驚きの明治工藝 鑑賞

【毎度お馴染み?公園入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

テレビ番組は録画しておいて、後から鑑賞することがほとんどである。
好きな時間を選ぶことができるし、 途中で席を外す時には一時停止すれば良いし。
テレビの前に座り続けることがないので、時間を有効に使いたい人には良い方法だよね!
難点としては、実際の放映よりもかなり時期を外してから鑑賞するため、リアルタイムで観て知っていたら行かれたかもしれない美術展を逃すこともある、ということ。

没後100年 宮川香山」もその一つの例だ。
宮川香山とは、壺や椀に本物と見間違うほどの精密な生物を立体的に貼り付けた、独特の作品が有名な陶芸家である。
超絶技巧と言われるほどのリアリティ!
その宮川香山の展覧会がサントリー美術館で2016年2月24日~4月17日に開催されていたことを知ったのはつい最近のこと!
録画を溜め込み過ぎてたってことだね。
情報を事前に知っていれば出かけていたはず!
残念だけど仕方ないね。(笑)

宮川香山の実物を観たかったね、と言い合っていたSNAKEPIPEとROCKHURRAH。
そんな時ROCKHURRAHが気になる企画を発見してくれた。
東京藝術大学美術館で開催されている「驚きの明治工藝」 である。

細密、写実的な表現で近年人気の高い明治時代を中心とした日本の工芸作品。
この「明治工藝」の一大コレクションが台湾にあることはあまり知られていません。
しかもこれらの作品は、すべてひとりのコレクターが収集したもの。
この「宋培安コレクション」から100件以上もの名品を、日本で初めてまとめて紹介します。

展覧会の説明を転用させて頂いたよ。
どうやら戦乱のために使用されていて武具を作っていた甲冑師が、江戸中期には需要が減ってきたために、花瓶や火箸などの民具を扱うようになったという。
これが工芸品製造の始まりなんだね。
それら民具が、今回展示されているような工芸品へと更なる発展を遂げたという。
その技術は外国での評価が高く、ほとんどが輸出されていたとのこと。
「一大コレクションが台湾にある」という上の説明がよく分かるね!
さて、一体どんな驚きの逸品が拝めるのやら?(笑)

小雨は土砂降りに変わってしまい、出かける日を間違えたかと思いながら上野に向かうROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
自称「雨男」のROCKHURRAHは「ほら、やっぱり」と言っていたけれど、「和牛ひつまぶし」を食べている間に雨はやんでいた。(笑)
最初は寒いくらいに感じていたのに、雨が上がった途端に湿度が上昇!
雨も困るけど、湿度もイヤだなあ。
上野公園をゆっくり歩いて東京藝術大学美術館に向かう。
実は藝大に美術館があることを知らなかったSNAKEPIPE。
当然ながら初めて行くことになるね!

東京藝術大学の道を挟んだ向かい側に美術館はあった。
どちらかというと「こじんまり」した建物だけれど、なかなかお洒落!
チケット代金大人1300円。
一般的な展覧会と同じくらいの金額だよね。
螺旋階段を使い開催されている地下2階に降りて行く。

1番最初に展示されていたのが、今回の目玉の一つである宗儀の「自在龍」!
少し離れないと全体を把握することができない、3mの大作なんだよね。
「最初にこれか!」
ROCKHURRAHが言う。
確かにこれは、例えばLAUGHIN’ NOSEが1曲目に「Get The Glory」を演奏するような感じだもんね?
えっ、例えが分かりにくい?(笑)

東京藝術大学美術館は一部の作品を除いて、撮影オッケー!
やったー!撮りまくるぞ!(笑)

ここで少し説明をしてみよう。
上の「自在龍」というのは、写実的に製作されている上に、体節・関節を本物通りに動かすことができるんだよね!
ハンス・ベルメールの「球体関節人形」どころではない細密さを持つのが特徴で「自在置物」としてカテゴライズされているという。
えー!あの巨大な龍の胴、手足、首、尾が動くなんて!
これはすごい。
一点目からすっかり驚愕するSNAKEPIPE。

それから先も「自在置物」シリーズが展示されている。
ガラスケースの中にある「自在置物」を夢中で撮影するSNAKEPIPE。
ところが…。あとで確認するとほとんどがピンぼけ!
がーん。撮影オッケーだったのに、何の意味もないよ!
photostudioを名のる資格なし…。(しょぼーん)
仕方ないので1枚だけネットで探してきた画像を掲載させて頂こう。
明らかにトーンが違うけど、許してね!

これも「自在置物」ね。
素材が鉄なのに、ウロコのひとつひとつの細工の細かさったら!
今にも動きだしそうなほどのリアリティ。
ここまでの卓越した技術が手作業で行われているとは。
匠の技ってすごい、と改めて思う。

この「自在蛇」を動かしている動画があるので載せておこうね。

舌まで動くとはね!(笑)

SNAKEPIPEが撮ったピンぼけ写真なんだけど。(笑)
トンボや蜘蛛などの昆虫類ね。
なんとなくの影で分かるよね?
どれも10cmくらいの小ささなんだけど、全部「自在置物」なんだよね!
この小ささを動かす、というのはどれだけの技術なんだろうか?
内部の細工についての展示もあったけど、仕組みがよく分からなかったよ。
こんな置物は外国人ならず、現代人でも驚きに値するよね。

自在置物以外にも様々な工芸品があったよ。
加納夏雄の「梅竹文酒燗器 明治6年(1873)」に目を奪われる。
銀製でピカピカでとてもキレイなんだよね!
六本木ヒルズにある外国人向けの高級な「Made in Japan」 製品が並んでるお店に売っていそうな逸品!
こんな作品を今から約150年前に制作していたとは!
その時代の日本人の美意識の高さって素晴らしいね。

美意識の高さに驚いた後、グロテスクな一面も目の当たりにすることになる。
木彫の置物「髑髏に蛇」は亮之によるもの。
非常にリアリティがあるため、とても不気味な作品なんだよね。
亮之について調べてみると、泉亮之が正式な名前みたいね。
蛇と髑髏を得意とする彫刻家って、そのまんま!(笑)

泉亮之は得意とする髑髏の研究のため塚より頭蓋骨を掘り出し、寝食を忘れ研究を行ったと伝えられる。

wikipediaにこんな説明文を発見!
これは江戸川乱歩の世界じゃないの!(笑)
ロシアの皇帝に作品を買い上げられたとか、大隈重信が泉亮之の作品がついた杖を愛用していたという記事もあったので、グロテスクだけれど認知され評価されていた、ということが分かるね。
どんな作品だったんだろう?
非常に気になるよね!(笑)

不気味な作品をもう一点。
恵順の「山姥香炉」(やまんばこうろ)だよ!(笑)
置物に「山姥」をモチーフにするセンスってどうなんだろう?
更に焚いた煙が「山姥」の口から出る構造になっていることにも注目!
香炉を使う目的は人それぞれだろうけど、香りを楽しむようなアロマ風の使い方の時に、醜悪な老婆の口からの香りで癒されるのか?(笑)

遠目で観た時には、単なる風景画だと思っていたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
明治の工芸品をナメてました、スミマセン!
近寄ってみて初めてそれが天鵞絨友禅(びろーどゆうぜん)や刺繍による作品だったことが分かる。
染色について詳しくないSNAKEPIPEなので、調べてみることにする。
そもそも友禅染とは何か?
でんぷん質の防染剤を用いる手書きの染色を友禅というそうだ。
ビロードというのは表面がループ状に毛羽立った生地のため、友禅染が非常に難しいらしい。
それを明治時代に京都の西村惣左衛門が可能にして、輸出用の壁掛けが制作されたという経緯があるとのこと。

上の画像は刺繍作品なんだよね。
「瀑布図額」は無銘とされているので、職人さんの仕事の一つだったんだろうね。
迫力のある滝を刺繍糸でここまで表現するとは!
日本にはほとんど作品が残っていない、というのが残念だね。

ここ最近「生誕300年記念 若冲展」や「怖い浮世絵展」などの江戸から明治時代の展覧会を続けて鑑賞しているROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
現代アートが好みだと思っていたのに、古い時代の作品に触れてるんだね。(笑)
いやいや、温故知新という言葉通り、驚くような発見が多いからね!
江戸中期からの日本人の匠の仕事には感服してしまう。
オートメーション化が進んだ現代でも、「自在置物」を作るのは難しいんじゃないかな?

シュールな作品を好む傾向にあるROCKHURRAH RECORDSは、例えばリアルに描かれた油彩画にはそこまで反応しない。
ところが今回の工芸品のリアリティには感嘆の声をあげてしまう。
日本の職人技の世界!
「自在置物」、一つ欲しいよね。(笑)
鑑賞できて良かったなあ!

今回の展覧会は台湾の宋培安という人物のコレクションの展示とのこと。
宋培安は漢方の薬剤師で、健康薬品の販売や生命科学の講座を開設し、思想家であるカントを研究しているという人物だという。
道徳の世界へ導くためにも、美を理解する能力が必要であるというカントの精神を大切にしていることからコレクションが始まったようで。
2014年に鑑賞した「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」も台湾のヤゲオ財団のコレクションの展示だったよね。
台湾にはコレクター多いのかな。
経済的にも余裕があるってことだね。
日本の財団や美術館にも頑張ってもらって、世界に誇れるコレクション集めて欲しいよね!

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