ジェームス・アンソール~写実と幻想の系譜~

20120930-top1【今回の展覧会に行くキッカケになったアンソールの「陰謀」】

SNAKEPIPE WROTE:

とある小冊子をたまたま見ていた時に、その中で紹介されていたのがジェームス・アンソールの展覧会だった。
そこに載っていたのが上の絵、「陰謀」だったのである。
「仮面や骸骨などのグロテスクなモチーフ」や「シュルレアリスムや表現主義に影響を与えた」など、SNAKEPIPEの興味を惹く言葉がズラリと並んでいる。
ジェームス・アンソールなんて画家、今まで聞いたことがない!
これは観に行かなければ!(笑)

そして出かけた新宿西口にある損保ジャパン東郷青児美術館
この美術館に行くのは全く初めてである。
それにしても美術館名、長くないか?(笑)
西口に行くことがあっても、勤務でもしていない限りは、あのビル群に用事がある人ってあんまりいないよね?
損保ジャパンビルの42階に美術館があることすら知らなかったSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHも同じだったようで、わざわざ美術館に行く道のりを検索してくれていたよ。
「ビルの正面から左に曲がって4つ目の階段から上がると美術館入り口に出る」
という細かいところまで教えてくれて、ありがとう。(笑)
歩いている途中で話しかけたら
「数えているんだから話しかけられたらわからなくなる」
という返答が。
たかだか4つなのにね!(笑)
そのROCKHURRAHの細かい気遣いのおかげで(?)、無事に美術館に到着。
1階にはアンソールを紹介するビデオが流れていて、ちゃんとソファまで用意されている。
ビデオは帰りに観ることにして、まずは42階会場へ向かう。

ここで簡単にジェームス・アンソールについて書いてみようか。
アンソールは1860年、ベルギー生まれの画家である。
北海沿岸の海岸リゾート地であるオーステンデに生まれ育つ。
両親はここで観光客相手の土産物屋を営んでいて、貝殻や民芸品、そしてカーニバルで使用する仮面などを売っていた、とのこと。
そう、上述した「仮面のモチーフ」は、ここから来てるんだよね。
そしてベルギーのカーニバルって一体何だろう、とこれも調べてみたよ。
「ジルのカーニバル」もしくは「バンシュのカーニバル」と呼ばれる、仮面を付けた道化師が木靴を踏み鳴らしながら行進する祭りが有名らしい。
他にもアールスト、道化師シネル、ブランムーシ、マルメディといったカーニバルがあるみたいだけど、どれも仮面を付けたり仮装するタイプのお祭りなのね。
写真で見る感じでは、マルメディのカーニバルで使用されている仮面がアンソールの絵画に出てくる顔によく似ているように思ったよ。
上の写真がそのカーニバルなんだけど、どお?

アンソールは初めからグロテスクモチーフの絵画を描いていたわけではない。
当時流行していたのは庶民の肖像や朝食の静物画で、アンソールもその流れに乗った絵画も描いている。
そしてグロテスクモチーフを描いた当初は、異端児扱いされ、人々の嘲笑を受けたらしい。
ところがそれらの作品のほうが、後の時代には評価されることになるんだよね。
そして実際、グロテスクモチーフの作品はとても面白いね。

損保ジャパン東郷青児美術館のチケット販売、チケットもぎり、「会場はこちらです」とわざわざ教えてくれた案内係、美術館会場内での監視役の人達すべてが、かなりの年配者でびっくり。
もしかして、元は保険外交員だった人が定年退職後にバイトしてるのかな、などと勝手な想像をしながら会場を歩く。
アンソールが生まれた1860年代にはこんな絵画が主流だったんですよという年表やら、その時代の他の人の絵画まで展示されていて、勉強にはなるけれども観に来たのはアンソールなんだけどな、という2つの思いが揺れ始める。
そしてアンソールの写実時代の展示が長い、長い!
一体いつになったらグロテスクモチーフが出てくるんだろう、とちょっとイライラしてきてしまう。
更に、バタバタ走り回る子供を連れた外国人にも大迷惑する。
この走り回る子供は、「入ってはいけません」のラインより中に入り、絵に触ろうとして監視員も手を焼いていたようだった。
その他の客も、今まで行った美術館では見かけないタイプが多く、
「もしかしたら損保ジャパンが顧客にチケット配ったのかな」
という疑惑まで浮上。
タダなら行くか、みたいな感じの客層に思えたからね。

そしてやっとほとんど最後のセクション辺りでグロテスクモチーフの絵画が登場。
えっ、たったこれだけ?
あんなにグロテスクという単語を用いて宣伝してきたのに…。
一番上に載せた「陰謀」と「首吊り死体を奪い合う骸骨たち」を観ることができただけでも良かったのかな。
この「首吊り死体」はアンソール本人で、骸骨の1つは母親で、もう1つは誰か忘れた。(笑)
そして左下で横たわっているのが死んだ父親、という解説だったはず。
生涯独身だったアンソールにとっての家族というのは、両親と自分との関係だけだったんだね。
ん?その解説聞かないほうが面白かったように感じるのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)

大抵の場合、鑑賞した展覧会の図録は購入するSNAKEPIPEだけれど、今回のアンソールは写実時代の作品展示があまりに多過ぎたので図録はパス!
骸骨と仮面の絵画のポストカードだけを購入することにした。
他にはどんな商品があるのかな、と店内を物色してビックリ!
店内には「ひまわり」グッズがいっぱいなんだよね。

この損保ジャパン東郷青児美術館というのは、1987年安田火災海上保険時代にゴッホの「ひまわり」を53億円で落札してるんだよね。
この件に関しては、かつて「収集狂時代 第1巻」でも書いてるんだけど、バブルの時代の象徴的な出来事だよね。
ゴッホなんて全然興味がないから、今まで気にしていなかったけれど、今回初めてその「ひまわり」も鑑賞することになってしまったROCKHURRHAとSNAKEPIPE。
だって、一番最後のブースに鎮座してるんだもん。
まさかあの絵まで鑑賞対象に含まれていたなんて知らなかったよ!

なるほど、だからミュージアムショップには「どうだ!」と言わんばかりにひまわりグッズがあふれていたのか。
ひまわり複製画、ひまわりポストカード、ひまわり携帯ストラップ、ひまわり柄の缶入りクッキー!(笑)
もしかして以前に購入した53億円を少しでも回収しようとしてないか?
だってアンソールの展覧会、あれで1000円は高いもんね。
きっと「ひまわり基金」に充てられてるんだろうなあ。
だったら53億円なんて使うことないのにね、などと言いながら久しぶりにインドカレー「ボンベイ」で食事。
やっぱり美味しい!
これで少し機嫌が直る。(笑)

今回のアンソール展だけでは満足できなかったので、
「こんな絵を鑑賞したかった」
という絵を何枚か選んでみたよ。
下に挙げる絵は、今回の展示には含まれていなかったんだよね。
アンソールの「幻想」を伝えるには、このジャンルの絵画を加えないと!

The Assassination(暗殺)と題された1890年の作品。
それぞれに役割分担があったり何かしらの意味があるんだろうけど、そんな解釈なしでも充分だね。
まるで神州纐纈城を思わせる題材で、非常に怖いのにコミカルにも見えてしまうから不思議。
この稚拙そうに見える部分が余計に恐怖を煽るよね。

Skeletons Fighting over a Smoked Herring(燻製にしんを巡る骸骨の戦い)というタイトルの1891年の作品。
これもまたコミカルさに溢れているけれど、モチーフは骸骨なんだよね。
死んでも尚欲深い人物、なんて意味なのかしら?
これじゃあ成仏できないね?(笑)

Self-Portrait With Masks(仮面の中の自画像)は1899年の作品。
アンソールの絵画に特徴的なのが「上向きの鼻の顔」が多いこと。
どうやら付き合っていた彼女が「上向きの鼻」だったようで、その彼女のポートレートも写実時代に描いてるんだよね。
タイトルはそのまま「上向きの鼻の女」だったかな。(笑)
自分の彼女のことをそんな風に言わなくても良いのにな、と思いながら鑑賞していたけれど、その鼻のインパクトが強くアンソールに残っていたのかな。 上の絵の中にもいっぱい「上向きの鼻」があるよね!

ほんの数行の紹介文と1、2枚の絵(写真)だけで興味を持って出かけた展覧会だったので、ちょっと騙された感があったことは事実である。
アンソールに、ではなくて、損保ジャパン東郷青児美術館に、である。
ま、これも行って観たから言えることなんだけどね!
ただ、今まで全く名前も絵画も知らなかったジェームス・アンソールの存在を知ることができたのは収穫だった。
シュルレアリスムの前の時代にこんな画家がいたとはね!
きっとまだまだ知らないアーティストいっぱいいるんだろうな。
SNAKEPIPEの探求は続くよ!(笑)

ビザール・チェア選手権!6回戦

20120923_top【椅子に座っている人物を描いている画家といえばやっぱりベーコンだよね!】

SNAKEPIPE WROTE:

久しぶりに変わったグッズはないかな、と検索してみる。
前回ビザール・グッズ選手権を書いたのが今年の5月だったので、新しいデザインが増えていることを期待したのだ。
おおっ、電化製品なども月単位で新しい商品が生まれていると思うけれど、デザインの世界も同じことがいえるみたいだね。
思った通りに今まで見たことがないビザールな逸品を発見したよ!
今回もビザール・グッズ選手権を始めたキッカケになった、椅子に焦点を当ててみることにしよう!

CD-Chair-by-Belen-Hermosa

パッと目に飛び込んできて惹かれたのが左の椅子。
なんとこれはCDで作られているんだよね。
CDでもDVDでも良いんだけど、裏の、あのピカピカ光る、カラスが嫌がるとされている部分に関してはSNAKEPIPEも以前より興味があったんだよね!
だって、見た目がキレイじゃない?
かつてファントム・ギフトのピンキー青木が、あれをブローチにしてジャケットに付けていたのを思い出すなあ。(笑)
この椅子はスペインのデザイナー・Belen Hermosaの作品とのこと。
このサイトは全部スペイン語で書かれているから、スペイン語について全く知識のないSNAKEPIPEにはお手上げ状態!(笑)
サイトを見ている感じでは、恐らくBelen Hermosaという方は商業デザイナーのようで、椅子だけじゃなくてカーペットや花瓶などの生活雑貨やインテリア全体についての作品を発表しているみたい。
実際作品が売られているのか、販売しているんだったら値段はいくらなのかなどの詳細については不明。
スペイン語わかる方がいたら教えて欲しいな!
上のCD椅子は、実際に座ってみたらどうなるんだろう?
クルクル回転して、滑り落ちちゃうかもしれないね?
デザイン的にグッド!だと思うけど。

rehherb_chair

はい、お次はまた座り心地を無視して、デザイン性に惚れた逸品ね!
Alexander Rehというアメリカのデザイナーの作品なんだけど、椅子本体に使用されているのはなんと薬莢!
武器を家具にしてしまうとは、ものすごい発想だよね。
そして金属のゴールド色とプラスチック部分の赤の取り合わせがなんともゴージャスに見えてくるから不思議だよね?
武器なのに。(笑)
実際に座るとこうなります、という写真がAlexander Rehのサイトに載ってるんだけど、わざわざ裸の女性をモデルに使ってるよ!
そして予想通りに薬莢の痕が付いていて、まるでお灸したみたいでおかしいね。
薬莢の種類を変化させるとまた違う雰囲気の椅子になる、という紹介もされていて、オリジナル薬莢椅子を作ってみたくなるよね。
気になる方はご連絡を、としか書かれていなくて、実際おいくら万円なのかは不明。
CD椅子同様、インテリアとして欲しい逸品だよね!

Shopping-Cart-Chair-2巨大ショッピング・センターで1周間分の食料をまとめ買いする主婦、というのは国内外問わず多いと思うんだけど、「残った材料からメニューを考える」のが苦手なSNAKEPIPEには難しい芸当だな。
ショッピング・カートいっぱいに食料品を積み込む様子は、例えばアメリカ映画なんかでよく見かけるよね。
うん、確かにそんな時に使われているのはこんなカートだったはず。
と、思ったらなんとこれはショッピング・カート型の椅子だったのね!(笑)
これはFernando Paulladaという、恐らくアート系の大学に通う大学生の作品みたい。
移動は楽だし、足の下に物は置けるし、肘掛けも付いてるし至れり尽くせり!
リサイクル的な発想も面白いし、SNAKEPIPEは気に入ったよ!(笑)
Fernando Paulladaのサイトには、他にもイラスト作品なども載ってるんだけど、このイラストがとても良いね!
ポストカードがあったら欲しいくらい。
若いっていいわねえ。(遠い目)

nobody_and_co_bibliochaise2最後はこちらの逸品!
なんと本棚と椅子を合体させてしまった、横着な人にピッタリの椅子のご紹介ね。(笑)
Nobody&CoはAlisée Matta と Giovanni Gennariというイタリア人2人組みユニット。
1994年から商業デザインを始めているらしい。
「トラブルは最大のインスピレーションの元」とHPに書いているように、本が多過ぎて座る場所がない、ということからデザインされた椅子とのこと。
カラーも豊富だし、様々なシチュエーションにも対応できる様子も詳しく紹介されているよ。
違うバージョンも存在するようで、寸法などもキチンと書かれているね。
確かに便利そうで一脚欲しくなるよね!
そこでお値段を調べてみると…なんと上の黒タイプは10,700ユーロ、日本円で約108万円也!
いつか自分好みのフレームとクッション色で購入してみたいね。

また定期的に新しいデザイン探しをしてみよう!
ワクワクすること間違いなし、だからね。(笑)

がっちりBUYましょう!vol.7 衝動買いツール編

【ROCKHURRAH制作のよくわからんビデオ。ウロウロしてるだけ?】

ROCKHURRAH WROTE:

使うかどうかは全然わからない、冷静に考えたらあまり使わないんじゃなかろうか?というようなアイテムを無性に欲しくなる時がある。     よほどの倹約家とかじゃない限り、誰にでもそういう時があるんではなかろうか?と思うけど、そういう時は理屈も何もあったもんじゃない。     欲しくなった時にはやっぱり買ってしまうのがいつもの事。特に大した金額じゃない場合は大抵入手してしまう。

今回はそんな感じの衝動買いアイテムをたった2つだけど紹介してみようか。そこまで物欲の権化ではないROCKHURRAHだから「こんな変なモノ買いました」というような記事ではないのは確か。

この数年は実にたくさんの映画を観る機会が多いせいか、自分でも何か映像を撮ってみたくなった。映画を作るとか何かの映像作品を作りたいとか、そんな大げさな気持ちは全然ないが、自分で撮った素材を映像編集ソフトで作り替えてみたいというようなささやかな欲求があったわけだ。もちろんものすごい情熱がありさえすれば映像作品にする事は可能だろうけど、そこまでの意欲も時間も技術もセンスも持ちあわせてないのは自分でもわかっている。単なるシロウトの映像遊びだと思ってほしい。

それで、今まで買うのを考えた事もなかったビデオカメラに急に興味が湧いてきたというわけだ。携帯やデジカメでさえ、ビデオ機能とか付いてても使った事なかったのにね。
早速調べてみたがいわゆるハンディカムのような形はどう考えても日常に持ち歩くはずないから、最初から断念。昔は決心しなければ買えない金額だったけど、今は適度な性能のものなら悩むまでもなく買えるほど安くなってるんだね。そんな事さえ知らなかったよ。

ROCKHURRAHが欲しかったのはポケットに入れてもかさばらない小型のもので、すぐに取り出せるくらいのヤツ。撮った映像を「素」のまま使うつもりはないので画質とかはそこまで気にしなかったよ。
丹念に調べたわけじゃないが、すぐに良さ気なものは見つかった。それが今回買ったコダックのPlaySport2(Zx5)というもの。何だか昔の携帯電話のような角丸の形と大きさがちょうど好みだったし、いつもBlackberryを持ってると全然違和感ないぞ。
光学ズームさえついてないし撮る基本機能以外は何もないシンプルさが今時良い。

関係ないがROCKHURRAHが最初にMacを買った頃に使ってた、はじめてのデジカメはコダック製だった。おもちゃみたいで何の役にも立たなかったけど、あの頃のデジカメはほとんど全て実用性もなくておもちゃの延長線上だったなあ。

さて、この商品はSportという名前からわかる通り、アウトドアやスポーツの際に使える事に特化した機種のようで、3メートル程度の防水機能や落としても大丈夫な耐衝撃機能なども備わっている模様。その辺の趣味が特にあるわけではないが、ヤワなビデオカメラよりは好感が持てるし、あって悪い機能というわけでもない。
ROCKHURRAHが好きなミリタリーもアウトドアの一種だと思えば、持ってて似合うのはやはりこの手のカメラだろうな。値段も安いし惜しげも無く使うにはちょうどいいというもんだ。
カタログには米国国防軍用規格MIL-STD-810Fに準拠などと書いてあって、この辺もそそられる要因。簡単に言えば過酷な試験に合格して軍用としても使用可能という事。ミリタリーの服の裏側とかによく付いてるミルスペックを満たしてるって事だね。

価格comみたいに細かい商品レビューとかはするつもりもないが、使いやすくて手軽、そして値段の割にはなかなか良いなめらか画像が撮れて気に入ってるよ。
そういう趣味の人が遊びで使うにはオススメ出来る。
まだ水中撮影とか雨の中の撮影もないし「落としてみたけど壊れなかったよ」なんて気軽に試しはしてないけどね。見た目はあんまり防水っぽくないから試すのは勇気がいりそう。ん?「惜しげも無く使うにはちょうどいい」などと書いていながら案外大事に使ってるぞ。

タイトル下の動画はこないだ九州に帰省した時の映像を試しに加工してみたもの。森山大道+60年代アングラ映像っぽいのを狙ったつもりが意味不明のシロモノになってしまった。このビデオカメラの特性を考えれば全く合ってないかもな。

お次はアウトドア繋がりでもう一品。
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは「もどき」とか「ルック車」と呼ばれるものよりは多少マシなマウンテンバイクに乗っているが、いわゆる工具類を持ってなくてドライバーとか六角レンチとかをバッグの中に生身で持ち歩いていた。自転車専用のツールとしてその辺がひとつになったものは売ってるが、そこまで毎日整備しまくってるわけではないので持ってなかった。

そういう用途以外でも日常の便利ツールがないか探してて見つけたのがレザーマンのマルチツールだ。歴史も古くファンも多い有名なメーカーだから、アウトドアに通暁してるわけでもないROCKHURRAHごときが今さら語るまでもないけどな。
今までにミリタリー屋やアウトドア屋で何度も横目で見たけど買わなかったものを、なぜか今頃急に欲しくなった次第だ。過去にアーミーナイフとかサバイバルキットとかは持ってたけど、ああいうのは確かに何に使うのか明確な目的なくてもそそられるものがあるのは確か。

何年か前にSNAKEPIPEがおみやげで小さな迷彩アーミーナイフをくれて、それをキーホルダーとして持ち歩いてるけど、実用では洋服のほつれた糸を切った事くらい(笑)。

レザーマンはアーミーナイフと違い本体のメインはプライヤー、ペンチだが、確かな品質と色んな物に変身するギミックが面白いので大人気のツールだ。マルチツールとしてはビクトリノックス、ガーバーと並んで御三家といったところか。

ファンにとっては当たり前なんだろうが、2000円くらいから数万円までのピンキリなラインナップ、アウトドアを本業にするつもりもないので中途半端に安いものを選んでみたよ。どうせいつかは壊れるものだし、一生モノを買うような夢もない。カタログを見て選んだのはウィングマンというシロモノ。桂正和ではない。
安くて機能が絞られててカッコ良いものを選べば良かったが、中途半端に欲張って多機能なモノを選んでしまった。

店まで行くのを面倒臭がって通販で買ったんだが、届いたこれがずっしりと重いのでビックリした。レザーマンのは軽いもので50グラムくらいなんだが、このウィングマンは200グラム弱もあって、これをキーホルダー代わりにしている人間は滅多にいないであろうと思える。しかもこんなの携帯してた日にゃ軽く捕まってボッシュート状態間違いなし。というわけで買いはしたものの、あまりにも物々しすぎて普段使いは出来ない商品という事になる。

実際にこんなCMがあるのかどうかは不明だが、ウィングマンのバカっぽいCM映像があったので紹介しよう。おそろしく胡散臭い男だね。レザーマンの良さを伝えるのに逆効果じゃなかろうか?

プライヤーもハサミもバネ付きで使いやすいし、重量感や質感もさすが機能美に溢れたもので、男の子(気持ちはいつまでも)だったらきっとこのメカニカルな美を理解出来るだろう。

この手のマルチツールはレザーマン以外にも色々出ていて、実用の役に立つかどうかは抜きにして、他にも欲しくなってしまうな。価格と入手のしにくさで断念したがスパイダルコというメーカーのスパイダーレンチとか、最高にそそられる姿形をしているよ。

こういうのをコレクションする趣味はないけど、見かけたらそそられるのは確か。誘惑に負けてもう一つくらいは買うかも。次に買う時はもう少しコンパクトなものにしてみようかな。

SNAKEPIPEの九州旅行記 2012

20120909_top2【虹の松原で撮影した写真を加工してみたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

本当はもっと涼しくなってから出かけたかったけれど、約2年ぶりに本州を離れることになった。
前回ROCKHURRAHの故郷である九州に帰省したのが2010年11月。
そんなに月日が経っていたとは、調べてみるまで気付かなかったよ!
前回の長崎~軍艦島の場合は綿密な計画を立てたり、チケットを手配する必要があったけれど、今年の旅は博多近辺をウロウロしよう、としか決めなかった。
ほとんど何の計画も立てないまま東京駅に向かったのである。

東京駅で弁当やらビールを買い込み、新幹線に乗り込んだ。
飛行機で行ったほうが速いし、チケットも安いことは知っているけれど、新幹線のほうが旅らしさを満喫できる気がする。
風景を眺めながらの食事はおいしいし、眠ったりしながら5時間近くをゆったりと過ごす。
博多に着いたのは午後15時近くだった。

福岡で行きたい所は、前回も行ったミリタリーショップ、WIP
2010年12月のブログ、SNAKEPIPEの九州旅行記 part2には、WIP店頭にあった自動販売機の写真を載せてるよね!
何か目的があるわけではなかったけれど、店内を物色したかったROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
ところが残念なことに、店の移転のために商品を移動しているとこのことで、店内に入ることすらできなかったんだよね!
うーん、せっかく行ったのになあ。
次回の福岡の時には新店舗で買い物できるかな?
お昼には遅く、晩御飯には早い時間にめんくいやで腹ごしらえをする。
今回の旅行中食べたとんこつラーメンでは、ナンバーワンの味かな。
美のカリスマIKKOさんと大杉漣のサインがあってビックリ。(笑)
ストレートな麺はあくまでも細いけれどもコシがあるし、スープのトンコツ味はこってりし過ぎることもなく、程良いトロミで麺によく絡む。
一緒に注文した焼きめしも、チャーシューのしっかりした味がアクセントになっていてクセになりそう!
お腹も落ち着いたので、その後ミリタリーショップ・リベンジということでSWATへ。
SWATって置いてあるものは良いんだけど、店の奥のほうで店員がくっちゃべってるのが嫌な感じなんだよね。
今回は何の買い物もせずにホテルに帰る。

20120919_01このホテルの机の引き出しで見つけたのが「博多明太子物語」という、ふくや創立に関する漫画本!
恐らく九州の人なら「明太子はふくや」と答えると思うけれど、違う地方の人だとパッとは出てこない店名だと思う。
SNAKEPIPEも明太子は以前から大好きだったけれど、九州もんのROCKHURRAHに教えてもらうまで、ふくやの存在は知らなかったからね!
さすがに天神近辺のホテルは、こんな非売品の漫画を聖書の代わりに置いてるんだね!
創業者・川原俊夫の生涯と、ふくや・明太子の歴史がよく解る内容で、タメになるね。
帰宅してから調べてみると、ふくやのHPから電子ブック形式でダウンロードして読めることがわかったよ。
明太子好き、ふくやファンなら絶対読むべし! fの秘密に迫れるかも?(大げさ)

翌日は近場でどこかに出かけよう、ということで「虹の松原」に向かう。
日本三大松原の一つとのことだけど、なんで「虹」なんだろうね?
各駅停車で約1時間。
中心地・天神から地下鉄に乗って、たったの1時間でみるみる景色が変わっていって、連なる山々や海が目の前に広がるとは驚き!
日曜日の昼間なのに、電車もガラガラでとても快適だった。
SNAKEPIPEは初めて佐賀県に足を踏み入れたよ!(笑)

一応は観光名所、ということになっている「虹の松原」だけど、駅は無人駅、駅前にはコンビニもなし!
更に標識やら地図も一切なし!
駅前から続くのは車道だけで、両サイドには松林が広がるだけ!
国有林みたいなんだけど、恐らく誰も手入れしていない自然のままの松が広がる。
全然歴史やら経緯を調べないままに出かけたけど、一体何本の松があるんだろうというくらい、見事な松林。
歩道がないため、車道の脇を歩くこと20分。
松林の中を通って脇道に入ることにする。
やっとここで松原に関する看板を見つけ、虹の松原七不思議を知る。
なんで豊臣秀吉が出てくるんだろう?(笑)
脇道をずんずんと進んで行くと…眼前には海がっ!
誰もいない、玄界灘。
遠くにはいくつもの島が見え、右や左にはホテルらしき建物もある。
「虹の松原」駅というのは、観光客が降りる駅と駅の間みたいだね。
地の果てに来たような錯覚を起こさせる殺風景さは非常に好みで、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは大喜びした。(笑)
人っ子一人いない海を完全にプライベートで所有したような気分。
ここまで人がいない状態は、恐らく関東近辺では難しいだろうね?

海を眺めた後、来た道を駅まで戻ることにする。
再び車道脇を歩いていると、なにやら迷彩柄が目に入る。
車道脇の空き地を利用して、ラックにミリタリー服をかけているサングラスの人物がいるではないか。
「これは売り物なんですか?」
ROCKHURRAHが声をかける。
「そうですよ~!自分の服自慢じゃないですから!見て行ってください」
日に焼けたサングラスの人物がハスキーボイスで答える。
「女房から呆れられてる、趣味の一つでね~。副業ですよ~」
などと聞いてもいないのにペラペラ喋る。
ちょっと胡散臭くない?(笑)
前日は移転のためにWIPで商品を見ることができなかったのに、虹の松原くんだりで移動ミリタリーショップに出くわすとは!
ROCKHURRAH歩けばミリタリーに出会う、って感じか。(笑)
こんな偶然の出会いはなかなかないので、本当は記念に何か商品を買って帰りたかったけれど、コレ!というものがなかった。
またどこかで会ってみたい人物だね!

博多に戻って、お腹が空いたので入ったのがうどん屋ウエスト
この店の噂は以前よりROCKHURRAHから、チェーン店だけどうまいと聞いていて、一度食べてみたかったのである。
たかがうどん、されどうどん、である。(意味不明)
2007年9月に九州地方を旅行した際に立ち寄った、山口県の秋芳洞。
その際食べた下関駅の立ち食いうどんのおいしかったこと!
関東地方とはダシの取り方、醤油の使い方の違いを知ったんだよね。
それ以来、自分でうどんを作る時にもなるべく醤油を使わないように心がけているSNAKEPIPE。
ヒガシマルのうどんのスープみたい、といえば関東との違いが判り易いかな?
ウエストのダシもやっぱりヒガシマル状態、麺はツルッとしていてモチモチ!
九州らしく丸天うどんにしてみたんだけど、これで480円とは嬉しいね。
チェーン店だから、どうやら千葉県内にも出店しているようだけど、家の近所にはなさそうだなあ。
また食べたいうどんだよ!(笑)

今回の旅行は期間が短かかったので、遠くに出かけたり特別なイベントはなかったけれど、福岡県民の日常を少し体験できた感じかな。
天神近くの町の快適さを知ったことも収穫だった。
あの辺りなら住んでみたいなあ!
ROCKHURRAHが見つけてくれた、普段ならちょっとお高めで手が出せないクラスのホテルのトライアル・ステイも良かった。
また行くけんね、福岡!(笑)