「造形遺産054-067」,「HAZY HUE」未鑑賞

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【10月だというのに汗ばむほどの陽気だったよ】

SNAKEPIPE WROTE:

約2ヶ月ぶりに長年来の友人Mと待ち合わせした。
特にこれといった展覧会を思いつかなかったSNAKEPIPEは、ランチでも食べながら近況報告しようと考えていた。
ところが、友人Mからは「末広町に行かない?」という提案があった。
末広町って秋葉原と上野の中間辺りだよね?

どうやら末広町に「3331 Arts Chiyoda」というアートの複合施設があるとのこと。 
そしてこの施設、元は練成中学校という学校をリノベーションして造られているというから、興味深い!
さすがは情報収集能力に長けた友人Mだよね。
とは言っても、オープンは2010年とのことなので、SNAKEPIPEが疎いのかな。(笑)

末広町で降りて、ほんの数分で「3331Arts Chiyoda」に到着する。
まるで自分の足で歩いたように書いているけど、方向感覚に優れた友人Mのおかげで、すんなり着いたんだよね。(笑)
友人Mと一緒の時には、付いていくだけのSNAKEPIPE。
一度歩いた場所を記憶したり、地図が読める能力は、本当に羨ましい限りだよ。

元校舎に行くまでの敷地は、公園になっていて大きな木々が影を作っている。
そこまで大きな公園ではないけれど、やっぱり緑があるのは良いね!
入り口はガラスの自動ドアになっていて、カフェやミュージアムショップがあった。
この空間だけ見ると、元学校という印象はない。

2Fのギャラリーに向かおうとした時、見つけたのがこれ。
手洗い場なんだよね!
SNAKEPIPEや友人Mが小学生や中学生だった頃も、こんな感じの手洗い場だった記憶が蘇る。
蛇口の首部分にネットに入った石鹸があったっけ?
確かあれはレモン石鹸と呼ばれていたような。
調べてみると、まだ売ってるんだね!
昭和の懐かしい思い出と思ったのに、現役でいらっしゃるとは。(笑)

友人Mが「3331 Arts Chiyoda」に来たかったのは、好きな作家の展覧会があったからだという。
大原舞は1986年東京生まれのアーティスト。
2010年に武蔵野美術大学造形学部油絵科を卒業しているという。
友人Mは大原舞の作品である人形を観たことがあり、本気で購入を検討していたらしい。
この展覧会が目的だったのに、結果はこの画像の通り「CLOSED」!
出かけた月曜日は、どうやら「Gallery OUT of PLACE」の定休日だったようで。
ギャラリー前に貼ってあるDMに近付いてみると、月・火・水が定休日だって!
週3日連続休廊とは、驚き桃の木山椒の木だよね。(意味不明)

次に目指したのはKYOTO Design Lab 東京ギャラリーで開催されている「造形遺産」というタイトルの展覧会。
この企画は京都工芸繊維大学が主催しているとのこと。
国立大学だという京都工芸繊維大学、とても気になるよね。
建築やデザイン以外に、生物学や情報工学などの学部があり、大学院では繊維学について学ぶことができるらしい。
「実在する使うことも捨てることもできなくなった道路やダム、高架線などの構造物を造形遺産と呼び、それらを再生する道を提案します」
会場前まで行ってみると、ここも休み…。
一体どんなアイデアが提示されていたのか。
友人Mとがっかりしてしまう。

その隣のGallery KIDO Pressで開催されているのはJohn Currin(ジョン・カリン)の版画展だった。
ジョン・カリンは1962年生まれのニューヨークを拠点に活動している画家だという。
美術手帖の解説によると「古典的な絵画特有の技法を用いて、現代社会で論争を招くような性的タブーなイメージを取り入れた肖像画を描き、美しさとグロテクスの完璧な均衡を探求するアメリカを代表する画家のひとり」であるという。
これは楽しみ!
と思ったのも束の間、やっぱり休廊だったんだよね。
ここも月・火はやってないんだ。
月曜日に来たのが間違いだったね、と言いながら廊下を進む。

今回やっと展覧会を鑑賞できることになったのが「AKIBA TAMABI21」で開催されていた「できるだけ感情のないように(あるけど)」だった。
「アキバタマビ」の意味も分からず鑑賞したけれど、帰宅後調べることにした。
このギャラリーは多摩美術大学が運営する、若い芸術家たちのための作品発表の場だという。
原則40歳未満の多摩美術大学卒業生が企画代表者となり、作家による自己プロデュースを基本としたグループ展を年間8回開催するギャラリーとのこと。
秋葉原が近いから名前に付けたんだろうね。
作品を発表するのは多摩美関係者ではなくても良いみたい。
若手アーティスト支援が目的だという。

中学校の机と椅子をそのまま利用した展示がされていた。
懐かしかったので、友人Mと一緒に椅子に座ってみる。
とても座り心地が良い。(笑)
子供の頃は、こんな机で授業受けてたんだね。
かつて教室だった壁や、机の上に作品が展示されている。
それぞれのアーティストについて調べてみようか。

落花生をモチーフに版画作品を展示しているのは、安齋歩見。
1986年、福島県いわき市生まれだって。
落花生だけに、てっきり千葉県出身だと思ったのにね?(笑)
2009年、女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻版画コースを卒業し、2014年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースも修了しているとは!
2つも美大に通っているんだね。
今回展示されていた「ピーナッツ戦争」というシリーズは、シルクスクリーン写真製版で制作されているという。
浮世絵のように、複数枚を組み合わせて一つの作品が完成しているものもあったよ。
黒が強い作品は観ていて、とても落ち着いたよ!

大坂秩加は1984年東京生まれのアーティスト。
2009年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2011年には東京藝術大学大学院美術研究科も修了しているというから、アート界のエリートってことだね。
版画、油彩、水彩など技法にこだわらずに描いているらしい。
今回の展覧会では、紙のままの作品が椅子の上に無造作に置かれていたため、湾曲していて見づらかったのが残念!
HPで他の作品を観ると、非常に面白いんだよね。
ブラックユーモアを含んだ独特の視点と、世界観を持っているアーティストみたい。
他の作品も観てみたいと思った。

結局観られたのは「AKIBA TAMABI21」の展覧会だけになってしまった。
せっかく来たのに、がっかりだね、と言いながら1Fのミュージアムショップに向かう。
3331 CUBE shop&galleryを物色していると、ふと目に留まったのは映像作品だった。
冠木佐和子というアニメーターの作品は、不思議な魅力を持っていて、その場から動けなくなるほど。
友人Mも「面白い!」と大絶賛している。
アニメ大国の日本の中でも、冠木佐和子の世界は珍しい部類に入るんじゃないかな。
載せて良いのか迷いながらも、YouTubeにアップされている菅原信介「MASTER BLASTER」のミュージックビデオを紹介させて頂こう。
アニメーションを担当しているのが冠木佐和子なんだよね。

好き嫌いが分かれるタイプの作品かもしれないね?
冠木佐和子の経歴を調べてみると、多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、アダルトビデオ制作会社に就職をしているんだよね。
そこを退職してから、再び多摩美術大学大学院に通い、修了しているという。
どうしてアダルトビデオの世界に入ったのか、不思議!
彼女自身の受け答えも変わっているので、インタビュー記事もお勧めだよ。(笑) 
こういう日本人が増えると面白い国になりそうだけどね?

今回は「鑑賞できなかった展覧会」を特集する、という今までにはなかったスタイルで書いてみたよ。
鑑賞はできなかったけれど、アーティストについて調べて、作品を検索することで新しい知識が増えたことは嬉しいね!
今後の教訓としては、展覧会の開廊(もしくは閉廊)日時を調べてから出かける、ということかな。(笑)

塩田千春展:魂がふるえる 鑑賞

20190915 top
【どんよりした空模様がよく分かる一枚】

SNAKEPIPE WROTE:

森美術館で開催されている「塩田千春展:魂がふるえる」については、長年来の友人Mから「とても良かったので行ったほうが良いよ」とお勧めされていた展覧会である。
行ってみよう、と計画していた日には、令和元年台風15号(アジア名:Faxai/ファクサイ) が関東に上陸したのである。
過去最強クラスの強い勢力を持った台風の影響で、現在でも千葉県内では復旧作業が行われているほど。
ROCKHURRAH RECORDSは、幸いにして明け方の強風を感じる程度だったため、六本木行きを決行!(大げさ)
電車も少し遅れながらではあったものの、支障をきたすことなく六本木に到着したのである。
今回のトップ画像は、あえて空が映っているものにしてみたよ。
まだちょっと怪しい雲が見えるよね。

台風の影響で、展覧会場はガラガラに空いているだろうと予想していたけれど、通常より少し少ないくらい。
例えば観光客は近くに宿泊しているだろうから、あまり天候に左右されることがないのかもね?

最初に森美術館作成のPR動画を載せておこうかな。

塩田千春という名前を今まで聞いたことがないSNAKEPIPE。
経歴について調べてみたよ。

1972年 大阪府岸和田市生まれ
?年 大阪府立港南造形高等学校卒業
?年 京都精華大学洋画科卒業
1993年 オーストラリア国立大学(ANU)キャンベラスクールオブアートに交換留学生として留学
1996年 ハンブルク美術大学(HfbK)に入学
1997年から1999年 ブラウンシュバイク美術大学(HBK)にてマリーナ・アブラモヴィッチに師事
1999年から2003年 ベルリン芸術大学(UDK)にてレベッカ・ホーンに師事
2008年 平成19年度 芸術選奨新人賞、平成19年度 咲くやこの花賞 美術部門受賞
2015年 第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本代表に選出される
2010年度~ 京都精華大学客員教授

現在はベルリンを拠点に活動しているという。
それにしても一体いくつ大学に通ったんだろうね?
数えてみると5つだよ!
30歳近くまで大学生だったことになるのかな。
その間の生活費などはどうしていたのか、小さいことだけど気になってしまうよ。(笑)
それにしても、以前は確か「レベッカ・ホルン」と表記されていたように記憶してるけどね?
読み書きは変化することがあるから、まあいいか。

今回の展覧会についての説明文を森美術館のHPから載せてみよう。(一部抜粋)

ベルリンを拠点にグローバルな活躍をする塩田千春は、記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られています。
副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。
「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感していただけることでしょう。

「不在のなかの存在」なんて哲学的だわ!
一体どんな作品なんだろう?
森美術館では一部の作品を除いて、ほとんど撮影が可能なんだよね。
クレジット表記のルールを守れば、ネットへのアップもOKとのこと。
良い美術館だよね!(笑)
それでは気になった作品の感想をまとめていこう。
通常は展覧会の順路通りに作品を載せることが多いけれど、今回はなるべく作品の制作年順にしてみようかな。
理由は後ほど明らかになるであろう。

オーストラリアで留学中だった1994年の作品である。
「絵になる夢を見た」という塩田が、アクリル絵の具をかぶり、初めて身体表現に挑んだという。
そもそも自分自身が絵になるという発想が変わってるよね。(笑)
そして選んだ絵の具の色が赤というのも、血みどろのスプラッター状態にしか見えないし。
奇をてらう、というよりも死にたい気持ちを表しているように感じるんだよね。
この時塩田は22歳。
病んでいるようにみえるなあ。

1997年、ハンブルク美術大学時代の作品である。
アクリル絵の具をかぶった次には、泥水に浸かるパフォーマンス!
塩田千春、体張ってるよねえ。
泥の中で、塩田千春は何を思ったんだろう。
そしてまたこの行為も「死」を連想させるよ。
死人になりきることで、次のステップに進んだんだろうなあ。

1997年、ブラウンシュバイク美術大学在学中のパフォーマンス。
4日間断食した後、行ったのが全裸で斜面に掘った洞窟によじ登り、転げ落ちてはまた登ることを繰り返す行為だったという。
カミュの「シーシュポスの神話」を思い出すなあ。

カミュはここで、人は皆いずれは死んで全ては水泡に帰す事を承知しているにも拘わらず、それでも生き続ける人間の姿を、そして人類全体の運命を描き出した(Wikipediaより)

またもや体を張って頑張る塩田千春。
内面の苦しみを体で表現した感じなのかな。
観ているほうまで苦しくなってしまうよ。

1999年のパフォーマンス。
自宅のバスルームで泥をかぶり、拭いきれない皮膚からの記憶を表現しているという。
ドイツに住み始めて3年が経過していたらしい。
皮膚からの記憶ってなんだろう。
日本人である存在を意味しているのか。
今まで生きてきた自分自身ということなのか。
はっきりは分からないけれど、今の自分をあまり好きではない状態だったように見えるよ。

泥と皮膚というのがテーマだったようで、上の作品と同年に制作されたインスタレーション。
体の不在を表すドレスは泥にまみれ、上部に設置されたシャワーでも皮膚の記憶を洗い流すことはできない、ということらしい。
ドレスは7mもあるとのこと。
目の前に泥まみれのドレスが出現したら、かなり迫力あるだろうな。
先日鑑賞したボルタンスキーにも、日を追うごとに電球が消えていくインスタレーションがあったように、時間経過を含んだ作品なんだろうね。 

黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせたダイナミックなインスタレーションが、塩田千春の代名詞とのこと。
その片鱗が見えたのが1996年の「意識へ戻る」なのかもしれない。
使用されている材料は黒い毛糸、ガラス管、血。
血って一体何の血よ?
毛糸に血液入のガラス管を括り付けてるのかな。
心のモヤモヤした状態を表しているように見えるよ。
毛糸はこれからずっと使用していく材料になるんだね。

2010年のパフォーマンス。
ここでも塩田千春は、血を使ってるね。
血が連想させる家族や民族、国家、宗教などの境界を壁に喩え「その壁を超えることのできない人間の存在」を表現したという。
塩田千春の言葉をそのまま書いていると、「〜できない」という表現が多いことに気付く。
ここらへんがネガティブ思考というのか。
だからこそ表現できるとも言えるのかもしれないけど?
この作品の時、塩田38歳。
まだまだ全裸で頑張ってるよ!

この作品は、フィリップ・モリス.K.K.アート・アワード2002大賞受賞作とのこと。
糸がまるで繭のように人間を包み、人が眠っている姿は莊子の「胡蝶の夢」のように、夢と現実の間にいる世界を表しているという。
分かるような分からないような文章ですな!(笑)
ドイツで3年の間に9回引っ越しをし、自分の居場所を探していたという塩田。
安寧の場所は繭の中、と夢想したんだろうか。
そしてそんな状況になっても、日本に帰ろうとは思わなかったのか。
どうしてもドイツに留まる必要があったのかな。
作品から安心感は全く得られず、SNAKEPIPEは蜘蛛の糸を連想してしまった。
絡め取られて生贄になるイメージね。(笑)

燃えるような赤色の世界。
かなり大きなインスタレーションで、枠組みだけの船がいくつあっただろう。
この船は棺か、それとも魂の容れ物か。
そこから湧き出て上へ、上へと昇っていくのは、魂ではないのだろうか。
もしくは血管なのかも?
そんな想像をしながら会場を歩く。
どこを見ても赤が目に入る。
一体どれだけの毛糸が使用されているんだろう。
ここまで糸を張り巡らせるのは大変だったろうなあ。
言葉がなくても、見た瞬間「うわっ、すごい」と感じることができる。
これこそ現代アートだなあ!

次は黒の世界ね。
燃やされた(?)椅子やピアノに黒い糸が張り巡らされている。
これはイタリアのテキスタイルメーカーであるアルカンターラ社製の糸で、見た目がゴムっぽい感じだった。
赤が生なら、黒は死なのか。
かつてこの世の生を受けていた人たちの、想念が揺らめいているようだったよ。
なんとも言えない異様な雰囲気に圧倒される。
この作業に携わったスタッフの方は、悪夢にうなされたりしなかっただろうか?

古い木枠を並べたインスタレーション。
旧ベルリンで廃棄された木枠を使用したみたいね?
一つ一つに、それぞれの家の歴史があるんだよね。
塩田千春のインスタレーションは、コツコツと小さな作業を積み重ねていった結果、巨大な作品が完成しているパターンが多いみたい。
「個」が「群」になると、存在感が増して迫力が違うんだよね。
木枠の内側に入ってみると、閉塞感で息が詰まりそうだった。
多様な記憶の洪水に飲み込まれそうになったのかもしれないね。

最後の作品も「群」物ね。
これはROCKHURRAHが動画で撮影してくれたよ!

作家名/作品名:塩田千春《集積-目的地を求めて》この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスでライセンスされています
旅行かばんが赤い糸で吊るされている。
低い位置から徐々に高い位置へと連なっている。
バッグが揺れるんだよね。
まるで中に何か入っているみたい。
それは持ち主の記憶や念なのかもしれない。
まるであの世へ旅立つような印象を受けたよ。

塩田千春展はとても見応えがあった。
自分の存在とは何か、生きる目的を知るために苦しみ続けていた様子が表現されているように感じた。
作り続けながら、頭の中ではきっと様々な想いが巡っていただろうな。
かなり根気のいる作業を続けていて、努力家だなあとも思った。
こうした作品は、とても女性的に映るし、実際女性のアーティストが多いんじゃないかな。

2019年5月に鑑賞した東京都現代美術館の「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして」で鑑賞した、手塚愛子を思い出す。
手塚愛子もドイツ在住のようで、そんなところまで似ているとはね?
ドイツは住みやすいのかなあ。
移住を考えるか?(笑)

Sculptural Type 鑑賞

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【毎度お馴染みの構図。ggg前を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

現在銀座グラフィックギャラリー(通称ggg)で開催されているのは、デンマークのデザイン会社であるKontrapunkt(コントラプンクト)による「Sculptural Type」展である。
タイポグラフィが大好物のROCKHURRAHは目ざとく展覧会を発見。
gggには2019年2月に「ポーラ・シェア:Serious Play」の鑑賞で訪れているので、約半年ぶりになるんだね。
ポーラ・シェアの展覧会も大満足だったことを思い出す。
今回展示されているコントラプンクトってどんな会社なんだろうね?

北欧デザイン、というフレーズはいつの頃から耳に馴染むようになったんだろう。
そしてそれは「色合いが美しく、センスの良い洗練されたデザイン」と同義語になっているんじゃないかな。
一言で言えば「オシャレ!」なデザインね。(笑)
インテリアや陶磁器、ファッションに至るまで、たくさんのメーカーが日本に進出している。
様々な場所で、北欧デザインを目にする機会が増えているよね!

コントラプンクトは英語だとcounterpoint、意味は「対位法」だという。
Wikipediaで調べると、音楽理論のひとつであり、複数の旋律を、それぞれの独立性を保ちつつ互いによく調和して重ね合わせる技法である、とのこと。 
多様な個性が一つのハーモニーを形作り、世界的に有名なデザイン会社になったということなんだろうね。
1985年の設立以来、政府機関、インフラ、NGO、文化団体から大企業に至るまで、多数のブランディングを手がけ、世界中のデザイン賞も多数受賞しているコントラプンクト。

私たちにとって、タイプ(書体)デザインは彫刻のように物語る一つの形であり、しかもそのストーリーはここで終わるのではありません

今回の展覧会の主旨を、コントラプンクトのデザインディレクターで代表取締役社長のボー・リネマン氏が一言でまとめている。
彫刻のような書体って、どんなことなんだろうね?

まだ暑い東京の夏、湿度も高く蒸した銀座をgggに向かうROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
実はこの日、映画を鑑賞した後でggg訪問、という順番になったんだよね。
鑑賞した映画については、次週感想をまとめる予定なので、お楽しみに!(笑)
前回のポーラ・シェアの時には道に迷ったSNAKEPIPEだったけれど、今回はすんなりと到着。
このギャラリーは過去にも撮影許可を確認したことがあるけれど、念の為、受付の女性に尋ねてみる。
オッケーとの返答だったので、バシバシ撮影させて頂こう!

今回の展示は、足元にあるフット・スイッチを踏むことにより、壁をスクリーンにしてフォントが現れる仕掛けがされていた。
フット・スイッチは5種類用意されていてフォントそのものを見せたり、使用例を映し出している。
コントラプンクトは、世界中からオファーを受けているようで、日本の企業のフォントも多数取り扱っているんだよね。

スポーツ・シューズで有名なアシックスタイガーのロゴも、コントラプンクトがデザインしていたとは!
丸みを帯びながらも、少しだけ縦長で、アルファベット同士が近く見えるフォント。
何気なく目にしていたので、じっくり見ていなかったことに気付く。
ロゴだけではなく、恐らくフォント全体をアシックス用に制作したんだろうね。
アシックスのHPをみると、商品名にも同じフォントが使用されているように見えたから。
それにしてもアシックスという社名が「Anima Sana in Corpore Sano(健全なる精神は健全なる身体にこそ宿るべし)」というラテン語から採用されていたという話を初めて知ったよ!

デンマークのレストラン「noma」のためにデザインされたタイプフェイス。 
これは英国の飲食業界誌が選ぶ『世界のベストレストラン50』で4年連続1位に輝いたレストランだという。
このフォントを制作するのに、かかった時間はたったの1週間だったというから驚いちゃうね。
短い時間でも有意義で価値のある仕事をした、とコントラプンクトのボー・リネマン氏が語っている記事を読んだよ。
手書きで有機的な形を作り、わざと不均等にして素朴さを出しているとのこと。
クライアントの個性やアピールポイントを、いかにフォントに表現するのか。
ものすごく重要な部分だろうね。

日本の化粧品ブランド資生堂が、2019年4月横浜みなとみらいに「資生堂グローバルイノベーションセンター」、通称S/PARKという美の複合体験施設をオープンさせたらしい。
「らしい」と書いたのは、SNAKEPIPEは全く知らなかったから!(笑)
2019年って今年のことじゃないの。
ものすごく最近の仕事ってことだったのね。
ここで使用されているフォントのデザインを請負ました、という紹介がされていたよ。
アルファベットを使用している国のデザイン会社は、漢字をどう処理するのか興味があったんだよね。
他の文字も見てみたいので、SNAKEPIPEも美の複合施設に行ったほうが良いかも。(笑)
コントラプンクトと関わるよりずっと前から使用されていた資生堂の「SHISEIDO」というロゴ・デザインの素晴らしさに、今更ながら気づいたよ。
「S」の文字が音符のように流れて斜めになったフォントは、大正時代に作成され、使用されているという。
ROCKHURRAH RECORDS憧れの1920年代はやっぱり良いね!(笑)
資生堂は、広告の世界でも中心的な存在になっている。
「美」を追求するメーカーは、やっぱりイメージ戦略ありき、なんだね。

「Danish」と名付けられたフォントが実にカッコ良かったんだよね!
アルファベットによって、次に続くフォントと「ひとつながり」に見えるような箇所もある。
右下に配置されている円形のデザイン、円形と直線のバランスが素晴らしいよね。
日本語だった場合には、直線部分を縦書きにしても面白いかもしれない。
デンマークのデザイン賞を受賞しているというのも納得!
こんなフォントを日常的に目にしているなんて羨ましい限り。(笑)
恐らく「デザイン・アワード受賞」の様子を表しているシーンだと思うんだけど、特別な説明がなかったので想像だよ。
立体的な「D」が金ピカに輝き、中央でぐるぐると回転する動画だったんだけど、静止画で失礼します。(笑)
バックには印象的な斜めに走った文字が並んでいるよね。
この斜めの雰囲気、ロシア構成主義っぽくてお気に入りだよ!

コントラプンクトは、文字を動かすという遊びも見せてくれた。
これは動画じゃないと伝わらないな。

東大阪市役所がコントラプンクトに依頼して作られたフォントの紹介ビデオなんだよね。 
今回の展覧会でも「HIGASHIOSAKA」として展示されていたよ。
隣の文字につながっていくタイプフェイスを、近畿大学と共同で開発したという。
動くことで、より一層面白さが増すよね!

展覧会でSNAKEPIPEが撮影した動画も載せておこうか。
まるで心臓の鼓動に合わせて、文字が胎動しているように見える。
文字が生きているっ!(笑)

フット・スイッチを踏むことで動きがでる、という展示方法もユニークだったし、TYPE(書体)の可能性について考えさせられる展覧会だった。
改めて周りにあるフォントを「まじまじ」と見てみたいと思っている。
日本にも「オシャレ!」で独創的なフォントがあるかもしれないよね!(笑)

LOOKIN THROUGH THE WINDOW/ANIMITAS II 鑑賞

20190811 06
【GYREギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

約2ヶ月ぶりに長年来の友人Mと約束をした。
待ち合わせたのは表参道。
まずは早めのお昼を頂くことにする。
フレンチ風中華、という一風変わったスタイルだったけれど、さすがは友人Mのお勧めだけあって、とても美味であった。
価格もお手頃で、雰囲気も良かったよ!

友人Mとは前回の「トム・サックス」と「横尾忠則」も展覧会のハシゴをしているんだよね。
なんと今回もまた同じ経験をしてしまったよ。(笑)
そこまで大規模な展覧会ではなかったけどね!
最初に向かったのは表参道GYREギャラリー
ここは今年2019年のゴールデンウィークに「デヴィッド ・ リンチ 精神的辺境の帝国展」を鑑賞した場所なんだよね。
リンチ関連の企画でお馴染み、キュレーターの飯田さんが絡んでいない日本人の写真展とのことだけど、どうだろうね?

タイトルは「LOOKIN THROUGH THE WINDOW」、訳すと「窓ごしの眺め」って感じか?
撮影可能だったので、作品の感想を添えて紹介していこうか。
白塗り暗黒舞踏集団だっ!
山海塾?白狐社?正解は大駱駝艦だって。(笑)
大駱駝艦といえば、麿赤兒!
この手の舞踏ダンサー(変な言葉か?)は、裸体を晒していることがほとんどなので、着衣に違和感があるよね。
しかもモデルとして撮影されているから余計だよ。
この写真を撮影したのは、小浪次郎という写真家。 

小浪次郎は1986年東京生まれ。
2010年、東京工芸大学芸術学部写真学科研究生課程修了している。
卒業前から展覧会に参加していたようで、2009年に富士フォトサロンの新人賞を受賞しているという。
現在はニューヨーク在住で、商業写真を撮っているようだね。
この画像は雑誌「VOGUE」に掲載された一枚とのこと。

タイトルが「KUMAGAYA」となっているので、埼玉県の熊谷と思われる。
気温が高い地域として有名だよね。
そこに住んでいる「バッド・ボーイ」をモデルにしているということなのか。
和彫りのモンモンが入った男性の写真が、何枚も使用されている。
最近はファッション雑誌などでも、こういった組写真を採用しているよね。
見慣れてしまったせいか、新鮮さはないけれど、色がキレイだったよ。

こちらは水谷太郎の作品。
やや、次郎に続いて太郎だよ!(笑)
順番を逆にするべきだったか?
水谷太郎は1975年、東京都生まれの写真家。
東京工芸大学芸術学部卒業後、写真家としてファッション、コマーシャルフォト撮影を中心に活動しているという。
大きなモノクロームの岩肌をバックに、小さめの写真が組み合わされている。
ネイチャー・フォトとでも言うのか、地層研究している気分になるね。
意味は分からなかったけど、色合いはキレイだったよ。

石田真澄の作品は壁一面を使用した大型の組写真だった。
一人のモデルだけを撮影しているので、夜の2時間程度の散歩風景といった感じかな。
同じ写真を重ねたり、別の角度や場所で撮影した写真を組み、ギザギザに貼り付ける手法はデヴィッド・ホックニーが有名だよね。
今から30年以上も前に発表されている「ジョイナー・フォト」が素晴らしいので、この作品が稚拙に見えてしまうのは仕方ないかもしれない。
目の覚めるような赤の色合いは鮮やかだったよ!

やはりキュレーターが飯田さんじゃない展覧会は物足りないね、と話しながら次の会場に向かう。
目指すのは、同じ通りにある「エスパス ルイ・ヴィトン東京」である。 
モノグラムで有名なフランスのブランド、ルイ・ヴィトンのアート・スペースなんだよね。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵する作品を展示していて、入場料は無料!

フォンダシオン ルイ・ヴィトンは現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。
フォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。

なんて素晴らしい理念なんでしょう!
EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」を鑑賞した、竹中工務店が支援する公益財団法人ギャラリーエークワッドも同じような理念に基づいて運営していたよね。
大きな企業は余裕があって良いですな!(笑)

エスパス ルイ・ヴィトン東京に行くのは、今回が2度目になるSNAKEPIPE。
2014年4月から8月にかけて展示されていたスティーブ・マックィーンの映像作品「Ashes」を鑑賞してるんだよね。
あの時から5年も経過していたとは…。(遠い目)
この展覧会についてはブログに書いてなかったみたいだね。
今回はなんと、クリスチャン・ボルタンスキーの「ANIMITAS II 」の展示だという。
つい先日、国立新美術館で「Lifetime」 を鑑賞したばかり。
友人Mは、未鑑賞だという。
「もう少し空いてから行く」とのこと。
SNAKEPIPEにとっては復習、友人Mには予習となるボルタンスキーだね。(笑) 

ハイ・ブランドのショップに入ることは滅多にないけれど、店の前を通りかかると大抵のショップでドア・マンが待ち構えているのを見かけるんだよね。
ルイ・ヴィトンもご多分に漏れず、ドアの前には白い手袋したドア・マンがおいでなすったよ。(笑)
最上階にあるギャラリーに行くためには、そのドアを開けてもらう必要がある。
友人Mは慣れているのか、すんなり開けてもらったドアを通ってエレベーター前へ。
SNAKEPIPEは「買い物するわけじゃないのにスミマセン」オーラを発しながら、急ぎ足で友人Mに続く。
サービスでドアを開けてくれるのは分かっているけど、なんとなく居心地が悪いんだよね。(笑)

エレベーターを降り、会場に入ると目に飛び込んできたのは大きなスクリーン。
全く同じ大きさのスクリーンが向かいあわせにもう一つ設置されている。
スクリーン前の床は藁や草、野花などで埋め尽くされている。
自然の中にいる疑似体験ができるような仕組みなんだよね。
ボルタンスキーの作品「アニミタス(ささやきの森)」の映像とつながっているように錯覚してしまうよ。
「ささやきの森」が撮影されたのは、瀬戸内海の豊島らしいね。
日本が舞台だったとは知らなかったよ。
撮影許可が取れたので、友人MもInstagram用にバシバシ撮り始める。

こちらはもう一つのスクリーンで上映されていた「アニミタス(死せる母たち)」である。
場所はイスラエルの死海とのこと。
先日国立新美術館で鑑賞したのは「アニミタス(白)」だったので、ケベックのオルレアン島バージョンだったんだね。
これは死者を祀る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして、制作されているという。
ボルタンスキーが生まれた日の星座の配列をなぞるように、細い棒を大地に突き刺している。
その棒の先で300個の日本の風鈴が揺れるインスタレーション、と説明されているよ。
説明の文章がなくても、微かな風鈴の音色とガランとした風景で、厳粛な気分になること間違いなしだよ。
ガラス張りのギャラリーなので、外に教会が見えるのもイメージに合っていたね。

会場を後にし、帰ろうとした時にもう一点展示があることに気付く。
ボルタンスキーのインタビューを交えた作品紹介の映像だった。 
これこそ先日鑑賞した「ボルタンスキー 50年の軌跡」を復習するのに、最も適した教材といったところか。(笑)
初見の友人Mは感嘆の声を上げながら、一生懸命撮影している。
「それは撮影可能エリアにあった作品」
「これは撮影できなかった作品」
などと横で情報を与えるSNAKEPIPE。

撮影をしながら「あっ!そうだ」と声を出したのはSNAKEPIPE。
この作品紹介のビデオを見るためのヘッドフォンまで含めて、一枚の写真としたほうがボルタンスキーらしさが表現できるんじゃないか。
ボルタンスキーの特徴は、黒い電源コードを写真の顔部分などにかけた状態で作品となっているわけだからね。 
こうして撮影した祭壇の作品とヘッドフォンを組み合わせた画像がこれ。
「いかにもボルタンスキー」になったよね?(笑)

表参道で鑑賞した2つの無料展覧会について感想をまとめてみたよ!
GYREギャラリーは、是非ともキュレーターの飯田さんに登場して頂き、素敵な企画をお願いしたいね。
エスパス ルイ・ヴィトン東京には、ドア・マン対策を強化してから出かけよう。(笑)
都内には無料も含め、たくさんのギャラリーがあるので、これからもいろんな作品を鑑賞していきたいね!