ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 4

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【「盲獣」の英訳は「Blind Beast」だよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ROCKHURRAH紋章学」をお届けしてみよう。
これで4回目の特集になる「ブック・デザイン編」は、これまでカッコ良いデザインや「とほほ」なデザインをまとめてきたよね。
今回は少し趣向を変えて「外国で出版された日本の小説のブック・デザイン」を集めてみたよ!
そうは言っても、日本の小説だったら何でも良しではROCKHURRAH RECORDSらしくない。
大好きな作家、江戸川乱歩の外国バージョンに絞って紹介していこう!

英語が苦手でも「Edogawa Rampo」くらいは読めるでしょう。
そして乱歩で椅子とくれば「人間椅子」だな、という予想はつくはず!
これは乱歩の短編作品を集めた英訳版なんだよね。
「人間椅子」は1925年の作品だけど、この英訳版が出たのは2011年とのこと。
もしかしたらそれ以前にもあったのかもしれないけどね?
短編集にはどんな作品が掲載されているのかと調べてみる。
「The Human Chair 人間椅子」
「The Psychological Test 心理試験」
「The Caterpillar 芋虫」
「The Cliff 断崖」
「The Hell Of Mirrors 鏡地獄」
「The Twins 双生児」
「The Red Chamber 赤い部屋」
「Two Crippled Men 二癈人」
「The Traveler With The Pasted Rag Picture 押絵と旅する男」
一番初めに「人間椅子」が収録されているせいもあるだろうし、内容的にインパクトが強いためかブック・デザインに採用されているよね。
短絡的ではあるけれど、内容を忠実に表している点が秀逸だと思う。

英訳されると分かりづらいタイトルもあったけど、ほとんどが即答できるのは自称乱歩ファンとしては当たり前か?(笑)
同じシリーズのスペイン語版のカバーが右の画像ね。
上のアメリカ版のほうが少しおどろおどろしくて、乱歩の世界観を表しているように思ってしまうね。
日本の小説だから長い黒髪の着物を着た女を描くのは、常套手段なのかもしれない。
少しだけ狂気を孕んだように見える女の顔から、上に書いた小説に出てくる誰かに当てはまるか考えてみるけどなかなか難しい。
特にこれといったモデルを想定したわけじゃないのかもしれない。
どちらの画像も共通項は「障子」だね。
これはタランティーノの影響なのかも?(笑)

これは上のスペイン語版のバージョン違いなのか。
今度はかなり現代的なブック・デザインにしてるよね。
ゲームのパッケージにありそうな雰囲気で、外国で流行りのカタカナも配置されている。
わざとやってるのか、全く意味を成さない文字の羅列。
和製ホラーは海外で人気のようなので、その一貫で乱歩の小説も括っているのかもしれない。
乱歩ファンとしては「そんなに軽くしてもらっては困る」って言いたいんだけどね。
もっと人間の根源的な部分を掘り下げて、小説にしてるのが乱歩だと思うんだけど。
しかも今から100年くらい前に書いてる小説なので、最近出ているサイコ物の源流と言っても良い作家じゃないのかな。
調べたわけじゃないので、断定はできないけど。

これも完全に勘違いバージョンだよね。(笑)
フランス語版の「パノラマ島奇譚」のようだけど、浮世絵風の半裸体女人が意味不明!
和風を表現するのに効果的だと思ったのだろうか。
「パノラマ島奇譚」は「なりすまし」のドキドキ感と、建設されたパノラマ島の壮大さが魅力の小説なので、このデザインからは内容を想像することは不可能に近いように思ってしまう。
国によっては、日本の小説は「浮世絵風」として、ある程度形式化されているのかもしれないけどね?
そしてフランス語版での乱歩の表記が「RANPO」と「N」になっている点にも注目。
英語圏ではヘボン式ローマ字表記「RAMPO」に対して、フランスでは採用していないことが分かったね。(笑)

次はスペイン語版の「盲獣」だよ。
「盲獣」は1931年から1932年にかけて「朝日」に連載された小説で、1969年に増村保造監督により映画化されている。
この映画については2009年に「CULT映画ア・ラ・カルト!【01】邦画編」としてまとめているんだよね。
スペイン語版ブック・デザインにあるような「凶々しさ」というよりも、触感芸術の作品に注目している記事を書いている。
スペイン語版で気になるところは、うっすらと透けて見える「感受性」という文字!
誰がこの言葉を選んで載せることにしたのか、謎だよね。(笑)

一体これは乱歩のどの小説を翻訳したものなんだろうね?
「明智小五郎 初期の事件簿」とでも訳したら良いのか。
そうして調べてみると「一寸法師」や「屋根裏の散歩者」などが、明智小五郎シリーズでは初期に当たる作品のようだけど、この本に収録されている内容については不明だった。
ブック・デザインに注目してみよう。
まず、手前の明智小五郎だと思われる男性。
どお、この髪型と顔!(笑)
そして後ろに丸く大きく存在感をアピールしている邪悪そうな顔。
これが「一寸法師」ということなのかな?
叫んでいるような女性が前にいるよね。
なんとなく言いたいことは分かるんだけど、もう少し読者の興味を誘うような描き方はできなかったのか。
この本が売れたのかどうか聞いてみたいね!(笑)

乱歩作品の中で、映画化や舞台化により何度も上映されているのが「黒蜥蜴」だよね。
1968年に映画化された作品については「CULT映画ア・ラ・カルト!【09】黒蜥蜴」で記事にしているよ。
黒蜥蜴役を美輪明宏が演じていて、その気高き美しさに圧倒されてしまったSNAKEPIPE。
そんな黒蜥蜴のイメージ通りのマダムをブック・デザインに採用しているのが、スペイン語版なんだよね。
バックにちょっと不気味なトカゲが控えているのも、良いみたい。
今回集めた江戸川乱歩の海外版の中では、このデザインが一番気に入ったよ!

今週の「江戸川乱歩の海外版ブック・デザイン」は、検索していて楽しかったよ。
まずはRAMPOの表記を探し、単語からタイトルを予想する作業が面白かった。
そして外国人が乱歩作品に対してどんな感想を持っているのかを知ったのも初めてのこと。
なんと、乱歩は高評価で人気があることがわかったんだよね!
「エロチックでグロテスク」と感想に書いていながら、星5つが付いていたりして。(笑)
日本の作家で人気があるのは三島由紀夫と村上春樹くらいか、と勝手に思っていたSNAKEPIPEには、とても意外だったよ。
誤訳がある、という感想も読んだので、翻訳家の方にも頑張ってもらいたいね!
そして今度はSNAKEPIPEが英文で乱歩読んでみるかな。(笑)

ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 3

20190414 top
【ロトチェンコのブック・デザイン】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は「ROCKHURRAH紋章学」としてブック・デザイン編の第3弾をお届けしよう!
ちょっと変で「とほほ」も大好きだけど、やっぱりカッコ良いデザインに巡り合うと嬉しくなる。
特にROCKHURRAHとSNAKEPIPEの目の色が変わるのは、バウハウスやロシア構成主義のようなタイポグラフィの作品なんだよね。
そういえばこの「目の色が変わる」という表現、普通に使ってるけど本当はおかしいよね?
「欲望に支配されて興奮状態となるため、目がギラギラする」ということになるらしい。
なるほどねえ!
話を元に戻そうか。(笑)

今回はロシア構成主義の素晴らしいブック・デザインをまとめてみよう。
1920年代の作品を中心にしているので、アーティストが偏ってしまうかも?

この画像の中でSNAKEPIPEが読めるのは「1921」だけ!(笑)
インポッシブル・アーキテクチャー展」で観た「第三インターナショナル記念塔」を思い出すような建築物が描かれているよ!
この本は一体何だろう?
どうやらこれは「ロシアの郵便料金と電信統計」 の1921年版みたいよ。
一般的な読み物じゃなくて、専門書ってことだよね。
そんな本には思えないオシャレなデザインに驚いてしまう。
制作したのはLyubov Popova、リュボーフィ・ポポーワと読むらしい。
ロシア構成主義を代表する女性アーティストとのことだけど、SNAKEPIPEは初めて知ったよ!
ウラジミール・タトリンの元で働いていたとの記事があり、 「第三インターナショナル記念塔」を連想したのはあながち間違っていなかったわけだ。(笑)
それにしてもロシア構成主義に女性が関わっていたことは衝撃だね。
ポポーワや他のアーティストについて、もっと調べていきたいよ。

インダストリアルにも興味があるので、タイポグラフィと組み合わされたデザインには目がないよ。
はっ!また目に関する慣用句を使ってしまったよ。
「思慮分別をなくすほど好きなこと」だって。
分別まではなくさないけどさ。(笑)
この本は1926年に発行されたロシアの詩人ウラジーミル・マヤコフスキー詩集で、デザインを担当したのはアレキサンドル・ロトチェンコ!(笑)
ロトチェンコについては2012年の「ロトチェンコ-彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児-」で大絶賛の記事を書いているよね!
なんてカッコ良いデザインなんでしょ。
さすがはロトチェンコ!

こちらもロトチェンコのデザインね。
1929年に刊行された「Rechevik. Stikhi 」(読めん!)という小説のブック・デザインみたい。
ひし形に区切られた枠の中を、ボーダーやストライプで塗りつぶしただけなのに、どうしてこんなにスタイリッシュになってしまうのか。
上の作品と同様に、この作品もMOMAのコレクションになっているんだね。
こんなデザインのブックカバーがあったら欲しいな!

これは1928年の雑誌の表紙のようだね。
調べてみると1923年から1925年まで「LEF (“ЛЕФ”)」として、1927年から1929年まで「New LEF」に名前を変えて年に2回刊行されていた雑誌だという。
アヴァンギャルドのアーティストや写真家、批評家やデザイナーなどが所属していた「Left Front of the Arts (“Левый фронт искусств” )」という協会のための機関誌になるのかな。
このLEF、日本語訳だと「芸術左翼戦線」になるみたいだよ!
すごい名前じゃない? 
アメリカの雑誌「Arts & Architecture」の刊行は1940年から、その前身である「California Arts & Architecture」でも1929年刊行ということなので、もしかしたらこの「LEF」を参考にしていた可能性あるよね。
「Arts & Architecture」の表紙も非常にカッコ良いんだけど、それよりもロシアが先だったことに気付いたからね!
「LEF」の編集はマヤコフスキー、表紙を担当したのはロトチェンコ!

いわゆる左派芸術のイデオロギーと実践を再検討し、
共産主義を発展させるための芸術の価値を高めるために
個人主義を放棄することを目的とする

こんなプロパガンダを掲げた雑誌だったとは!
どんな内容だったのか非常に気になるよね。(笑) 

続いてはエル・リシツキーのデザインね!
1924年発行の「The ISMs of Art」はそのまま「芸術主義」と訳して良いのかな。
リシツキー自身の本のようなので、芸術論が展開されていると予想する。
シンプルながら目を引くデザイン。
はっ、また目の慣用句!(笑)
見た目により多くの人々から関心を向けられること」だって。
まさに広告に関連するデザインが目指すところだね。
リシツキーは、1923年に国家主導でプロパガンダのための「フォトモンタージュ研究所」をモスクワに設立したらしい。 
革命のための表現として構成主義が発達した、というところが資本主義国の芸術環境とは違う点だよね。

これもリシツキーのデザイン。
1927年に刊行されたウラジミール・マヤコフスキーの詩集とのこと。
先に紹介したロトチェンコもマヤコフスキーと組んでいたよね。
どんな詩を書いていたのか気になるよ。
内容と装丁は合っていたんだろうか?(笑)

構成主義三原色とでも言うべきベージュと黒と赤だけが使用されたシンプルさ!
色のバランスと空間の使い方が絶妙なんだよね。
SNAKEPIPEが注目したのは右下の赤。
ここに赤を置くかどうかで全体の締まり具合が全然違うんだよね!
こんなデザインのノートがあったら欲しいな。

最後はグスタフ・クルーツィスの作品ね。
詳細がよくわからなかったけど、カタログと書いてあるみたいじゃない?
もしかしたらクルーツィス本人の図録なのかもしれないね。
このデザインも構成主義三原色のみ使用だけど、なんともいえないインパクトがあるよ。
クルーツィスもLEFに所属していたアーティスト。
奥さんのヴァレンティナ・クラギーナもアーティストで、コラボ作品も残っているという。
1932年に共産党中央委員会の命により、全ての芸術団体が解散させられ、クルーツィスは逮捕された後処刑されたとWikipediaに書いてあるよ。
どうやらニューヨーク世界博覧会に出発しようとしたことが理由のようだけど、詳しい事情は不明。
国家や政治が絡み、アーティストが命を落とす非常に悲しいエピソードだよね。
時代が違っていたら処刑はされなかっただろうけど、あの時代だったからこそ素晴らしい作品ができたのかもしれない。

ロシア構成主義のブック・デザインを並べてみたけれど、改めてデザイン性の高さを知ることができたよ。
国が政治のために芸術を使用していたということが、様々な影響を及ぼすことも同時に知ることになった。
今までは作品を観てワクワクするだけだったけれど、少し観方が変わるかもしれないな。
ロシア構成主義やバウハウスについては、これからも勉強していきたいテーマだよ!

ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 2

20190303 top
【思わず手に取りたくなるデザインだね】

SNAKEPIPE WROTE:

今回は「ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編2」を特集してみよう。
ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編1」では色数が少ないけれど秀逸なデザインを集めた記事を書いたね。 
パート2である今回は絵画的なデザインに焦点を当ててみようかな。
グラフィックよりはペイントという意味なんだけどね。(笑)
前回も注意書きさせたもらったけれど、あくまでもブック・カバーについて書いているため、本の内容を知っているわけではないのでよろしくね!
では早速いってみよう。

「Der rote 1-Mark-Roman」は1930年に刊行されたドイツの小説だという。
どうやらプロレタリア文学のようで「働く若者の小説」や「石炭の戦い」といった労働者が主役になっている内容のようだね。
世界情勢に詳しくないSNAKEPIPEなので、当時のドイツがどんな状況だったのかについては割愛!
ナチス・ドイツよりも前のことだった、ということだけは書いておこうかな。
武器を持った人が本の表紙にいて、それはまるで壁のように立ちふさがっている。
それをとりまく民衆、という感じなのかな。
回りの建物には赤い旗が掲げられているところに主義や主張を感じるね。
そういった時代背景や本の内容を抜きにしても、モノクロームに赤が映えるブック・デザインだと思うよ。

次も武器を手にした人物が登場するデザインね。
Charles Kingsleyはイギリスの聖職者であり、大学教授や小説家としても有名な人物だという。 
「HEROJE」はギリシャのおとぎ話を書いている本のようなんだけど、城の上に兵士が4人いる風景ということで良いんだろうか。
城と人物の表現方法が非常にシンプル!
そしてそびえ立つ城を更に俯瞰した視点から描いている点に注目かな。
4人共が城を守る立場になる兵士なのか、一番高い位置にいる兵士を3人が追い詰めているシーンなのか。
想像すると面白いよね!

Nikolai Leskov(ニコライ・レスコフ)はロシアの作家・ジャーナリストなんだね。
この装丁からは全くロシアを感じないのはSNAKEPIPEだけ?
ドストエフスキーとかチェーホフなどと並び称されるレスコフだけど、全く知らなくてごめんなさい。
ロシア文学ってほとんど読んだことがないんだよね。
英訳されているタイトル「The Enchanted Wanderer (1873年)」を訳すと「魅惑の旅行者」になるんだよね。
行き先の定まらない旅に出た主人公が、行く先々で遭遇した出来事や人物について書いてある小説なのかもしれない。
そしてそこで孔雀を見つけるんだな、きっと!(笑)
とても美しいデザインなので、テキスタイルに良さそうだよ。
こんなプリントのクッションカバーあったら売れそうじゃない?

BOB SHAW(ボブ・ショウ)は北アイルランドの作家で、「ONE MILLION TOMORROWS」は1970年のSF小説なんだね。
この小説に関してはアメリカのWikipediaに記事があったので、翻訳してみたよ。
不死の薬が発明されている22世紀が舞台のSF小説とのこと。
その薬を飲むと性的欲求がなくなるので、子供がいない世界になるみたいだよ。
あらすじを読んだ限りでは1973年の映画「ソイレント・グリーン」を思い出した。
人口問題という点が共通してるからかな?
そのあらすじを知ってからブック・デザインを見ると、胎内にいる子供が描かれていることや、まるで貞操帯のような模様が分かるね。
中間色のサイケデリックな雰囲気がなんとも素晴らしい!
この本、読んでみたいな。

ゴシックな雰囲気のブック・デザインだよね。
実際にエッチングなどで版画にしたものなのか、版画風に描かれたのかは不明だけど、ゴシック・ホラーの小説なんだということが一目で分かる。
タイポグラフィとのマッチングが素晴らしいデザインだね! 
その手のファンなら思わず手に取ることが予想できて、ブック・デザイン大成功だよ。(笑)
Susan Hillの「Woman in Black」は日本語訳では「黒衣の女 ある亡霊の物語」として知られているんだね。
1997年のアメリカ映画「メン・イン・ブラック」はコメディ映画だったけれど、ウーマンはやっぱり怖そう。
どうやら2012年に映画化されているので、トレイラーを載せておこうかな。

「いかにも」な感じのホラー映画のように見えたけど、ブック・デザインで受けた印象通りだったよ。
どうやら映画はヒットしたようで、2まで製作されているんだね。
いつか観てみようかな?

最後は鮮やかな色合いのデザインにしてみよう。
「The War of the Worlds」はH.G.Wellsの小説で、日本では「宇宙戦争」として知られているね。
1898年の作品ということは、今から120年も前とは驚き!
今回取り上げたブック・デザインはアメリカの絵本作家であるEdward Gorey(エドワード・ゴーリー)による1960年の作品らしい。 
ゴーリーさん、グラフィックでもかなり有名な方だというのも納得だよね。
ショッキングピンクとモスグリーンにオレンジという色合わせ、素敵だよ!
ゴーリーさんの絵本は「大人向けの絵本」として世界中で称賛されているらしい。
それも観てみたいと思うよ。
「宇宙戦争」は今まで3回も映画化されている、まるでアメリカ版「犬神家の一族」(映画化3回)のような作品なんだね。
実はSNAKEPIPEもROCKHURRAHも「宇宙戦争」は未鑑賞。(笑)
初めて映画化された1953年のトレイラーを載せてみよう。

ちょっとチープな感じがたまらない!(笑)
2005年はスピルバーグが監督し再び映画化されているんだけど、100年以上前の話を現代に置き換えるの難しくないのかな?
観てないのでなんとも言えないけどね!

今回は絵画やイラストの秀逸ブック・デザインを特集してみたよ!
まだまだ紹介していないデザインがたくさんあるので、パート3も期待してね。(笑) 

ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 1

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【シンプルでオシャレなデザインがいっぱい!】

SNAKEPIPE WROTE:

最近は通勤時間が短くなったこともあり、なかなか読書の時間が取れなくなっている。
かつては片道の通勤時間が約1時間あり、ハードカバーの重たい本を持ち歩いていたことを思い出す。
読書家というには程遠い読書量だったけれど、毎日2時間本を読む時間があったことは、その後のSNAKEPIPEに大きな影響を与えたことは間違いないだろう。(おおげさ)
今はスマートフォンで本が読めるので、重たい本を持ち歩かなくても読書ができる。
でも本当は紙の手触りや匂い、ページをめくる感覚が好きなんだよね。
本屋さんが閉店するニュースを耳にすると悲しくなっちゃうし。
図書館や本屋さんでの運命的な本の出会いは忘れたくないし、これからも期待している。
本の楽しみは内容だけではなくて、レコードのジャケ買いならぬ、ブック・カバー・デザインの一目惚れもあるよね。
今回の「ROCKHURRAH紋章学」は秀逸なブック・カバーを特集してみようかな。
パッと目につき、思わず手にとってしまうデザイン、早速紹介していこう!
この特集に関しては、著作に関して充分な調査をした上で記事にしているわけではないことを最初にお断りさせて頂くよ。
あくまでもブック・カバー・デザインとして書いているので、タイトルから想像した文章を書き綴っていく予定。(笑)

今回は色数が少なくて、シンプルだけれどインパクトが強い作品を選んでみた。
最初はCAROLYN WELLSの「DE DREMPEL MOORDEN」、1931年の作品だよ!
キャロライン・ウェルズということは著者は女性ということね?
どうやらオランダ語のようなんだけど、タイトルを訳してみると「しきい値を殺す」になるらしい。
キャロライン・ウェルズはアメリカ人なので、これは恐らくオランダ語に訳されて出版された本なんだろうね?
オランダ語を訳しても全く意味不明なので、勝手に想像してみようか。(笑)
1階で格闘の末、心臓にナイフを刺された男は、地下室に向かう階段の途中で今にも息を引き取ろうとしているようである。
白・黒・赤の3色だけで小説の一端を表現した秀逸な作品だよね!
勝手に想像すると、この後男は生き返り、自分を死の淵に追いやった犯人への復讐を誓うストーリーではないかと想像する。
もちろん男は白髪になっているだろうね!(笑)

次は有名な「フランケンシュタイン」ね!
ご存知の方も多いと思うけど、「フランケンシュタイン」はメアリー・シェリーが1818年に発表した作品ね。
1931年に映画化されたことで、皮膚に糸の縫い目がある大男のイメージが定着したという。
右の画像も、映画のイメージを使用しているようだよね?
白・黒・緑という3色だけで怪物の不気味さと悲しみが上手く表現されているよ。
指の曲がり具合が最初の作品に似ていること、作者がどちらも女性という共通点を見出してしまったSNAKEPIPE。
20世紀初頭にホラーやミステリー小説の分野で、女性が活躍していたことに驚いてしまう。
ちゃんと調べたわけじゃないけど、意外と女性が蔑視されていなかったのかもしれないね?

「フランケンシュタイン」と題材が近いようなタイトルを発見したよ。 
「ANOTOMY OF A MURDER」 ROBERT TRAVERが書いた1958年の小説ね。
直訳すると「殺人の解体」だって?
このブック・カバーの下部に小説の紹介文が書かれているね。
「高等裁判所判事によって書かれた殺人裁判の背後にある情熱」とのこと。
実際の事件について書いているものみたいだね。
白・黒・オリーブの3色しか使用していないけれど、ちょっとコミカルにバラバラになった人体が逆に残酷さを増しているように感じる。
どうやら映画化もされているようで、裁判物のミステリーでは有名な作品みたいだね。
調べてみたら映画のオープニングシーンを発見したので、載せておこうか。

ブック・カバー・デザインと同じでオシャレ!(笑)
邦題は「或る殺人」(原題:Anatomy of a Murder) で1959年公開とのこと。
ジェームズ・ステュアート主演だって。
50年代の映画はほとんど知らないので、いつか鑑賞してみたいな。 

このデザインも良いなあ!
「The Nose On My Face」はLaurence Payne作1961年の小説ね。
どうやらスコットランドヤードの刑事Sam Birkettシリーズの1作目とのこと。
クライム物だと一目で分かる明瞭さが潔い!
9マスに緑と黒の2色だけを使用したシンプルなデザインなのに、なんとなくイメージが湧いてくるもんね。(笑)
ピストル、指示を出す上司、悪者のボス、流れる血、逃げる犯人って感じか?
それにしても「俺の顔にある鼻」ってタイトル、どういうことなんだろうね。
イギリス人にとって鼻をいうのが、どういう意味なのか知らないよ。
例えば日本だったら「鼻をつまむ」「鼻が曲がる」のように、あまり良い意味では使われることがないパーツだけど、世界的にはどうなんだろう。
調べてみるのも面白いかもしれないね? 

「Bill,the Galatic Hero」はHarry Harrinsonの1965年のSF小説だよ!
黒とピンク、紫と白の4色だけを使用しているにもかかわらず、ショッキングピンク色が強いので、非常にインパクトがあるよね。
銀河のヒーローと呼ぶのにふさわしく、まるで宇宙空間を闊歩しているように見える大胆な構図。
物語のあらすじを調べてみると、かなり荒唐無稽で面白そうなんだよね。
日本では「宇宙兵ブルース」として出版されていたみたい。
ハリイ・ハリソンは映画「ソイレント・グリーン」の元ネタの原作者でもあるという。
チャールトン・ヘストン主演で未来の食料品が枯渇した世界を描いた映画は、実際にそんな日が来るのではないかと思うほど怖かったよ。
今回紹介した「宇宙兵ブルース」も映画化されていることを知り驚いた。
監督はなんと「ストレイト・トゥ・ヘル」や「レポマン」でお馴染みのアレックス・コックス!
映画化されたのが2014年だというから、今から5年前なんだよね。
50年以上前の原作の映画化とは!

アレックス・コックスが最近でも映画を撮っていたことに驚いてしまったよ。
日本での公開はなかったのかな。

「All in The Racket」はWilliam E. Weeksによって1930年に書かれた本ね。
30年代にこのデザインセンスとは驚いてしまうよ。
タイトルを直訳すると「ラケットの中にあるすべて」?
ラケットはテニスやバドミントンで使う以外に、名詞で苦難や試練といった意味もあるようなので、恐らくこの本では「苦難のすべて」のような訳なのかもしれないな。
ロープが体にまきつき、がんじがらめになったせいで、抵抗することすら諦めてしまったような人物が描かれているよね。
自己啓発本の一種かもしれない、と勝手に想像するよ。
目に留まるデザインだけど、この本を手に取って、レジに向かうのは勇気がいるだろうな。(笑)

巨大なアリ!
古代人が着ているような服装をしたヒゲの男が驚いているようにみえる。
まるで版画のようなブック・カバー・デザインだけど、一体何語なんだろうね?
調べてみると、「Niezwykle Przezycia Doktora Dumczewa」は直訳すると「Dumczewa博士の異常に良い生活」だって。意味不明だね?
本の内容は「200分の1となって昆虫の世界に侵入した学者の冒険物語」とのこと。
1962年に刊行されているというので、「ミクロの決死圏」(原題:Fantastic Voyage 1966年)よりも早いことになるね。
オレンジとグレー、黒と白だけで本の内容を上手く伝えているデザイン。
絵本の表紙にしても良い雰囲気だよね!
ポーランド文学は殆ど知らないので、読んでみたいな。

「Self and Others」、自己と他者だね。
 イギリスの精神科医であるR.D.レインが1959年に発表した研究論文のようだね。
この本は違うブック・カバー・デザインだったら日本でも手にはいるみたい。
「 人間と人間との間で演じられる相互作用におけるもっとも基本的でもっとも微妙な「自己と他者」の関係を、著者は電子顕微鏡を透して見るように強拡大して見せる。
人間関係のからみあいを凝視して、螺旋的で錯綜したドラマを図式化し展開する。(Amazon販売ページより)

円だけを描いたデザインだけれど、本の内容をわかりやすく伝えることに成功しているよね。
単なる円だとあなどれないところがすごいと思う。
これぞ究極のシンプルさだよね。 

最後はこちら!
4冊分をまとめて紹介してみたよ。
まるで式神のような人型が登場する犯罪小説のブック・カバー・デザイン。
これはイギリスの出版社であるペンギン・グループが、「グリーン・ペンギン」としてシリーズ化しているデザインのようなんだよね。
黒・緑・白の3色だけで繰り広げられる世界は、見ているだけでワクワクしちゃう!
まるで記号のように単純化しているのに、一瞬のうちに状況説明できている秀逸さには脱帽だよ。
「野良猫の死」「棺を抱えて」「後幕」「バスマンの新婚旅行」という思わせぶりなタイトルが並んでいるよね。
内容は不明だけど、このブック・カバー・デザインを見ただけで購入意欲が湧いてくるのは間違いないよ。
こんなにデザイン的に優れている本だったら、読まなくても飾っておきたくなるくらいだもんね。(笑)

今回は色数が少なめのブック・カバー・デザインを集めてみたよ。
ヴィンテージと言って良い1960年代以前の物がほとんどだったのは、ROCKHURRAH RECORDSの好みの問題かもしれないね。
ヴィンテージ・デザインにはカッコ良いものが多すぎて、目移りしてしまうほどだった。
とても1回ではまとめきれなかったので、また別の機会に特集してみたいと思う。
温故知新の旅、次回もお楽しみに!(笑)