Gerhard Richter Painting展 鑑賞

【ゲルハルト・リヒターの真っ黒な作品に写り込んだSNAKEPIPE】

SNAKEPIPE WROTE:

先週の「村上隆 五百羅漢図展 鑑賞に続き、今週も展覧会に関するブログをお届けしようと思う。
ブログは2週に渡ってるけれど、実際には2日連続で六本木に馳せ参じることになったSNAKEPIPEなんだよね。

今回鑑賞したのはワコウ・ワークス・オブ・アートで開催されているゲルハルト・リヒターの新作展!
ゲルハルト・リヒターといえば…。
2014年8月の「「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」鑑賞」の時にも「衝撃的だったアーティスト」として記事にしていたね。
サザビーズのオークションで生存する画家の中で最高額を記録した「現代絵画の最高峰」とされるリヒター。
その新作が日本で初公開だよ、とROCKHURRAHが教えてくれた。
これは是非とも行かなければ!(笑)

ワコウ・ワークス・オブ・アートは方向音痴のSNAKEPIPEでも迷わず行かれる場所にあった。
麻布警察署の裏手、といった所。
表に立っている警察官に道を聞かなくて良かった。(笑)
ワコウ・ワークスがあるピラミデビルは、バブル時代を感じさせるような懐かしい雰囲気。
こういうビルは大好き。(笑)
アート系のギャラリーが多く入っているのも良いね!

いよいよゲルハルト・リヒター展へ。
数人のお客さんが入っている。
美術館ではなく画廊のため、作品に近寄ってはいけない白線がない!
監視員もいない!(笑)
当然触ることはしないけれど、かなり近寄ってじっくり作品を観ることができるのは素晴らしいよね!


入場は無料、そして撮影もオッケーみたい。
みたい、というのは断ったわけではなくて、他の人達が撮っていたから。
当然のようにSNAKEPIPEもROCKHURRAHも撮影しちゃったよ!
リヒターの作品を実際に観たのはヤゲオ財団の時だけだったので、今回の作品はサイズが小さめだなと思った。


正面から、横からとじっくり鑑賞する。
何重にも塗り重ねられ、ものすごく絵具が厚い部分もある。
塗って、こそぎ落として、また重ねてって感じなのかな?
不調和の中の調和とでもいうのだろうか。
カラフルな洪水のハーモニー。(←陳腐な物言い)
抽象画家で「好き!」とはっきり言えるのはマーク・ロスコに続いて2人目かな!(笑)


「アラジン」という、ガラスにラッカーを使用したシリーズも日本未公開作品が展示されていたよ。
ガラスだから表面がつるつるに光っていて、その光沢がまた良いんだよね!
ただし写真に撮りたい時には反射するから難しいんだけど。
こちらも色がくっきりしていて素敵なの。
3点くらい並べて部屋に飾りたいなあ。(笑)


こちらも「アラジン」シリーズね。
緑色の辺りが反射しちゃってるけど許してね。(笑)
この色合いがまたっ!
今年83歳になるゲルハルト・リヒターだけど、今回展示されていたのって最近の作品なんだよね。
年齢や創作意欲の衰えを全く感じさせない、ほとばしるパッションを感じたね!
あはは!パッションだって!(笑)


最後は「オーバー・ペインテッド・フォト」というスナップ写真の上に油彩やエナメルで描いている作品ね。
上の画像で少しは分かるかな?
この「オーバー・ペインテッド・フォト」は、なんでもないスナップ写真を劇的にアートな作品に仕立ててしまうところがすごいの!
今年の作品も展示されていたよ!
「リヒター、やるなあ」
とROCKHURRAHと語り合っていたSNAKEPIPE。(笑)

こんなに素晴らしい展覧会を、しかも無料で企画してくれたワコウ・ワークス・オブ・アートに感謝だね!
今度は作品購入の相談に伺いますから!(うそ)

村上隆 五百羅漢図展 鑑賞

【こうやって制作してたんだ、と帰宅後知ったメイキング映像】

SNAKEPIPE WROTE:

何が良いのか分からない、ということで友人Mと意見が一致したのが、現代アートの村上隆についての見解。
どうしてサザビーズのオークションで、左の作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が16億もの高値で取引されたのか?
実物を見ていないのに感想を持つのはいかがなものか、とも言えるけど、メディアや雑誌で一目惚れする作品もあるわけだからね。
その逆もまた然り、という気がするよ。
結局、今まで一度も村上隆の作品を見て、ビビッと来たことがなかったんだよね。(笑)
アニメとかフィギュアなどの秋葉原系オタクアート、という認識だけだったからね。
うーん、やっぱりこのフィギュアの意味は分からないなあ…。

森美術館で村上隆の五百羅漢図展が開催されることも知っていたけれど、あまり興味を示していなかったSNAKEPIPE。
村上隆が五百羅漢を描いたとしても、やっぱりアニメっぽいんだろうな、と予想できたからね。(笑)

六本木に用事があり、友人Mと待ち合わせることになった。
「村上隆、どうする?」
意外なことに友人Mから、展覧会に行くかどうかの質問が来た。
観に行く、ということを一切考えていなかったので、これは青天の霹靂!
どうして日本よりも海外で評価されてるのか、その謎を解く鍵が今回の展覧会には隠されているかもしれない。
どこが良いのか分からないから実物を観て、それから好き嫌いを今一度考えてみようか、ということになった。
通常ならば好きで観たいから行くのに、今回は本当に何が良いのか分からないままで良いのかを確認するために展覧会に行くとは!(笑)

久しぶりの森美術館。
前回はもしかしてアンディ・ウォーホル?
確認してみると、やっぱり2014年春以来だったよ。
いつの間にか改装されていて、ちょっと戸惑う。
ミュージアムショップがなくなってる!
総合案内所が奥まったところにある!
友人Mも久しぶりに来たようで、改装後を知らなかったと言う。


今回の村上隆展のタイトルは五百羅漢図。
ちなみに五百羅漢とは、「仏教で供養尊敬を受けるに値する 500人の人々」のことらしい。
その500人は仏典編集会議の参加者だったとのこと。
釈迦の教えを残すために、弟子たちが各自の伝聞にもとづく資料を持ち寄り、聖典の編纂をした時の500人が五百羅漢ということなんだね。
そのため仏教的なモチーフが描かれている。
達磨、龍、鬼、象などが巨大なキャンバスから飛び出しそうな勢いで様々なポーズを決めているのだ。

村上隆というとすぐに思い出されるのが右のようなキャラクターだよね。
このキャラクターがあるだけで、どうしても子供向けにデザインされたお菓子のパッケージのようなイメージしか感じられなくなってしまう。
村上隆の自画像、もしくは写真もあまり観たくない作品なんだよね。(笑)
それら「好みではない」のが約半分くらいの展示数だったかな?
ということは、残りの半分は楽しく鑑賞したことになるんだね。
SNAKEPIPEは大型の作品の中の「ここ!」というような、パーツが気になることが多かったよ。


今回の展覧会で1番気に入ったのが上の作品。
千葉県民だからか、どうしても落花生のような形が好きで。
というのは嘘だけどね。(笑)
作品の右側の色使いの美しさが素晴らしかった。

左は作品をトリミングした画像なんだけど、テキスタイルのようなデザインとして見ると、例えばスカーフとかクッションカバーだったらとっても素敵だろうね?
極彩色なので、ワンピースにするには派手かも、なんて想像するのは楽しかったな。(笑)
どの作品もテカテカな光沢があって、描いているというよりはステッカーを貼ったように見えた。
最近の展覧会は撮影オッケーな場合が多くて、今回の村上隆展も全ての作品の撮影がオッケー。
スマートフォンならば動画までオッケーとは太っ腹だよね。(笑)
おかげでこうしてブログにアップしているんだけど。


サイケデリックな雰囲気の宇宙だよね!
おお!ティモシー・リアリー!オルダス・ハクスレー!(笑)
こんなグルグルのお皿あったら欲しいな。


髑髏モチーフも多く登場していたね。
ポップな髑髏、現代アートらしいということなのかな?

全て苦手だろうという予想がハズレ!
あのキャラクターだけがダメだとわかっただけでも満足だね。
世界のムラカミ、とまでは思わなかったけど。(笑)

蔡國強展 帰去来鑑賞

【帰去来展のポスターを撮影。図録の背表紙が貼られていてお洒落!】

SNAKEPIPE WROTE:

横浜美術館で開催される展覧会の誘いがあったのは夏より前のことだ。
情報をもたらしたのは、毎度お馴染みの長年来の友人M。
どんな展覧会だろう、と調べてみる。
それは中国人のアーティスト、蔡國強という人の展覧会で7月から10月まで開催されているようだ。
現代アートはよく観るけれど、中国人のアーティストってあまり知らないなあ。

ROCKHURRAHが更に調べてくれて、蔡國強の詳細が判明。
爆発アートとして有名な人だという。
以前ヤゲオ財団のコレクションを展示していた「 現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」の時に、蔡國強の作品も鑑賞してたみたいなんだよね。
ヤゲオ財団の時は爆竹で描いたドラゴンの作品だったはず。
その時に観た作品と全く同じではないけれど、一応参考として載せてみたのが上の画像ね。
とても迫力があって、その奇抜なアイデアに驚いたものだった。
今回のメインとして紹介されているのが大量の狼の立体作品。
これは一体何だろう?
確かに面白そうだよね!
真夏を避けて、少し日差しが落ち着いた頃に予定しよう、ということになった。

前回横浜美術館に行ったのは2012年5月の「マックス・エルンスト-フィギィア×スケープ」だったということは3年以上も前のことなんだね。
どうりで!
以前横浜美術館に行った時には見かけなかった建物があるんだよね。
「MARK IS みなとみらい」というみなとみらい駅直結の複合商業施設が横浜美術館の目の前にできていて驚いた。
どうやら「MARK IS」は2013年6月にオープンしてたんだって!
街が変わっているのも無理はなかろう。(笑)
友人Mも2012年3月の「松井冬子展鑑賞~世界中の子と友達になれる~」以来なので、やっぱり「MARK IS」の存在を知らなかったという。
怪しい3人組、今回は「MARK IS」に集結したのである。

「蔡國強展 帰去来」はもう少しで開催が終了という時期だったけれど、結構混雑していたように思う。
年配の女性が多かったのが意外かな。
一番最初の展示室前に「猥褻な表現が含まれていますのでご注意下さい」という内容の立て札が置かれていて、首を傾げながら入室する。
人生における「春夏秋冬」を春画をモチーフに描いた大型の作品が展示されている。
春画モチーフの部分が「猥褻」ということなのかな?
こういう議論自体がナンセンスで、観たくない人は観なければ良いだけじゃないか、と思っているSNAKEPIPEには必要のない忠告なんだよね。
会田誠の展覧会の時にも目くじら立てて抗議した客がいたらしいけど、不快だと感じたら観るのをやめて欲しい。
鑑賞者が自己責任で判断すれば済むだけの単純な話だと思うけど?
蔡國強の「春夏秋冬」はお坊さん2人か?と思ってしまうようなスキンヘッドの2人が中央に配置され、周りに花や鳥や花札が描かれた作品だった。

次の部屋に向かう。
次のタイトルも「春夏秋冬」で、今度はタイルの上に花や昆虫、魚などの立体が乗った作品だった。
この作品はそれらを全部配置した上に火薬を撒いて、火を着け燃やすことで完成させているという。
作品を作る様子がビデオを流れていたので、それを観てやっと意味が分かる。
燃えた部分が黒く煤けてるんだよね。
その黒い色合いの美しさに惹かれる。

実は最初の「春夏秋冬」を観た時には全くピンをこなかったSNAKEPIPEだったけれど、その作品を作る過程のビデオを観て急に興味が湧いてきた。
今回展示されている作品は、次に紹介する狼の大群以外は、すべて横浜美術館内で制作されたようだ。
蔡國強自身が火薬を撒いて、チャッカマンみたいなので火を着けて燃やしている様子がビデオで流れている。
火が着いた瞬間、大きな音と共に火事になったような爆発が起こる。
火薬慣れしている(?)蔡國強には普通の瞬間なのかもしれないけれど、初めて知ったSNAKEPIPEは本当に爆発させて作品を制作している様子に目が釘付け!
「危ない!下がって!火を消して!」
なんて言葉をアート作品で聞くなんて思わないもんね。
命がけのアート、観ていて笑ってしまったよ。(笑)

更に蔡國強のインタビューも興味深かった。
こちらが勝手に想像している中国人像とはかけ離れた、パンクっぽい人物なんだよね。
Search And Destroy!(笑)
爆発によってどうなるのか結果が予測できない「偶然性」を重視しているというのは面白いね。
蔡國強の火薬を使用した作品というのは、作品として展示されているのは単なる残骸で、本当はその途中経過(例えば燃えている時)が本来の、本当の意味での作品なんだろうなあ、と思った。
そのため作品だけをポンと出されても「なんだこれ?」になっちゃったのかもしれないなあ。
もしかしたらSNAKEPIPEだけが、そう感じたのかもしれないけど。

最後が今回の展覧会の目玉というべき「Head On(壁撞き)」。
99匹の狼が部屋いっぱいに展示されている。
地を這う狼、空を飛ぶ狼、壁に激突する狼。
壁の高さはベルリンの壁と同じ高さだという。
落ちてはまた立ち上がり、 空を飛び、また激突する。
99というのが道教で永遠に循環することを象徴する数字だとは知らなかったよ。
99と聞くとネーナの「ロックバルーンは99(原題:99 Luftballons)」を思い出してしまったSNAKEPIPEだけどね!(笑)

この部屋は1匹1匹じっくり観ていたくなるほどの大迫力空間だった。
SNAKEPIPEが思うところの「現代アート」というのはこういう作品なんだよね。
解説なんてなくても、唖然とするほど驚かせてくれる。
もちろん99匹なんだ、ベルリンの壁なんだ、と知ることで作品の理解度は高まるけれど、言葉がなくても圧倒的な存在感を示すことができる作品というのはすごいと思う。
1匹、狼欲しくなっちゃったよ。(笑)
友人Mは「オスの狼を発見した!」と笑っている。
下から見上げるとよく見えるからね。(笑)

蔡國強と聞いて「あの狼の!」とか「火薬の人」というようにパッと言葉出てくるインパクトを持っていることが素晴らしいよね。
まだまだ知らないアーティスト、いっぱいいるよね。

横浜美術館では常設展として「戦争と美術」が開催されていた。
横浜美術館のコレクションって素晴らしいんだよね!
今回観た中では「浜田知明」のエッチング作品が気になったよ。
97歳の現在も制作を続けているというからすごい!
他の作品も観てみたいな。
シュルレアリスムの作品が充実している横浜美術館、また別のコレクションも楽しみだね!

全てを鑑賞し終えてミュージアムショップに立ち寄る。
そこでまさか、の狼のぬいぐるみをROCKHURRAHが発見。
「うそでしょ?」
と言いながら友人Mと近寄ってみると、プレートには「蔡國強」とちゃんと明記されているじゃないの!
いやー、どうみてもただのぬいぐるみなんだけどね?(笑)
更に笑ってしまったのは、値下げされていたこと!
会期終了が迫っているからプライスダウンして売りさばこうってことなのかしら?
上の写真が問題の「蔡國強の」ぬいぐるみなんだけど、99匹の狼に似てるかな?(笑)

爆発というと「芸術は爆発だ!」の岡本太郎か「爆発的!」の鳥飼先生だよね、などとROCKHURRAHと話していると、
「あっ!ええっ!」
とROCKHURRAHが言葉になっていないような声をあげる。
何事か、と驚いていると
「鳥飼先生、なんと蔡國強展に行ってる!前日に!」
「ええっ!」
今度はSNAKEPIPEが声を上げてしまった!
ニアミスで鳥飼先生と同じ展覧会を鑑賞していたとは!
一日違っていたら美術館でお会いしていたかもね?(笑)

「オスカー・ニーマイヤー展」と「ここはだれの場所?」鑑賞

【地下の図書室壁にある展覧会のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「絶対観たほうが良いって!」
長年来の友人Mからの誘いは、東京都現代美術館で開催されている展覧会のことである。
「マコっちゃん、会場にいるみたいだよ!」
これもお目当ての一つだったようだ。
マコっちゃん、とは現代美術家の会田誠のこと。
全く知り合いでもなんでもないのに、勝手にニックネームで呼んでる友人M。
フランシス・ベーコンのこともベーコンさん、だしね。(笑)

おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」の展示に会田誠の作品があり、その会場内に会田誠が出現するという情報があるらしい。
アーティストご本人にお目にかかれるチャンスはなかなかないもんね!
オスカー・ニーマイヤー展」の鑑賞も目的の一つ。
暑さのため、できれば外出したくないと考えていたけれど、機会を逃して苦い涙を流したくないと一大決心をする。(大げさ)
友人MとROCKHURRAH、そしてSNAKEPIPEの怪しい3人組は今年4月の「大アマゾン展」以来約4ヶ月ぶりに集結したのである。

おいしい物を食べることが大好きな友人Mは、何かの約束をする度にグルメ情報を検索し、「お昼はココ!」と指定してくるのが常である。
今回も、 美術館に行く、と決まったすぐ後に木場近辺のグルメ情報が送られてきた。
いくつかの候補の中から、今回は夏らしくタイ料理に決定!
3人で辛い料理に舌鼓を打った後、美術館に向かったのである。

まずは「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」から鑑賞する。
会場に入ってすぐに、圧倒的な色の洪水が目に飛び込んでくる。
ヨーガン・レールの作品である。
ヨーガン・レールと聞いて懐かしい、とROCKHURRAHがつぶやく。
SNAKEPIPEは聞き覚えがなかったけれど、ヨーガン・レールは1970年代から日本でファッション・ブランドを展開しているデザイナーだったんだね。
そのヨーガン・レールが石垣島で拾った漂流物がカラー分けして展示されていたのである。
漂流物とは、言い換えればゴミ!(笑)
それを種類や色で分別して、キレイに配置するとびっくりするほどアートになっちゃうんだよね!

 
カーテンで仕切られた次の会場に入ると、驚きのあまり声が出た。
「わー!キレイ!」
天井から吊るされた色とりどりのライトは、壁が鏡になっている効果も加わり、なんとも幻想的な異空間へと誘ってくれる。
全体をみると幻想的だったけれど、ライトを構成している部品はなんだろう?と近寄ってみて更にびっくり。
前の会場にあった漂流物が使用されているんだよね!
例えばペットボトルのキャップだったり、洗剤の容器だったり。
廃品から、こんなに素敵な作品を作るなんて!(笑)
ずっと会場にいたい気分だったね。

展示会場にあった年譜でも、既に亡くなっていることは知っていたけれど、石垣島での自動車事故が原因だったとは!
70歳という年齢も、まだまだこれからだったのに、と残念に感じてしまうよね。


続いてはお目当ての会田誠の会場へ。
展示作品にクレームがつき、撤去要請が出たといういわくつき(?)の作品が左側の「会田家」と書いてある「檄」である。
2013年1月の当ブログ「会田誠展~天才でごめんなさい~」は森美術館で開催された個展を鑑賞した際の感想をまとめたものであるが、その中で

美術界の過激派として
これからもブラック・ジョークで笑わせて欲しいと思う

と書いたSNAKEPIPE。
「作品にクレームがついた」というのは、会田誠にとっては思うツボかもしれないと感じてしまう。
同じブログで

「これはダメです」という社会的な規制やルールに
対抗することで成り立っている作品が多い点が特徴

とも感想を綴っているSNAKEPIPEからすれば「それが会田誠の作風」だと思うから。
クレーム結構!批判上等!じゃないのかな?(笑)

さて、お目当ての会田誠ご本人は何処?
会場の片隅に畳敷きの作業場があり、机と座布団が置かれている。
どうやら木彫で作品を作っているようである。
友人Mと「マコっちゃんいないね」と言いながら、制作途中の木彫をじっくり眺めていると
「会田さんは今日来るのちょっと遅いみたいですよ」
よいしょ、と作業場の座布団に腰を降ろしながら男性が話しかけてくる。
どうやらその男性が会田誠のパートナー(?)で、会田誠が描いた原画の木彫を担当しているらしい。
会田誠は昨夜飲み過ぎ、家に帰れず、奥さんに叱られたため、会場入りが遅いという話を聞き、笑ってしまう。
パートナーの男性の名前を聞き忘れてしまったけれど、その方から木彫の作品に関する説明も聞くことができて良かった。
「会田誠版いろはかるた」を制作している途中で、完成した暁には会田誠の故郷である新潟で展覧会が開催される予定らしい。
「いろはかるた」は会田誠らしくブラックな内容で面白かったな!(笑)
新潟までは行かれないけれど、いつかまた森美術館あたりで個展開いてもらって、その時に鑑賞したいよね。

他にも安倍総理に扮したビデオや、気味の悪い人形がいっぱい飾ってあるアート作品だったり、食べる気を無くすような血みどろの「愛憎弁当」やシャネルのマーク入りの「ブランド弁当」など、「いかにも会田誠」ワールドが展開されていて、楽しめた。
マコっちゃんに遭遇できなかったのが残念だったね!

展覧会のハシゴをするのは久しぶりである。
同じ美術館内でのハシゴだから、そんなに大変じゃないけどね!
続いては「 オスカー・ニーマイヤー展」へと向かう。

SNAKEPIPEはカッコ良くて変わったデザインの建築物は大好きだけれど、建築家についての知識はゼロに近い。
これはどの業界についても同じことが言えると思うけれど、その世界では知らぬ人がいないくらい有名でも、業界外の人間には全く存在を知られていないというパターンだ。
オスカー・ニーマイヤーはブラジルの建築家で、その作品が世界遺産に登録されているという。

日伯外交樹立120周年を記念して、リオが生んだ
偉大な建築家の約1世紀にわたる軌跡を紹介いたします

という説明がされていたように、ブラジルと日本というのは長い歴史があるのにもかかわらず、あまり文化的な紹介はされていないように感じてしまうね。
自分でもすっかり忘れていたけれど、2008年に「大道・ブランコ・コーヒー」 というダジャレをタイトルにしたブログが、ブラジルの写真家ミゲル・リオ=ブランコ森山大道の写真展についてまとめた記事だったっけ。
あれも東京都現代美術館の企画だったよね!(笑)

ブラジルの文化に関してはそんな程度の知識しかないSNAKEPIPEなので、オスカー・ニーマイヤーの名前を聞いたのも、作品を観るのも初めて!
友人Mも知らなかったようだ。
ROCKHURRAHは昔、デザイン関係の仕事をしてした友人が持っていた本の中にオスカー・ニーマイヤーの作品があったことを記憶していたようだけれど、詳しく知っているわけではないという。

会場に入ってすぐに動画が映し出されているスクリーンがある。
空飛ぶ円盤がブラジルの空を飛び、まるでイギリスの人形劇「サンダーバード」のような海際の基地に着陸する。
中から出てきたのはオスカー・ニーマイヤー本人!
マーロン・ブランドに似て蝶!(笑)
このちょっとチープ感のある映像がとても面白くて、目が釘付けになってしまった。(笑)

次の部屋からはオスカー・ニーマイヤーが設計した建築の模型や写真が展示されている。
その建築の奇抜でユニークなデザインに度肝を抜かれてしまう。
年代を確認すると1950年代!
えー!
2011年の年末の当ブログ「ウィリアム・ブレイク版画展/メタボリズムの未来都市展」では森美術館で開催された「メタボリズムの未来都市展」について書いている。
この展覧会は日本の建築家がより良い社会、環境との共存、狭い日本の土地問題など、様々な観点から都市計画を考えた建築家達のデザインが展示されていたんだよね。

その建築運動は1960年以降だったし、建築家が空想したデザインは実現されることがなく、「こんなのどお?」という提案で終わってしまうことがほとんどだったようだ。
ところが、なんとブラジルでは奇想天外なデザインが実際に建築されていたんだね!
この差は一体何故なんだろう?
予算?
土地の広さ?
それとも民族的な考え方の違いか?(笑)

オスカー・ニーマイヤーが落書きみたいにキュキュっと描いた曲線がそのまま形になって建築物に変化してしまう映像が興味深かった。
この自由な発想とセンスは日本人には難しいレベルかもね?

オスカー・ニーマイヤーの作品の中で実際に行ってみたいなと思ったのがニテロイ現代美術館(写真上)である。
オスカー・ニーマイヤー自身がこの美術館について語っていた。
「この坂道をワクワクしながら登ることだろう」
坂道って赤い舌みたいなところね。(笑)
現代美術館だもんね、これくらい現代アートな建築の中で展示されて当然だよね!
おや?どうやらこの美術館が、会場入口で観た空飛ぶ円盤だったんだね!
だから海際に着陸したのも納得ね。

オスカー・ニーマイヤーは2012年に104歳で他界したそうだけれど、2011年の作品もクレジットされているように高齢になっても現役で活動していたようである。
そのエネルギーの源は、どうやら女性だったようで。(笑)
オスカー・ニーマイヤーのデザインの特徴である曲線は「愛する女性の体の線」を表現しているという。
アレハンドロ・ホドロスキーもそうだけど、女好きのスケベ心を忘れない(?)男性は創作活動期間が長くて、良い作品を作り続けることができるのかもしれないね?(笑)

オスカー・ニーマイヤー展も鑑賞できて良かったなあ!
まだまだ全然知らない大好きな世界がたくさんあることが分かって、次の新たな出会いが待ち遠しくなるね!

最後に常設展へ。
今回の常設展は「戦後美術クローズアップ」と題して、1945年以降の日本人アーティストの作品を展示していた。
ハーバード大学を卒業してフランス陸軍の歯科医をしていた洋画家、中原實なんて、知らなかったよ!
そんな経歴を持っているアーティストがいたなんてね!
友人Mのお気に入りの画家香月泰男の作品も展示されていて、良かった。
香月泰男の作品は記憶が間違っていなければ、国立近代美術館の常設展で観たのが最初だったはず。
山口県長門市に香月泰男美術館があるようなので、いつか行ってみたいよね!
今回の常設展で一番興味を持ったのが石井茂雄 という28歳で夭折した画家!
石井茂雄(画家)と検索しないと、野球選手がヒットしちゃうから要注意なんだよね。(笑)
この石井茂雄(画家)は、なんとヨーコ・オノの従兄弟なんだって。
上の画像のようなアングラなタッチのモノクロームの作品やフォトモンタージュの作品もあり、ものすごく好みだった。
このアーティストのことも全然知らなかった!
今回の東京都現代美術館の企画、全部良かったね。
「絶対観たほうが良いって!」という友人Mの言葉通り!
またいろんな展覧会に行ってみたいと思う。