Sculptural Type 鑑賞

20190901 top
【毎度お馴染みの構図。ggg前を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

現在銀座グラフィックギャラリー(通称ggg)で開催されているのは、デンマークのデザイン会社であるKontrapunkt(コントラプンクト)による「Sculptural Type」展である。
タイポグラフィが大好物のROCKHURRAHは目ざとく展覧会を発見。
gggには2019年2月に「ポーラ・シェア:Serious Play」の鑑賞で訪れているので、約半年ぶりになるんだね。
ポーラ・シェアの展覧会も大満足だったことを思い出す。
今回展示されているコントラプンクトってどんな会社なんだろうね?

北欧デザイン、というフレーズはいつの頃から耳に馴染むようになったんだろう。
そしてそれは「色合いが美しく、センスの良い洗練されたデザイン」と同義語になっているんじゃないかな。
一言で言えば「オシャレ!」なデザインね。(笑)
インテリアや陶磁器、ファッションに至るまで、たくさんのメーカーが日本に進出している。
様々な場所で、北欧デザインを目にする機会が増えているよね!

コントラプンクトは英語だとcounterpoint、意味は「対位法」だという。
Wikipediaで調べると、音楽理論のひとつであり、複数の旋律を、それぞれの独立性を保ちつつ互いによく調和して重ね合わせる技法である、とのこと。 
多様な個性が一つのハーモニーを形作り、世界的に有名なデザイン会社になったということなんだろうね。
1985年の設立以来、政府機関、インフラ、NGO、文化団体から大企業に至るまで、多数のブランディングを手がけ、世界中のデザイン賞も多数受賞しているコントラプンクト。

私たちにとって、タイプ(書体)デザインは彫刻のように物語る一つの形であり、しかもそのストーリーはここで終わるのではありません

今回の展覧会の主旨を、コントラプンクトのデザインディレクターで代表取締役社長のボー・リネマン氏が一言でまとめている。
彫刻のような書体って、どんなことなんだろうね?

まだ暑い東京の夏、湿度も高く蒸した銀座をgggに向かうROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
実はこの日、映画を鑑賞した後でggg訪問、という順番になったんだよね。
鑑賞した映画については、次週感想をまとめる予定なので、お楽しみに!(笑)
前回のポーラ・シェアの時には道に迷ったSNAKEPIPEだったけれど、今回はすんなりと到着。
このギャラリーは過去にも撮影許可を確認したことがあるけれど、念の為、受付の女性に尋ねてみる。
オッケーとの返答だったので、バシバシ撮影させて頂こう!

今回の展示は、足元にあるフット・スイッチを踏むことにより、壁をスクリーンにしてフォントが現れる仕掛けがされていた。
フット・スイッチは5種類用意されていてフォントそのものを見せたり、使用例を映し出している。
コントラプンクトは、世界中からオファーを受けているようで、日本の企業のフォントも多数取り扱っているんだよね。

スポーツ・シューズで有名なアシックスタイガーのロゴも、コントラプンクトがデザインしていたとは!
丸みを帯びながらも、少しだけ縦長で、アルファベット同士が近く見えるフォント。
何気なく目にしていたので、じっくり見ていなかったことに気付く。
ロゴだけではなく、恐らくフォント全体をアシックス用に制作したんだろうね。
アシックスのHPをみると、商品名にも同じフォントが使用されているように見えたから。
それにしてもアシックスという社名が「Anima Sana in Corpore Sano(健全なる精神は健全なる身体にこそ宿るべし)」というラテン語から採用されていたという話を初めて知ったよ!

デンマークのレストラン「noma」のためにデザインされたタイプフェイス。 
これは英国の飲食業界誌が選ぶ『世界のベストレストラン50』で4年連続1位に輝いたレストランだという。
このフォントを制作するのに、かかった時間はたったの1週間だったというから驚いちゃうね。
短い時間でも有意義で価値のある仕事をした、とコントラプンクトのボー・リネマン氏が語っている記事を読んだよ。
手書きで有機的な形を作り、わざと不均等にして素朴さを出しているとのこと。
クライアントの個性やアピールポイントを、いかにフォントに表現するのか。
ものすごく重要な部分だろうね。

日本の化粧品ブランド資生堂が、2019年4月横浜みなとみらいに「資生堂グローバルイノベーションセンター」、通称S/PARKという美の複合体験施設をオープンさせたらしい。
「らしい」と書いたのは、SNAKEPIPEは全く知らなかったから!(笑)
2019年って今年のことじゃないの。
ものすごく最近の仕事ってことだったのね。
ここで使用されているフォントのデザインを請負ました、という紹介がされていたよ。
アルファベットを使用している国のデザイン会社は、漢字をどう処理するのか興味があったんだよね。
他の文字も見てみたいので、SNAKEPIPEも美の複合施設に行ったほうが良いかも。(笑)
コントラプンクトと関わるよりずっと前から使用されていた資生堂の「SHISEIDO」というロゴ・デザインの素晴らしさに、今更ながら気づいたよ。
「S」の文字が音符のように流れて斜めになったフォントは、大正時代に作成され、使用されているという。
ROCKHURRAH RECORDS憧れの1920年代はやっぱり良いね!(笑)
資生堂は、広告の世界でも中心的な存在になっている。
「美」を追求するメーカーは、やっぱりイメージ戦略ありき、なんだね。

「Danish」と名付けられたフォントが実にカッコ良かったんだよね!
アルファベットによって、次に続くフォントと「ひとつながり」に見えるような箇所もある。
右下に配置されている円形のデザイン、円形と直線のバランスが素晴らしいよね。
日本語だった場合には、直線部分を縦書きにしても面白いかもしれない。
デンマークのデザイン賞を受賞しているというのも納得!
こんなフォントを日常的に目にしているなんて羨ましい限り。(笑)
恐らく「デザイン・アワード受賞」の様子を表しているシーンだと思うんだけど、特別な説明がなかったので想像だよ。
立体的な「D」が金ピカに輝き、中央でぐるぐると回転する動画だったんだけど、静止画で失礼します。(笑)
バックには印象的な斜めに走った文字が並んでいるよね。
この斜めの雰囲気、ロシア構成主義っぽくてお気に入りだよ!

コントラプンクトは、文字を動かすという遊びも見せてくれた。
これは動画じゃないと伝わらないな。

東大阪市役所がコントラプンクトに依頼して作られたフォントの紹介ビデオなんだよね。 
今回の展覧会でも「HIGASHIOSAKA」として展示されていたよ。
隣の文字につながっていくタイプフェイスを、近畿大学と共同で開発したという。
動くことで、より一層面白さが増すよね!

展覧会でSNAKEPIPEが撮影した動画も載せておこうか。
まるで心臓の鼓動に合わせて、文字が胎動しているように見える。
文字が生きているっ!(笑)

フット・スイッチを踏むことで動きがでる、という展示方法もユニークだったし、TYPE(書体)の可能性について考えさせられる展覧会だった。
改めて周りにあるフォントを「まじまじ」と見てみたいと思っている。
日本にも「オシャレ!」で独創的なフォントがあるかもしれないよね!(笑)

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