写真とファッション&ヒストポリス 絶滅と再生 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
プレゼントを渡し、とても気に入ってもらったよ。
毎年お互いの誕生日にお祝いをしているROCKHURRAH RECORDS。
これからも続けていこうね!

さて、先週のブログ、森山大道の個展鑑賞の続きを書いていこう。
東京都写真美術館で開催されている「写真とファッション展」にも足を運ぶ。
この展覧会については、全く何の予備知識もなく、たまたま同時開催されていたから行ってみたのである。
こちらの会場も、大道展と変わらず、ほぼ貸し切り状態での鑑賞。
途中で女性が1名入場してきたけれど、その後はいなかったね。
森山大道展に引き続き、監視員などの美術館関係者のほうが客数を上回る結果になっていたよ。

展覧会についての説明を一部転用させてもらおう。

本展覧会では、「写真とファッション」をテーマに、1990年代以降の写真とファッションの関係性を探ります。
これまでのファッションが発展する過程において、写真は衣服が持つ魅力を伝えるという重要な役割を担ってきました。
写真によって作り出されるイメージは、ときには衣服そのものよりも人々を惹きつけ、時代を象徴するイメージとなっています。

今から30年前の90年代以降のファッションって、どんなだっただろう。
80年代と言われれば分かるんだけどね。(笑)
「流行り物」や「マストアイテム」などを取り入れたいと思わなくなったのが、90年代以降かも。
30年前のSNAKEPIPEといえば、サーファーと間違えられるほど日焼けして、写真撮影に情熱を持っていた頃だな。
サーファー・ギャル(死語?)御用達のブランドで服を購入することが多かったことを思い出した。
今とは別人ね。(笑)

最初に展示されていたのは、マルタン・マルジェラのファッション・フォトを撮影していた写真家アンダース・エドストロームの作品。
1966年、スウェーデン生まれだという。
ちょっとカッコ良いと思ったのは、この画像だけ。
他は、なんとなく淡い雰囲気を感じるような写真だったかな。
もしかしたらそれが90年代なのかもしれない。

続いて高橋恭司が撮影した、昔懐かしい雑誌CUTiEで使用されたらしい作品。
ちょっととんがった雰囲気の女の子向けの雑誌だったためか、モデルの女性がリーゼントだよね。(笑)
それにしてもモデルさんの腕、傷だらけで気になるよ。
何があったんだろうか?
SNAKEPIPEはほとんど雑誌に縁がないけれど、なんとROCKHURRAHがCUTiE読んでたと聞いて驚いた。
お店の情報を仕入れていたらしいよ。
ストリート・ファッションを紹介する雑誌だったらしいからね。

写真家ホンマタカシが、日本のブランドPUGMENTとコラボした作品群が並ぶ。
PUGMENTというブランドについて全く知識がないなあ。
迷彩服と撮影する場所に意味があるとかなんとかコンセプトが書いてあったけれど、意味不明。
洋服にも写真にも魅力を感じることができず、ほぼ素通り状態。
2001年にダフト・パンクの「ワン・モア・タイム」が大ヒットした時、「ダサカッコ良い」という言葉が流行った。
もしかしたらそんな流れをファッションに組み込んでいるのかもしれない、と考察してみる。
ダフト・パンクも迷彩も大好きだけど、このファッションは遠慮したいね。(笑)

少し大きな空間に展示されていたのは、そのブランドの服を着たマネキンが並んでいる。
ブランドのコンセプトを聞いたとしても、恐らくその時持った印象は変わらないだろうな。
それらのブランドが中心となって刊行されていたらしい雑誌が並んでいた。
これらの展示にも、全く心を動かされることはなかったSNAKEPIPE。
友人Mも同様だったようで、とても残念な鑑賞会になってしまった。
そこまでモードを感じることもなく、SNAKEPIPEが思うところのファッションフォトとは違う内容だった。
鑑賞したからこそ感想を持つことができるので、これで良いのだ!(笑)

恵比寿でランチを取ってから、原宿に向かう。
そういえば原宿駅が新しくなったニュースを聞いたっけ。
新原宿駅を初体験して、表参道に向かうことにする。
ところが!
久しぶりの外出だったため、原宿駅から表参道までの道に点在するさまざな店舗を見て歩き、なかなか表参道方面にたどり着けない!
見えているのに行かれない、まるで「カフカの城」状態!(笑)
そこまで大袈裟ではないけれど、一体何店舗立ち寄ったか数えきれないほど、見て回ったことは間違いないね。
かつては友人Mと原宿~渋谷の道のりを毎週のように歩いていたことを思い出す。
週に一度の日課みたいなものだったからね。
チープシック、という言葉かあるけれど、まさにその言葉通り、お手頃価格でキッチュなかわいい商品を探して歩いていたんだよね。
懐かしいあの頃。(遠い目)

ようやくたどり着いた場所は、ジャイルギャラリー
ここで開催されているのは「ヒストポリス 絶滅と再生」。
今回の展示は、デヴィッド・リンチ大好きな飯田さんが監修しているので期待してたんだよね!
テーマについてギャラリーのサイトから一部転用させて頂こう。

工学的にデザインされた、これまでとは別の次元の自然が立ち現れつつある。
それは同時に、技術が生命や生態系に溶け込み、あらゆるものを侵食していく現代において、人間が「絶滅」の危機といかに向き合うかを問いかけることとなる。
さらに、カオスの中で変態する時代状況の一端を映し出し、地球史における人類の存在理由を参加アーティストの作品を通して未来的展望にいかに結びつけていけるかを展覧会の主旨としている。

世界中に猛威をふるい、連日死者数が増えている新型コロナウイルス。
このような状況下だからこその展覧会開催だ、という説明がされている。
「人類の存在理由」というコンセプトを視覚化した作品ってどんなだろうね?
ここで「ヒストポリス 絶滅と再生展」の動画を載せてみよう。

ジャイルギャラリーは撮影オッケーなので、たくさん撮らせてもらったよ!
画像と共に感想を書いていこうかな。

最初に展示されていたのは、須賀悠介のLEDを使用した作品。
須賀悠介は1984年東京都生まれ、今年で36歳。
2010年、東京芸術大学美術研究科彫刻専攻修了後、作品を発表しているらしい。
塩基や核酸などを表現しているのかな、くらいしか分からなかったよ。
タイトルしかなかったので、詳細は不明。

続いては広い空間にテキスタイルと動画が展示されていた。
この展示は「AIやゲノム編集が生み出す新たなキメラの美学」についての考察とのこと。
キメラ!
2020年5月の「好き好きアーツ!#56 鳥飼否宇 part23−パンダ探偵-」で「キマイラ」について書いたSNAKEPIPE。
「キマイラ」は「キメラ」とも表記されるので、同じ意味なんだよね。
日常生活で見聞きすることは少ない単語のはずなのに、不思議だなあ。
確かユングのシンクロニシティにもそんな話が出ていたような記憶があるよ。
きっとSNAKEPIPEにとって意味があるんだろうね。

これらの展示は、ファッション・デザイナー3人による機械学習とファッションを融合するチーム「Synflux(シンフラックス)」の作品なんだよね。
「キメラ」を製造して、テキスタイルにした作品の部分を画像にしてみたよ。
ちょっと不気味に見える動物が分かるかな?
その素材を使ってスーツにした作品が天井から吊るされている。
どうしてもスーツになるとヨーゼフ・ボイスのフエルト・スーツを思い出してしまうよ。(笑)

流れていた動画を撮影してみた。
2種類以上の動物を混ぜてモーフィングのように変形させていく。
縮尺が違う、目の大きさがズレたイメージが連続している。
最初はギョッとするけれど、観続けているうちに「何と何の動物の合成だろう」と「キメラ製造」の元ネタを探してしまった。(笑)
「キメラの美学」までは感じられなかったけどね!

やくしまるえつこの「わたしは人類」が展示されていた。
この作品は2019年12月に鑑賞した「未来と芸術展」 でも鑑賞済だったね。
森美術館では、暗い展示室の更にビニールカーテンの奥まった場所に展示されていたので、あまりじっくり観られなかったっけ。
「わたしは人類」というのは「人類史上初めて音源と遺伝子組換え微生物で発表された、DNAを記録媒体として扱い楽曲データを微生物に組み込んでいる」作品だという。
バイオテクノロジーとアートを融合させた作品で、金沢21世紀美術館に収蔵されているとのこと。
調べてみて初めて知った作品の意味だよ。
観ただけでは意味が分からなかったね。 

コンセプトが重厚なので、理念を形として表現するのは難しいよね。
以前からSNAKEPIPEの鑑賞法は変わらず、直感で好き嫌いを感じている。
今回の飯田さん監修の展覧会は、やや観念的だったかな。
次回も期待して待っていよう!(笑) 

森山大道の東京 ongoing 鑑賞

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【会場入り口付近の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログでは、展覧会や映画を鑑賞した時に「行ぐぜ!exhibition」というカテゴリーを使用して記事を書いている。
前回展覧会について書いたのは3月22日の「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」なので、およそ3ヶ月も前のことになるんだね。
SNAKEPIPEも皆様同様、コロナの影響により外出自粛していたし、当然のように展覧会自体も開催されていなかった。
第二波に怯えながらも、少しずつコロナ前の日常に戻りつつあることは喜ばしいね。

昨年の年末に会ってから半年の間、全く面会していなかった長年来の友人Mと約束する。
友人Mからの提案により、いくつかの展覧会を鑑賞することに決定!
今回は恵比寿〜表参道を巡ることにした。

最初に訪れたのは、東京都写真美術館で開催されている森山大道の写真展「森山大道の東京 ongoing」である。
森山大道といえば、写真界で大御所中の大御所!
2008年、レジオンドヌール勲章シュバリエを受勲、2019年にはハッセルブラッド国際写真賞を受賞し、世界的にも有名な写真家なんだよね。
写真についてそんなに詳しくないROCKHURRAHも、森山大道のエッセイである「犬の記憶」を所持していたもんね。

かつて写真を趣味としていたSNAKEPIPEにとって、森山大道は当たり前のように知っている存在だった。ROCKHURRAHと一緒に観た2008年11月の「大道・ブランコ・コーヒー」が、森山大道の写真展を観た唯一の機会だったのかもしれない。
あの写真展では森山大道がブラジルを撮影、ミゲル・リオ=ブランコが日本を撮る、という企画だったね。
森山大道の写真に迫力を感じたことを書いているよ。

先日NHKのBSで「その路地を右へ~森山大道・東京を撮る~」を観た。
これはNHK ハイビジョン特集として2009年に放映されたもので、リクエストにより再放送された番組だという。
コンパクトカメラをポケットに入れて、東京を歩く森山大道を密着取材した、とても興味深い内容だった。
片手でカメラを構えてシャッターを押すまで、1秒かかってないんじゃないか、というくらいの素早さに舌を巻く。
スナップ撮る人は、あのくらいのスピードじゃないとダメなんだね。(笑)
森山大道の気取りのない素顔に触れた気がして、好感を持ったSNAKEPIPE。
そんな矢先、友人Mからの個展のお誘い、もちろん行きますとも!(笑)

約束した日は、どんよりした雲が空を覆っていたけれど、予報とは違って雨がパラつくことはなかった。
写真美術館のオープンである10時前に美術館前で待ち合わせる。
恵比寿駅近辺の人出は多かったけれど、恵比寿ガーデンプレイスにまで来ると、閑散としてきた。
半年ぶりの友人Mとは「やあ!」「おう!」というような、簡単な挨拶で終わり。
付き合い長いから、一言で伝わるんだよね。(笑)
チケットを買おうと入館すると、入り口には美術館関係者3名が待ち受けている。 
手の消毒、額の検温を済ませ、チケット売り場へ。
売り場には更に6名ほどの関係者が待っている。
階段でもすれ違ったので、恐らく10名以上の関係者が入り口付近にいたんだろうね。
入場者数を上回る関係者の数、本当に必要なんだろうか?
コロナ対策として消毒等は行っていたけれど、「三密を避ける」の部分に関しては疑問が残るよ。

オープンしたばかりだったせいか、森山大道の個展会場に足を踏み入れたのは友人MとSNAKEPIPEのみ!
貸し切り状態は嬉しいけれど、友人Mとの会話は監視員に筒抜けになってしまうところが難点。
この監視員も数名配置されていたので、客より多い計算だよ。(笑)
写真展での撮影は禁止されていたので、写真美術館のHPや写真展のレポートをしている記事などから画像を転用させて頂いたことをお断りしておこう。

最初にお出迎えしてくれたのは、「三沢の犬」である。
前述したNHKの番組「その路地を右へ」でも、この犬について言及し、撮影した現場に向かう様子も紹介されていたよ。
三沢基地にいた米軍関係者が、アメリカに戻る際に飼っていた犬を置き去りにしたようで、これは見捨てられてしまった犬のポートレートなんだよね。
犬の恨みがましい視線に、強い憤りや哀愁が見て取れる。
この写真を観る時には何故か犬の気持ちになってしまい、人間の身勝手さを感じる一枚だよね。

まるでアンディ・ウォーホールか、という展示の仕方をしている唇の写真群。
向かって右側には、1968年に発表された「にっぽん劇場写真帖」などの写真が展示されている。
あの時代の空気感というのは独特で、大きく伸ばされているために余計に迫力があったね。
研ナオコが写っている写真は、なんだったのかな。

次の会場は、仕切りもなくガランとした広い空間だった。
ここでは、モノクロ写真とカラー写真が真っ二つに分けて展示されていたよ。
友人MとSNAKEPIPEしかいないので、どこから観たら良いのか迷うほど。
所狭しとみっちり写真が並んでいる。
まずはモノクロ写真から観ることにしよう。

展示されていた写真群の一部。
森山大道の写真は、圧倒的に人間を被写体にしていることが多いんだよね。
その中に「物(ブツ)」が入ったり、風景写真が混ざり合って全体を構成している。
例えばこの画像の真ん中にあるバナナの写真や2つ右隣のマネキンだけを観ても、意味不明なはず。

かつて写真を撮影することに命に捧げていたSNAKEPIPE。(大げさ)
どうしても森山大道の写真が許せなくて「こんなのは写真じゃない!」と怒ったことを思い出す。
「これが写真なんだよ」
と写真家である父親から言われても納得できなかった、あの頃。
SNAKEPIPEが怒ったのは、例えばこの画像でいうなら「入れ歯」の写真。
この一枚だけ観たら「なんだこの写真は?」と思うよね。
くたくたになるまで歩き回って、やっと1枚手応えのある写真を撮るような苦労をしていたSNAKEPIPEにとって、森山大道の写真は安直な気がしたからね。
今観ても、この「入れ歯」の意味は不明だけど、全体の中の一部だから良いんだろうね。 (笑)
写真から離れ、以前のような殺気立った執念(?)がなくなったSNAKEPIPEは、ようやく森山大道の写真が解ってきたみたいだよ。

プリントされて、雑多に机に置かれた写真。
この状態が「これぞ大道!」なんだろうね。
会期中にも増える予定になっているという記事を読んだよ。
もし次に来館することがあったら、違いに気付くことができるのかな?(笑)
毎日写真を撮り続けているからこそ、できる展示方法だね。

前述したブログ記事「大道・ブランコ・コーヒー」の中で、「大道氏は写真界のパンク」と書いているSNAKEPIPE。
一目観て、作者が分かる写真を撮る人は多くないよね。
森山大道はその数少ない写真家の一人だろうな。
そして昨今取り沙汰されている肖像権問題にも、果敢にアプローチしているようだよ。
森山大道の、あの撮影方法では「撮って良いですか?」なんて許可を得ることは難しいはず。
そんな部分も含めてパンクだなあ、と改めて書いておこうかな。(笑)

1960年代から一貫してスタイルを変えず、現在も活動中だもんね。 
カラー写真になっても、大道節は健在!(笑)
1938年生まれなので、現在81歳。
NHKの番組の時でも、70歳を超えていたとは驚きだよ。 
毎日歩いて撮影し、タバコも吸えば酒も飲む。
10年経った今でも、同じような風貌で東京を歩き回っているんだろうな。
今回の展覧会では撮影している自分自身を写し込んだ作品が数枚あったね。
森山大道が「いた」記録とでもいうのか、存在証明という気がするよ。
これからも自分が視た景色や人を写真という媒体を通して、共有してくれるんだろうね。

まさに今、を撮影していた「森山大道の東京」、とても良かったよ!
森山大道を体感した、という気分だね。
久しぶりの展覧会鑑賞に少し興奮気味の友人MとSNAKEPIPE。
他の展覧会鑑賞は続くけれど、来週に乞うご期待!(笑) 

河口洋一郎 生命のインテリジェンス 鑑賞

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【いつも通りgggの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称:ggg)で3月19日まで開催されていた「河口洋一郎 生命のインテリジェンス THE INTELLIGENCE OF LIFE」を鑑賞した。 
gggでの企画展は興味深いものが多いので、なるべく出かけることにしているROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
今回は会期終了間際に出かけることになってしまった。

実をいうと、河口洋一郎というアーティストの名前を聞いたのは今回が初めてなんだよね。
近くまで行くから、ちょっと寄ってみようかという軽い気持ちで出かけた展覧会。
およそ3ヶ月おきに足を運んでいる会場なので、撮影可能なことは知っていたけれど、念の為受付にいた女性に声をかける。
「あのー、撮影しても大丈夫ですか?」
「あー、写真大丈夫ですよ、どうぞ撮ってくださいっ!」
質問をしたSNAKEPIPEの後方から、男性が答えるじゃないの!
とっさに振り返り、お礼を言ったSNAKEPIPEの目に飛び込んできたのは、画像の男性。
えっ、まさか河口洋一郎氏ご本人?(笑)

鑑賞しているフリをしながら、その男性に注目するSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
どうやら知人(?)と思われる女性と記念撮影をしたり、作品の説明をしているんだよね。
ついそちらに目がいってしまう。
「ゆっくり観ていってくださいね!近くの店でウチワもらえるから、それももらっていってね」
とわざわざSNAKEPIPEに話しかけてくれるじゃないの。
しかも女性との記念撮影はすべてピースサインを出し、ここは照明が暗いからこっちにしよう、などと撮影に指示を出すなどサービス精神旺盛!(笑) 

軽い気持ちで寄っただけだったのに、アーティスト本人に遭遇するなんてラッキーだよね!
本当は一緒に写真をお願いしたい気持ちはあったけれど、最初に書いたように初めて聞いたアーティストだからね。
前から作品知ってて、大ファンなんです!だったら良かったんだけど。
では河口洋一郎氏について、今から調べてみようか。 

1952年 鹿児島県種子島に生まれ
1976年 九州芸術工科大学画像設計学科を卒業
1978年 東京教育大学大学院を修了
1979年〜 SIGGRAPHに参加
1982年  「グロースモデル(The GROWTH Model)」を発表しCG関係者から絶賛される
1992年〜 筑波大学芸術学系の助教授を務める
1995年 ベネチアビエンナーレ日本館代表
1998年〜 東京大学大学院工学系研究科・工学部人工物工学センター教授を務める
2000年〜 東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授を務める
2010年 ACM Siggraph’10でディスティングイッシュト・アーティスト・アワード受賞
2013年 芸術選奨文部科学大臣賞、春の紫綬褒章を受章
2018年 フランスBNN Prix D’Honneur栄誉賞
Siggraph Academy殿堂入りを果たす

年表に書ききれないほどの国際的な賞を多数受賞されている、すごいお方だったんだよね!
この年表だけ見ていたら、眉間にシワを寄せた堅苦しい人物を想像してしまいそうだけど、ご本人はいたって気さくで親しみやすい雰囲気だったから驚いちゃうね。

コンピュータグラフィックによるアートの世界的先駆者、河口洋一郎。
生物の形の発生・成長・進化をプログラミングし、数理的シミュレートをすることで、5億年後のはるか未来を生きる芸術生命体を創り続けてきました。
半世紀にわたるこの取り組みは、永遠のように長い時間の中で、環境に適応し命を繋いできた生命へのリスペクトに溢れています。

gggのHPより展覧会概要を転記させてもらったよ。
プログラミングされた進化の過程をアートとして表現する、ってどういうことなんだろう?

作品を鑑賞することにしようか。
会場には、河口洋一郎氏ご本人とその知人女性、もう一人秘書(?)のような若い女性がいるだけだったので、ゆっくり鑑賞することができたよ。
壁には恐らく色鉛筆で描かれた絵画が展示され、前に鎮座ましますのは???
足部分はカニのようだけど、頭部はリボンみたいなんだよね。
不思議な生物だけど、5億年後にはいるんだろうね、こういうの。
現在のどんな生物がこの形に進化を遂げるのか、会場にいた河口洋一郎氏本人に質問すれば良かったか?

海の生物をモチーフにした未来の生命体と思われる作品群。
これはオウム貝かな?
他にも「宇宙蟹」や「宇宙魚」が色鮮やかに表現されていた。
ということは、これは「宇宙貝」だね。(笑)
会場の壁にも生命体が描かれていて、とても気に入ったよ!
あの壁紙売ってたら欲しいなあ。(笑) 

地下では主にCGの映像作品が展示されていた。 
恐らく最も初期の頃の作品がこれ。
1975年にコンピューターってあったの?
その時代は、河口洋一郎氏がまだ九州芸術工科大学に在学中のはず。
大学にコンピューターがあったのかもしれないね?
インベーダーゲームが1978年とのことなので、それよりも前ということになる。
一番最初の作品から7年後に、国際的に評価を受けることになる作品を創作できるってすごいよね。

評価を受けた作品である「Growth:Tendril 1981」。
5億年前の古代生物であるハルキゲニアが動き回っているような、流動的で想像力を掻き立てられる映像作品だった。
途方もない時間の流れだよね。
大胆な色使いに目を奪われる。
この作品を今から38年前の1982年に観たらびっくりするだろうね!

「Growth:Tendril」をバックに、立体作品を撮影してみたよ。
なめらかな曲線が非常に美しい作品は、他のカラフルな作品の中で特異に映り、SNAKEPIPEはとても気に入ってしまった。
タイトルを撮影したはずなのに、完全にピンぼけで読めず、、、。
残念ながら画像検索しても詳細不明だよ。
シンプルなのに躍動感があるんだよね。
これ、SNAKEPIPE MUSEUMのコレクションにしたいな。(笑)

「人工生命都市」と題された作品。
コンピュータによって生まれた人工生命が、自律的自己増殖を続けている様子だという。
深宇宙の重金属をイメージしているという色合いは、インダストリアル好きには垂涎物!
サイエンスとアートの融合というと、2019年12月に記事を書いた「未来と芸術展」が近いんだろうね。
展覧会の最後に展示されていた「データモノリス」について、「観るというより流れを体感するアート」と感想を書いたSNAKEPIPE。
河口洋一郎氏の映像作品にも同様の感想を言いたいね!(笑)

立体作品が展覧会入り口付近に展示されていた。
不気味でかわいい雰囲気の3体。
一番奥は、まるでウルトラシリーズに登場したカネゴン! 
真ん中はケロヨン?もしくはケロちゃんか?
一番手前はタコなのか?
河口洋一郎氏には、ポップなタイプの作品もあるんだね。

会場を出て、隣の建物に向かう。
gggには何度も足を運んでいるのに、この場所は初めて!
メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド、通称MMMというらしい。 
世界のミュージアム・グッズを扱っているショップなんだね。
ショップは3フロアあり、3階で河口洋一郎氏関連商品の展示がされていた。
レジの方に声をかけると、快くウチワを手渡してくれたよ!
今年の夏は、このウチワ使って涼むことにしよう。
河口洋一郎氏とのご対面や、作品を思い出しながらね!(笑)

白髪一雄 a retrospective展 鑑賞

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【白髪一雄展の看板を撮影】

SNAKEPIPE WTOTE: 

2019年5月に書いた「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして 鑑賞」 の中で、2020年1月に開催予定の白髪一雄について触れた文章がある。
ついにその時が来たのだ!
とても楽しみにしていた展覧会の鑑賞をする、その時が!(急に倒置法?)

会場になっているのは東京オペラシティアートギャラリー。 
このギャラリーは2019年6月に「トム・サックス ティーセレモニー」で訪れて以来になるのかな。
ROCKHURRAHは初めての訪問だね!
東京オペラシティアートギャラリーでは、1月11日より白髪一雄展を開催している。

白髪の没後10年以上を経て開催する本展は、東京で初の本格的な個展として、初期から晩年までの絵画約90点をはじめ、実験的な立体作品や伝説的パフォーマンスの映像、ドローイングや資料も加え、総数約130点で作家の活動の全容に迫ります。

展覧会HPから抜粋した文章を載せてみたよ。
それにしても一文が長いね。(笑)
没後10年以上って書いてあるけど、白髪一雄はいつ亡くなったのかな。
年表を調べてみようか。 

1924年 兵庫県尼崎市に生まれる
1942年 京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)日本画科に入学
1948年 京都市立美術専門学校(1945年4月改称)を卒業し洋画に転向
1954年 初めて足で描く
1955年 吉原治良率いる「具体美術協会」(具体)の会員となる
1958年 批評家で「アンフォルメル芸術」の提唱者ミシェル・タピエと、絵画を欧州に送る契約を結ぶ
1971年 比叡山延暦寺で得度、天台宗の僧侶となる
1999年 文部大臣から地域文化功労者を表彰
2008年 敗血症のため尼崎市にて死去

この年表の中で、一番驚いたのは1971年の僧侶になる、の部分かな。
荒々しい絵画を描く人が僧侶になるというのが、SNAKEPIPEにはイメージし辛いんだよね。
そして洋画に転向して10年で、批評家の目に留まっている点にも注目だよ。
50年代に、どれだけの日本人アーティストが海外で評価されていたのかは分からないけれど、決して多くはないだろうね。
生前は全く評価されず、亡くなってから評価されるアーティストの話はよく聞くけれど、バイタリティ溢れ脂が乗っている活きが良い時に、ドンピシャのタイミングで評価を受けるのは、素晴らしいことだと思うよ。
そんな白髪一雄の個展、非常に楽しみだよね!(笑)

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが会場に向かったのは、展覧会開催からおよそ3週間後のこと。
白髪一雄の展覧会が注目されている、という情報をROCKHURRAHが仕入れていたので、混雑を避けるために少し間を置いていたんだよね。
その甲斐あってか(?)選んだ日にちが良かったのか、会場は驚くほど空いていて、全くストレスなく作品を鑑賞することができた。
ストレスを感じたことは、撮影できる作品が制限されていたこと。
何を基準に許可がされたり、されなかったりするのか不明だけど、もう少し緩めてくれても良いのになあと思ってしまった。
今回は自分で撮影できた作品に加え、気になった作品についても画像と共に紹介していくよ!

展覧会は8つの章で構成されていたようだけど、章のキャプションや説明文が一切展示されていない。
HPに簡単な説明はあるけれど、こんなにあっさりした展覧会は観たことないかも。
SNAKEPIPEは不親切に感じたけれど、このギャラリーの方針なのかな?
最初の章は初期の作品が展示されていて、キュビズムの影響を受けたものや、モチーフを決めて描かれた油絵などを鑑賞することができる。
初期作品の中で気になったのは「文B」(1954年)かな。
まるでゲルハルト・リヒターの絵画を部分的に切り取ったように見えるんだよね。
夜の水辺を連想させる静謐さに加え、風や波のような動きも表現されているのかもしれない。

初期作品のエリアを抜けると、現れるのは「天異星赤髪鬼」(1959年)。
来た来た〜!(笑)
このどす黒い赤色が厚みを持って盛り上がったり、血飛沫のようにうねっている様は迫力満点!
日本人離れした大胆さが素晴らしいんだよね。
これは確かにフランス人批評家ミシェル・タピエが気に入るのも納得しちゃうよ。

「地暴星喪門神」(1961年)も上の作品同様、「水滸伝豪傑シリーズ」とされている。
どうやらタピエの依頼で制作されたらしいんだけど、108点の作品を区別するために「水滸伝」の登場人物の名前を作品名にしたという。
だから長い漢字が連なるタイトルになっているんだね。(笑)
「地暴星喪門神」は赤、黒、緑、紫という4色が使用されている。
間の取り方が日本画的だし、SNAKEPIPEには絵画というよりは書道的な構成美を感じるよ。
驚くほどの躍動感、観ていると心がウキウキしちゃうよね!

白髪一雄が足で描く「フット・ペインティング」という技法を編み出しているためか、床に直置きする展示方法も採られていた。
「貫流」(1973年)は、まるで大きな滝が流れ落ちているかのような動きを感じる作品。
白から黒へのグラデーションは、スキージという長いヘラを使って描いていたらしい。
アクション・ペインティングの様々な可能性を探っていたことが分かるね。
それにしても床置の展示方法については、意図は理解するけれど、鑑賞には不向きじゃないかな?

白髪一雄が密教に傾倒し、天台宗の僧侶になったのは1971年。
「密呪」はそれから4年後、1975年の作品である。
実は白髪一雄の経歴については何の知識も持たずに参上した展覧会だったけれど、この作品を観た時に「曼荼羅っぽいね」とROCKHURRAHと語り合っていたんだよね。
この作品を鑑賞したエリアでは、呼応する作品がシンメトリーになって展示されていた。
「密呪」と対になっていたのは「あびらうんけん」だったかな?
胎蔵界と金剛界という2つを表現した作品のようだったよ。
2枚は別の美術館に所蔵されているようなので、同時に鑑賞できたのはラッキーだったね!(笑)

2008年11月東京都現代美術館で鑑賞した、森山大道とミゲル・リオ=ブランコの写真展について「大道・ブランコ・コーヒー」というブログ記事を書いた。
「ダイドー・ブレンド・コーヒー」をもじった、失笑もののタイトルは良しとして。(笑)
そのブログの中に白髪一雄についての記述があるんだよね。 
常設展を観た後の感想を以下のように述べている。 

SNAKEPIPEが非常に気になったのは「白髪一雄」という画家。
前にも観ていたのかもしれないけれど、今回観た中では一番迫力を感じた好みの画家だ。
日本でのアクションペインティング創始者とは!
猪の毛皮の上に赤黒い絵の具を塗りたくった絵が素敵だった。
もっとたくさんの作品を観てみたいな!

昔から好みが変わっていないと自覚していたけれど、12年前に書いた記事に自分でびっくり!
はい、12年経ってその願いは叶ったよ。(笑)
そしてやっぱり今回の展覧会でも「ピカイチ!」と思ったのは、猪の毛皮の上に赤黒い絵の具を塗りたくった「猪狩壱」だった。
目にした瞬間に「うわっ!」と驚く作品だからね。
かなり猟奇的なので、好き嫌いが分かれるかもしれないけど。
この作品は東京都現代美術館に所蔵されているのを知って安心したよ。
海外に出ていたら、なかなかお目にかかれないもんね。
ありがとう!東京都現代美術館!(笑)

白髪一雄が実際、どのように作品を制作していたのかを紹介するビデオ上映もあったんだよね。
同じものではないけれど、似たタイプの動画がYouTubeにあったので載せておこうか。
これはフランスで制作された「具体美術協会」を紹介するビデオのようなので、白髪一雄以外のメンバーも映っているのかな?

まるで曲芸師のように、ロープにつかまり、キャンバス上をつるつる滑る白髪一雄!
会場でビデオを観ながら、思わず笑ってしまったSNAKEPIPE。(笑)
制作する時は、元画家だった白髪一雄の奥さんがサポートしていたというから驚いてしまう。
富士子夫人は着物姿だったり、白髪一雄と同じように黒い全身タイツのような姿で、絵の具を渡したりする。
作品は夫婦の共同作業によって生まれていたことを知り、50年代の日本も進んでいたなあと感心してしまったよ。

姓が白髪なので、SNAKEPIPEは勝手に「よかいち」の莫山先生みたいな風貌だと思っていたんだよね。(笑) 
わざわざ画像載せなくても良いんだけど。
他の連想としては、江戸川乱歩の「白髪鬼」 かな。
恐らく珍名さんになるんじゃないかと思ったけど、調べてみると岡山県や兵庫県など全国で約900人はいるらしいね。

白髪一雄ご本人は、まるで自衛官を演じた「野性の証明」の時の高倉健かといった雰囲気で、アーティストには見えないよ。
猟友会にも入っていたようで、銃の手入れをしている写真もあったし。
恐らく「猪狩壱」の猪も、ご本人が仕留めたんじゃないかと予想する。
調べてみると、どうやら猪を仕留めることができず、買ってきた皮を使用した作品だという。
猪の皮、買えたんだ?
真相が分かってスッキリ!(笑)

白髪一雄の作品は海外でも大人気のようで、2014年の記事によればサザビーズのオークションで5億4,590万円で落札されたという。
これが5億円超えの「激動する赤」(部分 1969年)。
赤、白、黒、黄色という4色を大胆に使用したインパクトのある作品だよね。
展示されたのは大阪万博のみだというので、ずっと大事に保存されていたのかな。
一体誰が購入したんだろう。
気になるところだよね。(笑)

今回の白髪一雄展はボリュームがあり、大満足の展覧会だった。
人が少なかったのも、ゆっくり鑑賞できて良かったよ。
残念だったのは、展覧会の図録が後日発送になってしまったこと。
3月初旬になるというので、予約してきたんだよね。
図録の到着を楽しみにしていよう。

いつか白髪一雄のオマージュ作品にチャレンジしたいと思ってしまうのは、SNAKEPIPEだけではないだろう。
足を絵の具まみれにして制作するのってどんなだろう?
ぎっくり腰に注意が必要だけどね!(笑)