ビザール・コンテナ選手権!39回戦

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【色とりどりのコンテナをSNAKEPIPEが撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先日100円ショップに立ち寄った。
目当ての消耗品を手にしたSNAKEPIPEはレジに向かおうとした。
その時ROCKHURRAHから呼び止められる。
「ちょっと!これ見て!」
やや興奮気味のROCKHURRAHが指し示す棚に視線を移す。
 そこにはミニチュアのコンテナが並んでいたのである。

これから本文中で使う「コンテナ」という単語は、鋼鉄製で輸送を目的とした長方形の箱型のことね。
通常は20ft(約6m)や40ft(約12m)などが単位の大型であることが多いみたい。
たまにトラックの荷台に載ったコンテナを見ることがあるよね。
TOPに載せた画像はSNAKEPIPEが2003年に撮影したもの。
湾岸地帯を撮影することが多かったSNAKEPIPEにとって、コンテナは非常に身近だった。
様々な国から運ばれてくるコンテナには、読めないようなスペルの文字やロゴマークが書かれている。
コンテナ本体の色もカラフルでとてもオシャレ!(笑)
ROCKHURRAHもコンテナが好きなので、100円ショップで興奮したのも納得だよね。 

100円ショップで発見したコンテナは3色展開で、ロゴはすべて同じ。
ROCKHURRAHは全色を購入、SNAKEPIPEは2色をチョイス。
結局2人で5個購入したんだけど、見ているだけでウキウキする逸品だよ。(笑)
上の蓋が開くので、小物入れなんだろうね。
特に使用目的もなく、「かわいい!」という理由で選んでしまったよ。
残念なのはロゴが同じというところ。
100円なので文句は言えないけれど、もっと色んな種類があったら良いのに。

調べてみると、あるじゃないの。
アメリカのAmazonにWalthers SceneMaster HO Scale Modelとして展開されている。
1/87の縮小サイズで21種類のミニチュアコンテナがあったよ!(笑)
上に画像を載せたトラックの荷台にあったコンテナもこの通り。
手のひらサイズになっているということで、玩具なんだよね。
鉄道模型を趣味にしている人なら、実物に忠実なアイテムを望むはず。
鉄道好きは子供から大人まで幅広い層がいるはずなので、きっとこのミニチュア・コンテナには反応するだろうね。
インダストリアル好きのSNAKEPIPEやROCKHURRAHのようなタイプも注目するアイテム。
気になるお値段は$12.95に加えて日本への送料が$8.91なので$21.86、日本円で約2,300円だよ!
種類が豊富なので、全部欲しくなっちゃうよね。(笑)

他にもコンテナ・アイテムは売ってないか調べてみる。
米国のAmazon内で購入できるもの、という意味ね!
そして見つけたのがこれ。
MAERSK」という文字は、コンテナにかかれているのをよく見かけるよ。
なんと読むのかな? 
調べてみると、これは売上高世界一のデンマークに拠点を置く海運企業「マースク」とのこと。
これからは悩まないで「マースク」と言えるね。(笑)
そんな「マースク」のコンテナを再現し、パッケージにしているティッシュケースがNing 1 PCS Metal Shipping Contianer Tissue Box Holder Decorative Rectangular Container Tissue Cover Boxとして販売されているよ。 
5色展開されているんだけど、残念なのは色がランダムで送られてくること。
ページ内のQ&Aにも色の指定に関する質問が数多く寄せられているよ。
どの色になっても問題ないということであれば、お値段$35(日本円で約3,700円)で手に入る逸品だよ!
「夫が鉄道オタクなので購入。気に入ってくれました」
などのコメントもあったね。
ちなみに「train guy」 を鉄道オタクだと思ったんだけど、単なる鉄道関係者だったら意味が違うかな?(笑)

ミニチュアのコンテナはかわいいけれど、コンテナの実物はないのかしらん。
あった!(笑)
20FT USED Cargo Worthy Steel Shipping Container in CA – Secure Water Tight Home or Business StorageとしてAmazon内で販売されているよ。 
これはどうやら中古のコンテナのため程度によって価格に違いがある商品のようで、 「お問い合わせください」としか書かれていないのが残念!
せめて価格帯だけでも載せておいて欲しかったんだけどね。
ちなみにAmazon以外で新品のコンテナを販売しているページで価格について調べてみた。
新品の20ftで$2,700、日本円で約28万6,000円だって。
なんとなくの金額が分かってきたね。

コンテナといえば、忘れちゃならないのが家としての使用だよね!
SNAKEPIPEが一番最初にコンテナ・ハウスを知ったのは、映画「ピンク・フラミンゴ(原題: Pink Flamingos 1972年)」。
ディバイン一家が住んでいたのがコンテナで、映画を観た当時18歳のSNAKEPIPEは憧れを持ったものだった。
恐らくアメリカでは、コンテナ・ハウスは家を建てることができない低所得者層向けのアイテムだと思うけどね。
「ピンク・フラミンゴ」でのディバイン一家は、どうみても裕福とは言い難い生活だったし。
それでもコンパクトに生活できて、いざとなったら移動可能なコンテナ・ハウスは記憶に残ったんだよね!

Amazonでコンテナ・ハウスが販売されていることがわかったよ!
MODS 40 Foot Tiny Homeは320ft²(約30m²)の面積を持つ家具付きの小さな家なんだって。
狭いなりにもベッドルーム、シャワー、トイレ、シンク、簡易キッチン、リビングエリアが完備されているという。
下水道や電気などインフラ設備を整える必要はあるようだけど、充分生活できるよね。
気になるお値段は$36,000、日本円で約380万円!
自分の家を建てたことがないし、一般的な相場も知らないけれど、この価格でマイホームを気取ることができるならお買い得なのかも?(笑)

日本国内でコンテナを使用している住宅やショップはそんなに見かけないけれど、海外では増えているようだね。
例えばトラックの幌をリサイクルしてバッグを販売しているFREITAGのチューリッヒにある本社は貨物コンテナを利用したビルなんだよね。
他にも有名なショップがコンテナをオシャレに再利用しているのも見かけるようになってきた。
住宅用に使用され、機能性とデザイン性を兼ね備えた設計が注目されている。
かつての簡易住宅というイメージとは違ってきているようだね。 
画像はそんなオシャレなコンテナ・ハウスを集めたもの。
上に書いたように20ftのコンテナ1台が約30万なので、いくつ積んでコストがどれくらいなのか考えてしまうよ。
10個買って300万だもんね?
実際にはコンテナの輸送や積み上げ、更に加工が必要だからお値段は何倍もかかるだろうけど。
いつの日かこんな家に住んでみたいもんだよ。(笑) 

シリーズ現代の作家 横尾忠則/ピーター・ドイグ展 鑑賞

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【国立近代美術館前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

「見つけてしまった!これは行かねば!」
長年来の友人Mからメッセージが届く。
何を見つけたんだろう、とメッセージに貼ってあるリンクを開いてみる。
そこには横尾忠則の版画展が載っていた。
2009年5月の「好き好きアーツ!#07 横尾忠則」や2019年6月の「B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」などで熱く語っている横尾忠則。
確かに観てみたい展覧会だよね!
場所はどこだろうと目を走らせる。
えー!町田なのー?
かなり遠い場所なので、数年前にも諦めた美術館だったことを思い出した。
あの時も横尾忠則展だったような?

今まで一度も行ったことがない町田。
せっかくなので出かけてみようか、ということになった。
そして友人Mとは定番になりつつある、展覧会のハシゴは今回も実行する予定。
かなりの距離を移動することになりそうだね。(笑)

梅雨がまだ明けていないけれど、少し気温が低い曇天は、歩くのには丁度良いね。
小田急線の快速に乗ると代々木上原から町田まで約30分。
そこまで遠くはないのかな?
友人Mも町田は初めてだという。
展覧会が開催されている町田市国際版画美術館は、町田駅から徒歩15分とのこと。 
方向音痴のSNAKEPIPEとは違い、地図が読める友人Mにとっては、初めて歩く場所も怖くないんだよね。(笑)

いくつかの大通りを渡りながら歩くこと約10分。
こっちの方角だと思う、と友人Mが指す道を見てびっくり!
立っている場所から、完全なつま先下がりの急勾配が広がっているじゃないの!
山を切り拓いて宅地にしたような場所で、ここを毎日歩く人は登山しているみたいな感じだろうな。
足腰が鍛えられること間違いなし。(笑)
「ひーーー!」
叫びながら転げるように坂を下り切ると、ようやく美術館の入り口が見えてきた。
森の中にひっそりと佇むような外観に「いいねー!」と声を上げる。
帰宅後調べて知ったけれど、美術館は芹ヶ谷公園という大きな公園の一角にあったんだね。
天気が良い時には、公園の散策も楽しそうだよ。

いよいよ美術館へ。
その前に看板を撮影する。
インスタグラムで画像をアップしている友人Mも撮影。
以前は撮影するのはSNAKEPIPEだけだったのに、最近では場所取りの順番を待つことがあるんだよね。(笑)
展覧会は企画展と常設展という構成になっていて、横尾忠則は常設展だった。
企画展はインドネシアの版画家の作品が展示されていたよ。

お客さんは友人MとSNAKEPIPEだけという完全な貸切状態!
これは前回友人Mと鑑賞した「森山大道展」と同じ状況じゃないの!
しかも、横尾忠則の作品は撮影オッケー。
しかもしかも!なんと無料だったんだよね!(笑)
横尾忠則の作品は、ほとんどが観たことがあったけれど、遠路を来た甲斐があったよ。
画像は「W Wonderland Ⅱ」 。
ショッキングピンクに目を奪われる。

「入れ墨男」と題された作品は、同じスクエア型の3作品と共に「風景」として組まれていた。
それぞれの作品にはクローズアップされた人物が一人だけ登場する。
朝日なのか夕日なのかは定かではないけれど、太陽を背にした入れ墨男の輪郭が光に包まれている様が美しい。 
横尾忠則は高倉健のポスターも作成していたので、「紋々系」をテーマにするのは得意という印象があるよ。
「入れ墨男」は1969年の作品というので、高倉健の作品と同時代じゃないかな?

インドをテーマにした作品も展示されていたよ。
1977年から1979年に放映されていたドラマ「ムー」や「ムー一族」のタイトルバックを思い出すね。
ROCKHURRAH RECORDSではつい最近「ムー」を観終わって「ムー一族」にしようかって時に、Netflixに入会しちゃったもんで。(笑)
Netflixには面白そうなドラマがいっぱいあるんだよね。
またいつかチャンスがあったら、70年代のドラマも観てみようかな。
画像は「水其天」(だったと思う)で1974年の作品だよ。
上下に海が配されているシンメトリー構図で、3つの円が描かれた中央には交合しているような男女の姿。
横尾忠則の魅力はコラージュの面白さと色彩だなあ、と改めて認識する。
行って良かった展覧会だったよ!

ランチを済ませてから、続いて向かったのは東京国立近代美術館
昨年末にも友人Mと「窓展」を鑑賞した美術館だね。
この美術館は、他では観たことがない企画を立てることが多い印象があって、いつも楽しみなんだよね!
今回はスコットランドの画家、ピーター・ドイグの展覧会だという。
実はピーター・ドイグの名前を耳にするのは初めてのSNAKEPIPE。
経歴について調べてみようか。 

1959年 スコットランドのエジンバラに生まれる
1962年 カリブ海の島国トリニダード・トバゴに移る
1966年 カナダに移る
1979〜80年 ウィンブルドンスクールオブアートで学ぶ
1980〜83年 セントマーチンズスクールオブアートで学ぶ
1989〜90年 チェルシースクールオブアートで修士号を取得
1994年 ターナー賞にノミネート
2000年 友人であるクリス・オフィリと共にトリニダード・トバゴに戻る
2002年 活動拠点をポート・オブ・スペイン(トリニダード・トバゴ)に移す

テート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)、バイエラー財団(バーゼル)、分離派会館(ウィーン)など、世界的に有名な美術館で個展を開催し、ドイツのデュッセルドルフにある美術アカデミーの教授にも就任している。
作品はクリスティーズやサザビーズなどで高額取引されている、世界的に有名な画家だという。

年表を見て気が付くのは、スコットランドで生まれてからトリニダード・トバゴ、カナダに行き、再びロンドンで学んだ後、またトリニダード・トバゴに戻っていること。
友人としてクリス・オフィリの名前が出てきたことにも驚いた。
2015年5月に「SNAKEPIPE MUSEUM #32 Chris Ofili」として紹介していた画家だったからね。
クリス・オフィリには注目していたのに、ピーター・ドイグは全く知らなかったのが残念ですな!(笑)

ピーター・ドイグについて少し勉強したところで、展覧会の感想をまとめていこうか。
「撮った写真をシェアしよう!」などと看板があったほど、作品撮影に対して寛容なのが嬉しい。
もちろんバシバシ撮らせてもらったよ!
たくさん撮った割には、曲がった写真が多かったのが玉にキズだけど!(笑)

「Swamped(のまれる)」は1990年の作品。
年表で確認するとチェルシーの学校に行っていた頃に描いていたことになるのかな?
湖だろうか、水面に映る木々の様子が描かれているように見える。
夜なのかもしれない。
枯れた木が骨のよう。
なんとも言えない魅力的な絵で、今回SNAKEPIPEが一番気に入ったのはこの作品だよ!
所蔵しているのは「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」で、素晴らしいコレクションを見せてくれたヤゲオ財団!
ちなみに落札額は約30億円らしいよ。(笑)

ピーター・ドイグは年表にもあったように、少年期に国をまたいで引っ越しているんだよね。
そのせいなのか、年代によって絵の雰囲気が違い、同じ画家の作品に見えないことがあったよ。
「Canoe-Lake(カヌー=湖)」は1997〜98年の作品だという。
緑色のカヌーに乗っている女性も緑色。
生きていないように見えてしまうのはSNAKEPIPEだけかな?
13日の金曜日(原題:FRIDAY THE 13TH 1980年)」の第1作目に、よく似たシーンがあるのをROCKHURRAHが教えてくれたよ。
この作品もヤゲオ財団の所蔵品だって。
もしかして好みが似てるのかも。(笑)

「この絵が一番!」
と興奮していた友人M。
「ラペイルーズの壁」は2004年の作品で、ドイグが撮影した写真をもとに描かれているという。
日傘から暑い日だということは想像できるけれど、陽気な明るさよりも物悲しさを感じるんだよね。
遠い記憶を呼び起こされるような、甘ったるい懐かしさも同時に味わう。
もうあの時には戻れない、という悔しい気持ちも入り交じる。
様々な感情が噴出する作品に巡り合うことは稀な経験だったよ。

作品のタイトルは「影」。
改めてじっくり鑑賞しても、この作品の人物がよく分からないんだよね。
顔だけ横向きの後ろ姿なのか?
「ギターを持った渡り鳥」(古い!)がテーマではないと思うけど?(笑)
彼方に見える船はおぼろげで、杭も本当に存在しているのか不明な描かれ方だよ。
SNAKEPIPEには、ギターの男が埠頭をさまよっている魂のように感じるんだけどね。
もしくはもぬけの殻になった男の心情なのか。
東京国立近代美術館では「ドイグ作品で物語を作ろう!」という子供向けの夏休み企画を立てているようだけど、この作品からはどんな物語ができるだろう?
入選作品はHPに掲載されるというので、楽しみに待っていよう。

ピーター・ドイグは自分のスタジオで映画の上映会を行っているという。
「スタジオ・フィルム・クラブ」は2003年から、誰でも無料で参加できるプロジェクトとして始まったんだって。
その開催を告知するポスターが多数、展示されていたのが興味深かった。
恐らくピーター・ドイグによってセレクトされた映画が上映されるだろうから、映画の好みも分かるってことだよね。
デヴィッド・リンチの「ブルーベルベット(原題:Blue Velvet 1986年)」も上映されたようで、これはそのポスター。
デニス・ホッパーやイザベラ・ロッセリーニを描かずに耳だけとは!(笑)
この思い切りの良さには脱帽だね。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(原題:Stranger Than Paradise 1984年)」もチョイスされたんだね。
まるで一冊の写真集のような映画だったことを思い出す。
いとこのエヴァが描かれているね。
映画の上映後は、作品について話し合ったりするらしい。
文化サロン的な役割を担っているという上映会には、どんな人が参加するんだろうね?
トリニダード・トバゴについてよく知らないSNAKEPIPEなんだけど、アート関係の方が多いのかな。
楽しそうだよね!

こっ、これはっ!
「ZATOICHI」って書いてあるから、まさかと思うけど「座頭市」?
キャプションを確認すると間違いないみたい。
ということは、描かれているのは勝新太郎か。
このぞんざいにも見える絵に思わず笑ってしまったよ。(笑)
ドイグは日本映画にも興味があるようで、小津安二郎の映画にも影響を受けていると話しているという。
いや、それにしてもこの座頭市はどうだろう、、、。

ピーター・ドイグは初めて知ったアーティストだったけれど、とても面白かった!
作品のほとんどが大型なのも迫力があったよ。
年代や描いた場所によって全く印象が違う作品の存在を知ることができるのも、個展ならでは。
鑑賞できて良かったよ!

ROCKHURRAH RECORDS暑中見舞い2020

20200726 top
【ドイッチェランド感満載のポストカード】

ROCKHURRAH WROTE:

今年の梅雨は久々に典型的な雨続き、ジメッとした蒸し暑さばかりでまだ夏っぽい天気とは言えない日々が続いてるね。
夏の暑さもどんよりの湿気も大嫌いなROCKHURRAHは、すでに夏をすっ飛ばして秋の到来を待ちかねているよ。

前回のROCKHURRAHの記事でも書いた通り、使ってるMacを新しいのに買い替えたのはいいが、前の機種から環境を全部移行せずに必要なアプリケーションだけをインストールし直したり、うまくインストール出来なかったりで思ったより悪戦苦闘してしまった。
64ビット・オンリーになってしまったために、前は使えてた32ビットのアプリケーションが使えなくなってるのが一番の痛手だよ。
Photoshopに代表されるアドビ製品(ROCKHURRAHが持ってた古いヴァージョン)をはじめ「こいつもダメなのか?おまえまでもか?」と落胆するほど多くのアプリケーションが使えなくなってしまったよ。
主要なものはすでにヴァージョンアップはしてるんだろうけど、ずっと更新されてなくて永遠に使えなくなったような予感のする弱小アプリケーションを愛用してる場合が多いのだ。

そこで方向性を転換して、Macの仮想化を実現するParallels Desktop、VMWare Fusionという2大アプリケーションを導入して、その中でCatalina(現ヴァージョンのMac OS)より古いヴァージョンのOSをインストールしてみようと思いついた。
どちらもかなり前に試してみた事があったけど、その頃は自分のマシンのスペックが低すぎて実用化にはならないと痛感した覚えがある。しかもMacの中にMac OSを入れた事はなかった。
幸いなことにどちらのアプリケーションもCatalina対応のヴァージョンが出てて、期日限定の試用版がダウンロード出来るみたいなので早速試してみたよ。
Parallelsの方は面白いようにすんなりと目指す環境が出来て拍子抜けするくらいだったがVMWareの方、ちょっとクセが強くてさらに悪戦苦闘を何日も続けたのが個人的には、この夏一番の苦い思い出となってしまった。
まずインストールした直後の画面が異常に小さい。Retinaディスプレイに最適化、などと書いてあるくせにディスプレイ解像度が低いまんまでいくらやっても変えられず苦労したよ。
調べてみるとVMWare Toolsをインストールしないとダメみたいなんだが、インストールしようとすると「OSのヴァージョンが新しすぎます」などと無理難題を言ってくるのでイヤになる。
結局何度やり直したかわからないほどの労力をかけて、やっと普通の解像度に出来た時には試用版の期限切れ間近というありさま。
VMWareの方はParallelsに比べてマイナーな存在なのか、調べる記事が少ないから自分の症状に当てはまるようなのが見つからず、それが敗因となったわけだ。解像度くらいオプション(VMWare Tools)をインストールしなくても初期状態でやっとけよ、と言いたくなる。

ここまでして新しいOSにする意味がないようにも感じるけど、すでに今年の秋にはさらに新しいOSがリリースされるらしい。
自分がどんどん時代遅れになってしまうのは構わないし、ROCKHURRAH RECORDSがそれをテーマとしてきたのも間違いないが、進化しても古いものを切り捨てないようなテクノロジーも同時にあって欲しいもんだ。

さて、冒頭にも書いた通り、全然暑中見舞いって実感が湧かないような天候が続いてる今年の夏だけど、毎年恒例なので今年も作ってみたよ。
見てわかる通り、先週SNAKEPIPEが記事にしてくれたばかりのバウハウスの影響をモロに受けたもの。
今に始まったわけじゃなくてずっと影響を受け続けているのがバウハウスと構成主義なので、インスタントに作ったとは言ってもウチの根本スタイルには違いないよ。
作った時にはバウハウスをイメージしたけど、後から見直すと80年代のFactory Recordsのジャケットみたいにも感じる。
同じようなものを取り入れて出力してるので似てしまうのも仕方ないね。

梅雨が明けてもこれから一ヶ月以上は個人的に大嫌いな季節が続くけど、早くマスクをしなくて済む世の中になって欲しいね。

ではまた、Bis bald! (ドイツ語で「またね」)

開校100年 きたれ、バウハウス 鑑賞

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【東京ステーションギャラリーに向かう階段を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

制限付きではあるけれど展覧会が開催されるようになってきた。
東京は感染が拡大しているので、より一層用心する必要があるけれど、情報を知った瞬間に「あっ!」と声を上げてしまったSNAKEPIPE。
それは東京ステーションギャラリー で、7月17日から開催される「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」なんだよね!
今まで当ブログでは何度も登場しているバウハウス。
2018年7月に書いた「好き好きアーツ!#51 世界アート(仮)探訪 2」の中で「バウハウス博物館」を紹介しているね。
そこでバウハウスについて説明しているので、転記してみよう。

1919年、建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長としてスタートした学校「バウハウス」。
工芸・美術・写真・建築・デザインなどの総合的な教育機関だった。
1933年にナチス・ドイツにより閉鎖されるまで、合理的で機能主義的なアートを模索する。
現代にまで強い影響を与える活動をしたのが「バウハウス」なのである。

簡潔で分かりやすい文章だね。(笑)
バウハウスは憧れの学校なので「バウハウス博物館」には死ぬまでに行きたい、とまで書いていたよ。

今回の展覧会は、設立されてから100年経った2020年にバウハウスを特集するという、と企画なんだね。
バウハウスと聞けば居ても立ってもいられないROCKHURRAH RECORDS。
東京ステーションギャラリーでは完全予約制でのチケット販売とのことなので、早速日付を決めてチケットを手にしたのである。

雨が強まったり弱まったりしながら降り続いている。
SNAKEPIPEには長靴を履いて、降りたたみではなく、長い傘を持った時には帰りは晴れるというジンクスがある。
行きでは真っ当な服装に見えるんだけど、帰りはちょっと恥ずかしい感じね。(笑)
そのためなるべく折りたたみ傘を使用し、 長靴を履く時には細心の注意を払うことにしている。(大げさ)
東京ステーションギャラリーは東京駅構内にあるので、そこまで大きな傘は必要ないと判断。
防水のブーツで出かけたのである。

前回東京ステーションギャラリーに行ったのは、2019年8月の「メスキータ展」だった。
メスキータの作品の素晴らしさはもちろんのこと、ギャラリーが東京駅のレンガを使用した壁だったのも印象的だったことを思い出す。
残念だったのは、撮影許可がなされていなかったこと。
その経験から、恐らく今回も同様だろうと予想していた通り、撮影可能なポイントは2箇所のみ!
作品の著作権の問題があるのは理解できるけれど、もう少し緩めてくれても良いのに、と思ってしまう。

チケットは日付の他に時間の指定まであるので、そこまで多くのお客さんがいないのかと思いきや。
メスキータを鑑賞した時と、さほど違いのない観客数だったのが意外だよ。
ソーシャルディスタンスがきちんと守られているとは言い切れない環境だったんじゃないかな?
それでもなるべく人と離れるように鑑賞をしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
早速感想を書いていこう!

「バウハウス展」は5つのチャプターで構成されていた。

I 学校としてのバウハウス

1919年に建築家ヴァルター・グロピウスを初代校長として設立されたバウハウスの授業内容を表した図のようだね。
この図だけでもオシャレに見えてしまうよ。(笑)
VORLEHRE  講義
NATURSTUDIUM  自然を学ぶ
LEHRE VON DEN STOFFEN  ファブリックから教える
MATERIAL UND WERKZEUGLEHRE  材料や工具
翻訳してみたけど、合ってるのかな?
バウハウスのバウとは建築のことだという。
松村邦洋のネタ「バウバウ」は全く関係ないってことね!(古い!)

II  バウハウスの教育

バウハウスには、錚々たるアーティストが教師として講義を行っていたんだよね。
モホリ=ナギやパウル・クレー、カンディンスキーなどが教鞭をとるなんて、まさに垂涎モノじゃない?
ちなみに展覧会ではモホイ=ナジと表記されていたけれど、SNAKEPIPEは昔覚えた通りにモホリ=ナギと書くことにしよう。
このチャプターでは、アーティストの授業に臨んだ学生の作品が展示されていたよ。
画像のように、一枚の紙から建築物のような立体を作り上げている作品。
独創的なカッティングでバランスを取って、ちゃんと立ってるんだもんね!
とても驚いたよ。

III 工房教育と成果

バウハウスは建築という外側だけじゃなくて、内装に当たる部分も学んでいたんだよね。
3章では椅子やティーポットなどの工芸品が展示されていたよ。
画像は会場出口付近に置かれていた、撮影可能エリアの椅子。
マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアとミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアだって。
万が一壊したり汚したりしたら、と想像してしまい怖くて座れなかったよ。(笑)

広告に関する展示もされていたね。
家具やランプなども素敵だけれど、ROCKHURRAH RECORDSが最も目を輝かせるのは、紙媒体の作品みたいだね。
タイポグラフィやコンポジションのカッコ良さったら!
画像は1章に展示されていた、パウル・クレーの教科書だと思うけど、シンプルなのに印象的だよね。
このような構成は、まるで日本画のようだと以前書いたけれど、空間の使い方が独特だと感じるよ。
バランス感覚が素晴らしいんだよね!

「三つ組のバレエ」という動画も流れていたね。
上映時間30分だというので少しだけ観たよ。
ご丁寧に「インターネットでも鑑賞できます」と書いてあったので、ROCKHURRAHが調べてくれたよ。

1970年の作品とのこと。
随所にバウハウスらしい円形の回転が見られるよね。
30分あるので、時間に余裕がある時に鑑賞してみよう。
バウハウスで映像作品や舞台装置を制作していたとは知らなかったよ。

IV  「総合」の位相

ここではやっぱりモホリ=ナギの作品展示が嬉しかったね。
2011年9月にDIC川村記念美術館で鑑賞した「モホイ=ナジ/イン・モーション」にも展示されていたけれど、やっぱり好きな作品は何度観ても良いものだね!
モホリ=ナギの映像作品も非常にカッコ良いので、載せておこう。

「光の戯れ 黒 白 灰色」という1930年の作品。
ROCKHURRAHと共に映像に見入ってしまう。
「光の戯れ」というよりは「影の戯れ」が合っているような?
映像でも構成美を追求しているモホリ=ナギ、やっぱり好きだ!(笑)

V バウハウスの日本人学生

最終章ではバウハウスに在籍していた日本人の作品を紹介していたよ。 
1920年代に勉強のためにドイツに留学できるなんて、勇気と度胸とお金があったんだろうね。
羨ましいと思う反面、一歩足を踏み出すことができるのかと自問してしまう。
憧れの20年代をヨーロッパで過ごしたら、その後はどんな人生を歩んだんだろう。
山脇夫妻は夫婦で留学してたというので、きっと楽しかっただろうね。
奥様である道子さんの本が面白そうなので、読んでみたいな!

鑑賞し終わって、ミュージアムショップに行く。
大抵の場合は、展覧会で紹介されていた作品のクリアファイルやノートなど、どこに行っても特に代わり映えのしない商品が陳列されていることが多い。
ところが!
今回はROCKHURRAHと鼻息が荒くなってしまった。
Tシャツである。
言葉を発する間もなく、すでに手に取っていたSNAKEPIPE。
シュミットのポスターはバウハウスを象徴するデザインだからね!
ROCKHURRAHはヘルベルト・バイヤーの作品がプリントされた黒いTシャツをセレクト。
なんとSNAKEPIPEのTシャツ、プレゼントしてくれるって!
やったー!ありがとう、ROCKHURRAH!(笑)

バウハウスの展覧会を知り、喜び勇んで出かけたけれど、少々不満が残る結果だったことも加えておこう。
展覧会のサイトで「こんな作品が展示されます」と数点が紹介されているけれど、そのほとんどが「ミサワホーム所蔵」なんだよね。
まさか展覧会では違うよね、と思っていたのに、ほぼ9割程度が「ミサワホーム」の所蔵品。
他は国立近代美術館などで、どちらにしても日本に存在しているバウハウス作品を集めてみたよ!という展覧会だったんだよね。
そして撮影可能なのは、前に載せた椅子2脚と、誰の作品でもない「色のある影」を実感する展示のみ。
手がSNAKEPIPEで、撮影がROCKHURRAHの、この画像ね。
日本の所蔵品だったら、もう少し撮影可能領域を広げて欲しかったな。
それが少し残念だった。