思い出のサマリー・ビート 2018

【アズテック・カメラのプロモーション・ビデオ】

SNAKEPIPE WROTE:

いよいよ2018年も終わりが近づいているね。
いつの間にか12月に入り、クリスマス関連商品を目にするようになったかと思っていたら、もう年末!
毎年のことだけど、年々そのスピードが速くなっているように感じるのは歳のせいか?(笑)

一年を振り返る企画「ベスト・オブ20XX」と題して、印象に残った出来事を綴ったのは2014年まで。
2015年以降は、特にこれといった事がなかったようで、「ベスト」とは名付けずに総まとめのようなブログを書いているROCKHURRAH RECORDS。

そして今年もまた同様だけれど、一年を振り返る企画にしてみよう。
タイトルは「今年一年を振り返って」では、あまりに単刀直入過ぎて能がない。
80年代に流行った曲をもじって付けたいと考え、思いついたのがアズテック・カメラの「思い出のサニー・ビート」!
そのまんまではパクリにしかならないため、「まとめ」を意味するサマリーを採用してみた。
「思い出のサマリー・ビート」でどうだ!(笑)
なんとなくROCKHURRAH RECORDSっぽくなったよね?
ちなみにROCKHURRAH RECORDS ONLINESHOPでは「品切れ」だよ!

2018年1月、ROCKHURRAH RECORDSはインフルエンザの攻撃に見舞われてしまう。
昨年より習慣にしている早朝ウォーキングの際、ROCKHURRAHの体調が急変したのだ。
その時点ではまさかインフルエンザとは思わず、翌日になっても具合が悪い状態が続いたため病院に行き、検査により発覚したのだった。
ROCKHURRAHが罹患したということは、SNAKEPIPEも危ないのでは?
念のため病院で検査を受けると、まんまとインフルエンザに侵されているじゃないの!
そして2人揃って仲良く(?)高熱にうなされたのである。
約1週間でインフルエンザ・ウイルスとは「バイバイ」できたけれど、体力の無さには自信があるSNAKEPIPE。(ん?)
2月にはデヴィッド・リンチのドキュメンタリー映画「アート・ライフ」を鑑賞することができたけれど、ずっとインフルエンザの後遺症に悩まされていたっけ。
2月下旬には大ファンの作家、鳥飼否宇先生より青山で開催されている会田誠展の情報を頂き、鑑賞することができた。ようやく平常の体力を回復した頃だったね。
見逃していた「レアンドロ・エルリッヒ展」に行ったのは3月。
3月下旬には恒例のお花見に出かけ、同日、ワタリウム美術館で「マイク・ケリー展」を鑑賞したなあ。
今でも「トレイン・ダンス」は真似して踊りたくなるもんね!(笑)

4月に入って鳥飼先生の新作「隠蔽人類」が発売され、小躍りする。
好き好きアーツ!#50 鳥飼否宇 part20−隠蔽人類−」として感想をまとめさせて頂き、鳥飼先生よりコメントを頂戴しちゃったんだよね!
鳥飼先生の作品を再読するシリーズ「トリカイズム宣言」の続きを書きたいのに、書けないんだよ。
全部書いてしまうと新作を待つだけになってしまうから。
こういう心境って説明するのが難しいんだよね!

5月、ROCKHURRAHが軽いギックリ腰になってしまう。
一歩も歩けないほどの重症ではないため、余計に完治まで時間がかかってしまったようだ。
良くなったと思った翌日はまた悪化するといったような状態が続く。
痛みを忘れるようになったのはおよそ3ヶ月後の8月のこと。
元通りに動けるようになって良かった!
腰を痛めると生活に支障をきたすことを改めて認識したSNAKEPIPE。
本当に気を付けないとね!

ずっと何年も言い続けていることだけれど、ROCKHURRAH RECORDSは大の夏嫌い。
あゝそれなのに それなのに! 
ROCKHURRAHは7月生まれなんだよね。
冬物が好きなROCKHURRAHに、プレゼントを選ぶことの難しさったら。 
季節柄洋服をチョイスすることは困難なため、靴を選ぶことが多くなってしまう。
今年もまたもや靴だったよ。(笑) 
元来家に引きこもることが好きなROCKHURRAH RECORDSは、夏になると余計に外に出なくなったね。
休日は専ら映画鑑賞をして過ごしていたっけ。

徐々に暑さが収まってきた頃、ようやく外に出る気力が湧いてきた。
「映画を捨てよ町へ出よう」ってとこか。(笑) 
数年前からの「違う土地への憧れ」を実現させるため、 事務所移転計画実現に向けて歩き始めたのである。
具体的には候補地を絞り込んで、実際に歩いてみること。
生活に必要とされる店舗等の下調べを行ったのである。
2010年1月に書いた「六波羅家晩飯品書特集」 などにもあるように、ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも意外なことに料理をマメに作るタイプ!
そのため近所に食材を調達できるスーパー・マーケットが必須なんだよね。(笑)
ロック・ミリタリー系の2人が、買い物かご持って食材選んでいるのは不思議な光景だけれど、事務所移転に関する第一条件はスーパーといっても過言ではないよ。
秋の終わり頃、ようやく理想的な土地での物件に巡り合うことができたのはラッキーだったね!

2018年後半の出来事は事務所移転に関すること一色だね!
引越し業者から驚かれてしまうほどの荷物を持つROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
整理整頓は苦痛の種なのである。
そのせいでなかなか移転に踏み切れなかったんだよね。
今回は重い腰を上げて、2人でかなり頑張って荷物をまとめ上げたよ!
移転前の1週間は、本当に辛かったなあ。(笑)
そのおかげで、年末の大掃除がスキップできるのは良かったよ。

頑張り過ぎたせいか、SNAKEPIPEも軽いギックリ腰になってしまった。
5月のROCKHURRAHの辛さを知っているのにね!
こんなところまでお揃いになってしまったよ。(笑)
ギックリ腰は以前安静に寝ていることが治療の第一歩だったように記憶しているけれど、最近では通常通りに動くことが完治への近道とされていることを知り驚く。
腰を固まらせないということみたいだけど、根本から考え方が変わっているとはね!
今ではようやく普段通りに動くことができるようになったので、無事にお正月を迎えられそうで安心している。

来年の年末も、恐らく「一年の振り返り」記事を書くだろうと予想する。
特出する出来事をたくさん作って、カラフルな年にしたいものだ。
皆様、どうぞ良いお年を!
来年もよろしくお願いいたします。 

バッドアート美術館展鑑賞

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【ギャラリーアーモ前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2018年は展覧会に行く機会が少なかったなあ。
最後に行ったのが、なんと6月!
約半年前のことになってしまうとは、近年稀にみる回数の少なさだよ。
特に引越し作業に追われている間は、とても展覧会情報を確認することもできなかったしね。

越してから約2ヶ月になろうとしているこの頃になって、ようやく時間的にも気分的にも余裕が出てきた。
何か面白そうな企画があれば良いのにね、とROCKHURRAHに話しかける。
「こんなのやってるよ」
と提案してくれたのが、東京ドームシティにあるギャラリーアーモで開催されている「バッドアート美術館展」だった。

バッドアート美術館といえば、2017年8月に「好き好きアーツ!#46 世界アート(仮)探訪」で紹介したことがある美術館のことじゃないの!
一生懸命描いたけど、方向性が違っていたり、技術的に問題がある作品ばかりを集めているボストンにある美術館(Museum of Bad Art)、通称MOBA。
「とほほ」な作品を一度鑑賞したいと思っていたんだよね!
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、クリスマス前の寒い日に、後楽園へ向かったのである。

後楽園球場と後楽園ゆうえんちがある水道橋近辺、と書こうとしたら!
今は東京ドームと東京ドームシティアトラクションズって名前に変わっているんだよね。(情報古過ぎ!)
遊園地系も野球にも縁がないので、全然知らなかったよ。(笑)
今回の会場であるギャラリーアーモも、当然のように初めての訪問!
ドーム内に設置されている地図などを頼りに、そこまで迷わず会場に到着。
ドームシティの中にあることはわかっているので、迷うほうがおかしいか?(笑)

ギャラリーまでの道には、休日だったためかアトラクションに並んでいるお客さんの行列に驚いたけれど、バッドアート美術館展会場は、そこまで混雑していなかった。
フラッシュを使わなければ、全ての作品の撮影が可能であり、撮影した写真はSNSなどに投稿してください、とのこと。
最近は撮影オッケーな展覧会が増えて良かったよ!
琴線に触れる作品をバシバシ撮っていこうじゃないの。(笑)

会場入ってすぐに、バッドアート美術館についての説明がされていた。
今回は展示されていなかったけれど、最初にコレクションされたのが、「ルーシー・イン・ザ・フィールド・ウィズ・フラワーズ(花咲く野原のルーシー)」だという。
ゴミ箱に捨てられていた作品は、額縁目当てで救い出される。
そして後にバッドアート美術館を設立することになる人物により、作品も日の目を見ることになるのである。
作品に価値を見出す人物との邂逅が、MOBA設立のきっかけになるとは奇跡的だよね!
A4くらいの大きさにプリントされていた「ルーシー」だったけれど、十分なインパクトを感じることができたよ!
花咲く野原を散歩している途中で、めくれ上がったスカート。
可憐な少女を思い浮かべてしまうけれど、風貌はまるで「おっさん」!(笑)
よく見ると足の位置もおかしいように感じてしまう。
コレクション第1号を名乗るのにふさわしい作品だよね!

カナダのA・シュミットの作品「マナリザ」。
レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な作品「モナ・リザ」のパロディで、女装したバージョンだという。
髪型とポーズがなんとなく似てるから「モナ・リザ」を参考に描いていることはわかるんだけどね。
顔の崩れ方と稜線のぞんざいさは「とほほ」全開!(笑)
捨てられていたり、蚤の市で仕入れた場合、美術館側では作者を探すために手を打つらしい。著作権の問題があるもんね?
作者名が明記されているということは、本人がMOBAに売り込みに行ったのかな?

「沼ピクニック」と題された作品。
素人レベルではないほどの腕前じゃないかな?
木々や水の表現は素晴らしいよね。
目を引くのは、微笑み合っているカップル。
なんでこんな服着てるの?(笑)
作者であるテッド・ケイト・ジュニアに直接聞いたのか、想像なのかは不明だけど、この絵は近未来で、環境汚染により防護服を着ているとのこと。
現代のデート風景だったら、MOBAに展示されることはなかったはずなので、大成功かもしれないね? 

これは完全に「とほほ」だね!
シープドッグのチャーリーとシマリスのシーバを描いた作品だという。
チャーリーが鳴きやまないので、シーバが絆創膏で口をふさいだらしい。
右側、本当にシマリス???
謎の生き物にしか見えないんだよね。(笑)
この絵には人を惹き付ける力があるようで、SNAKEPIPEはなかなか絵の前から立ち去ることができなかったよ!
駄作なのに魅力があるというMOBAの信念がよく解る作品だね。

これもまた犬なんだけど。
人面犬といっても良いような顔立ちだよね。
恐らくプードルだと思うんだけど、かわいらしさの欠片もない!(笑)
観た瞬間に笑ってしまうほどだよ。
「青いタンゴ」と題された作品だけど、作者は不詳。
リサイクルショップに売られていたところを第三者が購入し、MOBAに寄贈したという。
作者本人が売り込みに来る場合には、 MOBAに受け入れてもらわなかったら「そんなに下手じゃなかったんだ」と自信を持ち、買い取られた場合には「展示してもらえるかもしれない」と期待するということでどちらに転んでも良い結果となるらしい。
このエピソードはとても興味深いよ。
どっちもオッケーなんてなかなかないからね?

1920年代に刊行されたパルプ・マガジンの挿絵のような作品。
「タイガー愛」と題されているんだけど、全く意味不明だよ。 
この画像の大きさだと分かりづらいけど、右の奥に午前3時を示している時計が描かれているんだよね。
男女の表情とトラのアップ。
そしてトラの目から出ているビーム!(笑)
強烈な印象を残すよね。

宗教を絵画の題材に取り入れることって多いよね。 
ROCKHURRAH RECOREDSにはあまり馴染みがないジャンルなので、今まであまりじっくりと鑑賞したことがないタイプの絵画だと思う。
ところが今回MOBAのコレクションの中に、目を奪われてしまった作品があったんだよね。
それがこちら「聖母子像」である。
マリアがキリストを抱いているシーンだと思うんだけど、赤ん坊の顔!
観た瞬間から目が釘付け!
作者は不詳とのことだけど、描いたのはキリスト教徒だよね? 
これで良いのか?(笑) 

どうしてこの題材を選んでしまったんだろうね。
タイトルは「ヨガ教室」で自撮りした写真を元に描いたのではないか、と推測されている。
作者が不詳のため本来の意図は不明だけど、本来は間違ってシャッター押しちゃった時の画像だよ、これ。(笑)
ミスショットをあえて選んで描こうとしたその心意気。
「なんで?」「どうして?」と謎を持つことができる絵画。
これこそがMOBAの真髄だよね!

2018年の最後は大笑いできる展覧会鑑賞で締めくくることができて大満足だった。
行ってみたいと思ってブログで特集した美術館の作品を実際に目にすることができるなんて最高だもんね。
終わりよければすべてよし!
笑う門には福来る!(笑)
来年はどんな展覧会に行かれるのか、今から楽しみだよ。

収集狂時代 第11巻 高額人形編

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【SNAKEPIPEだったらハンス・ベルメールの人形が欲しいな!】

今年も早いもので、来週はクリスマスだよ!
プレゼント選びって難しいよね?
毎年悩む事柄なのに、今年はROCKHURRAHと欲しい物を交換し合えて一安心。(笑) 

子供の頃は本当にサンタクロースがいると信じていて、真剣に欲しい物が手に入るよう祈ったものだ。
SNAKEPIPEの願いが叶ったことは一度もなかったなあ。
その時に欲しかった物なので、今となっては思い出せないけどね。(笑)
リカちゃん人形も欲しかったアイテムのひとつだったかもしれない。
女の子は「おままごと」遊びが好きだし、皆が持っている人形だったせいかもしれない。

今から2週前、2018年11月の記事「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件15」では、バービー人形コレクターの方を紹介したよね。
昔は子供専用のアイテムだった人形やフィギュアは、いつの間にかコレクターズ・アイテムになっている。
大人が夢中になって収集していても、ちっとも変な目で見られない時代になっているんだよね。
大人の幼児化(未成熟化)がより一層未婚率や少子化にも影響を与えているのではないか、と思うSNAKEPIPE。
自分のことは棚に上げて、あんまり人のことは言えないけど!(笑)

今回はコレクターズ・アイテムである人形の、高額ランキングを発表しようかな。
人形といってもあなどれないんだよね、これが!(笑)

G.I.ジョーは、米国ハズブロ社が1964年から販売しているアクション・フィギュアで、名前の由来は1945年の映画「G・I・ジョウ (原題:The Story of G.I. Joe)」だという。
そんなG.I.ジョーのフィギュアの中での高額品がプロトタイプのこちら。
販売前の試作品なので、制作年は1963年。
着ているジャケットはM43がモデルなのか?
などとつい、ミリタリー・ジャケットとなると調べてしまうね。(笑)
G.I.ジョーのファースト・モデルは2003年に$200,000で落札されたという。
現在のレートで換算すると、日本円で約2260万円!
最初から2千万超えだよ。
これから先がどうなるのかドキドキするね。(笑)

前述したバービー人形狂のバービー・マンでもこのタイプは持っていないんじゃないかな?
ジュエリー・デザイナーであるStefano Canturiによってゴージャスに着飾っているバービーなんだよね。
ネックレスとして使用されているオーストラリア・ピンク・ダイヤモンド、合計なんと3カラット!
その付加価値のためバービー人形のお値段はなんと$302,000、日本円で約3620万円!
中古マンションくらいなら軽く購入できてしまう金額だよね。
そんな高額バービーちゃん、値段を聞いてから画像に目をやると、気高さを感じてしまうよ。
「高飛車じゃなくて、本当に高いのよ私!」
とでも言いたげなリッチでゴージャスな雰囲気を醸し出してるよね。
バービー界のセレブレティだわ、ほんと。(笑) 

このクマちゃんはどこかで見たような?
2016年10月の記事「収集狂時代 第6巻 Louis Vuitton編」に登場してるんだね。
またもや「収集狂時代」でお目にかかることになるとは思っていなかったよ。
高額アイテムだから仕方ないかな。
ドイツの最高級ぬいぐるみブランド「シュタイフ」の手によるテディベアは、リアルファーで装いダイアモンドとサファイアでできた目を輝かせているんだよね。
金額$2.1 million、日本円にして約2億3800万円也!
以前も驚いたけど、改めて確認すると億超えのぬいぐるみって想像つかないよ。
現在は韓国の済州にあるテディベア・ミュージアムに展示されているらしい。
いくら大金持ちだとしても、ここまでの高額品を「おままごと」用に買い与えることはないよね。(笑)

続いて第2位はこちら!
子犬を連れた少女なんだけど、なんでこの人形が高額なんだろうね?
SNAKEPIPEは犬が大好きなんだけど、この犬にはちっともかわいらしさを感じないよ。
アレキサンダー・エロイーズ夫人という人形デザイナーが5体のみ制作したという、特別バージョンのようだね。
スワロフスキーのクリスタル、キャサリン・バウマンのアクセサリー、オスカー・デ・ラ・レンタの毛皮、クリスチャン・ディオールの服を着用させたというから、幼女なのに豪華絢爛だよね。
画像だとどこにあるのか分からないけど、9カラットのダイヤも着用しているらしいよ。
お値段なんと$5 million、日本円で約5億6700万円!
えー!なんでーーー!
「非常に裕福な人だけがこの人形に興味を示すでしょう」
と書かれていたので、リッチな人はこの人形を欲しいと思うのかもしれないね?(笑)

堂々の第1位はこれ!
L’Oiseleur(読めん)という名前を持った約1.2mのオートマタなんだよね。
フランス語で「鳥の訓練士」という意味なんだって。
ちなみにオートマタとは、機械仕掛けで何かしらの動きをする西洋からくり人形のこと。
この人形ではないけれど、2013年に行った伊豆旅行の際、野坂オートマタ美術館で様々な人形を鑑賞して驚嘆したことを思い出す。
20世紀初頭にあんなに精巧なからくり人形が作成されていたなんてね!
世界で一番お値段が高い人形は、Christian Bailly というオートマタのエキスパートが15,000時間を要して制作した、という触れ込みだよ。
15,000時間というのは計算すると約1年7ヶ月のことね。(笑)

通常のオートマタがどれくらいの制作期間をもって完成するのかを知らないけれど、エキスパートが2年弱をかけたのには、どんな仕掛けがあるんだろう?
2,340ものパーツによって組み合わされたL’Oiseleurは、スプリング駆動の歯車によって動きを与えられるという。
人形は右手にフルート、左手と肩には鳥を乗せてるんだよね。

ゴールデン・キーを叩くとジョルジュ・ビゼーの曲「Marche des Rois」をフルートで演奏するらしい。
それに合わせて鳥が羽ばたいたり、くちばしを開閉したり頭を回したりする仕掛けがあるみたいだね。
動いているところを鑑賞したかったけれど、YouTubeに動画を発見することはできなかったよ。

さてさて気になるお値段は?
$6.25 million、日本円で約7億1000万円!!!!
な、ななおくえんーーー!
うひゃー、ついにここまできたかっ!(笑)
これは是非とも野坂オートマタ美術館に買い取って頂いて、動いているところを実際に目にしたいものだね。

今回の人形ランキング、正直なところ画像で見ただけでは何故高額なのか、分かりづらかったように思う。
ダイヤモンドなどを着用したために高額なったというと、人形そのものが評価されたわけではないことになるしね?
たかが人形、されど人形!(笑)
愛玩用や鑑賞用である人形に、ここまで熱い情熱を持つ人がいるということに驚くと同時に、共感する。
これはもちろん人形を対象とした話だけではなく、アート全般に言えることだと思う。
ROCKHURRAH RECORDSももっと頑張らないとね!(笑)

ビザール・ポストカード選手権!34回戦

【Charles Allan Gilbertのイラストをジャケットに使用したThe Damnedの曲】

SNAKEPIPE WROTE:

例年この時期になるとROCKHURRAHと頭を抱えるのが年賀状のデザイン。
お互いに何かしらのテーマを考えて試行錯誤を繰り返すことが多いんだよね。
この数年はROCKHURRAHがほとんど一人でデザインやら文言を選んでくれていたので、アイデアを出し合っての箇所に共感してもらえないかもね。(笑)
そして「ビザール・ポストカード」を特集するのもやっぱり12月が多いよ。
クリスマス・カードや新年用のカードを送るのは世界共通だから、面白い物が見つかるんだよね。 
ちょっと「トホホ」だったり「何故このデザイン?」と目を疑うような題材に惹かれ、紹介してきたSNAKEPIPEだけど、今年は少し趣向を変えてみようか。

2018年8月と9月の2週に渡って紹介したのは「ビザール・マッチ選手権」だったね。
この時、20世紀初頭のMADE IN JAPNのマッチ・デザインを載せたSNAKEPIPE。
なんてカッコ良いデザインがたくさんあるんだろう、と感動したものだ。
今回の特集も、1920年頃の日本製ポストカードを紹介してみようか。
その頃、アートの世界ではシュルレアリスム真っ盛り!
当時のパリは素晴らしかっただろうなあ、と思いを馳せる憧れの時代である。
日本のアートはどうだったんだろうね?
美術史について語りたいわけではないので、庶民に流通していたであろうポストカードで検証してみたいと思う。

このブログの一番最初にYouTubeを載せたのが70年代パンクの一翼を担ったThe Damnedの限定版シングル「Stretcher Case Baby」。
実は左の日本製ポストカードを見つけて、ROCKHURRAHに見せると
「その元ネタはダムドが使ってるよ」
とあっさり答えるではないか!
その元ネタって何?と調べてみるとチャールズ・アラン・ギルバートというアメリカのイラストレーターが1892年に描いた作品だったことが判明。
日本で描かれたのは1910年のようなので、約20年の時を経て上陸したことになるね。
2人の女性を描いているのに、遠目からだとドクロに見える「だまし絵」がポストカードとして一般販売されていたとはびっくり。
ギルバートの作品名は「All Is Vanity」(すべては虚栄)だというから、なんとも皮肉たっぷりだこと!(笑)
今が美しくても最期に待っているのは死だよ、と言いたいらしいよ。
それにしても、そのダムドのシングルって世界で5000枚しかプレスされていない限定版で、ライブで配られるかファン・クラブのメンバー以外は手に入らなかったらしいんだよね。
高額で購入したらしいROCKHURRAHだけど、現在は所持していないという。
ひゃ〜残念だねえ! 

これも強烈じゃない?
まるで丸尾末広が「ひゃーほっほっほっ」などと笑い声を書き込んでいるかのような波打つ「ハルナー」の文字。
中央に鎮座しているのは「マジンガーZ」に登場する「あしゅら男爵」のように、顔面が白と黒の真っ二つに分かれている無表情な人物!
白と黒とオレンジという3色だけのシンプルな色使いも効果的。
「ハルナー」は1920年〜1940年代に販売されていた商品のようなので、このポストカードもその時代に作られたと推測できる。
顔の周りに「美身白色薬ハルナー」と書かれているので、色黒の人でもハルナー使えば色白に変身しますよ、という宣伝なのかもしれないね?
今から約100年前のセンス、素晴らしいよね!

オレンジで色合わせしてみたよ!
大胆に郵便記号を中央に配した構図はインパクトが強いよ。
一体郵便記号っていつからあるんだろうね?
調べてみると、なんと1887年に考案されたと書いてあるよ。
そしてこのポストカードは1905年の物らしい。
というのは、「陸軍凱旋観兵式記念」としてスタンプが押されていることから伺い知ることができるんだよね。
場所は千葉県の佐倉なのかな?
1905年に郵便局が考案したデザインだと考えると、非常にセンスが良くてアイデアを通過させる度量がある責任者がいたってことになるよね。
郵便記号に隠れた学生さん(?)が手紙を持って走っているところ、ということなのかな。
どんな内容が書かれていたのか。
とても気になるよね。(笑)

この服装は水平さん?
どうしてこの時代には「さん」付になっちゃうんだろうね。
学生さん、とか水兵さん、書生さん、みたいにね。(笑)
ここからのポストカードは戦争関連になってしまうんだけど、戦争を礼賛しているわけではないので、そこのところ4649!
バッテン印はロシアを示しているようで、日本の水平さんがロシアの軍艦旗を破り去って、旭日旗を露わにしようとしている様、ということになるのかな。
このポストカードは日露戦争の時代に制作されたのかしら。
日露戦争は1904年から1905年にかけて行われているので、もしその時代に描かれたとすると、今から約120年程前にこんなに斬新な構図のポストカードが存在していたことになるんだね!
SNAKEPIPEは嬉しくなって、他にも戦争モノのポストカードを探してみたよ。

これもまた素晴らしいじゃないの!
前に載せたポストカードで、バッテン印がロシアの軍艦だということはわかったよね。
その軍艦と燕をモチーフにして、オレンジ色とペールブルーを組み合わせたシンプルな色合いが素晴らしい。
恐らく有名な絵師や画家が描いたわけじゃなくて、ポストカード制作会社のスタッフや職人が考えたデザインだったんじゃないかな。
日本には浮世絵の伝統があるけど、ここまでスタイリッシュなポストカードが明治時代に制作されていたことに驚いてしまう。

日露戦争第3弾はこれ!
いかにも日本画にありそうな「間」の取り方。
このスペースの使い方は西洋には見られない構図だよね。
そして右側には「ワリヤークの自滅」と書かれた文字に加え、まるで篆刻印や落款印と呼ばれる日本画に作者名を表す印鑑のように描かれた旭日旗も効果的。
ここでは「ワリヤーク」と書かれているけれど、調べてみると「ヴァリャーグ」 として有名な防護巡洋艦のことらしい。
降伏するより自沈を選んだ艦長が英雄視されたエピソードが残っているそうだ。
敵に捕まるくらいなら自害するといった決断を誇り高き行為と考えるのは、世界各国共通の認識かもしれないね?
もしかしたらこのポストカードは「敵ながらあっぱれ」ということを表現しているのかもしれないな。

では平和を祈って、最後はこちらのポストカードを紹介しよう。
「大阪 平和記念 8.7.1」とスタンプが押されているんだよね。
8年7月1日で良いのかな。
ダンスパーティーの様子をデザインしているようなので、日本における歴史を調べてみたところ、1918年にダンスホールが開設された後、流行したとWikipediaに書かれている。
そのため大正8年(1919年)のポストカードと考えるのが自然かもしれないね。
踊りに興じている男女を俯瞰した図を左側に配置し、右側には手紙が書けるように原稿用紙状のマス目を取り込んだポストカードは、実用性とデザイン性を兼ね備えた逸品!
色合いの美しさも素晴らしいよね。
こんなポストカードをもらったら嬉しいな!

今回のポストカード特集もマッチ・デザインの時と同じように20世紀初頭の日本人が持っていた美意識に感銘を受けたよ。
100年以上前の前衛的でモダンなデザインは現代でも十分通用するカッコ良さだよね!
これぞ温故知新という特集になったけれど、全く「ビザール」じゃなかったね。(笑)