インディゲリラ Cosmic Waltz 鑑賞

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【会田誠展の時と同じ構図だね。ワンパターン!】

SNAKEPIPE WROTE: 

2021年8月に鑑賞した「会田誠展 愛国が止まらない」で初めて訪れたミヅマアートギャラリー
SNAKEPIPEのウォーキング・ルート途中にあるギャラリーと分かったので、サイトを定期的にチェックすることにした。
まこっちゃんの展示の後は何をやってるんだろう?
インディゲリラという、ちょっと物騒な名前のアーティストが個展を開催している模様。
タイトルは「Cosmic Waltz」だって。
散歩がてら、寄ってみようか? 

本来は定員制を採って、1時間に入場できる人数を決めているミヅマアートギャラリーだけれど、人数に達していなかった場合には飛び込みでの受付も可能とのこと。
行くだけ行ってみよう、と扉を開けてみる。
「予約していないのですが、入場可能ですか?」
と聞いてみると
「もちろんです!どうぞ!」
快く受付の男性が応じてくれる。
予約の際に必要だった名前や電話番号を提出して会場へ。
タイミングが良かったのか、お客さんはSNAKEPIPE一人だった。
やったー!貸し切りで鑑賞だー!(笑)
撮影についての許可を得たので、バシバシ撮らせてもらったよ!

まずは最初に、インディゲリラについての説明をサイトから一部抜粋して転用させていただこう。

ミコ(1975年インドネシア、クドゥス生まれ)とサンティ(1977年インドネシア、スマラン生まれ)夫婦によるアーティスト・ユニット。
1999年にグラフィックデザイン・オフィスとして立ち上げられたインディゲリラは、「新たな可能性を見出すために常にゲリラでいる」という自身の哲学により、2007年にフルタイムのアーティストとなる。

伝統的な価値観と現代文化とのユニークな繋がりが注目され、世界中で数々の重要な展覧会に参加。
現在、インドネシアのジョグジャカルタで活動。

インドネシアのアーティストなんだね。
夫婦で活動なんて、羨ましい限り!(笑)
かつてSNAKEPIPEも旅したことがあるジャワ島出身のアーティストとは、驚いてしまうよ。
SNAKEPIPEが知っているのは、かれこれ四半世紀以上前(!)のジャワ島なので、現在は全く別の状況になっているんだろうな。 (遠い目)
そして旅行していた時は、ジャカルタ郊外の田舎町で過ごしていたんだよね。
地元の人と同じ生活をすることが目的だったので、美術館に行ったりアートに触れる機会は皆無。
SNAKEPIPEは、地元の人や風景を撮影していたけどね。(笑)

当時見た風景や人々を思い出しながら鑑賞を始める。
原色が目に飛び込んでくる奇抜な作品だよね。
何が描かれているのかを理解するのに、しばらく時間が必要かも。
じっと観ていると、バリ島でよく見かける仮面のバロンのように見える顔(?)を発見する。
全体にポップな印象だけど、こうした部分にインドネシアらしさが出ているのかも?

丸いキャンパスいっぱいに描かれているのは、人や鳥?
なんともいえない「ぐねぐね」した流線と手や足に見えるモチーフ。
ホアン・ミロをパロディ化したようにも見えるよね。
インディゲリラいわく、「作品中のキャラクターたちが皆、魂のダンスを踊るかのように、宇宙のリズムに合わせて自発的にうねり、流れるように動いている」様子を描いているとのこと。
それでタイトルが「Cosmic Waltz」なんだね!

現在46歳の旦那さんと44歳の奥様はどんな役割分担で作品を作ってるんだろうね。
サイトに載っているご夫婦の写真は、ライダースジャケット着て、緑色に染めた髪という姿!
とんがってて、共感しちゃう雰囲気なんだよね。
やっぱりSNAKEPIPEが知っていたインドネシア人とは全く違うよ。(笑)
インディゲリラは、「ぐねぐね」の次にどんな作品を見せてくれるんだろう。
今から楽しみだね!

インドネシアのアートで思い出したのが、2017年9月に鑑賞した「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」。
東南アジア10ヶ国からアーティストが出品していた展覧会だったんだよね。
インドネシアからはHeri DonoFX Harsonoが参加していて、感想をブログに書いているSNAKEPIPE。
死や拷問をテーマにしていて、 印象に残った作品だったよ。
もう一人、紹介していなかったインドネシア人アーティストがいたことを思い出した!
2021年7月に鑑賞した「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 に出品していたヌヌンWS(Nunung WS)について書いておきたい。

ヌヌンWSは1948年ジャワ州ラワン生まれの73歳。
小学生の時、すでに画家になることを決心していたという。
1967年、19歳で絵画を学び始め、現在も精力的に活動を続けている、インドネシア唯一の女性抽象画家とのこと。
載せた画像は「織物の次元1番」で2019年の作品ね。

1960年代に生まれた「ミニマリズム」という表現スタイル。
それは、必要最小限まで要素を切り詰めた様式で、美術の世界では「ミニマル・アート」として定着しているね。
 ヌヌンWSは、「豊かな情感や深い精神世界を描いている」点が「ミニマル・アート」との大きな違いなんだとか?
SNAKEPIPEには感情の有無がよく分からないよ。(笑)
もしかしたらアーティストの表明による解釈なのかな。
画像は2011年の「門」。
マーク・ロスコを彷彿させるよね!

ジャワ島の伝統的な織物であるバティックについての研究をしているというヌヌンWS。
その情報を知ってから作品を鑑賞すると、布に見えてくるよ。(笑)
画像は「アチェの次元」で2019年の作品ね。
バティックは美しい柄が多くて、SNAKEPIPEもかつて大量に買い込んだものよ。
今でも所持していて、「のれん」みたいに使っている。
バティックぽい作品を観ると、情感が込められているというのも理解できるね。
インドネシアで抽象絵画を描く女性画家がいるとは驚きだよ。
これからも活動を続けて欲しいね!

今回はミヅマアートギャラリーのインディゲリラとヌヌンWSについて特集してみたよ。
どちらもインドネシアのアーティストで、はっきりした原色が特徴的だよね。
もしかしたら、それは赤道直下のギラギラした太陽を浴びているせいかもしれないね?

今まで知らなかった国のアート、気になるよね!
また探して行きたいと思う。
最後にROCKHURRAHのマネをして締めくくろうか。
Sampai jumpa lagi!(インドネシア語でまたね!)

会田誠展「愛国が止まらない」鑑賞

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【ギャラリー入口のポスター】

SNAKEPIPE WROTE:

「まこっちゃんの展覧会行かない?」
長年来の友人Mは、まるで知り合いのように現代アーティストである会田誠を「まこっちゃん」と呼ぶ。
会田誠の展覧会なら是非とも鑑賞したいよ!
会場はどこなんだろう?

調べてみるとミヅマアートギャラリーという、今まで一度も訪れたことがないギャラリーだった。
場所は市ヶ谷だって。
地図で確認すると、今まで何度かウォーキングで通った道沿いじゃないの!
ギャラリーを素通りしていたとは、SNAKEPIPEの嗅覚は全然駄目だね。(笑) 

1時間に12名までの入場制限が実施されているため、早速予約を取る。
気温はそこまで高くないけれど、湿度マックスの蒸し暑い日、友人Mと市ヶ谷で待ち合わせたのである。
駅から徒歩5分程度の距離なのに、ギャラリーに着いた時にはすでに汗だく。
喉も渇いて、危ない状態になっている。
近くにある「肉のハナマサ」で飲み物を購入し、がぶ飲みしてからギャラリーへ。
2人揃って、ここまで暑さにヤラれるのは初めてかも?

受付で予約の確認をされ、会場へ。 
すでに数人が会場で鑑賞中だったよ。
受付の方に撮影の可否を尋ねると、大丈夫とのこと。
早速スマホで撮影を始める。
と、その様子に気付いた他の鑑賞者達も、次々とスマホで撮影を始めるじゃないの!
今まで誰も撮ってなかったのに。
恐らく撮影について誰も確認しなかったんだろうね。(笑)

「これはっ!」 
思わず声が出てしまったのは、この作品を目にした時のこと。
巨大な手と骸骨を思わせる不気味な顔面、そして乱杭歯が恐ろしい立体作品は、日本兵の亡霊だって。
「MONUMENT FOR NOTHING V〜にほんのまつり〜」という2019年の作品だという。
驚いた後から、帽子や兵隊さんのシャツに気付く。
この迫力は、実際に観ないと分からないかもね!
手前には国会議事堂と、なぜかお花。(笑)
会田誠は、政治的なメッセージ性を含む作品も発表するアーティストなので、何か意味があるんだろうな。

日本兵は、ねぷた祭りでお披露目される山車燈籠の技法を参考に制作されたという。
制作過程が受付横に動画再生されていて、苦労の様子を観ることができる。
こうした日本の伝統文化と現代アートの融合は面白いよね!
同様の手法で、制作された他の作品も観たいなあ。
会田誠が何を題材にするのか、とても興味あるよ。

日本兵の周りの壁には、新作シリーズの《梅干し》が展示されていた。
全部で何枚あったんだろう。
数を数えるのを忘れたけれど、こんなに「梅干し」を描き続けるのってすごいよね。
偏執狂的な凄まじさを感じてしまう。
どうして「梅干し」か、という疑問には、ギャラリーのサイトに答えがあったよ。

会田は高橋由一の《豆腐》(1877年)を「日本で最初にして最良の油絵」と公言しており、《梅干し》はそれを念頭に置いて制作された、油絵具による写生画です。
美術家としての会田個人は、今このタイミングで、日本の近代の始まりにもう一度真摯に遡行してみる必要性を感じました。
日本人にのみ偏愛され、外国人に最も理解されにくい日本食の代表でもある梅干しに、会田はアーティストとしての自分も含めた、諸々のものを託したのでしょう。(ミヅマアートギャラリーのサイトより)

高橋由一とは、日本で最初の「洋画家」と言われ、本格的な油絵を描いた最初の人とのこと。
そして文中に出てきた《豆腐》がこの作品なんだよね。
高橋由一は油絵を世に広めるために、身近な素材を描いたという。
美術の教科書で見たことがある「鮭」も、同じ理由で描かれた一枚なんだろうね。
この《豆腐》へのオマージュとして発表された《梅干し》、説明を知らないで鑑賞すると巫山戯ているように感じてしまう。
というよりむしろその「おふざけ」が目的なのかもしれないね?

漬物選手権を観ると、やっぱり「おふざけ」なのかな、と感じるよ。
1位が韓国のキムチ、2位が中国のザーサイ、3位が日本の糠漬けという順位になっている。
SNAKEPIPEだったら、糠漬けを2位にするなあ。(笑)
実家では江戸時代から続く糠床を使った、美味しい糠漬けを食べていたので、スーパーで売ってる物やお店で食べる糠漬けに感動したことはないんだよね。
居酒屋で注文するなら、最初から浅漬けにするし。(笑)
2015年に鑑賞した「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」 に展示されていた「檄」と似た雰囲気の「北東アジア漬物選手権の日本代表にして最下位となった糠漬けからの抗議文」がこれ。
糠漬けの素晴らしさを訴え、審査のやり直しを求める内容になっている。
他に韓国語、中国語、英語のバージョンも展示されていたよ。
思わず「プッ」と吹き出しそうになる作品展示は、いかにも会田誠らしいね。

調べて初めて知ったのは、会田誠がミヅマアートギャラリー所属のアーティストだということ。
アーティストがどこのギャラリーに所属してるかなんて、鑑賞する側には分からないもんね。
画像は2016年にミヅマアートギャラリーで展示された「ランチボックス・ペインティング」シリーズ。
こうした展覧会についても全く知らなかったので、これからミヅマアートギャラリーもチェックだね。
今後の「まこっちゃん」の動向にも注目だよ!
 

GENKYO 横尾忠則 鑑賞

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【毎度同じ構図で看板を撮影。マンダース展が続いている?】

SNAKEPIPE WROTE:

東京都現代美術館で横尾忠則展が予定されていることは、かなり前から知っていた。
先日出かけた「アナザーエナジー展」で「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」のフライヤーを手に取る。
改めて確認すると、開催が7月17日からじゃないのっ!
このブログで何度も書いているけれど、開催中止になった展覧会を経験して以来、これはと思った時には、なるべく早く出かけることにしているSNAKEPIPE。
早速「GENKYO展」のチケット予約をしたのである。

例年よりも早く梅雨が明け、ギラギラした太陽が顔を出した風の強い日、ROCKHURRAHと東京都現代美術館に向かう。
到着するまでの間で、もう汗だく。
これだから夏って嫌なんだよねえ。
開館と同時刻に予約していたため、少し早目に着いたのにもかかわらず、すでに開館待ちの行列ができていた。
人数制限はされているので、そこまでの混雑ではないはずだけど?

体温測定され、手指の消毒を終えたら、いよいよ入場。
同じ時間帯に何人を上限としているのか不明だけど、会場入口付近は混雑していたよ。
密が避けられているとは言えない状態だったかな。
「GENKYO展」はいくつかのチャプターに分けて構成されていた。
それぞれについて感想をまとめていこう!
非常に残念なことに、一部を除いて撮影が禁止されていたんだよね。
画像は「GENKYO展」を紹介する他サイトから転用させて頂いたよ。

神話の森へ

横尾忠則が「画家宣言」をした1980年の夏からの作品がぎっしりと展示されていた。
ここだけで24点とは驚き!
最初の部屋に人が集まっていた、と先に書いたけれど、鑑賞するために時間がかかるのは当然かもしれない。
画像は1986年の「戦士の夢」。
この時期の作品には、スーツ姿の人物が登場することが多いんだよね。 
電飾をフレームにして「YOKOO」という文字が光る「赤い叫び」など、実験的な作品が面白かったよ。

多言宇宙論

カンヴァスの上にカンヴァスを貼り付けるという、コラージュによる作品が展示されていた。
刻まれた2枚の絵が複雑に絡み合って、想像力を掻き立てる。
画像は1988年の「薔薇の蕾と薔薇の関係」ね。
ダダイズムについて詳しくなった今は、これらの作品群がグッとくるよ! 
恐らく以前も鑑賞していたはずだけどね?(笑)
展示作品数は36点だよ!

リメイク/リモデル

「リメイク/リモデルといえばロキシー・ミュージックの曲にあったような?」
ROCKHURRAHからの指摘を受け、調べてみるとあったんだよね。(笑)

さすがROCKHURRAH、よく知ってるよね!
展覧会に話を戻そう。
ピンク色の肌色をした女性たちを、何度も描き続けた作品群が並んでいる。 
「よだれ」や「花嫁」は、ミュージアム・ショップでよく見かけるモチーフとなってしまい、今では少し食傷気味かな。
最初に観た時にはインパクト強かったけどね!
画像はアンリ・ウッソー・ヨコオとしてアンリ・ルソーの作品のパロディ物。
名前からして、もうパロディだけどね!(笑)
「フットボールをする人々」ではボールの代わりに首が、「森の中の散歩」には首をくくった女性の姿が描かれている。
これらは1967年制作というから、「状況劇場」のポスター制作と同時期ということだね。
横尾忠則のこうしたブラック・ユーモア、大好きだよ!(笑)

越境するグラフィック

「状況劇場」や「天井桟敷」といった演劇のポスターが、壁一面にぎっしり並んでいる。
こちらも「よだれ」と同じように、ミュージアム・ショップではお馴染みのモチーフになってしまったけれど、やっぱり好きな作品群なんだよね。
ほとんどの作品が1960年代に制作されているので、当時の日本人が、いかにアートに関して意識が高かったのか分かる。
SNAKEPIPEが憧れる時代の2番目が1960年代後半の新宿だから。(笑)
画像は1966年の「切断された小指に捧げるバラード」ね。 
横尾忠則が憧れた高倉健のポスターなんだけど、「死んでもらいましょー」と刀を振っているポーズとバックの波など、構図のバランスが秀逸! 
上部に書かれている文章も、ふざけてて面白いよ。(笑)

滝のインスタレーション

これは体験型のインスタレーションだったんだよね。
あえて画像を載せなかったのは、ネタバレになっちゃうから。(笑)
方向音痴で車酔いしやすい、三半規管が弱いSNAKEPIPEのような人は要注意かも。
実際SNAKEPIPEは、ちょっと怖い思いをしたからね。
もしかしたらそんな恐怖を味わえる人のほうが、インスタレーションの効果があるのかもしれないけど?

地球の中心への旅

横尾忠則は子供時代に読んだ小説や憧れていたキャラクターを、ずっと愛し続けているアーティストなんだよね。
画像は1996年の「実験報告」という作品で、左隅にいる少年2人が知らない世界を覗き見ている構図になっている。 
その少年こそが横尾忠則なんじゃないかと想像する。
幼児性を大事にすることを公言しているという横尾の、「少年シリーズ」とでもいうべき作品群は、ノスタルジーを感じさせるよね。
ROCKHURRAHも好きなシリーズと言っていたよ!
さすがは元少年、同調できるんだろうね。(笑)

死者の書

バックが赤い作品群が続く。 
まるで写真現像の暗室の中にいるような気分になる赤色の世界。
あの赤い光、SNAKEPIPEは好きだったな。
横尾忠則にとっての赤色は、どうやら空襲により赤く染まった空を表していると説明に書いてあったよ。
画像は1997年の「運命」という作品で、少年と少女が吊橋を渡っているところだね。
腰から上が見えないので、もしかしたら死者を表現しているのかもしれない。
吊橋を渡った先には、何が待っているんだろう?

Y字路にて

過去に何度も横尾忠則の展覧会で鑑賞しているY字路シリーズだけれど、なんとも言えない魅力があって大好きなんだよね。
このシリーズを知ってから、たまたま歩いた道沿いにY字路を見つけると嬉しくなってしまうSNAKEPIPE。
絵になるY字路って難しいけどね。(笑)
画像は2001年の「暗夜光路 赤い闇から」という作品。 
赤く染まった墓場が見える左の道が、とても怪しげなY字路だよね。
右の道も、暗闇に消えていて不安になりそう。
さあ、どっちの道を進もうか?(笑)

タマへのレクイエム

15年の時を共に過ごした愛猫であるタマ。
2014年に亡くなってしまったという。
そのタマを描いた作品群が並んでいた。
かつてSNAKEPIPEの実家にも猫がいて、14年間アイドルとして君臨していたことを思い出す。
あの時の喪失感が蘇り、泣きそうになってしまった。
ペットではなくて家族なんだよね。
かわいいタマの様子が生き生きと描かれていて、いかに大事にされていたかがよく分かる。
このブースを観るのはちょっと辛かったよ。

横尾によって裸にされたデュシャン、さえも

タイトルは、マルセル・デュシャンの作品である「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」をモジり、作品は「(1)落下する水、(2)照明用ガス、が与えられたとせよ」というデュシャンの遺作のパロディなんだよね。
木製のドアの隙間から覗く、という行為により見てはいけない物を盗み見るといういかがわしさ。
そしてデュシャンの場合には、両足を広げた女性が見える仕掛けになっているという。
横尾忠則バージョンでは、そこまでの猥褻さがなかったのが残念。(笑)

終わりなき冒険

横尾忠則の作品に温泉シリーズや銭湯シリーズがあることを知らなかったSNAKEPIPE。
芸者が銭湯で湯浴みしている様子を描いた、2004年の「湯の町睡蓮(芸者鏡)」は遊び心いっぱいなんだよね。 
画面中に「LOTUS(蓮)」の文字が書かれ、芸者の顔はピカソ風!
右の芸者は顔が「LOTUS」というアルファベットで仕上げられている。
蓮といえば、有名なのはモネの「睡蓮」だよね。
バックがモネ調になっているのもパロディなんだろうな。
横尾忠則のこういうセンス、良いよね!(笑)

西脇再訪

横尾忠則の故郷である兵庫県西脇市。
西脇で過ごした少年時代の思い出が描かれた、2018年の「回転する家」。
Y字路の奥に広がる空は空襲で赤く染まっている。
手前には横尾忠則の記事が載った新聞を握った手が描かれている。
因果関係は不明だけど、横尾忠則に刻まれた記憶なんだろうね。
西脇を題材にした作品は、物悲しい気分になるよ。

原郷の森

横尾忠則の最新作が鑑賞できるブース。
画像は2020年の「高い買い物」。
もしかしたら横尾忠則が購入したアート作品を描いているのかもしれない。
タッチが具象っぽいので、よく分からないけど。(笑)
他に「寒山拾得」というシリーズが展示されていたよ。
ここで思い出すのが、我らが鳥飼否宇先生の小説「逆説的」に登場するホームレスで通称「じっとく」。
この時「寒山拾得」の画像を載せていたっけ。
横尾忠則の最新作と鳥飼先生の小説がリンクしたようで、楽しくなってしまった。(笑)

WITH CORONA(WITHOUT CORONA) 

コロナウイルスの感染拡大により、かつて発表した作品や写真に、マスクをコラージュした作品群が展示されていた。
敬愛する映画監督デヴィッド・リンチの肖像画や、岡本太郎とのツーショット写真にもマスクがされている。
2021年7月の時点で、マスク付きの作品は700点ほどになるという。
このブースのみ撮影が許可されているので、何枚も撮ってみたよ。
本当はマスクの作品が増えるのは喜ばしいことではないので、早く日常に戻れると良いね!

東京都現代美術館で2002年に鑑賞した「森羅万象」も、かなりボリュームがある展覧会だったことを調べて思い出したよ。
「GENKYO展」は、約20年前を上回る規模の大展覧会で、横尾忠則回顧展といった雰囲気だった。
ここまでまとまった数の作品を観るのが初めてのROCKHURRAHも大満足だったという。
現在85歳の横尾忠則、これからの作品も期待して待っていよう!

アナザーエナジー展:挑戦しつづける力 鑑賞

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【会場入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

森美術館で開催されている「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」を観に行こう、と長年来の友人Mから誘いを受ける。 
展覧会は9月26日までの日程だけど、いつ開催中止になるか分からないからね。
鑑賞したい企画は早目に行くことにしたのである。

梅雨がまだ明けていない7月、当日はくもり空。
天気は不安定なので、ゲリラ豪雨が発生してもおかしくない状況の中、六本木に出かける。
実際その前日にはゲリラ豪雨により道路が冠水した、なんてニュースが流れていたんだよね。
雨でも大丈夫な防水タイプのブーツを履いて出発!
この日はほとんど雨は降らなかったけど、備えあれば憂いなしだからね。(笑)

チケット予約制になった森美術館に来るのは初めてかも。
以前は行列していた場所はガランとして、係員との接触なく、予約したQRコードを読み取らせるだけで入場可能になる。
SNAKEPIPEは友人Mとの2枚分を予約していたので、機械で紙チケットに交換してからの入場だった。
非接触が徹底されているし、係の方が、とても丁寧でわかりやすい説明をしてくれたことに好感を持った。
最近では、接客業に就いている人に腹が立つことが多いので、森美術館のスタッフは素晴らしいと感じたよ!
さすが森ビルだよね。(笑)

入場者数を制限しているため、展覧会も全く混雑なく鑑賞することができる。
これから先は、ずっとこうなっていくんだろうね。
観客が多過ぎて、人の頭の隙間からやっと作品の一部を観ることができた「没後150年 歌川国芳展」 のような混雑ぶりは辟易だったから。
コロナの影響で、良いこともあるんだね。

いよいよ会場へ。
森美術館は、一部を除いて撮影オッケーなんだよね!
バシバシ撮りましょう。(笑)
「アナザーエナジー展」は、世界の女性アーティスト16人の作品が展示されている。
SNAKEPIPEが感銘を受けたアーティストについてまとめていこうかな!
鑑賞した順番に紹介していこう。

アンナ・ベラ・ガイゲルは1933年、リオ・デ・ジャネイロ生まれ。
今年88歳になるんだね。
今回の「アナザーエナジー展」は、ベテランの、つまりは高齢の女性アーティストを特集しているので、80代は当たり前。(笑)
驚くのは、皆様活動を続けているアーティスト、ということ!
ガイゲルの2021年の作品も展示されていたしね。
載せた画像は、1969年制作のコンピューターで作成した自画像。
小さくて分かりづらいと思うけど、アスキー・アート、つまりアルファベットや記号で顔が出来上がっているんだよね。
当時は斬新な手法だったんじゃないかな?
ガイゲルはシルクスクリーンやコラージュなど、様々な手法で作品を制作している。
映像も手がけていて、会場で流されていたよ。
右の画像は1978年制作の「ローカライゼーション」という作品。
タイトル画面で目を引いたのが「musica Kraftwerk」の文字。
音楽がクラフトワーク! (笑)
残念ながら会場では音が出ていなかったので、どんなBGMだったのか不明だけど。
ガイゲルの作品のタイトルが「幾何学的なブラジルの在り方」や「方程式」など、女性のまろやかさというよりは、理知的で強くカッコいいところが特徴なんだよね。
そうしたところも含めて、好きなタイプのアーティストに出会えて嬉しいよ!

エテル・アドナンは1925年ベイルート生まれ、現在96歳!
詩人で小説家、哲学者でありアーティストだなんて、どれほど才能に溢れた女性なんだろうね? 
フランス語、トルコ語、ギリシャ語と英語も話せるという才女は、現在も創作を続けているという。
美しい色彩の作品群に目を奪われる。
並べて飾りたくなるよ。
これらの作品は2017年から2018年に制作されたものだというので、アドナン93歳というから驚いちゃうよ!
1929年生まれの「水玉女王」草間彌生も負けていられないよね。 (笑)

アンナ・ボギギアンは1946年カイロ生まれの75歳。
その年令を若い、と感じてしまうのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
大きなインスタレーションのタイトルは「シルクロード」なんだよね。
鏡を床にして、ロープで吊り下げられているのは、「絹織物」に携わる人達みたい。
ボギギアンは、世界各地の文化や歴史を題材に作品制作を行っているという。
絵画作品では富岡製糸場を題材にした作品があったよ。
他の国をテーマにした作品も観てみたいね。

続いては1942年東京生まれの宮本和子。
日本人アーティストなのに、SNAKEPIPEは初耳だよ。
どうやら1964年以降、ニューヨークを活動拠点にしているという。
画像は1979年の「黒い芥子」。
壁や床に刺した釘に糸を張った作品なんだけど、これが素晴らしいのよっ!
見つめ続けていると、意識がどこか遠くに飛んでいきそうなくらい。
だから「芥子」なのか?(笑)
右の作品も糸と釘の作品で、使用された釘は300本以上とのこと。
「黒い芥子」には1900本以上の釘が使われているそうなので、再現するのが大変だろうね。
シンプルなのに、インパクトがある作品に目が釘付け。
釘だけに?(笑)
糸を使った作品で思い出すのは、2019年9月に鑑賞した「塩田千春展:魂がふるえる」 だよ。
塩田千春の糸は混沌だけど、宮本和子は整然とした構築とでもいうのか。
同じ素材でも印象は正反対だね。

続いてはミリアム・カーン。
「アナザーエナジー展」のフライヤーに使用されているのはカーンの作品なんだよね。
1949年スイス生まれ、現在72歳。
カーンのブースで作品を目にすると、グッと引き込まれる。
実はフライヤーの絵を観た時には、なんとも思わなかったんだけどね。(笑)
画像は2018年の作品「描かれた」。
どういった状況なのか不明だけど、黒い空に赤い線が不気味に見える。
女性2人は、裸体で逃げている途中なのかもしれない。
なんとも不穏な空気に包まれた不思議な印象の作品だよね。
カーンの作品を観ている時に感じたのは「リンチの作品に似ている」ということ。
次の作品、2004年の「夢で見た図書館」は、夢というフレーズと、赤い建物がいかにもリンチっぽいんだよね。(笑)
友人Mに話しかけると、同じことを思っていたそうだ。
カーンの意図を知らなくても、魅力的な作品だと感じたよ。
カーンの作品を多く所蔵しているのが六本木にあるWAKO WORKS OF ARTのようで、常設展を開催するお知らせが出ている。
これも是非行ってみたいね!

ベアトリス・ゴンザレスは、1932年コロンビア生まれの89歳。 
画像上は「縁の下の嘆き」で2019年の作品。
首都ボゴダの街中にポスターを装って貼られたという。
かわいい作品かと思いきや、内戦の犠牲者を悼む市民の姿とのこと。
この作品がプリントされたマグカップを購入しなかったことを悔やみ、帰宅後通販で注文したSNAKEPIPE。
いいな、と思った時に買わないと駄目だね。(笑)
下は「悲嘆に直面して」という2019年の作品。
どちらも2年前の制作だって。
80代になっても、政治的な主題を通してメッセージを発信し続けている姿に感服するよ!

アルピタ・シンは1937年インド生まれの84歳。
とてもカラフルで、画像下の作品は、まるでメキシコのフリーダ・カーロを思わせるタッチじゃない?
絵の中に文字や地図が描かれていて、物語になっているみたい。
タイトルは「私のロリポップ・シティ:双子の出現」で、2005年の作品なんだよね。
画像上は、2015年の「破れた紙、紙片、ラベルの中でシーターを探す」。
横幅が約3m程の大きな作品なんだよね。
作品の右側に、まるで餓鬼のような邪悪な存在が人を襲っている場面が描かれている。
これらは若い女性が襲われるインドの現状を表現しているそうで、とても怖い作品だったよ。

最後も日本人アーティストね。
三島喜美代は1932年大阪生まれの89歳。
先に書いた宮本和子同様、初耳のSNAKEPIPEはモグリなのかも。
長く創作を続けている日本女性アーティストを知っただけでも、来て良かった展覧会だよ。
そして2人とも好みのアーティストなんだよね。(笑)
三島喜美代の作品は、観ただけでは意味が分からないかもしれない。
実は陶やセラミックで制作された「ゴミ」なんだよね。(笑)
流れていく情報や消費社会へのアイロニー、などと意味を解釈しなくても、観ただけですごいと思う作品だよ!
画像下は1965年制作の「夜の詩 Ⅰ」で、新聞や雑誌をコラージュした作品ね。
1950年代にフォト・コラージュの作品を制作していた岡上淑子の「沈黙の奇蹟」でも、外国の雑誌を使用していたことを思い出すよ。

世界のベテラン女性アーティスト16人が一同に会した「アナザーエナジー展」、見応え充分だった。
年齢を言い訳にせず、創作を続ける意志の強さ、枯れることのない創造意欲に感銘を受けたSNAKEPIPE。
全く知らなかったアーティストの作品を鑑賞することができて良かった。
やっぱり森美術館の展覧会は行かないとね、と友人Mと語り合ったよ。(笑)
次はどんな企画なんだろう?
サービスも展覧会の質も高い、森美術館に期待だね!