ふたりのイエスタデイ chapter02 / The Stalin

【今聴いても血沸き肉踊る一枚!】

SNAKEPIPE WROTE:

ROCKHURRAH WEBLOGで2014年から始まった新企画「ふたりのイエスタデイ」の第2弾はSNAKEPIPEがお送りしようか。
この企画は「一枚のレコード、または一枚の写真とかを選び、それについての思い出を語ってゆくという郷愁に満ち溢れた記事」になるという説明は第1弾でROCKHURRAHが書いてくれてるね!
あはは、実際一番上の画像で一目瞭然!
そうです、あのザ・スターリンの「STOP JAP」が今回選んだ一枚なんだよね!(笑)

ザ・スターリンを教えてくれたのは、学生時代の同級生Hだった。
夜間の外出などもってのほかだったSNAKEPIPEの自宅とは違い、友人H宅では外泊や外出に対して規則が設けられていなかったのかもしれない。
友人Hはバンドをやっていた関係から、年上の人達との付き合いがあり、ライブハウスに出かけていたようだった。
SNAKEPIPEが全く知らないことを経験している大人っぽい友人Hの話は、インターネットなどなかった時代には貴重な情報源だった。
どちらかというと無口なタイプだった友人Hがポツリと
「スターリンって知ってる?今度ライブ行くんだ」
と話してきた。
知らないよ、それなあに?と返答するSNAKEPIPEにカセットテープをくれた友人H。
これがSNAKEPIPEが初めて出会ったザ・スターリンであり、パンクだったのである。
時代的には当然ロンドンのオリジナルパンクのほうが先になるんだけど、SNAKEPIPEはザ・スターリンからだったんだよね。

そのカセットテープは文字通り擦り切れるまで何度も聴いたものだ。
思春期というお年頃、反抗期も続いているし、文学や芸術に敏感になっていたせいもあるだろう。
ザ・スターリンの歌詞、遠藤ミチロウの書く詞の世界や煽情的なミチロウの声は、その時代のSNAKEPIPEの心情にピッタリと一致してしまったようだ。
自分が何故この世に存在しているのか、存在意義の確かめ方を知りたいのにどうしたら良いのか分からない。
毎日イライラして、文学に答えを求めていたSNAKEPIPE。
なんて真面目な女子学生だったんでしょ!(笑)
そのイライラした感情をミチロウが言い表してくれていると感じたんだろうね。
バイトだと嘘をついたのか忘れたけど、何かしらの言い訳を考えて初めてザ・スターリンのライブに行ったのはそれから間もなくのことだった。
記憶に間違いがなければ新宿だったはず。
演奏を聴くどころではない、もみくちゃの状態になったこと、観客がみんなミチロウを指さすように人差し指を上げて熱狂していたことだけを覚えている。
ライブって大変なんだなあと思ったっけ。(笑)
ザ・スターリンを知ったのが遅かったせいで、次に行ったライブがザ・スターリンの大映撮影所での解散ライブだった。
撮影所だもんね、照明がすごくキレイだったなあ!
調べてみたら1985年の2月だって!
ぎゃー!29年前だよー!怖いー!(笑)

それからの数年間もずっとザ・スターリンを聴き続けていたSNAKEPIPEは、本当にどっぷりとミチロウの世界に浸っていたようだ。
当時はまだ学生だったSNAKEPIPE。
期末試験などで解答を早く書き終えてしまったけれど、時間までは着席していなければいけない余った時間に、テスト用紙の裏側に、「世界の終焉について」などと書き、その理由としてザ・スターリンの歌詞に加えて自分の意見などを書き綴ったりして時間潰しをしていた。

世界の果てまで俺を連れてってくれ
つぶれていってもいいんだ
失うものは何もない

これはザ・スターリンのメジャー・デビュー・アルバム「STOP JAP」に収録されている「STOP GIRL」の歌詞である。
世界の果てと聞くと、周りに何もなく、当然人もいない、遠くに地平線が見える風景を想像する。

人がいない、荒涼とした場所。
だだっ広くて、ずっと先のほうまで見通せる、
歩いても歩いても変化のない風景。
人がいた気配はあるけれども、全く姿を見かけない。
SNAKEPIPEにはそんな寂しい土地への憧れがある。

以前「SNAKEPIPE MUSEUM #5 Stephen Shore」に書いていた文章であるが、まさに「STOP GIRL」の世界観と一致していることに気付く。
実は今までずっとSNAKEPIPEの原風景のように感じていた寂しい風景がどこから来ているのか疑問に思っていたけれど、なんとそれはザ・スターリンの影響だったんだね!(笑)

数日後その答案用紙が採点され、先生から手渡された時
「ああ、あなただったのね」
と顔をマジマジ見ながら言うではないか。
一体何を言ってるのか謎のまま席に着き、採点結果を確認してから用紙を裏向きで机に置くと…。
なんとSNAKEPIPEが書いた「世界なんて滅んでしまえば良い」ことに関する理由についての採点がされていたのである!
理由1と理由3は矛盾している、などと赤が入れてある。
ぎゃーっ!SNAKEPIPEのイタズラに付き合ってくれる先生がいたなんて!
そこでやっと「あなただったのね」の意味が解り、赤面してしまった。
自分が何に興味があり何を考えているのか、すっかりその先生にバレてしまったからね。(笑)
それでもそんなSNAKEPIPEを叱るわけではなく、一緒に楽しんでくれた先生に感謝したし、その先生のことは今でも忘れていない。
遊び心のある面白い先生に出会えることはなかなかない経験だからね!

自立し、引っ越しを繰り返しているうちに、コレクションしていたレコードは全て手放してしまった。
当然のようにザ・スターリンのレコードも。
ある時やっぱり聴きたくなって、CDを買った。
手にした時に「違う」と違和感を持った。
テクノだったらCDでも良いんだけど、パンクはレコードで聴くものという気がするんだよね。(笑)
レコードサイズ以上に大きな存在だったザ・スターリンが、なんだか小さくなってしまったようで少し悲しかった。
サイズの違和感や、レコード特有の、曲が始まる前のプチプチした音がないことはもう仕方ない。
音源として聴くことができるだけで良しとしよう。

ザ・スターリン解散後にも遠藤ミチロウは音楽活動を続けている。
ミチロウのHPには「遠藤ミチロウ還暦記念ライブDVD完成」なんて文章も載っていて、ついに60歳を超えていること、そして今でも現役でライブを行っていることも知る。
SNAKEPIPEは、ザ・スターリン以降のミチロウについては「実物観たよ!80年代ライブ特集」に書いたP.I.Lのライブ後に見かけただけで、ミチロウ本人のライブに参戦したこともない。
それでもやっぱり応援しているし、ずっと頑張ってもらいたいと思っている。
ザ・スターリンは 今でも、SNAKEPIPEの核となる存在だからね!

 

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