収集狂時代 第14巻 高額アート編#03

20200112 top
【2019年に高額取引された女性アーティスト1位はルイーズ・ブルジョワ】

SNAKEPIPE WROTE:

今週は、2019年の総決算として、サザビーズやクリスティーズのオークションで高額取引されたアート作品について特集してみよう。
当ブログのカテゴリーである「収集狂時代」を始めるきっかけになったのが、高額アート作品の紹介だったので、初心にかえった感じだね!
ここで余談だけど、「初心にかえる」について調べたSNAKEPIPE。
「帰る」か「返る」なのか迷ってしまったんだよね。
結局ひらがなで表記することにしたんだけど、漢字とか言い回しって、本当に難しい。

さて、それでは早速オークション結果を発表しよう!
まずは10位!
デヴィッド・ホックニーの1969年の作品「Henry Geldzahler and Christopher Scott」だよ。
ポップ・アートにも影響を与えたイギリスのアーティストだね。
正面を向きソファに座っている男性と、あらぬ方角を見つめながら直立する男性。
2人の視線は絡んでいないように見えるよ。
この絵はまるでスウェーデンの監督であるロイ・アンダーソンの作品「さよなら、人類(原題:En duva satt på en gren och funderade på tillvaron 2014年)」のワンシーンのように見えるよ。
この映画の感想については、2016年7月に「映画の殿 第21号 さよなら、人類」として感想をまとめているので、御覧ください!
どうやらホックニーの絵画に登場しているヘンリーさんとクリストファーさんはカップルだったようだけど、一体どんなシチュエーションなのかと想像するのは楽しいかも。
ちなみにオークションでの落札価格は$49.5 million、日本円で約54億1800万円!
10位でこの金額とはね。(笑)

9位にランクインしたのは、マーク・ロスコの1960年の作品「Untitled」 。
ロスコは高額で取引されるアーティストの常連だよね。
マーク・ロスコについては、今まで何度かブログに書いていると思うけど、改めて書いてみようか。
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館 には、世界で4つしかない「ロスコ・ルーム」があるんだよね!
ロスコの絵画は、実物を観る必要があるかもしれない。
「ロスコ・ルーム」に足を踏み入れると、なんとも言えない感覚に襲われるんだよね。
あんな部屋を作りたいと思ったら、高額でも購入するんだろうなあ。
SNAKEPIPEも、お金があったら自分だけの物にしたいと思うよ。
到底ムリだけど!(笑)
この作品は$50.1 million、日本円で約54億8400万円だって。
「美術館が手放すということは、大した作品ではないからだ」とディーラーが話したとか?
54億円出しても買う人がいる作品なのに、駄作扱いされるなんて驚き!(笑)

8位はフランシス・ベーコンの「Study For A Head」、55億1600万円だよ!
映画「戦艦ポチョムキン(原題:Броненосец «Потёмкин» 1925年)」に登場する老婆をモチーフにした作品だね。
高額取引ランキングでは、必ず登場するベーコン。
ベーコンさんに関しては、「SNAKEPIPE MUSEUM #07 Francis Bacon」や「フランシス・ベーコン展鑑賞」など、今まで何度も書いているので、今回は割愛しようか。(笑)

7位はエド・ルシャの1964年の作品、「Hurting the Word Radio #2」。 
RADIOという文字が金属クランプによって、縮められたり伸ばされている。
一体どんな意味が込められているんだろう?
実はエド・ルシャというアーティストについては、初耳だったSNAKEPIPE。
1937年アメリカのネブラスカ州生まれというから、今年で83歳かな。
1960年代より絵画、版画、写真、映画に携わっていたという。
検索してみると、文字を取り込んだ絵画作品が多いみたいだね。
1962年に自費出版した写真集「Twentysix Gasoline Stations」は、様々なアーティストに影響を与えたらしい。
近所のガソリン・スタンドを遠景で撮影した26枚の白黒写真だという。
単なる記録写真といえば、それまでだけど、群写真と考えるとコンセプチュアル・アートなんだよね。(笑)
現代写真のさきがけになるのかな。
今回オークションにかけられたルシャの作品は、$52.5 million、日本円で約57億4600万円!
ルシャの他の作品も観てみたいね。 

6位はアンディ・ウォーホルの「Double Elvis [Ferus Type] 」。 
エルヴィス・プレスリーが2つ並んでいる有名な作品だね!
クリスティーズで落札された価格は日本円で約58億円だよ。
5位はパブロ・ピカソの「Femme au chien」で、約60億円。
ついに60億を超えたね!(笑)
それにしても10位から見てみると、ランキングとは言っても、金額はほんの2、3億の違いだけだよね。
などと書いてはみたものの、本当は1億だって大変なんだけど。(笑)
4位はポール・セザンヌの「Bouilloire et fruits」。
印象派の巨匠であるセザンヌも、高額取引ランキングの常連だよね。
ここで一気に65億円になったよ!(笑)

ついに第3位になったね!
ロバート・ラウシェンバーグの「Buffalo II」は1964年の作品だという。 
目を引くのはやっぱりケネディ大統領だよね。
ラウシェンバーグは「コンバイン(結合)・ペインティング」と呼ばれる、様々なオブジェを取り込んだ作風で知られているアーティスト。
2013年9月に鑑賞した「アメリカン・ポップ・アート展」で、「今回の展覧会で一番感銘を受けたアーティスト」として、感想をまとめたっけ。
「Buffalo II」の落札価格は$88.8 million、日本円で約97億2000万円!
ラウシェンバーグの貴重な初期作品のほとんどは、すでに美術館や個人のコレクターによって所蔵されているとのことで、オークションに出る機会が稀だったため、価格が引き上がったという。
ラウシェンバーグの大規模な展覧会、是非観たいね!

2位はジェフ・クーンズの「Rabbit」。 
2014年に書いた「収集狂時代 第2巻 高額アート編#02」でも、クーンズの別の作品が3位にランクインしていたんだよね。
ジェフ・クーンズは、キッチュな題材を巨大化した作品が特徴で、賛否が極端に分かれる評価を受けているという。
今回登場の「Rabbit」も、風船ウサギを型取りしてから、ステンレスで鋳造後鏡面仕上げされたという、ふざけた印象の作品とのこと。
村上隆のフィギュアなどにも通じるオモチャっぽい作品だけど、落札価格は驚きの$91 million、日本円で約99億6000万円!
「クーンズの作品は高額」というレッテルを美術界に浸透させた、クーンズの作戦勝ちに思えてならないよ。
本気で素晴らしいと感じる人もいるようなので、価値観はそれぞれ、だけどね。(笑)

堂々の1位はクロード・モネの「Meules」、一般的には「積みわら」として有名な作品になるんだね。
夕日なのか朝日なのか分からないけど、積みわらの後方から差し込む光が印象的な作品だね。
2012年に公開されたマイケル・ホフマンの「モネ・ゲーム(原題:Gambit)」は、モネの「積みわら」を使って大金をつかもうとする話だったことを思い出す。
モネの作品は高額、というのは周知の事実ということなのかな。
NHKスペシャルでやっていた「モネ 睡蓮(すいれん)~よみがえる“奇跡の一枚”~」を偶然観たROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
長年行方が分からなくなっていた、「睡蓮・柳の反映」が半分ボロボロの状態で見つかったことから、その修復をするというドキュメンタリーだったんだよね。
印象派には、今までほとんど興味を示したことがないROCKHURRAH RECORDSなので、モネのタッチを出すのに苦労している様は興味深かった。
そして国立西洋美術館の女性館長と女性スタッフの厳しい表情にも大注目してしまったよ。(笑)
モネの「積みわら」は$110.7 million、日本円で約121億円!
1986年にオークションにかけられた時は、1億1000万程度で落札されたというから、ものすごい利益率だよね。
株みたいな儲け主義になっているようで、作品の価値の意味合いが変化しているように感じるよ。

2019年の傾向は、TOP10に女性アーティストが入っていないこと。
15位にルイーズ・ブルジョワの「spider」が約35億円で登場しているのが女性の第1位なんだよね。
ブルジョワの蜘蛛シリーズは、六本木ヒルズで鑑賞することができるので嬉しい。(笑)

そして1960年代の6作品がランクインしていることかな。
5年前に始めた「収集狂時代」の時と、登場するアーティストに変動がない点にも気付く。
今から5年後はどうなっているんだろうね?
確認してみたいと思う。

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