写真とファッション&ヒストポリス 絶滅と再生 鑑賞

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【ジャイルギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

7月5日はROCKHURRAHの誕生日。
おめでとうROCKHURRAH!(笑)
プレゼントを渡し、とても気に入ってもらったよ。
毎年お互いの誕生日にお祝いをしているROCKHURRAH RECORDS。
これからも続けていこうね!

さて、先週のブログ、森山大道の個展鑑賞の続きを書いていこう。
東京都写真美術館で開催されている「写真とファッション展」にも足を運ぶ。
この展覧会については、全く何の予備知識もなく、たまたま同時開催されていたから行ってみたのである。
こちらの会場も、大道展と変わらず、ほぼ貸し切り状態での鑑賞。
途中で女性が1名入場してきたけれど、その後はいなかったね。
森山大道展に引き続き、監視員などの美術館関係者のほうが客数を上回る結果になっていたよ。

展覧会についての説明を一部転用させてもらおう。

本展覧会では、「写真とファッション」をテーマに、1990年代以降の写真とファッションの関係性を探ります。
これまでのファッションが発展する過程において、写真は衣服が持つ魅力を伝えるという重要な役割を担ってきました。
写真によって作り出されるイメージは、ときには衣服そのものよりも人々を惹きつけ、時代を象徴するイメージとなっています。

今から30年前の90年代以降のファッションって、どんなだっただろう。
80年代と言われれば分かるんだけどね。(笑)
「流行り物」や「マストアイテム」などを取り入れたいと思わなくなったのが、90年代以降かも。
30年前のSNAKEPIPEといえば、サーファーと間違えられるほど日焼けして、写真撮影に情熱を持っていた頃だな。
サーファー・ギャル(死語?)御用達のブランドで服を購入することが多かったことを思い出した。
今とは別人ね。(笑)

最初に展示されていたのは、マルタン・マルジェラのファッション・フォトを撮影していた写真家アンダース・エドストロームの作品。
1966年、スウェーデン生まれだという。
ちょっとカッコ良いと思ったのは、この画像だけ。
他は、なんとなく淡い雰囲気を感じるような写真だったかな。
もしかしたらそれが90年代なのかもしれない。

続いて高橋恭司が撮影した、昔懐かしい雑誌CUTiEで使用されたらしい作品。
ちょっととんがった雰囲気の女の子向けの雑誌だったためか、モデルの女性がリーゼントだよね。(笑)
それにしてもモデルさんの腕、傷だらけで気になるよ。
何があったんだろうか?
SNAKEPIPEはほとんど雑誌に縁がないけれど、なんとROCKHURRAHがCUTiE読んでたと聞いて驚いた。
お店の情報を仕入れていたらしいよ。
ストリート・ファッションを紹介する雑誌だったらしいからね。

写真家ホンマタカシが、日本のブランドPUGMENTとコラボした作品群が並ぶ。
PUGMENTというブランドについて全く知識がないなあ。
迷彩服と撮影する場所に意味があるとかなんとかコンセプトが書いてあったけれど、意味不明。
洋服にも写真にも魅力を感じることができず、ほぼ素通り状態。
2001年にダフト・パンクの「ワン・モア・タイム」が大ヒットした時、「ダサカッコ良い」という言葉が流行った。
もしかしたらそんな流れをファッションに組み込んでいるのかもしれない、と考察してみる。
ダフト・パンクも迷彩も大好きだけど、このファッションは遠慮したいね。(笑)

少し大きな空間に展示されていたのは、そのブランドの服を着たマネキンが並んでいる。
ブランドのコンセプトを聞いたとしても、恐らくその時持った印象は変わらないだろうな。
それらのブランドが中心となって刊行されていたらしい雑誌が並んでいた。
これらの展示にも、全く心を動かされることはなかったSNAKEPIPE。
友人Mも同様だったようで、とても残念な鑑賞会になってしまった。
そこまでモードを感じることもなく、SNAKEPIPEが思うところのファッションフォトとは違う内容だった。
鑑賞したからこそ感想を持つことができるので、これで良いのだ!(笑)

恵比寿でランチを取ってから、原宿に向かう。
そういえば原宿駅が新しくなったニュースを聞いたっけ。
新原宿駅を初体験して、表参道に向かうことにする。
ところが!
久しぶりの外出だったため、原宿駅から表参道までの道に点在するさまざな店舗を見て歩き、なかなか表参道方面にたどり着けない!
見えているのに行かれない、まるで「カフカの城」状態!(笑)
そこまで大袈裟ではないけれど、一体何店舗立ち寄ったか数えきれないほど、見て回ったことは間違いないね。
かつては友人Mと原宿~渋谷の道のりを毎週のように歩いていたことを思い出す。
週に一度の日課みたいなものだったからね。
チープシック、という言葉かあるけれど、まさにその言葉通り、お手頃価格でキッチュなかわいい商品を探して歩いていたんだよね。
懐かしいあの頃。(遠い目)

ようやくたどり着いた場所は、ジャイルギャラリー
ここで開催されているのは「ヒストポリス 絶滅と再生」。
今回の展示は、デヴィッド・リンチ大好きな飯田さんが監修しているので期待してたんだよね!
テーマについてギャラリーのサイトから一部転用させて頂こう。

工学的にデザインされた、これまでとは別の次元の自然が立ち現れつつある。
それは同時に、技術が生命や生態系に溶け込み、あらゆるものを侵食していく現代において、人間が「絶滅」の危機といかに向き合うかを問いかけることとなる。
さらに、カオスの中で変態する時代状況の一端を映し出し、地球史における人類の存在理由を参加アーティストの作品を通して未来的展望にいかに結びつけていけるかを展覧会の主旨としている。

世界中に猛威をふるい、連日死者数が増えている新型コロナウイルス。
このような状況下だからこその展覧会開催だ、という説明がされている。
「人類の存在理由」というコンセプトを視覚化した作品ってどんなだろうね?
ここで「ヒストポリス 絶滅と再生展」の動画を載せてみよう。

ジャイルギャラリーは撮影オッケーなので、たくさん撮らせてもらったよ!
画像と共に感想を書いていこうかな。

最初に展示されていたのは、須賀悠介のLEDを使用した作品。
須賀悠介は1984年東京都生まれ、今年で36歳。
2010年、東京芸術大学美術研究科彫刻専攻修了後、作品を発表しているらしい。
塩基や核酸などを表現しているのかな、くらいしか分からなかったよ。
タイトルしかなかったので、詳細は不明。

続いては広い空間にテキスタイルと動画が展示されていた。
この展示は「AIやゲノム編集が生み出す新たなキメラの美学」についての考察とのこと。
キメラ!
2020年5月の「好き好きアーツ!#56 鳥飼否宇 part23−パンダ探偵-」で「キマイラ」について書いたSNAKEPIPE。
「キマイラ」は「キメラ」とも表記されるので、同じ意味なんだよね。
日常生活で見聞きすることは少ない単語のはずなのに、不思議だなあ。
確かユングのシンクロニシティにもそんな話が出ていたような記憶があるよ。
きっとSNAKEPIPEにとって意味があるんだろうね。

これらの展示は、ファッション・デザイナー3人による機械学習とファッションを融合するチーム「Synflux(シンフラックス)」の作品なんだよね。
「キメラ」を製造して、テキスタイルにした作品の部分を画像にしてみたよ。
ちょっと不気味に見える動物が分かるかな?
その素材を使ってスーツにした作品が天井から吊るされている。
どうしてもスーツになるとヨーゼフ・ボイスのフエルト・スーツを思い出してしまうよ。(笑)

流れていた動画を撮影してみた。
2種類以上の動物を混ぜてモーフィングのように変形させていく。
縮尺が違う、目の大きさがズレたイメージが連続している。
最初はギョッとするけれど、観続けているうちに「何と何の動物の合成だろう」と「キメラ製造」の元ネタを探してしまった。(笑)
「キメラの美学」までは感じられなかったけどね!

やくしまるえつこの「わたしは人類」が展示されていた。
この作品は2019年12月に鑑賞した「未来と芸術展」 でも鑑賞済だったね。
森美術館では、暗い展示室の更にビニールカーテンの奥まった場所に展示されていたので、あまりじっくり観られなかったっけ。
「わたしは人類」というのは「人類史上初めて音源と遺伝子組換え微生物で発表された、DNAを記録媒体として扱い楽曲データを微生物に組み込んでいる」作品だという。
バイオテクノロジーとアートを融合させた作品で、金沢21世紀美術館に収蔵されているとのこと。
調べてみて初めて知った作品の意味だよ。
観ただけでは意味が分からなかったね。 

コンセプトが重厚なので、理念を形として表現するのは難しいよね。
以前からSNAKEPIPEの鑑賞法は変わらず、直感で好き嫌いを感じている。
今回の飯田さん監修の展覧会は、やや観念的だったかな。
次回も期待して待っていよう!(笑) 

森山大道の東京 ongoing 鑑賞

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【会場入り口付近の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

当ブログでは、展覧会や映画を鑑賞した時に「行ぐぜ!exhibition」というカテゴリーを使用して記事を書いている。
前回展覧会について書いたのは3月22日の「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」なので、およそ3ヶ月も前のことになるんだね。
SNAKEPIPEも皆様同様、コロナの影響により外出自粛していたし、当然のように展覧会自体も開催されていなかった。
第二波に怯えながらも、少しずつコロナ前の日常に戻りつつあることは喜ばしいね。

昨年の年末に会ってから半年の間、全く面会していなかった長年来の友人Mと約束する。
友人Mからの提案により、いくつかの展覧会を鑑賞することに決定!
今回は恵比寿〜表参道を巡ることにした。

最初に訪れたのは、東京都写真美術館で開催されている森山大道の写真展「森山大道の東京 ongoing」である。
森山大道といえば、写真界で大御所中の大御所!
2008年、レジオンドヌール勲章シュバリエを受勲、2019年にはハッセルブラッド国際写真賞を受賞し、世界的にも有名な写真家なんだよね。
写真についてそんなに詳しくないROCKHURRAHも、森山大道のエッセイである「犬の記憶」を所持していたもんね。

かつて写真を趣味としていたSNAKEPIPEにとって、森山大道は当たり前のように知っている存在だった。ROCKHURRAHと一緒に観た2008年11月の「大道・ブランコ・コーヒー」が、森山大道の写真展を観た唯一の機会だったのかもしれない。
あの写真展では森山大道がブラジルを撮影、ミゲル・リオ=ブランコが日本を撮る、という企画だったね。
森山大道の写真に迫力を感じたことを書いているよ。

先日NHKのBSで「その路地を右へ~森山大道・東京を撮る~」を観た。
これはNHK ハイビジョン特集として2009年に放映されたもので、リクエストにより再放送された番組だという。
コンパクトカメラをポケットに入れて、東京を歩く森山大道を密着取材した、とても興味深い内容だった。
片手でカメラを構えてシャッターを押すまで、1秒かかってないんじゃないか、というくらいの素早さに舌を巻く。
スナップ撮る人は、あのくらいのスピードじゃないとダメなんだね。(笑)
森山大道の気取りのない素顔に触れた気がして、好感を持ったSNAKEPIPE。
そんな矢先、友人Mからの個展のお誘い、もちろん行きますとも!(笑)

約束した日は、どんよりした雲が空を覆っていたけれど、予報とは違って雨がパラつくことはなかった。
写真美術館のオープンである10時前に美術館前で待ち合わせる。
恵比寿駅近辺の人出は多かったけれど、恵比寿ガーデンプレイスにまで来ると、閑散としてきた。
半年ぶりの友人Mとは「やあ!」「おう!」というような、簡単な挨拶で終わり。
付き合い長いから、一言で伝わるんだよね。(笑)
チケットを買おうと入館すると、入り口には美術館関係者3名が待ち受けている。 
手の消毒、額の検温を済ませ、チケット売り場へ。
売り場には更に6名ほどの関係者が待っている。
階段でもすれ違ったので、恐らく10名以上の関係者が入り口付近にいたんだろうね。
入場者数を上回る関係者の数、本当に必要なんだろうか?
コロナ対策として消毒等は行っていたけれど、「三密を避ける」の部分に関しては疑問が残るよ。

オープンしたばかりだったせいか、森山大道の個展会場に足を踏み入れたのは友人MとSNAKEPIPEのみ!
貸し切り状態は嬉しいけれど、友人Mとの会話は監視員に筒抜けになってしまうところが難点。
この監視員も数名配置されていたので、客より多い計算だよ。(笑)
写真展での撮影は禁止されていたので、写真美術館のHPや写真展のレポートをしている記事などから画像を転用させて頂いたことをお断りしておこう。

最初にお出迎えしてくれたのは、「三沢の犬」である。
前述したNHKの番組「その路地を右へ」でも、この犬について言及し、撮影した現場に向かう様子も紹介されていたよ。
三沢基地にいた米軍関係者が、アメリカに戻る際に飼っていた犬を置き去りにしたようで、これは見捨てられてしまった犬のポートレートなんだよね。
犬の恨みがましい視線に、強い憤りや哀愁が見て取れる。
この写真を観る時には何故か犬の気持ちになってしまい、人間の身勝手さを感じる一枚だよね。

まるでアンディ・ウォーホールか、という展示の仕方をしている唇の写真群。
向かって右側には、1968年に発表された「にっぽん劇場写真帖」などの写真が展示されている。
あの時代の空気感というのは独特で、大きく伸ばされているために余計に迫力があったね。
研ナオコが写っている写真は、なんだったのかな。

次の会場は、仕切りもなくガランとした広い空間だった。
ここでは、モノクロ写真とカラー写真が真っ二つに分けて展示されていたよ。
友人MとSNAKEPIPEしかいないので、どこから観たら良いのか迷うほど。
所狭しとみっちり写真が並んでいる。
まずはモノクロ写真から観ることにしよう。

展示されていた写真群の一部。
森山大道の写真は、圧倒的に人間を被写体にしていることが多いんだよね。
その中に「物(ブツ)」が入ったり、風景写真が混ざり合って全体を構成している。
例えばこの画像の真ん中にあるバナナの写真や2つ右隣のマネキンだけを観ても、意味不明なはず。

かつて写真を撮影することに命に捧げていたSNAKEPIPE。(大げさ)
どうしても森山大道の写真が許せなくて「こんなのは写真じゃない!」と怒ったことを思い出す。
「これが写真なんだよ」
と写真家である父親から言われても納得できなかった、あの頃。
SNAKEPIPEが怒ったのは、例えばこの画像でいうなら「入れ歯」の写真。
この一枚だけ観たら「なんだこの写真は?」と思うよね。
くたくたになるまで歩き回って、やっと1枚手応えのある写真を撮るような苦労をしていたSNAKEPIPEにとって、森山大道の写真は安直な気がしたからね。
今観ても、この「入れ歯」の意味は不明だけど、全体の中の一部だから良いんだろうね。 (笑)
写真から離れ、以前のような殺気立った執念(?)がなくなったSNAKEPIPEは、ようやく森山大道の写真が解ってきたみたいだよ。

プリントされて、雑多に机に置かれた写真。
この状態が「これぞ大道!」なんだろうね。
会期中にも増える予定になっているという記事を読んだよ。
もし次に来館することがあったら、違いに気付くことができるのかな?(笑)
毎日写真を撮り続けているからこそ、できる展示方法だね。

前述したブログ記事「大道・ブランコ・コーヒー」の中で、「大道氏は写真界のパンク」と書いているSNAKEPIPE。
一目観て、作者が分かる写真を撮る人は多くないよね。
森山大道はその数少ない写真家の一人だろうな。
そして昨今取り沙汰されている肖像権問題にも、果敢にアプローチしているようだよ。
森山大道の、あの撮影方法では「撮って良いですか?」なんて許可を得ることは難しいはず。
そんな部分も含めてパンクだなあ、と改めて書いておこうかな。(笑)

1960年代から一貫してスタイルを変えず、現在も活動中だもんね。 
カラー写真になっても、大道節は健在!(笑)
1938年生まれなので、現在81歳。
NHKの番組の時でも、70歳を超えていたとは驚きだよ。 
毎日歩いて撮影し、タバコも吸えば酒も飲む。
10年経った今でも、同じような風貌で東京を歩き回っているんだろうな。
今回の展覧会では撮影している自分自身を写し込んだ作品が数枚あったね。
森山大道が「いた」記録とでもいうのか、存在証明という気がするよ。
これからも自分が視た景色や人を写真という媒体を通して、共有してくれるんだろうね。

まさに今、を撮影していた「森山大道の東京」、とても良かったよ!
森山大道を体感した、という気分だね。
久しぶりの展覧会鑑賞に少し興奮気味の友人MとSNAKEPIPE。
他の展覧会鑑賞は続くけれど、来週に乞うご期待!(笑) 

SNAKEPIPE MUSEUM #55 Murugiah

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【adobe creative cloudで紹介されたMURUGIAHの作品】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMは、スリランカ人アーティストを紹介しよう。
かつて南アフリカやエジプトのアーティストについて書いたことはあったけれど、インドやパキスタンといった南アジアから選出したことはなかったよね。
恐らく好みの作品はあるんだろうけれど、情報収集が難しいんだろうね。
祝!初・南アジア!(笑)
アーティストの名前はSharmelan(Sharm) Murugiah 、カタカナ表記ではシャルメラン(シャルム)・ムルギアと書いていこう。

まずはプロフィールから。

どうやらムルギアが生まれる前に両親はイギリスに移住していたようで。 
お父さんが医者とのことなので、イギリスに渡る何かしらの理由があったんだろうね。
そのためムルギアは生まれも育ちもロンドンだという。
子供の頃からバンド・デシネに親しみ、メビウスの影響を受けているとのこと。
バンド・デシネとは、フランス・ベルギーなどを中心とした地域の漫画のことね。
元々は広告に関する仕事を目指していたようだけれど、その後建築の勉強を7年間したという。
その後自らのスタジオを立ち上げ、フリーのイラストレーターとして活躍している。
2014年にはD&AD賞を受賞。
D&AD(Design & Art Direction)とは1962年にイギリスで創立された非営利団体だという。
デザイン、広告、コミュニケーション、テクノロジー、フィルムにおける独創性を促し、支援することを目的に創設されたのがD&AD賞なんだね。
アップル、タイムアウト誌、ガーディアン誌、バラエティ誌、ディズニー、ルーカスフィルム、その他多くのクライアントのために作品を作成しているという。
錚々たる大企業が名前を連ねているので、ムルギアは人気のあるアーティストなんだね。

制作している様子が分かる動画を載せてみようか。 

ムルギアの作品はデジタル・アートになるんだろうね。
iPadに描いていたし、プリントもしてたし。
これからの時代は、こうしたタイプのアートが主流になるんだろうなあ。
SNAKEPIPEも描いてみたい!って思ったよ。
そしてムルギアはもっとアジア寄りの雰囲気なのかと思っていたのに、違ったわ。(笑)
英語も完全なネイティブだしね! 

そうは言ってもやっぱり自らの出自をエッセンスにしているようで。
まるで横尾忠則か!という雰囲気の作品だよね。(笑)
両サイドにはピラミッドのような三角形が並んでいるけれど、バックには家が描かれている。
一体何を意味しているのか不明だよ。
タイトルが分かれば、少しはヒントになったんだろうけど。
分かる人がいたら教えてください!

「First Leaf Falls」を直訳すると「最初に落ちた木の葉」って感じか?
タイトルの意味は不明だけれど、右の人物は地獄の獄卒、牛頭馬頭なのかなあ。
舌で構成されているような乗り物に乗ってるんだよね。
嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれると聞くので、現在舌集めの真っ最中なのかも。(笑)
左側にある謎の物体には、ドクロや半裸体の女性など仏教的なモチーフが描かれているね。
煩悩の塔?
もしくは解脱後の穏やかな姿なのかもしれないね。

この作品もアジアの雰囲気があるよね。
タイトルは「Del」だって。
DeleteのDelなのか、アメリカ陸軍の特殊部隊Delta Forceの略か?
もしくはGuillermo del Toro(ギレルモ・デル・トロ)監督のDelなのか?
実際にムルギアはデル・トロ監督の本にイラストを描いたことがあるそうなので、タイトルにつけてあってもおかしくないかも。(笑)
着物を着たピンクの象と蓮の花の上に座る猿のほかにも、様々な動物が描かれている。
「First Leaf Falls」と合わせて、まるで村上隆のようじゃない?
以前鑑賞した「五百羅漢図展」を思い出したよ!

「The Alchemist」は2018年の作品ね。
 タイトルの「錬金術師」を知らずとも、観た瞬間からホドロフスキー監督の「ホーリー・マウンテン(原題:The Holy Mountain 1973年)」を連想するよね!
実際ムルギアが「ホドロフスキー監督の映画からインスピレーションを得ている」と答えているインタビューもあったし。
ご存知の方は多いと思うけど、ホドロフスキーはバンド・デシネの原作者としても有名!
ムルギアが幼少期からバンド・デシネを読んでいた、という話は前に書いたよね。
ホドロフスキー原作のストーリーにメビウスが絵を担当した作品はたくさんあるので、自然な流れでホドロフスキーの映画鑑賞につながったんじゃないかと推測する。
中央に描かれている人物は、きっとホドロフスキーに違いないね。(笑)
水晶の中に捕らわれている人物や、竹馬に乗っている人の存在は意味不明だよ。
きっと錬金術に関係があるんだろうな。

脳天が割れて、棒が出てるよ!
「Dreamer」というタイトルなんだけど、「夢を見ている人」という以上の意味があるように深読みしてしまうね。
東洋的な顔立ちの少女(のように見える)は、少し笑みを浮かべ安らかな表情を見せている。
何本も引かれている直線は、落下の様子を表しているのだろうか。
まるで生から死に向かうような? 
仏教的な印象を受ける作品を観た後なので、余計にそう感じてしまう。 
この作品にはたくさんの葉っぱが舞っているんだけど、先に書いた地獄っぽい作品と関係あるのかな。

今まで観てきた極彩色とは違う雰囲気の作品。
「A Rebirth: The Decomposition of Walls That Resist」は直訳すると「再生:抵抗する壁の分解」だって。
迷路の中で、輪切りにされた人物が横たわっている。
輪切りの隙間からいたるところに伸びる腕は、苦しみを叫ぶ心の声なのか。
束縛から開放されようと、抗っている様子なのかもしれない。
解釈は様々だと思うけど、心象を扱っていることに間違いなさそう。

2020年の作品「Virus」は、まさに「今」を描いているよね。
ムルギアはどんな思いを込めて、この作品を制作したのだろう。
父親が医者である話は書いたよね。
どうやら家族の中にもう一人医療従事者がいるとのこと。
ウイルスと戦う家族を心配し、ワクチンが開発されることを願って描かれた作品だという。
美しい色使いなのでマスクがなかったら、コロナに関する絵だとは気付かなかったかもしれないね。

ムルギアの作品はシュールでサイケと評されることが多いみたい。
SNAKEPIPEは色彩の美しさに目を奪われたよ!
ホドロフスキーがお気に入りということで、好みの系統が似ている点にも注目だし。
デジタル・アートの展覧会、いつか観てみたいね!

好き好きアーツ!#56 鳥飼否宇 part23−パンダ探偵-

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【絶滅危惧種をモデルにしたアンディ・ウォーホル、1983年の作品】

SNAKEPIPE WROTE:

5月22日、恐る恐る郵便受けを確認する。
あっ!あったーーー!(笑)
2周間ほど前「官能的」 について書いた冒頭、「パンダ探偵」について触れたSNAKEPIPE。
ついに鳥飼先生の新作が発売されたのである。
ネット予約注文をしていたSNAKEPIPEは、発売日当日に自宅で受け取ることができ、満面の笑みを浮かべる。

パンダといえば。
上野動物園でパンダを見たことがないROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
動物園には行ったけれど、残念ながらパンダ不在だったんだよね。
ぎゃっ、11年も前のことだったとは!
ニュースなどで「パンダの赤ちゃん動画」などを見かけると
「かわいい〜!」
と2人で目を細め、ほっこりした気分になる。
癒し効果バツグンだよね!(笑)

SNAKEPIPEの長年来の友人Mは、黒柳徹子に負けないくらいパンダが大好きで、パンダが描かれたグッズを見つけると必ず駆け寄り、商品を手に取る。 
グッズを見つける度に毎回同じ行動を繰り返す友人Mの先手を打って、「ほらパンダ!」「あそこにも!」とパンダ探しに付き合うSNAKEPIPE。
結局悩んでも購入することはほとんどないんだけどね。(笑)

パンダはWorld Wide Fund for Nature(世界自然保護基金)のシンボル・マークにもなっているよね。
地球上の生物の代表に選出されたと言っても過言ではないよ。
そして誰もが知っている動物ということになるんだね。
そんなかわいいパンダが探偵だって?(笑)

最初にタイトルを知った時、鳥飼先生の「昆虫探偵」を思い出したSNAKEPIPE。
「昆虫探偵」は、ある朝目覚めると人間から昆虫になっていたという、まるでカフカの「変身」のような書き出しから始まっていたね。
「パンダ探偵」に登場するナンナンは、変身することなく最初からジャイアントパンダだよ!
講談社のHPに載っているあらすじを転載させていただこう。 

「シロクロはっきりつけてやる!」
傍若無人に世界を支配していたヒトという種が絶滅して200年。
アフラシア共和国は動物たちのユートピアとなっていた。
ジャイアントパンダの若雄(わかもの)ナンナンは、先輩探偵であり、ライオンの父とトラの母から生まれたライガーのタイゴに憧れ、探偵事務所に所属することに! 
白黒ツートーンの動物誘拐事件、密室から消えた草食動物の干し草の謎、共和国大統領暗殺事件など、動物の国で起こる様々な事件に立ち向かう!

ユーラシア大陸とアフリカ大陸と呼ばれていた地域は、アフラシア共和国になっているんだね。
人間がウイルスによって絶滅した、なんてどこかで聞いたことがあるじゃない!
鳥飼先生がいつ構想を練られたのかは不明だけれど、予知能力をお持ちなのかもしれない。
もしくはタイムワープで直近の未来をご覧になったとか?

動物達は人類と同じように、いつしか二足歩行をして言葉を話す。
肉食動物は草食動物を襲うことはなく、平和に暮らしているという設定。
動物達が悠々自適な生活を送っている世界ってどんなだろうね。
そんなアフラシア共和国にある「アニマ探偵事務所」に依頼される事件が「パンダ探偵」が描かれている。

「パンダ探偵」の主人公ナンナン。
とても小柄で運動が苦手だという。
それでこの画像を選んでみたけど、ナンナンのイメージに近いかな?(笑)
自分は非力でできることは少ない、と自覚しながらも見た目のキュートさと頭の回転の良さを武器に探偵として成長していく。
ここまでかわいいと「雄性(だんせい)」として意識されるのは難しいかもしれないね?
美しい「雌性(じょせい)」に心が揺らいでも、相手から頭を撫でられて終わりそう。(笑)
雄(おとこ)らしさに憧れるのも無理ないかも。 

上述のあらすじにも登場したライガーのタイゴ。
「アニマ探偵事務所」のエースだという。
無知をさらけ出すのは恥ずかしい限りだけど、ライガーの存在を知らなかったSNAKEPIPE。
てっきり鳥飼先生の創作だと思っていたよ。
調べてびっくり、本当にいるとは!(笑)
凛々しい顔立ちに、縞模様のある足。
ライオンとタイガーでライガーなんだね。
ちょっと荒っぽいけど頼りがいがあるタイプ。
ナンナンが慕うのも納得だね!

「アニマ探偵事務所」の所長であるアフリカゾウのロックス。
ロックスが本気を出すと、ライガーのタイゴでもタジタジになるんだね。
力はあるけど、気も優しい。
「昆虫探偵」の時にはクマバチが所長だったので、似た雰囲気に感じるよ。
ドーンと腰を据えて構えているアンカーとして、所長にピッタリだよね!
「パンダ探偵」は3つの章から成る連作短編集で、全編通して登場するのはこの3獣(にん)。
どんな事件が待ち構えているのか?
章ごとに感想をまとめていこうかな! 
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください!

第一話 ツートーン誘拐事件

子牛の失踪事件が発生し、「アニマ探偵事務所」に捜索依頼がくる。
その事件を皮切りに、次々と誘拐事件が連続する。
狙われるのは、何故かツートーンの動物ばかり!
これは一体何故なのか?

ツートーンと聞いて、一番最初に連想するのはやっぱりSKA!

この曲をよく聴いたのはツバキハウスの火曜日、ロンドンナイト!
踊りまくってたなあ!(遠い目)
このツートーンではない?およびでない?(笑)

第一話に登場するツートーン・カラーの動物達。
左上はホルスタイン、右はマレーバク。
その下はパンダだけど、左下は一体なんだろう?
これはラーテルというイタチの仲間だという。
背中の白い毛が生えている部分が非常に硬いらしい。
コブラなどの毒にも耐性があり、何でも食べることから「世界一怖いもの知らずの動物」と呼ばれているとか?
あまり遭遇したくない動物かもね。 

ツートーン誘拐事件は、タイゴの鋭い勘により無事に解決する。
動物や生物、それぞれの事情があることが分かるね。
それにしても一体誰が目隠しをしたのか気になるSNAKEPIPEだよ。

第二話 キマイラ盗難事件

いつの間にか探偵事務所で探偵になっているナンナン。
仕事も板についてきて、一頭(ひとり)でも事件を解決できるほどになっている。
アフラシア警察が手一杯のため、「アニマ探偵事務所」は大忙し。
今回先輩探偵のタイゴと新入りナンナンが担当するのは、保管庫にあった備蓄草の盗難事件である。 

そもそもキマイラってなんだろう? 
調べてみるとギリシア神話に登場する怪物とのこと。
「ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ。それぞれの頭を持つとする説もある。強靭な肉体を持ち、口からは火炎を吐く。」とWikipediaに書いてあるね。
載せた画像は、スペインのプラド美術館が所蔵しているJacopo Ligozziが描いたキマイラのドローイング(1590 – 1610作成)。
後ろはドラゴンになっているんだね。
複数の動物が合体していることから、種や品種が異なる植物や動物から生まれた子孫であるハイブリッドもキマイラと言えるのかな。
例えばライガーのタイゴもライオンと虎の子供だからキマイラ(ハイブリッド)なんだね。 

日本でキマイラと言えば「鵺」になるのかな。 
鵺とは、平安時代後期に出現したとされる妖怪だという。
猿の顔、狸の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇という姿だと平家物語に書かれているんだって。
その姿を歌川国芳が浮世絵にした画像がこれ。
ギリシア神話は紀元前に文字として記録されていたというので、平家物語のほうが2000年くらい後の文章だけど、発想は似てるよね。
ギリシア神話を読んで真似たとは考えにくいので、きっと鵺は実在したんだろうね!(笑)

話を「キマイラ盗難事件」に戻そうか。
第二話に登場する動物たちがこちら。 
何故か皆様、右を向いてるんだよね。(笑)
左上のラバは雄のロバと雌のウマから生まれたハイブリッド種。 
タイゴの仲間ってことだね。
ちなみに雄のウマと雌のロバとの間に生まれるとケッティと呼ぶことに決定してるんだって。(ぷぷぷ!)
その下は立派な角のあるサンバーで、隣は美しい馬!
右上はご存知カバなんだけど、カバについて説明されているところが興味深かったよ。
カバは獰猛で、草食とされているけれど肉も食べるという。
更に汗が赤色というのも知らなかったよ!
えっ、常識なの?(笑)

第二話で美獣(びじん)警部、レッサーパンダのミンミンが登場する。
ジャイアントパンダと同じで、タケを食べるんだね。
こんなにキュートなミンミンなのに、狐や狼を部下に従えているとは、アンバランスさが一層魅力的!
ナンナンがポーッとしちゃうのは当然かも。(笑)

備蓄草が盗まれた事件についても、タイゴが真相を明かし一件落着!
物知りじゃないと解決できない事件だったよね。
SNAKEPIPEはそういう知識がなかったので、読後検索して納得したよ!(笑)

第三話 アッパーランド暗殺事件

ついに最終話である。
アフラシア共和国の大統領である、チンパンジーのボノが暗殺されてしまう。
犯獣(はんにん)と疑われ、逮捕されてしまったタイゴを救うべく、ナンナンが奮闘するのである。

アフラシア共和国は3つの地域に分かれているという。
庶民が暮らすロウアーランド、非居住地区で政府の施設が建つミドルランド。
そして枢機院に所属する動物達が住むアッパーランドである。 

そのアッパーランドに住む動物達がこちら!
左上のチンパンジー、時計回りにゲラダヒヒ(用心棒)、ゴリラ、マントヒヒだね。
まるで「猿の惑星」みたいだけど、もちろん他にも枢機院に属する動物はいる。
アジアゾウが大統領だったこともあるし、ヒグマの名前も出てくるね。
枢機院のシステムはよく分からないけれど、アフラシア共和国には階級がある、ということは理解できるね。

アッパーランドには厳重な見張りが置かれているという。
日中、空からの監視はイヌワシ。
夜間にはガラガラヘビとワシミミズクが目を光らせる。
とても外部からアッパーランドへの侵入は不可能と思われるのに、ボノ大統領が殺されてしまうのである。
第一発見鳥(しゃ)はコクマルガラスのジャッキー。(画像右上)
ツートーン仲間のため、ナンナンに情報を与えてくれるのである。
ナンナンは、タイゴを助け出すことができるだろうか?

ナンナンの活躍はとても気になるところだけど、SNAKEPIPEが興味を持ったのはバーバリーシープのダッド!
カプリ教の教祖であり、アフラシア共和国に革命を起こすべく活動しているという。
バーバリーシープの画像を検索すると、教祖にピッタリの風貌!
穏やかな眼差しを持ち、まるで涅槃の境地に達しているようじゃない?
ダッドが教祖だったら人気あるだろうね。(笑)

ナンナンの頑張りが役に立ち、事件は無事に解決する。
第三話は密室殺獣(さつじん)に加え、幾重にもなるトリックもあり、読み応え充分!
なるほどねえ!と感心することしきりのSNAKEPIPE。
「いかに早くトリックを見抜くか」に重きを置いて推理小説を読む人がいるようだけど、そんな方々の中に解けた人はいたのかな?
やっぱり「かなりの物知り」じゃないと難しいだろうね。(笑)

「パンダ探偵」はほのぼのした雰囲気の中に、ナンナンやタイゴの個性が確立されていて、読み進めるうちにどんどん引き込まれていく。
2頭(ふたり)とは、すっかり知り合いになった気分だもんね!
今まで聞いたことがない動物を知ることができたのも楽しかった。
SNAKEPIPEもアフラシア共和国に住みたいな、と思ってしまうほどだよ。
何の動物になろうか、思案中である。 (笑)
もしかしたらまたナンナンに会えるのかな?
そんな日が来ることを期待して待っていよう!