河口洋一郎 生命のインテリジェンス 鑑賞

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【いつも通りgggの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称:ggg)で3月19日まで開催されていた「河口洋一郎 生命のインテリジェンス THE INTELLIGENCE OF LIFE」を鑑賞した。 
gggでの企画展は興味深いものが多いので、なるべく出かけることにしているROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
今回は会期終了間際に出かけることになってしまった。

実をいうと、河口洋一郎というアーティストの名前を聞いたのは今回が初めてなんだよね。
近くまで行くから、ちょっと寄ってみようかという軽い気持ちで出かけた展覧会。
およそ3ヶ月おきに足を運んでいる会場なので、撮影可能なことは知っていたけれど、念の為受付にいた女性に声をかける。
「あのー、撮影しても大丈夫ですか?」
「あー、写真大丈夫ですよ、どうぞ撮ってくださいっ!」
質問をしたSNAKEPIPEの後方から、男性が答えるじゃないの!
とっさに振り返り、お礼を言ったSNAKEPIPEの目に飛び込んできたのは、画像の男性。
えっ、まさか河口洋一郎氏ご本人?(笑)

鑑賞しているフリをしながら、その男性に注目するSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
どうやら知人(?)と思われる女性と記念撮影をしたり、作品の説明をしているんだよね。
ついそちらに目がいってしまう。
「ゆっくり観ていってくださいね!近くの店でウチワもらえるから、それももらっていってね」
とわざわざSNAKEPIPEに話しかけてくれるじゃないの。
しかも女性との記念撮影はすべてピースサインを出し、ここは照明が暗いからこっちにしよう、などと撮影に指示を出すなどサービス精神旺盛!(笑) 

軽い気持ちで寄っただけだったのに、アーティスト本人に遭遇するなんてラッキーだよね!
本当は一緒に写真をお願いしたい気持ちはあったけれど、最初に書いたように初めて聞いたアーティストだからね。
前から作品知ってて、大ファンなんです!だったら良かったんだけど。
では河口洋一郎氏について、今から調べてみようか。 

1952年 鹿児島県種子島に生まれ
1976年 九州芸術工科大学画像設計学科を卒業
1978年 東京教育大学大学院を修了
1979年〜 SIGGRAPHに参加
1982年  「グロースモデル(The GROWTH Model)」を発表しCG関係者から絶賛される
1992年〜 筑波大学芸術学系の助教授を務める
1995年 ベネチアビエンナーレ日本館代表
1998年〜 東京大学大学院工学系研究科・工学部人工物工学センター教授を務める
2000年〜 東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授を務める
2010年 ACM Siggraph’10でディスティングイッシュト・アーティスト・アワード受賞
2013年 芸術選奨文部科学大臣賞、春の紫綬褒章を受章
2018年 フランスBNN Prix D’Honneur栄誉賞
Siggraph Academy殿堂入りを果たす

年表に書ききれないほどの国際的な賞を多数受賞されている、すごいお方だったんだよね!
この年表だけ見ていたら、眉間にシワを寄せた堅苦しい人物を想像してしまいそうだけど、ご本人はいたって気さくで親しみやすい雰囲気だったから驚いちゃうね。

コンピュータグラフィックによるアートの世界的先駆者、河口洋一郎。
生物の形の発生・成長・進化をプログラミングし、数理的シミュレートをすることで、5億年後のはるか未来を生きる芸術生命体を創り続けてきました。
半世紀にわたるこの取り組みは、永遠のように長い時間の中で、環境に適応し命を繋いできた生命へのリスペクトに溢れています。

gggのHPより展覧会概要を転記させてもらったよ。
プログラミングされた進化の過程をアートとして表現する、ってどういうことなんだろう?

作品を鑑賞することにしようか。
会場には、河口洋一郎氏ご本人とその知人女性、もう一人秘書(?)のような若い女性がいるだけだったので、ゆっくり鑑賞することができたよ。
壁には恐らく色鉛筆で描かれた絵画が展示され、前に鎮座ましますのは???
足部分はカニのようだけど、頭部はリボンみたいなんだよね。
不思議な生物だけど、5億年後にはいるんだろうね、こういうの。
現在のどんな生物がこの形に進化を遂げるのか、会場にいた河口洋一郎氏本人に質問すれば良かったか?

海の生物をモチーフにした未来の生命体と思われる作品群。
これはオウム貝かな?
他にも「宇宙蟹」や「宇宙魚」が色鮮やかに表現されていた。
ということは、これは「宇宙貝」だね。(笑)
会場の壁にも生命体が描かれていて、とても気に入ったよ!
あの壁紙売ってたら欲しいなあ。(笑) 

地下では主にCGの映像作品が展示されていた。 
恐らく最も初期の頃の作品がこれ。
1975年にコンピューターってあったの?
その時代は、河口洋一郎氏がまだ九州芸術工科大学に在学中のはず。
大学にコンピューターがあったのかもしれないね?
インベーダーゲームが1978年とのことなので、それよりも前ということになる。
一番最初の作品から7年後に、国際的に評価を受けることになる作品を創作できるってすごいよね。

評価を受けた作品である「Growth:Tendril 1981」。
5億年前の古代生物であるハルキゲニアが動き回っているような、流動的で想像力を掻き立てられる映像作品だった。
途方もない時間の流れだよね。
大胆な色使いに目を奪われる。
この作品を今から38年前の1982年に観たらびっくりするだろうね!

「Growth:Tendril」をバックに、立体作品を撮影してみたよ。
なめらかな曲線が非常に美しい作品は、他のカラフルな作品の中で特異に映り、SNAKEPIPEはとても気に入ってしまった。
タイトルを撮影したはずなのに、完全にピンぼけで読めず、、、。
残念ながら画像検索しても詳細不明だよ。
シンプルなのに躍動感があるんだよね。
これ、SNAKEPIPE MUSEUMのコレクションにしたいな。(笑)

「人工生命都市」と題された作品。
コンピュータによって生まれた人工生命が、自律的自己増殖を続けている様子だという。
深宇宙の重金属をイメージしているという色合いは、インダストリアル好きには垂涎物!
サイエンスとアートの融合というと、2019年12月に記事を書いた「未来と芸術展」が近いんだろうね。
展覧会の最後に展示されていた「データモノリス」について、「観るというより流れを体感するアート」と感想を書いたSNAKEPIPE。
河口洋一郎氏の映像作品にも同様の感想を言いたいね!(笑)

立体作品が展覧会入り口付近に展示されていた。
不気味でかわいい雰囲気の3体。
一番奥は、まるでウルトラシリーズに登場したカネゴン! 
真ん中はケロヨン?もしくはケロちゃんか?
一番手前はタコなのか?
河口洋一郎氏には、ポップなタイプの作品もあるんだね。

会場を出て、隣の建物に向かう。
gggには何度も足を運んでいるのに、この場所は初めて!
メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド、通称MMMというらしい。 
世界のミュージアム・グッズを扱っているショップなんだね。
ショップは3フロアあり、3階で河口洋一郎氏関連商品の展示がされていた。
レジの方に声をかけると、快くウチワを手渡してくれたよ!
今年の夏は、このウチワ使って涼むことにしよう。
河口洋一郎氏とのご対面や、作品を思い出しながらね!(笑)

白髪一雄 a retrospective展 鑑賞

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【白髪一雄展の看板を撮影】

SNAKEPIPE WTOTE: 

2019年5月に書いた「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして 鑑賞」 の中で、2020年1月に開催予定の白髪一雄について触れた文章がある。
ついにその時が来たのだ!
とても楽しみにしていた展覧会の鑑賞をする、その時が!(急に倒置法?)

会場になっているのは東京オペラシティアートギャラリー。 
このギャラリーは2019年6月に「トム・サックス ティーセレモニー」で訪れて以来になるのかな。
ROCKHURRAHは初めての訪問だね!
東京オペラシティアートギャラリーでは、1月11日より白髪一雄展を開催している。

白髪の没後10年以上を経て開催する本展は、東京で初の本格的な個展として、初期から晩年までの絵画約90点をはじめ、実験的な立体作品や伝説的パフォーマンスの映像、ドローイングや資料も加え、総数約130点で作家の活動の全容に迫ります。

展覧会HPから抜粋した文章を載せてみたよ。
それにしても一文が長いね。(笑)
没後10年以上って書いてあるけど、白髪一雄はいつ亡くなったのかな。
年表を調べてみようか。 

1924年 兵庫県尼崎市に生まれる
1942年 京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)日本画科に入学
1948年 京都市立美術専門学校(1945年4月改称)を卒業し洋画に転向
1954年 初めて足で描く
1955年 吉原治良率いる「具体美術協会」(具体)の会員となる
1958年 批評家で「アンフォルメル芸術」の提唱者ミシェル・タピエと、絵画を欧州に送る契約を結ぶ
1971年 比叡山延暦寺で得度、天台宗の僧侶となる
1999年 文部大臣から地域文化功労者を表彰
2008年 敗血症のため尼崎市にて死去

この年表の中で、一番驚いたのは1971年の僧侶になる、の部分かな。
荒々しい絵画を描く人が僧侶になるというのが、SNAKEPIPEにはイメージし辛いんだよね。
そして洋画に転向して10年で、批評家の目に留まっている点にも注目だよ。
50年代に、どれだけの日本人アーティストが海外で評価されていたのかは分からないけれど、決して多くはないだろうね。
生前は全く評価されず、亡くなってから評価されるアーティストの話はよく聞くけれど、バイタリティ溢れ脂が乗っている活きが良い時に、ドンピシャのタイミングで評価を受けるのは、素晴らしいことだと思うよ。
そんな白髪一雄の個展、非常に楽しみだよね!(笑)

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが会場に向かったのは、展覧会開催からおよそ3週間後のこと。
白髪一雄の展覧会が注目されている、という情報をROCKHURRAHが仕入れていたので、混雑を避けるために少し間を置いていたんだよね。
その甲斐あってか(?)選んだ日にちが良かったのか、会場は驚くほど空いていて、全くストレスなく作品を鑑賞することができた。
ストレスを感じたことは、撮影できる作品が制限されていたこと。
何を基準に許可がされたり、されなかったりするのか不明だけど、もう少し緩めてくれても良いのになあと思ってしまった。
今回は自分で撮影できた作品に加え、気になった作品についても画像と共に紹介していくよ!

展覧会は8つの章で構成されていたようだけど、章のキャプションや説明文が一切展示されていない。
HPに簡単な説明はあるけれど、こんなにあっさりした展覧会は観たことないかも。
SNAKEPIPEは不親切に感じたけれど、このギャラリーの方針なのかな?
最初の章は初期の作品が展示されていて、キュビズムの影響を受けたものや、モチーフを決めて描かれた油絵などを鑑賞することができる。
初期作品の中で気になったのは「文B」(1954年)かな。
まるでゲルハルト・リヒターの絵画を部分的に切り取ったように見えるんだよね。
夜の水辺を連想させる静謐さに加え、風や波のような動きも表現されているのかもしれない。

初期作品のエリアを抜けると、現れるのは「天異星赤髪鬼」(1959年)。
来た来た〜!(笑)
このどす黒い赤色が厚みを持って盛り上がったり、血飛沫のようにうねっている様は迫力満点!
日本人離れした大胆さが素晴らしいんだよね。
これは確かにフランス人批評家ミシェル・タピエが気に入るのも納得しちゃうよ。

「地暴星喪門神」(1961年)も上の作品同様、「水滸伝豪傑シリーズ」とされている。
どうやらタピエの依頼で制作されたらしいんだけど、108点の作品を区別するために「水滸伝」の登場人物の名前を作品名にしたという。
だから長い漢字が連なるタイトルになっているんだね。(笑)
「地暴星喪門神」は赤、黒、緑、紫という4色が使用されている。
間の取り方が日本画的だし、SNAKEPIPEには絵画というよりは書道的な構成美を感じるよ。
驚くほどの躍動感、観ていると心がウキウキしちゃうよね!

白髪一雄が足で描く「フット・ペインティング」という技法を編み出しているためか、床に直置きする展示方法も採られていた。
「貫流」(1973年)は、まるで大きな滝が流れ落ちているかのような動きを感じる作品。
白から黒へのグラデーションは、スキージという長いヘラを使って描いていたらしい。
アクション・ペインティングの様々な可能性を探っていたことが分かるね。
それにしても床置の展示方法については、意図は理解するけれど、鑑賞には不向きじゃないかな?

白髪一雄が密教に傾倒し、天台宗の僧侶になったのは1971年。
「密呪」はそれから4年後、1975年の作品である。
実は白髪一雄の経歴については何の知識も持たずに参上した展覧会だったけれど、この作品を観た時に「曼荼羅っぽいね」とROCKHURRAHと語り合っていたんだよね。
この作品を鑑賞したエリアでは、呼応する作品がシンメトリーになって展示されていた。
「密呪」と対になっていたのは「あびらうんけん」だったかな?
胎蔵界と金剛界という2つを表現した作品のようだったよ。
2枚は別の美術館に所蔵されているようなので、同時に鑑賞できたのはラッキーだったね!(笑)

2008年11月東京都現代美術館で鑑賞した、森山大道とミゲル・リオ=ブランコの写真展について「大道・ブランコ・コーヒー」というブログ記事を書いた。
「ダイドー・ブレンド・コーヒー」をもじった、失笑もののタイトルは良しとして。(笑)
そのブログの中に白髪一雄についての記述があるんだよね。 
常設展を観た後の感想を以下のように述べている。 

SNAKEPIPEが非常に気になったのは「白髪一雄」という画家。
前にも観ていたのかもしれないけれど、今回観た中では一番迫力を感じた好みの画家だ。
日本でのアクションペインティング創始者とは!
猪の毛皮の上に赤黒い絵の具を塗りたくった絵が素敵だった。
もっとたくさんの作品を観てみたいな!

昔から好みが変わっていないと自覚していたけれど、12年前に書いた記事に自分でびっくり!
はい、12年経ってその願いは叶ったよ。(笑)
そしてやっぱり今回の展覧会でも「ピカイチ!」と思ったのは、猪の毛皮の上に赤黒い絵の具を塗りたくった「猪狩壱」だった。
目にした瞬間に「うわっ!」と驚く作品だからね。
かなり猟奇的なので、好き嫌いが分かれるかもしれないけど。
この作品は東京都現代美術館に所蔵されているのを知って安心したよ。
海外に出ていたら、なかなかお目にかかれないもんね。
ありがとう!東京都現代美術館!(笑)

白髪一雄が実際、どのように作品を制作していたのかを紹介するビデオ上映もあったんだよね。
同じものではないけれど、似たタイプの動画がYouTubeにあったので載せておこうか。
これはフランスで制作された「具体美術協会」を紹介するビデオのようなので、白髪一雄以外のメンバーも映っているのかな?

まるで曲芸師のように、ロープにつかまり、キャンバス上をつるつる滑る白髪一雄!
会場でビデオを観ながら、思わず笑ってしまったSNAKEPIPE。(笑)
制作する時は、元画家だった白髪一雄の奥さんがサポートしていたというから驚いてしまう。
富士子夫人は着物姿だったり、白髪一雄と同じように黒い全身タイツのような姿で、絵の具を渡したりする。
作品は夫婦の共同作業によって生まれていたことを知り、50年代の日本も進んでいたなあと感心してしまったよ。

姓が白髪なので、SNAKEPIPEは勝手に「よかいち」の莫山先生みたいな風貌だと思っていたんだよね。(笑) 
わざわざ画像載せなくても良いんだけど。
他の連想としては、江戸川乱歩の「白髪鬼」 かな。
恐らく珍名さんになるんじゃないかと思ったけど、調べてみると岡山県や兵庫県など全国で約900人はいるらしいね。

白髪一雄ご本人は、まるで自衛官を演じた「野性の証明」の時の高倉健かといった雰囲気で、アーティストには見えないよ。
猟友会にも入っていたようで、銃の手入れをしている写真もあったし。
恐らく「猪狩壱」の猪も、ご本人が仕留めたんじゃないかと予想する。
調べてみると、どうやら猪を仕留めることができず、買ってきた皮を使用した作品だという。
猪の皮、買えたんだ?
真相が分かってスッキリ!(笑)

白髪一雄の作品は海外でも大人気のようで、2014年の記事によればサザビーズのオークションで5億4,590万円で落札されたという。
これが5億円超えの「激動する赤」(部分 1969年)。
赤、白、黒、黄色という4色を大胆に使用したインパクトのある作品だよね。
展示されたのは大阪万博のみだというので、ずっと大事に保存されていたのかな。
一体誰が購入したんだろう。
気になるところだよね。(笑)

今回の白髪一雄展はボリュームがあり、大満足の展覧会だった。
人が少なかったのも、ゆっくり鑑賞できて良かったよ。
残念だったのは、展覧会の図録が後日発送になってしまったこと。
3月初旬になるというので、予約してきたんだよね。
図録の到着を楽しみにしていよう。

いつか白髪一雄のオマージュ作品にチャレンジしたいと思ってしまうのは、SNAKEPIPEだけではないだろう。
足を絵の具まみれにして制作するのってどんなだろう?
ぎっくり腰に注意が必要だけどね!(笑)
 

窓展/MOMATコレクション 鑑賞

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【窓展の入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEが担当する2020年初のブログだね!
今年もよろしくお願いいたします。

今回は2019年の最後に書いた「パラサイト/パッション20 鑑賞」 の続きを紹介していこう。
国立近代美術館工芸館で「パッション20」を鑑賞した後、その足で国立近代美術館に向かった友人MとSNAKEPIPE。 
歩いて10分程度の場所に美術館があるので「はしご」ができるんだよね。(笑)
それにしても映画から始まり、工芸館の鑑賞後にもう一つの展覧会を回るとは、ハードスケジュールだよ!

少し北風が強まってきた中、北の丸公園を散策しながら工芸館へ。
もう少し気温が高くなったら、ゆっくり散歩したい公園だね! 
前回、国立近代美術館に来たのは2016年9月の「トーマス・ルフ展」だったっけ。
あの時は友人MとROCKHURRAHという「あやしい3人組」だったね、などと話しながら到着。
館内に入り、チケットもぎりの場所で撮影について尋ねる。
一部撮影禁止の作品があるとのこと。
「トーマス・ルフ展」の時には、ウェブにアップする際には作品名や「国立近代美術館」という記載をする必要があったけれど、そういった規制もないみたい。
外国人観光客も多いし、インスタグラム等SNSが流行している現在、3年前とは状況が変わったんだろうね。

それでは早速気になった作品を紹介していこう!
と書きたいところだけど…気になる作品のほとんどが撮影禁止だったんだよね。
マルセル・デュシャンの「フレッシュ・ウインドウ」やリキテンシュタインの「フレームIV」など観たいと思っていた作品を画像でお伝えできないのが残念!

撮影できた作品で気になったのは、林田嶺一の「とある日用雑貨店のショーウインドーケース」。
1933年旧満州生まれの林田が、子供時代に見た戦争の記憶をもとに作った立体作品とのこと。
ロシア文字が並んでいるかと思うと、和服の女性が描かれていたりして、旧満州の雰囲気が表現されているみたい。
調べてみると、林田の作品はポップアートとして位置づけられているみたい。
確かに戦争の悲惨さを訴えるというよりは、純粋に子供だった頃の記憶や見たままを再現しているようで、とても可愛らしいんだよね。
SNAKEPIPEは少女時代に夢中だった「文化屋雑貨店」を思い出したよ。(笑)
現在87歳になる林田は、今でも絵を描いているというから恐れ入る。
「窓展」で初めて名前を知ったアーティスト。
鑑賞できて良かった!

山中信夫の「ピンホール・ルーム1」 は20枚を1組とした作品なんだよね。
この作品について説明されている文章を探してみると、「針穴を通して入り込む光を壁に貼られた複数のフィルムに収め、感光したフィルムはコンタクトプリントで原寸のまま焼かれ、写真はフィルムを並べた時と同様に再現され展示されるという作品」とのこと。
どうやら山中は自宅の窓を全て塞いで真っ暗にして、5円玉の穴から差し込む光を印画紙に露出させ、作品を制作していたようなんだよね。
およそ2.5mの正方形に近い大型作品というせいもあり、非常に重厚な印象を受けた。
山中は1948年大阪生まれ、69年多摩美術大学油絵科に入学する。
82年にパリ・ビエンナーレに出品し、個展が決定したパリとニューヨークの下見をするための渡米中、敗血症のため客死したという。
写真を現代アートの素材として使用する日本人の先駆けだったんじゃないかな?
34歳という若さで亡くなったのが惜しいアーティストだね。

国立近代美術館は常設展が素晴らしいんだよね。
前回までは「撮影禁止」だったはずだけど、念の為に確認してみる。
なんと、一部を除いてオッケーとのこと!
いろんな規則が変化してるんだね。 
やったー!可能な限り撮影していこう!(笑)

村山知義の「コンストルクチオン」は1925年の作品。
20年代の日本にダダっぽい作品があるとは驚き!
木片、紙、木、布、金属、皮が使用されているという。
どうやら右上に貼られているのは、ドイツのグラフ誌らしいよ。
村山知義は1922年にベルリンで様々なアートに出会っているというから、当時のヨーロッパを実際に体験した人物ということになるんだね。
1924年には構成主義についての本、1925年にはカンディンスキーについての著作があるというので、バウハウスを直接現地で知っていたんだろうな。
なんとも羨ましい境遇!
20年代の日本でも、かなり進歩的だったことがわかったよ。
村山知義は非常に興味深い人物なので、もう少し調べていきたいと思う。

尾藤豊の「シベリア紀行」は1958年の作品だよ。
赤、白、緑という3色のみ使用したシンプルだけど、ダイナミックな構図。
潔さが感じられて、気になった作品なんだよね!
尾藤豊について調べてみると、1926年生まれで1943年に東京美術学校建築科に入学だって。
1950年代から60年代にかけて、ニッポン展や日本アンデパンダン展に出品するかたわら、「フォール」や「革命的芸術家戦線」などのグループを次々と結成し、批評的な芸術運動を積極的に展開したというアーティスト。(福岡県立美術館の説明文を一部流用)
ちょっと過激なタイプだったのかもしれないね?

河原温の「物置小屋の出来事」は1954年の作品。
紙に鉛筆だけで描かれているのにも関わらず、非常にインパクトがあるんだよね。
棒状の物体が描きこまれるにつれ、徐々に画面が狭くなり圧迫感が増してくる。
息苦しくなり、不安な気分に襲われる。
塩田千春の展覧会「魂がふるえる」を思い出したよ。
他の作品も鑑賞してみたいね。

中村正義の「源平海戦絵巻」は1964年の作品。
これは小泉八雲原作の「怪談」を、小林正樹が監督し1965年に映画化、劇中で使用された絵画だという。
実はROCKHURRAHとSNAKEPIPE、映画の「怪談」鑑賞してるんだよね!
映画は4つのオムニバスで構成され、その中の「耳なし芳一」に登場した絵画とのこと。
確かに「すごい絵!」と言いながら鑑賞した記憶があるよ!(笑)
絵巻は5部作で、どれも素晴らしいんだよね。
日本画壇の風雲児や反逆の天才画家などと称される中村正義。
その生き方、パンクっぽくて気になるなあ!

最後の作品はこちら!
中西夏之の「コンパクト・オブジェ」は1962年の作品なんだよね。
これはポリエステル樹脂製の卵で、中に様々な物が入っているのが透けて見える。
魚の骨だと思われる物と金属製の何かがあるおかげで、まるでエイリアンの卵だよ。
リドリー・スコット監督による映画「エイリアン(原題:Alien 1979年)」 のデザインを担当したのはH・R・ギーガーだったよね!
ギーガーよりも制作年が早い中西夏之のオブジェが、山手線のホームや車内で行う「ハプニング」用だったと聞いて驚いてしまう。
「ハプニング」とはパフォーマンス・アートのことで、ゲリラ的な行動を起こすアートのこと。
例えば60年代、草間彌生がニューヨークで裸の男女に水玉をボディ・ペインティングする「ハプニング」を行っている。
「ハプニング」は行動なので、写真や動画が残っていないと「やったよ」という宣言だけで成り立つアートなのかどうかは不明。
中西夏之の「ハプニング」について詳細は分からなかったけど、こんな卵を突然見せられたら、ギョッとすること間違いなしだよ。(笑)
日常に突如現れた異物、というコンセプトだったのかなあ。
SNAKEPIPE MUSEUMに陳列したい逸品だね!

エイリアンについて調べてから眠ったせいで、おかしな夢を見てしまった。
教室で授業を受けているSNAKEPIPE。
黒板に先生(教授?)がエイリアン、と白墨で書いている。
先生が誰だったのかは覚えていない。
「いいですか、エイリアンはオスなんですよ。メスは語尾が変わってエイリアンヌになります」
と言いながら「アン」に下線を引き、下に「アンヌ」と書いている。
「そうなんだ、メスはエイリアンヌなんだー」
と感心している、という夢だったんだよね。
久しぶりにトンチンカンな夢を見たなあ!(笑)

SNAKEPIPEのおかしな夢は良いとして。
先にも書いたように、以前鑑賞した時には撮影ができなかった近代美術館の常設展。
今回は、ほとんどの作品が撮影可能で大満足だった。
鑑賞して気に入っていても、作品と作者名を同時に覚えておくことは難しいため、感想を書くことができなかったからね。
今までほとんど知らなかった日本のアーティストについて、調べることができて嬉しい。
様々な展覧会で自由度が高くなると良いね!

パラサイト/パッション20 鑑賞

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【近代美術館工芸館のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

展覧会や映画の鑑賞など、何かしらのイベントを共有することが多い長年来の友人Mと、年内最後に会うを約束をした。
何か行きたいところはないか尋ねると、映画と展覧会の提案を受ける。
さすがは情報収集能力に優れた友人M!
ここに行きたい、と即答できるんだよね。

友人Mから誘われた映画は「パラサイト 半地下の家族(原題:韓: 기생충、英: Parasite 2019年)」だった。 
ポン・ジュノ監督の作品はほとんど鑑賞済のROCKHURRAH RECORDS。
主演のソン・ガンホについては、以前より「ラフィン・ノーズのポンに似てる!」と注目していて、出演作を好んで観ているんだよね!(笑)
「パラサイト」は、第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している話題作! 
公開は2020年1月10日だけれど、先行上映されることになったとのこと。
TOHOシネマズ 六本木ヒルズでは、12月27日に舞台挨拶付プレミア上映を行うという。
監督のポン・ジュノと主演のソン・ガンホが舞台挨拶を行う特別プログラムだというので、本当はその回に行ってみたかったけれど、席順の予約ができないという点がひっかかる。
監督と俳優の実物を目にできるのは魅力だけど、やっぱり映画を好きな席で観たいんだよね。(笑)
そのため都内で先行上映をすることになったTOHOシネマズ 日比谷で、座席を予約して観ることにする。
3日前から予約できるので、友人Mがその役割を買って出てくれた。
SNAKEPIPEが予約するのでは不安があるらしい。(笑)

無事に席の予約をしてもらい、日比谷に向かったのである。
TOHOシネマズ 日比谷は2018年3月にできたばかりの劇場なので、とてもキレイだった。
恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそうだよ。
「パラサイト」のトレーラーを載せておこうか。

簡単にあらすじを載せておこうか。

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。
長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。
そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。
この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく。(Filmarksより転記) 

恐らく東京で一般公開された「パラサイト」の初回になるんじゃないかな?
話題作なだけあって、劇場は約8割ほど席が埋まっていたよ。
「ネタバレ厳禁」とされているので、詳しく話せないのがもどかしい。(笑)
まだ鑑賞していないROCKHURRAHにも話せないのが辛いところ。
意外な展開に驚いたり、大笑いしたり、人によって感想が違うんじゃないかなと予想する。
それにしても、昨年パルムドールを受賞した「万引き家族」に似せた副題を付けなくても良いのになあ。
機会があったら、是非鑑賞してみてね!(笑)

続いて友人Mと向かったのは竹橋にある東京国立近代美術館工芸館
ここでは「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」が開催されている。
東京国立近代美術館には何度か足を運んでいるけれど、工芸館は初めてかも?
この日は晴れていたけれど、風がものすごく強かったので、少しの時間を外にいるだけでも冷えてしまうほどだった。
もう少し風が弱ければ、北の丸公園を散策するのも楽しかったかもしれない。
工芸館はこちら、の案内に沿って歩くことおよそ10分。
見えてきた工芸館はレトロでオシャレだったよ!
調べてみると、明治43年に建築された旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものらしい。
2020年のオリンピックを目処に石川県に移転予定の情報を目にして驚いた!
移転前に来て良かったね、と友人Mと話す。
チケット料金、250円にびっくり!
近代美術館のチケットも同時に購入し、工芸館の後で行くことにする。
それでは工芸展で気になった作品の感想をまとめていこうか。

宮川香山作「鳩桜花図高浮彫花瓶」の実物を目にできたのは嬉しかった。
1871年〜82年の作品とキャプションが付けられていたけれど、今から140年程前にこんなに斬新な陶器を制作していたなんてね!
2016年10月に鑑賞した「驚きの明治工藝」でも香山の作品を目にしているはずだけど、ここまで立体が貼り付いているものではなかったような?
その時の記事にも香山について触れているので、今回鑑賞できて良かった!(笑)

小名木陽一の「赤いてぶくろ」は1976年の作品だという。
このサイズ感は作品と対峙する必要があるかもしれないね?
画像では分からないかもしれないけれど、実際には手の中に人間がすっぽり収まってしまうほどの大きさなんだよね。
説明文によれば、この作品は織物なんだって。
小名木陽一が独自に考案した立体織の手法により、これほどまでに大きな作品が可能になったという。
これぞ現代アート!という観た瞬間の驚きが素晴らしい作品だったよ。

鈴木長吉「十二の鷹」の見事なこと! 
本物の鷹がいるかのような圧倒的な存在感なんだよね。
1893年の制作だというから、これも香山と同じように明治時代の作品ってことになる。
鈴木長吉は実際に鷹を飼って、習性や骨格を観察したと説明されている。
ここまでの立体作品を作ることができる技術の高さが認められて、帝室技芸員になったという鈴木長吉。
帝室技芸員って何だろう?
wikipediaによると「帝室技芸員とは戦前の日本で宮内省によって運営されていた、日本の優秀な美術家・工芸家に、帝室からの栄誉を与えてこれを保護し、年金や制作費を与える制度」とのこと。
宮川香山も任命されていたようだね。
香山の陶器も、長吉の鷹もSNAKEPIPE MUSEUMにコレクションしたい逸品だよ!(笑)

磯矢阿伎良の「花文棚」は1930年の作品とのこと。
漆、蒔絵と説明されている。
蒔絵とは「漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔くことで器面に定着させる技法(wikipediaより)」とのこと。
黒い漆をバックに、赤と金の模様が映える逸品!
和風というよりはアラビア文字のように見える柄に強く惹かれたSNAKEPIPE。
棚とされているけれど、中がどうなっているのか観てみたかったよ。

内藤春治は東京芸術大学名誉教授の鋳金家だという。
「壁面への時計」は1927年の作品で、青銅を材料にしていると説明されている。
文字盤の美しさはもちろんだけど、周りを囲むアール・デコを取り入れたフォルムに目を奪われる。
右上に突き出たパーツが、斧のようにも見えて、ロシアっぽい雰囲気も感じるんだよね。
実際に時計として機能するのか、オブジェなのかは不明だよ。
1920年代といえば、シュールリアリズム、ロシア・アヴァンギャルドやバウハウスなど、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなアート真っ盛りの時代。
日本にもこんなに素敵な作品があったことを知って、嬉しくなるよね!(笑)

関谷四郎の「赤銅銀十字線花器」を観た瞬間「PUNK!」と思ったSNAKEPIPE。
だってピラミッド型のスタッズが並んでるんだもんね。
しかもシルバー色!(笑)
赤銅と銀を使用した1975年の作品なんだけど、持って帰りたくなるほど気に入ってしまった。
花器と書かれているので花瓶なんだろうけど、 どんな花が似合うんだろうね?
関谷四郎は秋田生まれの鍛金家で、昭和52年に人間国宝に認定された人物だという。
他にはどんな作品を制作していたのか、観てみたいよね!

川口淳の「箱」は1991年の作品。
どんどん時代が現在に近づいてきてるね。(笑) 
磁器とアルミ板を使用した作品なんだけど、 基盤や模造の宝石が側面に貼り付けられていて、なんともキッチュな装い。
そのオモチャっぽさが、非常に魅力的なんだよね!
秘密の宝物入れに欲しくなる逸品!
他人から見たらガラクタなのかもしれないけど、自分には非常に大事な物って意味の宝物が似合いそう。
川口淳の磁器は販売されているようで、カラフルで良い感じだよ!

「パッション20」の最後に展示されていたのは四谷シモンの「解剖学の少年」だった。
四谷シモンについては、2011年10月に「SNAKEPIPE MUSEUM #12 Hans Bellmer&四谷シモン」として記事にしているね。
友人Mは四谷シモン主催の人形学校、エコール・ド・シモンに通うかどうかずっと考え続けているほどの大ファン!
この展覧会に作品が出品されていることも知っていたという。
四谷シモンの少年の人形は、どのタイプも美しい顔立ちなんだよね。
この人形は臓器が露わになっていて、美とグロテスクが共存しているのにも関わらず、静謐な雰囲気を持っているところが不思議だよ。

東京近代美術館工芸館を初めて訪れて、レトロな雰囲気の建物にも満足だった。
目黒の庭園美術館に似ているように感じたけど、建造された年代が近いんだね。
どちらの建物にも、当時のモダンさと独特の良さがあるので、是非良い状態で保存されると良いな!

工芸館を鑑賞した後、近代美術館にも足を運んだ友人MとSNAKEPIPE。
この続きは来年まとめる予定だよ!

2019年も残りわずか。
今年は様々な展覧会に出かけたり、トレッキングの真似事をしたり、外出する機会が多かったROCKHURRAH RECORDS。
来年はどんな記事を書いていくことになるのか、お楽しみに!
どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
皆様、良いお年を!(笑)