蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる 鑑賞

20230806 top
【国立新美術館の看板を撮影。いつも通り!】

SNAKEPIPE WROTE:

蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」の開催を知ったのは、国立新美術館の別会場で開催されている「テート美術館展」を調べていたからだった。
どちらの展覧会も非常に楽しみ!
本当は2つを同時に鑑賞しようかと思っていたけれど、体力が持つかどうか不安。(笑)
この夏に行われるビッグ・イベントを一日で消化してしまうのも惜しい。
そのためまずは会期が短い蔡國強展を先に鑑賞することにしたのである。

蔡國強といえば、2015年10月に横浜美術館で開催された「蔡國強展 帰去来」が記憶に残っているよ。
あの時に感じたインパクトは今でも強く残っている。
8年も前だったとは、びっくりだね。(笑)

Netflixで鑑賞できる「空のはしご」という蔡國強のドキュメンタリーも観たっけ。
構想から20年、空へと続く燃えるはしごを架けるプロジェクトなんだよね。
蔡國強の作品への情熱のみならず、バックグラウンドや人柄にも迫り、見ごたえがあったよ。
9年間日本に住んでいた蔡國強、日本語が堪能なんだよね!
親近感が湧くよ。(笑)

今回はどんな展示がされているんだろう?
ワクワクしちゃうよね!

夕方になっても強い日差しが照りつける六本木に、ROCKHURRAHと向かう。
コロナ真っ盛りの頃にはオンライン予約で日時指定が必須だったはずなのに、今はもうオンラインでチケットを購入するだけのサービスになっていた。
オンラインでも直接窓口で購入してもチケットの金額は同じなんだよね。
今回は窓口で購入することにした。

蔡國強展は6月29日から始まっていたので、少し落ち着いた頃じゃないかと見込んだSNAKEPIPEの予想はほぼ当たったかも。
会場が広いせいもあるけれど、苦痛を感じることなく鑑賞することができた。
そして全作品、動画以外は撮影オッケー!
蔡國強の太っ腹な対応に感謝だね。(笑)

展覧会は5つのチャプターで構成されていたようだけど、広い空間に決まった順路はなくて、好きなように歩いて鑑賞することができた。
そのため特に構成を気にせず感想を書いていきたいと思う。
入り口近くに、初期の作品が展示されていたよ。
1985年の「地球はわたしたちの共同の家」は、蔡國強には珍しい油彩画なんだよね。
フランシス・ベーコンの「トリプティク(三幅対)」みたいに、3枚でワンセットの作品。
一番右側の赤い部分は何を意味しているんだろう?

日本の現代美術館が所蔵しているという「胎動II:外星人のためのプロジェクト No. 9」は1991年の作品。
展覧会のタイトル通り、宇宙やビッグバンを思わせる迫力だよね!
中央に、まるで即身仏を思わせる白い人影が見える。
そして右側に、設計図のようなメモ書きが残っているのが面白い。
「こうやって火薬を置くこと」みたいな感じなのかな?(笑)
横幅が6mを超える大型作品なので、遠ざかってかなり後方からじゃないと全体像を把握できないよ。

「闇に帰る」(画像左)と「ノンブランド・非品牌 5」(画像右)は、ガラスと鏡を使用した2019年以降の作品だよ。
砂で曼荼羅を描き、爆破させた「闇に帰る」は、隣に動画が展示されていた。
一度作ってから壊す、という行為がアートなんだね。
どちらの作品も色合いが美しくて、とても気に入ったよ!

2020年の「銀河で氷戯」は横幅9mを超える大型作品で、一枚には収まりきらなかったよ。
ROCKHURRAHがパノラマで撮影してくれた。
ぐるぐるした渦巻きに飲み込まれそうで、めまいがしたよ!
赤い色と流線が、とても中国的に感じる。
任天堂の「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」で、空にドラゴンが舞っている時に流れる音楽が似合いそう。(笑)
人影のように見える白色は、宇宙を漂う魂みたいに見えてくるね。

「cAI™ の受胎告知」は2023年の作品だという。
ガラスと鏡を使った火薬ドローイングの最新作になるんだね!
最初に載せた1991年の「胎動II」から約30年。
作品が洗練されて、色合いや爆破痕の美しさが際立っているよ。
屏風のように展示された作品が他にも数点あって、どの作品も素晴らしいの。
欲しくなってしまったよ。(笑)
蔡國強が進化し続けていることがよく分かるよね!

会場の半分ほどの広さを使って展示されていたのが「未知との遭遇」と題されたインスタレーションだった。
「宇宙にまつわる古今東西のさまざまなイメージをLEDで表現した」という説明があったよ。
くるくると回転したり、LEDの光が七色に変化していく。
タイトルにちなんだモチーフは、特に新鮮味がなく、蔡國強らしさを感じることはできなかったのが残念。

大きな会場から少し外れた場所に「蔡國強といわき」という別会場が設けられていた。
1986年から9年間、日本で生活していた蔡國強にとって、第二のふるさとと呼ぶのが福島県いわき市なんだとか。
2023年6月に、ファッション・ブランドであるイヴ・サンローランの協力を得て、いわきプロジェクト「満天の桜が咲く日」を実行したという。
この映像が素晴らしいの!

Netflixで観た「空のはしご」も感動的だったけれど、浜辺に咲く桜にも驚いたよ。
今まで観たことがない風景を現実化してくれるイリュージョニスト!
構想しているけれど、未だに実現していないプロジェクトが100以上あるという。
これから先に、どんな景色を見せてもらえるのか楽しみだね!

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