アナザーエナジー展:挑戦しつづける力 鑑賞

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【会場入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

森美術館で開催されている「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」を観に行こう、と長年来の友人Mから誘いを受ける。 
展覧会は9月26日までの日程だけど、いつ開催中止になるか分からないからね。
鑑賞したい企画は早目に行くことにしたのである。

梅雨がまだ明けていない7月、当日はくもり空。
天気は不安定なので、ゲリラ豪雨が発生してもおかしくない状況の中、六本木に出かける。
実際その前日にはゲリラ豪雨により道路が冠水した、なんてニュースが流れていたんだよね。
雨でも大丈夫な防水タイプのブーツを履いて出発!
この日はほとんど雨は降らなかったけど、備えあれば憂いなしだからね。(笑)

チケット予約制になった森美術館に来るのは初めてかも。
以前は行列していた場所はガランとして、係員との接触なく、予約したQRコードを読み取らせるだけで入場可能になる。
SNAKEPIPEは友人Mとの2枚分を予約していたので、機械で紙チケットに交換してからの入場だった。
非接触が徹底されているし、係の方が、とても丁寧でわかりやすい説明をしてくれたことに好感を持った。
最近では、接客業に就いている人に腹が立つことが多いので、森美術館のスタッフは素晴らしいと感じたよ!
さすが森ビルだよね。(笑)

入場者数を制限しているため、展覧会も全く混雑なく鑑賞することができる。
これから先は、ずっとこうなっていくんだろうね。
観客が多過ぎて、人の頭の隙間からやっと作品の一部を観ることができた「没後150年 歌川国芳展」 のような混雑ぶりは辟易だったから。
コロナの影響で、良いこともあるんだね。

いよいよ会場へ。
森美術館は、一部を除いて撮影オッケーなんだよね!
バシバシ撮りましょう。(笑)
「アナザーエナジー展」は、世界の女性アーティスト16人の作品が展示されている。
SNAKEPIPEが感銘を受けたアーティストについてまとめていこうかな!
鑑賞した順番に紹介していこう。

アンナ・ベラ・ガイゲルは1933年、リオ・デ・ジャネイロ生まれ。
今年88歳になるんだね。
今回の「アナザーエナジー展」は、ベテランの、つまりは高齢の女性アーティストを特集しているので、80代は当たり前。(笑)
驚くのは、皆様活動を続けているアーティスト、ということ!
ガイゲルの2021年の作品も展示されていたしね。
載せた画像は、1969年制作のコンピューターで作成した自画像。
小さくて分かりづらいと思うけど、アスキー・アート、つまりアルファベットや記号で顔が出来上がっているんだよね。
当時は斬新な手法だったんじゃないかな?
ガイゲルはシルクスクリーンやコラージュなど、様々な手法で作品を制作している。
映像も手がけていて、会場で流されていたよ。
右の画像は1978年制作の「ローカライゼーション」という作品。
タイトル画面で目を引いたのが「musica Kraftwerk」の文字。
音楽がクラフトワーク! (笑)
残念ながら会場では音が出ていなかったので、どんなBGMだったのか不明だけど。
ガイゲルの作品のタイトルが「幾何学的なブラジルの在り方」や「方程式」など、女性のまろやかさというよりは、理知的で強くカッコいいところが特徴なんだよね。
そうしたところも含めて、好きなタイプのアーティストに出会えて嬉しいよ!

エテル・アドナンは1925年ベイルート生まれ、現在96歳!
詩人で小説家、哲学者でありアーティストだなんて、どれほど才能に溢れた女性なんだろうね? 
フランス語、トルコ語、ギリシャ語と英語も話せるという才女は、現在も創作を続けているという。
美しい色彩の作品群に目を奪われる。
並べて飾りたくなるよ。
これらの作品は2017年から2018年に制作されたものだというので、アドナン93歳というから驚いちゃうよ!
1929年生まれの「水玉女王」草間彌生も負けていられないよね。 (笑)

アンナ・ボギギアンは1946年カイロ生まれの75歳。
その年令を若い、と感じてしまうのはSNAKEPIPEだけ?(笑)
大きなインスタレーションのタイトルは「シルクロード」なんだよね。
鏡を床にして、ロープで吊り下げられているのは、「絹織物」に携わる人達みたい。
ボギギアンは、世界各地の文化や歴史を題材に作品制作を行っているという。
絵画作品では富岡製糸場を題材にした作品があったよ。
他の国をテーマにした作品も観てみたいね。

続いては1942年東京生まれの宮本和子。
日本人アーティストなのに、SNAKEPIPEは初耳だよ。
どうやら1964年以降、ニューヨークを活動拠点にしているという。
画像は1979年の「黒い芥子」。
壁や床に刺した釘に糸を張った作品なんだけど、これが素晴らしいのよっ!
見つめ続けていると、意識がどこか遠くに飛んでいきそうなくらい。
だから「芥子」なのか?(笑)
右の作品も糸と釘の作品で、使用された釘は300本以上とのこと。
「黒い芥子」には1900本以上の釘が使われているそうなので、再現するのが大変だろうね。
シンプルなのに、インパクトがある作品に目が釘付け。
釘だけに?(笑)
糸を使った作品で思い出すのは、2019年9月に鑑賞した「塩田千春展:魂がふるえる」 だよ。
塩田千春の糸は混沌だけど、宮本和子は整然とした構築とでもいうのか。
同じ素材でも印象は正反対だね。

続いてはミリアム・カーン。
「アナザーエナジー展」のフライヤーに使用されているのはカーンの作品なんだよね。
1949年スイス生まれ、現在72歳。
カーンのブースで作品を目にすると、グッと引き込まれる。
実はフライヤーの絵を観た時には、なんとも思わなかったんだけどね。(笑)
画像は2018年の作品「描かれた」。
どういった状況なのか不明だけど、黒い空に赤い線が不気味に見える。
女性2人は、裸体で逃げている途中なのかもしれない。
なんとも不穏な空気に包まれた不思議な印象の作品だよね。
カーンの作品を観ている時に感じたのは「リンチの作品に似ている」ということ。
次の作品、2004年の「夢で見た図書館」は、夢というフレーズと、赤い建物がいかにもリンチっぽいんだよね。(笑)
友人Mに話しかけると、同じことを思っていたそうだ。
カーンの意図を知らなくても、魅力的な作品だと感じたよ。
カーンの作品を多く所蔵しているのが六本木にあるWAKO WORKS OF ARTのようで、常設展を開催するお知らせが出ている。
これも是非行ってみたいね!

ベアトリス・ゴンザレスは、1932年コロンビア生まれの89歳。 
画像上は「縁の下の嘆き」で2019年の作品。
首都ボゴダの街中にポスターを装って貼られたという。
かわいい作品かと思いきや、内戦の犠牲者を悼む市民の姿とのこと。
この作品がプリントされたマグカップを購入しなかったことを悔やみ、帰宅後通販で注文したSNAKEPIPE。
いいな、と思った時に買わないと駄目だね。(笑)
下は「悲嘆に直面して」という2019年の作品。
どちらも2年前の制作だって。
80代になっても、政治的な主題を通してメッセージを発信し続けている姿に感服するよ!

アルピタ・シンは1937年インド生まれの84歳。
とてもカラフルで、画像下の作品は、まるでメキシコのフリーダ・カーロを思わせるタッチじゃない?
絵の中に文字や地図が描かれていて、物語になっているみたい。
タイトルは「私のロリポップ・シティ:双子の出現」で、2005年の作品なんだよね。
画像上は、2015年の「破れた紙、紙片、ラベルの中でシーターを探す」。
横幅が約3m程の大きな作品なんだよね。
作品の右側に、まるで餓鬼のような邪悪な存在が人を襲っている場面が描かれている。
これらは若い女性が襲われるインドの現状を表現しているそうで、とても怖い作品だったよ。

最後も日本人アーティストね。
三島喜美代は1932年大阪生まれの89歳。
先に書いた宮本和子同様、初耳のSNAKEPIPEはモグリなのかも。
長く創作を続けている日本女性アーティストを知っただけでも、来て良かった展覧会だよ。
そして2人とも好みのアーティストなんだよね。(笑)
三島喜美代の作品は、観ただけでは意味が分からないかもしれない。
実は陶やセラミックで制作された「ゴミ」なんだよね。(笑)
流れていく情報や消費社会へのアイロニー、などと意味を解釈しなくても、観ただけですごいと思う作品だよ!
画像下は1965年制作の「夜の詩 Ⅰ」で、新聞や雑誌をコラージュした作品ね。
1950年代にフォト・コラージュの作品を制作していた岡上淑子の「沈黙の奇蹟」でも、外国の雑誌を使用していたことを思い出すよ。

世界のベテラン女性アーティスト16人が一同に会した「アナザーエナジー展」、見応え充分だった。
年齢を言い訳にせず、創作を続ける意志の強さ、枯れることのない創造意欲に感銘を受けたSNAKEPIPE。
全く知らなかったアーティストの作品を鑑賞することができて良かった。
やっぱり森美術館の展覧会は行かないとね、と友人Mと語り合ったよ。(笑)
次はどんな企画なんだろう?
サービスも展覧会の質も高い、森美術館に期待だね!

大人社会科見学—日光湯滝&大谷資料館—

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【大谷資料館入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日!
おめでとう、ROCKHURRAH!(笑)
さてプレゼントはどうしようかと悩んだ結果、旅行に行くことにした。
場所は2015年7月の「大人社会科見学—日光—」と同様に日光!
ROCKHURRAHの誕生日は栃木県が多いなあ。(笑)
前回は日光東照宮と華厳の滝を満喫したけれど、 今年は別の滝を目指すことにする。

もう一箇所、どうしても行きたいとROCKHURRAHからリクエストがあったのは宇都宮にある場所。
日程は1泊2日なので、日光→宇都宮泊という計画を立てる。
日光の温泉宿に宿泊してゆったり過ごした翌日、宇都宮に行く人が多いのかもしれない。
車を所持していないROCKHURRAH RECORDSは、公共交通機関を利用するので、早い時間に行動したかったんだよね。
そうと決まれば、チケットやホテルの予約を手早く済ませ、あとは出発の日を待つだけだよ!

ROCKHURRAHの誕生日が7月上旬なので、まだ梅雨明けしていない時期なのは仕方がない。
2014年の日光も、濃い霧に包まれた華厳の滝だったっけ。
今年もあまり天気は良くなさそうだけど、どうなることか?
午前7時半新宿発の「日光1号」に乗り、いざ出発!
車内はガランとしていて、乗客がほとんどいない。
空いているのは大歓迎だけど、以前とは様子が違い過ぎて驚いてしまう。
外国人観光客もいないから当然かもしれないけどね?

約2時間で東武日光駅に到着。
ここからバスで湯滝に向かう計画なんだよね。
前回行った華厳の滝に向かう道の、更に先にあるのが湯滝なので、乗車時間が長くなる。
極度の方向音痴で車酔いしやすいSNAKEPIPEには恐怖の時間、、、。
「日光1号」車内で、すでに「酔い止め」を飲んでおいたので、バスでは眠ってしまおうという魂胆だ。(笑)
「いろは坂」や周りの景色を満喫することは諦める。
約1時間程ぐっすり眠って、「湯滝入り口」に到着。
バスも空いてたけど、同じバス停で降りた人はROCKHURRAH RECORDS以外は3人のみ。
まだ少し寝ぼけ眼のROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
てくてくと湯滝に向かって歩く。
雨はやんでいて、良かったよ!(笑)

「湯滝観瀑台」と書かれた看板を見つけた頃には、ゴーゴーと音が聞こえてきた。
土産物屋やレストランが見えてきたけれど、店頭でのみ団子や串に刺し焼いた魚を売っているようだ。
日光に人がいないからお店が閉まっているのか、その逆なのかは不明だよ。
お店を抜けると目の前は滝!
かなり近い距離だけど、マイナスイオンを含んだ霧を浴びることはない。
傾斜が緩やかな滝なので、水しぶきが上がらないんだね。
しばらく鑑賞しているうちに晴れ間が出てきた!
雨を心配していたけれど、天気に恵まれて良かったよ。
ROCKHURRAHが得意の(?)動画を撮影したので、載せておこう!

湯滝の横に階段があり、登っていくと湯滝の源である湯ノ湖を臨むことができる。
せっかくだから行こうよ、と誘ったSNAKEPIPEを大歓迎してくれたのは蜂だった。
ROCKHURRAHも黒っぽい服を着ているのに、何故だか蜂が好んで来たのは、SNAKEPIPEのスカートなんだよね。
少し光沢がある素材だったので、光に反応したのかもしれない。
キツい上りの道は、2019年9月に行った「大人社会科見学—鳩ノ巣渓谷—」 の白丸ダムへの道のりを思い出す。
また奥多摩行きも計画したいな!
蜂の襲撃を恐れながら、なんとか湯ノ湖に到着。
静かでゆったりした湖面を眺めていると、心に平穏が訪れた気がしたよ。 
帰りのバスの時間を気にしなければ、あのまましばらくボーッとしていたかったくらい。(笑)
温泉のせいか、すこし硫黄のにおいもしていたね。

湯滝までの下りは、上りほどのキツさはなくて、あっという間に終わった。
腰にジャケットを巻き、スカートを隠したおかげで、蜂が寄ってくることもなかったし。(笑)
バスの時間にも間に合い、そのまま宇都宮に出る。
日光のさびれ具合とは違い、宇都宮には活気があったよ!
この頃にはピカピカの太陽が顔を出し、晴れて暑いくらいになっていた。
東京の雨、日光の薄曇り、宇都宮の晴天、と1日のうちに3回も別の天気を経験するとは。
宇都宮では名物の餃子を食べ、ご満悦のSNAKEPIPE。
どうしてご当地グルメが餃子になったんだろうね?(笑)

翌日は早起きをして、ROCKHURRAHがリクエストした「大谷資料館」 に向かう。
大谷資料館というのは、大谷石が採石された地下坑道を歩くことができる博物館なんだよね。 
2007年に公開された京極夏彦原作「魍魎の匣」 の映画版で、ロケ地だった大谷資料館を見た時には衝撃を受けたことを思い出す。
それ以降、「フランク・ロイド・ライトが愛した大谷石」などとコピーがついた栃木県へ誘う駅のポスターを目にしたりして、SNAKEPIPEも気になっていた場所だった。
ROCKHURRAHの提案に、喜んだSNAKEPIPEだよ!
宇都宮駅バス停から大谷資料館までは約30分。
この距離なら酔い止め飲まなくても大丈夫かな。(笑)

バス停から資料館までは少しだけ歩く。
周りを見渡すと、巨石がそびえ立ち、日本ではない場所にいるような感覚になってくる。
こんなに大きな石を切り出していたんだね!
いよいよ大谷資料館への入口になる。
そこにあった自動販売機が石になっていることに気付き、思わず撮影!
本当に石でできているわけではないけれど、大谷資料館らしくて楽しい演出だよね。
2010年12月の「SNAKEPIPEの九州旅行記 part2」では、ミリタリー・ショップWAIPERの店頭にあった自動販売機がウッドランド迷彩だったことに触れている。
外観を損なわない販売機、良いよね!

チケットを購入し、地下への階段を降りる。
開館して間もない時間のため、お客さんが少ないよ。
いよいよ地下探検の始まりだね!(笑)
降りていくうちにどんどん気温が下がってくる。
入館前にソフトシェルを着ておいて正解だったよ。
お客さんの中には半袖短パンの人がいたようだけど、軽装過ぎじゃないかな?
真冬でも半袖のTシャツ一枚の外国人を見かけることがあるので、体感は人それぞれだけどね。

「うおっ!これはっ!」
思わず声が出てしまうSNAKEPIPE。
かつて陸軍の秘密地下倉庫だったり、中島飛行機の地下軍需工場だった歴史があるというのが分かる景色だよ。
採石の跡が随所にあって、切り出された石が並んでいるのが見える。
下に降りていくのがワクワクだよ。
行き道と帰り道が仕切られているので、混雑することもなく、スムーズに歩くことができるね。

かなり広いので、ゆっくり撮影しながら観て回ると1時間以上かかっていたみたい。
どの場所も絵になるから、写真に撮りたくなるんだよね。(笑)
かつてカメラをぶら下げ、様々な場所を歩きまくっていたSNAKEPIPEだったら、大谷資料館で何本のフィルムを消費したことだろう?
もっとも、あの頃持っていたカメラでは、ここまで鮮明に映らなかったかもしれないけどね。
SNAKEPIPEが撮った写真の中で、一番のお気に入りがこれ。
まるで畠山直哉の写真みたいじゃない?(笑)

ROCKHURRAH撮影のこちら、ライトアップの素晴らしい色合いを捉えていてナイス!
石柱の後方に、十字の彫刻があるので、何か儀式に使われるようにも見えてくる。
神殿っぽいんだよね。
もしかしたら、ここは2008年にエンヤがクリスマス・ライブを行った場所かも。
幻想的で、舞台設定バッチリだよね!
エンヤについて詳しくないけど、確かにこの場所と音楽が似合うだろうね。
ここに行く道が分からなかったんだけど、もっと近寄って撮影したかったなあ!

歩いている途中で「良かったら記念撮影しませんか」と声をかけられる。
資料館のスタッフが待ち受けていて、行き交うお客さんに撮影を呼びかけているようで。
普段なら通り過ぎるSNAKEPIPEだけど、この時ばかりは記念写真が欲しいと思ったんだよね。
ROCKHURRAHと一緒に映る、マトモな写真がなかったから。(笑)
「これを持って『おーやいしー』と言ってください」
「しー」のところで笑顔になる作戦だね! 
資料館入り口で受け取り、代金を払う。
何故かROCKHURRAHの拳がグーの形になっていることに大笑いしてしまう。
「しー」の時、拳を突き上げ、おろした瞬間だったそうだ。
ライブの掛け声じゃないのにね?(笑)

自他共に認める雨男のROCKHURRAHが、珍しく天候に恵まれた旅行になったことが喜ばしい!
計画していた湯滝と大谷資料館に行かれて、大満足だったよ。
これで奥日光の三大名瀑といわれている華厳の滝、竜頭の滝、湯滝を制覇したことになるんだね。
そしてROCKHURRAHが誕生日プレゼントを気に入ってくれたことが何よりだよ。
また滝を観に行こうね! 

イサム・ノグチ 発見の道 鑑賞

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【イサム・ノグチ展のフライヤー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mから展覧会鑑賞のお誘いを受けたのは、1ヶ月以上前のことだ。
「イサム・ノグチ観たい!」
東京都美術館で開催されている「イサム・ノグチ 発見の道」は、2021年4月24日から8月までだけれど、松濤美術館での苦い経験から、早目にチケット予約をする。
鑑賞前にイサム・ノグチについて少し予習しておこうかな。(笑) 

1904 米国ロサンゼルス生まれ
父親は詩人の野口米次郎、母親は作家で教師のレオニー・ギルモア
1907 母レオニーと来日
1918 単身で米国に戻る
1923 コロンビア大学医学部に入学。
夜間はレオナルド・ダ・ヴィンチ美術学校で彫刻を学ぶ
1927 グッゲンハイム奨学金を獲得し、パリに留学する。
彫刻家コンスタンティン・ブランクーシに師事してアシスタントを務める
1935 日系人強制収容所に志願拘留されるも、芸術家仲間フランク・ロイド・ライトらの嘆願書により出所する
1951 山口淑子(李香蘭)と結婚(56年離婚)
1968 ホイットニー美術館で回顧展を開催
1987 米国国民芸術勲章受勲
1988 心不全により84年の生涯を閉じる

かなり端折って経歴を書いたけれど、イサム・ノグチがとてもドラマチックな人生を送っていたことが分かるね。
2019年3月の当ブログ「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」 にも、イサム・ノグチとイームズ夫妻の交流について書いているね。
「この人のことをもっと知りたいと思った」なんて書いておきながら、友人Mに誘われるまで展覧会に気付いていなかったとは!(笑)

予約した日は、どんよりしたくもり空。
久しぶりの上野公園は、人が少なめで歩きやすかった。
東京都美術館といえば、思い出すのが2016年5月の「若冲展」での大行列! 
あの時はもっと向こうのほうまで並んだよね、などと話ながら歩く。
現在は日時指定のチケット販売になっているので、もうあの時のように2時間待ちの行列を体験することはないだろうね。(笑)
当然ながらチケット販売枚数も制限されているので、会場内でも快適に鑑賞することができる。
美術館関係者の人数がお客さんより多いのではないかと思うほど、密が避けられていないのが不思議でならないよ。

早速会場に入ってみよう。
今回は撮影不可の3階展示場以外は、フラッシュや動画撮影をしなければ撮影オッケー!
バシバシ撮っていこう!

「わー!」
会場に入った瞬間、思わず声が出る。
イサム・ノグチの代表作の一つである光の彫刻「あかり」。
和紙を使用した「ぼんぼり」なんだけど、空間一面を覆う圧倒的な数は、とても迫力があるよ。
シンプルなのに、非常に美しくて幻想的だったね。

中央の「あかり」をぐるりと囲むようにブロンズの作品が展示されている。
画像は1945年の作品で「グレゴリー(偶像)」だよ。
イサム・ノグチの作品のタイトルは、「見たまま」の場合もあるけれど、意味不明のことも多いように感じる。
もしかしたら近所に住んでいるグレゴリーさんのイメージで制作されたのかもしれない。
ブロンズの色合いや全体のバランスが好き!と思ったSNAKEPIPEだよ。(笑)

地下から1階の会場に入ると、所狭しと作品が展示されている。 
正面に強い存在感を示しているのは、1958年から59年にかけて制作された「黒いシルエット」。
陽極処理をされたアルミニウムとのことだけど、それは一体なんだろう。
アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理することだって。
鈍い黒色が好みで、欲しくなった作品だよ!

こちらはブロンズで、「2=1」というタイトルなんだよね。
♪君と僕は二人で一人〜(にしきのあきら)
SNAKEPIPEには、抱き合っている2人に見えるので、このタイトルには納得しちゃったけど?
抽象的な絵画や彫刻は、観る人によって解釈が違うだろうね。
2021年3月、岡本太郎記念館の「対峙する眼」で鑑賞した「愛」に似た雰囲気だと思ったよ。
シンプルな形なのに、色々な想像ができるのが楽しいね。(笑)

「レディ・ミラー」は1982年から83年にかけて制作された作品。
鏡に光が反射したように輝いて見えて、とても神々しい。
角度を変えて、鏡部分を観ると、濁った金属にしか見えないところが不思議だよ。
素材は溶融亜鉛メッキ鋼版だって。
様々な金属を使用して作品作りをしていたことが分かるね。
太古の祭祀で使われていた、と言われたら納得しちゃうかも。(笑)

変則的な形の「あかり」シリーズと、右手前に「びっくり箱」という作品が展示されている。
「あかり」は、丸い形以外のデザインも素敵なので、自宅に飾りたくなるよ。
ミュージアム・ショップで少し小型の「あかり」が販売されていたけれど、割とお手頃価格だったのが意外だった。
「びっくり箱」もオブジェとして欲しいなあ。
どこに飾るか?(笑)

展示は2階に続いていて、石の彫刻が展示されていた。
金属の彫刻は撮影オッケーだったのに、石はNGだって。
鑑賞だけで満足したよ。(笑)

東京都美術館では「都美セレクション グループ展 2021」が開催されていたので、せっかくなので鑑賞する。
とても好みだったのが千葉大二郎の「八犬伝」シリーズだった。
大きな作品だったので、画像は部分のみ。
デジタル処理された迷彩をバックに、漢字が見えるんだよね。
タイトルを見て納得。
八犬伝に出てくる、玉に書かれた「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の文字なんだね。
調べてみると千葉大二郎は1992年鹿児島県奄美大島生まれ。
多摩美術大学卒業後、東京藝術大学大学院修了とのこと。
他の作品も観てみたいね!

アーティスト名が分からなかったんだけど、ドラマ「ハンニバル」に出てきそうな猟奇的な作品もあったよ。
椅子にかけられている茶色い布みたいな物が、まるで人間の皮膚に見えてしまったのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)
大きな貝殻も不気味で、ギョッとさせることに成功している作品だと思う。
グループ展は複数人が参加しているので、できればもっと分かりやすくキャプションをつけておいて欲しいな!

上から会場を見下ろした時に、最初に目に入ったのがこの作品だった。
キラキラ光っていて、気になったんだよね。
イサム・ノグチの作品に時間をかけていたので、「グループ展」はサラッと観ようとしていたけれど、できれば近付いて観たい!
例えばデオキシリボ核酸などの生体物質から着想を得たような形状は、金属と透明プラスチックの歯車みたいな素材で組み上げられている。
少しずつ増殖しているかのようで、ある種の生命体に見えるところが面白かった。
この作品も作者が分からず、残念だよ。

「イサム・ノグチ」も「都美セレクション グループ展 2021」もじっくり鑑賞できたよ。
イサム・ノグチの作品は、例えば横浜美術館の所蔵作品として鑑賞したことがあったけれど、個展は初めてだからね。
スケールの大きさと迫力に大満足だった。
抽象的な彫刻も魅力的だね!
鑑賞して良かった展覧会だったよ。

Holidays In The 散歩 靖國神社 遊就館

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【靖國神社の第一鳥居を撮影。巨大過ぎてびっくり!】

SNAKEPIPE WROTE:

最近少し太ってしまったSNAKEPIPE。
健康診断などでは「痩せすぎ」の判定が多かったので、油断していたせいもある。
一番の原因は、認めたくはないけれど加齢のために、代謝が悪くなっているからではないかと推測する。
運動不足も、間違いなく体重増加に拍車をかけているだろう。
少しでも抵抗するためにウォーキングを始めることにした。
仕事帰りに数キロの距離を歩くだけなので、大したカロリー消費にはならないかもしれないけれど?(笑) 
やらないよりは良いだろうということで、始めてみる。

何度となくブログに書いているけれど、SNAKEPIPEは強度の方向音痴!
自宅と会社の往復しかしていなかったので、会社周りの知識はゼロなんだよね。
スマホの地図アプリを頼りに、2駅や3駅分を歩くことに成功する。
疲労よりは達成感が大きく、初めて見る景色も新鮮で楽しかった。
かつては一眼レフカメラを首から下げ、知らない土地を歩き回っていたSNAKEPIPE。
あの頃は、シャッターを切る度にストレス解消していたっけ。(笑)

仕事帰りのウォーキングは続き、毎回同じ経路では面白くないと思い、 無謀にも違う道を選択してみる。
初めての道を歩いていると、長い塀に遭遇する。
この建物は一体なんだろうと思いながら歩いていると、大きな鳥居が目に入る。
もしかして、ここが靖國神社
参拝のご案内などの看板を発見し、間違いなく靖國神社だと分かる。
名前だけは知っている有名な神社だけど、行ったことがない場所!
そして「遊就館」という展示室があることも、看板を見て初めて知ったSNAKEPIPE。

ROCKHURRAHに話をすると、SNAKEPIPEと同じく靖國神社に行ったことがないと言う。
ちょっと足を伸ばせば行かれるのに、知らない場所が多いROCKHURRAH RECORDS。
散歩がてら行ってみようか、と思いついたのが新企画「Holidays In The 散歩」なんだよね!
命名者はROCKHURRAHで、もうお気付きだと思うけど、Sex Pistolsのシングル曲「Holidays In The Sun」のパロディだよ。(笑)
第一回目は靖國神社にLet’s Go!

ROCKHURRAHと出かけた日は、どんよりした空模様。
この時期は大雨も困るし、ピカピカの晴天も暑くて、うだる。
曇りが丁度良い散歩日和かもしれないね?
初めて訪れる靖國神社、先日横の道を歩き、巨大さに驚いた鳥居が正面に見える。
トップに画像を載せたように、これが靖國神社なんだね!
第一鳥居をくぐると、桜をモチーフにしたオブジェがランダムに配置されている。
どうやらこれは陶板で、日本各地から寄贈されているみたい。
とても美しくて、撮影しながら歩く。

大村益次郎像を見て、第二鳥居を過ぎると神門がお目見えする。
菊の紋章と厚みのある木材、そして鉄(?)の装飾。
全てがバランス良く、重厚な雰囲気なんだよね!
神社を訪れた記憶がほとんどないし、ましてや門に注目したのは初めてのこと。
1934年に建てられているらしいので、およそ87年前のことなんだね。
菊の直径は1.5mもあったんだって。
門にかなりグッときたよ!(笑)

こちらが拝殿。
2021年の正月は、毎年恒例だった初詣に行かなかったROCKHURRAH RECORDS。
今年最初の参拝になるので、これが初詣ということになるんだね。
一年の半分近くが経過してからの参拝は、初めてかも。(笑)
さっきから「初めて」という言葉を連発してるなあ!

続いて向かったのは遊就館。
「靖國神社と刀剣」という特別展が開催されているんだよね。
SNAKEPIPEがウォーキング中に見かけた看板で、気になった企画だよ。
遊就館は全体を鑑賞するのに約2時間かかるような、2階建ての広い施設だった。
展示は靖國神社所蔵の刀や甲冑だったり、明治から大東亜戦争までの近代史を解説していたりして、かなりボリュームがあるよ。

遊就館内での撮影は、限られた場所でのみ可能だった。
画像は入り口に展示されている零戦ね。
展示室の中央にも撮影可能な場所があって、「九七式中戦車」、「回天一型改一」や「彗星一一型」などを観ることができる。
戦闘機や人間魚雷の搭乗員を想うと胸が痛む。
特攻隊員の遺書や写真は、とても直視できなかったよ。

展示の中でSNAKEPIPEが興味を持ったのは、ファッションだった。
前述したように撮影ができなかったので、参考資料として載せたのが右の画像ね。
明治時代の軍服はディテールが細かくて、見入ってしまった。
袖口から肩にかけての刺繍が素晴らしい!
位が高くなると、刺繍も豪華になっていくんだよね。
このモチーフのルーツはヨーロッパなのかな。
帽子に付いているポンポンも気になるアイテム。
もっとフサフサのポンポンもあったので、やっぱり位を表していたんだろうね。

目が釘付けになったのは勲章。 
金鵄勲章という日本軍向けの武人勲章とのこと。
1890年、「武功抜群ナル者」に明治天皇が勲章を授与したという。
精巧な細工と色使いの美しさにうっとりしてしまった。
旭光の上に金色の霊鵄、下に大神宮の盾、矛、剣というデザインを考えたのは誰なんだろう。 
アメリカのサイトには、模造品が販売されていたよ。
現在品切れ中のようだけど、$160(約17,000円)なら欲しいマニアは多いだろうね。

遊就館のチケットで「靖國神社と刀剣」展の鑑賞もできるというので、早速入場してみる。
この展示は撮影可能とのこと。
まばゆい光を放ち、目が眩みそうになる刀がたくさん展示されている。
画像は水戸藩が明治2年に奉納した太刀。
日本刀が人気と聞いたことがあるのが分かる美しさだよ。
凶器ではあるけれど、芸術的だからね! 

これは勝海舟が所用していた指揮刀拵とのこと。
ケースのみで、刀はないみたい。
柄頭に「獅子」、鍔には「鷹」があしらわれていると説明されているけど、ケースの中ではわかり辛いかも。
隣には伊藤博文の指揮刀拵もあったよ。
 歴史上の人物が持っていた実物が展示されているのは、靖國神社ならではなんだろうね。

様々な日本刀の鞘に使用するパーツの展示もあった。
驚く程多彩な種類があり、当時はオリジナリティを競い合っていたのかも。
ものすごく細かい部分にまで装飾が施されていて、工芸品としての価値も高かっただろうね。
日本刀に詳しくないので、どこの部分に使うのかをパーツだけで見分けるのは難しかったけれど、職人技に感心したよ!
刀本体はもちろんだけど、鞘にも匠の技があって、日本の技術はすごいよね。

全ての鑑賞を終え、最後にミュージアム・ショップへ。
ROCKHURRAHはすぐにピンバッチを選び始め、戦闘機紫電改をチョイス。
2人で散々迷った挙げ句、購入を諦めたのが日本刀の形をした和菓子ナイフなんだよね。
和菓子ナイフが必要なのは羊羹食べる時くらいなので、今回はパス。
代わりに選んだのは零戦と軍艦大和がデザインされたグラスだよ!
まさか靖國神社で、こんなグッズが販売されているとは思わなかったね。
良い記念になったよ。

日本の首相が靖國神社を参拝すると各国から非難されるニュースを耳にすることがある。
例えばROCKHURRAH RECORDSが靖國神社を訪れても、そんな非難はないだろう。
靖國神社参拝が軍国主義や戦争礼賛とイコールではないからだ。 
戦争で亡くなった方々を悼んだり、歴史を知ることができた有意義な訪問だったと感じているよ!

近いうちにまたどこか散歩に行こうね、ROCKHURRAH! (笑)