動きの中の思索―カール・ゲルストナー 鑑賞

20191222 01
【gggの入り口をいつもとは違う角度から撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)で開催されている「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」を鑑賞した。
前回gggにお邪魔したのは「Sculptural Type」を鑑賞した2019年9月のことだったので、およそ3ヶ月ぶりになるんだね。
今年は3回も通っているとは驚いてしまうよ。
活発になったなあ、ROCKHURRAHとSNAKEPIPE!(笑)
gggは「多くの方々にグラフィック・デザインの素晴らしさと出会う機会をご提供する」という趣旨の基に、展覧会を企画しているので、全て無料というのも魅力なんだよね。

今回スポットが当てられたのは、スイスを代表するグラフィック・デザイナー、カール・ゲルストナーだという。
SNAKEPIPEは初耳なので、少し経歴を調べてみようか。 

1930年 スイス生まれ
1945年 フリッツ・ビューラー・スタジオにて見習いとして経験を積みながら、バーゼル工芸学校でエミール・ルーダーとアルミン・ホフマンに師事
1949年 ガイギー社の著名なデザインチームの一員となる
1959年 コピーライター兼編集者のマルクス・クッターと共に広告代理店Gerstner + Kutterを設立
1963年 建築家パウル・グレディンガーを迎え、社名をGGKに改名する。GGKは、スイスとその後のドイツで最も成功した機関の1つで、多くのヨーロッパ諸国に支社があったという。
1970年 広告業界から引退した後、出版に携わるようになる
1981年 アート・マガジンのコンサルタントを務める
2017年 死去

カール・ゲルストナーは、スイスのタイポグラフィとグラフィックデザインに大きな影響を与えた。
また、アーティストとして体系的な色彩とフォルムの言語を構築し、芸術と日常生活の関連づけと、環境の機能的かつ美的なデザインを訴え続けた。

gggのHPに載っていた文章を転記させていただいたよ。
1965年、当時30歳前後の若さで活躍していたグラフィック・デザイナーたちの仕事を紹介する展覧会「ペルソナ」が松屋銀座で開催されたという。
その時海外から招聘されたデザイナーがカール・ゲルストナーだったとは!
当時の日本では、恐らく今とは比べ物にならない程グラフィック熱が高かったのかもしれないね?
貪欲に情報をかき集めて、海外のデザイナーから多くを吸収しようとしていたのかもしれない。
60年代には既に日本でも有名だったカール・ゲルストナー。
一体どんな作品なんだろうね?

ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのはモノクロームの世界。
総天然色(古い!)が当たり前になった現代、白と黒だけで表現されている空間は新鮮に映るよ。
最初に持った感想は「カッコ良い!」だったSNAKEPIPE。
ディスプレイが以前鑑賞した「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」みたいに、クローズアップした作品を背景にしてるんだよね。

Schlotterbeck Automobileのポスターとそのクローズアップ。
残念ながらSNAKEPIPEはドイツ語を読むことができないんだよね。
そのため視覚的な感想しか言えないところが悔しいよ。
タイポグラフィなので、フォントの美しさと画像とのバランスだけでも充分スタイリッシュだと分かるけど、意味が理解できたらもっと面白いだろうね?
バックは白。
対象物を中央に配置し、ギョッとさせる手法を採るゲルストナーの作戦は成功だよね。
あれは何だろう?と思って見るもんね。(笑)

レモネードのポスターなんだけど、これまた斬新!
飲み物の宣伝だったら、美味しそうに飲んでいる人を使うことが多いんじゃないかな。
栓抜きで開けようとしている瞬間だったり、グラスに注いでいる最後の一滴をポスターにするとは!
これらのポスター、制作年が1962年だって。
スイスとかドイツの人は、こんなポスターを日常的に目にしていたんだね。
羨ましい環境だよ。(笑)

これも1962年制作のIBMのポスターなんだよね。
このポスターのすごいところは「空間を恐れない」構図の取り方かな。
一応枠はあるけど、ほとんど白と言って良いよね?
この空間の使い方は日本画の影響受けてるんじゃないかなと勝手に予想するSNAKEPIPEだよ。(笑)
それにしても1962年のIBMって何を作ってたんだろうね?
調べてみると1911年創業、60年代にはコンピューター作っていたんだって!
当時からエリートが働く企業だったIBMにぴったりのポスターだよね。

会場は1Fと地下に分かれていて、地下に降りるとカラーの世界が広がっていた。 
モノクロームに目が慣れていたので、眩しいくらいだよ。
赤・黒・白というSNAKEPIPEが大好きな3色のみを使用した1978年の作品。
これはどうやらゲルストナー自身の展覧会用のポスターだったみたいだね。
こんなポスターが街角に貼ってあったら興味津々になっちゃうよね
どんな展覧会だったんだろう。
行ってみたかったなあ!

見たことあるシンボル!
「シェル石油」ロンドンのロゴマークを手がけていたらしい。
1964年の作品だという。
シェル石油の「帆立貝」マークは、それより前から使用されていたようなので、ゲルストナーのオリジナルではないみたい。
現在のロゴマークと比較してみると、ゲルストナーのバージョンは和風に見えてしまうのが不思議だよ。(笑)

ゲルストナーが1964年に出版した「Designing Programmes」には、「書体」「タイポグラフィ」「写真」「方法」について設計方法論の基本的な紹介や提案をしているという。
その本は復刻版が出ているようで、グラフィックやプロダクト・デザイン、音楽、建築、アートなど様々な分野において活用できる要素があるという。
画像(上)の「carro64」は、「Designing Programmes」に掲載されている作品のようで、色の濃淡が変化していく様子が描かれていたよ。
まるで現代アートなんだよね!
これが体系的な色彩とフォルムの言語なんだね、と書きたいところだけど意味はあまり分かっていないよ。(笑)

gggの企画展は、いつも新鮮な驚きを与えてくれるんだよね。
ずっと以前からタイポグラフィに関心があったROCKHURRAHの影響で、gggを知ることになったSNAKEPIPE。
今では書体やタイポグラフィに対して、興味を持つようになったからね。 
ありがとう、ROCKHURRAH! (笑)
来年もgggに大注目だよ。 

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