
ここで簡単にヴォルフガング・ティルマンスの経歴を書いてみよう。

1968 ドイツ、レムシャイト生まれ
1990-92 ボーンマス・アンド・プール・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで学ぶ
1992-94 ロンドン在住
1994-95 ニューヨーク在住
1995 「ベッヒャーシュトラーセ美術賞」
「アルス・ヴィヴァ賞」受賞
1996〜 ロンドン在住
1998-99 ハンブルク美術大学客員教授を務める
2000 「ターナー賞」受賞
2001 ボーンマス・アート・インスティテュート美術名誉研究員を務める
2003〜 シュテーデル美術大学教授を務める
2015 「ハッセルブラッド国際写真賞」受賞

68年生まれということは、現在55歳かな。
ロンドンとベルリンを拠点に活動しているんだって。
教授になっているとは知らなかったよ!
2000年にターナー賞を受賞しているということは、2008年の「ターナー賞の歩み展」でも作品を観ていたんだね。
ちゃんと記事にも書いているね。(笑)
SNAKEPIPEが最初にヴォルフガング・ティルマンスを知ったのは、90年代だったはず。
その当時話題を集めていた若手写真家として紹介されていたように記憶しているよ。
何気ない日常と友人達を作品にしていて「オシャレな写真」の代表格だったね。
それ以降、日本の情報雑誌などでもヴォルフガング風の写真が載っていたっけ。
ヒロミックスや蜷川実花、ホンマタカシなどが出てきたのもこの頃だったかな。
似た雰囲気だなと思ったSNAKEPIPEだよ。

会場に入ると、複数のお客さんが鑑賞していた。
撮影オーケーとのことなので、バシバシ撮らせてもらったよ!
2005年から2020年までに制作された21点が、大小様々なサイズで展示されていた。
これがヴォルフガング・ティルマンスの特徴らしいね?

室内の様子が撮影されている。
ロンドンとベルリン、2つのスタジオ兼自宅の様子かな、と勝手に想像する。
窓が広くて日当たりが良さそうな一室と、雑多でガランとした部屋は倉庫っぽくて良い感じ。
2011年5月のブログ「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件1 世界3大都市編」に「SNAKEPIPEの最も理想に近いのはガレージや倉庫みたいなガラーンとした、だだっ広い空間が広がるだけの家」と書いているね。
ティルマンスの写真が、まさにこれ!って思ったよ。(笑)

植物をモチーフにした作品。
ティルマンスは静か動か、といえば静だと感じる。
見過ごしてしまいそうな瞬間や光を捉えているんだろうね。
載せた2枚は、どちらも大きく引き伸ばされた作品で、クリップで止められていただけ。
額に入れる場合との違いはなんだろうね?
作者にしか分からない心理的なものかもしれないけど、想像すると面白いかも。(笑)

人物を被写体にした作品もあったよ。
ティルマンスはゲイであることを公言しているらしい。
そのせいなのか、モデルは全員男性だったよ。
セルフ・ポートレートも含まれていたみたいだけど、どの作品だったんだろう。
被写体を正面から撮影して、モデルと写真家の視線が交わる作品がなかったところがポイント。
ゲイ・コミュニティのメンバーへの配慮なのか、ティルマンスのスタイルなのか?

ここでようやく、人の顔が見える「Summer party」があるんだけど、まるで覗きみたいな撮影なんだよね。
草むらから隠し撮りしてると感じたSNAKEPIPEには、「マネの名作『草上の昼食』を彷彿させる」という文章には首をかしげてしまうよ。
『草上の昼食』で思い出すのは、アルバム・ジャケットでパロディやってたバウ・ワウ・ワウ
ヴォルフガング・ティルマンスもニュー・ウェイヴを聴いていたかもしれないね?

「Osaka still life」と題された2015年の作品。
なんで大阪?と思ったSNAKEPIPEだけど、どうやら2015年に国立国際美術館で大規模な個展が開催されていたらしい。
東京にも巡回したのかなあ?
これはその来日時に撮影された作品なんだろうね。
桃を一個食べ終わったみたいだけど、美味しかったかな。(笑)

ヴォルフガング・ティルマンス以降、写真界の流れが変わったと言っても良い程影響を与えた写真家だと思う。
先にも書いた「何か雰囲気がある」「オシャレな」写真の先駆けだからね。
若者文化を発信する写真家と言われたティルマンスも、もう50歳超え!
活動の幅を広げ、映像や音楽などにも挑戦しているみたいよ。

映像も音もヴォーカルもティルマンスが担当してるって、マルチだね!
これはまるでデヴィッド・リンチみたいじゃないの。(笑)
年齢に関わらず、エネルギッシュに創作活動を続ける大人がいっぱいいるのは嬉しいね。
行って良かった展覧会だったよ!

超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか? 鑑賞

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【ジャイル・ギャラリーの入り口を撮影。いつも通りだね(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

表参道にあるジャイル・ギャラリーで開催されているのが「超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?ー分有、アウラ、国家権力ー」という長〜いタイトルの展覧会。
これだけでも難しそうに感じてしまうよ。(笑)
実際、今までジャイル・ギャラリーで2021年3月には「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」、2022年6月に鑑賞したのは「世界の終わりと環境世界」というように、タイトルから観念的な展覧会だと想像できる企画が多いんだよね。
好みのアート作品かどうかは別として、アート・シーンの潮流を知りたいという気持ちから出向くことが多いギャラリーになるよ。

今回の企画展のキーワードは「NFT」とのこと。
「NFT」って一体なんだろう?

NFTはNon-Fungible Tokenの略語で、これは非代替性トークンを意味するという。
ブロック・チェーン技術を活用することで、デジタル作品にオリジナルの価値や著作権を持たせ、固有の資産にできるんだとか。
具体的な技術面のシステムはよく分からないけれど、デジタル・データが一点物として証明できるというのは画期的だよね。
画像や音声、動画など大抵のデジタル・データはコピーが可能で、複製や改ざんが可能と認識していたからね。(笑)
更にNFTアートは販売後も著作権は作者に帰属し、二次流通時にも収益の一部が作者に還元されるというのも、新しい試みなんじゃないかな?
自分で作った作品をNFTアートとして販売することもできるというのも面白い。
ブロック・チェーン技術の部分は、NFTマーケットプレイス側で暗号化してくれるというので、安心、安心!(笑)
SNAKEPIPEはその技術から学ぶ必要があるのかと思っていたからね。

載せた画像は75億円で落札されたBEEPLEのNFTアート作品「Everydays: The First 5000Days」だって。
BEEPLEとはマイク・ウィンケルマンというアメリカ人で、グラフィック・デザイナーであり、10年以上毎日3Dアート作品をアップしているという。
落札されたのは、アップした自身の作品を一枚にまとめた作品なんだね。

ここで思い出すのは、かつて写真もアートとして認められていなかった、という事実。
複製が可能だからというのが理由だったはず。
いつの頃からか、一枚一枚の写真にも価値が見出され、アートになっていたっけ。
デジタル・データも同様の道を歩むことになるのか。
まだ開発途上で、様々なことが実験段階だというNFTアート、ROCKHURRAHと一緒に行ってみたよ!

元々、外国人観光客が非常に多い原宿だけど、ジャイル・ギャラリーに行った日も見渡す限り外国人だらけ。
ジャイル・ギャラリーがあるのはMOMAデザイン・ストアやコム・デ・ギャルソンのショップと同じフロアなので、ここにも外国人ツーリストがいっぱい!
ショッピングが目的のようで、ジャイル・ギャラリーに入ってくる人はいなかったよ。
画像はチーム・ラボの「Matter is Void」。
作品は誰でもダウンロードして所有できるけれど、文字の書き換えができるのは作品所有者のみだという。
「所有者と作者の垣根がなくなり、複数人の共創により作品は変化し続ける」
というのがテーマらしい。

レア・メイヤーズの「Certificates of Inauthenticiy(非真正性の証明)」を観て「ジェフ・クーンズのバルーン・ドッグじゃないの?」と言ったのはROCKHURRAH。
この時は分からなかったけれど、後から知ったのは「ジェフ・クーンズのバルーン・ドッグを3Dデータ化し、誰でもダウンロードしてプリントできるようにした」んだとか。
作品の真贋はNFTが販売する証明書の有無で変化するという点がポイントなんだって。
他にマルセル・デュシャンの「泉」データもあるというので、いつか3Dプリントしてみたいよね。(笑)

今回の展覧会で一番のビッグ・ネームはダミアン・ハーストだよね!
カラフルな水玉が描かれたペイントとデジタル両方の作品が展示されていた。
これだけ観ても意味不明。(笑)
2021年にデジタル化した水玉を1万点発行し、1点を約20万円で販売したという。
所有者は、1年後にNFTか絵画のどちらかを選択する必要があり、選ばれなかった絵画4851点が焼却されたという。
実際にハーストが消防服を着て、約10億円相当を燃やしたというから驚くよね。(笑)
SNAKEPIPEが最も驚いたのは、この水玉作品を1万点描いたところかな。
燃やすために描くって行為がすごい!

鎌谷徹太郎の「The Dream of Butterfly」は色鮮やかで目を引く作品だった。
タイトルは訳すと「胡蝶の夢」だよね。
周りを取り囲んでいる建築は京都の平等院とのこと。
髑髏に花とは、そんなに目新しい題材ではないかもしれないけど?
説明を読んでびっくり!
なんと5万匹の蝿を樹脂で閉じ込めた上に描かれていたんだって。
これは作品観た後で知って良かったかも。(笑)
そして隣にはNFTが並んでいて、絵画と2つでワンセットの作品だという。
所有者が変わるとNFTが変化するらしいけど、どういう仕組なんだろうね。

ルー・ヤンの「マテリアルワールドの大冒険」というゲーム映像作品は、実際にコントローラーが接続されていて、鑑賞者がゲームできる仕掛けになっていた。
8つのエピソードがあり、アイデンティティを変容させていく内容らしい。
ROCKHURRAHにコントローラーを操作してもらい、少し動かしてもらったけれど、画面に登場する人物の顔が気になって仕方なかった。
画像下に見える男、狂気を孕んでいて、ものすごく怖いんだよね!
それにしてもルー・ヤンが女性とは思わなかったよ。
自身のサイトでは、コスプレして踊っているので、気になる方は訪れてみてね!

森万里子は、ジャイル・ギャラリー参加率が高いアーティストだよね。
今までいくつかの作品を鑑賞したSNAKEPIPEだけれど、今回展示されている「Eternal Mass」は、最も難しいコンセプトに感じるよ。
「空間と時間という4次元に加え、人間に知覚できない次元が6つ存在する」と説明する超弦理論を可視化したという。
「すべての粒子には同じ質量と反対の電荷を持つ反粒子が存在する」という量子物理学の理論に着想を得たとのこと。
パール状の粒で構成された仮想生命体を対にした、森万里子初のNFT作品なんだって。
説明聞いてよく分かったよね!(笑)

施井泰平の「IT II」は、文庫本の背表紙を切り取り、キャンバスに貼り付けた作品なんだよね。
本棚に見せかけた偽物というのが面白い。(笑)
解説には「情報の絵画」なんて表現がされているよ。
難しい文章を読まなくても、観た瞬間に驚きがある作品は良いね!
施井泰平は2001年から「インターネット時代のアート」をテーマに作品制作してきたという。
2014年には東京大学大学院在学中に、大学構内で起業するという経営者の顔を持つアーティストとは気になる人物だね!

作品だけ観ても意味が分からなかったけれど、解説を読むととても興味深い展覧会だったことが分かった。
今後NFTがどうなっていくんだろう?
今まで知らなかった考え方やアーティストを知ることができて、有意義だったね!

映画の殿 第57号 韓国ドラマ編 part13

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【本文中に書き切れなかった気になる人物がいっぱい!】

SNAKEPIPE WROTE: 

前回「映画の殿」を更新したのは、およそ1ヶ月半前のこと。
そしてまた韓国ドラマの特集を書くことになるんだから、よく観てるよね。(笑)

最初に紹介する「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜(原題:더 글로리 2022年)」はシーズン1をかなり前に観ていたけれど、シーズン2の完結まで観終わってから書くことにしたよ。
シーズン1と2に間が空き過ぎると、「この人誰だったっけ?」と忘れてしまう登場人物がいるので要注意なんだよね。
ドラマが完結してから観たようが良いかもしれないね?
あらすじはこちら。

建築家になることを夢見るムン・ドンウンは高校時代にいじめが問題になっても、相談相手が誰一人もいないことから、自主退学に追い込まれる。
退学後、彼女の夢は復讐を果たすことへと変わり、高校退学後の人生を全て「復讐」に命を捧げ続けた。
16年ぶりにドンウンと再会する加害者メンバーらは、自信に満ちたドンウンに恐怖を抱く。
ドンウンはいじめグループのリーダー格で現在はお天気キャスターのパク・ヨンジンへの復讐から開始する。 (Wikipediaより)

トレイラーを観てみよう。

高校時代の壮絶な「いじめシーン」がひどいんだよね。
犯罪といっても良い行為なのに、訴えに耳を貸さない大人たちに驚愕する。
韓国ドラマでよく見かける、金持ち一家を優遇する腐った社会構造。
現実に、こういうことが「まかり通ってる」のかなあ?
復讐が筋書き通りにいかず、邪魔が入ったり予想外のことが起きたりするところにリアリティがあったよ。

復讐に生きる女性を演じたソン・ヘギョが、第59回百想芸術大賞TVドラマ部門優秀演技賞を獲得したという。
感情を押し殺した演技が評価されたと書いてあるよ。
途中から大好きな女優、ヨム・ヘランが登場して嬉しかった。
旦那からのDVに苦しむ姿が真に迫っていたよ。
「カウンターズ」の続編で、チュさん役を観たいね!

ドラマの中で最も印象に残ったのは、ヨム・ヘランと共に第59回百想芸術大賞TVドラマ部門助演女優賞にノミネートされ、見事栄冠を勝ち取ったイム・ジヨン。
あらすじにあった「いじめグループのリーダー格で現在はお天気キャスター」で、いかにも性格悪そうな憎々しい表情が秀逸だったよ!
この女優には「いじめ」のイメージを持ったままになりそうだね。(笑)

ちょっとタイプの違うドラマを観ることにする。
ユミの細胞たち(原題:유미의 세포들 2021年)」は、同名の漫画が原作で、「トッケビ」に出演していたキム・ゴウンが主役のドラマ。
前回観たキム・ゴウンのドラマは「シスターズ」なので、ROCKHURRAH RECORDSではよく観ている女優になるよ。
そして「ユミの細胞たち」はシーズン2まで終わっているので、安心して観ることができたよ。(笑)
「ユミの細胞たち」のあらすじを書いてみよう。

細胞たちと一緒に食べて恋して成長する、平凡なユミの話を描いた、刺激と共感に満ちた細胞ラブストーリー。 (Wikipediaより)

実写と3Dアニメを組み合わせた新しい形の恋愛ドラマってどういうこと?トレイラーで確認しよう。

タイトルにある「細胞たち」をアニメ化しているんだね。
理性や感情のような細胞以外にもファッション細胞など、人それぞれ持っている細胞に違いがある。
そしてどの細胞が第一優先になるのかも、時期によっても変化する。
このアニメのシーンがとても面白かったよ!

そしてキム・ゴウンが使用している化粧品が気になったのは、SNAKEPIPEだけではないようで、調べると簡単に情報をキャッチすることができた。
キム・ゴウンがイメージ・キャラクターになっているというスキンケアなんだけど、思わずSNAKEPIPEも購入してしまったよ。
ドラマ内で宣伝していることは分かってるけど、キム・ゴウンのお肌がキレイなのでつい。(笑)
韓国ドラマを観てチャミスル飲んでみたり、チヂミを作ったりはしたけれど、化粧品まで影響を受けてしまうとは。
韓国ドラマ、恐るべし!

Netflixで評判になっていたドラマを観ることにした。
悪の花(原題:악의 꽃 2020年)」と聞いて、フランスの詩人シャルル・ボードレールの「悪の華」を連想してしまったのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
以前観た「シーシュポス: The Myth」はカミュだったので、今回も文学をネタにしてるのかと思ったけど違ったみたいね。
「悪の花」は百想芸術大賞で5部門にノミネートされ、演出賞を獲得している。
クオリティが高いドラマとして評価されているんだって。
一体どんな作品なのか、あらすじを書いておこうか。

金属工芸作家のペク・ヒソンは、愛する妻ジウォンと娘のウナに囲まれ、平凡だが幸せな日々を送っている。
ただひとつ、刑事である嫁を厭う両親との関係だけが問題だ。
そんなある日、ジウォンはひょんなことから知り合 いの記者キム・ムジンにヒソンを紹介することに。
18年前の連続殺人事件に関する連載記事を手がけるムジンは、 事件の犯人と同じ金属工芸作家であることからヒソンに興味を抱き、彼の工房に足を運ぶ。
だが、ヒソンの顔を 見たムジンは……。(FILMAGAより)

予告を観ると、非常に面白そうだよね!
「18年前の連続殺人事件犯人」の息子が主役で、現在は偽りの人生を送っている様子。
善良な夫の仮面をかぶっているというのが、とても良く似合う顔立ちの俳優だし。(笑)
観始めた最初のうちは興味を持っていたけれど、回を重ねるうちにドラマの緊張感が薄れてきた。
妻役の女優は全く刑事に見えないし、泣いているシーンばかり。
「クオリティの高いサスペンス」とは思えなかったよ。
最後もお粗末で、オススメのドラマとは言い難いのが正直な感想。
好みは人それぞれだからね。(笑)

最後に「ラブコメの女王」、コン・ヒョジンに登場してもらいましょう!(笑)
プロデューサー(原題:프로듀사 2015年)」は今から8年前のドラマで、2011年の「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン〜」と2019年の「椿の花咲く頃」の間の出演作品になるんだね。
今回はテレビ局のプロデューサー役だって。
「悪の花」で疲れてしまったROCKHURRAHとSNAKEPIPEに笑いを届けてちょうだい!(笑)

大学時代、好意を寄せていた先輩がKBS芸能局に入社したことをきっかけにKBSへ入ったペク・スンチャン。
出勤初日から誤解によってミスを起こし、芸能局の女王蜂タック・イェジンに目を付けられてしまい…(Wikipediaより)

ベースはラブ・ストーリーになるんだろうけど、随所に笑いがあって楽しかった。
コン・ヒョジンは厳しい先輩役かと思いきや、やっぱり良い味出してるんだよね!
「サイコだけど大丈夫」や「ある日」などで主役を演じているキム・スヒョン、アイドル歌手として出演していたIUも良かったよ。

そうした大物出演者の中で、ひときわ存在感を発揮していたのは、テレビ局内の総務(?)を仕切っていたイェ・ジウォン演じるコ・ヤンミ!
「コピー用紙は裏まで使え」「トナーは振って最後まで使え」といった倹約を呼びかける厳しい女性なんだよね。
その割には派手なメイクと服装で、アンバランスさが最高だった。(笑)
背筋をピンと伸ばしたデスクワーク、お疲れ様です!

あまりセリフがなかったのにも関わらず、露出度高めの服装で目立っていたのがキム・ソナ演じるキム・ダジョン。
コン・ヒョジンが手掛ける音楽番組のスタッフの一人だけど、大抵ピチピチの服装で無表情。
先輩に対しても歯に衣着せぬ物言いで、ぶっきらぼう。
こんな後輩がいたら、やりにくいだろうな。(笑)

テレビ局や芸能界の裏側を舞台にしていて、楽しめたよ
コン・ヒョジン主演のドラマは他にもあるので、機会があったら観てみたいね。