収集狂時代 第14巻 高額アート編#03

20200112 top
【2019年に高額取引された女性アーティスト1位はルイーズ・ブルジョワ】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は、2019年の総決算として、サザビーズやクリスティーズのオークションで高額取引されたアート作品について特集してみよう。
当ブログのカテゴリーである「収集狂時代」を始めるきっかけになったのが、高額アート作品の紹介だったので、初心にかえった感じだね!
ここで余談だけど、「初心にかえる」について調べたSNAKEPIPE。
「帰る」か「返る」なのか迷ってしまったんだよね。
結局ひらがなで表記することにしたんだけど、漢字とか言い回しって、本当に難しい。

さて、それでは早速オークション結果を発表しよう!
まずは10位!
デヴィッド・ホックニーの1969年の作品「Henry Geldzahler and Christopher Scott」だよ。
ポップ・アートにも影響を与えたイギリスのアーティストだね。
正面を向きソファに座っている男性と、あらぬ方角を見つめながら直立する男性。
2人の視線は絡んでいないように見えるよ。
この絵はまるでスウェーデンの監督であるロイ・アンダーソンの作品「さよなら、人類(原題:En duva satt på en gren och funderade på tillvaron 2014年)」のワンシーンのように見えるよ。
この映画の感想については、2016年7月に「映画の殿 第21号 さよなら、人類」として感想をまとめているので、御覧ください!
どうやらホックニーの絵画に登場しているヘンリーさんとクリストファーさんはカップルだったようだけど、一体どんなシチュエーションなのかと想像するのは楽しいかも。
ちなみにオークションでの落札価格は$49.5 million、日本円で約54億1800万円!
10位でこの金額とはね。(笑)

9位にランクインしたのは、マーク・ロスコの1960年の作品「Untitled」 。
ロスコは高額で取引されるアーティストの常連だよね。
マーク・ロスコについては、今まで何度かブログに書いていると思うけど、改めて書いてみようか。
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館 には、世界で4つしかない「ロスコ・ルーム」があるんだよね!
ロスコの絵画は、実物を観る必要があるかもしれない。
「ロスコ・ルーム」に足を踏み入れると、なんとも言えない感覚に襲われるんだよね。
あんな部屋を作りたいと思ったら、高額でも購入するんだろうなあ。
SNAKEPIPEも、お金があったら自分だけの物にしたいと思うよ。
到底ムリだけど!(笑)
この作品は$50.1 million、日本円で約54億8400万円だって。
「美術館が手放すということは、大した作品ではないからだ」とディーラーが話したとか?
54億円出しても買う人がいる作品なのに、駄作扱いされるなんて驚き!(笑)

8位はフランシス・ベーコンの「Study For A Head」、55億1600万円だよ!
映画「戦艦ポチョムキン(原題:Броненосец «Потёмкин» 1925年)」に登場する老婆をモチーフにした作品だね。
高額取引ランキングでは、必ず登場するベーコン。
ベーコンさんに関しては、「SNAKEPIPE MUSEUM #07 Francis Bacon」や「フランシス・ベーコン展鑑賞」など、今まで何度も書いているので、今回は割愛しようか。(笑)

7位はエド・ルシャの1964年の作品、「Hurting the Word Radio #2」。 
RADIOという文字が金属クランプによって、縮められたり伸ばされている。
一体どんな意味が込められているんだろう?
実はエド・ルシャというアーティストについては、初耳だったSNAKEPIPE。
1937年アメリカのネブラスカ州生まれというから、今年で83歳かな。
1960年代より絵画、版画、写真、映画に携わっていたという。
検索してみると、文字を取り込んだ絵画作品が多いみたいだね。
1962年に自費出版した写真集「Twentysix Gasoline Stations」は、様々なアーティストに影響を与えたらしい。
近所のガソリン・スタンドを遠景で撮影した26枚の白黒写真だという。
単なる記録写真といえば、それまでだけど、群写真と考えるとコンセプチュアル・アートなんだよね。(笑)
現代写真のさきがけになるのかな。
今回オークションにかけられたルシャの作品は、$52.5 million、日本円で約57億4600万円!
ルシャの他の作品も観てみたいね。 

6位はアンディ・ウォーホルの「Double Elvis [Ferus Type] 」。 
エルヴィス・プレスリーが2つ並んでいる有名な作品だね!
クリスティーズで落札された価格は日本円で約58億円だよ。
5位はパブロ・ピカソの「Femme au chien」で、約60億円。
ついに60億を超えたね!(笑)
それにしても10位から見てみると、ランキングとは言っても、金額はほんの2、3億の違いだけだよね。
などと書いてはみたものの、本当は1億だって大変なんだけど。(笑)
4位はポール・セザンヌの「Bouilloire et fruits」。
印象派の巨匠であるセザンヌも、高額取引ランキングの常連だよね。
ここで一気に65億円になったよ!(笑)

ついに第3位になったね!
ロバート・ラウシェンバーグの「Buffalo II」は1964年の作品だという。 
目を引くのはやっぱりケネディ大統領だよね。
ラウシェンバーグは「コンバイン(結合)・ペインティング」と呼ばれる、様々なオブジェを取り込んだ作風で知られているアーティスト。
2013年9月に鑑賞した「アメリカン・ポップ・アート展」で、「今回の展覧会で一番感銘を受けたアーティスト」として、感想をまとめたっけ。
「Buffalo II」の落札価格は$88.8 million、日本円で約97億2000万円!
ラウシェンバーグの貴重な初期作品のほとんどは、すでに美術館や個人のコレクターによって所蔵されているとのことで、オークションに出る機会が稀だったため、価格が引き上がったという。
ラウシェンバーグの大規模な展覧会、是非観たいね!

2位はジェフ・クーンズの「Rabbit」。 
2014年に書いた「収集狂時代 第2巻 高額アート編#02」でも、クーンズの別の作品が3位にランクインしていたんだよね。
ジェフ・クーンズは、キッチュな題材を巨大化した作品が特徴で、賛否が極端に分かれる評価を受けているという。
今回登場の「Rabbit」も、風船ウサギを型取りしてから、ステンレスで鋳造後鏡面仕上げされたという、ふざけた印象の作品とのこと。
村上隆のフィギュアなどにも通じるオモチャっぽい作品だけど、落札価格は驚きの$91 million、日本円で約99億6000万円!
「クーンズの作品は高額」というレッテルを美術界に浸透させた、クーンズの作戦勝ちに思えてならないよ。
本気で素晴らしいと感じる人もいるようなので、価値観はそれぞれ、だけどね。(笑)

堂々の1位はクロード・モネの「Meules」、一般的には「積みわら」として有名な作品になるんだね。
夕日なのか朝日なのか分からないけど、積みわらの後方から差し込む光が印象的な作品だね。
2012年に公開されたマイケル・ホフマンの「モネ・ゲーム(原題:Gambit)」は、モネの「積みわら」を使って大金をつかもうとする話だったことを思い出す。
モネの作品は高額、というのは周知の事実ということなのかな。
NHKスペシャルでやっていた「モネ 睡蓮(すいれん)~よみがえる“奇跡の一枚”~」を偶然観たROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
長年行方が分からなくなっていた、「睡蓮・柳の反映」が半分ボロボロの状態で見つかったことから、その修復をするというドキュメンタリーだったんだよね。
印象派には、今までほとんど興味を示したことがないROCKHURRAH RECORDSなので、モネのタッチを出すのに苦労している様は興味深かった。
そして国立西洋美術館の女性館長と女性スタッフの厳しい表情にも大注目してしまったよ。(笑)
モネの「積みわら」は$110.7 million、日本円で約121億円!
1986年にオークションにかけられた時は、1億1000万程度で落札されたというから、ものすごい利益率だよね。
株みたいな儲け主義になっているようで、作品の価値の意味合いが変化しているように感じるよ。

2019年の傾向は、TOP10に女性アーティストが入っていないこと。
15位にルイーズ・ブルジョワの「spider」が約35億円で登場しているのが女性の第1位なんだよね。
ブルジョワの蜘蛛シリーズは、六本木ヒルズで鑑賞することができるので嬉しい。(笑)

そして1960年代の6作品がランクインしていることかな。
5年前に始めた「収集狂時代」の時と、登場するアーティストに変動がない点にも気付く。
今から5年後はどうなっているんだろうね?
確認してみたいと思う。

窓展/MOMATコレクション 鑑賞

20200105 top
【窓展の入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEが担当する2020年初のブログだね!
今年もよろしくお願いいたします。

今回は2019年の最後に書いた「パラサイト/パッション20 鑑賞」 の続きを紹介していこう。
国立近代美術館工芸館で「パッション20」を鑑賞した後、その足で国立近代美術館に向かった友人MとSNAKEPIPE。 
歩いて10分程度の場所に美術館があるので「はしご」ができるんだよね。(笑)
それにしても映画から始まり、工芸館の鑑賞後にもう一つの展覧会を回るとは、ハードスケジュールだよ!

少し北風が強まってきた中、北の丸公園を散策しながら工芸館へ。
もう少し気温が高くなったら、ゆっくり散歩したい公園だね! 
前回、国立近代美術館に来たのは2016年9月の「トーマス・ルフ展」だったっけ。
あの時は友人MとROCKHURRAHという「あやしい3人組」だったね、などと話しながら到着。
館内に入り、チケットもぎりの場所で撮影について尋ねる。
一部撮影禁止の作品があるとのこと。
「トーマス・ルフ展」の時には、ウェブにアップする際には作品名や「国立近代美術館」という記載をする必要があったけれど、そういった規制もないみたい。
外国人観光客も多いし、インスタグラム等SNSが流行している現在、3年前とは状況が変わったんだろうね。

それでは早速気になった作品を紹介していこう!
と書きたいところだけど…気になる作品のほとんどが撮影禁止だったんだよね。
マルセル・デュシャンの「フレッシュ・ウインドウ」やリキテンシュタインの「フレームIV」など観たいと思っていた作品を画像でお伝えできないのが残念!

撮影できた作品で気になったのは、林田嶺一の「とある日用雑貨店のショーウインドーケース」。
1933年旧満州生まれの林田が、子供時代に見た戦争の記憶をもとに作った立体作品とのこと。
ロシア文字が並んでいるかと思うと、和服の女性が描かれていたりして、旧満州の雰囲気が表現されているみたい。
調べてみると、林田の作品はポップアートとして位置づけられているみたい。
確かに戦争の悲惨さを訴えるというよりは、純粋に子供だった頃の記憶や見たままを再現しているようで、とても可愛らしいんだよね。
SNAKEPIPEは少女時代に夢中だった「文化屋雑貨店」を思い出したよ。(笑)
現在87歳になる林田は、今でも絵を描いているというから恐れ入る。
「窓展」で初めて名前を知ったアーティスト。
鑑賞できて良かった!

山中信夫の「ピンホール・ルーム1」 は20枚を1組とした作品なんだよね。
この作品について説明されている文章を探してみると、「針穴を通して入り込む光を壁に貼られた複数のフィルムに収め、感光したフィルムはコンタクトプリントで原寸のまま焼かれ、写真はフィルムを並べた時と同様に再現され展示されるという作品」とのこと。
どうやら山中は自宅の窓を全て塞いで真っ暗にして、5円玉の穴から差し込む光を印画紙に露出させ、作品を制作していたようなんだよね。
およそ2.5mの正方形に近い大型作品というせいもあり、非常に重厚な印象を受けた。
山中は1948年大阪生まれ、69年多摩美術大学油絵科に入学する。
82年にパリ・ビエンナーレに出品し、個展が決定したパリとニューヨークの下見をするための渡米中、敗血症のため客死したという。
写真を現代アートの素材として使用する日本人の先駆けだったんじゃないかな?
34歳という若さで亡くなったのが惜しいアーティストだね。

国立近代美術館は常設展が素晴らしいんだよね。
前回までは「撮影禁止」だったはずだけど、念の為に確認してみる。
なんと、一部を除いてオッケーとのこと!
いろんな規則が変化してるんだね。 
やったー!可能な限り撮影していこう!(笑)

村山知義の「コンストルクチオン」は1925年の作品。
20年代の日本にダダっぽい作品があるとは驚き!
木片、紙、木、布、金属、皮が使用されているという。
どうやら右上に貼られているのは、ドイツのグラフ誌らしいよ。
村山知義は1922年にベルリンで様々なアートに出会っているというから、当時のヨーロッパを実際に体験した人物ということになるんだね。
1924年には構成主義についての本、1925年にはカンディンスキーについての著作があるというので、バウハウスを直接現地で知っていたんだろうな。
なんとも羨ましい境遇!
20年代の日本でも、かなり進歩的だったことがわかったよ。
村山知義は非常に興味深い人物なので、もう少し調べていきたいと思う。

尾藤豊の「シベリア紀行」は1958年の作品だよ。
赤、白、緑という3色のみ使用したシンプルだけど、ダイナミックな構図。
潔さが感じられて、気になった作品なんだよね!
尾藤豊について調べてみると、1926年生まれで1943年に東京美術学校建築科に入学だって。
1950年代から60年代にかけて、ニッポン展や日本アンデパンダン展に出品するかたわら、「フォール」や「革命的芸術家戦線」などのグループを次々と結成し、批評的な芸術運動を積極的に展開したというアーティスト。(福岡県立美術館の説明文を一部流用)
ちょっと過激なタイプだったのかもしれないね?

河原温の「物置小屋の出来事」は1954年の作品。
紙に鉛筆だけで描かれているのにも関わらず、非常にインパクトがあるんだよね。
棒状の物体が描きこまれるにつれ、徐々に画面が狭くなり圧迫感が増してくる。
息苦しくなり、不安な気分に襲われる。
塩田千春の展覧会「魂がふるえる」を思い出したよ。
他の作品も鑑賞してみたいね。

中村正義の「源平海戦絵巻」は1964年の作品。
これは小泉八雲原作の「怪談」を、小林正樹が監督し1965年に映画化、劇中で使用された絵画だという。
実はROCKHURRAHとSNAKEPIPE、映画の「怪談」鑑賞してるんだよね!
映画は4つのオムニバスで構成され、その中の「耳なし芳一」に登場した絵画とのこと。
確かに「すごい絵!」と言いながら鑑賞した記憶があるよ!(笑)
絵巻は5部作で、どれも素晴らしいんだよね。
日本画壇の風雲児や反逆の天才画家などと称される中村正義。
その生き方、パンクっぽくて気になるなあ!

最後の作品はこちら!
中西夏之の「コンパクト・オブジェ」は1962年の作品なんだよね。
これはポリエステル樹脂製の卵で、中に様々な物が入っているのが透けて見える。
魚の骨だと思われる物と金属製の何かがあるおかげで、まるでエイリアンの卵だよ。
リドリー・スコット監督による映画「エイリアン(原題:Alien 1979年)」 のデザインを担当したのはH・R・ギーガーだったよね!
ギーガーよりも制作年が早い中西夏之のオブジェが、山手線のホームや車内で行う「ハプニング」用だったと聞いて驚いてしまう。
「ハプニング」とはパフォーマンス・アートのことで、ゲリラ的な行動を起こすアートのこと。
例えば60年代、草間彌生がニューヨークで裸の男女に水玉をボディ・ペインティングする「ハプニング」を行っている。
「ハプニング」は行動なので、写真や動画が残っていないと「やったよ」という宣言だけで成り立つアートなのかどうかは不明。
中西夏之の「ハプニング」について詳細は分からなかったけど、こんな卵を突然見せられたら、ギョッとすること間違いなしだよ。(笑)
日常に突如現れた異物、というコンセプトだったのかなあ。
SNAKEPIPE MUSEUMに陳列したい逸品だね!

エイリアンについて調べてから眠ったせいで、おかしな夢を見てしまった。
教室で授業を受けているSNAKEPIPE。
黒板に先生(教授?)がエイリアン、と白墨で書いている。
先生が誰だったのかは覚えていない。
「いいですか、エイリアンはオスなんですよ。メスは語尾が変わってエイリアンヌになります」
と言いながら「アン」に下線を引き、下に「アンヌ」と書いている。
「そうなんだ、メスはエイリアンヌなんだー」
と感心している、という夢だったんだよね。
久しぶりにトンチンカンな夢を見たなあ!(笑)

SNAKEPIPEのおかしな夢は良いとして。
先にも書いたように、以前鑑賞した時には撮影ができなかった近代美術館の常設展。
今回は、ほとんどの作品が撮影可能で大満足だった。
鑑賞して気に入っていても、作品と作者名を同時に覚えておくことは難しいため、感想を書くことができなかったからね。
今までほとんど知らなかった日本のアーティストについて、調べることができて嬉しい。
様々な展覧会で自由度が高くなると良いね!

パラサイト/パッション20 鑑賞

20191229 top
【近代美術館工芸館のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

展覧会や映画の鑑賞など、何かしらのイベントを共有することが多い長年来の友人Mと、年内最後に会うを約束をした。
何か行きたいところはないか尋ねると、映画と展覧会の提案を受ける。
さすがは情報収集能力に優れた友人M!
ここに行きたい、と即答できるんだよね。

友人Mから誘われた映画は「パラサイト 半地下の家族(原題:韓: 기생충、英: Parasite 2019年)」だった。 
ポン・ジュノ監督の作品はほとんど鑑賞済のROCKHURRAH RECORDS。
主演のソン・ガンホについては、以前より「ラフィン・ノーズのポンに似てる!」と注目していて、出演作を好んで観ているんだよね!(笑)
「パラサイト」は、第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している話題作! 
公開は2020年1月10日だけれど、先行上映されることになったとのこと。
TOHOシネマズ 六本木ヒルズでは、12月27日に舞台挨拶付プレミア上映を行うという。
監督のポン・ジュノと主演のソン・ガンホが舞台挨拶を行う特別プログラムだというので、本当はその回に行ってみたかったけれど、席順の予約ができないという点がひっかかる。
監督と俳優の実物を目にできるのは魅力だけど、やっぱり映画を好きな席で観たいんだよね。(笑)
そのため都内で先行上映をすることになったTOHOシネマズ 日比谷で、座席を予約して観ることにする。
3日前から予約できるので、友人Mがその役割を買って出てくれた。
SNAKEPIPEが予約するのでは不安があるらしい。(笑)

無事に席の予約をしてもらい、日比谷に向かったのである。
TOHOシネマズ 日比谷は2018年3月にできたばかりの劇場なので、とてもキレイだった。
恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそうだよ。
「パラサイト」のトレーラーを載せておこうか。

簡単にあらすじを載せておこうか。

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。
長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。
そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。
この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく。(Filmarksより転記) 

恐らく東京で一般公開された「パラサイト」の初回になるんじゃないかな?
話題作なだけあって、劇場は約8割ほど席が埋まっていたよ。
「ネタバレ厳禁」とされているので、詳しく話せないのがもどかしい。(笑)
まだ鑑賞していないROCKHURRAHにも話せないのが辛いところ。
意外な展開に驚いたり、大笑いしたり、人によって感想が違うんじゃないかなと予想する。
それにしても、昨年パルムドールを受賞した「万引き家族」に似せた副題を付けなくても良いのになあ。
機会があったら、是非鑑賞してみてね!(笑)

続いて友人Mと向かったのは竹橋にある東京国立近代美術館工芸館
ここでは「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」が開催されている。
東京国立近代美術館には何度か足を運んでいるけれど、工芸館は初めてかも?
この日は晴れていたけれど、風がものすごく強かったので、少しの時間を外にいるだけでも冷えてしまうほどだった。
もう少し風が弱ければ、北の丸公園を散策するのも楽しかったかもしれない。
工芸館はこちら、の案内に沿って歩くことおよそ10分。
見えてきた工芸館はレトロでオシャレだったよ!
調べてみると、明治43年に建築された旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものらしい。
2020年のオリンピックを目処に石川県に移転予定の情報を目にして驚いた!
移転前に来て良かったね、と友人Mと話す。
チケット料金、250円にびっくり!
近代美術館のチケットも同時に購入し、工芸館の後で行くことにする。
それでは工芸展で気になった作品の感想をまとめていこうか。

宮川香山作「鳩桜花図高浮彫花瓶」の実物を目にできたのは嬉しかった。
1871年〜82年の作品とキャプションが付けられていたけれど、今から140年程前にこんなに斬新な陶器を制作していたなんてね!
2016年10月に鑑賞した「驚きの明治工藝」でも香山の作品を目にしているはずだけど、ここまで立体が貼り付いているものではなかったような?
その時の記事にも香山について触れているので、今回鑑賞できて良かった!(笑)

小名木陽一の「赤いてぶくろ」は1976年の作品だという。
このサイズ感は作品と対峙する必要があるかもしれないね?
画像では分からないかもしれないけれど、実際には手の中に人間がすっぽり収まってしまうほどの大きさなんだよね。
説明文によれば、この作品は織物なんだって。
小名木陽一が独自に考案した立体織の手法により、これほどまでに大きな作品が可能になったという。
これぞ現代アート!という観た瞬間の驚きが素晴らしい作品だったよ。

鈴木長吉「十二の鷹」の見事なこと! 
本物の鷹がいるかのような圧倒的な存在感なんだよね。
1893年の制作だというから、これも香山と同じように明治時代の作品ってことになる。
鈴木長吉は実際に鷹を飼って、習性や骨格を観察したと説明されている。
ここまでの立体作品を作ることができる技術の高さが認められて、帝室技芸員になったという鈴木長吉。
帝室技芸員って何だろう?
wikipediaによると「帝室技芸員とは戦前の日本で宮内省によって運営されていた、日本の優秀な美術家・工芸家に、帝室からの栄誉を与えてこれを保護し、年金や制作費を与える制度」とのこと。
宮川香山も任命されていたようだね。
香山の陶器も、長吉の鷹もSNAKEPIPE MUSEUMにコレクションしたい逸品だよ!(笑)

磯矢阿伎良の「花文棚」は1930年の作品とのこと。
漆、蒔絵と説明されている。
蒔絵とは「漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔くことで器面に定着させる技法(wikipediaより)」とのこと。
黒い漆をバックに、赤と金の模様が映える逸品!
和風というよりはアラビア文字のように見える柄に強く惹かれたSNAKEPIPE。
棚とされているけれど、中がどうなっているのか観てみたかったよ。

内藤春治は東京芸術大学名誉教授の鋳金家だという。
「壁面への時計」は1927年の作品で、青銅を材料にしていると説明されている。
文字盤の美しさはもちろんだけど、周りを囲むアール・デコを取り入れたフォルムに目を奪われる。
右上に突き出たパーツが、斧のようにも見えて、ロシアっぽい雰囲気も感じるんだよね。
実際に時計として機能するのか、オブジェなのかは不明だよ。
1920年代といえば、シュールリアリズム、ロシア・アヴァンギャルドやバウハウスなど、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなアート真っ盛りの時代。
日本にもこんなに素敵な作品があったことを知って、嬉しくなるよね!(笑)

関谷四郎の「赤銅銀十字線花器」を観た瞬間「PUNK!」と思ったSNAKEPIPE。
だってピラミッド型のスタッズが並んでるんだもんね。
しかもシルバー色!(笑)
赤銅と銀を使用した1975年の作品なんだけど、持って帰りたくなるほど気に入ってしまった。
花器と書かれているので花瓶なんだろうけど、 どんな花が似合うんだろうね?
関谷四郎は秋田生まれの鍛金家で、昭和52年に人間国宝に認定された人物だという。
他にはどんな作品を制作していたのか、観てみたいよね!

川口淳の「箱」は1991年の作品。
どんどん時代が現在に近づいてきてるね。(笑) 
磁器とアルミ板を使用した作品なんだけど、 基盤や模造の宝石が側面に貼り付けられていて、なんともキッチュな装い。
そのオモチャっぽさが、非常に魅力的なんだよね!
秘密の宝物入れに欲しくなる逸品!
他人から見たらガラクタなのかもしれないけど、自分には非常に大事な物って意味の宝物が似合いそう。
川口淳の磁器は販売されているようで、カラフルで良い感じだよ!

「パッション20」の最後に展示されていたのは四谷シモンの「解剖学の少年」だった。
四谷シモンについては、2011年10月に「SNAKEPIPE MUSEUM #12 Hans Bellmer&四谷シモン」として記事にしているね。
友人Mは四谷シモン主催の人形学校、エコール・ド・シモンに通うかどうかずっと考え続けているほどの大ファン!
この展覧会に作品が出品されていることも知っていたという。
四谷シモンの少年の人形は、どのタイプも美しい顔立ちなんだよね。
この人形は臓器が露わになっていて、美とグロテスクが共存しているのにも関わらず、静謐な雰囲気を持っているところが不思議だよ。

東京近代美術館工芸館を初めて訪れて、レトロな雰囲気の建物にも満足だった。
目黒の庭園美術館に似ているように感じたけど、建造された年代が近いんだね。
どちらの建物にも、当時のモダンさと独特の良さがあるので、是非良い状態で保存されると良いな!

工芸館を鑑賞した後、近代美術館にも足を運んだ友人MとSNAKEPIPE。
この続きは来年まとめる予定だよ!

2019年も残りわずか。
今年は様々な展覧会に出かけたり、トレッキングの真似事をしたり、外出する機会が多かったROCKHURRAH RECORDS。
来年はどんな記事を書いていくことになるのか、お楽しみに!
どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
皆様、良いお年を!(笑)

動きの中の思索―カール・ゲルストナー 鑑賞

20191222 01
【gggの入り口をいつもとは違う角度から撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)で開催されている「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」を鑑賞した。
前回gggにお邪魔したのは「Sculptural Type」を鑑賞した2019年9月のことだったので、およそ3ヶ月ぶりになるんだね。
今年は3回も通っているとは驚いてしまうよ。
活発になったなあ、ROCKHURRAHとSNAKEPIPE!(笑)
gggは「多くの方々にグラフィック・デザインの素晴らしさと出会う機会をご提供する」という趣旨の基に、展覧会を企画しているので、全て無料というのも魅力なんだよね。

今回スポットが当てられたのは、スイスを代表するグラフィック・デザイナー、カール・ゲルストナーだという。
SNAKEPIPEは初耳なので、少し経歴を調べてみようか。 

1930年 スイス生まれ
1945年 フリッツ・ビューラー・スタジオにて見習いとして経験を積みながら、バーゼル工芸学校でエミール・ルーダーとアルミン・ホフマンに師事
1949年 ガイギー社の著名なデザインチームの一員となる
1959年 コピーライター兼編集者のマルクス・クッターと共に広告代理店Gerstner + Kutterを設立
1963年 建築家パウル・グレディンガーを迎え、社名をGGKに改名する。GGKは、スイスとその後のドイツで最も成功した機関の1つで、多くのヨーロッパ諸国に支社があったという。
1970年 広告業界から引退した後、出版に携わるようになる
1981年 アート・マガジンのコンサルタントを務める
2017年 死去

カール・ゲルストナーは、スイスのタイポグラフィとグラフィックデザインに大きな影響を与えた。
また、アーティストとして体系的な色彩とフォルムの言語を構築し、芸術と日常生活の関連づけと、環境の機能的かつ美的なデザインを訴え続けた。

gggのHPに載っていた文章を転記させていただいたよ。
1965年、当時30歳前後の若さで活躍していたグラフィック・デザイナーたちの仕事を紹介する展覧会「ペルソナ」が松屋銀座で開催されたという。
その時海外から招聘されたデザイナーがカール・ゲルストナーだったとは!
当時の日本では、恐らく今とは比べ物にならない程グラフィック熱が高かったのかもしれないね?
貪欲に情報をかき集めて、海外のデザイナーから多くを吸収しようとしていたのかもしれない。
60年代には既に日本でも有名だったカール・ゲルストナー。
一体どんな作品なんだろうね?

ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのはモノクロームの世界。
総天然色(古い!)が当たり前になった現代、白と黒だけで表現されている空間は新鮮に映るよ。
最初に持った感想は「カッコ良い!」だったSNAKEPIPE。
ディスプレイが以前鑑賞した「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」みたいに、クローズアップした作品を背景にしてるんだよね。

Schlotterbeck Automobileのポスターとそのクローズアップ。
残念ながらSNAKEPIPEはドイツ語を読むことができないんだよね。
そのため視覚的な感想しか言えないところが悔しいよ。
タイポグラフィなので、フォントの美しさと画像とのバランスだけでも充分スタイリッシュだと分かるけど、意味が理解できたらもっと面白いだろうね?
バックは白。
対象物を中央に配置し、ギョッとさせる手法を採るゲルストナーの作戦は成功だよね。
あれは何だろう?と思って見るもんね。(笑)

レモネードのポスターなんだけど、これまた斬新!
飲み物の宣伝だったら、美味しそうに飲んでいる人を使うことが多いんじゃないかな。
栓抜きで開けようとしている瞬間だったり、グラスに注いでいる最後の一滴をポスターにするとは!
これらのポスター、制作年が1962年だって。
スイスとかドイツの人は、こんなポスターを日常的に目にしていたんだね。
羨ましい環境だよ。(笑)

これも1962年制作のIBMのポスターなんだよね。
このポスターのすごいところは「空間を恐れない」構図の取り方かな。
一応枠はあるけど、ほとんど白と言って良いよね?
この空間の使い方は日本画の影響受けてるんじゃないかなと勝手に予想するSNAKEPIPEだよ。(笑)
それにしても1962年のIBMって何を作ってたんだろうね?
調べてみると1911年創業、60年代にはコンピューター作っていたんだって!
当時からエリートが働く企業だったIBMにぴったりのポスターだよね。

会場は1Fと地下に分かれていて、地下に降りるとカラーの世界が広がっていた。 
モノクロームに目が慣れていたので、眩しいくらいだよ。
赤・黒・白というSNAKEPIPEが大好きな3色のみを使用した1978年の作品。
これはどうやらゲルストナー自身の展覧会用のポスターだったみたいだね。
こんなポスターが街角に貼ってあったら興味津々になっちゃうよね
どんな展覧会だったんだろう。
行ってみたかったなあ!

見たことあるシンボル!
「シェル石油」ロンドンのロゴマークを手がけていたらしい。
1964年の作品だという。
シェル石油の「帆立貝」マークは、それより前から使用されていたようなので、ゲルストナーのオリジナルではないみたい。
現在のロゴマークと比較してみると、ゲルストナーのバージョンは和風に見えてしまうのが不思議だよ。(笑)

ゲルストナーが1964年に出版した「Designing Programmes」には、「書体」「タイポグラフィ」「写真」「方法」について設計方法論の基本的な紹介や提案をしているという。
その本は復刻版が出ているようで、グラフィックやプロダクト・デザイン、音楽、建築、アートなど様々な分野において活用できる要素があるという。
画像(上)の「carro64」は、「Designing Programmes」に掲載されている作品のようで、色の濃淡が変化していく様子が描かれていたよ。
まるで現代アートなんだよね!
これが体系的な色彩とフォルムの言語なんだね、と書きたいところだけど意味はあまり分かっていないよ。(笑)

gggの企画展は、いつも新鮮な驚きを与えてくれるんだよね。
ずっと以前からタイポグラフィに関心があったROCKHURRAHの影響で、gggを知ることになったSNAKEPIPE。
今では書体やタイポグラフィに対して、興味を持つようになったからね。 
ありがとう、ROCKHURRAH! (笑)
来年もgggに大注目だよ。