名和晃平 Oracle 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2021年最初のブログは、年末に鑑賞した展覧会について書いていこう。
表参道にあるジャイルギャラリーで2020年10月から開催されているのは、 名和晃平の「Oracle」である。
この展覧会には、かなり前から長年来の友人Mに誘われていたSNAKEPIPE。
なるべく年内に鑑賞しよう、と都合をつけて出かけたのである。

連日のようにコロナ感染者数が増加しているというニュースを聞いているので、細心の注意をして出かけることにする。
予想に反して表参道には、普段ほど人が多くない。
原宿や表参道にあるショップは、ほとんどが11時オープン。
ジャイルギャラリーのオープンも同じなので、その時間に友人Mと待ち合わせる。 
オープンしたばかりのせいか、MoMAやギャルソンのショップにも人が少ない。

ギャラリー入り口向かって左、輝くカラスを発見する。
このカラスがトップに載せた画像ね。
照明が当たってキラキラしているよ!
SNAKEPIPE MUSEUMに陳列したくなる作品だね。
受付で念の為、撮影が可能かを確認し中に入る。
ジャイルギャラリーは、いつでもオッケーしてくれるんだけど、一応聞いておかないとね。
ということで、今回の画像は全てSNAKEPIPE撮影のものだよ!

アーティスト、名和晃平について調べておこうか。 

1975年 大阪府高槻市生まれ
1998年 京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒業
英国王立美術院(Royal College of Art,Sculpture course)交換留学
2003年 京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了博士号取得
京都府美術工芸新鋭選抜展 最優秀賞
キリンアートアワード2003 奨励賞
2005年 アジアン・カルチュラル・カウンシル (ACC)日米芸術交流プログラム ニューヨーク滞在
京都府芸術文化特別奨励者
2006年 ダイムラー・クライスラー・ファウンデーション・イン・ジャパン芸術支援活動プログラム「アート・スコープ2005-2006」ベルリン滞在
平成18年度京都府文化賞 奨励賞
2008年 六本木クロッシング2007 奨励賞
京都造形大学 准教授に就任
2010年 第14回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ 2010 最優秀賞
2012年 平成23年度京都市芸術新人賞受賞
2018年 京都府文化賞功労賞受賞

様々な賞を受賞して、何度も海外で活動する機会を得ていたことが分かるね。
交換留学だったりアートプログラムとして選出されて渡航しているところが素晴らしいよ。
現在は教授になっているようで、アート一色の人生を送っているんだね!
作品は観たことないなあ、と思っていたら!
2019年5月に鑑賞した「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして」に名和晃平の作品が出品されていたことが判明!
とはいっても、「百年の編み手たち」の記憶が残っていないんだよね。(笑)
図録も購入しなかったので、どんな作品だったのか不明だよ。
今度こそ、しっかりと作品を目に焼き付けることにしよう!

輝くカラスの後方にあったのは黒い作品「Black Field」。
厚めに塗った油絵具と油を混合させて、表面に起こる経過や状態まで含めて作品だという。
こうした説明は受け取ったパンフレットで初めて理解するんだけど、観た瞬間に好き!って思ったSNAKEPIPE。
年齢を重ねると、こうした抽象的な作品に興味が湧くのなんでかな?
生きていく上で遭遇する全ての事象が、くっきりとした輪郭が取れるわけじゃないことに気付いたからだろうね。(意味不明)

「Rhythm」という作品。
SNAKEPIPEはカビとか胞子をイメージして、どんどん膨らんだり増殖する物体じゃないのかなと思ったけど、違うみたいね。(笑)
影の入り方が面白くて、照明の当て方で印象が変わるのかもしれない。
こうした無機物にも勝手に意味を見出し、自分なりに解釈してしまう。
「袖触れ合うも多少の縁」に代表される、どんなに小さな出来事にも因縁があり、大事にしましょうという教えを体現するようになったのは、いつの頃からだろうか。(全く意味不明)

人によって何に見えるのか違ってくるであろう、抽象の世界。
よくYahoo!の下のほうに「何に見える?」という心理テスト載ってるよね?
ロールシャッハ・テストに代表される、想像した物から性格判断を行う分析方法と同じなんだろうね。
さて、この作品名は「Dune」というらしいので、思い浮かぶのは「砂の惑星」だよね。(笑)
敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの失敗作とされる「デューン」だけど、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版が近々公開されるというのは気になるね。
予告編を観た限りでは、リンチ版を踏襲しているように見えるけど。
話を作品に戻そう。
SNAKEPIPEはこの作品を観て、夜の荒れた海だと思ったよ。
えっ?陳腐?(笑)
あえて陳腐な表現を厭わなかったのは、特別な人生など多くはない、と悟ったせいかもしれない。
ありきたりな小さなことに喜びを感じることこそが日々の糧ではないか、と思う今日このごろである。(益々意味不明)

次の展示室に移ろうとした時、動きが止まってしまう。
中央に鎮座ましますのは、光り輝くバンビちゃん。
「聖なる存在」とはまさにこのことではないか、と思ってしまうほどの神々しさ!
あのバンビちゃんには、きっと何か宿っているに違いない。
絶対そうだよ!

バンビといえば思い浮かべるのはSex Pistolsの映画「The Great Rock’n’Roll Swindle」でかかった「Who Killed Bambi」かな。

ギリシャ人の監督ヨルゴス・ランティモスの映画「聖なる鹿殺し(原題:The Killing of a Sacred Deer 2017年」なんていうのもあったよね。 
バンビとか鹿というのは弱い存在で、犠牲になることが多い動物ということなのか。
そんなバンビちゃんが光り輝いているということは…まさか!
霊的な存在になっているという解釈も成り立つのかもしれない。
載せた画像がバンビちゃんを構成しているビーズのアップ。
小さな一粒一粒ごとに色鮮やかな光を見出すことができる。
バンビちゃんは、複数の霊的な存在の集合体と考えることができるのかもしれないね?
普段のSNAKEPIPEとは別人格が出るほど、様々なことを考えさせられた展覧会だったよ。(笑)

2021年も当ブログをよろしくお願いいたします!

石元泰博写真展 伝統と近代 鑑賞

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【東京オペラシティアートギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

友人Mから勧められ、Netflixで公開されている韓国ドラマを観ているROCKHURRAH RECORDS。
韓流ブームのきっかけとなった「冬のソナタ」(古い!)だったら手を出さなかったはずの韓国ドラマ。
最近はドラマの質が変わってきたよ、という友人Mの言葉を信じて観てみたのである。
なんとこれが、面白いじゃないの!(笑)
言った通りでしょ、と得意気に鼻をふくらませる友人Mと「ドラマに出てくる食べ物が気になるよね」と話す。
今まで複数回韓国に行き、本場の味を堪能している友人Mから
「新大久保に行ってジャージャー麺を食べよう」
という提案があった。
第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得した映画「パラサイト 半地下の家族」にも出てきたジャージャー麺。
韓国ではポピュラーなメニューみたいだね。
他にもドラマなどで出てくるメニューは、どれも美味しそう。
SNAKEPIPEも食べてみたいよ!(笑)

新大久保でランチを食べる前に、展覧会に行くことにする。
選んだのは、東京オペラシティアートギャラリーで開催されている石元泰博写真展。
生誕100年の記念企画だという。
写真の教科書に必ず出てくる大御所だよね!
石元泰博の個展を観るのは初めてなので、とても楽しみだよ。
恵比寿にある東京都写真美術館では11月23日まで「生命体としての都市」 として写真展が開催されていたことを知る。
後から知ったので残念だけど、行っておくべきだったなあ。
 
12月なのに暖かい日が続いたけれど、展覧会鑑賞の日は急に気温が下がってしまった。
寒暖差が激しいと余計に寒く感じるよね。
ギャラリー前で友人Mと待ち合わせる。
オペラシティアートギャラリーは2020年2月の「白髪一雄」展以来だね。
会期が10月10日からだったせいか、お客さんはとても少ない。
展覧会は2階から始まっていて、今までと違う順路だったよ。 
撮影は決められたスペースから遠景のみ許可されていた。
クローズアップは駄目なんだって。
SNAKEPIPE撮影の画像だけではないのが残念だよ。

まずは石元泰博の年表を展覧会サイトから転用させていただこう。 

1921 高知からの農業移民の長男としてサンフランシスコで誕生
1924 両親と高知に移住
1939 高知の農業高校を出て単身渡米、カリフォルニアに住む
1942 前年12月8日の真珠湾攻撃をうけ、日系人収容所に収監される
1944 収容所から解放されシカゴに行く
1947 シカゴの写真クラブに入会。モホリ=ナギらの著作に触れ、モダニズム/アヴァンギャルドの写真に開眼
1948 シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)入学(1952年卒)
在学中にモホリ=ナギ賞を2回受賞する
1953 来日し、1958年まで滞在。桂離宮を初訪問し、敷石を撮影
1955 桑沢デザイン研究所講師を務める
1956 川又滋子(滋)と結婚
1958 初の写真集『ある日ある所』発刊
シカゴに戻り3年間滞在
1966 東京造形大学教授を務める
1969 日本国籍取得
『シカゴ、シカゴ』発刊
1977 『伝真言院両界曼荼羅:教王護国寺蔵』発刊
翌年、芸術選奨文部大臣賞、日本写真協会年度賞、世界書籍展の「世界で最も美しい本」金賞を受賞を受賞する
1993 勲四等旭日小綬章受章
1996 文化功労者に選ばれる
2012 東京都の病院で亡くなる

1920年代にアメリカで生まれた日本人というのが、当時どれくらい存在していたんだろう?
そして幼少の頃に帰国してから、再びアメリカに渡り小学校で英語の勉強をした、と会場の年表に書いてあったんだよね。
18歳で小学校に入れることにも驚きだけど、その勇気に感服するよ。
その後バウハウスの流れを汲んだ学校で学んでいたとは、羨ましい限り!
石元泰博の写真がカッコ良いのは、元来持っているセンスに加えて、バウハウスのデザインを学んだからなのかもね?

写真展は16のチャプターで構成されていた。
初期作品が並んでいた第1章は、バウハウスらしい作品がたくさんあって嬉しくなった。
マン・レイを思わせる実験的な作品や、フォト・コラージュもあったよ。
構成を意識した構図が目を引く。
ニュー・バウハウスで学んだ日本人は、石元泰博以外にいたんだろうか。
現在はイリノイ工科大学の学部として残っているらしいけれど、モホリ=ナギが教鞭をとっていた時代が最高なんじゃないかな?

石元泰博にはいくつかのシリーズがあるけれど、写真にのめり込んでいく原点になったであろうシカゴを撮影した作品が魅力的だった。
50年代から60年代のシカゴに暮らす人々、ビル群など、「時代」を捉えていることはもちろんだけれど、それだけではない。
まるで映画のスチールみたいに、すべてがカチッと決まってるんだよね。
ポスターにして飾っておきたいくらい。

写真美術館の展覧会ポスターで使用されていた写真がこれ。
ビルを見上げて撮影しているけれど、構図のとり方や白と黒のバランスが絶妙。 
バウハウスらしさ全開の作品だよね!
とてもカッコ良いので、待受画面にしようかな。(笑)
シカゴを舞台にした作品には、人物写真も多数展示されていたよ。
黒人を被写体にしていることが多かった。
正面からカメラを構えることができたということは、近所に住んでいたのかもしれないね。

桂離宮を撮影したシリーズも展示されていた。
桂離宮とは、京都市西京区桂にある皇室関連施設で、宮内庁が管理しているという。 
石元泰博は桂離宮撮影のため1ヶ月間、京都の高級旅館に泊まり、多額の借金を作り親に土地を手放させたというエピソードが展覧会の年表に載っていたよ。
撮影のために、どうしてそこまで高級旅館を選んだのかは謎だよね。
親子に亀裂が入った原因となった桂離宮の撮影だけれど、1957年に第1回日本写真批評家協会作家賞を受賞している。
載せた画像は敷石の作品だけど、これまたバウハウス!
純和風の建築や庭園を、切り取り方や構図でこんな形で見せてくれるとは驚きだよ。
なんで桂離宮なんだろう、とぼんやり観ていたSNAKEPIPEの目がぐわっと見開いたね。
桂離宮は予約制で参観が可能だというので、機会があったら訪れてみたいと思ってしまった。
石元泰博の作品を観たせいだね。(笑)

京都にある東寺の国宝「伝真言院曼荼羅」を接写拡大したシリーズは圧巻だった。
展示室全体が曼荼羅の部屋になっていたからね。
ROCKHURRAHが東寺の曼荼羅ポスターを持っていたので、全体図としては観たことがあったけれど、拡大されると細部が明らかになり違った印象を受けるよ。
載せた画像左から2番目は胎蔵界曼荼羅の中央部分かな。
調べてみると「伝真言院曼荼羅」は、2011年8月に鑑賞した「空海と密教美術展」で公開されていたみたいなので、実物を目にしていたのかも。(あやふや)
「世界で最も美しい本」に選ばれた写真集も観てみたいね。

展覧会の最後は伊勢神宮を撮影したシリーズだった。
正面に鳥居の写真がドーンと展示され、ここから聖域に入るおごそかな場所、という静寂を感じることができる。
江戸時代に「お伊勢参り」がブームだったというけれど、令和の現在でもROCKHURRAH RECORDSはお参りしたことないんだよね。
いつか行ってみたい場所だよ!

石元泰博写真展は、サブタイトルにあるように伝統的な建築や素材を、斬新な切り取りで見せてくれた写真が並んだ素晴らしい展覧会だった。
それぞれのシリーズごとの写真集を観てみたいし、できればシカゴと桂離宮の写真集は手に入れたいと思ったよ。
「シカゴ、シカゴ」は中古で58,000円、「桂離宮」は15,000円だって。
ちょっと考えよう。(笑) 

観て良かったね、と言いながら友人Mと新大久保に向かう。
念願のジャージャー麺と韓国酢豚(タンスユク)を食べ、大満足だったよ!(笑) 

STARS展 鑑賞

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【STARS展の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

友人Mと一緒に出かけたのは、森美術館で開催されている「STARS展」である。
これは「多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介する」という企画物。
世界的にも有名な日本人現代アーティストというと、当然のように知った名前が並んでいることは予想できる。
そんな「超大物アーティストが一堂に会する、壮観かつ圧巻の展覧会」を鑑賞できるのは、お得な感じだよね?(笑)

午前中に用事を済ませ、六本木でランチを食べる。
少し早い時間だったせいか、レストランが空いていたのは良かった。
お腹を満たしてから、森美術館のある53階へ。
「カレーパン」の袋を持った人を多く見かけて謎だった。
帰宅後調べてみると、どうやら嵐の大野智作品展が開催されていたんだね。
「智のカレーパン付きチケット」なんていうのもあったみたい。
そういうことだったのか、と納得したよ。(笑)
エレベーター待ちの人のほとんどは嵐目的だった、ということだね。

それでは展覧会の感想をまとめていこうか。
森美術館はいつも通り、作品の撮影オッケーだったよ。
やっぱりいいね、森美術館!(笑)

会場に入ると最初に登場したのは村上隆の作品だった。
「チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN」を背景にした「Ko²ちゃん(プロジェクト Ko²)」がお出迎え。
高さが180cmを超える、村上隆のフィギュアタイプを観るのは初めてのこと。
アニメや漫画などでは当たり前になっている女の子の、異常なまでの大きなバストや足の長さを強調したプロポーションを再現した作品である。

載せた画像は「マイ・ロンサム・カウボーイ」で、2008年にサザビーズのオークションで、約16億円で落札されたことが話題になった作品なんだよね。
2015年11月に鑑賞した「村上隆 五百羅漢図展」の感想にも同様の内容を書いているSNAKEPIPE。
実物を観ていないので感想は言えない、とも書いているね。
ついに今回、ご対面となったわけだ。(笑)
男女のキャラクターに共通して感じたのは「おちょくってる」のかな、ということ。
好き嫌いは別として、賛否両論の感想がある作品というだけで、現代アートとして成り立っているのかもしれない。
ジェフ・クーンズの「ラビット」なども同じ理由で高額になるのかな、と想像する。
SNAKEPIPE MUSEUMだったら何十億も払って、この作品買わないけどね。(笑)

続いては李禹煥(リ・ウファン)。
SNAKEPIPEは初めて聞く名前だよ。
1936年韓国慶尚南道生まれで、1956年に来日。
日本を拠点に活動しているアーティストだという。
石、木、紙、綿、鉄板、パラフィンといった〈もの〉を単体で、あるいは組み合わせて作品とする「もの派」を理論的に主導した人物とされている。
「もの派」というのは哲学や老荘思想などの影響を受けた「あるがままの世界との出会い」を目指す、作らないアートだったという。
確かに「関係項 ー 不協和音」はステンレスの棒と石が、床に固められた玉砂利に置かれている状態の作品だったからね。
なんとも静謐な空間で、日本庭園の一つである枯山水のイメージだったよ。
ステンレスという金属が使用されているところが、SNAKEPIPEの好み!

つい先月、草間彌生美術館に行ってきたばかりだけど、世界的に有名な日本人アーティストで外せないからね。
画像は、「女たちの群れは愛を待っているのに、男たちはいつも去っていってしまう」で2009年の作品である。
相変わらずタイトル長いなあ。(笑)
連なる横顔は、「わが永遠の魂」シリーズでよく見かけるモチーフだよね。
きっと何か意味があるんだろうな。
絵画以外に立体作品の展示もあり、こじんまりしていたけれど、草間彌生の過去と現在を知ることができる内容だったよ。

草間彌生ブースから次に向かうと、突然暗闇になる。
「スマートフォンを落とさないように」
と係員から注意があった。
目の前には暗い空間が広がり、その中に何やら光る物がある。
柵から身を乗り出すようにして確認すると、それらは数字だった。
なるほど!
だから「落とさないように」なんだね。(笑)
これは宮島達男の「時の海 ー 東北」プロジェクトだという。
LEDを水の中に設置し、3.11で被災した人々3000人に参加を呼びかける作品になるそうだ。
現在の参加者が719名なので、あなたも参加しませんか?という葉書が置かれていたよ。
遠くまで続いているように感じる暗い黒い海の中にある光は、海に沈んだ魂のように見える。
おごそかな気持ちになると同時に、とても美しい作品だなと思ったよ。

奈良美智の作品は今まで何度か目にしているけれど、無愛想な表情をした女の子に全く魅力を感じることがなかった。
どうして評価を受けているのか分からないアーティストなんだよね。
今回展示されていた中で、唯一「かわいい」と思ったのは、この作品。
「Lonely Moon / Voyage of the Moon」は金沢 21 世紀美術館の所蔵作品とのこと。
奈良美智の愛用品も展示されていたけれど、あまりピンとこなかったな。

最後は杉本博司だった。
杉本博司はコンセプトに基づき、写真を使用した表現で評価されているアーティストなんだよね。
SNAKEPIPEが一番最初に知ったのは「劇場」シリーズで、映画館で上映中の映画を撮影した作品だった。
映画上映時間と同じ露光時間を設定し、映画の終了でやっとシャッターを切り、一枚の写真を撮るんだよね。
長い露光時間では動いている物が写らないため、映画館の内部を撮影した写真にしか見えない。
時間を写す、というところがポイントなんだけど、難解だよね。(笑)
「Revolution 008 カリブ海、ユカタン」は、本来は横位置の写真を縦にして展示されている。
「水平線は地球の輪郭線の一部へ転換され、意識は大いなる宇宙へ放たれます」と森美術館の説明に書いてあるけど、どうだろう?
SNAKEPIPEは純粋にモノクロームのグラデーションが美しいと感じたよ。

30分ほどのビデオ作品「時間の庭のひとりごと」は、2017年に小田原に開館した「小田原文化財団 江之浦測候所」を紹介している。
この測候所に今まで2度足を運んでいる友人Mは、食い入るように映像を鑑賞していたよ。
「とても素敵な場所」と友人M のお墨付きなので、いつか行ってみたいね!(笑)

日本の現代アートを代表する面々の作品が一堂に会する展覧会は初めてかも。
名前と作品が一致し、ある程度の予備知識を持って鑑賞したため、新鮮な驚きが少なかったとも言えるかな。
感想をまとめるにあたってアーティストについて調べる機会を得た。
韓国生まれの李禹煥は日本に向かったけれど、他の面々は日本を飛び出し、海外に活動拠点を持ったり生活していることが分かった。
世界的に有名になるには、グローバルな視点が必要なんだなと改めて思ったよ。
1957年に渡米した草間彌生は先駆けということになるんだね。

次回の森美術館も楽しみにしていよう!(笑)

鴻池朋子 ちゅうがえり 鑑賞

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【会場入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH RECORDSにとって特別な日が10月にある。
この日はお祝いをかねて、何かしらのイベントを計画するのが毎年恒例なんだよね。
「ここに行ってみない?」
とROCKHURRAHから提案されたのが、アーティゾン美術館の展覧会だった。
初めて聞く美術館だよ!

調べてみると2019年にブリヂストン美術館から、ART(アート)とHORIZON(ホライゾン)を合わせた造語であるアーティゾン美術館に改称したという。 
そもそもブリヂストン美術館に聞き覚えがないし、訪れたこともないんだよね。
もしかしたら今まで興味を引く展覧会がなかったのかもしれない。
アーティゾン美術館は日時指定の予約制で、WEB予約での受付と当日窓口での受付では料金が異なるという。
早い時間に予約し、ゆっくりランチを楽しむことにしようか。

当日は台風が関東地方を直撃か、という予想が外れた雨空だった。
それほど雨風は強くなかったので、展覧会の鑑賞には丁度良かったかもしれない。
日本橋から徒歩5分という案内通り、駅からそんなに遠くない場所に「BRIDGESTONE」の文字がガラス越しに見える。
そういえば高校時代は自転車通学をしていたSNAKEPIPE。
買ってもらったのは赤い車体に黒文字で「BRIDGESTONE」のロゴが入った自転車だったことを思い出す。
他の自転車より高い位置に展示され、お値段も高めだったけれど、一度の故障もなかった優秀さ!
さすがブリヂストンだな、と思ったっけ。(笑) 

ビルの建替えが2019年7月に完了し、2020年1月からオープンしたというアーティゾン美術館は、さすがに新築でピカピカ!
手指の消毒や体温測定に加え、入場は一人ずつ間隔を空けるなど、コロナ対策も行われている。
それにしても美術館のスタッフの方々が制服として着用しているのが、まるで作務衣のようで見慣れない感じ。
「こちらへ」
なんて手招きされると、美術館にいるというよりは旅館かと錯覚しちゃう。(笑)

今回は「3展覧会同時開催」として3フロアの展覧会を1枚のチケットで鑑賞できる企画だった。
「6Fからご鑑賞ください」
6F→5F→4Fと下っていくことになるんだね。
最初は鴻池朋子の「石橋財団コレクション×鴻池朋子 ちゅうがえり」。
展覧会名の前に「ジャム・セッション」という言葉が付いている。
どうやら石橋財団のアート・コレクションとのコラボ企画ということらしいけど、いまいち意味不明だよ。
それにしても鴻池朋子というアーティストは初めて聞くなあ。
少し調べてみようか。

1960年秋田県生まれ。
1985年東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業後、玩具、雑貨などのデザインに携わる。
現在もその延長で、アニメーション、絵本、絵画、彫刻、映像、歌、影絵、手芸、おとぎ話など、様々なメディアで作品を発表している。
場所や天候を巻き込んだ、屋外でのサイトスペシフィックな作品を各地で展開し、人間の文化の原型である狩猟採集の再考、芸術の根源的な問い直しを続けている。(オフィシャルサイトより)

1960年生まれといえば今年60歳、還暦?
とてもお若い見目姿に、うそでしょーと驚いてしまう。
芸大の日本画といえば、松井冬子の先輩にあたるんだね。
国内外で数多くの展覧会に参加しているようだけど、今まで一度も出会ったことがないみたい。
一体どんな作品なんだろう?
会場入口で撮影に関しての文章があった。
「撮影禁止」と表示されている以外はすべてオッケーとのこと!
アーティゾン美術館いいねー!
バシバシ撮らせてもらおう。(笑)

会場に入ってすぐ、目に飛び込んできたのは「皮トンビ」という大型作品だった。
横12m、高さ4mという大きさは、少し離れないと全体を鑑賞することが不可能だね。
遠目から、更に近付いて鑑賞してみる。
タイトル通り、レザーを革紐でつなぎ大きな一枚の皮にしている。
その上にアクリル絵の具とクレヨンで描いているという。
この作品は瀬戸内国際芸術祭 2019で発表されたらしい。
オフィシャルサイトに載っていたその時の様子をROCKHURRAHが観て、展覧会行きを決めたらしい。
面白そうだと感じた直感は正しかったね!
瀬戸内国際芸術祭で展示されていた森の中に静かに佇むトンビ、迫力あっただろうな。
その時に観たかったな、と思う。
レザーをキャンパスとして使用する作品を観たのは、初めてじゃないかな。

「竜巻」は2020年の作品だという。
作者の趣向なのか、タイトルが作品の近くに提示されてなかったため、タイトルを知ったのは帰宅後なんだよね。
鑑賞している時点では、何を表しているのか不明だった。
複数枚の謎の黒いラインが並んでいる様は、とても好みだよ。
これらの作品は、石版石を用い伝統的な方法で制作したリトグラフ版画とのこと。
「皮トンビ」とは違った雰囲気だったね。

「ドリームハンティンググランド」も大型作品だったよ。
シナベニヤに水彩で描かれているのは、原始の森のような不思議な情景だった。
その上に毛皮が貼り付けられているんだよね。
調べてみると「クマ、オオカミ、シカ、テン他」の毛皮を使っていたようだけど、全部は確認できなかった。
色合いが美しくて、存在感があったね!

「カレワラ叙事詩」はオオカミとヒグマの毛皮を使用した作品だった。 
上の作品にも毛皮を貼り付けていたけれど、鴻池朋子は毛皮やレザーを使用することが多いみたいだね。
キャンバスに毛皮を貼り付けたといえば白髪一雄を思い出すよ。
どうやら鴻池朋子は「害獣として駆除」された獣の毛皮を入手して、作品に取り入れているらしい。
大きなヒグマの毛皮を広げ、お腹の部分にオオカミをお腹合わせに合体させているんだね。
これもいわゆるキマイラか?
タイトルの「カレワラ」は、フィンランドの民族叙事詩のことみたいね。

会場の中央に設置されていた円形の展示は、襖絵と滑り台だった。
滑り台の意味は不明だったけれど、ROCKHURRAHと共に子供さながらに滑ってみたよ。(笑)
そして襖絵を鑑賞する。
石が貼り付けられたもの、地球が描かれたもの、竜巻が描かれたものなど、いくつかのパターンがあった。
鴻池朋子が芸大の日本画出身と聞くと、襖絵は納得しちゃうね。
いわゆる日本画とは違う襖絵といえば、爆撃の様子を描いた会田誠の「たまゆら(戦争画RETURNS)」があったね。
伝統的なイメージとは、かけ離れて新鮮に映るよ。

「影絵灯篭」は自転車の車輪を組み合わせた仕掛けに、紙でつくったモチーフを吊り下げ、ライトを当てグルグル回した作品なんだよね。
次々と形を変える影絵が面白い。
どの瞬間を捉えたら良いのか迷いながら、複数回撮影する。
人間から動物に移り変わっていくかのような奇妙さ。
また人間に戻り、そして動物になる無限ループ状態なのか?
奇妙なモチーフを影絵で見せたクリスチャン・ボルタンスキーの作品を思い出す。
ボルタンスキーの場合は、風で揺らぐことで影の大きさを変化させていたね。
影絵をモーターで回す鴻池朋子の作品、とても良かったよ!

「こっ、これはっ!」
思わず声を発してしまったSNAKEPIPE。
本物のオオカミの毛皮が天井から吊り下げられているんだもん。
2015年に横浜美術館で観た「蔡國強展」を彷彿させる作品だよね。
会場の入り口に「毛皮が肌に触れる作品があります」といった注意書きがあったのは、この作品のことだったのかと納得。
この「毛皮カーテン(SNAKEPIPE命名)」をくぐらないと、通路は通れないからね。
好き嫌いは分かれるかもしれないけれど、インパクトが強かったよ。

順路を進んでいくと、まるで別の作家のような作品群が登場する。
これは様々なエピソードを、布で立体的に作った絵本なんだよね。
人から聞いた話をもとに、鴻池朋子が下絵を担当。
その下絵から話をした本人が手芸で立体絵本を制作したプロジェクトだという。
一つの絵にそれぞれ物語があるので、全部を読むことはできなかったよ。
どちらかというと他愛のない、子供時代のお話なのかな。
立体の絵本がとてもかわいらしくて、それまで観てきた作品とは全く違う雰囲気に驚く。
このシリーズは、とても女性的で一般受けしそうなんだよね。(笑)

例えば狩猟時代に男が狩りをして獲物を捕らえて帰ってくる。
獲物の皮を剥ぎ、肉を焼いて食べる。
家を守る女は毛皮で衣服を作り、肉を調理する。
人間が自然の一部として、循環の中に組み込まれ共存していた時代を、アートとして提示しているのが鴻池朋子なんじゃないか、という感想を持ったSNAKEPIPE。
そう考えると「害獣として駆除」された動物の毛皮の意味も違ってくるように思う。
何が一番の「害」なんだろうね?

鴻池朋子の作品に満足しながら5Fに降りる。
次のフロアは「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示 Cosmo-Eggs|宇宙の卵」の展示だった。
2019年に日本館のパビリオンで発表された作品の帰国展とのこと。
大きなスクリーンに映し出されるモノクロの風景映像に、音楽や効果音(?)が加わる。
会場の中央には、オレンジ色の丸いソファ(?)があり、座ることができた。
少しの間鑑賞していたけれど、あまり意味が分からなかったよ。
とても静かな空間だったね。

続いて4Fへ。
このフロアでは「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー」が展示されていた。
ここでも撮影が許可されていて驚く。
モネやルノワールの作品までオッケーとは。
ROCKHURRAH RECORDSの好みとは違うけれど、石橋財団太っ腹だよねー!
載せた画像はカンディンスキー、1924年の「自らが輝く」。
 同じ並びにはジャコメッティ、ポロックと続き、石橋財団お金持ち!(笑)

石橋財団コレクションからスポットを当てて特集されていたのが、パウル・クレーだった。
パウル・クレーといえば、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなドイツの美術と建築に関する総合的な教育を行った学校、バウハウスで教鞭を取った人物だよね! 
今年2020年7月に鑑賞した「開校100年 きたれ、バウハウス」の記事にも書いているよ。
ROCKHURRAHと「これが一番だね!」と声を揃えたのが、1929年の作品「羊飼い」だった。
その時期は丁度、バウハウスの時代ということになるんだね。 
クレーの作品については、そこまで詳しくなかったので、今回鑑賞することができて良かった!

初めて訪れたアーティゾン美術館の3つ展覧会はボリューム満点!
これでチケット代金が1,100円とは驚きだよ。
入場者数を制限していることもあり、ゆっくり鑑賞することができたのも良かった点だね。
素敵な企画があったら、また足を運びたい美術館だよ!